イントロダクション
オブライエンはベシアに声をかけられる。「マイルズ、一杯やらないか。」 オブライエン:「今日はダメだ。うちで飯食う約束でさあ。来週の木曜日、ホロスイートでな。女房たちもいない。」 答えながら歩いていく。 うなずくベシア。 ドレスを着たキラがやってきた。「あら、ジュリアン。」 ベシア:「やあ、ヴィックの店?」 「…そうなの。」 一緒に来たオドーは、タキシード姿だ。 「一緒に行ってもいいかな。」 オドー:「それが…今夜はちょっとその、二人っきりで食事したいと…思っててね。」 「…そうか、じゃあ楽しんできて。邪魔しないから!」 二人は 2階へ行った。 ベシアはため息をついた。 ベシアの部屋。 パッドを見ている。「こしゃくなウィルスめ。突然変異したな。…まあ、逃げてればいい。必ず仕留めてやる。」 ベッドの上で横になるベシア。「消して。」 部屋が暗くなる。 通信が入った。『ノーグ※1よりドクター・ベシア。』 ベシア:「…何だ。」 ノーグ:『医療室へいらして下さい。』 「朝の 3時だぞ。ドクター・ギラーニ※2がいるだろう。」 『いないんですよ。パトリック提督が追い出しちゃって。』 「…提督?」 『すぐドクターに会いたいとおっしゃってます。』 「今行く。」 医療室の前で待っているノーグ。 ターボリフトの到着と同時にベシアに駆け寄る。歩いていたモーンにぶつかりそうになった。 ベシア:「どうしたんだ、少尉。」 ノーグ:「ドクター、ファラガット※3でパトリック提督と随行の方がいらっしゃってます。」 「ドクター・ギラーニはどうした。」 「馬鹿な質問をしすぎると、提督がおっしゃって。」 医療室のドアが開くと、中に宇宙艦隊士官が後ろを向いて立っていた。 ベシア:「ドクター・ベシア、出頭しました。」 中央の提督が声を上げた。「やっと来たか。」 こちらを向く、提督と随行員。だが 3人とも、ベシアには見覚えのある顔だった。 ベシア:「パトリック※4!」 パトリックの隣に立っていたジャック※5。「パトリック提督だ。」 反対側にはローレン※6がいる。「口には気をつけて、ドクター。」 ベシア:「ここで何してるんだ。」 パトリック:「何と馬鹿げた質問だ。」 「どうやって制服を手に入れたんだ。」 「それも馬鹿げた質問だ。」 ノーグ:「ドクターをご容赦下さい。…寝起きでして。」 ベシア:「彼らは艦隊士官じゃないよ。」 「違うの?」 ジャック:「ミュータントだ。」 ローレン:「遺伝子操作されたミュータント。わからない?」 ベシア:「研究所の人たちは知ってるのか。」 パトリック:「何と馬鹿げた質問だ…」 「そのセリフはやめてくれないか。」 ジャック:「何怒ってるんだ。セレーナを治療したがってただろ? …連れてきた!」 バイオベッドに座っているセレーナ※7。 ベシア:「…僕が言ったのは、治療の準備が整った時にってことだ。手術用の機器を更に改良しなきゃ、まだ治療はできない。」 ジャック:「それなら俺たちが手伝う。手術してやればセレーナは、俺たちみたいになれる。フンフン。」 「全く、君たち艦隊士官を語るってことがどんな大問題になるかわかってるのか!」 パトリック:「ジャック、問題になるなんて聞いてない。」 ジャック:「捕まらなかっただろ? フン。」 ベシア:「誰にも聞かれなかったのか。」 「聞かれたさ! でもその時には、パトリックがこう言う。」 パトリック:「あ…馬鹿げた質問だ。」 ローレン:「これが恐ろしく効くのよね。」 ノーグ:「確かに。」 パトリック:「わしらはどうなるんだ?」 ベシア:「心配いらないよ。僕が話を通しておくから、何とかね。」 セレーナに近づく。「やあ、セレーナ。覚えてる?」 ジャック:「もちろん覚えてるさ。頭はいいんだ。」 ローレン:「自分にこもりがちなだけよ。」 パトリック:「本当にセレーナを治してやれるのか?」 ベシア:「できる限りの、手は尽くすつもりだ。約束する。」 |
※1: Nog (エイロン・アイゼンバーグ Aron Eisenberg) 前話 "Take Me Out to the Holosuite" 「がんばれ、ナイナーズ!」に引き続き登場。声:落合弘治 ※2: Doctor Girani ※3: U.S.S.ファラガット U.S.S. Farragut ネビュラ級 (NCC-60591) は DS9第102話 "Nor the Battle to the Strong" 「戦う勇気」で破壊されたため、エンサイクロペディアでは映像中に登場するエクセルシオ級の船とみなしています。この部分は訳出されていません ※4: Patrick (マイケル・キーナン Michael Keenan) ※5: Jack (ティム・ランサム Tim Ransom) 声:堀内賢雄、VOY 初代バークレイ ※6: Lauren (Hilary Shepard-Turner) ※7: Sarina (Faith C. Salie) 以上 4人とも、DS9第133話 "Statistical Probabilities" 「封じられた最終戦略」以来の登場 |
