ヴォイジャー 特別エピソードガイド
第87話「史上最大の殺戮ゲーム」(後)
The Killing Game, Part II
イントロダクション
※1ホロデッキ内に大きく開いた穴。そこに向かって、軍が進攻していく。「こっちだ! 早く!」 ヴォイジャーの通路を歩いていたジェインウェイとセブンは、兵に狙われる。しかしすぐに撃ち返し、2人の兵士は倒れた。ジェインウェイはセブンに言う。「ヒロージェンも大忙しね。そこら中にホロエミッターが取り付けてある。天体測定ラボへ行きましょう。」 爆音が響く。 走る 2人。 天体測定ラボにも兵士がいて、コンピューターを何とか操作しようとしている。ジェインウェイたちが入り、兵士は銃を取ろうとするが、その前に殴り倒された。 状況を確認するセブン。「ヒロージェンは 85名、第2デッキから第9デッキだ。」 「ブリッジはどう?」 「ヒロージェン 4名、それにキム少尉だ。」 「彼は生きてるのね。神経接続器のコントロールは、医療室よね。」 「ああ。ドクターがいる。ヒロージェンは 1名。外の廊下に見張りが大勢いる。」 「まず接続器を切らないと。でも助けがいる。」 「第二次大戦のシミュレーションに仲間がいる。フランスのレジスタンスだ。」 「私たちこそ、レジスタンスよ。」 ホログラムの銃を持つジェインウェイ。2人はラボを後にした。 |
※1: このエピソードは前編と合わせて、1998年度エミー賞 ヘアスタイリング賞にノミネートされました |
本編
アルファ・ヒロージェンに説明するキム。「戦闘はここに集中してる。ホロデッキ1 だ。でも第5デッキと第6デッキにも広がってて、ホロデッキのアメリカ軍が第7デッキへ進攻してるらしい。」 「ホログリッドの損傷を見せろ。」 モニターに映っていたホロデッキの映像が消えた。「ヴィジュアルリンクが切れた。ブリッジとホロデッキをつなぐ最後の回路だったのに。止める方法は一つだ。機関室へ行く。ホロエミッター・ネットワークに電圧をかけてやれば、システム全体が壊れる。」 「だめだ。ホロデッキも破壊してしまう。」 「いいか。たとえシミュレーションでも、この戦争が続くなら全員死ぬんだぞ!」 「ホロデッキのシステムは残さねばならんのだ。」 ヒロージェン・ナチス親衛隊士官がやってきた。「司令官。」 「報告しろ。」 「第5デッキまでは行けましたが、損傷部付近にホログラムの連合軍がいて、ホロデッキに入るなら人数が必要です。」 「ホロデッキ2 のハンターを連れて行け。」 「ジェインウェイ艦長を発見したら、殺してよろしいですか。」 「だめだ。ここへ連れてこい。」 「もうゲームではありません。本当の狩りだ。獲物は殺しましょう。」 「ヴォイジャーのクルーを残して、後で修理をさせねば、これまでの全てが水の泡になる。この船も、テクノロジーも。何のためにこの船を乗っ取ったかは、わかっているはずだな。」 「ハンターたちを連れて行きます。」 銃声が響く、レジスタンスの本部。アメリカ軍とレジスタンスが話し合っている。 チャコティ:「あれは恐らく占領の後にナチスが作った秘密基地だろう。だがどうやって今までカモフラージュしていたかがわからない。」 トゥヴォック:「そうですね。占領以来、ドイツ軍の動きは詳細に追っていますが、あの建物は知りませんでした。」 パリス:「無理ないよ。俺たちの偵察隊も見落としてた。あそこに何を隠してるのか。」 チャコティ:「とにかく高度な機械や見慣れない金属があって、我々にはわからなかった。軍の情報部には報告しておいたが、恐らく最新鋭の武器の研究所だろうといってた。強力な武器を開発中らしい。」 「なら、すぐ潰しましょう。」 「すぐ 3分隊を送ったが、ナチスは総力で抵抗してきた。更に援軍を要請してる。中尉、今後このレストランを司令所にする。通信機を設置して、周囲に歩哨を立ててくれ。」 「了解。」 とりかかるパリス。 「君らはよくやった。ここからは任せろ。後は身を潜めててくれ。アメリカ軍から礼を言うよ。」 トレスは言う。「私たちの街よ! 身を潜めるなんて御免だわ。」 「レジスタンスの地下活動でどうにかなる段階じゃない。これは戦争だ。君らは兵士じゃない。」 トゥヴォック:「その通りだ。町中に武器が隠してある。ブリジットから場所を聞いてくれ。」 「それは助かる。中尉、お前に任せる。」 トレスのところにパリスがやってきた。「君は相変わらずだな。」 「地図をこっちへ持ってきて。」 パリスは地図をもって、テーブルに広げる。 トレス:「銃はほとんどドイツ軍から盗んだの。爆弾は闇ルートで買ったものよ。」 「どっちも役に立つ。」 「一番大きい貯蔵場所はここ。ミステール劇場※2。最後部の座席の地下よ。あそこ覚えてる?」 笑うパリス。「メイ・ウェスト※3の『妾は天使ぢゃない』。かなり戦闘の激しい区域だ。