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ディープスペースナイン エピソードガイド
第33話「最終兵器解体の陰謀」
Armageddon Game

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・イントロダクション
※1ランナバウトが、異星人船のそばにいる。惑星軌道上だ。
ベシア:『医療主任士官日誌。チーフ・オブライエンと私は、長年戦争を続けてきたタラニ人※2とケルラン人※3の和解に伴って、遺伝子を破壊する最終兵器※4、ハーヴェスター※5の解体を依頼され、タラニの船※6へと乗り込んだ。』
ベシア:「ナイドロム博士※7、ミューオンチャージは。」
異星人のナイドロム。「間もなくパワー全開です。」
ベシア:「セットして。」
ナイドロムとは別の髪型・格好をした異星人が、筒状の容器を中央の機械にセットする。
ベシア:「コンピューター、ハーヴェスター解体処理実験シーケンス、第375 だ。」
ナイドロム:「ミューオンジェネレーター、パワー全開。」
「今度こそ上手くいけばいいんだが、正直なところ、もうアイデア切れですよ。」
「開発に 10年かかったハーヴェスターを 1週間で解体しようだなんて、そう焦らずに。」
「まだ 1週間? 1ヶ月ぐらい経った気がしますよ。これほど広範囲の放射線に耐えるナノ生物兵器※8だとは、ちょっと予想外だったよなあ。」
飲み物を飲むオブライエン。
ベシア:「…ミューオンの振動数※9の正しい組み合わせさえわかればいいんだが。理論上は簡単なんだけど。」
オブライエン:「ドクター。ブツブツ言ってないで早く実験しましょう。」
「そうだな、チーフ。…ジェネティックバスの中に、ハーヴェスターを沈めて。ミューオン流入開始。」
バスの中で処理が行われる。
出てくる容器に注目する一同。
すると、中の液体が緑色に変わっていた。
ベシア:「博士。遺伝子破壊機能の有無の確認を。」
ナイドロム:「……サンプルの遺伝子は安定しています。遺伝子破壊機能は停止しています。」
「ほんとに? もう一度チェックを。」
「…破壊機能は消えています。」
オブライエン:「それじゃ……成功したんですね? …何でみんな黙ってんです?」
ベシア:「…そうか、やったんだ。」
ナイドロム:「ついにハーヴェスターの解体に成功したようです。」
握手するベシアとオブライエン。
ナイドロムとは違う種族の男性がやってきた。「いいニュースのようだね。」
ナイドロム:「シャラット※10大使。喜ぶべきことにハーヴェスターを解体する方法がわかりました。」
「素晴らしい。よくやった。タラニ人とケルラン人が仲良く…力を合わせ、この恐るべき兵器の絶滅に成功した。このことは、新しい未来への象徴だ。」
「はい。でもこの成功は、惑星連邦の友人の協力があったからこそです。」
「我々は最初外部に助けを求めることに疑問をもっていたのだが、ナイドロム博士の勝ちだな。ご協力を心から感謝する。」 ベシアたちと握手するシャラット。
ベシア:「いえ、お役に立てて光栄です。」
「しかしハーヴェスター解体だけでは駄目だ。ハーヴェスター製造に関する化学データは全て、消去されなければ。」
オブライエン:「タラニとケルランのデータバンクから、ハーヴェスターに関するファイルは全て消去しました。…もし誰かがハーヴェスターを作ろうとしても、情報は何もありません。」
ナイドロム:「ついに終わったんだ。」
シャラット:「いや、まだだ。手をゆるめずに。現在タラニとケルランとに、残っているハーヴェスターは全て、解体しなければ。」
ベシア:「すぐに始めましょう。」
壁一面に、ハーヴェスターが並んでいる。


※1: このエピソードは、1994年度エミー賞のヘアスタイリング賞にノミネートされました。受賞したのは「ドクター・クイン 大西部の女医物語」

※2: T'Lani

※3: Kellerun
タラニ同様、「ケルラン」と訳されている個所があります

※4: 生体力学遺伝子破壊兵器 biomechanical gene disrupter

※5: harvesters

※6: タラニ巡洋艦 T'Lani cruiser
タラニ軍需巡洋艦 (T'Lani munitions cruiser)。TNG第102話 "Darmok" 「謎のタマリアン星人」に登場したタマリア船の使い回し

※7: Dr. Nydrom
(ラリー・シーダー Larry Cedar VOY第30話 "Alliances" 「平和協定」のジャー・ターサ (Jal Tersa)、ENT第32話 "Marauders" 「招かれざる訪問者」のテシック (Tessic) 役) エンサイクロペディアでは Nydom になっています。声:仲野裕

