※ストーリーのネタバレに触れています。
データ
シーズン3 第7話 (通算27話)
“A Mathematically Perfect Redemption” 「数学的に完璧な罪滅ぼし」
配信日: 2022年10月6日 (米国) 10月7日 (日本)
配信:Amazon Prime Video (吹き替え版) (字幕版)
監督:Jason Zurek
脚本:Ann Kim
声優クレジット
原語 | キャラクター | 吹き替え |
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Starring | ||
タウニー・ニューサム | ベケット・マリナー | 小島 幸子 |
ジャック・クエイド | ブラッド・ボイムラー | 平野 潤也 |
ノエル・ウェルズ | ドゥヴァナ・テンディ | 種市 桃子 |
ユージン・コルデロ | サム・ラザフォード | 最上 嗣生 |
ドーン・ルイス | キャロル・フリーマン | 磯辺 万沙子 |
ジェリー・オコンネル | ジャック・ランサム | 志村 和幸 |
フレッド・タタショア | シャックス/ドルークマニ上陸班リーダー | 後藤 光祐 (シャックス) |
ジリアン・ヴィグマン | (クレジットのみ) | |
Special Guest Star | ||
ジェフリー・コムズ | AGIMUS (アギマス) | |
J・G・ハーツラー | ドルークマニ船長 | |
Guest Cast | ||
ケッテル・ドナヒュー | ピーナツ・ハンパー | |
ポール・シェアー | アンディ・ビラップス | |
ハリー・シャム・Jr. | ラウダ | |
ジェイムズ・シー | カルトラス | |
ローレン・トム | エレオール女性 | |
その他の吹き替え声優:櫻庭 有紗、加藤 和樹、多田野 曜平、斉藤 次郎、魚 建、渡辺 ゆかり、武田 太一 |
レビュー
シーズン1の最終話「セリトス絶体絶命!」の裏話から始まる、異色作でした。オープニングまで変えてくるとは本格的。
同エピソードに登場した、エクソコンプ (新スタートレック シーズン6「機械じかけの小さな生命」) のピーナツ・ハンパー。クルーを裏切ったあと残骸の中に取り残され、日付を数えて過ごしていました。ドルークマニから逃げるために、間に合わせのワープドライブを起動。原始的な鳥型異星人、エレオールが住む惑星エリオロスにたどり着きます。実写だといろんな意味で難しそうな鳥類種族ですが、主役にもってこれるのもまたアニメならではでしょうか。
長のソルトラスに拾われ、機械を嫌うエレオールの中で過ごすピーナツ・ハンパー。内政不干渉の原則 (Prime Directive 「艦隊の誓い」の今回の訳) を気にしないことが功を奏したのか、スカイ・スネークに襲われたソルトラスを解毒するなどして次第にエレオールと仲良くなります。普通の(?)クルーだったら、どうなってたんでしょうね。
ソルトラスの息子ラウダは初めピーナツ・ハンパーを毛嫌いしていましたが、一緒に過ごす内に関係をもち、ついには結婚! 翼でハートのシルエットを作ったり、ピーナツ・ハンパーはクチバシをつけたり。姿形を越えた愛というのは定番ではありますが、ここまで描くのかとちょっと驚きました。
タイトル通り前回の自分の行動を悔いるピーナツ・ハンパーは、ドルークマニが再び襲ってきた際も自己犠牲の精神を見せます。敵をやっつけてセリトスと合流、再び艦隊士官として戻る…と思ったら、地下に眠っていたエレオール船をドルークマニに盗まれたところから急展開。なんと敵を呼び寄せたのはピーナツ・ハンパー自身でした。正直、ベタに感動しつつあったのに一気にひっくり返されました。まあ、これもこのシリーズらしいといえばらしいですけどね。
ラウダの活躍でドルークマニは退散。本性を現したピーナツ・ハンパーは、ほんとにできるのかどうかボーグを呼ぼうとまでしてましたが、デイストローム研究所に送致されました。再登場の AGIMUS (アギマス) と絡んでましたけど、今後悪役として復活することはあるんでしょうか。
