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ディープスペースナイン エピソードガイド
第2話「聖なる神殿の謎」(後)
Emissary, Part II

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・イントロダクション
※1報告するオブライエン。「スキャナーによればカーデシアのエネルギーの分配ネットに変動が見られます。」
キラ:「…敵の中枢は麻痺。シールド、センサーも停止。オドー、よくやったわ? 司令室からリオグランデ。作戦成功。」

通信を聞いていたシスコ。「ではシャトルを発進する。」
DS9 を発つリオグランデ。

司令室のキラ。「オドーが転送地点に到着したわ。」
オブライエン:「ロックオンします。」 操作するが、転送台には変化がない。「カーデシアの転送機は初めてなもので。」 まだ駄目だ。
オブライエンは怒った。「クソー、どうなってるんだ!」 コンソールを蹴る。
その瞬間、オドーが転送されてきた。
キラ:「よくやってくれたわ。※2
転送台を降り、うなずくオドー。

リオグランデは DS9 を離れていく。


※1: このエピソード (後編) は 1993年度のエミー賞で音響編集賞および音響ミキシング賞にノミネートされています

※2: 原語ではこの時初めて、オドーのことを "Constable" (巡査、警官) と呼んでいます。エンサイクロペディアでは正式な肩書きではなく、一種の愛称とされています。吹き替えでは「オドー」のままや「保安主任」とされる場合も

・本編
リオグランデ。
ダックス:「グリッドパラメーターに接近。」
シスコ:「推力 4分の1 に落とそう。」
「コンピューター、コース 23、マーク 217 の映像をズームアップ。レンジ 3,100キロ。」 モニターに表示される。

DS9 でも 2人の通信を聞いている。
ダックス:『センサーによるとプロトン値が異常に高いわ?』
シスコ:『同地点にコースを変更する。』

向かうリオグランデ。
ダックス:「現在外界波の強度が急速に上昇中。あ、待って。安定したわ。このキャビンには全く影響が見られない。そんなことあるのかしら。」
その時、ランナバウトの前方が光った。
リオグランデの前に、巨大な天体現象が出現する。
それは宇宙に開いた穴のようで、船を飲み込んだ。
消滅し、空間は元通りになる。

色とりどりの内部を航行するリオグランデ。
シスコ:「センサーが停止したぞ。」
ダックス:「ステーションとの交信も不通になったわ?」

報告するオブライエン。「シャトルの送信地点で、大規模な亜空間変動が見られます。」
キラ:「シャトルに何が起こったの。」
「わかりません。」
キラはオブライエンを見た。
オブライエン:「消えました。」

内部を進むリオグランデ。
シスコ:「ナビゲーションシステムが完全にイカレてる。」
ダックス:「時間をかければ調整できるわ?」
「時間などない。」
揺れるランナバウト。
また宇宙空間に穴が開き、リオグランデが出てきた。
口は消滅する。
シスコ:「現在地を特定できないか。」
ダックス:「5光年先に、恒星が一つあるわね。Mクラスの惑星はなし。コンピューター、一番近い星系は何かしら。」
コンピューター:『イドラン※3星系。Oタイプの伴星を 2つもつ三連星です。』
シスコ:「イドラン? そんなバカな!」
ダックス:「コンピューター、そう判断した基準は何?」
コンピューター:『22世紀にクアドロス1号探査機※4がガンマ宇宙域※5で行った調査の結果に基づいています。』
シスコ:「ガンマ宇宙域? ベイジョーから、7万光年も先だ。ワームホールを通ったとしか思えない。」
ダックス:「こんなワームホール初めてよ? 共鳴波が全く発生していなかったわ?」
「例の発光体はこれを抜けて、ベイジョー星系へ来たのかもしれない。」
「十分考えられる仮説だわ?」
「だとすれば、このワームホールは 1万年も前から、ここにあったことになる。ダックス、これほど安定性のあるワームホールがあるなんて、大発見だ。戻って報告しよう!」 微笑むシスコ。
リオグランデは引き返し、再び開いたワームホールに入った。

操作するダックス。「フライトプログラムを、この時空環境に合うよう大急ぎで補正してるところよ? 今に機体が安定すると思うけど。」
表示を見るシスコ。「推力を落としたのか。」
ダックス:「いいえ、どうして?」
「失速してるぞ。」
だんだんとスピードを落とすリオグランデ。
ダックス:「時速 80キロまで速度低下。」
コンピューター:『推力システムに異常発生。12秒後に自動停止装置が作動します。』
シスコ:「エンジンを停止する。」
ダックス:「現在時速 20キロまで低下。」 コンピューターを見る。「ここには大気があるわ?」
シスコ:「ワームホールの中に大気が。」 前の窓は、真っ白な光だけになった。
ダックス:「生命が存在してるかも。」
大きく揺れた。
ダックス:「着陸したようね。」
シスコ:「一体どこに。」