※8: nanobiogenic weapon
訳出されていません

※9: muon frequencies

※10: Sharat
(ピーター・ホワイト Peter White) 声:宝亀克寿、TNG イヴェックなど

・本編
DS9。
シスコのもとに、キラの連絡が入る。『司令官、ドクター・ベシアから亜空間通信です。』
シスコ:「回してくれ。」
ベシア:『司令官、いい報告ですよ。』
「ああ、もう聞いたよ。」
『聞いた?』 オブライエンと一緒に映っているベシア。
「ああ。君たちがハーヴェスターの解体に成功した旨、タラニとケルランの両大使から、連絡が入った。2人ともよくやったな。」
オブライエン:『ありがとうございます。でも 9割はドクターのお手柄ですよ?』
ベシア:『いや、みんなのおかげです。』
『というのは謙遜でして、ドクターがミューオンを利用することを考えついたんですよ。』
『…上手くいってくれました。』
シスコ:「いつ戻ってこられるんだ。」
オブライエン:『早く帰りたいです。』
「しかし、タラニ・プライム※11で祝賀パーティがあるそうじゃないか?」
ベシア:『ええ、今夜の予定なんですが、でもチーフは早くステーションに戻りたそうなんですよ。』
オブライエン:『長い 1週間でしたからねえ。』
シスコ:「ご苦労だが、あと一日だけだ。我慢してくれ。」
ベシア:『もちろんです。もし、チーフがよければ。』
オブライエン:『あと一日ぐらいがんばりますよ。』
『…さすがチーフだ。』
シスコ:「じゃあこっちへ戻るのは明後日だな。」
『そうですね。』
「少し羽を伸ばしてこい。ご苦労だった。」 通信は終わった。

タラニ船。
並んでいたハーヴェスターは、全てなくなっている。
容器を手にするナイドロム。「これで最後です。是非あなたがなさって下さい。」
受け取るベシア。「どうもありがとう。」
ナイドロム:「皮肉なものだ。戦争に終止符が打たれるのが、タラニ3※12 でとは。この惑星の全人口は、ハーヴェスターで絶滅したのです。今度こそこの平和が続けばいいが。」
ジェネティックバスの中に入っていくハーヴェスター。するとドアが開き、銃を持った男たちが入ってきた。シャラット大使と同じ種族だ。
ナイドロム:「何者だ。武器の持ち込みは禁止だぞ。」
無言で発砲してきた。殺されるナイドロム。
他の人々も逃げるが、容赦なく撃たれていく。隠れるベシア。
オブライエンも身をかがめる。
男たちは両種族の区別なく、研究者たちを殺す。
ベシアに銃が向けられた直後、オブライエンが男に飛びかかった。
発せられた武器は当たらず、2人は取っ組み合いになる。
相手を倒し、銃を奪うオブライエン。もう一人の男が気づいた。オブライエンは攻撃を避ける。
ベシアが男に飛びかかり、揉み合ううちに銃がジェネティックバスに当たった。
爆発が起こり、液体がわずかに、下にいたオブライエンの腕にかかってしまう。
敵を殴り倒すベシア。室内をトリコーダーで調べる。
ドアを閉めるオブライエン。
ベシア:「全員死んでる。」
オブライエン:「早く脱出しなければ。オブライエンよりガンジス。コンピューター、遠距離転送を準備せよ。…オブライエンよりガンジス!」
「シャトルへの通信が妨害されてるな。」
銃声が聞こえてきた。ドアを開けようとしている。
オブライエン:「ここから出ないことには。ビームで地表に降りましょう。」
ベシア:「だが追跡されるぞ。」
「転送の 30秒後に、システムがオーバーロードするようにします。行きましょう。」
タラニの転送機で転送される 2人。


※11: T'Lani Prime

※12: タラニ3号星 T'Lani III

フェレンギ人に注文しているシスコ。「アルテリアン・チャウダー※13を頼むよ? アタベリー・クレープ※14と、ああ…それから追加で…」
通信が入る。『キラより司令官。』
シスコ:「…どうした、少佐。」
キラ:『タラニとケルランの両大使が、ステーションに到着しました。…司令官に会いたいそうです。』
「ドクターとチーフも帰ってきたのか?」
『いいえ、司令官? 両大使とも司令官に直接話したいとか。』
「わかった。オフィスへ通しておいてくれ。」
『了解。』
「注文をキャンセルだ。」

司令官室。
シスコ:「ドクターとチーフは死んだとおっしゃるんですか。」
女性の大使、エティシュラ※15。「我々の最高の科学者たちもです。」
シャラット:「申し訳ない。こんなことになってしまって。」
シスコ:「何があったんです。」
エティシュラ:「…それが、実は…」
シャラット:「非常に残念な事故でした。あなたの部下の恐らく、チーフ・オブライエンの方だと思いますが…セキュリティプログラムを誤作動させ、放射線パルスが発射されて全員が死亡したのです。」
「…シャラット大使は事故の数分前に船を去っていたおかげで助かったのです。」
シスコ:「そのセキュリティプログラムは。」
「我々も知らなかったのですが、何十年も前に作られていたものでした。」
「生存者がいないのに、なぜオブライエンが事故を起こしたってわかるんです。」
シャラット:「私が事故の直後に船に戻って確かめたのです。直ちに船の安全センサーを調べてみたところ、事故が録画されていました。その…データも、ここに持ってきてあります。」
チップを受け取るシスコ。「どうも…。」
エティシュラ:「司令官、私達は…事故のことでチーフ・オブライエンを責めるために来たのではありません。」
シャラット:「その反対です。ドクター・ベシアとチーフ・オブライエンの名は英雄として、永遠に残る。2人がいたからこそ、ハーヴェスターを解体できた。」
「ご遺族にどうぞ、そうお伝え下さい。」
シスコ:「伝えましょう。」 うなずく。
出ていく大使たち。

