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ヴォイジャー エピソードガイド
第93話「放射能星雲の孤独」
One

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・イントロダクション
窓の外には、いつものように星が見える。食堂で、セブン・オブ・ナインは一呼吸おいてから話しかけた。相手は食事をしている、トレスとキム。 「中尉。少尉。」 キム:「やあ、セブン。」 トレス:「食べない? ポテトサラダ※1。悪くないわ。」 セブン:「今、栄養物の摂取は必要ない。お前たちと話したい。」 キム:「…いいけど?」 「キム少尉、お前の発生の地は?」 「出身地ってこと? 僕は生まれはサウスカロライナだけど…」 キムの話が終わらないうちに、トレスに話しかけるセブン。 「トレス中尉、マキに加わった理由はなんだ?」 トレス:「ああ…チャコティがいたからよ。彼と会って、それで命を救われて…」 またキムに聞く。「どんなスポーツをする?」 キム:「いろいろかじったよ。テニスに、パリシススクウェアに、でもバレーボールが一番だね…」 「では好きな食べ物を列挙しろ。」 トレス:「セブン、何これ。」 「パリス中尉との性的関係はどんなものだ。」 「もういい、やめて。」 「コンピューター、プログラム中断。」 ドクターの命令で、動きを止めるトレスたちのホログラム。 ドクター:「何のつもりか聞かせてくれるか。」 セブン:「お前が指示したことを試しているのだ。」 「これのどこが。君の社交術をちょっとでもましにするために作ったプログラムなんだぞ※2。喧嘩の売り方講座じゃない。」 「お前は会話の運び方を例示してみせたな。」 「ああ。」 「相手に興味があることを示せといっていた。」 「ああ。」 「興味があることを見せるために、相手について質問しろといったはずだ。」 「ああ。だが尋問しろとは言ってないぞ。最後まで答えさせて、ちゃんと聞かなきゃだめだ。質問を重ねて更に掘り下げる。時間をかけてね。やり直そうか?」 「週に一度の医療メンテナンスの時間だ。もう行こう。」 「いつもあんなに検査を面倒がるのに、珍しいな。」 「これを続けるより、余程いい。」 セブンはホロデッキを出ていく。
ヴォイジャーは前方の巨大な星雲に入っていく。ジェインウェイ:「あの星雲は?」 キム:「ミュターラ級の星雲※3のようですね。我々には未知の物質が 2、3 存在します。でも量はごく微少ですね。」 トゥヴォック:「広大な星雲です。センサーで全体を捉え切れません。」 ジェインウェイ:「じゃあ、迂回してたら大変ね。トム、推力 2分の1 で前進。」 パリス:「了解。」 キム:「弱い放射性フィールドを感知してます。これは…」 キムの様子が変だ。 ジェインウェイ:「ハリー?」 キム:「平気です。ちょっと頭痛がして…。」 また痛むキム。 チャコティ:「医療室へ行った方がいい。」 キム:「そうですね…」 パリス:「艦長! ああ…」 パリスに加え、トゥヴォックまでもが異常だ。キムの手には炎症が広がっている。そしてジェインウェイやチャコティも苦しみ始めた。

※1: potato salad

※2: ホロデッキプログラム 「社会化 (Socialization)」

※3: Mutara-class nebura
ミュターラ (ムタラ) 星雲は、映画 ST2 "The Wrath of Khan" 「カーンの逆襲」に登場

・本編
苦しむジェインウェイ。「トム、反転よ。星雲脱出。」 倒れていたパリスは起き上がって席に戻ろうとするが、その前にまた倒れてしまう。 ジェインウェイ:「ジェインウェイより医療室。」 ドクター:『はい艦長。』 「助けに来て。」
『何です? 呼び出しの嵐ですよ。』 医療室にも、既に患者が何人もいる。 ジェインウェイ:『早く!』 ドクター:「セブン、ブリッジへ行って、皮膚再生装置で火傷の処置を。」 医療室を出ていくセブン。
トゥヴォックは痛みに耐えながら、操舵席に近づいて操作した。「コースをセット。」 次第に落ち着いていくクルー。 キム:「星雲を脱出。」 ジェインウェイの顔にも火傷の症状が出ている。「全艦停止。」 セブンが到着した。ターボリフトのそばに倒れている男性士官を起こす。顔一面に火傷を負っている。 「死んでいる。」
ヴォイジャーの位置と、広大な星雲がスクリーンに映し出されている。セブン:「星雲の広がりは少なくとも 110光年。恐らくそれ以上だ。」 ジェインウェイ:「通り抜けるだけでも、優に 1月以上はかかるわね。迂回してたら 1年以上かかる。」 「星雲内ではクルーは数分も生きられないだろう。1月となれば論外だな。」
"We've come fifteen thousand light-years. We haven't been stopped by temporal anomalies, warp core breaches, or hostile aliens. And I am damned if I'm going to be stopped by a nebula.