どうすれば入りこめる?」 「直接つながるトンネルが掘ってあるわ。教えてあげる。それから、観たのは『明日なき抱擁』よ。」 「メイ・ウェストだって。間違いない。歌ってた。そしてその時、君の肩に腕を回した。それから法廷のシーンで、キスした。」 「そういえばそうだわ。」 「どうやら思い出としては相当印象が薄かったらしい。」 「映画はね。でもキスは覚えてる。」 パリスは椅子を持ってきて、そこに座った。「俺の、最後の手紙読んだ?」 「一緒にアメリカに行こうって手紙?」 「ドイツ軍がそこまで迫ってた。アメリカへ来れば安全だと思ったんだ、俺と。でも、君はほかの男を見つけたわけだ。」 「ほかの男なんていないわ。」 「じゃあ…」 「サンクレール※4占領軍のナンバー2 の男に、初めて会った時綺麗だっていわれた。だから彼を利用したの。私がレジスタンスだとは知らない。彼の子供よ。」 「残念だ。」 「私も。」 カウンターの下から音がした。チャコティたち 4人は、一斉にそこに向けて銃を構える。 扉が開き、出て来たのはジェインウェイだった。ジェフリーチューブから出て来ている。「銃を下ろして。」 トゥヴォック:「カトリーヌ、生きていたのか。」 セブンも続いて出てくる。 ジェインウェイ:「驚かせた?」 「ああ、ナチスの本部は爆破された。あなたも一緒に吹き飛んだのかと。」 トレス:「それは何? 脱出用のトンネル?」 セブン:「…ああ、その通りだ。」 チャコティ:「ここのレジスタンスのリーダーか。」 ジェインウェイ:「そうよ。」 「第5機甲部隊ミラー大尉、彼はデイヴィス※5中尉だ。我々が発見したドイツの施設を見たか?」 「そこから来たのよ。」 「新兵器の研究所とみてるが、間違いないか。」 「ええ、研究所よ。」 「決まりだ。空爆を要請しよう。イギリス空軍※6を呼べ。」 「待って、大尉。もっと簡単な方法があるの。被害も最小限で済む。」 「聞こうか。」 「あの施設全体の動力源を発見したの。見張りは多いけど手伝ってくれれば、近づいて爆弾を仕掛けられる。」 「ドイツ軍が兵力を増やす前に、建物ごと空爆するのが一番だ。」 「あそこの兵器の破壊力は想像もつかないほどよ。弾頭がたくさんあって、誤って爆発させたらこの谷全体が吹っ飛ぶ。空爆なんてしたら、あなたも木っ端微塵よ。」 「どうやって近づくんだ。」 「このトンネルよ。あそこをずっと見張ってた。内部に仲間がいるの。」 パリス:「ドイツ野郎※7がウジャウジャいるぞ。」 地図で説明するジェインウェイ。「だから助けて欲しいの。あなたの部下がこの 2つの通路を制圧してくれれば、中に入れる。部下を貸して。あとは私がやる。」 チャコティ:「C中隊の現状は。」 パリス:「180メートルほど向こうで、待機してますが。」 「すぐに呼び出せ。案内してくれ。俺も一緒に行く。」 ジェインウェイ:「独りの方がいいわ。」 「だめだ。これは命令だ。」 「命令? 私はあなたの部下じゃないの。独りで行く。」 「助けがいるんだろ? 案内は任せた。」 パリスは通信を行っている。「C中隊か。デイヴィス中尉だ。サンクレールのレストランに、司令所を開いた。ああ。すぐにここへ来てくれ…」 2人だけになり、セブンに話すジェインウェイ。 「神経接続器を断ち切ったとしても、戦いは続くわ。こんな骨董品じゃなく、もっと使える武器がいるわね。」 「ボーグのテクノロジーでこの武器をパワーアップできる。第2貨物室で工具を取ってくる。」 「もし失敗して私が死んだら、ほんとのことを知ってるのはあなただけなのよ。」 「わかっている。」 銃を持ったトゥヴォックが、セブンとの話を終えたジェインウェイに尋ねる。「疑いは完全に晴れたんですか。」 「疑いって?」 「ナチスの協力者では。」 「彼女は信用できるわ。」 「確かですか。3時間前、あなたは彼女に銃を向けたんですよ。」 「彼女は味方よ。」 「あなたの留守に、そうかどうか決断を迫られることがあるかもしれない。」 「そうする必要はないわ。彼女を傷つけることは許しません。」 銃声が大きくなり、レストランのガラスが割れた。隠れるレジスタンスたち。トゥヴォックが叫ぶ。「ドイツ軍が進軍してきました!」 チャコティ:「ここは任せたぞ。マドモアゼル、どうぞ。」 ジェフリーチューブに入る。 |
※2: Cinema Mystere ※3: メエ・ウェスト Mae West (1892〜1980) エンターテイナー。「夜毎来る女」(1932)、「マイラ」(1970) などに出演。「妾は天使ぢゃない」は 1933年、原題 "I'm No Angel"。また「明日なき抱擁」は 1934年、フレデリック・マーチ、イヴリン・ヴィナブルほか出演、原題 "Death Takes a Holiday"、1998年に「ジョー・ブラックをよろしく」でリメイク。なお吹き替えでは、それぞれ「アイム・ノー・エンジェル」 「デス・テイクス・ア・ホリデー」と、原題そのまんまで訳されています ※4: Sainte Claire 前編では「サンタクレア」と訳されていたのに、なぜか変わっています ※5: ボビー・デイヴィス Bobby Davis ※6: RAF Royal Air Force の略 ※7: Kraut |