荒れ果てた地表に、建物の残骸が立ち並んでいる。※16
様子をうかがいながら、中に入るベシア。
誰もいない。「チーフ、チーフ! こっちだ。」 箱に手を伸ばす。
オブライエン:「待って! 触っちゃ駄目です。」
「何でだ。食料と医薬品だぞ。」
トリコーダーを使うオブライエン。「何かの罠かもしれない。…カーデシア人はよく圧力地雷を仕掛けておくんですよ。…上からつい手を出すと、開けた途端にドカンといくんです。」
ベシア:「大丈夫そうか。」
「ええ、平気です。」
「よかった。」 中には食料パックが詰まっている。「飢え死には免れるな。ほら。」
「いいです。」
「何でだい? 携帯食は好きだったろ?」
「ええ、連邦のならね? …ここ 1週間タラニの食い物ばかりでもう飽きましたよ。」
容器を探すベシア。「食べないと力が出ないぞ? タラニにケルランが協定を破ったって知らせなくっちゃな。」 中に食料を入れていく。
オブライエン:「しかし変ですよね。何でハーヴェスターの解体が全部終わってから、襲ってきたのか。」
「ケルランにはまだハーヴェスターが残ってるのかもな。」
「それとも、通常兵器だけでもやっつけられると思ったのか。」
「そうだな。結局また戦争を始めるつもりかもしれない。ま、どっちにしろ早くこっから出ないとな。」
「ドクター! 待って下さい。敵はこっちが動くのを待ちかまえてる。外に出れば一キロも行かないうちに、センサーに引っかかってしまう。でもここにじっとしていれば、もしかしたら…すぐには見つからずに済む。私達が生きて、ここを出られる方法はただ一つです。司令官が気づいてくれるまで生きながらえることです。」
「司令官が気づくのは早くても明日だぞ。僕らは祝賀パーティに出てると思ってるんだから。」
「…でも仕方ないですよ。それしかないんだから。…うーん? これは何かな。」 機械のほこりを払うオブライエン。「どうやら通信システムらしいなあ。タラニに、連絡が取れるかもしれない。」
「動かせると思うかい?」
「さあね。まず開けないと。予備のパワーがあればいいが。」 オブライエンはふたを開けた。「…座って待ってて下さい。」
「僕に、手伝えることあるかい? …医学部時代に、機械工学の公開講座を受講したんだ。」
「公開講座ですか。」
「結構熱心に、やったんだ。」
「…ねえドクター。」
「あ?」
「本気で手伝ってくれます?」
「ああ。」
「じゃあほっといて下さい。」
「……わかった。…それじゃ、何の薬があるか…見てくる。」
「そうですね! どうぞよろしく?」
「わかった。」 離れるベシア。
ため息をつくオブライエン。

タラニ船内の定点映像が再生されている。
ナイドロム:『これで最後です。是非あなたがなさって下さい。』
ベシア:『どうもありがとう。』
映像を見ているシスコたち。
ナイドロム:『ハーヴェスターは、廃絶された!』 ベシアに称賛の声を送る科学者たち。
ベシア:『ありがとう。』
『ハーヴェスター製造に関するデータを、全て消去しなければ。』
オブライエン:『タラニとケルランのデータバンクから、ハーヴェスターに関するファイルは、全て消去しました。…もし誰かがハーヴェスターを作ろうとしても、情報は何もありません。』
『ついに終わったんだ。』
飲み物を飲むオブライエン。『何だ、この音は。』
ベシア:『チーフ。』
『どうなってんだ。最後のファイルを閉じた時、セキュリティプログラムをさせてしまった。オリジナルのシステムに組み込んであったようです。停止させられません。何か、知ってます?』
ナイドロム:『いや。パワーを切ってみましょうか。』
『反応しません。』
その直後、音と共に光が発生し、中にいた者は全員消え去った。
首を振るシスコ。
オドー:「こういうプログラムは聞いたことがあります。外部から侵入者があると放射線パルスを発射して一瞬で消してしまうんです。」
キラ:「でもチーフが気づかなかったなんて。」
視線を落とすダックス。「システムの深くに隠されてたのね?」
キラ:「あのタラニ船の保安主任に話を聞きたいわ?」
オドー:「私もです。」
シスコ:「だが彼らも犠牲者を出してる。」
キラ:「でもそんな危険なセキュリティプログラムを、知らなかったでは済まされません。解除しておくのが当然ですよ!」
「少佐、もう言うな。…ベイジョーに医療士官の派遣を要請してくれ。ステーションにドクターがいなくては困るからな。惑星連邦が、ベシアの後任を派遣してくるまでは頼む。ダックス。宇宙艦隊に事故の報告を。そしてドクターと、テクニカルチーフの…後任を派遣するよう要請してくれ。」
ダックス:「…オブライエン夫人に知らせるのに、私も一緒に行きましょうか。」
「いいや、私が知らせに行く。ドクター・ベシアの家族にも、連絡を取ってくれ。」
うなずくダックス。
シスコ:「キラ少佐、乗組員に明日夜 18時から、2人の追悼式を行う旨、連絡を。」
キラ:「わかりました。」
「これからしばらく、我々も辛い日が続くだろうが…任務は果たさなければならない。…では解散。」
出ていくキラたち。シスコはため息をついた。