シスコが外に出ると、そこは暗い岩場だった。
どこまでも山と谷が続き、空には厚い雲がかかっている。雷も激しい。
ダックスが外に出ると、そこは緑に囲まれた穏やかな森※6だった。
シスコが先に歩いているのが見える。微笑み、歩き出した。
ダックス:「素敵なところねえ?」
シスコ:「変わった趣味の持ち主だな、君は。」
「こんなにのどかで気持ちのいいところは、そうはないと思わない?」
「この岩場の、どこがのどかなんだ? 嵐まで来てるぞ。」
「雲一つないいいお天気に見えるわ?」
近くで音がした。発光体が浮かんでいる。
シスコ:「あれは見えるか。」
ダックス:「ええ。」 トリコーダーで調べる。
そこからビームがシスコの身体に向けられた。
ダックス:「低レベルのイオン波よ? こっちを調べてる。」
ダックスにも照射されるビーム。
シスコ:「この土地流の挨拶かもしれないぞ。」
発光体は急に移動していく。空中に留まった。
シスコ:「私はベンジャミン・シスコ中佐だ。惑星連邦に所属している。」
その瞬間、発光体からエネルギーが 2人に向けられた。吹き飛ばされる。
倒れた 2人。ダックスが立ち上がると、風景に異常が現れた。
森と岩場が交互に見えている。
叫ぶシスコ。「ダックス!」
ダックスは光に包まれ、その場所には発光体だけが残った。
光を発しながら移動していく。
倒れたままのシスコ。地鳴りが響いた。
地面が割れ、白い光が露わになる。
次々と割れていき、シスコは光に飲み込まれた。

光の中にいるシスコ。心臓の鼓動が聞こえる。

ワームホールが開き、発光体が出てきた。

DS9 のオブライエン。「またニュートリノ変動だ。」
キラ:「シャトルが消息を絶った付近に何か物体があるわ? …船じゃないわね。」
「その内部に何かいます。何らかの生命体です。」
「カーデシアもこれを探知しているかしら。」
「きっと、気づいているでしょう。」 モニターに物体の場所が映る。「条件は同じだと思った方がいいかと。」
「警戒警報。防御態勢。物体を転送で回収して。隔離フィールドを張るのを忘れないように。」
「了解。転送します。」
転送される発光体。その直後、光と同時にダックスが姿を現した。

光の中のシスコ。

水着姿のジェニファー。

ボールを受けるキャッチャー。

シスコの耳に触れるオパカ。

スクリーンに映ったロキュータス。

シスコは尋ねた。「お前は誰だ。」

ジェニファーとキスするシスコ。

産まれたばかりのジェイク。

釣りをするジェイク。

サラトガにいるドラン。

もう一度尋ねるシスコ。「何者だ!」

水着のジェニファーは言った。「一つの肉体よ? 物質的存在。」

意味をつかめないシスコ。「何だと? どういう意味だ。」

エンタープライズにいるピカード。「視聴覚的な刺激に反応する存在とも言える。言語交信が可能だ。」
シスコもその場にいた。「なるほど、言語交信ということは…言葉でコミュニケートできるんだな。」
シスコの顔に手が伸びた。

オパカだ。「あなたは、何者?」
シスコ:「人類と呼ばれる種族だ。地球という惑星から来た。」

釣りをしているジェイク。「地球?」
シスコ:「今見てる美しい星だよ。…お前と私は、全く種が違う。だからきっと、お互いを…理解するには時間がかかるだろう。」
「何なの、その…時間って?」
言葉が出てこないシスコ。

光の中にいる。

『副司令官日誌、宇宙暦 46392.7。現在、シスコ中佐の救出作戦を準備中。まずはダックス大尉の情報を基に、現地の環境に合うようにナビゲーションセンサーを調整する。』
DS9。
ダックス:「非常に特殊なワームホールです。見たところ、自然に発生したものだとはとても思えないわ?」
ベシア:「だとしたら…人工的に造られたと?」
「発光体を作った何者かが、あのワームホールも造ったという可能性が高いわね。」
オブライエン:「カーデシアが動き始めました! デノリアス・ベルトへ向かっています。」
キラ:「オブライエン。…このステーションを、ワームホールの入り口に移動できないかしら。」
「これは宇宙船じゃないんですよ? 反動推進エンジンを 6基備えているに過ぎない。1億6千万キロを進むには 2ヶ月はかかる。」
「明日までには着きたいわ?」
「…そんなこと不可能ですよ。」
「あのワームホールは、この宇宙域全体の未来を切り開くものよ? ベイジョーとしては領有権を確保したいわ? 悔しいけれど、惑星連邦の後押しがあれば…こちらの主張は通りやすいでしょうね?」
ダックス:「ディフレクタージェネレーターで、亜空間フィールドを拡大できないかしら。ローレベルのフィールドで、ステーション全体を包むのよ。」
オブライエン:「そうすれば慣性質量が落ちる。」
「ステーション自体が軽くなれば、6基のエンジンでも十分移動できるわ?」
「だが失敗すればこのステーションは木っ端微塵になるでしょう。」
「上手く移動できても、現地で艦隊機のサポートが欲しいわね?」
「一番近いのはエンタープライズです。2日で、合流できます。」
「直ちに艦隊に連絡を取って援助を要請しましょう。」
オブライエンに言うキラ。「司令室を頼むわ? 大尉は私と来て。」
ダックス:「了解。」
「さあ、ドクター? 英雄になるチャンスよ。」
ベシア:「イエッサー!」
オドーも、司令室を出て行く。