「1万5千光年も旅して来たの。宇宙の異常事態も、ワープコアの故障も、危険なエイリアンも乗り越えて来た。こんな星雲一つに邪魔されてたまるもんですか。
医療室にいる。」 天体測定ラボを出るジェインウェイ。
ジェインウェイに説明するドクター。 「星雲内ガスのサンプルを分析しました。原因はサブニュークレオン放射能※4だと思われます。数分さらされるだけで、有機組織には致命的です。」 「何か防御する方法はないの?」 「あります。休眠カプセルです。個々に生命維持装置を取り付けます。」 「じゃあつまり、全クルーを仮死状態にしたまま通過しようっていうの?」 「はい。私は、このままで全員をモニターしますけどね。」 「かなり過激ね。ほかに手はないの? シールドの調整とか、予防接種とか。」 「あらゆる可能性を検討しましたが、これしか方法はないんです。」 「ただクルーをモニターをしてれば済むってわけじゃない。船のシステムに、コースの調整は誰がするの。」 「シミュレーションでやりました。航海術の初歩はプログラムされてますので。」 「確かにできるでしょうけどね。バックアップがいる。放射能があなたのホロマトリックスに影響がないとは限らない。あなたが消えたらどうなる?」 「実は星雲の放射能の影響を受けなかったクルーが一人だけいましてね。」
セブンに話すジェインウェイ。「この任務の責任の重さをよくわかってもらいたい。全クルーの命が、あなたの肩にかかってるの。」 「艦長は私の能力を疑っているのか?」 「普段なら心配ないけど、今は非常事態よ。あなたは集合体にいた。この船の乗組員 150人に慣れる時も、あなたにとって大変だったはずよ。それが今度は、ドクターたった一人しかいなくなる。」 「適応できる。」 「大抵の人間は、普通長期間の孤独には耐えられないものなの。ボーグのドローンならなおさら。」 「だが私は今や人間でもボーグでもない。必ずやり遂げる。」 「……よろしい。クルーと打ち合わせて作業リストを作ります。でも言っておくけど、ドクターが指揮官ですからね。彼の指示は私の指示と思って従って。」 「ホログラムの命令に従うのか?」 「彼は船の医療主任でしょ。それに艦隊の規則を厳守するから、全て彼の許可を得ること。」 「了解、艦長。」 貨物室を出るジェインウェイ。
会議室で報告するチャコティ。 「ドクターが休眠ユニット※5を用意してます。17時までには準備できる。」 パリス:「でも、どのくらい眠るんです?」 ジェインウェイ:「正確には言えないの。1月か、もっとかもね。もし星雲が計算より大きければ。」 トレス:「長期の休眠は初めてなんです。副作用はあるんですか?」 「ドクターによれば、お昼寝と同じですって。カプセルに入ると、心肺機能が低下、神経活動が停止。後は…よく眠ったってすっきり目覚めるらしいわよ。」 キム:「でも 100%安全とはいえないって、読んだことあります。」 「セブンとドクターが、ずっとモニターしててくれるのよ。1日 4回、ヴァイタルサインをチェックして、問題がないようにね。」 パリス:「やっぱり、ほかの方法は全部検討済みなんですよね。」 「不安なのは無理もないけど、私が何の心配もしてないといえば嘘になるし、全くの受け身になるんですもの。常に自分で事態をコントロールできてこそ安心できるのに、休眠中じゃただ受け身で待つだけ。艦隊士官には受け入れがたいわよね。でも 1ヵ月以上の休眠を体験したクルーもいる。何とか乗り切りましょう。いいわね、17時まで自由行動よ。準備できたら全艦に通告します。解散。」 チャコティは残っている。ジェインウェイ:「まだ何か?」 「この選択で間違いないんですね。」 「あなたも不安なのね。」 「少し。でも休眠状態が不安なんじゃない。後を任せる人物です。」 「セブンのことね。」 「もう少し冷静に考えてみて下さい。この船に来た時から艦長と何度もぶつかっているんですよ。指揮系統を無視し、意見が食い違えば命令に従わない。」 「その相手に私は全クルーの命を預けようとしている。正気なのかといいたいんでしょ?」 「そんなとこです。」 笑うジェインウェイ。 チャコティ:「艦長とセブンの関係は、独特なのはわかってます。私たちには見えない何かを彼女に見てる。それを少しはわかるように説明して下さい。」 「うまく言えないけど、感じるのよ。彼女はきっと変わるって、本能的にね。態度は確かに傲慢だけど、いつだって私たちの役に立ちたがってる。」 チャコティはため息をついた。「艦長を信じます。」 「それじゃ、17時にね。」
休眠ユニットの前で、パリスはドクターに言う。 「1月も昼寝するならさ、ここじゃなくて、別にそれぞれの部屋でしたっていいだろう。」 ドクター:「全員、この第14デッキに集めた方がモニターしやすいんでね。入って。」 既に隣のユニットに入っているキム。「トム、おねむの時間だぞ。」 中に入るパリス。「もし、急にどうしても出たくなったら?」 ジェインウェイ:「カプセルは内側からも開けられるわよ。」 確認するパリス。ドクター:「もしかして閉所恐怖症かな、中尉?」 パリス:「ハ、何でわざわざ棺桶みたいな形にするかねえ。」 キム:「テディベアでも持ってきてやろうか。」 ドクター:「さあ眠って。」 休眠ユニットが閉じられていく。 ドクター:「ご安心下さい。ぐっすり眠って、目覚めた時にはご報告しますよ。星雲を抜けましたとね。」 「後は 2人に任せます。全幅の信頼を置いてる。1月後に。」 ジェインウェイが最後に休眠ユニットに入った。ドクターはセブンに言う。 「我々だけになったな。」 貨物室には多数の休眠ユニットが並んでいた。

