タイトル: Re:スタートレックの原点は
投稿者 : 下士官
登録時間:2009年6月14日15時06分
本文:
見終わった後は例のスタッフロールで感慨がありましたが、少し時間が経って思い返してみると、
「スタートレックって一体なんだったんだろう?」
っていう疑問が残りました。
世にあふれる有象無象のSFドラマ、SF映画の中でも40年の長きにわたって一定の人々に支持され
続けているこのシリーズの魅力って一体なんであったのか、考え直させられました。
一緒に観に行った連れは映画好きではありますが、スタートレックは「カルトな人気のある長寿
SFドラマ」ぐらいの認識しかありませんが、「普通に映画館のスクリーンで見ると迫力のある面
白い映画」との評価でした。スタートレックの魅力って「迫力」でしたっけ?迫力のある映像、
演出が欲しいのだったら他の映画でも全然構わないような気がします。
やはり上で言われているような、スタートレックの名前を借りた「大衆娯楽映画」であったよう
に思えて仕方ありません。勧善懲悪な武力で物事を解決するようなドラマがスタートレックでは
無かったと思うのです。少なくとも自分が好きだったスタートレックはそういうものではありま
せんでした。
「わざわざ足場の悪い所でどつき合うスタートレックなんて要らない」
これは今まで劇場版が公開される度に思っていたことなのですが、今回のリイマジネーションと
言う手段を経て、さらにその路線が強化されたように感じられました。
これからも(和解・共存の道も模索せずに)相手を殺すことで物語が決着するようなスタートレ
ックが続くのであれば、悲しいし、今までの培われてきたスタートレックの哲学のようなものが
失われてしまうようで残念です。
あの世界に残ったスポックはどんな気持ちであの世界の成り行きを見ていくのでしょうか。
カークと共にクリンゴンとの和平を実現し、カーク亡き後の時代にもロミュランとの民族統一
を目指し、常にα宇宙位置の平和と共存を目指してきた彼の目に、希望の持てる世界が映るので
しょうか。
役者の演技がTOSのキャラの特徴をよく再現していて出来が良かっただけに残念です。
少なくとも、ピカードもシスコもジェインウェイも、ブラックホールに吸い込まれていく敵艦を
見て、ぎりぎりまで救助の要請をするよう説得はしても、とどめとばかりに集中砲火を浴びせる
ような真似は絶対にしないでしょう。艦隊士官としても。(まあ、最後の人は虫の居所によって
はどうだか分かりませんが)
よく、前知識が無いと分からないことばかりだから初めての人に敷居が高い、それが映画失敗の
理由として上げられますが、指輪物語とかどうでしょうかね?一部省略された所を覗くと、かな
り原作に忠実に映像化されています。台詞も含めて。トールキンの独自の神話的世界をベースに
していて、決して映画を見るだけでは分からないような知識が多くとも、日本を含め、世界中で
賞賛を浴びる作品になっていました。映像の美しさや演出の華やかさも、あと映画会社のプロモ
ーションもありますが、根本としてはやはりドラマとしての素晴らしさがあってのものだと思い
ます。そう思うと、それはスタートレックの最も魅力のある、言うなれば得意な部分でもあるは
ずなのですが。その割に毎回映画ではスタートレックの本領ではない、アクションだとか派手な
演出効果に傾倒していくのがもったいないように思います。
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