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TNG エピソードガイド
第157話「謎のエイリアン部隊」(後)
Gambit, Part II

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・イントロダクション
ディスラプターを発射する傭兵船。
エンタープライズのワープナセルを直撃する。
ウォーフ:「右舷エンジンに命中しましたが、被害はほとんどなしです。…左舷※1エンジンにも被弾! ですが、こちらも被害はわずかです。」
トロイ:「ウィルが彼らの武器に細工したのよ。」
データ:「その推測が正解でしょう。副長の仕掛けた芝居に乗らなくては。慣性制動機解除。31 から 37デッキ、パワーカット。」
ジュスティ:「了解。」
「フェイザー出力、25%にダウン。…反撃開始。」
ウォーフ:「了解!」
フェイザーを発射するエンタープライズ。

揺れる傭兵船。
バラン:「攻撃を続けろ!」
ピカード:「今のでディスラプターのプラズマリレーが 3つやられた。補助パワーで何とか…駄目だ、使えない!」
「武器制御を私のステーションに移せ。パワーを送る方法があるはずだ。損傷個所を…」 攻撃は続く。
ナリク:「反物質貯蔵ユニットにゆがみが出てる。」
タレラ:「かなりの被害を受けてるはずなのに、それでも私達より攻撃力は上よ? …このまま続けたらこっちが撃墜されるわ。論理的に考えれば当然撤退ね。」
バラン:「…あれで追っては来れまい。ナリク、コースセット。180、マーク 215 だ。ワープ6、発進準備。」
ライカーはピカードを見る。

ジュスティ:「彼らはワープドライブの起動準備をしています。」
ウォーフ:「少佐。ワープ航法に入られてはセンサーで追跡できません。今ならまだ撃墜…」
データ:「戦略上の問題は十分承知している。行かせるんだ。」
ため息をつくウォーフ。
カルダー2号星を離れていく傭兵船。


※1: 原語では右舷と左舷が逆になっていますが、映像では吹き替えのように右舷ナセルを攻撃されるのが先です

・本編
静止しているエンタープライズ。
トロイ:「言葉の一つ一つ、声の抑揚、顔の表情まで細かく分析したけどウィルが何かメッセージを伝えようとしてるとは思えないわ。」 ライカーがスクリーンに映ったときの映像が出ている。
データ:「可能性は低くとも、確実にノーと言えるまで調べる必要があります。」
「続けるわ?」
ウォーフ:「…傭兵の攻撃に備え、ヤダラ・プライムとドレイケン4号星に艦隊が船を 2隻迎撃に向かわせました。」
データ:「本部に、我々は現在地に留まると連絡してくれ。」
「では…このままここに、残るつもりですか。」
「ああ。だが、あらゆる手段を講じて捜索は続けるつもりだ。」
「…あそこで奴らを攻撃しておけば、逃げられずに済んだでしょう。」
「もちろんそうだ。…だが副長は、ああすることを望んでいた。」
ラフォージ:「データ。ちょっとこれを見てくれ。…ライカー副長がコマンドコードを送った通信リンクを調べていたんだ。最初はわからなかったんだが、信号を復調波分析にかけてみたら何とこんなのが出てきた。…コマンドコードと同じ搬送波で送られてる。」 同じ数字が並んでいる。
トロイ:「これがウィルのメッセージかもしれないわ。」
データ:「ありうるな。…この信号を配列し直してみよう。暗号の解読が、最優先だ。」 ブリッジのコンソールに座った。

惑星に近づく傭兵船。
ナリク:「とりあえずエンジンを一旦全部切る。」
バラン:「被害個所の修理にどれくらいかかる。」
「反物質貯蔵ユニットの取り替えだけだって少なくとも 5時間はかかるぜ?」
「3時間で片づけるんだ。一分でも遅れたら、貴様の命はないと思え。」 ライカーに話すバラン。「…礼を言わねばならんな。…お前がいなければ全員死んでいた。」
ライカー:「フン、どうも?」
ピカード:「いやにしょぼくれてるな。仲間を裏切ったはいいが気がとがめてきたか? ああそうとも。裏切ったんだ。自分可愛さに仲間を売ったのさ。情けない奴だとは聞いていたが、腰抜けの裏切り者とはな。どんな気分だ?」
ライカーは立ち上がりざまに、ピカードを殴り倒した。「貴様の知ったことか!」
バラン:「よさんか。…ガレン、貨物室へ行って分析を続けろ。」
立ち上がり、服の裾を伸ばすピカード。
バラン:「行け。」
ライカーを見てブリッジを出ていくピカード。タレラが続く。