※4: subnucleonic radiation

※5: stasis unit
ヒューマノイド患者を休眠活動状態で保持するために設計された、緊急医療用設備。TNG第141話 "Tapestry" 「運命の分かれ道」 など

「セブン・オブ・ナイン私的記録。宇宙暦 51929.3。ミュターラ級星雲に入って 10日目になるが、日々の任務を順調にこなしている。」
セブンは暗い食堂に入った。レプリケーターに指示を出す。「栄養補助物、14 のベータ 7※6。」 カップを手に取り、席に着いて飲み始めた。
機関室のチェックを終え、ブリッジの操舵席へ来るセブン。「コンピューター、コースを右舷へ 0.347度調整。」 『調整完了。』
貨物室のドアが何度も閉じたり開いたりしている音が聞こえる。セブンが駆け寄ると、ドアの間でパリスが倒れていた。「セブン・オブ・ナインよりドクター。」 医療室のドクター。「何だ。」 「パリス中尉が休眠ユニットを抜け出し、意識不明になっている。」 『すぐ行く。』
パリスが休眠ユニットに戻された。ドクター:「閉所恐怖症は本当だったらしいな。だがまだ、放射能の影響は受けていない。」 セブン:「また起こりうるのか?」 「休眠状態から起き出す者もいないわけじゃないが。まあパリス中尉は起きていても寝ていても頭痛の種だな。」 「予期しえたことになぜ不平を言うのだ。」 「ユーモアがあれば、今のは軽いジョークだとわかるのにね。」 「それは疑問だ。」 「…彼のヴァイタルを読んで。頼む。」 トリコーダーを渡すドクター。自分はモニターをチェックする。 セブン:「脈拍 42。体温 36.4度。血圧は 100 の 50 だ。」 「よし。」 「私は巡回を続ける。」 「待ちなさい。一緒にホロデッキへ行こう。」 「下らない講座を受けている暇はない。」 「下らなくないさ。必要不可欠だ。君は日ごとにイライラして、短気になってるからな。」 「それはお前もだ。」 「君の相手をしてるからだよ。人付き合いのコースを再履修してもらわないとね。」 「付き合う人物が誰もいないのにか?」 「私がいるだろ。これは提案じゃない。要望でもなく、命令だ!」
食堂でパーティが開かれている。 ニーリックス:「召し上がります?」 私服を着たチャコティ。「悪いな。」 ニーリックス:「艦長は?」 ジェインウェイ:「ああ、ありがとう。これ何なの? うーん、美味しい。」 ニーリックスは隅にいるセブンに気づいた。 「おいセブン、こっちへ来なよ。独りで突っ立ってても楽しくないだろ?」 セブン:「楽しむ必要などない。」 「何で?」 「この星雲の放射能を遮断できるよう、ワープフィールドを強化したいのだ。お前はワープフィールド理論には造詣が深かったな。お前なら答えを、出せるか?」 パッドを受け取るニーリックス。 「いっちょやってみるかね。どーれ。亜空間フィールドマトリックスはこれでよしと。」 セブン:「艦長。」 ドクターと話していたジェインウェイ。「ちょっと失礼。」 セブン:「艦長も手伝ってくれ。ワープフィールドを強化する方法を探している。」 呆れるドクター。 ジェインウェイ:「面白いわね。EM応力の変数を変えてみたらどうかしら。ワープフィールドの力は増すはず。」 ニーリックス:「さすが艦長っスね。それにワープコイルをリフェイズしてやりゃ、エンジンのパワーもぐーんと上がりますよ。」 セブン:「もう一つ問題がある。エンジンの亜空間誘導効力を補正しなければ。」 ドクター:「失礼、艦長。ニーリックスもな。コンピューター、プログラム中断。君は完全に目的をはき違えてるようだな。エンジンの問題を話し合うんじゃなく、会話を楽しむんだ。」 「このプログラムに参加する命令は受けたが、話題は限定されていなかったはずだ。」 「屁理屈をこねるな。このプログラムの意義は十分わかってるだろ。」 「全く何の意義もないことならわかっている。」 「こんなへそ曲がりだったとはね!」 「人間はこうして無意味に空想に浸る時間が必要かもしれないが、私には必要ない。」 「かもしれんが、自己表現技術は切実に必要だね。思い付きと行動の間には、洗練された物腰って広い領域があるんだよ。」 「お前の自己表現は不必要に大仰だな。」 「こんな調子じゃ 1月ももたないね。」 「お互いに会わなければいいだけだ。」 「そうはいかないだろう。君は 1日 4回、クルーの状況を私に報告しなきゃならん。」 「必要最低限にすればいい。」 突然、何かの音が響いた。コンピューターの声。『警告、非常事態シークエンス作動。』 ドクター:「コンピューター、非常事態の詳細は?」 『反物質タンクに機能異常発生。』 すぐにホロデッキを出る 2人。
コンピューターをチェックするセブン。「カスケード効果が進行している。ワープフィールドコイルに傷、第1デューテリアムタンク破損。プラズマコンジットが破裂しそうだ。」 ドクター:「最悪だ。」 「反物質タンクを放出しないと。」 「分担してかかろう。機関室へ行け。私はブリッジだ。」
ブリッジに到着するドクター。「ドクターよりセブン。」 セブンは廊下を急いでいる。「何だ、ドクター。」 『思ったよりひどい。機関室はプラズマだらけで入れないぞ。」 「タンク放出の間だけなら、大丈夫だ。」 『手遅れだ。第7 と第13デッキでも、プラズマコンジットが破裂してる。』 「まだやれる。」 「セブン、機関室でまたプラズマの放出があった。船体に亀裂が入るぞ!」 機関室に入るセブン。『セブン、聞こえるか!』 だが機関室では何も起こっておらず、いつも通りだ。セブンは言った。「全く問題ない。警報の異常だ。」

