カーデシア戦艦に取り囲まれた DS9。
オブライエン:「パワーを可能な限り集めて、最重要エリアだけシールドで保護しました。ですが、もしも連結部を狙われたら致命傷です。」
キラ:「オドー、大至急全居住民を安全な地区へ誘導して。」
うなずき、司令室を出ていくオドー。
キラ:「エンタープライズを最後に確認した位置は?」
ダックス:「20時間離れた地点です。」
「彼らの到着が鍵ね?」
ベシア:「ただの脅しですよ、本気で攻撃してくるとは思えません。」
オブライエン:「ドクター、国境紛争の歴史は習いましたよねえ?」
「ああ。」
「セトリック3号星※15の虐殺は?」
キラ:「オブライエン、まさか降伏すべきだとは言わないでしょうね。」
「降伏しても殺されますよ。」
光の中のシスコ。その瞳には、炎の中に立っている異星人ジェニファーが見えている。
サラトガの部屋にいるシスコ。「どうしてまたここに連れ戻したんだ!」
異星人ジェイク:「僕らが連れてきたんじゃない。」
異星人ジェニファー:「あなたが導いたのよ?」
異星人ボリアン:「ここは、あなたの一部です。」
シスコ:「じゃあ別のところへ君たちを導く力をくれ! どこでもいい!」
異星人オパカ:「自分自身を否定しては駄目よ? ここを立ち去る手だては、あなた自身の中にある。」
死んだジェニファーを見つめるシスコ。
3人の異星人がシスコを見る。
シスコ:「妻と死を共にしたかった。」
異星人ボリアン:「死? それは何です。」
シスコに近づく異星人ジェニファー。「直線状の時間から存在が消えること。」 シスコの顔に手を触れる。
過去の様子が再現される。
シスコを連れ出すボリアン。「少佐、行きましょう!」
シスコ:「駄目だ、妻をおいて行けるものか!」
現在のシスコは尋ねた。「私はここに残ったのか。」
異星人ジェニファー:「あなたの心がね?」
泣き始めるシスコ。「そうだ、逃れられずにいた。」 死んだジェニファーの近くに座る。「君たちには、不思議だろうが…この顔が忘れられない。今でも暗闇の中にいたい。目を閉じるたびに、ジェニファーの…この顔が…この顔が、浮かぶんだ。」
異星人ジェニファー:「その後の経験も、苦しみからあなたを立ち直らせる助けにはならなかった。」
「妻なしでどうやって生きていけばいいのかわからなかった。」
「それであなたはここに留まったのね?」
うなずくシスコ。
異星人ジェニファー:「あなたは過去の住人。」
シスコ:「そうとも。私はここで生きてる。」 涙が止まらない。
異星人オパカが見ている。うなずく異星人ジェイク。
光の中のシスコ。その目にも、涙が浮かんでいた。
報告するダックス。「カーデシア艦から通信。ガル・ジャサッドからです。」
キラ:「オブライエン、準備いい?」
オブライエン:「完了。こちらのトロン・フィールドを破ったら、驚かせてやりますよ。」※16
「実力行使で返答してあげましょう。敵の船首を狙って、光子魚雷 6発発射。」
「6発全部を一度に使う気ですか?」
「ただの威嚇よ。武力でかなうはずないわ?」
「わかりました。」
魚雷が発射され、カーデシア艦のそばを抜けていく。
オブライエン:「敵からの通信です。」
ベシア:「ハッタリの効果は十分ありましたね。」
司令官室の前に立つキラ。「…スクリーン、オン。」
ジャサッド:『あれが返答なのか。』
「小さな宇宙基地といえども、防衛力も整えずにこんなところにノコノコ来ると思う?」
『防衛力だと?』 笑うジャサッド。『たかが光子魚雷で、カーデシアの戦艦に対抗できると思ったら大間違いだ。』
「あなたは正しいかもね? …指揮を執っているのが私でなく艦隊士官だったら、恐らくは…負けを認めているでしょうね。でもこの私は違う。カーデシア相手に勝ち目のない抵抗を続けてきた、ベイジョー人よ。戦争をしたいというのなら、私は受けて立つわ。」
無言で通信を切るジャサッド。
オブライエンは言った。「…少佐。あなたとポーカー※17をやるのは、絶対に御免ですよ?」
DS9 とカーデシア艦。