治療を行うドクター。「動脈破裂、13番椎骨骨折、すぐ手術だ。」 ヒロージェンの患者が医療室に入る。診断するヒロージェン医師。「顔と首に第1級、第2級の火傷。治療しろ。」 ドクターは従わない。「軽傷じゃないですか。後でいい。」 「治療しろと言ったんだ。」 「こっちの患者は重傷だ。すぐ手術しないと死んでしまいます。」 「すぐ治療しないなら、お前のプログラムを停止するぞ。」 「君も医者の端くれだろ。より危険な患者を優先的に治療するのが基本だ。」 「そんなことは、関係ない。」 ヒロージェン医師がコンピューターを操作し、ドクターの姿が消えた。「今後、傷ついた獲物はその場に放っておけ。仲間だけを治療する。」 うなずくヒロージェン。 ホロデッキ2 でクリンゴンとなったニーリックスは笑っていた。他のクリンゴンと、焚き火を囲んで酒を飲んでいる。「俺は素面だ。まだまだ飲めるぞ、ざるだからな。ターパクのクレーターと同じだ。何でも吸い込む。」 大きく笑うニーリックス。 ニーリックスはクリンゴン人の酒を取ろうとする。「まだ飲んでる」というクリンゴン※8。 「仲間と分け合うもんだ。明日は戦いだぞ!」 渡そうとしないクリンゴン人。ニーリックスはナイフを取り出した。「俺は酔っちゃいるがな、お前をあの世へ送るぐらい朝飯前だ。死体をここで腐るに任せてやる。それとももう腐ってるのか? 臭うぞ。」 笑うニーリックス。酔ったクリンゴンは、その場に倒れた。それを見てまた笑うニーリックス。 廊下を慎重に歩くキム。だが前にナチス兵がいた。銃声がし、倒れたのはその兵士だった。後ろを振り向くキム。「トム!」 部下の兵と共にいるパリス。「人違いだ。言葉わかるのか?」 手を挙げるキム。「ああ。アメリカ人だ。」 「アメリカ人?!」 「うん。敵に気づかなかった。命の恩人だ。」 「軍服はどうした。どの中隊の所属だ。」 「いや…その…民間人なんだ。」 「フランスの戦闘地帯でか。ふざけるなよ。」 近くで銃声が響く。パリスは部下に命じる。「行け。すぐに追いつく。」 走っていく兵士。 パリスはキムに近づく。「おい、ここで問い詰めてる暇はない。アメリカ人だと言ったな。いいだろう。もしベティ・グレイブル※9がいきなり現れたら、彼女のどこを見る?」 悩むキム。 「残念。時間切れだ。」 ピストルを構えるパリス。 キムは言った。「足だ! 足に決まってるだろ。」 驚いた表情をするパリス。「ご名答。見逃してやる。」 パリスは歩いて行った。ため息をつくキム。 ジェフリーチューブを進むジェインウェイに言うチャコティ。「あんたも男勝りだな。」 「あら、気に入らない?」 「いや、あまり慣れてないってだけだ。俺の国の女は、ちょっと違う。」 「仲間たちの命が懸かってるのよ。だから自然となるみたいね、男勝りに。」 「別にいいさ。俺も部下のためなら必死になる。」 ジェインウェイはボタンを操作する。 チャコティ:「それどころか毎日考えてるねえ。あいつらを無事に家に帰す。俺の命に賭けても。」 「よくわかるわ。これから、街の下を通ってる洞窟に入るわ。」 「洞窟?」 「そこで内通者と会えるの。言っとくけど、この洞窟にはちょっと変わった連中が住んでるの。でも心配ない。」 さらにジェフリーチューブを進む。 ニーリックスたちは、大声でクリンゴン語の歌を唄っている。 洞窟から、ジェインウェイとチャコティがやって来た。「お邪魔するわよ」と声をかけるジェインウェイ。 バトラフを手にするクリンゴンたち。ニーリックスは言う。「何もんだ! どうやって戦場の前線を越えた!」 「同盟軍なの。味方よ。」 「何族のものだ。」 「何族? トマグ族よ。」 「トマグ族だとお? 聞いたこともないな。」 「でしょうね。ここから遠いから。」 「ならこの戦いも関係ないだろう。」 「まあね。でも、偉大な戦士たちと戦うのは名誉なことだわ。気が進まないなら、武器は持ちかえるけど。」 「待て! 考えてやらんこともない。だがまず、根性を見せてもらおう。飲め!」 ニーリックスは持っていた酒をチャコティに投げ、そしてクリンゴン語で叫んだ。「サンロー、タポタ、ジャー!」 チャコティ:「フランス語はこんなだったか?」 ジェインウェイ:「飲んじゃだめ。ウィスキーの倍強いから。すぐ戻るわ。」 洞窟に戻るジェインウェイ。 笑うニーリックス。 洞窟の壁を探るジェインウェイ。ニーリックスの声が聞こえる。「どうした! 何をしているんだ。