本編
ベシアに話すシスコ。「提督と随行員になりすました? 事を荒立てないように本部に話せと言うなら、もっともな理由を聞かせてもらいたい。」 ベシア:「セレーナに治療を受けさせたかっただけなんです。善意ですよ。」 笑うシスコ。「善意だと? 彼らは軍事機密をドミニオンに流そうとした時にも、君は善意だと言ってたな。」 ベシア:「人助けをしようとして…」 「ドクター! …君と同様遺伝子操作を受けている彼らの肩をもちたいのはよくわかる。だが彼らはいつも、ほかの誰もが尊重する社会のルールというものを全く無視しているんだぞ。」 「社会生活をすることを許されてないからじゃないですか!」 「遺伝子操作を受けた者に対する連邦の方針をうんぬんしている時じゃない。今基地にいる彼らの処遇をどうするかの判断が迫られている。」 「わかってます。許可さえ頂ければすぐ…セレーナの治療を始めたいんです。」 「それは先方の研究所の許可を、得ているということか?」 「治療計画が、許可されました。ドクター・ロウズ※8から、セレーナの法的後見人ですが、既に承諾を得てます。」 「この治療法は、まだ実験段階じゃないのか。」 「成功するという保証はありません。でも上手くいけば全てが変わるんです。セレーナには、ジャックやほかの 2人に見られるような行動障害があるわけじゃありません。自分自身の心に囚われてるだけです。自由になれるかもしれない。まだ 2、3、技術的な問題点はありますが、それはもう解決のめどは立っています。」 「かなりの労力を…注いだようだな。」 「僕の使命ですから。一歩間違えば、僕もセレーナのようになってました。僕の場合、予想外の副作用がたまたまなかっただけです。」 「…いいだろう。本部は任せろ。セレーナは君に預ける。」 「ありがとうございます。」 「ほかの 3人は研究所へ戻すよう手配しておく。」 「お言葉ですが、もうしばらく滞在させてもらえないでしょうか。」 「その理由は?」 「セレーナは 15年、彼らと一緒でした。治療が成功するとして、コミュニケーション可能になった時、見慣れた顔があれば、心強いと思うんです。」 「なら…貨物室に、部屋を用意させるとしよう。」 「感謝します。」 「外には出さないようにしてくれ。前回のように、あちこちでトラブルを起こされちゃかなわないからなあ。」 「それはないようにします。」 「君が責任をもてよ? ああ、それともう一つだ。早く制服を引っぺがせ。」 「了解です。」 司令官室を出るベシア。 セレーナの髪を解かすローレン。「あなたってほんと可愛いわね。」 ジャック:「何で俺たちがやるんだ。」 パトリック:「もっとそっち。」 2人でテーブルを動かしている。 「ここか?」 「もうちょい左。」 テーブルを置き、飛び乗るジャック。 パトリック:「これじゃ前の時と違うよ。」 ジャック:「ああ…だったら何だって言うんだ。」 ローレン:「ずれてる。」 「うるさいな!」 テーブルを蹴るジャック。「これでどうだ。」 パトリック:「良くなったな。」 ドアが開いた。「来たぞ!」 中に入ったベシアに尋ねるジャック。「どうだった。大佐は何て?」 ベシア:「OK が出た。」 ジャックは喜ぶ。「な、な? 連れてくりゃ大丈夫だって言っただろ?」 パトリック:「ジャックの言った通りだ。」 「あとは、俺たちで手術だ。」 ベシア:「俺たち?」 「…手伝いが必要だろ?」 ローレン:「あんたいつ医者になったの?」 「あんなの難しかない。」 ベシア:「気持ちはありがたいけどね。」 「そうか、わかったぞ。手柄を独り占めか。」 「そんなんじゃない。セレーナに一番いい方法をとりたいだけだ。」 「いいさ! どうせ俺は忙しいんだ。新計画でな。」 「よかったじゃないか。どんな計画なんだ。」 「盗むつもりだろ。」 笑うパトリック。 ベシア:「まあがんばってくれ! それと頼みがあるんだ。制服を脱いでくれないか。」 泣きそうになるパトリック。 ベシアはセレーナに近づく。「セレーナ。医療室でいくつかテストをしたいんだけどね。構わないかな。」 ローレン:「痛くないか心配してるわ。」 「痛くないよ、約束する。」 「この人優しいから。ほんと優しいの。変な期待しないでよ? 私たちはもう終わったんだから。