傭兵船の貨物室。
ピカードが分析しているところへ、タレラがやってきた。
ピカード:「バランにはこれ以上早くはできんと言っとけ。……何だ?」
タレラ:「あなたが切れ者なのか単なる愚か者か、見極めかねてるの。…エンタープライズのシールドが弱まったときなぜ攻撃をやめたの?」
「あんたもいたろ、ディスラプターにパワーが行かなかった。コンピューター、次のサンプルを分析する。スキャン開始だ。」
「あの武器システムの扱いはお手の物でしょ? パワーリレーがやられても、バイパス法を知ってるはずよ。それにどうしていつもライカーに食ってかかるの? あの男を敵に回すってことはバランを敵にすることよ、自分の立場が悪くなるだけなのに。どうして。」
コンピューター:『スキャン完了。テリコン崩壊度該当しません。』
ピカード:「コンピューター、次のサンプルを分析する。スキャン開始だ。ここはロミュランの強制収容所か? 答える義務はないね。…誰でも言いなりになると思うな?」
『スキャン完了、テリコン素粒子崩壊度該当。…98%の確率で一致します。』
その遺物を手にするピカード。「これか。何かは知らんが捜し物は見つかったぞ。」
腕のコミュニケーターに触れるタレラ。「こちら貨物室。」
バラン:『ああ、どうした。』
「いま結果が出たの。テリコン崩壊度の一致する発掘品が見つかったわ。」

自室のバラン。「よーし、すぐここへ持ってこい。誰もそばに近づけるな。」
タレラ:『わかったわ。タレラ、以上。』
ライカーもいる。「いいニュースらしい。」
バラン:「とてもな。」 グラスに酒を注ぐ。「これで、笑いが止まらんほど儲かる仕事の半分が片付いたことになるわけだ。それだけじゃない。お前の天敵ガレンも直に始末できる。」
「へえ?」
「もう一つの破片が見つかればな。もし奴がもう一つを探し出したら、その瞬間にガレンのこの船での役割は終わる。」
「そいつは願ってもないことだな。」
「ガレンは口の減らん奴だが、時々鋭いことを言う。…例えばお前のことにしてもな。」
「俺の?」
「連邦を裏切ったことを考えれば、艦隊での未来は明るくあるまい。」
「…フン。」 立ち上がり、制服の裾を引っ張るライカー。「そうだな? 俺も丁度同じことを考えてた。」 笑う。
「うーん。お前は別に囚人というわけでもない。今後どうする。」
「…そろそろ次の仕事を探すか。」
「ああ…。」
「宇宙艦隊での 15年の経歴が、役に立つ仕事がきっとあるはずだが。どっかいい口を知らないか?」 ライカーは微笑む。
「ハ、なくはない。…だがこの稼業で学んだのは常に用心深くあれってことだ。いい拾いものだと思ったらクズだったということもある。今までお前は、運に恵まれていただけかもしれん。」
「フフン。そいつは気が早いんじゃないか? 俺はまだここで働くとは言っちゃいないぜ。まずこの仕事について、もうちょっと知っときたい。」
「例えば?」
「『笑いが止まらんほど儲かる』ってのは、確かなのか?」
「分け前が入ればお前も死ぬまで悠々自適で、のんびり暮らせるってことだけは言っておこう。…宇宙の彼方でな。」
「確からしいな。」
「だがそれに、見合うことはしてもらう。まずガレンと衝突するのはやめて仲良くすることだ。」
「理由は。」
「奴に味方する者もいる。殺した後の、面倒は避けたい。近づいて仲間の名を聞き出せ。」
うなずくライカー。「わかった。」
バラン:「それからもう一つある。時がきたら、お前が奴を殺せ。」
出ていくライカー。バランは微笑んだ。



ブリッジのデータ。「傭兵船から送られてきた信号の分析を完了したところだ。…これは恐らく、彼らの航行システムから抜き出されたコースと座標だと思われる。」 一列に並んでいる。
ラフォージ:「つまり、フライトプランってことなのか?」
「そうだ。…ということは、傭兵船はこの地点に向かうはずだ。ハイララン星域※2だ。」
ウォーフ:「奴らの船の最大速度はワープ8.7 です。…この座標だと、到着まで少なくとも 14時間かかる。」
ラフォージ:「こっちは 5時間で行ける。」
データ:「早速向かおう※3。」
ウォーフ:「…やっとですか。」
データを見るラフォージ。
ウォーフ:「ハイララン星域にコースセット、ワープ9 で発進しろ。」
操舵士官※4:「了解。」
データ:「ウォーフ。…作戦室へ来てくれるか?」
ウォーフ:「もちろん。」

中に入り、振り返るデータ。「君の副官としての勤務態度には、問題があるな。」
ウォーフ:「理由を聞かせてください。」
「私の命令にことごとく不満を表明する。クルーの不安を招き、好ましくない。」
「少佐、不満ではありません。ピカード艦長やライカー副長に、意見を言うことは許されてました。…対立する意見でもです。」
「それはそうだ。だが今の君の立場は保安部長ではなく、この船の副長だ。…副長の第一の役割は、艦長の決定を実行に移すことにある。いま艦長は、私だ。」
「ですが、別の案があればそれを提示するのも務めだと思いますが?」
「ああ。…だが一旦決断を下したら、もう異議は認めない。実行するのが、副長の任務だ。…それでも意見があれば、クルーの前でなく個人的に言え。…君がさっきしたように、ライカー副長がクルーの前で艦長へのいら立ちを見せたことがあるか。」
「…ありません。」
「もし納得できないのなら君は戦略士官に戻し、ラフォージ少佐を副官に任命する。記録には懲戒処分ではなく、単なる異動と…記載しておこう。」
「…現在の職務を続けたいと思いますが。」
「それでは今私が指示した点を確実に守ってくれ。」
「了解。」
「行っていい。…ウォーフ。これで、友情が終わるなら残念だ。」
「…少佐。悪いのは、友情にヒビを入れかけた私の方です。…今度のことを許してくださるなら、できれば少佐との友情を壊したくないと思います。」
「私も同じ気持ちだ。」
「ありがとうございます。」 作戦室を出て行くウォーフ。
データは裾を伸ばした。