戻ってくるベシア。「チーフ、上手くいったか。」
オブライエン:「…上手くいったらすぐ言いますよ。」
「ああ、悪かった。何もやることがないもんだからね。君の手伝いもできないし。」
「いいからケルランが来ないか見張ってて下さい。」
「わかってるよ。行ってくる。」
「…ああ。全く動きゃしない!」
「君ならできるさ、メカの天才だもんな?」 入り口から話しかけるベシア。「僕は今日の祝賀パーティを楽しみにしていたんだよ。君は興味ないだろうけど、タラニの女性は美人が多いからね。」
「僕も美人は好きですよ?」
「だけど君は、結婚してるだろ?」
「結婚してたってやっぱり美人が通れば見ちゃうもんですよ。」
「それは奥さんが見てない時の話だろ? …パーティにしたって、僕には出会いの場にもなるけど、君ならせいぜい食事をして、終わりだもんな?」
「女以外に考えることはないんですか!」
「…そりゃあるけど、最大の関心事は女性だね。」
「まあそのうち、本気で恋に落ちる日もきますよ?」
「恋人はいたんだ。」
「結婚を考えた?」
「ああ、でも…別れた。何て言うか…結婚は、彼女に悪いような気がしてね?」
「悪い?」
「ああ、可哀想だよ。僕たちの任務はいつも危険と背中合わせだ。仕事だけでも大変なのに、家で妻子が帰りを心配して待ってると思うと。……すまない、チーフ。…でも艦隊士官には、そう考える人も多いんだよ。」
「でも、結婚してみなきゃそのよさはわからないもんですよ?」
「そうかな? そうかもしれない。だけど君と奥さんの関係を見てると……」
「…私とケイコを見てると何です?」
「別に。」
「何です!?」
「別に、何でもないんだ。……みんな言ってるよ、君が DS9 に赴任したことで…夫婦の危機が訪れたらしいって。」
「何ですって?!」
「いやあ、忘れてくれ。」
「…無責任な噂を真に受けないで下さいよ。ああ…。」 毛布を被り、震えるオブライエン。
「…寒いのか。」
「ええ、ドクターは。」
「いや、暑いくらいだよ。……顔色が良くないぞ。」
「大丈夫です。」
トリコーダーを使うベシア。「血圧は低いし熱もある。休んだ方がいいぞ。」
オブライエン:「馬鹿な、休んでる暇なんかありませんよ?」
「腕をめくって。」
「何で。」
「いいから、見せて。」
皮膚が変色していた。
ベシア:「ジェネティックバスが壊れた時、浴びたのか。」
オブライエン:「…何を言いたいんです、ドクター。」
「ハーヴェスターに感染したんだ。」


※13: Alterian chowder

※14: uttaberry crepes
アタベリー (ウタベリー、uttaberries) は TNG第72話 "Menage a Troi" 「愛なき関係」より

※15: E'Tyshra
(ダーリーン・カール Darleen Carr) 声:野沢由香里、FC ボーグ・クイーンなど

※16: このマットペインティングは、TNG第80話 "Legacy" 「革命戦士イシャーラ・ヤー」で使われたものの再利用

DS9。
植物の手入れをしているケイコ・オブライエン※17。ドアチャイムに応える。「どうぞー? …シスコ司令官。」
無言のシスコに、ケイコも表情を硬くする。
シスコ:「…ケイコ。」
ケイコ:「…主人に何かあったんですね?」
「事故が遭ってね。チーフもドクター・ベシアも巻き込まれた。」
「…死んだの?」
「残念だが。」
「……何の事故だったんです?」
「事故の模様は、安全センサーによって逐一録画されていたよ。」
「……ぜひ、見せて下さい。」
「すぐに持ってこさせよう。…マイルズは優秀な部下だった。いい男だった。本当に残念だ。」
「ありがとうございます。独りにして下さいます?」
「私にできることがあれば…いつでも言ってくれ。」 部屋を出て行くシスコ。