※6: nutritional supplement 14-beta-7

ヴォイジャーの構造図を示すドクター。「見てみろ、きっとこれが原因だ。ニューロジェルパックのいくつかに、機能不全がある。その結果、センサーが間違った情報を読み取り、非常警報が鳴り響いたってわけだ。」 「修理しなければ。」 準備に取りかかるセブン。 ドクター:「シークエンス 6・シータ・9 だから…交換用パックと、あとは修理…」 それを渡すセブン。ドクター:「修理キットだな。」
ジェフリーチューブの中を進む2人。ドクター:「ジェフリーチューブに快適性を取り入れようって気はないのかねえ。設計者に文句を言いたいねえ。ちゃんと立って歩けるようにすべきだったんだ。」 セブン:「これが現状だ。不平を言っても意味はない。」
"I'll complain if I want to. It's comforting."

「言いたい時にいうのさ。気分がいい。」
「そのジャンクションから、6・シータ・9 にアクセスできる。」 トリコーダーで変色を起こしたジェルパックを調べる。 ドクター:「妙だな。ジェルパックのこんなニューロ反応は初めてだ。」 「どういう意味だ?」 「ニューロデスが不規則に放出されてる。恐らく星雲の活動が原因だろう。医療室へ持ち帰って詳しく調べる。」 「私はコマンドプロセッサーの回路を迂回させておく。」
"This journey certainly hasn't lacked excitement. I can't complain about being bored."
「次から次へと問題が起きるねえ。退屈をぼやく暇もない。」