通常航行中の傭兵船。
パッド※5を操作していたピカードは、部屋に入ってきた者に銃※6を向けた。
ライカーだ。ため息をつくピカード。
ライカー:「寿命が縮みますね。」
ピカード:「……用心しないと物騒でな。ウィル、まずいんじゃないか? バランが疑いをもつ。」
「話してこいと言ったのは、そのバランです。上手く取り入ってそそのかし、艦長に…反逆を企てさせる。そしてクルーの中で誰が艦長につくかをはっきりさせ、皆殺しにする気です。」
「ややこしい網を張ってしまったな。ハ、自分がどっち側にいるか混乱してきた。…その後何かわかったか?」
「ハイララン星域に着いたら、我々はまずクリンゴンの輸送船とランデブーします。恐らく、ロミュランの遺跡からの発掘品を載せていると思われます。」
「また発掘品? そういえば、これはロミュランの遺物じゃない。ヴァルカンのだ。」
「ヴァルカンの。」
「うん。…カルダー2号星で出土した物の絵文字や象形文字をずっと睨んでいたんだ。…ここには資料がないから全てを解読することはできないが、あのアルファベットや絵文字の使われ方はロミュランというよりヴァルカン初期のものなんだ。」
パッドを見るライカー。「宗教的か文化的に、何か価値があるんですか。人を殺しても、手に入れたいほどの。」
ピカード:「わからん? ……エンタープライズのコンピューターに、ほんの数分間でもアクセスできればな。…うーん。それで? クリンゴンから、荷物を受け取った後の予定はどうなってる。」
「鑑定が済めば艦長は用済み。私が殺し、後釜に納まります。」 微笑むライカー。
「ハ、君はいつも私の椅子を狙ってるんだな。」
「フン。」
「そうか。たとえ君がやらないとしてもバランはあのスイッチであっという間に私を殺せる。…そうなる前に、反逆を起こした方がよさそうだな。」
ライカーはうなずいた。

作業をするナリクに話すピカード。「新しい艦長がいる。こいつはもう、疑問の余地はないぞ。」
ナリク:「同感だな? だがお前がいいとは思わん。」
「そうか?」
「お前は信用できない。ほかのクルーもみんなそう思ってる。誰もついてきゃしねえよ。」
「誰ならいいんだ。お前か。」
「みんな、タレラなら納得する。俺もな。」 貨物室を出て行くナリク。
すぐタレラがやってきた。「あなた何者?」
ピカード:「何?」
「密売人なんかじゃない。ガレンも偽名でしょうね。」 タレラは銃を向けた。「本当は何者で何が目的なのか言いなさい、でないと今この場で撃ち殺すわ。」


※2: Hyralan sector

※3: "Make it so."

※4: LD ではナリク役の安井邦彦さんの兼任として、「ヒクソン」「ヤマモト」というキャラクターが掲載されています。格闘家のヒクソン・グレイシー、山本宜久から (勝手に) 名づけたものと思われます。片方はこの操舵士官を指しているのかもしれませんが、もう一人は確認できません (シャトル格納庫で撃たれる機関部員? 前編の脚注※16 も参照)