目を押さえるオブライエン。
ベシア:「チーフ。」
オブライエン:「目がおかしい。…ぼやけるんです。」
「休みなさい、後は僕がやる。」
「ドクターには無理ですよ。」
「君が指示してくれればできるよ。さ、座って。」
「…そうですね。ああ…じゃあ 1分か……ああ…2分だけ…。」
「さあ…どうやったらいいんだ?」
「右に…濃い青のコイルが、あるのが見えませんか。」
「いや。」
「それじゃあ、緑の…シリンダーの隣は? 脇か、下にない…?」
「ああ、あるよ。」
「それじゃあ…その青い、コイルの…ベースを…下のレセプターに…接続して。」
従うベシア。

クワークの店にいるダックス。「実はね、私ジュリアンの医学部時代の日記を借りたままだったのよ。」
キラ:「日記をあなたに?」
「…僕をわかって欲しいからって言ってたわ?」
「だけど、女のことばかり書いてあるんじゃない?」
「そうじゃないって言ってたわ? 自分がどんな思いでここまできたかが書いてあるって言ってた。…医学部のクラスをトップで※18卒業したことや、宇宙艦隊の士官を目指したこと。常に完璧であろうとしたこと?」
「…そうなの。読んでみて、彼を理解できた?」
「…実はまだ読んでいなかったのよ。…遺品として御両親に送ってあげなきゃ?」
「…もってていいわよ。」
「…そうかしら…」
「ドクターも喜ぶわ? あなたをとても好いてたから。」
「そうね? 私も好きだったわ?」
クワークがグラスを運んできた。「…これは…店のおごりです。」
キラ:「どうしたの?」
「在りし日のチーフとドクターの思い出を偲んで、乾杯しましょう。」
ダックス:「いい考えだわ、クワーク?」
「…たまには俺だって。」 グラスを手にするクワーク。「今は亡き 2人に乾杯。…生前は意見が食い違うこともありましたが、このことだけは言っておきたい。2人ともいい客で、ツケはきちんと払ってくれた。」
キラ:「…それだけ?」
「続きを聞いて…。お二人の訃報に、金儲けの秘訣第57条を思い出した。『いい客は、ラチナムと同様稀である。…大事にすべし。』※19」 クワークはグラスを口にした。「じゃ。」
乾杯するキラとダックス。

司令室。
勤務中のダックスとキラ。
キラはターボリフトに気づいた。「ミセス・オブライエン。」
ケイコ:「少佐、司令官にお会いしたいんです。できれば今すぐに。」
「伝えて参ります。…ご主人のこと、本当に残念に思っております。司令部を代表して。」
「ありがとう。」

再びタラニ船の映像が流されている。
オブライエン:『…もし誰かがハーヴェスターを作ろうとしても情報は何もありません…』
ケイコ:「この次です、よく御覧になって下さい。」
ナイドロム:『ついに終わったんだ。』
「コンピューター、映像を止めて? これです、わかります?」 コンソールを指さすケイコ。
シスコ:「チーフがコーヒーを飲んでる。」
「その通りです。でもタイムコードを御覧になって。」
キラ:「約15時半ですね。」
「そうです、午後なんです。でも主人は、午後は絶対コーヒーを飲まない人なんです。夜眠れなくなるので。」
シスコ:「でも、慣れない環境で大仕事をした後だから、手を出したのかもしれない。」
「主人に限ってそれはありません。生活習慣を守る人ですから。」
キラ:「でもコーヒーじゃなくて御茶を飲んでるとか。」
「いいえ? データクリップ※20を調べたら、スペクトル分析が入っていました。主人のコップの中身は、植物ベースのオイルとカフェインでしたから、コーヒーに間違いありません。」
シスコ:「じゃあこれは誰かが故意に作った映像だと?」
「そうです、そんなことをした理由が知りたいわ?」
「ダックス、ガンジスをタラニ3 から引き上げるのはいつの予定だった。」
ダックス:「明日です。」
シスコ:「あすまで待つこともあるまい。」
「すぐ出発します。」
「よし、私も行こう。ミセス・オブライエン。事故の真相は、必ず突き止めてきますので。」

目をつぶっていたオブライエン。
ベシア:「チーフの言うとおりだ。通信用の接触子が腐食してた。」 部品を見せる。
オブライエン:「うーん…ああ。ここを綺麗にして。」
「確か、医療キットに滅菌パッドが入ってたな。」 取り出すベシア。「これでよし。」
オブライエンは、また眠りそうになっている。
ベシア:「頼むよ、チーフ。君が頼りなんだ。」
オブライエン:「うん、大丈夫、どこにも行きません。……んで、彼女は?」
「…誰。」
「『結婚を考えた』彼女。」
微笑むベシア。「名前は、パリスって言ってねえ、デロン・パリス※21。バレリーナをしてたんだ。そりゃ綺麗な足をしててね。何を笑うんだ? バレリーナは綺麗な足が命だぞ。すごい美人だった。頭もよかったしね。それに舞台で踊る姿は優雅そのものだった。素晴らしかったよ。」
オブライエン:「ああ、で彼女に惚れられた。」
「いや、お互いにもう夢中になったよ。よく思ったよ、『何て俺はツいてるんだ。こんな女と巡り会えて』って。…一世一代の大恋愛だった。よし…。」 部品を見せるベシア。「これでどうだ?」
「ああ、十分ですよ。…これを、パネルに戻して?」
通信機にセットすると、起動した。
ベシア:「まだパワーは残っていたらしい。」 操作する。「でも発信機は動かないみたいだが。」
オブライエン:「R-F振動機をもう一度調整してみて? …で、どうなったんです。その…パリスって彼女とは。」
「僕が大学を卒業する時、彼女の父親はパリにある大病院の院長をしていてね。僕を誘ってくれて、5年後には外科部長にしてくれるとまで言ってくれた。」
「ああ。その代わり宇宙艦隊はあきらめろか?」
「正直どうしようかすごく迷ったよ。でも…こういうわけだ。」
「…艦隊を選んだ。」
「フン、まあね。今でも夜中に目が覚めて、思うことがあるよ。もう一度あんな恋ができるのかなって。R-F振動機は動いたけど、発信機がまだ駄目だな。」
「…僕が見ましょう。…ああー!」
「…どうしたんだ。」
「足の、感覚が…全くないんです。ああ…。」