"Since you find it comforting, you'll undoubtedly find something else to complain about."
「それは良かったな。だがまたすぐ不平の種を見つけるんだろう?」
「気分いいぞう。君もやってみろ。」 その時、ドクターの映像が揺らいだ。 セブン:「何だ?」 「プログラムが劣化している。」 「モバイルエミッターか。」 「わからん、医療室へ戻ろう。急げ!」 「急いでいる。」 「医療室以外でモバイルエミッターが切れたら、プログラムは修復不能だ。」 「取り乱すな。逆効果だ。」 「余裕だねえ。消えるのは私だからな。」
ジェフリーチューブを出る 2人。また映像が揺らめく。セブン:「ドクター。」 「次は一巻の終わりだ。」
廊下を走るドクターとセブン。医療室に駆け込んだ。ため息をつくドクター。「懐かしの医療室だ。ここの壁がこんなに嬉しいとはねえ。」 「エミッターを。」 モバイルエミッターを渡すドクター。調べるセブン。「電気工学モジュレーターが壊れている。」 「本当だ。使えない。私はもうここから出られなくなった。」 「この星雲には、船全体に有害な影響があるようだな。」 「まだ何週間もあるんだぞ。君の肩にかかってる。ここで挫折するわけにはいかないぞ。」 セブンは言った。「必ずやり遂げる。」
広大な雪山。セブンが立っている。周りには何もなく、誰もいない。『午前6時です。再生シークエンス終了。』
コンピューターの声に、セブンはアルコーヴで目を開けた。通信バッジを押す。「セブン・オブ・ナイン私的記録、宇宙暦 51932.4。ミュターラ級星雲に入って 29日目。私にも長期間独りでいることへの影響が出てきたようだ。最近の夢は…不愉快だ。しかし任務を果たすのが先決だ。ドクターが医療室から出られず、職務は増加。船のシステムは、継続的なメンテナンスが必要になり始めた。今日の午前中は、補助プラズマ弁の除去作業だ。記録終了。」
再びブリッジの操舵席で指示するセブン。「コンピューター、針路左舷に 0.31度修正。」 反応がない。 「コンピューター、応答を。コンピューター、針路左舷に 0.31度修正。」 『現在修正中。すたんばい。現在修正中。修正ニ失敗。』 コンピューターの声が遅くなったり速くなったり、不安定になっている。 「手動に切り替える。コンピューター、自分のコマンドプロセッサーにレベル4 のチェックをしろ。」 『現在ちぇっく中。』
ターボリフトに乗るセブン。「天体測定ラボ。」 『ちぇっく終了。』 「結果は?」 『じぇるぱっくりれーノ 33%ニ、量子異常ガ見ラレマシタ。』 「全てのファンクションを、サブプロセッサー・キー 1 の 4 に迂回させろ。」 『迂回完了。リレー異常は回避しました。』 声は正常に戻った。
天体測定ラボに入る。 「星雲内のヴォイジャーの現在位置を表示しろ。」 スクリーンの星雲の中にコースと位置が映される。まだ距離は残っている。 「星雲脱出までの所用時間は。」 『6日と 5時間です。』 「6日か。」
暗い廊下。パリスの声。「セブン、助けて。」 姿は見えない。貨物室に入ると、パリスは休眠ユニットの中で眠っている。そこへコンピューターが警告した。「異常接近警報。船が接近中。通信が入っています。」
貨物室を出て指示するセブン。「チャンネルオープン。」 『チャンネル、オープン。』 「こちらは宇宙艦ヴォイジャー。船籍を述べよ。」 男の声。『俺はトレイジス・ロ・ターリク※7。マイクロフュージョンチェンバーがいるんだ。取り引きしないか?』 「なぜ星雲内にいる。」 『通り抜けたくてねえ。そっちもそうなんだろ?』 「液体ヘリウムはあるか。」 『運がいいねえ。たっぷりあるよ。』 「お前を貨物室へ転送する。」
その異星人は貨物の確認をするセブンと話す。「セブン・オブ・ナイン? おかしな名前だな。訳でもあるのか?」 「ボーグでの名称だ。」 「ボーグ? 知らねえな。あんたここに独りか。」 「いや。クルーは全員休眠中だ。医療室にドクターもいる。」 「こっちはパイロットの俺だけだ。何でだか、俺は星雲の放射能には耐えられるんだよ。」 「お前の船はどうだ? 我々の船は影響を受けている。」 「もう 2回もエンジンをオーバーホールしたよ。あんた 3週間もここを飛んでるんなら、かなり上出来だ。」 「推進システムが、あと 6日間機能してくれればいいがな。」 「正直こんな所でほかの船に会えるとはなあ、驚いたぜ。この星雲を無事に渡り切った奴はいない。」 「必要なければ我々も迂回した。」 「俺も好きで来た。ここを通り抜ける最初の奴になる。今まで 5回チャレンジして失敗してねえ。だが今度は絶対渡りきる。向こうにあるものを見たいんだ。」 「特別なものはない。」 「だが俺の種族で初めての快挙だ。なあ、独りぼっちで寂しくねえか?」 「…どういう意味だ?」 「わかってんだろ。どう言いつくろっても、あんたはここで独りっきりだ。」 セブンは機器を渡した。 「マイクロフュージョンチェンバーだったな。」 「ドローンは孤独に耐えられないそうだな。いつも集合体と一緒だから。」 「どうして知っている。」 「当たりか? そうだろ。」 「ボーグを知らないと言っていたな。」 「怒るなよ。ボーグに悪意はない。」 「取り引きはもう済んだ。船に戻れ。」 「せっかくお近付きになれたんだ。どうだい、一緒に飯でも食わないか?」 「断る。」 「まだ帰らないといったら。」 セブンはフェイザーをロ・ターリクに向けた。「お前を置いておくつもりはない。」 ゆっくりと貨物室を出るロ・ターリク。
廊下で話し続けるロ・ターリク。「物騒な物しまいなよ。何もしねえさ。神経質になりすぎじゃねえのか? ずっと独りでいると、そうなるんだよ。俺を追い返さない方がいいと思うぜ。仲良くしようじゃないか。」 「黙れ。」 「セブン、助けて。」 またパリスの声だ。後ろを振り向くセブン。「セブン。」 前を見ると、ロ・ターリクがいない。追いかけるセブン。先の方でロ・ターリクが走って行った。セブンは通信を行う。「セブン・オブ・ナインよりドクター。船に侵入者がいる。」

※7: Trajis Lo-Tarik
(ウェイド・アンドリュー・ウィリアムズ Wade Andrew Williams ENT第9話 "Civilization" 「狙われた星アカーリ」のギャロス (Garos) 役) 声:中田譲治