飲め! サンロー、タポタ、ジャー! 早く飲め! どうした、このいくじなしめ。」 壁にコンピューターのパネルが現れた。操作すると、ドクターが転送された。「艦長! 本当に、艦長で?」 うなずくジェインウェイ。「ええ。残りの接続器を断ち切らないと。」 「医療室のコンソールからコントロールしてるんです。解除には時間がかかります。」 「時間はない。医療室床下のジェフリーチューブに爆弾を仕掛けて、コンソールごと爆破するしかないわね。」 「爆破? 武器庫はヒロージェンが押さえています。」 ジェインウェイは荷物を見せた。「大丈夫よ。必要な物は持ってきたから。」 「ホログラムの爆薬を?」 「生命保護機能がオフだから、本物と同じに使えるわ。」 「ふむ。」 2人はニーリックスたちのところに戻る。ドクターに気づくニーリックス。「おお? そいつも戦士なのか?」 ジェインウェイ:「ええ。」 「ヘヘ、随分と生っちろい奴だな。」 「コンソールを破壊したらまたあなたを呼ぶから、それまでここにいて。」 ドクター:「クリンゴンと?」 「ここの方が、サンクレールよりは静かよ。大尉!」 チャコティは酒をクリンゴン人に返し、ジェインウェイと共に出て行った。 ドクターの背中を小突き、笑うニーリックス。何も言わないドクターを、もう一度叩いた。「やめてもらえないかな」というドクター。また笑うニーリックス。 ドイツ軍に応戦するトゥヴォック、トレス、パリスの 3人。 パリス:「多勢に無勢だな。」 トレス:「武器も足りないわ。奴ら通りの向こうにマシンガン※10を据え付けてる。」 ジェフリーチューブからセブンが戻って来た。工具を持っている。やってきたトゥヴォックが「どこにいた?」と尋ねる。 「物資を取りにな。」 調整を始めるセブン。 「何だ、それは。」 「ドイツ軍の武器だ。研究所から盗ってきた。これで我々の武器を強化できる。」 トゥヴォックはドイツ軍との戦闘に戻る。 壁に隠れるヒロージェン・ナチス士官と大尉。ヒロージェンは通信を行う。「ヴォイジャーのクルーを何名か追いつめましたが、ビルに立てこもっています。ニュークレオニック爆弾※11でビルを破壊して構いませんか。」 ブリッジのアルファ・ヒロージェン。「ニュークレオニックではホロデッキまで破壊されてしまう。銃で攻撃しろ。」 「ではもっとハンターがいります。」 『今そちらへ送る。』 時計付きの爆弾を準備するチャコティ。 ジェインウェイはパネルを操作している。「そうよ! コンソール周辺にはレベル9 のフォースフィールドがある。それを解除しないと。」 「フォースフィールド?」 「後で説明する。爆発は 5分後にセットして。」 時計がセットされ、カウントダウンが始まった。 医療室から報告するヒロージェン医師。「1時間で 5人のハンターが死にました。生命保護装置をセットした方がいいのでは。」 モニターにアルファ・ヒロージェンが映っている。『保護装置は機能しない。』 「では助手をよこして下さい。」 物音がした。「お待ちを。」 通信を終える。 「お前は…。」 そこには、ジェインウェイとチャコティが武器を構えて立っていた。 ジェインウェイ:「彼を連れ出して。」 チャコティ:「この床下にダイナマイト※12がある。3分後に爆発するぞ。こっちへ来い。」 2人が出ていったのを見て、ジェインウェイはコンソールを操作する。「医療室保安フィールド/認証アクセスのみ」と表示されている。 ブリッジのアルファ・ヒロージェン。「ブリッジより医療室。医療室、応答を。ブリッジより第5デッキ。すぐに医療室へ向かえ。」 操作を続けるジェインウェイ。「医療室保安フィールド解除」※13という表示になった。 チャコティに銃を向けられたままのヒロージェン医師。後方からやってきたヒロージェンたちに発砲するチャコティ。医師は、その隙を突いてチャコティから逃げる。 医療室に戻るヒロージェン医師。ジェインウェイは気づいて銃を取ろうとするが、その前に足を撃たれてしまった。反対側のドアから逃げ出す。医師はコンソールに近づき操作するも、「アクセス拒否」と表示された。うろたえるヒロージェン。 時限爆弾のカウントがゼロになった。爆発が起こり、隔壁をも吹き飛ばす。 痛みに首元を押さえるパリスたち。その様子に気づいたセブンは説明する。「ここはホロデッキだ。攻撃されてる。」 だがすぐにレストランの入口から、ナチ大尉たちが次々と入って来た。ヒロージェンもいる。セブンは構えていたピストルを下ろした。 |