報告するカーデシア人士官※18。「我々のセンサーを避けるためにトロン・フィールドを張っていますが、破るのは簡単でした。」 パッドをガル・ジャサッドに渡す。
ジャサッド:「向こうの防衛力は。」
「スキャンの結果、光子魚雷が約5,000発と、全レベルに集積フェイザーバンクが。」
「奴らはいつそんな武器を積み込んだ。なぜ我々にそれがわからなかったんだ!」 パッドを投げつけるジャサッド。「いや奴らは…何らかの方法で、我々のセンサーに幻影を見せているだけだ。」
「でも本当にもっていたら。」
「不可能だ!」
「今リスクを冒さなくても、一日で援軍が到着します。」
「ああ、連邦側の援軍もな!」
DS9。
忙しく働く士官たち。
ダックス:「ジャサッドは亜空間通信を使って援軍を要請しているようです。」
ベシア:「腰抜け!」
キラ:「ジャサッドを甘く見ると痛い目に遭うわよ? …状況報告。」
オブライエン:「敵の艦隊は標準攻撃態勢を敷いています。」 移動するカーデシア艦隊。
「戦闘配置。」
ついにカーデシア艦が攻撃してきた。
揺れるステーション。
人々を誘導するオドー。「さあ急いで、急いで! 落ち着いて、大丈夫だ!」
逃げる住人の中には、モーンもいる。
オドー:「さあ続いて!」
提案するオブライエン。「単なる威嚇でしょう。パルスコンプレッション※19を敵のフェイザーバンクに照射してみます。ひるませることはできるでしょう。」
キラ:「照射。」
ビームは当たったが、すぐに反撃される。
キラ:「被害状況は?」
オブライエン:「レベル14 に命中です。空き貯蔵庫のため、死傷者なし。」
ダックス:「シールドダウン、27%。」
攻撃はやまず、爆発が起こる。
プロムナードで柱が倒れ、人々が下敷きになる。
大きな爆発も立て続けに発生し、吹き飛ばされる者もいる。
報告するダックス。「コンジットが、プロムナードで爆発しました!」
キラ:「メイン・パワーフローを封鎖!」
オブライエン:「…コントロール不能!」
通信が入る。『オドーから司令室!』
キラ:「報告。」
オドー:『負傷者が多数出ています!』
倒れた女性に付き添うオドー。「…ドクターを大至急よこして下さい!」
出ていくベシア。「すぐに向かう!」
オブライエン:「手動でパワーフローを止めます。でないとプロムナードが、吹き飛んでしまう! クソー、カーデシアめ! 調整したばっかりだってのに。」 コンピューターに近づく。
到着するベシア。
患者はうめいている。
オドーに指示するベシア。「そこを押さえて。しっかり。」
オドー:「…なあ、ドクター。私より誰かほかの者を…」
「離すなよ。いいから、押さえて。」
従うオドー。
ライトが復旧した。
コンピューターから離れるオブライエン。「応急処置はしました。」
ダックス:「シールドダウン、18%。」
「もう一度フェイザーバンクを攻撃して、揺さぶりましょう。」
キラ:「…待って。……カーデシア側に連絡をして、降伏の条件を話し合いましょう…」
ダックス:「少佐、ドッキングリング 15キロ前方に、広範囲に渡る空間変動が見られます。…ワームホールです。」
「…スクリーン、オン。」
そこに映ったのは、開くワームホールだった。
キラ:「ジャサッドを呼び出して。…見なさい、言ったとおりでしょう! あれがワームホールよ!」
無言でスクリーンを見つめるジャサッド。
DS9 とカーデシア艦の向こう側に、くっきりとワームホールが見えている。
ワームホールから、リオグランデが出てきた。トラクタービームで牽引しているのは、デュカットの戦艦だ。
シスコの通信が入る。『こちら、リオグランデ。』
キラ:「スクリーン、オン。おかえりなさい、中佐。」
映し出されたシスコ。『遅くなってすまない。ワームホールの向こうで、ガル・デュカットの救助に手間取ってねえ。君たちも無事だったようだな。』
キラ:「辛うじてというところですけど?」
『…デュカットの指示で、敵は武装解除したよ。オブライエン、収容してくれ。』
オブライエン:「了解。Cパッドに収容します。」
微笑むキラたち。