※5: TNG第70話 "The Most Toys" 「究極のコレクション」で使われた、指紋スキャナーの使い回し

※6: TNG第60話 "The High Ground" 「異次元テロリスト」で使われた、ルチア人のピストルの再利用

尋ねるピカード。「何の話だ?」
タレラ:「芝居に付き合う暇はないの。エンタープライズにメッセージを送った証拠を見つけたわ。ライカーが彼のコマンドコードで防御スクリーンを降ろさせたとき、あなたは同じ搬送波で信号を送ったでしょ。…宇宙艦隊の士官ね。…ごまかしても無駄よ。論理的にそれ以外ありえないわ。」 武器を納めた。「私の本当の名前はタパール※7。ヴシャール※8のメンバーなの。」
「ヴァルカン保安省か。」
タパール:「ええそうよ。ロミュラン人の傭兵に化けて、去年この船に潜入したわ。ヴァルカンに対する脅威の有無を調査に来たの。」
「脅威というと?」
「順序ってものがあるんじゃない? …名前は?」
「…エンタープライズ艦長ジャン・リュック・ピカードだ。」
「…なるほどね? じゃ答えるわ。何年か前、ヴァルカンに排他主義運動が起こって確実に勢力を伸ばしつつあるの。異種族との接触によって我々の文化が破壊され、純粋性が汚されてる。…そう考えてる言わば過激派よ。彼らはこの銀河の他の惑星からヴァルカンを完全に隔絶して、我々の星に住む異種族を根絶すべきだと提唱してるわ。」
「恐ろしく、非論理的じゃないか。」
「ええ、そうね。過激派というのは大抵独自の論理をもってるの。」
「それともう一つ。バランがかき集めている発掘品は何なんだ? …ヴァルカンの遺物だってことだけはわかったんだが。」
「あなた私達の祖先の歴史には詳しいんでしょ? 彼らが論理を発見し、平和を勝ち取る前は…」
「人間の祖先と同じだった。野蛮で、好戦的。」
「恐ろしい時代だったわ。テレパスとしての能力を使っていたの。武器としてね。思考力だけで、敵を殺せたのよ。」
「ゴルの石※9か。」
「…知ってるの?」
「その話ならヴァルカンの神話に出ていた。」
「ゴルの石は実際にあったの。神話の中の話でも魔法でも何でもないわ。あれはプシー粒子共鳴器※10よ。テレパシーエネルギーの焦点を絞って、増幅させる装置なの。…この銀河で生み出された最も恐ろしい兵器よ。」
「伝説では、ヴァルカンが平和へと歩み始めたとき神が破壊したとなっていたが?」
「そう、共鳴器は目覚めの時代※11に破壊されたと信じられていたわ。3つの破片に砕けた一つだけが、ヴァルカン博物館に厳重な警備の下で保管されてたの。…それが 1年前、博物館から盗み出された。その後すぐこの宇宙域のあちこちで、遺跡が傭兵たちに盗掘され始めた。我々は排他主義運動※12を進める過激派たちが、共鳴器を復元しようとしてると見てるの。」
「テレパシー兵器か。」
「私の任務は過激派のテロリストを、捕まえること。」
「…ということはバランは、残りの破片を見つけてテロリストに届け報酬をうるというわけか。…となると、もうしばらくこの仮面劇を続けないとな。」
「ええそう。どうあろうと、共鳴器を復元させるわけにはいかないの。最悪の場合、この船を爆破するわ。クルーごとよ。もちろん、私やあなたも含めてね。」

エンタープライズ。
データ:『航星日誌、艦長代理記録※13。宇宙暦 47160.1。エンタープライズは、ハイララン星域に到着。副長を乗せた傭兵船は、必ずここへ来る。』
ワープを止める。
ジュスティ:「小型船の船影発見。コース 127、マーク 335。」
データ:「例の傭兵船か。」
「いえ違います、クリンゴン船です。」
副長席のウォーフ。「トロン級のシャトル※14と思われます、乗員 1名。」
データ:「宇宙チャンネル。」
クリンゴン人が映る。
データ:「惑星連邦宇宙艦隊エンタープライズの、データ少佐だ。」
クリンゴン人:『コラル※15。』
トロイを見るデータ。クリンゴン人に尋ねる。「…名前だと思っていいのかな?」
無言のコラル。
データ:「…ある事件の調査中で、ゆき先を聞きたい。」
コラル:『断る。』
「…では、目的を聞かせてくれ。」
『駄目だ。』
「我々の意図が伝わらなかったようだな。重大な事件の調査…」
コラルは通信を切った。シャトルが映る。
データを見るジュスティ。
データ:「どういうわけか、非協力的だなあ。」
トロイ:「無表情だけど内心とても慌ててるわ。それに、少し怖がってるみたい。」
ウォーフ:「少佐。シャトルをこちらの艦内に牽引※16して、中を捜索するという方法もありますが。コラルも尋問します。」
データ:「…クリンゴンと連邦間の条約に基づき、コラルは連邦の領域内をどこでも航行する権利がある。…理由もなく、船内を捜索することはできない。」
「確かに。…そうだ。ですが保健衛生のための立入検査※17なら、どの船に対しても行えることになっています。」
トロイ:「保健衛生のための検査?」
データ:「…その条項を口実にして、シャトル内の捜索を強行しようというのは条約の本来の精神に反しているな。」
ウォーフは反論しようとしたが、抑えた。「…そうですね。」
データ:「しかしだ。…もしコラルが、捜索に不服だというのなら…法務総監※18に抗議の訴えをすればいいわけだ。シャトルを収容しろ。…君と、ドクター・クラッシャーで検査をしてくれ。」
喜ぶウォーフ。「了解。」 ブリッジを出ていく。
トロイはデータを見た。

クリンゴン・シャトルのハッチが開き、コラルが出てきた。見上げるウォーフ。
コラルの身長は遥かに高い。
クラッシャー:「こんにちは。私はドクターのクラッシャー。保安部長のウォーフよ? …あなたのシャトルに、ちょっと保健衛生の立入検査をしたいの。」
コラル:「『保健衛生の立入検査』だと。」
「そうなの。いろいろあるでしょ? 放射能漏れとかそれに…生化学物質の汚染とかとにかく、えー…いろんな危険がね。…ちょっと失礼。」 クラッシャーは中へ向かった。
ウォーフの隣りに立つコラル。頭一つ分は抜きん出ている。
トリコーダーを使うクラッシャー。「えっと、放射能は大丈夫みたい。よかったわねえ。次はと。」