調査するドクター。「遮蔽装置を使ってるのかな。センサーにはエイリアンの生命反応も、船影もないぞ。モバイルエミッターは修理中だ。進んではいるが、私はまだ医療室を出られない。そいつの居場所を突き止めろ。武器を携帯して、一瞬も気を抜くな。」 『警告。でゅーてりあむたんくノれべるガ、許容範囲ヲ越エ、変動シテイマス。』 またコンピューターの声がおかしくなっている。 「コンピューターに気付け薬がいるな。」 セブン:「今朝からずっとリレー異常が直らない。メンテナンス職務を遂行できていない。」 「修理もあるが、エイリアンに気を付けろよ。何を企んでるかわからんからな。」 何も言わないセブン。ドクターは尋ねる。「セブン……もしや、怖いのか。」 「……私はボーグだ。」 セブンは医療室を出て行った。
フェイザーライフルを持ったセブンは、廊下をゆっくり歩いていく。物音がした。振り向くセブン。「誰だ。」 ロ・ターリクの声が響く。「セブン、助けて。セブン……。」 ニーリックスの声。「死んじまうよ。俺を助けてくれ。」 ジェインウェイ。「クルーの命が、あなたの肩にかかってるのよ。」 パリス。「セブン、助けて。」 そして何人もの声。「セブン。セブン、助けてくれ。頼む。だめだ。セブン、助けて。死んじまうよ…助けてくれ…セブン……」 貨物室に入る。
いつも通りの休眠ユニットが並んでいる。モニターを確認するセブン。ため息をつく。外へ出た。
セブンに通信が入った。ロ・ターリクだ。『セブン・オブ・ナイン。おかしな名前だな。訳でもあるのか? 答えたくないか。いいんだよ、気にするな。今日あんた、変だからな。俺が今どこにいるか知りたいんだろ。センサーじゃ見つけられない。俺の居場所を知りたきゃ、聞けばいいのさ。頑固だなあ。良くないぜ。悲しい事故が起きちまうかもな。防ぐチャンスを与えてやったって証拠に一つ聞くが、もしもワープコイルの構造が崩壊したら、どうなっちまうだろうなあ。時間がないぜ、急がないと破裂するぞ。』 セブンは走り始めた。
機関室に入る。ワープコアに近寄り、設定を確認する。またロ・ターリクの声。『やっぱりこの船をふっ飛ばしちゃもったいない。』 突然照明が暗くなった。『暗いとこが怖いのか?』 「どこにいる。」 『やった。しゃべってくれて嬉しいぜ。このゲームは一緒にやった方が楽しいからな。』 「居場所を言え。」 『ずっと遠くだよ。ブリッジさ。あんたの船の指令センターだ。ここからなら何でもできるからな。』 「セブン、助けて!」 見上げると、機関室の 2階にパリスとキムがいる。苦しむ 2人。 セブンはすぐに階段を上った。突然炎が巻き起こる。倒れているパリスたちの体は燃え上がった。 火が消える。セブンはバッジを押した。「セブンよりトレイジス。まだいるか?」 『もちろん。途中で帰ると思うか?』 「ゲームが楽しくなってきた。次は何だ。」 セブンはコンソールを素早く操作している。 『いいねえ、そうこなきゃな。光子魚雷の起爆装置を起動したが発射はしないとしたら、どうなるかな?』 「大至急、魚雷保管室へ向かう。」 『手遅れかもしれないぜ。でも行くしかないよな。』 「別のゲームがいい。ブリッジの酸素量がゼロになったとしたらどうなる?」 『何?』 「どういう結果が引き起こされる?」 苦しむ声が聞こえる。 「コンピューター、ブリッジをフォースフィールドで封鎖しろ。」 『ブリッジ、封鎖。』 声が聞こえなくなった。安心するセブン。「セブン・オブ・ナインよりドクター。」 ドクターは廊下を歩いている。「私だ。」 『エイリアンの脅威は除去した。もう問題はない。』 「いいぞ。丁度モバイルエミッターも直った。今どこだ。」 「機関室だ。」 『すぐそっちへ行く。ニューロジェルパックの件で、いいニュースがある。』 「了解した。」
セブンは 1階へ下りた。フェイザーライフルを手にする。機関室のドアが開いた。だがそれはドクターではなく、ロ・ターリクだった。「また会うのはわかってたろ?」 フェイザーを撃つセブン。全く効かない。手を挙げるロ・ターリク。「お前は弱い。俺には勝てない。」 「それ以上近づくな。」 「独りに耐えきれなかったんだろ。なす術もなく、怯えていた。自分を知っているからだ。」 「止まれ。」 「最初は人間に戻れると思ったが、それは無理だとわかった。そうだろ? お前はボーグだ。」 急にワープコアの色が変わり、緑色に発光し始めた。 ロ・ターリク:「大勢の中の一人。それがお前だ。だがもうボーグですらない。お前はたった一人だ。弱く、惨めな存在だ。」 「それ以上近づくと殺すぞ。」 「セブン。」 ドクターがやって来た。 セブン:「気を付けろ。この男は危険だ!」 だがロ・ターリクは消えていた。ワープコアも正常だ。 ドクター:「誰と話してる。」 「どこへ行った。」 「誰もいないぞ。」 「いたんだ、奴がそこに。」 「セブン。幻覚を見てる。」 「違う、奴はいた!」 「ここは私たちのほかに誰もいないよ。」 ドクターはフェイザーライフルを受け取る。 セブン:「想像の産物だというのか。」 「ああ。」 「パリス中尉が助けを呼ぶのが聞こえた。ほかのクルーも見た。全て幻覚だったのか。」 「多分そうだ。ジェルパックを調べたら、放射能の影響でシナプスリレーが劣化し始めているのがわかった。君のボーグ・インプラントにも同じ影響が出たんだろう。知覚神経の神経伝達物質レベルも変わっているかもしれない。声が聞こえたのも、幻が見えたのも、それで説明がつく。」 「リアルだった。」 「幻覚とは、そういうものだ。だから恐ろしいんだよ。」 「……ドローンだった時に、集合体から 2時間分離されたことがあった。私は不安を覚え、パニックになった。今と同じ感覚だ。」 「私が助けてやる。医療室へ行こう。抗精神薬※8が効くだろう。どの精神機能が影響を受けているか、突き止めよう。」 突如、機関室のコンソールが爆発した。 セブン:「何だ?」 『警告。第1 EPSこんじっとガおーばーろーど。』 乱れるドクターの映像。 ドクター:「モバイルエミッターをリンクしてあるんだ。」 操作を始めるセブン。「コンピューター、EPSコンジットにアクセス。」 『あくせすニ失敗。』 ドクター:「機能を停止してしまう。」 「だめだ!」 『警告。第1 EPS こんじっとガおーばーろーど。第2しすてむモ機能セズ。』 ドクター:「セブン、がんばるんだ。EPSコンジットを直せ! 全ては君にかかってる。」 「独りでは機能できない!」 「やるんだ。生き残るには君の力が必要…」 ドクターの姿が消滅した。セブンは叫んだ。「ドクター!」 セブンは本当に独りになった。