エアロックから出てくるシスコ。プロムナードは攻撃の後で、人々であふれている。シスコは座っている士官の肩に手を触れた。
シスコ:「死傷者は。」
ベシア:「13名が負傷しましたが、死者は出さずに済みました。」
手を押さえたジェイクが歩いてきた。
シスコ:「ジェイク!」
ジェイク:「父さん!」
笑い、抱き合う二人。シスコはジェイクの頭にキスをする。
『ステーション日誌、宇宙暦 46393.1。ワームホールを造った、謎の生命体から許しを受け、ガンマ宇宙域への安全な航行が実現した。ベイジョーの統一はこれから時間をかけて、実現していかなければならない。』
エンタープライズは、再び DS9 にドッキングする。
ピカード:「君のシャトルに仲間を助けられたために、カーデシアの連中も今回は引き下がったようだな。」
シスコ:「しかし決着したわけではありません。彼らはワームホールの領有権をあきらめてはいません。」
「星図で見ればベイジョーのものであることは明らかだ。間もなくワームホール周辺は、商業と科学探査の中心地となることだろう。艦隊にとっても、非常に重要な拠点となる。」
「艦長。私の交代要員を探して欲しいという件ですが…」
「ああ、申し訳ないんだが司令部と相談する時間がなかった。」
「それは好都合です。忘れて下さい。」
「…そういうわけにはいかん。今回の配属に不本意な君を、指揮官におくわけにはいかない。」
「いいえ、やらせて下さい!」
近づくピカード。手を差し出し、握手した。「健闘を祈る、シスコ中佐。」
ピカードは司令官室を出ていく。
プロムナードをオドーと歩くベシア。「まずは、フェイザーの射撃場で腕試しといきたいなあ。」
店を出るクワーク。「自粛しろって?」
キラ:「今後お店でイカサマを働いてお客をカモにするのは禁止よ? 街のリーダーなんだから。」
「わかったよ、だったらこれからその件についてじっくりと話し合おう。一杯やってさあ。」
クワークの胸ぐらをつかむキラ。「私のお尻からすぐに手を引っ込めないと、この先お酒のグラスも持てなくなるわよ?」
従うクワーク。キラは歩いていった。
クワーク:「ああ、制服姿の女はソソるなあ。」
ダックスがエアロックから出てくる。「フルナリ※20の科学船 3隻が、着港許可を求めています。」
オブライエン:「ところがエアロックに問題があって、収容できないんです。ワームホールまで移動した時点で半数が損傷し、残りはカーデシアの攻撃でやられてしまいました。」
シスコ:「では人員を転送するしかないだろう。早速連絡を取ってくれ…」 歩いていく 3人。
にぎわうプロムナードには、話しているモーンもいる。
DS9 に、フルナリ科学船が近づく。
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※15: Setlik III TNG第86話 "The Wounded" 「不実なる平和」より。オブライエンも参加していた、カーデシアとの戦争中の事件
※16: このカットシーンは時間が短いためか、DVD ではその前のダックスのセリフも一緒に吹き替えし直されています
※17: 原語では「ロラダン・ワイルドドロー (Roladan Wild Draw)」
※18: Cardassian Officer (スティーヴ・ランキン Steve Rankin TNG第55話 "The Enemy" 「宿敵! ロミュラン帝国」のパターク (Patahk)、DS9第24話 "Invasive Procedures" 「突然の侵入者」のイエトー (Yeto)、ENT第96話 "Demons" 「テラ・プライム(前編)」のグリーン大佐 (Colonel Green) 役) 声:星野充昭、TNG ラフォージなど
※19: 正確には「パルスコンプレッション波 (パルス圧縮波、pulse compression wave)」
※20: Frunalian
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