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ディープスペースナイン エピソードガイド
第34話「オブライエンの孤立」
Whispers

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・イントロダクション
ワームホールへ入るランナバウト。
オブライエンが独りで乗っている。「コンピューター、コース 410、マーク 32。」
コンピューター:『設定しました。』
「ワープを最大出力にせよ。」 速度が変わる。「パラダ星系※1までは?」
『1時間14分です。』
ため息をつくオブライエンは、コミュニケーターをつけていない。「新しくファイルを作成。オブライエン個人日誌、宇宙暦 47581.2※2。……過去 52時間に起こったことを、整理しておこう。誰がこの記録を聞くのか、いやその時まで自分が…生きているかどうかもわからない。彼らは僕を追ってくるだろう。僕がパラダ星系へ行って、警告するのを彼らは許すまい。コーヒーを。ジャマイカン・ブレンドの濃くて甘いやつ。」 レプリケーターに現れる。「彼らの正体はわからない。今回の事件は謎に満ちたことだらけで、わからないことばかりだ。何がどうなっているのかさっぱりわかりゃしない。……最初に気づいたのは、これは変だと思ったのはいつだったろう。今から思えば、そうだ。」

オブライエン:『…あれはステーションに戻ってきた翌朝のことだ。』
ベッドで寝ているオブライエン。手を伸ばすが、隣にはケイコがいない。

オブライエンは寝室を出た。「ずいぶん早起きなんだな。」
ケイコ※3:「ああ…学校の仕事が最近溜まっちゃってるから、今朝は…早く行こうかと思って。」
「でもまだ 5時半だぞ? ジャマイカン・ブレンドの濃くて甘いやつを。」
「読まなきゃならない作文があるの。」
「よく眠れたかい、モリー。」
モリー※4:「あっちへ行って!」
「おい、パパにおはようのキスは?」
「やだ。」 テーブルを離れるモリー。
「俺が何をしたってんだ?」
ケイコ:「ちょっと機嫌が悪いだけよ。子供ってそうなの。」
「あ?」
「いちいち気にしないで。」
「…昨日は何時に寝たんだ?」
「結構遅かったわ? あなたよく寝てたわねえ。」
「ああ、グッスリだよ。今回の出張はきつかったからね。」
「何をやらされたの?」
「パラダ人※5かい? 今度行われる和平交渉に備えての、警備を実際にやらされてね。ヘ、もしオドーが来てたら、大変だったろうな。」
「そろそろ行ってきます。」
「じゃモリーは僕が保育園に送っていくよ?」
「あ、いえ。いいのよ、一緒に連れて行くから。モリー?」
「学校へか? だって作文を読むんだろ? 連れてちゃ読めないだろ。」
モリーを抱き上げるケイコ。「モリーに見せたいものがあるのよ。ヴァルカンのプログラムでね? 子供の問題解決能力を引き出すの。」
オブライエン:「朝 5時半からかい?」
「朝は頭がシャキッとしてるでしょ?」
「フーン。ま、がんばって?」
「行ってきます。」 二人は部屋を出た。
コーヒーを飲むオブライエン。

宇宙艦隊のエンジニアが、保安室で作業している。
中に入るオブライエン。「…どうしたんだ。」
エンジニア:「今朝は早出したんです。」
「早出ねえ。ハ、今朝は誰も彼も早起きだと見える。」
「は?」
「デカーティス※6。仕事熱心なのは非常にありがたいんだが、この仕事はな、オドーがベイジョーから戻るのを待ってやるつもりだったんだ。和平交渉に備えて、セキュリティネットを再編成するのに、オドーを無視するわけにはいかないだろう。」
デカーティス:「でも、シスコ司令官は構わないからと。」
「司令官が始めていいって言ったのか? 私に相談もなく。そんなはずはない。」
「でも、そうなんです。私は指示に従っているだけです。」
「司令官に確かめてくるよ。」
「あの、チーフ。」
「…続けとけ!」