※8: antipsychotic

天体測定ラボ。指示するセブン。「星雲内のヴォイジャーの現在位置を表示しろ。」 もう少しだ。キムがいる。「意味ないよ。抜けられやしない。」 その顔には火傷。 セブン:「コンピューター、星雲脱出までの時間は?」 『17時間11分デス。』 キム:「まるで永遠だな。」 セブン:「消えろ。」 「無視するのは勝手だけど、消せないよ。」 『警告。推進しすてむニ異常ガ発生シマシタ。』 急いで向かうセブン。
廊下は緑色の光で満たされている。大勢のうめき声が聞こえる。「セブン・オブ・ナイン。」 セブンは驚いて立ち止まった。前にボーグ※9がいる。「ユニマトリックス・ゼロ・ワンの第3付属物。集合体の離脱は、愚かな選択だった。お前は独りだ。同族を失った。たった一人だ。お前は人間だ。弱く、惨めだ。」 逃げ出すセブン。
前からボーグが現れる。「人間は非常に弱い。不完全だ。お前も不完全になった。」 逃げるセブン。「違う。」 「お前は生きられない。集合体なしには生きられない。」 「適応できる。」 「弱くなっている。不完全だ。」 「個体として適応できる。」 「独りだ。たった一人。ボーグは独りでは生きられない。」 「私はもっと強くなる。」 「ボーグは独りにはなれない。独りになったお前は死ぬのだ。弱く、独りで、孤独だ。ボーグは独りでは生きられない。」 「私は個体として独りで生きていける。」 「無理だ。お前は弱い。」 ターボリフトに乗るセブン。ボーグは言う。 「お前は独りで死ぬのだ。」
だがターボリフトの中にロ・ターリクがいる。「言われちまったな。辛いんだろ、セブン。俺が助けてやる。」 「ブリッジへ。」 「見返りはなしでいい。頼む必要もない。ただ決断するだけでいい。」 「私は独りで生きていける。」 ドアが開いた。その向こうは、ボーグ・キューブの内部だ。 ロ・ターリク:「お前の居場所だ。」 「ち、違う。」 「もう終わらせろ。一歩踏み出せば、二度と独りになることはないんだぞ。」 「これは現実じゃない。」 ボーグの声。「セブン・オブ・ナイン、抵抗は無意味だ。」 セブン:「ブリッジへ。」 ドアが閉まる。
ブリッジへ到着したセブン。「セブン・オブ・ナイン。ひどい顔色じゃない。」 ジェインウェイが話しかける。同じように火傷を負ったクルーがいる。 キム:「彼女がまだいたとはね。」 チャコティ:「船に乗せるのは反対だった。」 トゥヴォック:「すぐいなくなります。独りでは生きられない。」 パリス:「セブンがいつまでもつか賭けないか?」 チャコティ:「星雲を抜ける前に正気をなくすぞ。」 キム:「そしてクルー全員が死ぬ。」 ジェインウェイ:「私のせいね。彼女を信じたりして馬鹿だった。」 『警告。推進しすてむニ異常発生。』 操舵席で操作するセブン。 トゥヴォック:「何をする気でしょう。」 チャコティ:「エンジンが止まらないよう必死だ。」 パリス:「いくら賭ける? 乗り切れるかな。」 キム:「無理な方に賭けるよ。」 セブン:「コンピューター、星雲脱出までの時間は。」 『41分デス。』 ジェインウェイ:「そんなにもたない。」 キム:「まるで永遠だ。」 セブン:「コンピューター、兵器・センサー・環境コントロール、それぞれのパワーをエンジンへ回せ。」 『警告。推進しすてむニ異常発生。』 「可能な限りのパワーをエンジンへ回せ。」 『推進しすてむ停止。全えんじん、おふらいん。』 キム:「今度はかなりやばいよね。」 チャコティ:「そうだな。可能な限りのパワーを回したのに駄目だったからな。」 トゥヴォック:「ですが彼女が船を動かせないと、全員が死にますよ。」 パリス:「どうすると思う?」 ジェインウェイ:「わかってる。彼女、休眠ユニットのパワーを回せないかと考えてるのよ。そうすればエンジンが動くかもしれないものね。」 キム:「それじゃクルーが何人か犠牲になる。」 チャコティ:「そんなことは気にしないさ。」 トゥヴォック:「セブンにとっては効率が全てだ。数人死んで、大勢が助かるなら問題ない。」 ジェインウェイ:「今まで何百万人も殺してるんですものね。」 セブン:「コンピューター、休眠ユニット 1 から 10 の維持パワーを、推進システムに迂回させろ。」 『えんじん稼動シマシタ。』 「航行再開。」 キム:「すごいじゃないか、成功だ。」 ジェインウェイ:「でもパワーを切られたクルーは死ぬわね。」 パリス:「俺の勝ちだ。やっぱり気にもしなかった。」 セブンはターボリフトに乗った。