プロムナードを歩くキラたちに合流するオドー。
キラ:「どうしたの?」
オドー:「保安チーフとしては同行する義務があります。」
「ここを守るのがあなたの義務よ? ワームホールでは何が起こるか予測がつかないわ? あなたの身体には害があるかもしれない。連れて行くわけには…」
「少佐。デノリアス・ベルトで私は幼い頃保護された。自分がどこから来たのか…仲間がいるのかすらわかりません。これまでずっとベイジョー人に混じって暮らしてきたが、自分が何者か知りたかった。…ワームホールの向こう側にその命題を解く答えがあるかもしれないんです。」 また歩き出すオドー。「行きましょう。」

発進するランナバウト。


※3: Idran

※4: Quadros-1 probe

※5: Gamma Quadrant
銀河系を4つに分けた区画の一つで、宇宙域が導入されたのは TNG第56話 "The Price" 「非情なる駆け引き」。連邦のほとんどの領域はアルファ宇宙域、クリンゴンやロミュランはベータ宇宙域、ヴォイジャーが飛ばされたのはデルタ宇宙域です

※6: サンマリノのハンティントン公園で撮影。なおシスコの視点である岩場は、第18ステージでの合成

シスコは振り向いた。

ピカードがいる。「やるかやられるかだ。この男を消してしまおう。」

次はロキュータス。『こいつは危険だ。』

野球選手※7がバットを振った。「攻撃的だし。悪意がある。」

ピカードは言う。「今のうちに殺すべきだ。」
シスコ:「私は敵ではない。私をここへ導いたのは君たちだ。」
「導いた。」
「あの発光体のもつ力のことだ。」
「お前は我々を滅ぼそうと企んでいる。そんな邪悪な生命体などに用はない。」
「君たちを滅ぼそうなどという気は全くない。」

スクリーンのロキュータス。『こいつを殺せ。』
シスコ:「どんな種族より我々人類は、命を尊ぶ。君たちはどうだ。」 サラトガのクルーに言う。「なぜ君たちが私を敵視するのかわからない。私は敵じゃない。それを証明させてくれ。」

オパカは尋ねた。「証明とは?」
シスコ:「人間というものは突き詰めれば経験によって決まる。経験の集積体だ。」

また釣りをするジェイクだ。「その経験って…どんなもの?」
シスコ:「思い出だ。過去の記憶。これもその一つだ。」
「過去って?」
「今よりも、前に起こったことさ。……どうやらお前にはまるでピンとこないようだな。」
「今より前と、今と、一体どういう違いがあるの? 今より先だって…今と同じでしょう?」
「お前たちの時間は、直線状のものじゃないんだな。」

海辺を歩くジェニファー。「直線状って? どういうこと?」
シスコ:「人は時間の流れのある一点に存在している。一旦その一点を過ぎてしまうと、それが過去となる。未来は逆に、いずれはやってくるが、まだ目に見えていない点だ。」
「未来はまだ見えてない?」
「つまり人間は一過性の存在だ。私を調べて本質を知れば、何も恐れる必要はないと、わかるはずだ。」

光の中のシスコ。

DS9 を取り囲む球状の亜空間フィールド。かなり乱れている。
コンピューター:『フィールドが部分的に定着。現在の不定率 12%。』
オブライエン:「部分定着だと? 現在の質量で軌道を離脱できるか?」
『現状ではお勧めできません。』
「意見を聞いてるんじゃないんだ。部分的なフィールドの定着でも移動に十分な推力が得られるかどうかを教えろよ。」
『可能です。』
「どうもありがとう! 移動モードに切り替える。飛行姿勢は現状を維持。」
部下のエンジニアが応じる。「了解。」
オブライエン:「エンジン点火。」

ドッキングリングのスラスターが起動する。
フィールドが張られ、移動していく。
コンピューター:『フィールドの定着率が低下。不定率 21%。』
オブライエン:「何としてもフィールドを補強するぞ。このままじゃステーションは粉々だ。」
『亜空間フィールドは、あと 60秒で消滅します。』
「コンピューター、慣性制動機へのエネルギーを直ちに切り替えて、亜空間フィールドを補強しろ。」
『その処置は非常に危険です。』
「いいから今すぐに切り替えろ!」
『安全規制、レベル1 を適用。その命令は無効となります。』
「無効だと?!」
『亜空間フィールドは、あと 30秒で消滅します。』
「ああ…仕方ない。手動でいくぞ。私の合図で、ディフレクターにエネルギーフローを切り替えろ。パワーバランスを保てよ。」
ベイジョー人:「了解。」
コンピューター:『フィールド消滅まで、あと 15秒。』
オブライエンは命じた。「今だ!」
同時に操作する部下。
乱れていた亜空間フィールドは安定し、移動速度も上がった。
コンピューター:『フィールドのエネルギーは航行可能状態に復帰。』
ため息をつくオブライエンたち。
女性のベイジョー人が称える。「お見事です。」
笑うオブライエン。「ああ…。コンピューター。あとでちょっと話がある。」