※8: (Peter Hendrixson) 声:北川勝博 ※9: Betty Grable (1916〜1973) エンターテイナー。「フーピー」(1930)、「私の夫(ハズ)は二人いる」(1954) などに出演。参考:Betty Grable - The Original Pin Up ※10: machine gun ※11: nucleonic charge ※12: dynamite ※13: 前編とは違い、このあたりのモニター表示には字幕が入っていません。その代わりに、ここではジェインウェイが「フィールド解除!」、その後のシーンではヒロージェン医師が「アクセス拒否」という吹き替えだけが入っています |
パリスたちは床に座らされ、ヒロージェンが常に銃を向けている。報告するヒロージェン・ナチス士官。「ブリッジへ、こちらホロデッキ1。ビルを確保しました。それにホロデッキへの侵入経路も発見しました。」 『ふさげ。捕虜は何人だ?』 「4人です。神経接続器は、解除されていました。獲物を殺します。」 『だめだ。獲物ではない、彼らは捕虜だ。必要になる。』 「わかりました。おい、ハッチの封鎖を手伝え。」 とりかかるヒロージェンたち。 パリスは話し始める。「なあ、どう思う? 男の子かな。」 セブン:「それはホログラム映像だ。」 トレス:「嫌になるぐらいリアルなね。20キロは重い感じよ。おまけに蹴るし。」 トゥヴォック:「これは何のプログラムなんだ?」 パリス:「見ろよ。あれはナチスの制服だ。地球の第二次大戦なんだよ。」 セブン:「ナチス?」 「世界征服を目論んだイカレた全体主義者だよ。当時のボーグだな。あ、いやごめん。」 「別に構わない。」 咳払いをし、ナチ大尉が近づく。 トレス:「何か用なの?」 大尉:「立て。」 大尉の前に立つトレス。 大尉:「私をだましたな。」 トレス:「そう?」 「色仕掛けに気づくべきだった。」 「そうなんでしょうね。」 「私の子を宿していると思うと、へどが出る。」 「それはこっちもよ。」 大尉はトレスを殴った。かばうパリス。「おい! 君ら 2人に何があったか知らないが、もう終わったんだよ。」 大尉:「新しい男か。お前もこの女にたぶらかされたか。あの夜の私のように。」 「ブタめ!」 大尉は銃を向けた。 ヒロージェンは言う。「武器を下ろすんだ。下ろせ。」 大尉は銃を直し、その場を離れた。 パリスはトレスに言う。「まるで君のタイプじゃないな。」 意識を取り戻しているニーリックス。コンソールを操作しているドクターに近づく。「ドクター、まずい。」 「どうした?」 「うたたねしてたクリンゴンが目を覚ました。」 「わかったわかった。待て。」 「何してんの?」 「ホロデッキ1 につないだんだ。助けがいるかもしれない。向こうの様子を見ようと思って。」 「カプラー!」 クリンゴン人が目を覚ました。 ニーリックス:「あちゃー。どうすりゃいい?」 ドクター:「クリンゴンの二日酔いの薬はないよ。」 ニーリックスのところへやってくるクリンゴン人たち。「いよいよ戦いだ。俺たちの計画では敵陣を突破し、軍勢を分断する。」 ニーリックス:「いやあ、そりゃいい計画だな。がんばってくれよー。」 クリンゴンはバトラフを投げ渡した。「お前が、俺たちの先頭に立つんだ。」 「いや、俺はここから見てるよ。遠くから見てた方がアドバイスもしやすい。」 ナイフを取り出すクリンゴン。「トーカー! 先頭に立つか、今ここで死ぬかだ。」 ドクター:「聞こえたろ。 Run along. I'll reattach any severed limbs, just don't misplace them."クリンゴン:「お前! 側面を守れ。」 ナイフを受け取るドクター。 歩いて行くクリンゴン人。「カプラー!」 2人も続く。 ニーリックス:「カプラー…。」 ドクター:「ホアホア。」 作戦室のアルファ・ヒロージェン。ドアチャイムが鳴る。「入れ。」 ヒロージェンと共にジェインウェイが入る。 「ご苦労。」 出て行く部下。 ジェインウェイ:「かなり模様替えしたようね。」 「船を取り戻そうというお前の努力は、見上げたものだ。ヴォイジャー制圧の日から決してあきらめようとしない。だがそれももう終わりだ。このシミュレーションを停止して、ホロデッキを修理するのを手伝うんだ。」 「ごめんだわ。あなたたちの手に渡すくらいなら、船を爆破する。」 「脅しは効かんぞ。遥かにこわもての獲物ともやりあってきた。このまま闘い続けるというのなら、クルーの最後の一人まで追いつめて、仕留めてみせるぞ。」 「その頃には、もうこの船は破壊し尽くされて、戦利品とはいえなくなってるでしょうね。」 「お前を殺して、協力的なクルーを探した方がよさそうだ。」 「無駄ね。誰を捕まえようと同じよ。」 「お前には事態がわかっていない。」 「この下らないゲームならわかってる。」 「これはゲームなどではない!」 立ち上がるヒロージェン。 「じゃあ何なの。」 「我が種族の未来がかかっているのだ。」 「未来?」 「お前にわかるとは思っていない。ハ、ただの獲物だ。」 「そう思うなら間違いね。」 「……ああ。そうかもしれんな。」 