新しい男見つけたの。あのちっちゃいキュートなフェレンギ。」 「ノーグか。」 「妬いてるの?」 笑うローレン。「やだ、可愛い。」 ベシアはセレーナを連れて行く。 パトリック:「早く帰っておいで。」 貨物室を出た 2人を見送るローレンたち。 バイオベッドに座っているセレーナ。 ベシア:「セレーナの大脳皮質は遺伝子強化されていて、情報処理速度が普通の人間より相当速いんだよ。ただ一つ問題がある。視覚と聴覚システムだ。脳に刺激を送るのが追いついてないんだよ。情報がシンクロせず、それで周囲の状況を把握できないんだ。」 隣の部屋でオブライエンに説明している。モニターに脳の状態が表示されている。 オブライエン:「視覚と聴覚をスピードアップできるのか?」 「視床に新たなシナプスが育つよう、刺激するんだ。ってことは…つまり、原子レベルで神経タンパク質を操作しなきゃならない。」 2人の前には機械が置いてあった。 「とすると問題だ。こいつは最先端の神経皮質プローブ※9だが…そこまで精密にはできてない。」 「わざわざ来てもらったわけが、わかっただろ?」 「力にはなりたいがなあ、これじゃ解像度が足りない。とても量子の波動を、コントロールしきれないよ。これ以上精度を上げるのは不可能だ。」 「試しもしないでよく不可能だなんて言えるよな!」 「どうがんばったってこれ以上は無理なんだ。悪いな。」 「マイルズ、簡単にあきらめないでくれ。セレーナが普通の人生を送る、最後のチャンスなんだ。」 「ジュリアン、どう言われようと物理法則は変えられないんだよ!」 ため息をつくベシア。 貨物室。 がっかりした顔をするジャック。「そりゃもっともだ。物理法則は変えられない。」 表情が明るくなった。パトリックやローレンと共に言う。「でも曲げることはできる!」 拍手するパトリック。 3人の前には、新たな部品が取り付けられた神経皮質プローブがあった。 ジャック:「俺たちで画像ダイオードを改良したんだ。究極の精密さだ。針の先で踊ってる天使の羽だって見える。…そんなちっちゃい天使がいれば。」 微笑むベシア。 手術台の上で寝ているセレーナ。プローブが設置され、看護婦やベシアは手術服姿だ。 合図するベシア。 セレーナにハイポスプレーが打たれる。 プローブを使い、手術を進めるベシア。 セレーナの脳にビームが当てられる。 様々な機械を使い、治療を進める。 手術は終わった。ベッドの上で目を開いたままのセレーナ。 貨物室で待っているジャックたち。 依然として横たわったままのセレーナ。 ベシアがやってくる。「どうだ?」 反応はない。看護婦からパッドを受け取るベシア。「…セレーナ。僕の声が聞こえているのかどうか、それだけでも知りたいんだ。何かで合図してくれよ。うん? 何でもいい。どんなにかすかでも。」 ベシアはその場を離れた。 クワークの店で話すベシア。「もう 5日にもなるんだ。手術前と同じで、セレーナは何の反応もない。」 エズリ:「ジュリアン、落ち込むのはわかるけど手は尽くしたじゃないの。」 「それじゃだめなんだ。」 「…わかったわ。自分を責めたい気分なんでしょう? 手伝うわ。私自分を責めるの得意だから。そうねえ…私だったら、出来もしない約束をした自分を殴りたくなるわね。みんなに期待だけさせて、何十人の医者が失敗したのに、自分なら助けられるなんて傲慢にもほどがある。もっと続ける?」 「いいよ。大体そんなとこ。ありがとう。」 「どういたしまして。」 ベシアは店の外を見た。 エズリ:「どうしたの?」 人混みを見るベシア。「もしかして。」 立ち上がるベシアを追うエズリ。 人混みをかき分けるベシア。「失礼。」 そこにはセレーナが立っていた。周りを眺めている。 ベシア:「セレーナ。何を見てるんだい。」 セレーナは口を開いた。「…全て…。」 |
※8: ドクター・カレン・ロウズ Dr. Karen Loews DS9 "Statistical Probabilities" に登場 ※9: neurocortical probe エンサイクロペディアでは "neocortical probe" (新皮質プローブ) になっていますが、原語でも "neuro..." と聞こえます |