ランナバウト。
ダックス:「カーデシアの戦艦が接近中です。」
キラ:「スクリーン、オン。」
向かっていくカーデシア艦が映った。
キラ:「目的は一緒のようね。」
ベシア:「手を引けと警告しましょう。強く出れば引き下がりますよ。」
オドー:「ドクター、領有権争いについて言えば彼らと我々は対等な立場にいる。あのガル・デュカットが手を引くはずはないな。」
キラ:「こちらヨウスコウ※8。私はディープ・スペース・ナインから来た、キラ・ネリス少佐といいます。」
デュカットが映る。『少佐、何かな?』
キラ:「ガル・デュカット、目的地はワームホールね?」
『ワームホール。一体、どこのワームホールかな?』
「直ちに退却することを強く勧告しますわ? あのワームホールには凶悪な生物がいるの。」
『我々カーデシア人に対しては、友好的に接してくれるかもしれない。』
オドー:「デュカット。お前たちがトラブルに巻き込まれないように忠告してるんだぞ?」
『そうかな? どうやら、ワームホールの生物が例の発光体を作り出したようだな? 君たちのシスコ中佐は、その技術を調査するために行ってるんだろ。心配はありがたいが…自分の目で見ないことには凶悪かどうかわからんよ。』
通信は消え、さらにデュカットの船は離れていく。
オドーはベシアに言った。「…言ったとおりだったろ。」

光の中のシスコ。

ジェニファーが隣で寝ていた。自分を指す。「ジェニファー?」
シスコが起きあがると、そこは緑の公園※9の中に引かれたシートの上だった。
シスコ:「そうだ。それが妻の名だ。」
ジェニファー:「その女性はあなたの一部だわ?」
「私の過去の一部だ。死んだものは過去になる。」
「でも今もあなたの一部だわ?」
「ジェニファーはかつてはかけがえのない一部だったが、少し前に失ってしまった。」
「失った? どういうこと?」
「直線状の時間の中では、過去のものは取り戻せない。置き去りにするしかないんだ。つまり…失うんだ。」
「そんな考え方をする種族がいるなんてとても信じられないわ? 私達をだます気ね?」
「違う、本当のことだよ。この日も、この公園も…存在はしたが、15年前のことだ。もう遠い昔だよ。私にとっては、忘れられない大切な日だ。その後の…私の人生が、左右された。それこそが人間の、時間の本質なんだ! 現在が、未来に…影響する。」
ジェニファーは、ふと振り向いた。
反対側にもシスコとジェニファーがいた。鏡のように。当時の出来事が再現される。
起きあがるシスコ。「聞こえるかい。」
ジェニファー:「何が?」
「子供たちの笑い声ほど、いいものはほかにないよ。」
その光景を見ている、現在のシスコと異星人ジェニファー。
ジェニファー:「子供好きなのね?」
シスコ:「子供好きかどうかで、男を判断するのかい?」
「…艦隊の士官は子供を欲しがらないと聞いてたのよ。出世の妨げになるからって。」
「その前に結婚相手を探さないと、大抵の人は船の暮らしを嫌がるからねえ。」
「私の気持ちを遠回しに探ってるの?」
「…結婚して欲しい。」
ジェニファーは、シスコと口づけをした。
苦しい顔をする現実のシスコ。異星人ジェニファーは、自分の口に手を当てた。
説明するシスコ。「人間は物質的存在だ。肉体的なふれあいに喜びを感じるんだ。」
ジェニファー:「喜びって、どういうもの?」
「…気分がいいこと。幸せなことだ。」 ジェニファーを見て、悲痛な顔を浮かべるシスコ。振り向く。

ボリアンが言った。「この日のことも忘れられませんか。」 サラトガの廊下だ。
シスコ:「思い出させないでくれ。一番辛い記憶だよ。」
「なぜです。」
「この日……私は妻を、失ったんだ。悪夢の一日だ。…ここには入りたくない。」 部屋から立ち去るシスコ。
廊下に巻き起こる炎の中から、水着姿のジェニファーがやってきた。「じゃあなぜここにいるの?」
シスコ:「…それはこっちが聞きたいよ!」
「あなたは過去に留まってる。」
考えるシスコ。
その時、辺りが一面の光に包まれた。

光の中で、不快な音が響く。
シスコ:「どういうことだ。どうなってる!」

ワームホールの中を、デュカットの船が移動していた。
船体に異常が生じている。

ガンマ宇宙域に出るカーデシア艦。電流が走る。

光の中のシスコ。音は続いている。

報告するダックス。「あと 2分でワームホールに到達するはずです。」
キラ:「推力 3分の1 に減速。」
その時、前方が光り輝いた。
ワームホールが開いたが、すぐ閉じた。そして円形に広がる残留痕の後、何もなくなった。
顔を見合わせるクルー。


※7: 異星人バッター Alien Batter
(ケヴィン・マクダーモット Kevin McDermott) 声はボリアン役の大川さんが兼任

※8: U.S.S.ヨウスコウ (ヤンジーキアン) U.S.S. Yangzee Kiang
ドナウ級ランナバウト、NCC-72453。この部分は訳出されていません