「言ってみたら?」 ジェインウェイは腰を下ろした。 「我々は狩りのせいで絶滅寸前だ。ホロデッキのテクノロジーがあれば、新たな生き方を生み出せるのだ。常に獲物を追い求め、宇宙に散らばる必要がもうなくなる。狩りはシミュレートだけにし、結束して文明を建て直すことができるかもしれん。」 「だけど偽りの狩りで満足できるの?」 「生命保護機能を外せば、実際の狩りと何ら変わるところはない。」 「あなたの目的は理解できるけど、……なぜこんなことを。なぜクルーに次々危険なシミュレーションをさせ、痛めつけるの。」 「ほかの獲物同様、お前たちの行動を見るためだ。だがホロデッキのおかげでよくわかった。お前たちの文化や、歴史までも。実を言えば、多くのことを学んだよ。」 「何を。」 "Your people have faced extinction many times. But you've always managed to avoid it.... You seem to recognize the need for change."「ええ。その危機の一つが今ホロデッキで起こってるわ。第二次世界大戦よ。」 「非常に大きな危機だったな。それも克服した。」 「苦しみながらね。」 「地球人の柔軟性には敬服する。実に狡猾に、生き延びている。」 「終わらせましょう。停戦を宣言するわ。この闘いは無意味よ。船は返してもらう。その代わりに、ホロデッキを作る技術をヒロージェンに提供する。あなたたちも狡猾に生き延びて。」 ホロデッキ1、レジスタンスのレストラン。 ワインを注ぎ、それを口にするヒロージェン・ナチス士官。「うう、合成か。飲めたものじゃない。このシミュレーションにも飽き飽きだ。」 ナチ大尉が話しかける。「ちょっとよろしいですか。」 「あー、それにこのホログラムも鼻についてきた。」 「何を待っているのですか。なぜ捕虜を処刑しないのです。」 「命令だ、司令官からのな。」 「私見を述べても。」 うなずくヒロージェン。 「司令官はここ数日おかしいと言わざるをえません。ドイツの優秀性に疑いを見せておられる。ただ闇雲に命令に従うのは、問題かと。」 「司令官の命令に従え。それが私の命令だ。」 「足止めを食ったままでいるのは耐えられません。」 「では余興の一つも楽しむとしよう。」 ヒロージェンはセブンに近づき、言う。「歌え!」 「嫌だ。断る。」 「歌え。でなければ死ぬぞ。」 銃を向けるヒロージェン。 セブンは立ち上がり、言った。「それなら殺せ。」 トゥヴォックは言う。「セブン、君は船の重要なクルーだ。ここは彼の要求に応えるのが論理的だ。」 「論理など無意味だ。いつかボーグがお前たちの種族を同化する。その傲慢さ以外な。その時が来たら、私を思い出せ。」 アルファ・ヒロージェンから通信が入った。『ブリッジよりホロデッキ1。』 ナチス士官:「はい。」 「ジェインウェイ艦長との合意に達した。停戦を命ずる。」 「何です!」 トゥヴォック:「艦長。」 ジェインウェイ:『本当よ、トゥヴォック。まず戦闘をやめさせることが第一よ。チャコティを探して、兵士達を撤退させるように命令させて。』 「わかりました。」 アルファ・ヒロージェン:『トゥランジ、ハンター全員に戦いをやめさせろ。』 ナチ大尉:「とんでもない、勝利は目前です!」 「我々の繁栄は、この協定にかかっている。」 ナチス士官:「了解しました。聞こえただろ! 捕虜を解放しろ。私が部下に知らせる。全ての部隊を、ここまで撤退させるのだ。」 地図で指示するヒロージェン。捕虜は出ていった。 ナチ大尉はヒロージェンに言う。「あなたを尊敬しています。」 「尊敬?」 「はい。しかし司令官は、間違っています。何もわかってない。ヒトラー総統のご意思を、無にしています。退廃しきった者たちと協定を結ぶなど論外です。徹底的に追いつめ、殲滅するしかない。繁栄とかおっしゃっていましたね。古代ローマは繁栄しました。ユダヤ人も繁栄しました。だがそのため倫理は腐り、ローマは我々ドイツ人の祖先に敗れました。そしてユダヤ人も消えかけている。見てください、我々の使命です。」 飾られた鍵十字※15のマークを指す。「この真っ赤な色は、純粋なドイツの血。燃える太陽の白く輝く環が我々の血を清めている。ドイツ人の優秀さは、誰にも否定できないのです。救世主イエスにも、ユダヤの神にも。我が軍は、宇宙の法則に基づき進軍を続けているのです。司令官の命令を撤回して、戦いましょう。我らの血が求めるままに。」 ヒロージェンは武器をもち、部下に命じた。「その 2名! ついて来い。」 ナチ大尉も続く。 |
※14: 「人類」と吹き替え ※15: swastika |