セレーナはゆっくりと話す。「今…聞こえた。…あ…私の考えたこと、聞こえたの?」 ベシア:「セレーナ。…君しゃべってるよ。」 口に触れ、微笑むセレーナ。 医療室の機械を興味深げに見てまわるセレーナ。エズリもいる。 ベシア:「セレーナ。ここに座って。いくつかテストをしたい。」 バイオベッドに座り、ベシアがトリコーダーで調べる。 トリコーダーに見入るセレーナ。 エズリ:「なーに?」 セレーナ:「聞いて。…いい音。」 ベシア:「そうだね。今まで気づかなかった。…おかしいな。ニューロペルネフリンの値が、微妙に上がってる。」 エズリ:「原因は何?」 「はっきりしない。」 セレーナ:「多分…大脳辺縁系が補正過剰のせいよ。新しい…ベロマイトの接続が安定すれば下がるわ。」 「それだよ。多分。」 「私…あなたが…手術の説明するのを聞いてた。それで…私のためにいろいろしてくれて…お礼…言いたいと思ってた。やっと…言えるようになった。ありがとう。」 首を振るベシア。 鏡で自分の姿に見入っているローレン。 パトリックはテーブルを指さす。「これ、動かした?」 ジャック:「どうかな、そうかもな。」 ローレン:「からかうのよしなさいよ。パトリック? それはそこでいいのよ。」 セレーナとベシアがやってきた。 パトリック:「おお…!」 中に入り、挨拶するセレーナ。「みんな…ただいま。」 パトリック:「今の聞いたか? 彼女しゃべったぞ!」 ローレン:「こんな美しい音、生まれて初めて聞いたわ!」 ジャックも駆け寄る。「連れてきたのは俺のアイデアだぞ。」 パトリック:「寂しかったよ。」 セレーナ:「私もよ…」 ジャック:「名案だったろ? ウンウン…」 パトリック:「手術は痛かったかい?」 セレーナ:「…みんなに…言いたいことが…たくさんあるの。」 笑うローレン。 ジャック:「変なしゃべり方だ。」 ローレン:「黙って。」 真似するジャック。「フンフン…『言いたいことが…たくさんあんの。言いたいことが…たくさんあるの。』」 ベシア:「ジャック!」 セレーナ:「いいの。私…変な話し方だもの。」 「大丈夫、一時的なものだ。練習で良くなる。」 ジャック:「練習か、そりゃいいアイデアだ。セレーナ、よく聞け。ドレミファソラシドー。」 音程をつけられないセレーナ。「ドレミファソラシドー。」 ジャック:「君は音痴か。」 ローレン:「音痴はあんたの方よ。ドレミファソラシドー。」 繰り返すセレーナ。「ドレミファソラシドー。」 ローレン:「良くなったわ。」 同じフレーズをジャック、ローレン、セレーナと続ける。そしてパトリックが低い音を出した。「ドー。」 手を叩いて喜ぶセレーナ。 ジャック:「いいぞいいぞ、即興でいってみよう。ローレン。」 4人はドレミだけを使った、即興曲を披露する。 拍手するベシア。 ジャック:「早く、反復。」 更にスピードを上げ、4人のハーモニーは複雑になっていく。 踊るパトリック。テーブルに横になるローレン。上に立つジャック。 オーケストラのように貨物室に響く。 楽しく歌うセレーナを、ベシアは見つめていた。 見事に歌い上げた 4人。惜しみなく手を叩くベシア。 クワークの店。 ベシア:「驚異的だったよ。2、3分でセレーナの声は生まれ変わった。普通セラピーを受けて何週間もかかるところをね。」 オブライエン:「そりゃあすごいな。ジュリアン…」 「彼女が疲れてるのはわかったけど、医療室へ連れてった。睡眠中の神経活動を、モニターする必要があったしね。だけどまだほんとに信じられないよ。昨日彼女は石のようだったのに、今日の彼女は歌って笑って…君にも見せたかったね。」 「見たかったが、ここで待ちぼうけくってた。」 「…今日木曜か?」 「でなきゃここでずっと待ってるわけないだろう?」 「ああ…悪い、忘れてた。」 「いいんだよ。」 モーンが奥にいる。「モーンの 17人の兄弟の近況が、たっぷり聞けたしな。もう行かないと。明日朝早いんだよ。」 「マイルズ、うっかりしててすまない。」 「いいんだよ。…彼女、よかったな。お前のためにもさ。」 ベシアが鼻歌を唄いつつ、部屋へ戻った。 ソファーにセレーナが座っている。 ベシア:「セレーナ。ここで何してるんだ。どうやって入った。」 セレーナ:「アクセスコードが、たったの 6桁で簡単だったの。」 「どうかしたのか。」 「…眠れなかったから。」 「…ナースに言えば薬をくれたのに。」 「私、眠りたくない。」 「どうして。」 「…また前の私に戻るかもしれないわ。そしたら…」 セレーナの肩に触れるベシア。「それは、ありえないよ。」 セレーナはベシアの肩に頭を預けた。 ベシア:「君の人生は変わったんだ。君の未来は、まばゆいばかりの可能性に満ちてる。きっと…君は今まで想像もしなかったようなことができるようになるよ。怖がることは何もないんだ。…セレーナ?」 セレーナは眠っていた。 ベシアは仕方なく、そのままソファーに座り、セレーナの肩を叩いた。 |