報告するヴェコール。「メッセージが入ってきた。クリンゴンのシャトルからだ。…15分ぐらい前に送信されたものだ。ランデブーポイントで待機中、エンタープライズに捕まったらしい。それだけで、信号は切れてる。」
バラン:「エンタープライズ。」
ピカード:「ライカー、敵さんは何でランデブーポイントを知ってたんだろうなあ。」
「…やめんか! …いま問題なのはエンタープライズにある例の物をどう手に入れるかだ。…仕方あるまい。エンタープライズに乗り込み、奪い返すんだ。」
「…あんたって奴は救いようのない単細胞だな、あの手の船に何人保安部員がいるのか知ってるか。」
「見当もつかんね。だが彼がいる。」
うなずくライカー。「俺が先導していこう。必ず奪い返してくる。」
ピカードは笑った。「便利なもんじゃないか。だがお前をあの船に帰したとして、またフラフラ気が変わって寝返らんという保証はあるのか?」
ライカー:「ガレン、俺は今まで 2度もお前たちの命を救ってやった。…感謝されこそすれ貴様に侮辱される覚えはない!」
バラン:「ライカーの裏切りが心配なら、お前も一緒に行って見張るがいい。」
ピカード:「…いいとも。」
「5名で乗り込むんだ、人数分の武器を用意しろ。」
ブリッジを出ていくピカード。
バランはライカーの腕をつかんだ。「エンタープライズへ戻って我々を裏切るような真似をしたら、私はすぐにでもこのスイッチでお前を殺す。それをよーく覚えておけ。」
ライカー:「忘れるわけがない。」
「それからもう一つ仕事がある。忠誠心を見せてもらおう。ガレンを始末するにはまたとないチャンスだ。ブツを確認させたら、殺せ。」


※7: T'Paal

※8: V'Shar

※9: Stone of Gol

※10: psionic resonator

※11: Time of Awakening

※12: エンサイクロペディアの項目ではヴァルカン排他主義運動 (Vulcan isolationist movement)

※13: 前編では "Acting Captain's Log" に対し、「航星日誌」という訳は含まれていませんでした

※14: Toron-class shuttlecraft
TNG第83話 "Final Mission" 「ファイナル・ミッション 新たなる旅立ち」に登場した、ネネベクの改装

※15: Koral
(ジェイムス・ウォージー James Worthy 身長 206cm を誇る、NBA (全米プロバスケットボール協会) ロサンゼルス・レイカーズ所属の現役 (1982〜94年) プレイヤー。スタートレックのファンで、ガウロン役ロバート・オライリーと偶然出会ったことから今回の出演になりました) 声:笹岡繁蔵、TNG デュラスなど

※16: 吹き替えでは「転送」

※17: Health and Safety inspection

※18: Judge Advocate General's office
TNG第35話 "The Measure of a Man" 「人間の条件」より

エンタープライズ。
トロイ:「保健衛生のための検査だからすぐ終わるわ。これも何かの縁ね? 広い宇宙で私達と出会ったんですもの。…どういう御仕事してらっしゃるの?」
コラルはデータを見た。
データ:「…ウォーフが、レプリケーターをプログラムしてくれた。飲んでくれたまえ。クリンゴンのブラッドワイン※19だ、なかなか美味いね。多分、お口に合うんじゃないかな?」 注ぐ。
コラルはグラスを手に取り、ブラッドワインを観察ラウンジの床に流した。

トリコーダーを見るクラッシャー。「…3度スキャンしたけど、おかしな物は何も出てこない。」
ウォーフ:「…必ず何か隠してる。…コンピューターメモリーをダウンロードして分析しましょう。」
「そんなことしたら、保健衛生の検査じゃ通らないわ。」
「コンピューターが異常な放射能を発していたということにすれば、何とかなりませんか。」
「ただでさえ危ない橋を渡ってるのよ、これ以上…」
そこへ、ピカード、ライカー、ナリクたち 5人が転送されてきた※20
シャトル格納庫に入ってきた機関部員を撃つライカー。
ピカード:「動くな!」
ライカー:「ドアを見張れ。」
ウォーフ:「どういうことです。」
ナリク:「黙ってろ、クリンゴン!」
ライカー:「ドクター、驚いてるようだなあ。」
クラッシャー:「当然でしょ。」
「転職しようと思ってね。」
シャトルを調べたピカード。「ここにはない。おいお前、発掘品はどこだ。」
ウォーフ:「…何のこと言ってるのかわからん。」
ライカー:「頭を使え、こいつらが持ってたらシャトルを探したりするか。コラルが持ってるんだ。クリンゴンのパイロットはどこだ。」
答えないウォーフ。
クラッシャー:「データやトロイと観察ラウンジにいるわ。」
ナリク:「遠いのか!」
ライカー:「12デッキ上だ。」
ウォーフ:「保安部員がいるんだ、行けやしない。」
「邪魔はできんさ。そこのシャトルの転送機を使って、直接観察ラウンジへ行く。悪いね?」 ウォーフとクラッシャーを撃つライカー。「行くぞ!」