物資を運び出すアメリカ軍。チャコティが無線で命じている。「全部隊、撤退しろ。元の位置まで撤退するんだ。停戦協定だ。繰り返す、停戦だ!」 隣に立っているトゥヴォックに言うチャコティ。「伝達は済んだ。」 「しかし本当に戦闘がやむかどうか。」 「命令には従うさ。私は指揮官なんだからな。」 撤退していくアメリカ軍。セブンと一緒に歩いているパリスが、声をかける。「急げ! 撤退だ、撤退しろ! ケツを叩かれたいか!」笑うパリス。 「20世紀当時の俗語だな。」 「耳触りかい、ベイビー。」 「シミュレーションを楽しんでいるな。この状況では理解しがたい。」 「おーいカワイコちゃん、戦争が終わるんだぜぇ。」 突然発砲してきた。逃げる 2人。 ナチ大尉たちが発砲している。 「停戦なのにどういうこと!」 トレスたちはバリケードに隠れる。 部下に命じる大尉。「撃て! 撃てー!」 ホロデッキ2 のドクター。「ホロデッキ1 が大変だ。戦闘が激しくなってる。クルーに大勢死者が出ているぞ。」 ニーリックス:「どうすりゃいいんだ?」 「私のプログラムを向こうへ移す。君はジェフリーチューブで来てくれ。」 「俺たち 2人だけだぞ。」 「それでもやるしかないんだ。」 酔っているクリンゴン人のうめき声が聞こえた。 ドクター:「酔っ払いでも、クリンゴンは銀河一の戦士だったな。」 「こっちも戦争中だぞ。何チャラ族と。どこだかわからんがな。」 「もっと重要な戦いがあると、君が説得すればいい。」 「お、俺が?」 「君は偉大な戦士だろ。がんばれ!」 食べているクリンゴンに近づく。咳払いし、話し始めるニーリックス。「失礼しますよ。ちょっと話があるんですがね。」 全く聞いていないクリンゴンたち。 ドクターは言う。「奴らはクリンゴンなんだぞ。」 ニーリックスはやおら近づくと、クリンゴンの食べ物を焚き火の中へ放り込んだ。「おい聞け!」 機関室にアルファ・ヒロージェンと共にいるジェインウェイ。「あなたたち、ホロエミッターを第5から12デッキまで取り付けたの? システム異常も無理ないわ。船全体が巨大ホロデッキよ。」 「停止できるのか?」 「ええ。でもオーバーロードにするしかない。修理のことは後で考えましょう。とにかくシミュレーションを止めることよ。ジェインウェイよりキム少尉。」 ブリッジのキム。「はい艦長。」 『ハリー、手伝って。ホロエミッター・ネットワークをオーバーロードにする。今オプチカルプロセッサー・コントロールをそっちへ送るから、補助動力リレーにパワーをかけてくれない? それでオーバーロードにするから。』 「了解。」 「時間がかかる。800以上のエミッターがあるのよ。」 機関室のドアが開き、振り向くとそこにはヒロージェン・ナチス士官がいた。「コントロールパネルから離れろ!」 アルファ・ヒロージェンは尋ねる。「どうして停戦を命じなかったのだ。」 質問には答えず、部下はアルファ・ヒロージェンを撃った。さらに弾を装填する。「コントロールパネルから離れろ。」 「話を聞け…。」 「断る!」 もう一発発砲するナチス士官。アルファ・ヒロージェンはその場に倒れ込んだ。脈を取るジェインウェイ。死んでいる。ジェインウェイは立ち上がった。「早く撃ったらどう?」 「俺はハンターだ。お前は獲物。逃げろ。」 ジェインウェイは機関室を出て走り去った。追うヒロージェン。 |
ホロデッキ1。戦闘が続いている。 「了解した。以上。」 無線を終えるチャコティ。「連合軍は敗色濃厚だぞ。ドイツ軍が街を包囲してる。」 パリス:「いつまでもちこたえられるか。こんな銃じゃ役に立たない。」 トレス:「撤退した方がいいんじゃない?」 チャコティ:「どこへだ。四方から攻め込まれてる。トゥヴォック、ホログリッドの損傷部から抜け出せないか。」 トゥヴォック:「無理でしょう。更に 20人のヒロージェンが守りにつきました。勝ち目はありません。」 「そっちはどうだ?」 手榴弾を扱っているセブン。「この爆発物を光子を放てるように改造している。有機組織には無害だが、20メートル以内のホログラムを消すことができる。」 「何とか時間を稼ごう。」 銃を持って廊下を歩くヒロージェン・ナチス士官。 逃げるジェインウェイ。ジェフリーチューブに入る。 ヒロージェンは入口を通り過ぎようとしたが、戻った。扉を調べる。 ジェフリーチューブを進むジェインウェイ。後ろで扉の開く音がした。 「医療室にいる。」 ブリッジから出て行くヒロージェン。キムは他のヒロージェンの様子を伺いながら、コンピューターを操作する。「ホロエミッター充電中」と表示された。そして「ホロエミッター オーバーロード開始」となり、9分のカウントダウンが始まる。 進軍する部下に命じるナチ大尉。「急げ! 急げ!」 調整を続けるセブン。 銃を撃っているチャコティ。「奴らが来るぞ、セブン!」 セブンは手榴弾の留め金を外し、作動させ、投げるために立った。しかし撃たれ、手榴弾を落としてしまう。