ベシアはまだ眠っているが、セレーナは既に目を覚ましてパッドを見ていた。 ベシアが起きたことに気づくセレーナ。「おはよう。」 ベシア:「おはよう。」 「L2 コードンを計算に入れなかったでしょ?」 「え?」 「だから突然変異したのよ。RNA 転写にターゲットを絞らなきゃ。朝食は?」 「L2 コードンだって? …そうか、何で気づかなかったんだ?」 レプリケーターを操作するセレーナ。 ベシア:「セレーナ。君は天才だ。何ヶ月も研究してたのに。」 セレーナ:「きっとすぐ気づいたわよ。」 「それはどうかな。ありがとう。」 「少しでも役に立てて嬉しい。私の恩人なんだもの。」 通信が入った。『医療室よりドクター・ベシア。』 ベシア:「何だ。」 『ドクター・ギラーニが、オペの補助をお願いしたいそうです。』 「すぐに行く。…僕は 2、3時間身動き取れなくなりそうだ。その間、何かやりたいことは。…基地を見て回る? エズリに案内を頼むよ。」 セレーナ:「いいの。ジャックやみんなのところへ行ってるわ。」 「そうか。誰かに貨物室まで送らせる。じゃ、オペが済んだら僕もそっちに行くからね。」 「あ、待って。朝食食べなきゃ。」 差し出した食べ物を受け取るベシア。「ありがとう。」 部屋を出て行く。 コンピューターに表示された概略図。 ジャック:「つまり宇宙の膨張は、ある時点で止まってしまうんだ。そして徐々に収縮し始めるんだよ。手遅れになる前に何とかしないと。」 パトリック:「時間はどれぐらいある?」 「たった 60兆年。長くて 70兆。」 「大変だ。」 ローレンはパッドの写真を見ている。「ノーグってハンサムじゃない?」 パトリックが近づく。 ジャック:「2人とも何してるんだ。もう時間がないんだぞ。」 セレーナが戻ってきた。 ジャック:「セレーナ! 助かった。こいつら俺の話を聞きゃしない。」 セレーナ:「どうしたの、ジャック。何かあった?」 「物質が多すぎるんだ。この宇宙は、重すぎて、今に潰れちまう。」 ローレン:「荷物を軽くしないとね。」 「そうそう…そうなんだ。質量を減らす方法を考えないとな。」 セレーナ:「宇宙全体の質量?」 「まさしくその通りだ。」 「可能なの?」 パトリック:「それを今みんなで考えてるんだ。」 ローレン:「亜空間を自在に操れるとしたら?」 ジャック:「フンフン…フーン、宇宙の原理※11を変えるわけか。いいねいいね…」 パトリック:「それいいね。」 セレーナ:「…宇宙の原理は誰にも変えることはできない。」 ジャック:「…セレーナ、わかってるのか? 俺たちはこの宇宙を救おうとしてるんだぞ。なのにお前は文句ばっかりだ!」 「ごめんなさい。」 「わかりゃいい! どこまで話した?」 パトリック:「亜空間を操る方法。」 「そう、それだ。」 ため息をつくセレーナ。 廊下。 ベシアは貨物室へ入った。 独りで椅子に腰掛け、静かなセレーナがいる。 ジャック:「ドクター!」 テーブルに乗り、宙返りして降りる。「よく来たな。」 ベシア:「彼女、大丈夫?」 「セレーナ、大丈夫か?」 反応がない。 ジャック:「ああ、大丈夫だ。」 セレーナに近づくベシア。 ジャック:「艦隊本部と話をつけてくれ。亜空間フィールドジェネレーターがいる。山ほどな。」 ベシア:「話は後にしてくれ。」 「後? 後なんて言ってたら『後』がない。」 パトリックたちのところへ戻るジャック。「フィールドジェネレーターさえ手に入れば…」 「セレーナ。」 笑顔が戻るセレーナ。「何?」 ベシア:「どうかしたのか。」 「いいえ、みんなこの方が慣れてるから。時々戻ってみるの。」 話し続けるローレン。「…それじゃめちゃくちゃになるわ…」 ベシア:「セレーナ、もうちょっとしたら、クワークの店に友達が集まるんだ。よかったら君も一緒に来ないか。」 セレーナ:「…私が?」 「行きたくない?」 うなずくセレーナ。 ジャック:「いつ行けばいいんだ?」 ベシア:「いや…」 ローレン:「私たちは呼ばれてないのよ。その娘だけ。」 ジャック:「そういうことか。」 パトリック:「そんなのずるいよ。」 ローレン:「野暮言わないの。いらっしゃい、セレーナ。仕度しなきゃね。」 手を差し出す。 立ち上がるセレーナ。 ベシアは待っていた。 ジャックとパトリックが見つめる。 ローレン:「お待たせしたかしら。ほら出てきなさいよ。」 服や髪型を新しくしたセレーナが、後ろから出てきた。 ローレン:「私やるでしょ?」 クワークの店に入るセレーナ。「人がいっぱい。」 先に席に座っているエズリ。「ほら来たわ。」 オブライエン:「こりゃ別人だなあ。」 オドー:「美人だ。」 「ああ…。」 ベシアが近づく。「みんな、こちらセレーナ。僕の友達だよ。」 オドー:「オドーだ。」 キラ:「ネリスよ。」 オブライエン:「マイルズだ。」 セレーナ:「覚えてるわ。ジュリアンの親友ね。」 「…まあ、馬は合うかな。」 