※17: Keiko O'Brien
(ロザリンド・チャオ Rosalind Chao) DS9第31話 "Rivals" 「詐欺師エル・オーリアン星人」以来の登場。声:吉田美保

※18: 「医学部を首席で卒業した」と誤訳。ベシアは次席卒業です

※19: No.57 "Good customers are as rare as latinum. Treasure them."

※20: data clip

※21: Delon Palis
フルネームの方は訳出されていません。パリスという名はアイラ・ステーヴン・ベイルの友人の妻より (同じくバレリーナ)

ランナバウト※22を操縦するダックス。「タラニ3 へ接近中、ガンジスと並行する軌道に乗りつつあります。」
シスコ:「タラニ船へチャンネルを開いてくれ。」
エティシュラが映し出される。『シスコ司令官、ご苦労様です。シャトルの回収にいらしたのですか?』
シスコ:「ええ、そうです。」
『これからタラニ・プライムで追悼式典が行われます。一緒にいらっしゃいますか?』
「ええ、時間があれば。その前に事故現場を自分の目で見てみたいのです。」
『…ええ、どうぞ。』 通信は終わった。
ダックス:「あなたがタラニ船へ行ってる間、私はガンジスを調べておくわ?」
シスコ:「ああ、頼む。」

タラニ3号星。
操作を続けるベシア。「チーフ! ついに動いたぞ。シグナルは弱いけど。」
オブライエン:「じゃもっと高い…周波数に切り替えて。…チェンバーコイル※23の作動装置をリセットして?」
「まだ弱いけど何とかなりそうだ。2分おきに遭難信号が出るようにセットしたからな。タラニが気づいてくれるといいが。」
「早く来てくれないと。」
「大丈夫だよ。じき家に帰れるさ。」
「棺桶でね?」
「何をバカな、僕を信用しないのかい?」
「…僕はもう…助からない。…ねえドクター、聞いて下さい。」
「何だ?」
「…ケイコとモリーに伝えて欲しい…」
「君が自分で伝えればいい。」
「……間違ってますよ? 結婚のこと。」
「ああ、君の言うとおりだ。」
「はぐらかさないで下さい。…あなたは、いつも冒険を求める。ハ…冒険? ああ、結婚以上の冒険なんてないのに。…結婚生活には落とし穴だの、罠だのが…一杯だ。ハハ…でも、それでも楽しい。二人一緒なら…。確かに、DS9 への赴任が決まって、ケイコは不機嫌になった。…今でも、ケンカする。ハ…でもいいんだ。……乗り越えられる。…愛情があるからね。」
「チーフ。」
「それが、大事なんだ。」
「チーフ。」
「あ?」
「少し休みなさい。」 銃を手にするベシア。「じきタラニが来てくれる。」
オブライエンは眠っていた。

タラニ船内のシスコ。「放射線パルスの残留が、まだ観測されますね。」
エティシュラ:「パルスの密度を考えれば、それも当然です。でももう危険はありません。」
「お聞きしますが、事故の原因となったセキュリティシステムのことは何かわかりましたか。」
「…いいえ、でも調査は続けさせています。」
「事故のデータクリップを持ってきたのはシャラット大使ですか。」
「そうです。」
「あなたは到着してすぐにそれを見たんですね?」
「ええ、そうです。」
「その前にデータが改竄されていた可能性は。」
「……シャラット大使がなぜそんなことをするんですか?」
「…不思議ですよねえ。」
通信が入る。『ダックスより司令官。』
シスコ:「シスコだ。」
ダックス:『司令官、そちらが済んだら、ガンジスへいらして下さい。』
「わかった。2、3分したら行く。」
エティシュラ:「タラニとケルランは長い戦いを終わらせたばかりです。…でも互いの信頼がなければ、この平和は長続きしないでしょう。」