※9: ゴールデンオークス農場 (ディズニー農場) で撮影。ジェイクの釣りシーンと同じ


光の中のシスコは尋ねた。「どうしたんだ、何が起こってる。」

海岸のジェニファー。「また人間が来たのよ。」
シスコ:「船が来たのか。ワームホールに。」
「ワームホール? それは何?」
「私をここへ運んできた通り道のことだ。」

顔を近づけるピカード。「それは崩壊した。」
シスコ:「ワームホールが?」
「お前たちが侵入してきたせいで全ては崩れ去った。」

立ち上がるサラトガの操舵士官※10。「あなた方人間は本質からして破壊的なのよ。」
オプス士官:「後先を考えずに軽率な行動を取っている。」
シスコ:「それは誤解だ! 先にある結果を読んで、決断を下している。」
艦長:「未来は見えないと言ったのはお前じゃないか。」
「その通りだ。」

釣り場のジェイク。「それじゃどうやって先を読んで決断してるの?」
シスコ:「過去の経験を基に判断をするんだよ。ママと出会った時も、お互いに今までの経験から、運命の相手だということがわかった。これから未来を共にしていくんだと決断した。そして結婚したが、その時はこの先に何が起ころうと全てを受け入れる覚悟があった。お前のことまで全部含めてだ。」
「僕?」
「息子のジェイクだ。」

出産直後のジェニファー。「ジェニファーとの子供ね?」
シスコ:「そうとも。」 手にジェイクを抱いている。
「この子も、あなたの一部?」
「そうだ。ジェイクは我が家の血を、受け継いでいるんだ。」
「子供たちの笑い声が聞こえる。」

ボールを受けるキャッチャー。※11
野球選手がバットを振った。「攻撃的だし、悪意がある。」
シスコも野球帽を被っている。「これはゲームだ。楽しむもんだ。息子とホロデッキでよくやってるんだ。野球っていう、ゲームさ。」
キャッチャーはジェイクだ。「野球だって? それどんなもの?」
シスコ:「きっと聞くと思ったよ。」 ケースからボールを取る。「この球をお前に投げる。もう一人のプレイヤーは、バットという棒を手に持って、そこに立つんだ。それから…ああ、その棒で球を打って、この線の間に飛ばすんだよ。」
バッターやジェイクには理解できないようだ。
シスコ:「いや…やり方はどうでもいい。それよりも肝心なのは、時間の概念。この球を投げるたびに、相手は全く違う反応を返してくる。空振りすることもあれば、打つこともある。つまり何が起こるか、わからないんだ。だから予測を立てる。あらゆる可能性を考えてベストの作戦を立てるんだ。状況を読みつつ、一球一球を積み重ねていく、ゲームなんだよ。そうして一つの試合となる。我々の過去や未来の概念も、それとおんなじだ。」
バッター:「それじゃ実際に試合が終わるまで、何が起こるかまるでわからないじゃないか。」
「そういうことさ! いいかい、最初から結果がわかっていたらゲームをやる意味などないだろう?」
ジェイク:「未来を予知する力がないのはいいことだって言うの?」
「それが我々人間を理解する鍵かもしれんな。無知ゆえに、私達は存在している。答えを求めて生きている。それだけじゃない。常に新たな疑問も探し求めているんだ。開拓者のように、一日一日と、人生を切り開く。そして宇宙を探索し、知識を広げたいと、思っている。そのために、私はここに来たんだ。君たちを征服するためじゃない。ここに来たのは……君らと共存し、学ぶためだ。」

ボリアンがいた。「だとしたらなぜあなたは、過去に留まっているんです。」
目の前でジェニファーが死んでいることに気づいたシスコは、すぐに離れた。

光の中のシスコ。

『副司令官日誌、補足。ワームホールの座標で、宇宙ステーションとランデブーをした。だがスキャンの結果、ワームホールもデュカットの船の姿も、全く見られなかった。数分前にはカーデシアの戦艦 3隻が現れたが、彼らもデュカットを捜索中のようだ。』
DS9。
スクリーンにカーデシア艦隊が映っている。
キラ:「オブライエン、敵がセンサーレンジに入る前に、高出力のトロン※12・フィールドを張って。こっちの防御システムをスキャンされたくないわ?」
オブライエン:「了解!」
ダックス:「敵の通信波です。」
キラ:「…スクリーン、オン。」
カーデシア人が映る。『私はガル・ジャサッド※13。我々はカーデシア第7艦隊だ。デュカットの戦艦はどこへ消えたんだ!』
キラ:「運が良ければ、ワームホールの向こう側のガンマ宇宙域でしょうね。」
ジャサッド:『ワームホールだと? この星域にそんなものはない、センサーには何の反応もないぞ!』
笑うキラ。「当然よ、突然消滅したの。」
ジャサッド:『何だと?』
ダックス:「人工的に造られたワームホールなのよ。そのせいで我々のセンサーにも、量子変動のパターンが見られなかったんだと思うわ?」
『何者かがワームホールを造って突然都合よく消したとでもいうのか。そんな見え透いた嘘をどこの誰が信じるんだ!』
「その通りだもの、信じてもらうしかないわ?」
通信を切るジャサッド。
ダックス:「反軽粒子妨害波※14を亜空間に送っています。艦隊との交信を邪魔する気です。」
オブライエン:「敵はフェイザー砲を準備中。」
キラ:「非常警報。シールドアップ!」
「未調整です!」
ダックス:「…また通信波です。」
キラ:「…チャンネル、オン。」
ジャサッド:『都合のいい作り話にはごまかされんぞ。デュカットの船はお前たちの手で撃墜したんだろう!』
「ガル・ジャサッド、繰り返すけど…」
『直ちに無条件で降伏し、我々に宇宙ステーションを明け渡せ。嫌なら、我々は攻撃を開始する。』
「……返答を出すために、一日時間をもらいたいわ?」
『…待ってやろう、ただし…一時間だ。』