無言のコラル。
データ:「君の任務は、例えばどんな性質のものかな?」
観察ラウンジにピカードたちが転送されてきた。
コラル:「…どういうことだ。」
ライカー:「動くな!」
ピカードはスキャナーでコラルを調べる。
ライカー:「持ってるか?」
ピカードはコラルの胸元から、小さな部品を取り出した。「これだ。」
ナリク:「ガレン、確かか!」
「ああ、ドンピシャリだよ。文字のパターンが船にあるのと全く同じだ。」
データ:「ライカー副長、どうなるかおわかりですか。…暴行、窃盗、海賊行為、反逆罪に問われますよ?」
ライカー:「そうか。じゃもう一つくらい増えても同じだな。」
ピカードに銃を向ける。避けるピカード。
反対にライカーが撃たれた。
叫ぶトロイ。脈を取る。
ピカード:「…死んだか。」
トロイ:「…ええ。」
「よーし。…全員転送しろ。」 ピカードは傭兵と共に転送された。
コミュニケーターに触れるデータ。「緊急事態だ。救急医療チーム、今すぐ観察ラウンジへ。データよりブリッジへ。防御スクリーンオン、それから直ちに傭兵船を捜索せよ。」
ジュスティ:『了解。』
ライカーが声を上げた。
トロイ:「心配ないわ。ただのショックよ。」
データ:「そうですか。私も今の光景は、かなりショックでした。」
ライカーは起き上がり、微笑んだ。「話せば長い話でね。」

命じるバラン。「コースセット、310。マーク、215。…ワープ6。あったか。」
ブリッジに入り、部品を投げ渡すピカード。「もう一つくれてやるものがある。」 バランを殴り飛ばした。「何があったか言ってやれ。」
ナリク:「ライカーが裏切った。戻る直前ガレンを撃とうとしやがった。」
「全員死ぬとこだった。奴がお前の命令で動いていたことは間違いない。ここまでやるとはな。…だが丁度いい。なあみんな、そろそろリーダーの首をすげ替える時期だ。このままじゃ約束の金がもらえるか、怪しいもんだからな。」
バラン:「なるほど。誰が適任だと思う。…お前か。こいつは機会をうかがっていたんだ。ことあるごとに反抗したな。命令に逆らい我々の命を、危険にさらした。」
「よく言えたもんだ。デカい山を踏んでビクついてる奴の言うことなど聞けるか! …お前たちもここらで腹をくくれ! …俺につく者は?」
ナリク、タパール、ヴェコールをはじめ、全員ピカードの後ろに立った。
バラン:「フン。」
ピカード:「貴様は終わりだ。」
バランはコントロール装置を見せた。「とんでもない。これを持っている限り、艦長は私だ。」
ピカード:「全員殺そうってのか? お前一人になったらこの船を動かすことすらできんぞ?」
「全員殺しはしない。お前だけだ。」


※19: Klingon bloodwine
初登場

※20: 後ろにあるシャトルには、「ジャストマン (Justman)」という名前が書かれています。TNG第148話 "Suspicions" 「新亜空間テクノロジー 超フェイズシールド」より

ピカードが見つめる前で、バランはコントロール装置に手を触れた。
だが首の神経サーボで苦しみ始めたのは、バラン自身だった。絶命する。
タパール:「どうなってるの?」
ピカード:「…シグナルを逆にしておいた。こいつは俺を毛嫌いしていたからな、やっぱり正解だった。」
遺物を手にするタパール。「バランは必要ないわ。…仕事を片づけなきゃ。それにはリーダーがいるわ?」
ピカードは銃を使い、床に転がったコントロール装置を蒸発させた。「神経インプラントは使わない。全員自分のやるべきことをやるんだ、そうすれば金は手に入る。」
タパール:「片づけて。」
ヴェコール:「ナリク?」
ピカード:「コースとスピードは、今のまま維持だ。俺は早速、ブツの届け先を調べるとしよう。」
「了解、艦長。」
ピカードは微笑んだ。

通常航行中のエンタープライズ。
作戦室に通信が入る。『ウォーフよりライカー副長。ヴァルカン保安省の、サトク大臣から機密チャンネルで通信が入っています。』
ライカー:「つないでくれ。」
コンソールに映るヴァルカン人。『やあ、ライカー君。どういった用件かな?』
ライカー:「サトク大臣※21。トーガン星系※22の星々で略奪行為を行っていた傭兵船が、現在ヴァルカンへ向かっていると思われます。」
サトク:『何の話かな?』
「すいません、途中を端折りすぎましたね。…あなた方の秘密工作員が乗り込んでいる、傭兵船のことです。プシー粒子共鳴器の調査をしてらっしゃるのは、存じ上げてます。手違いで撃墜しないよう、事前にお知らせしておこうと思いまして。」
『ライカー君、これは緊急事態だ。…我々は工作員など、送り込んではいない。』
ため息をつくライカー。