タラニ船の隣りにいるガンジス。
転送されたシスコ。「何かわかったのか。」
ダックス:「ガンジスのコンピューター日誌に、5秒の空白があるのを発見。」
「どこだ。」
「パワーの不安定からくるものかと思ったけど、メモリーコアにビーム転送を遠隔操作しようとした形跡を見つけたわ?」
「その時間にビーム転送した記録は、残っていないのか。」
「ええ。」
「誰かが記録を、後から消したのか。」
「しかもその 5秒の空白の時刻を見て?」
「15時34分。タラニ船で事故が起きた時間の、3分後だ。」
「チーフ・オブライエンとジュリアンがビーム転送で脱出したのかもしれない。」
「ということは現在生きている可能性もあるわけだな? ダックス、よくやった!」

咳き込むオブライエン。
ベシア:「チーフ! チーフ、しっかりするんだ。息をして。よーし、そうだ。がんばってくれ。」
注射を打たれ、オブライエンの呼吸が落ち着いてきた。「別れてから…彼女と話したことはないんですか。」
ベシア:「地球を出て以来一度もね?」
「…もう一度…話し合ってみれば?」
「そうだな、機会があればね。」
足音が聞こえてきた。
影が見える。銃を持って隠れるベシア。
入ってきたのはエティシュラだった。
近づくベシア。「エティシュラ大使! よく来て下さいました。ケルランに襲撃されて、チーフがハーヴェスターに感染しまして。みんな殺されました。」
タラニに続き、ケルランたちもやってくる。
シャラット:「生きていたとは。」
ベシア:「残念だったな。」
その時、エティシュラはベシアの武器を奪い取った。「いいえ、あなたにもすぐ死んでもらうわ!」
ベシア:「まさか、タラニもグルだったのか。」
「ケルランと、タラニの平和のためには仕方なかったのです!」
「でもハーヴェスターが全て破壊されたのに、なぜまだ殺し合いを。」
シャラット:「ハーヴェスターを破壊しただけでは不十分だ。二度と製造されないようにしなければ。」
エティシュラ:「そのためには、ハーヴェスターの知識をもつ人間を全員殺す必要があったの。あなた方 2人も含めてね?」
ベシア:「僕たちはそんな武器を作るつもりなんか。」
シャラット:「知識が残る限り、悪用の可能性も残る。見逃すわけにはいかないのだ。」
エティシュラ:「あなたには悪いと思います。…でもタラニとケルランの和平という大儀のために死ぬのですから、あきらめて。」
みな 2人に向けて武器を向ける。
どうすることもできないベシア。


※22: エンサイクロペディアおよび脚本ではリオグランデ

※23: chambers coil
映画 ST2 "The Wrath of Khan" 「カーンの逆襲」より

タラニとケルランが銃を向ける。
エティシュラは合図の手を挙げていく。
オブライエン:「待て。」
エティシュラ:「どうしたのです。」
「ドクター、起こしてくれ。」 身を起こすオブライエン。「死ぬなら立って死にたい。」
ベシア:「…こんなことになってすまなかった。」
「いやあ…ドクターのせいじゃありません。…本当に…世話になって。」 笑うオブライエン。
「ありがとう、チーフ。…僕こそ君には…」
その瞬間、2人は転送されていく。
驚くエティシュラ。「あっ!」

ランナバウト内に実体化するベシア。「…司令官! 助かりましたよ。」 オブライエンを席に座らせる。「急いで戻って治療しないと、チーフが死んでしまう!」
シスコ:「どうしたんだ。」
「ハーヴェスターに感染したんです。これでしばらくはもつ。」 ハイポスプレーを打つベシア。
ダックス:「あなたたち死んだって言われたのよ?」
「ええ、もうちょっとで殺されるところでしたよ。ハーヴェスターの知識があるからってんでね。」
「タラニ船が向かってきました。呼びかけてきたわ?」
シスコ:「無視しておけ。連邦の亜空間周波数を全て使って、SOS を。」
「周波数スペクトルが反転させられ、どの周波数も駄目です。…また呼びかけてきたわ。」
「反転によってセンサーに影響が出ているはずだ。」
「…近距離センサーは動きません。」
「ってことは…あっちのセンサーも駄目なはずだ。」