ベシア:「いつもじゃないけどね。」 セレーナ:「どうして、違う振りするの?」 エズリ:「男だからよ。感情を表現するのが苦手なの。」 「…オドーは?」 キラ:「典型よ。彼って何にも口に出さないんだから。」 「でも手をつないでる。手が愛を語ってるわ。」 二人の手は互いに握られていた。 オドー:「ありがとう。」 オブライエン:「ジュリアン、君も友情の証を行動で示してみろよ。酒をおごるとか。」 笑うエズリ。 笑ってフェレンギ人を呼ぶベシア。「ブロイク、頼む。」 歩きながら話すセレーナ。「いい人たちね、みんな。もしもアトラスに代わって地球を支える人を選ぶとしたら、マイルズでしょうね。きっと笑顔でやるわ。キラは、揺るぎない自信をもった人。オドーはそこに惹かれたのね。彼女なら信じられるから。」 ベシア:「エズリはどう。」 「自分が他人の寄せ集めじゃないって気づけば、すごい可能性が開けるわ。」 「ほんの 2、3時間でそこまで見抜くなんてすごいね。僕もポーカーフェイスの練習しないとな。」 「手遅れよ。あなたのことはもうお見通し。」 「そうなのか? じゃ僕はどんな人間。」 「優しくて、頭脳明晰で、寂しがり。」 「そうか、2つは悪くないな。」 「どの 2つ?」 「どれって、わかるだろ。…友達を気に入ってくれて、僕も嬉しいよ。」 「…くつろいだ気分になれたわ。誰かが急にかんしゃくを起こしたり、泣き出したりするんじゃないかって心配しなくていいし。」 「そういうのは会議の時だけだからね。」 「ジャックはいつも言ってるの。私たちみんな天才なんだって。だからこそ閉じこめられるんだって。でもそうじゃない。ジャックはとても普通の世界ではやっていけないわ。ローレンやパトリックもそう。」 「だから研究所にいたんだ。実はドクター・ロウズに彼らをすぐ戻すよう言われてる。」 「…私は一緒には行かないのね。」 「その必要はない。もう今はね。」 「みんな知ってるの?」 「まだだ。」 「…物心ついた頃から家族みたいなものだったの。」 「大事に思ってるのはわかってる。」 「困った人たちではあるけど、寂しくなるわ。私たち 4人だけの世界があったから。……遺伝子強化された女の子は、長い眠りから目覚めて何をすればいいの? 宇宙に瞬く小さな星を目指す? 独り荷造りして、自分の人生を歩くの?」 「ここに残ってもいいんじゃないか?」 微笑むセレーナ。 ベシアは、セレーナと口づけを交わした。 |
※11: 宇宙定数 cosmological constant |
貨物室で話すベシア。「セレーナは君たちとは一緒に行かない。」 パトリック:「行かないの?」 「彼女はここに残る。」 ローレン:「そういうこと。ハ、一緒に住むんだ。」 「ここで独り暮らしできるよう、手配したよ。」 パトリック:「二度と会えなくなるのか?」 ジャック:「あんたにそんな権利はないぞ。」 ベシア:「気持ちはわかるが、何が一番か考えてやってくれ。」 「こんなことになるなら、あんたに手を貸したりしなかった。」 「ジャック、自分の気持ちばかり押しつけるな。彼女の身になれ。彼女はもう君たちとは違うんだ。」 「俺たちが普通じゃないからか? おかしいからか? ん?」 「よせ、ジャック。」 パトリック:「セレーナみたいに普通にしてくれよ。そしたら一緒にいられる。」 ローレン:「ほら、ジュリアン、言いなさいよ。私たちは治せないんだって。手の打ちようがないって。」 ジャック:「俺は普通に何てなりたくないね。俺たちの方が優秀だ。宇宙の収縮を止められる人間がどこにいる、フンフン? …仕事に戻ろう。」 3人はコンピューターの前に戻った。 プロムナードで話すベシア。「かなり、ショックだったようだ。」 セレーナ:「…私が話してくるわ。」 「明日にしよう。彼らにも少し…考える、時間をやろう。…そうだ、気晴らしにいいものがあるぞ。」 回転するダボホイール。 動きが止まった。声があがる。「ダボー!」 オブライエン:「信じがたいねえ。」 ベシア:「秘訣を教えてやって。早く!」 ダボをしているのはセレーナだ。「二項連立方程式を計算して、確率を割り出すだけなの。」 慌ててクワークがやってきた。 ベシア:「従属変数のトラック方法を言ってやって!」 セレーナ:「…でもあんまり面白くないから。」 また歓声が上がる。「ダボー!」 クワーク:「いやー、もう…今夜ほんとに盛り上がったなあ。ゲームはそろそろこの辺で切り上げて、スプリングワインでくつろぐってのはどうだ?」 セレーナ:「そうする?」 ベシア:「これ以上君に勝たれると困るだから、言ってるだけだよ。」 クワーク:「今日のワインは店のおごりだって言ったか?」 