※10: Conn Officer
(カサンドラ・バイラム Cassandra Byram)

※11: パサディナのオークグローヴ公園で撮影

※12: thoron
放射性同位元素、別名ラドン220。吹き替えでは「ロン」

※13: Gul Jasad
(ジョエル・スウェトウ Joel Swetow TNG第173話 "Firstborn" 「クリンゴン戦士への道」のヨーグ (Yog)、ENT第97話 "Terra Prime" 「テラ・プライム(後編)」の Thoris 役。ゲーム "Armada"、 "Invasion"、 "Voyager: Elite Force"、 "Armada II" でも声の出演) 声:小室正幸、DS9 エディングトンなど

※14: antilepton interference

カーデシア戦艦に取り囲まれた DS9。
オブライエン:「パワーを可能な限り集めて、最重要エリアだけシールドで保護しました。ですが、もしも連結部を狙われたら致命傷です。」
キラ:「オドー、大至急全居住民を安全な地区へ誘導して。」
うなずき、司令室を出ていくオドー。
キラ:「エンタープライズを最後に確認した位置は?」
ダックス:「20時間離れた地点です。」
「彼らの到着が鍵ね?」
ベシア:「ただの脅しですよ、本気で攻撃してくるとは思えません。」
オブライエン:「ドクター、国境紛争の歴史は習いましたよねえ?」
「ああ。」
「セトリック3号星※15の虐殺は?」
キラ:「オブライエン、まさか降伏すべきだとは言わないでしょうね。」
「降伏しても殺されますよ。」

光の中のシスコ。その瞳には、炎の中に立っている異星人ジェニファーが見えている。

サラトガの部屋にいるシスコ。「どうしてまたここに連れ戻したんだ!」
異星人ジェイク:「僕らが連れてきたんじゃない。」
異星人ジェニファー:「あなたが導いたのよ?」
異星人ボリアン:「ここは、あなたの一部です。」
シスコ:「じゃあ別のところへ君たちを導く力をくれ! どこでもいい!」
異星人オパカ:「自分自身を否定しては駄目よ? ここを立ち去る手だては、あなた自身の中にある。」
死んだジェニファーを見つめるシスコ。
3人の異星人がシスコを見る。
シスコ:「妻と死を共にしたかった。」
異星人ボリアン:「死? それは何です。」
シスコに近づく異星人ジェニファー。「直線状の時間から存在が消えること。」 シスコの顔に手を触れる。
過去の様子が再現される。
シスコを連れ出すボリアン。「少佐、行きましょう!」
シスコ:「駄目だ、妻をおいて行けるものか!」
現在のシスコは尋ねた。「私はここに残ったのか。」
異星人ジェニファー:「あなたの心がね?」
泣き始めるシスコ。「そうだ、逃れられずにいた。」 死んだジェニファーの近くに座る。「君たちには、不思議だろうが…この顔が忘れられない。今でも暗闇の中にいたい。目を閉じるたびに、ジェニファーの…この顔が…この顔が、浮かぶんだ。」
異星人ジェニファー:「その後の経験も、苦しみからあなたを立ち直らせる助けにはならなかった。」
「妻なしでどうやって生きていけばいいのかわからなかった。」
「それであなたはここに留まったのね?」
うなずくシスコ。
異星人ジェニファー:「あなたは過去の住人。」
シスコ:「そうとも。私はここで生きてる。」 涙が止まらない。
異星人オパカが見ている。うなずく異星人ジェイク。