2隻のランナバウトのうち、ガンジスが動き始めた。
追跡を始めるタラニ船。
報告するタラニ人※24。「エティシュラ大使。シスコは逃走を開始しました。今追跡中です。」
シャラット:「追いつけるのか?」
エティシュラ:「…シャトルでは逃げ切れないわ? 一発警告してやりなさい。」
タラニ人:「…発射しました。…シスコが呼びかけてきました。」
「来るだろうと思ったわ。」
シスコ:『今の攻撃は、惑星連邦への宣戦布告と受け取る。』 スクリーンに映っている。
「我々は、あなたとも連邦とも争う気はありません。ドクター・ベシアとチーフ・オブライエンを引き渡してくれればいいのです。」
『なぜだ。殺すためにか。』
シャラット:「申し訳ないが、ハーヴェスターの製造データを一度でも目にしたあの 2人には死んでもらわねばならない。」
『2人がデータを悪用することはない。私が保証する。』
「保証だけでは信用できない。知識がある限りハーヴェスターの脅威はなくならないのだ。」
エティシュラ:「あなたの辛いお気持ちはよくわかります。でも私達とて、同胞の死を命じたのです。平和のためなのです!」
シスコ:『2人の引き渡しを拒否したら。』
「シャトルごと攻撃し、撃墜します。無駄な抵抗はおやめになって下さい。」
『ハーヴェスターのことは何も知らない私とダックス大尉も殺すのか。』
シャラット:「平和を守るためなら我々は何でもする。」
エティシュラ:「司令官、選ぶのはあなたです。一分以内にチーフとドクターを引き渡して下さい。」
シスコ:『殺されるのがわかっていて、誰が引き渡すか!」 通信を切った。
シャラット:「こうなったら仕方ない。」
タラニ人:「シャトルが方向を変えて、こちらに向かってきます。」
エティシュラ:「交渉決裂ね。」 船長席に座る。
「攻撃してきます。」
「シールドをアップ。」
「シールドアップ完了!」
「シャトルをスクリーンに。」
向かってくるガンジス。
シャラット:「我々には彼のフェイザーは効かない。」
だがガンジスはフェイザーで攻撃してきた。
タラニ人:「シャトルごと突っ込んでくるようです。」
シャラット:「玉砕するつもりか。」
エティシュラ:「フェイザー発射。」
攻撃するタラニ船。ガンジスは爆発した。
シャラット:「これで終わった。」
エティシュラ:「…タラニ3 に戻りましょう。もう一台のシャトルを牽引してちょうだい。」
タラニ人:「…おかしいなあ。さっきまで軌道上にいたもう一台のシャトルがいません。」
「どこに行ったの?」
「どこにも、見あたりません。」
シャラット:「だがただ消えるはずがない。」
「…ワープサインを探知しました。」
エティシュラ:「やられたわ。…今撃墜したシャトルには誰も乗っていなかったのよ。」
「センサーがダウンしてる間にもう一台の方へ移ったのかも。」
「そして遠隔操作でこちらへ突っ込ませたんだわ?」
シャラット:「まさかそんなことは。」
「ないって言える?」

DS9。
花柄のカップを手にしているオブライエン。「何だこれは?」 患者服を着ている。
ケイコ:「モリーがあなたに作ったのよ? 絵もあの子が描いたの。」
「上手じゃないか。才能あるなあ。」
ベシアがやってきた。「具合はどうですか?」
オブライエン:「いいですよ。退院はまだ?」
「明日には退院できるでしょう。…殺されるかと思った時、チーフが言ってくれたこと、僕は一生忘れませんよ。」
「何か、言いました?」
「僕にほんとに世話になったって。」
「…ああ…あれね。」
「だから僕も是非君に言っておきたいんだ。僕こそ君にはいろいろお世話になった。…生死の境を共に生き延びたっていうのは、切っても切れない絆になって心に残りますよね? …それにしてもあの時はもう…」
「ドクター?」
「ん? ……あ、ああ…すいません、お邪魔して。どうも失礼。」 戻るベシア。
「…ああ…。」
ケイコ:「ドクターはあなたを助けてくれたのよ?」
「うーん、あいつ一生恩に着せるぜ?」
「ずーっとあのドクターと一緒に過ごした感想は?」
「ああ、地獄だよ。」
笑うケイコ。
オブライエン:「とにかくしゃべり始めると止まらないんだ。…そうだ、これでコーヒーが飲みたいな?」
ケイコ:「…でもあなた、午後はコーヒーは飲まないでしょ?」
「そんなことないよ?」
驚くケイコ。「え、飲むの?」


※24: 名前は Jakin (ビル・モンディー Bill Mondy) ですが、言及されていません。日本語版エンサイクロペディアでは「ジェイキン」。声優はナイドロム役の仲野さんが兼任

・感想
原題は TOS "A Taste of Armageddon" 「コンピューター戦争」へのオマージュである、ベシア&オブライエンのストーリー。最終シーズンまで続く関係が、少しずつ構築されていってますね。吹き替えではオブライエンは基本的に敬語を使っていますが、原語だと既にもっとラフな印象を受けます (「ジュリアン」と呼んでいたり)。当初はオブライエンの DNA に兵器が埋め込まれ、消すためには殺さないといけない…という流れの予定だったそうです。
何と言っても面白いのは最後の「どんでん返し」ですね。それ以外でも科学者たちの虐殺を仕組んだのはケルランだけなのか、という疑問も視聴者に与えてくれます。脚本の Morgan Gendel は後に "Law and Order" の原案編集総指揮になり、以前は TNG "The Inner Light" 「超時空惑星カターン」の原案/共同脚色も担当しました。殺されないように逃げ続けるという「ミッドナイト・ラン」(1988) や「北北西に進路を取れ」(1959) タイプの追跡劇になる予定でしたが、これは予算がかかるため変更されたそうです。


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