実に時間の半分以上もセリトスが登場しないという思い切ったストーリーは、前シーズンの名作「wej Duj」にも通じる意外性で楽しめました。そのままピーナツ・ハンパーが改心してもよかった気がしますが、実際それで終わりならやっぱりつまんないですかね。まさかの再登場&主役になったピーナツ・ハンパーの原語声優は予想していなかったと話していますが (ケッテル・ドナヒューのインタビュー)、吹き替え声優の方にも感想とか伺ってみたいですね。
トリビア
◆懐かしい形の「前回までの…」から始まるのはシリーズ初。シーズン1「セリトス絶体絶命!」のシーンから、そのまま続く形でピーナツ・ハンパー側の視点が描かれます。ピーナツ・ハンパーの吹き替えは今回もキャラクター名つきではクレジットされていませんが、前回と共通する声優などからすると櫻庭有紗さんの可能性があります。
◆オープニングタイトルと音楽が違った形になるのもシリーズ初。途中、ラザフォードのヘッドピースが浮かんでいます。
◆タイトルは前にピーナツ・ハンパーが自分で名づけた際の、「数学的に完璧な名前」にちなんで。
◆「大勢の命」は、前回およびあらすじのテンディのセリフにもあった “the needs of many” 「多数の利益」。後でも言及されます。
◆ピーナツ・ハンパーの「友達」ソフィアは、映画「キャスト・アウェイ」(2000) のウィルソンのオマージュ。原語では「ソフ (Soph)」とも呼んでいます。
◆ドルークマニはシーズン1「気のいいフレッチャー」より。
◆ピーナツ・ハンパー「アンドロイドの勘だけど、私嫌われてる気がするんだけど」。自称アンドロイドなんですね…。
◆ピーナツ・ハンパーはフリークラウドでダボ・ガールになりたかったとのこと。フリークラウドはピカード シーズン1「スターダスト・シティ・ラグ」より。
◆ラウダ「星々を折りたたむようにして、すごい距離を飛べる」 ピーナツ・ハンパー「それはワープっていうの」
◆ミグリーモとケイションが再登場しましたが、セリフはありません。
◆前とは違って、シャトルに向かうピーナツ・ハンパー。「多数の利益は、少数の利益に勝るのよ!」 映画ST2「カーンの逆襲」より。自ら艦隊の記章を描きます。
◆ピーナツ・ハンパーがドルークマニに対して使った偽名は、「ピーナツ・バター」。ありきたり…。
◆ビラップス少佐が「機関部を休ませろ!」以来の登場。
◆ピーナツ・ハンパーがラウダに言い放った「こんなショボい男、こっちから願い下げ」は、原語では「あんた貧乏人のオーレリア人みたい」。オーレリア人 (オウレリアン) は、まんが宇宙大作戦シーズン1「タイム・トラベルの驚異」に登場した Aleek-Om の種族。エレオールと同じく鳥型の異星人です。種族名は同エピソードの脚本には記載されていましたが、セリフで言及されるのは史上初。
◆ドルークマニ船長の原語声優は引き続き、DS9マートクなどを演じたJ・G・ハーツラー。前回とは異なり、スペシャル・ゲストスター扱いになっています。吹き替えは今回もキャラクター名つきではクレジットされていませんが、前回と共通する声優などからすると武田太一さんの可能性があります。
◆デイストローム研究所の「自我をもった誇大妄想コンピューター保管庫」は、シーズン2「愛欲の泉」より。その際に AGIMUS (アギマス) が入れられた場所にピーナツ・ハンパーが入り、左隣にあったコンピューターの代わりに AGIMUS が入っています。すぐにピーナツ・ハンパーが「数学的に完璧な名前」と見抜く(?) AGIMUS。他のコンピューターが騒ぎ出して暗転という、前回とそっくりな終わり方になっています。原語声優は引き続き、DS9ウェイユン、ブラント、エンタープライズのシュランなどを演じたジェフリー・コムズです。吹き替えは今回もキャラクター名つきではクレジットされていませんが、前回と共通する声優などからすると魚建さんの可能性があります。
出典
公式サイト
TrekMovie.com
TrekCore.com
Memory Alpha
“Bird of Prey1” by pipilongstockings is licensed under CC BY 2.0.