光の中のシスコ。その目にも、涙が浮かんでいた。

報告するダックス。「カーデシア艦から通信。ガル・ジャサッドからです。」
キラ:「オブライエン、準備いい?」
オブライエン:「完了。こちらのトロン・フィールドを破ったら、驚かせてやりますよ。」
※16
「実力行使で返答してあげましょう。敵の船首を狙って、光子魚雷 6発発射。」
「6発全部を一度に使う気ですか?」
「ただの威嚇よ。武力でかなうはずないわ?」
「わかりました。」
魚雷が発射され、カーデシア艦のそばを抜けていく。
オブライエン:「敵からの通信です。」
ベシア:「ハッタリの効果は十分ありましたね。」
司令官室の前に立つキラ。「…スクリーン、オン。」
ジャサッド:『あれが返答なのか。』
「小さな宇宙基地といえども、防衛力も整えずにこんなところにノコノコ来ると思う?」
『防衛力だと?』 笑うジャサッド。『たかが光子魚雷で、カーデシアの戦艦に対抗できると思ったら大間違いだ。』
「あなたは正しいかもね? …指揮を執っているのが私でなく艦隊士官だったら、恐らくは…負けを認めているでしょうね。でもこの私は違う。カーデシア相手に勝ち目のない抵抗を続けてきた、ベイジョー人よ。戦争をしたいというのなら、私は受けて立つわ。」
無言で通信を切るジャサッド。
オブライエンは言った。「…少佐。あなたとポーカー※17をやるのは、絶対に御免ですよ?」

DS9 とカーデシア艦。
報告するカーデシア人士官※18。「我々のセンサーを避けるためにトロン・フィールドを張っていますが、破るのは簡単でした。」 パッドをガル・ジャサッドに渡す。
ジャサッド:「向こうの防衛力は。」
「スキャンの結果、光子魚雷が約5,000発と、全レベルに集積フェイザーバンクが。」
「奴らはいつそんな武器を積み込んだ。なぜ我々にそれがわからなかったんだ!」 パッドを投げつけるジャサッド。「いや奴らは…何らかの方法で、我々のセンサーに幻影を見せているだけだ。」
「でも本当にもっていたら。」
「不可能だ!」
「今リスクを冒さなくても、一日で援軍が到着します。」
「ああ、連邦側の援軍もな!」

DS9。

忙しく働く士官たち。
ダックス:「ジャサッドは亜空間通信を使って援軍を要請しているようです。」
ベシア:「腰抜け!」
キラ:「ジャサッドを甘く見ると痛い目に遭うわよ? …状況報告。」
オブライエン:「敵の艦隊は標準攻撃態勢を敷いています。」 移動するカーデシア艦隊。
「戦闘配置。」

ついにカーデシア艦が攻撃してきた。
揺れるステーション。
人々を誘導するオドー。「さあ急いで、急いで! 落ち着いて、大丈夫だ!」
逃げる住人の中には、モーンもいる。
オドー:「さあ続いて!」

提案するオブライエン。「単なる威嚇でしょう。パルスコンプレッション※19を敵のフェイザーバンクに照射してみます。ひるませることはできるでしょう。」
キラ:「照射。」
ビームは当たったが、すぐに反撃される。
キラ:「被害状況は?」
オブライエン:「レベル14 に命中です。空き貯蔵庫のため、死傷者なし。」
ダックス:「シールドダウン、27%。」

攻撃はやまず、爆発が起こる。
プロムナードで柱が倒れ、人々が下敷きになる。
大きな爆発も立て続けに発生し、吹き飛ばされる者もいる。

報告するダックス。「コンジットが、プロムナードで爆発しました!」
キラ:「メイン・パワーフローを封鎖!」
オブライエン:「…コントロール不能!」
通信が入る。『オドーから司令室!』
キラ:「報告。」
オドー:『負傷者が多数出ています!』

倒れた女性に付き添うオドー。「…ドクターを大至急よこして下さい!」

出ていくベシア。「すぐに向かう!」
オブライエン:「手動でパワーフローを止めます。でないとプロムナードが、吹き飛んでしまう! クソー、カーデシアめ! 調整したばっかりだってのに。」 コンピューターに近づく。

到着するベシア。
患者はうめいている。
オドーに指示するベシア。「そこを押さえて。しっかり。」
オドー:「…なあ、ドクター。私より誰かほかの者を…」
「離すなよ。いいから、押さえて。」
従うオドー。
ライトが復旧した。

コンピューターから離れるオブライエン。「応急処置はしました。」
ダックス:「シールドダウン、18%。」
「もう一度フェイザーバンクを攻撃して、揺さぶりましょう。」
キラ:「…待って。……カーデシア側に連絡をして、降伏の条件を話し合いましょう…」
ダックス:「少佐、ドッキングリング 15キロ前方に、広範囲に渡る空間変動が見られます。…ワームホールです。」
「…スクリーン、オン。」
そこに映ったのは、開くワームホールだった。
キラ:「ジャサッドを呼び出して。…見なさい、言ったとおりでしょう! あれがワームホールよ!」

無言でスクリーンを見つめるジャサッド。
DS9 とカーデシア艦の向こう側に、くっきりとワームホールが見えている。

ワームホールから、リオグランデが出てきた。トラクタービームで牽引しているのは、デュカットの戦艦だ。
シスコの通信が入る。『こちら、リオグランデ。』
キラ:「スクリーン、オン。おかえりなさい、中佐。」
映し出されたシスコ。『遅くなってすまない。ワームホールの向こうで、ガル・デュカットの救助に手間取ってねえ。君たちも無事だったようだな。』
キラ:「辛うじてというところですけど?」
『…デュカットの指示で、敵は武装解除したよ。オブライエン、収容してくれ。』
オブライエン:「了解。Cパッドに収容します。」
微笑むキラたち。