緑色の通路を走るセブン。既にジェインウェイが来ている。「死ぬのを見にきたの?」 貨物室では、パリスが休眠ユニットの中で苦しんでいる。 『警告。休眠ゆにっとノぱわー停止。』 「コンピューター、星雲を脱出するまでの時間は?」 『11分。』 ジェインウェイが話しかける。「彼らはもたない。どうするの、セブン。あなたにかかってるのよ。」 セブン:「コンピューター、全デッキの生命維持を切り、休眠ユニットにパワーを回せ。」 「彼らは助かるけど、あなたはどうなるの。温度は下がり、酸素もなくなる。さよなら、セブン。」 ジェインウェイは離れていった。 「私はセブン・オブ・ナイン。たとえ独りでも、私は適応できる。私は……」 セブンはその場に座り込み、意識を失った。
白い光。「気がついた。」 ドクターたちが見下ろしている。バイオベッドの上で目を開くセブン。 ドクター:「ゆっくりな。ここは医療室だ。」 セブン:「クルーは?」 ジェインウェイ:「みんな無事星雲を脱出した。あなたのおかげよ。」 チャコティ:「危なかったのは君だ。星雲を抜けた時、ドクターが再起動して君を見つけたんだ。そしてシステムを戻し、クルーを起こした。」 「あなたには大冒険だったようね。」 セブン:「あれは……興味深かった。」 「休んでから、ぜひ話を聞かせて。」 医療室を出ていくジェインウェイたち。ドクター:「セブン、よくやった。立派な働きだったよ。」 セブンは言う。「クルーの役に立てて良かった。」
食堂で尋ねるキム。「ニーリックス、これ最高。何のスープ?」 ニーリックス:「秘伝のレシピでね。中身は誰にも教えない。」 セブンは、その様子を遠くから見ている。 ニーリックスの話を聞き、パリスは「嫌な予感がするねえ」という。 トレス:「トム、冒険心ってものがないの?」 「腹にはないねえ。自分が食ってる物の正体は知っときたいんだよ。」 「弱虫。」 セブンは 3人に近づき、話しかけた。「パリス中尉、トレス中尉、キム少尉。」 キム:「セブン、珍しいね。どうしたの?」 「座ってもいいか。」 パリス:「ああ、座れよ。」 トレス:「スープは? 結構いけるわよ。」 セブン:「栄養物摂取の時間ではない。ただ……誰かと話をしたかったのだ。」 パリス:「まるまる 1月もドクターと 2人きりだったんだ。無理もないよな。」 キム:「ああ、どんな感じだった? 2人だけでさ。」 セブン:「ドクターは協力的だった。不平は言えない。」 トレス:「セブンに借りね。」 パリス:「ああ、ほんと。あの棺桶で死んでたかもなあ。」 セブン:「中尉はおそらくそうなる前に抜け出していただろう。」 キム:「どういうこと?」 「パリス中尉はカプセルを嫌って、ドクターと私が 4度も彼をカプセル内に戻さなければならなかった。」 「子供の頃、クローゼットに閉じ込められでもした?」 パリスは苦笑いする。
"I just don't like closed places. I never have. I don't know why."
「せまっ苦しい所は苦手なんだよ。何でだか、昔からそうなんだ。」

"Perhaps... you dislike being alone."
「多分、独りが嫌いなんだろう」
と、セブンは言った。

※9: ボーグ・ドローン Borg drone
(Ron Ostrow) 声:中田和宏

・感想
またまたセブン中心の話。とはいえ、いつもの彼女の万能性ではなく、「孤独」という最大の敵を描いています。幻覚ネタはありがちですが、描写はなかなかのものです。


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