エズリ:「ジュリアン、そうしましょう。」 ベシア:「でも勝ってるんだぞ。」 セレーナ:「…十分楽しんだから。」 クワーク:「こっちだよ。さあ、こっち。通して、とおして! エズリ、こっちだ。」 まだゲームは続く。「ダボー!」 クリンゴン人に弾き飛ばされ、ウェイターが皿を落としてしまった。その大きな音に反応するセレーナ。 ベシア:「…セレーナ? こっちだよ。」 セレーナ:「ジュリアン、ねえもう帰らない?」 二人はクワークの店を出て行った。 謝るベシア。「…悪かった。楽しんでるとばっかり。」 セレーナ:「楽しかったわ。ただ、あんまり騒々しかったから。きっと疲れてるんだわ。」 「そうだ、明日の夜、僕の部屋で静かに二人で食事しないか。もうすぐ休暇だから、一緒にライサへ行くのもいいな。うるさい連中から離れて、二人っきりになれる。」 「いいわ。」 「じゃあ、ゆっくり休んで。」 キスをする二人。 セレーナは部屋へ入った。 プロムナード。 ベシア:「彼女最高なんだ。あんな娘はどこ探してもいない。天才なのに、無邪気で、彼女には全て新鮮でこっちまで心が洗われる。どんな些細なことにも感激して喜ぶんだ。僕らがすっかり当たり前に思ってるようなことにもね。」 レプリケーターを修理しているオブライエン。「コーヒーとか?」 ベシア:「そうコーヒーや、音楽や、星の瞬きや。」 「こいつ一体どうなってんだ。」 「おい、聞いてるのか。」 「聞いてるさ。ああ…コーヒーに音楽に星な。」 「じゃ何とか言えよ。」 「ほんとに惚れたんだな。…こんなお前見たのは久しぶりだ。俺も嬉しいけどな。少々ことを急ぎすぎなんじゃないのか?」 「遺伝子操作をつけたものは何でも早いんだよ。」 「…だけど、お前の患者だろ?」 「いいや、今後のケアはドクター・ギラーニに頼んだ。」 何も言わないオブライエン。 ベシア:「マイルズ、これが僕にとってどんなに大きいことかわかるか。僕はずっと遺伝子操作を受けたことを隠してこなきゃならなかった。社会不適合者のミュータントだって言われてるのを、ただ黙って聞いてきた。でも僕みたいな人もいるんじゃないかって、ずっと夢みてた。普通に暮らせる人がね。その夢が、現実になったんだ。わからないか。待ち続けた人に、やっと出会えたんだよ。」 オブライエン:「…がんばれよ。」 ベシアの肩を叩き、作業に戻る。 ベシアはろうそくに火をつけた。「コンピューター、音楽。そうだな、ロマンチックなのを。」 演奏が始まった。 既にろうそくの火は消えている。 ベシア:「コンピューター、セレーナ・ダグラス※12はどこだ。」 コンピューター:『セレーナ・ダグラスは居住区の自室にいます。セクション 27 イプシロン、通路 H-6。』 席を立つベシア。 ベシアはセレーナの部屋の前にやってきた。ドアチャイムを叩く。「セレーナ、僕だ。」 返答がない。 ベシア:「コンピューター、ドアロック解除。承認コード、ベシア・デルタ 5・7 アルファ。」 ドアが開いた。中にはセレーナがいたが、外を見つめたままだ。 ベシア:「部屋でずっと待ってたんだぞ。」 何も言わないセレーナ。 ベシア:「セレーナ?」 近づく。「どうしたんだ?」 セレーナは以前のように、無表情のままだった。 ベシア:「セレーナ。」 |
※12: Sarina Douglas ラストネームは初言及 |
セレーナが診察されている。 ベシア:「手術で作った、視覚神経経路は機能してる。ただ、全く神経反応が起きてないのがわかった。」 エズリ:「原因の検討はついてるの?」 「お手上げだよ。まるで突然糸が切れたみたいで、彼女が自分で戻ってくるのを待つしかない。」 ギラーニ:「ドクター、どうぞ。」 ベシア:「セレーナ。」 手を握る。「大丈夫だよ。怖がることないんだ。僕は君をあきらめないよ。絶対に。」 脳の状態がモニターされている。 ベシアは、眠っているセレーナの額にキスした。 セレーナの近くで、床に座ったまま寝ているベシア。 セレーナは貨物室にいる。 ベシア:「まるで原因がわからないんだ。君らの助けがいる。」 ジャック:「そんな義理はないね。俺たちから奪おうとしたくせに。」 「あれを見ろ! セレーナが死ぬまであのままでいいって言うのか! 何とか意識を呼び戻そうとしたけど、僕の声は届かないんだ。もうだめだ。でも君らなら、できるかもしれない。彼女を誰よりも一番知ってるのは君らだ。頼むよ。失いたくない。」 ローレン:「…わかったわ、しばらく預からせて。様子見るから。」 「ありがとう。」 ディナーの準備がされたままの自室に戻るベシア。 ソファーに横になる。 コンピューターをボーっと見つめているセレーナ。 離れたところにいるジャック。「確かか?」 