エアロックから出てくるシスコ。プロムナードは攻撃の後で、人々であふれている。シスコは座っている士官の肩に手を触れた。
シスコ:「死傷者は。」
ベシア:「13名が負傷しましたが、死者は出さずに済みました。」
手を押さえたジェイクが歩いてきた。
シスコ:「ジェイク!」
ジェイク:「父さん!」
笑い、抱き合う二人。シスコはジェイクの頭にキスをする。

『ステーション日誌、宇宙暦 46393.1。ワームホールを造った、謎の生命体から許しを受け、ガンマ宇宙域への安全な航行が実現した。ベイジョーの統一はこれから時間をかけて、実現していかなければならない。』
エンタープライズは、再び DS9 にドッキングする。
ピカード:「君のシャトルに仲間を助けられたために、カーデシアの連中も今回は引き下がったようだな。」
シスコ:「しかし決着したわけではありません。彼らはワームホールの領有権をあきらめてはいません。」
「星図で見ればベイジョーのものであることは明らかだ。間もなくワームホール周辺は、商業と科学探査の中心地となることだろう。艦隊にとっても、非常に重要な拠点となる。」
「艦長。私の交代要員を探して欲しいという件ですが…」
「ああ、申し訳ないんだが司令部と相談する時間がなかった。」
「それは好都合です。忘れて下さい。」
「…そういうわけにはいかん。今回の配属に不本意な君を、指揮官におくわけにはいかない。」
「いいえ、やらせて下さい!」
近づくピカード。手を差し出し、握手した。「健闘を祈る、シスコ中佐。」
ピカードは司令官室を出ていく。

プロムナードをオドーと歩くベシア。「まずは、フェイザーの射撃場で腕試しといきたいなあ。」
店を出るクワーク。「自粛しろって?」
キラ:「今後お店でイカサマを働いてお客をカモにするのは禁止よ? 街のリーダーなんだから。」
「わかったよ、だったらこれからその件についてじっくりと話し合おう。一杯やってさあ。」
クワークの胸ぐらをつかむキラ。「私のお尻からすぐに手を引っ込めないと、この先お酒のグラスも持てなくなるわよ?」
従うクワーク。キラは歩いていった。
クワーク:「ああ、制服姿の女はソソるなあ。」
ダックスがエアロックから出てくる。「フルナリ※20の科学船 3隻が、着港許可を求めています。」
オブライエン:「ところがエアロックに問題があって、収容できないんです。ワームホールまで移動した時点で半数が損傷し、残りはカーデシアの攻撃でやられてしまいました。」
シスコ:「では人員を転送するしかないだろう。早速連絡を取ってくれ…」 歩いていく 3人。
にぎわうプロムナードには、話しているモーンもいる。
DS9 に、フルナリ科学船が近づく。


※15: Setlik III
TNG第86話 "The Wounded" 「不実なる平和」より。オブライエンも参加していた、カーデシアとの戦争中の事件

※16: このカットシーンは時間が短いためか、DVD ではその前のダックスのセリフも一緒に吹き替えし直されています

※17: 原語では「ロラダン・ワイルドドロー (Roladan Wild Draw)」

※18: Cardassian Officer
(スティーヴ・ランキン Steve Rankin TNG第55話 "The Enemy" 「宿敵! ロミュラン帝国」のパターク (Patahk)、DS9第24話 "Invasive Procedures" 「突然の侵入者」のイエトー (Yeto)、ENT第96話 "Demons" 「テラ・プライム(前編)」のグリーン大佐 (Colonel Green) 役) 声:星野充昭、TNG ラフォージなど

※19: 正確には「パルスコンプレッション波 (パルス圧縮波、pulse compression wave)」

※20: Frunalian

・感想
この DS9 パイロット版は、ENT まで含めた他のシリーズのものと比べて非常に哲学的な内容となっています。必ず必要とされる物語の始まりという要素の上に、スタートレックではおなじみの「超生命体」との遭遇、そして融和というストーリーもしっかり入っています。確かに地味な印象であるため低い評価を受けがちですが、それこそが DS9 という独自性を出していると言えますね。ロッデンベリーが当時実現できなかった、TOS パイロット版 "The Cage" 「歪んだ楽園」以来の女性副官もいます。
シリーズの始まりとは言いつつ、初っ端から TNG から受け継いだ多数の設定がこれでもかと登場します。種族だけでもカーデシア、ベイジョー、フェレンギ、トリルは全て TNG からですしね。そういうところがマニア心をくすぐるわけですが、TNG とは違う、もっと言えばワンステップ進んだストーリー展開を見せてくれたことは、日本でも最後まで放送済みの今となっては周知の通りです。「スピンオフ」と「外伝」って、何か言葉のイメージが違うんですよね。
監督のデヴィッド・カーソンは、これまで TNG で何度か演出しており、後に映画「ジェネレーションズ」も担当することになります。司令室やプロムナードの、クレーンカメラを使った撮影は見事ですね。特撮では何と言っても冒頭のウルフ359。今見ても素晴らしいもので、今後増える戦闘シーンでの質の高さもうなずけます。


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