すぐにパリスが近づくが、間に合わず爆発してしまう。光が走り、ホログラムのアメリカ軍や、武器などが消えてしまった。そしてナチ大尉の一団が到着する。「降伏しろ。」 廊下を歩き続けるジェインウェイ。足の先が消えた、ホログラムの兵士が倒れている。その先は壁が吹き飛ばされている。ジェインウェイは兵士と壁を見て、急いで兵士を引っ張る。少し移動させると、消えていた足が現れた。そして奥へ進むジェインウェイ。 ドイツ軍に捕まるチャコティたち。「立て。早く立つんだ!」 雷が鳴った。ナチ大尉は「雷か。その女を連れてこい」と命じる。 「こっちへ来い」と部下に連れられるトレス。 「今は殺さずにおいてやる。ドイツ人の子供を宿している間はな。」 連れて行かれるトレス。 再び雷が鳴った。ため息をつく大尉。 ヒロージェンが廊下を歩く。物音のした方へ向かう。 壁の後ろにジェインウェイがいる。「お願い、やめて。役に立てるわ。船の修理を手伝うから。殺さないで。」 近づくヒロージェン。すると彼のもっていたホログラム銃が消えて行った。その瞬間ジェインウェイは飛び出し、棒でヒロージェンを殴る。ジェインウェイは床に落ちた銃を拾った。逃げ出すヒロージェンを追いかける。 「壁に並ばせろ。」 トレス以外のクルーは、壁ぎわに一列に並べられる。一斉に銃を向けるナチス。 「我が第三帝国の栄光のために。銃を構えろ。」 命令する大尉。だが急に大勢の怒号が聞こえてきた。バリケードを無視して進む彼らは、バトラフを持ったクリンゴン人だ。対抗するドイツ軍。チャコティたちも戦闘に加わる。 逃げていたヒロージェン・ナチス士官は、隔壁に開いた穴からホロデッキを見た。サンクレールの街並み。爆撃。 ナチスと戦うクリンゴン。ドイツ兵を殴り倒すトゥヴォック。 ニーリックスはクリンゴンをけしかける。「戦え戦士よ、あっちだ!」 隣にいるドクター。「カプラだぞ、カプラー!」 雨が頭にかかり、屋根の下へ戻る。 ナチ大尉に殴られるパリス。銃を抜こうとする大尉を、後ろからクリンゴンが倒した。バトラフが振り下ろされる。 ヒロージェンは、上からその様子を茫然と見つめていた。銃を構える音がする。ジェインウェイだ。「狩りは終わりね。ハンターを撤退させなさい。」 近づこうとするヒロージェン。 「撃つわよ。必要とあれば。」 それでもヒロージェンは従おうとせず、襲いかかろうとした。発砲するジェインウェイ。ヒロージェンは勢いで吹っ飛び、何デッキも下の床に落下していった。 「ホロエミッター オーバーロード 0:07」という表示を見るキム。カウントダウンが終わった。 ホロデッキ内では、同時にクリンゴンやナチスのホログラムが消えた。残ったのはクルーだけだ。チャコティは言った。「終わった。行くぞ。」 ホロデッキを出ていく。 「艦長日誌、宇宙暦 51715.2。ヴォイジャーの被害は甚大だ。どちらも多くの死傷者を出した。そしてこの闘いの勝者はいない。闘いは収束し、生き残ったヒロージェンは休戦交渉に応じた。」 廊下。一つの機械を持って歩くジェインウェイたち。別方向からはヒロージェン医師を始めとする一団。貨物室に集まる。 ジェインウェイの持っている機械。 「それは何だ?」と尋ねる医師。 「光電子データコア※15よ。これがあれば、あなたたちの船にホロデッキを作ることができるわ。あなたたちのリーダーが死ぬ前に約束したの。このテクノロジーをヒロージェンに譲るって。どうぞ。」 「ヒロージェンには異例な思想だ。受け入れられない。」 「あなたの決定も異例なんじゃないの? 獲物と休戦協定を結んだのよ。ほんの 2、3日前は私たちと話すことさえ考えられなかったのに、今はこうしているわ。受け取って。……戦利品よ。新しい未来を作ることができるのよ。それがだめでも船に飾れるんじゃない?」 部下と顔を見合わせたヒロージェンは、データコアを受け取った。ぎこちなく頭を下げる。ジェインウェイも礼を返した。 ヒロージェンたちは貨物室から出て行く。ため息をつくジェインウェイ。 ヴォイジャーを取り囲んでいたヒロージェン艦は離れていった。 |
※15: optronic datacore |
感想
ヒロージェンとの約束をきちんと守るジェインウェイはさすがですね。頭を下げるヒロージェンが、スタートレックらしい明るい終わり方を象徴しているようでした。 最後のシーンはキャラクターだけオーバーロードさせる設定だったのでしょうが、やっぱり背景を含めて全部消えて欲しかったと思います (ちなみにドクターは消えているような気が…)。 戦闘にしろ、ニーリックスやドクターとの絡みにしろ、クリンゴンは欠かせない種族だということを再認識させられます(笑) |
第86話 "The Killing Game, Part I" 「史上最大の殺戮ゲーム(前)」 | 第88話 "Vis a Vis" 「人体を渡り歩く異星人」 |