パトリック:「絶対だよ。」 ローレン:「彼に言わなきゃ。」 ジャック:「何で。このままなら一緒にいられるだろ。」 ローレンはドアロックを解除した。「行きましょ。」 ドアが開いた。ジャックは少しためらったが、外に出る。 廊下を歩く 3人。分岐路にさしかかった。 ジャック:「こっちだ。」 ローレン:「こっちよ。」 パトリック:「通り過ぎたかな。」 保安士官※13がやって来た。「どうしました?」 パトリック:「何と馬鹿げた質問だ。」 歩いていく。 ジャックも続く。ローレンは保安士官に顔を近づけつつ、2人の後を追った。 ドアチャイムが鳴った。 疲れた様子のベシア。「どうぞ。」 3人が入った。 ローレン:「話があるの。」 ベシア:「セレーナのこと?」 うなずくローレン。 ジャック:「言えよ!」 パトリック:「あの娘、口は利けるのに怖がってる。」 ベシア:「でも、怖がってるって何を。」 ローレン:「わからないわ。」 ジャック:「あんたと関係があるとにらんでる。」 ベシア:「…話をしてみる。ここにいて。」 部屋を出る。 無表情のセレーナに話すベシア。「セレーナ。しゃべってくれ。頼む。しゃべれるんだろ? ……どうしたんだ。僕のせいか。何も怖がることなんてないんだ。君を…治すためなら、どんなことだってするから。愛してるんだ。君と一緒になりたい。君は…どう思ってる。」 セレーナは口を開いた。「…わからないわ。私、愛ってどんなものか知らないの。もう何もわからない。」 ベシア:「セレーナ…」 「私どう振る舞えばいいの、どう感じればいい? 教えて、あなたに喜んで欲しい…」 「よせ…」 「恩人だもの。」 「シーッ。恩なんてやめてくれ。」 セレーナを抱き寄せるベシア。「そんなこと、思わなくていい。」 「ごめんなさい。あなたを愛せたら、どんなによかったか。」 「シーッ。」 プロムナード。 レプリマットで独りでいるベシア。 オブライエンが気づき、座った。「おはよう。…彼女は?」 ベシア:「もうすぐシャトルが出る。」 「ほかの連中は?」 「もう研究所へ発ったよ。」 「…お前彼女に、コーガル研究センター※14での仕事を世話してやったんだって?」 「インターンでね。あそこの研究員の家に滞在して、働くことになる。」 「…大丈夫か?」 「…我ながら、あきれるね。目覚めたばっかりの彼女をあちこち連れ回して。リハビリが必要だったのに。もうちょっとで、また手の届かないところへ追いやるとこだった。僕は彼女の医者だったのに、患者のことより自分の感情を優先してたんだ。」 「もう独りは嫌だったんだろ? 誰でもそうさ。 ……もう仕事に行くよ。今夜食事に来ないか。ケイコが天ぷら※15を作るんだ。」 「…やめとく。」 歩いていくオブライエン。 人々がエアロックに集まっていく。 荷物を持ったセレーナと共に、ベシアもやってきた。「……君はこうして、宇宙でちっちゃく瞬いてる星へ、独りで向かってくんだね。」 セレーナ:「ええ、そうね。遺伝子操作を受けた女の子は眠りから目覚めて、自分の人生を歩き始めるの。……もう会えないのね。」 「寂しくなるな。」 「忘れないでね。」 「一生…忘れない。」 連絡が入る。『最終搭乗案内です。』 セレーナ:「…もう行かなくちゃ。」 二人は口づけをした。 シャトルへ向かうセレーナを見ることなく、ベシアは立っていた。 ドアが閉まる。 プロムナードの窓から、飛び立つシャトルを見送るベシア。 シャトルは DS9 を離れていった。 |
※13: Security officer (Randy Pflug) ※14: Corgal Research Center ※15: tempura さすが日本人! |
感想
前シーズンの「封じられた最終戦略」に直結するエピソード。原題の「さなぎ」が意味する、前回は全くしゃべらなかった (しゃべれなかった) セレーナにスポットが当てられています。興味深いことに、前回は脚本段階ではセレーナのセリフはあったのですが (ベシアが拘束され、セレーナと 2人だけになるシーン)、それが消えたことで今回の内容が引き立っていますね。 展開がゆっくりしているため、じっくり味わうタイプの話です。ベシアの恋愛は考えてみればリータ以来なんですよね。やはり際だっているシーンは「四重奏」ですが、もちろん 4人とも本人の声です。中でもジャック役のランサムは、音楽の経験がある他の 3人に比べて苦労したとか。 |
第154話 "Take Me Out to the Holosuite" 「がんばれ、ナイナーズ!」 | 第156話 "Treachery, Faith and the Great River" 「予期せぬ亡命者」 |