コンピューター※23に文章が表示されている。
ピカード:「バランの日誌によれば、ゴルの石の引き渡し場所はヴァルカン星のタカラス神殿※24となってる。」
タパールと名乗っていたタレラ。「そこなら知ってるわ? 最後の内戦の時にある派閥が地下の要塞として使ってたの。何百年も放置されたままよ。」
ピカード:「ガレンよりブリッジへ。ヴァルカン星へ向かえ。」
ヴェコール:『了解。』
「…タパール、君の知恵を貸してもらえんかな。ここに書かれている文字のほとんどは解読することができたんだ。簡単に言えば…この共鳴器と対峙する者への死と破滅の警告だ。だが…どうしてもよくわからない部分がある。実は、ここの…先の部分なんだがね? 例えばだ、こっちの絵文字はヴァルカンの戦争の神でこっちは死の神※25だ。しかし、気をつけてみるとここに 3つめの絵文字があったことがわかる。これは明らかに盗まれた破片に、描かれているんだろう。…だがそこで奇妙なのが、死と戦争の神というのは通常いつもこの対でセットになっていて、ほかに何か加わるということはないんだよ。」
タレラ:「不思議ね※26。だけど考古学には造詣がないの。」
「ぜひ最後のパーツを見てみたいもんだな。ヴァルカン神話の謎を解く重要な鍵になるかもしれん。」
「ヴァルカン星に着いたら、これをまず安全な場所に保管しておいて、それから神殿へ向かうわ? 私一人で十分よ。その方が過激派の連中に警戒されずに済むし。」 共鳴器を手にするタレラ。
「だが、ヴァルカンの軌道に入るのは何の問題もない。エンタープライズからヴァルカン当局に連絡しておくようライカーに命じておいた。我々が行くことは知らせてある。」
「…なぜ、そんなことを?」
「何、念には念というだけのことだよ。誰かが、本当の略奪者だと思わないとも限らんからな。」
「ないとは言えないわね、賢明だわ。」
「…エンタープライズに連絡すべきかもしれんな。彼らもヴァルカンへ呼んでおこう。過激派が逃亡を図ったときの用心のためだ。」
「申し出はとてもありがたいけど、我々の部隊だけで処理できるわ。」
「ああ、そうだな。だが…どういうものかな。独りで行くというのは。…彼らはバランが現れるものと思ってることだし、私も一緒に行った方がもっともらしい口実をつけやすいかも…」
「艦長。結末を見届けたいという人間的な好奇心はとてもよくわかるわ? でもこれはヴァルカンの問題なの。」
ピカードは微笑んだ。「…そうだな。」
タレラ:「それじゃ。」 バランの部屋を出て行く。

傭兵船は赤い惑星に近づく。
ヴェコール:「ヴァルカンの軌道に突入。」
ピカード:「…タレラ、計画を変更することにした。石は一つだけ持って、片方は置いていけ。…もらうものをもらってから残りを渡すことにする。」
タレラ:「向こうは納得しないわ?」
「それは百も承知だ。…だがその方が何かと安心だからな。」
「両方持っていかないと彼らも報酬は出さないわ?」
「喉から手が出るほど欲しがってる、出し渋りはしない。一つはここへ置いて、さっさと行ってこい。」
「何か怪しいと思ってたのよ。ナビゲーションコンピューターを調べて? ファイル名は 137 スラッシュ・オメガよ? エンタープライズに密かにメッセージが送られてるはずだわ? こっち側のフライトプランも含めてね?」
ヴェコール:「ほんとだ。」
「それを送ったのはガレンよ。彼は宇宙艦隊の士官なの。」
ピカード:「ああその通りだ。だが知ってるか? タレラが持っていくその発掘品は、恐ろしく強力な兵器の一部だ。…そしてお前たちに金など入りはしない。…タレラがそれを持って地表へ降り、帰りを待つ間に艦隊に捕まるだけだ。」
ヴェコール:「あんたの狙いなんか知ったことじゃないよ。そいつを自分のものにしようとどこかの誰かに売りつけようとどっちだって構やしないさ。私は金が欲しいんだ。そこで折衷案といこう。…ナリクと私がついてって金がもらえるかどうか確認させてもらうよ?」
ナリク:「その後は、好きなところへ失せな。」
タレラ:「いいわ? 彼も連れてきましょ。艦隊が来たとき人質にできるわ。…来なけりゃ、殺せばいいことよ。」

地下に転送された 4人。
タレラ:「あれよ、約束の報酬。」
箱を調べるヴェコール。タレラは置いてあったもう一つの遺物を手に取っている。
ナリク:「全額あるか。」
ヴェコール:「これじゃ約束の半分にもならない。…残りはどこにある?」
タレラ:「そこにあるだけしかないわ。それだけ持って帰るのね。」 ゴルの石を組み立てる。
ナリク:「遥々来てこのまま引き下がれるか。いま全額よこせ。」
タレラ:「ああ…愚かね。黙って帰ればいいものを。」 ゴルの石を向ける。
ナリクの前にエネルギーフィールドが現れた。それは身体に当たり、何メートルも吹き飛ばされた。
次はヴェコールに向けられる。息をつくヴェコール。
ヴェコールも死んだ。
そしてピカードにゴルの石を向けるタレラ。ピカードはヴェコールが落とした銃※27を見る。
タレラ:「どうぞ、艦長。…フェイザーを拾いなさい? どうなるか見物 (みもの) よ?」
ピカード:「逃げられはしないぞ。連邦創設に貢献したこの星が引き裂かれるのを艦隊が見過ごすと思うか。」
「あなたって人はゴルの石のことがまるでわかってない。今までの敵はあなたと同じだったわ。…船に乗っていて、シールドを張り、エネルギー兵器をもちワープで飛ぶの。でもこれは、今までのどの兵器とも全く違うわ。思念がパワーになるのよ。そこのフェイザーを拾いなさい。」
そこへ、ライカーやウォーフたちエンタープライズのクルーが転送されてきた。
ゴルの石を向けるタレラ。
ピカード:「みんな言うとおりにしろ。…武器を捨てるんだ、早く!」
少し戸惑ったが、言われたとおりにフェイザーを投げ捨てる一同。
ピカード:「よく聞け、敵対心を捨てるんだ。…共鳴器は、暴力的な思考や感情を増幅させる。だからフェイザーを拾わせようとしたんだ。…そしてナリクとヴェコールは死んだ。だが私にはわかる。3番目のパーツの意味がな? それはヴァルカンの平和のシンボルだ※28。死と戦争の絵文字の間に割って入っている。それが教えだ。安らかな心が、ゴルの石を打ち負かす。」
タレラ:「バカな妄想だったと後悔することになるわ。」 ゴルの石を向ける。
「怒りや敵意を全て捨てろ。」
ライカーの前にエネルギーが発生する。震えるタレラ。
フィールドはライカーを通過し、そのまま消え去った。
タレラ:「バカな!」 息をつく。
ピカード:「2,000年前君たちの祖先たちは、絶え間ない戦火に疲れ果てていた。人々は平和を欲し、共鳴器はもう用をなさなくなった。だからこそ壊されたんだ。」
今度はウォーフに対してゴルの石を使うタレラ。ひざまづく。
フィールドはまたも何の効果もなく消え去った。
拳を握るタレラ。
ピカード:「君の言うとおりだった。共鳴器に対抗できるのはフェイザーやシールドじゃない。…平和を求める心だけだ。」※29
それでもタレラはゴルの石をピカードに向けるが、やはり意味はなかった。
石を手にするピカード。

エンタープライズ。
『航星日誌、宇宙暦 47169.2。保安省のサトク大臣にタレラを引き渡した。ほかの過激派メンバーの捜査も始まったようだ。』
ヴァルカンを離れる。
ライカー:「艦長が船にはいらっしゃらないのを感知したので、例の神経インプラントの信号をスキャンしてあの洞窟の中だとわかったんですよ。」
データ:「共鳴器はどうなるんです?」
ポケットに手を突っ込んだまま歩くピカード。「サトクは今度こそ完全に、破壊すると言っていたよ。」
データ:「研究できないのは残念ですね。あの共鳴器は銀河の歴史上非常に重要です。」
「普通なら私もそう言うところだなあ? だが、歴史に埋もれた方がいいものもある。」
ライカー:「傭兵たちの処分は。」
「当面はヴァルカン当局に拘留されるはずだ。だが彼らはあちこちから訴えられていてね。」 あくびするピカード。「クリンゴンにカーデシア、フェレンギ、そのほか 7つの星からだ。しばらくは自由になれまい。ウィル、第227宇宙基地へ向かってくれ。あとでブリッジへ行く。」
「記録では、艦長は亡くなってます。命令はできませんよ。」
データ:「…記録のことをおっしゃるなら宇宙艦隊の規則に正確に従った場合、副長は反逆者となります。加えて、12 の法規違反で軍法会議にかけなければなりません。…あなたも命令はできません。」
ピカード:「当然だな。私は死んでいるということだから、部屋で一眠りしよう。データ少佐、ライカー副長は営倉にお連れすべきだな?」
「了解。」
自室に入るピカード。
ライカーは笑い、廊下を歩いていこうとした。
だがデータが腕をつかんだ。「こちらです。」
ライカー:「…さっきのはジョークさ。…おいわかってるんだろ? データ!」
ワープ航行を続けるエンタープライズ。


※21: サトク保安大臣 Secutiry Minister Satok
(マーティン・ゴスリンズ Martin Goslins) 声はラフォージ役の星野さんが兼任。LD ではほかに星野さんの担当として「スバーン」なるキャラクターが掲載されており、格闘家のダン・スバーンから (勝手に) 名づけたものと思われますが、どのセリフを指しているのかは不明

※22: Taugan system
エンサイクロペディアでは「トーガン星域 (Taugan sector)」になっています

※23: TNG第136・137話 "Chain of Command" 「戦闘種族カーデシア星人」で使われた、ガル・マドレッドのカーデシア・コンピューターの再利用

※24: T'Karath Sanctuary

※25: 当初は髪がない姿でしたが、ピカードが連想されるのを避けるために変更されました

※26: "Fascinating."

※27: TNG "The Most Toys" で使われた、ヴァロン・T ディスラプターの使い回し

※28: 映像でははっきり出ていませんが、設定上はヴァルカンの IDIC シンボルだそうです。TOS第62話 "Is There in Truth No Beauty?" 「美と真実」より

※29: ここでタレラが腕につけているエンブレムは、TNG第59話 "The Hunted" 「恐怖の人間兵器」で使われた、アンゴジア人のエンブレムの使い回し

・感想など
ムーアが脚色を担当した完結編。昔のロミュランとくればヴァルカンが関係するのは当然で、ファンも納得の設定ですね。とはいえ 2,000年前の共鳴器が正常に動き、その頃からヴァルカン/ロミュランは恒星間をまたにかけ、既に滅んだ派生種族まで残している…。歴史の浅い国のドラマならではというか、何というか。ストーリーとしては緊迫していますが、「史上最も背の高いクリンゴン人」の下りなど、息抜きもしっかりできてます。ロビン・カーティスはやっぱりヴァルカン人の役だったんですね。
前後編恒例の人気順位のネタバラしですが、今回は後編から 30位ほど下がって前編という位置づけになっています。原題の「ガンビット」は作戦・策略という意味。完全な余談ですが、最近発売された有名ゲームの新作で重要なシステムとして登場していますね。


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