プロムナードに戻ったオブライエンは、立ち止まった。
遠くでケイコとシスコが話していた。
別れる 2人。近づいてくるシスコから隠れるオブライエン。


※1: Parada system

※2: 一部資料では、このエピソードの宇宙暦が 47552.1 になっているミスがあります

※3: ケイコ・オブライエン Keiko O'Brien
(ロザリンド・チャオ Rosalind Chao) 前話 "Armageddon Game" に引き続き登場。声:吉田美保

※4: モリー・オブライエン Molly O'Brien
(ハナ・ハタエ Hana Hatae) DS9第23話 "The Siege" 「帰ってきた英雄 パート3」以来の登場。声:棚田恵美子

※5: Paradas

※6: デカーティス准尉 Ensign DeCurtis
(トッド・ウォーリング Todd Waring DS9第140話 "Change of Heart" 「至高の絆」のグリン・ラサラン (Glinn Lasaran) 役) 階級は後に言及されますが、訳出されていません。なお Ensign は通常少尉ですが、オブライエンの部下であることから准尉としました (参考:階級早見表)。階級章は不明。声:後藤敦

・本編
ワープ飛行中のランナバウト。
オブライエンはカップを置いた。「パラダ星系まで後どれぐらいだ?」
コンピューター:『53分です。』
「センサーをワームホール方向へ。こちらへ向かったワープサインはほかにないか?」
『1つワープサインを確認。』
「ディスプレイしろ。どこの船だ?」
『所属先および船名は、宇宙艦隊のメコン※7です。』
「そうか、やっぱりな。こっちがワープするのを待ってたわけだ。フン。…まあ橋を渡らなきゃならない時もあるよなあ。」
『その質問は理解できません。』
「ああ、今のは無視してくれ。…個人日誌に戻って。…さーて。…とにかく妙な感じがしたんだ。…でもあの時点ではわからなかった。」

オブライエン:『…みんなの振る舞い方はまるで、僕に内緒でこっそりパーティを計画してるような、そんな感じだった。でも僕の誕生日は 9月で、ほかにお祝いをするようなことは何も見あたらなかった。』
キラやダックスと話していたベシア。「ああ、やっと現れたぞ。ずっと君を待ってたんだ。」
オブライエン:「何か、用ですか?」
「今日は言い訳は聞かないぞ?」
「言い訳ですって?」
「1時間以内に、医務室へ来い。」
「なぜです。」
「定期検診※8だよ。ずっと延び延びになってるぞ?」
「でも今日は無理ですよ。」
「何が無理なんだ? 司令官にも許可を頂いてある。」
「司令官に? 何でそんな余計なことを!」
「しかしだね、チーフ。…嫌がる気持ちもわかるが、しかし…」
「お断りです、今日は忙しいんだ。」
「いや、今日こそは受けてもらうぞ。いざとなったら君の上官として命令を出す。本気だよ。」
司令官室から出てきたシスコ。「どうかしたのか。」
ベシア:「ミスター・オブライエンが言うには、今日は検診は受けられないと。」
「仕事は都合して受けてこい。」
オブライエン:「司令官!」
「ドクターは来週までに、スタッフの健康状態について、宇宙艦隊に報告しなければならないんだ。」
「了解。ちゃんと 1時間後に行きます。」
歩いていくベシア。シスコはうなずく。
オブライエン:「司令官、少しよろしいでしょうか。」

2人は司令官室へ入った。
シスコ:「デカーティスは、君が怒っていたと言ってた。」
オブライエン:「いえ、怒ってたわけじゃ。」
「いやあ、君が怒るのも当然だ。君に一言断っておくべきだった。私の、完全な采配ミスだ。」
「何となく、蚊帳の外に置かれたような気がしただけです。」
「悪かったな。君の報告を読んだが、パラダ人は、セキュリティに神経を尖らせているようだな。」
「ええ、少々気にしすぎですよ。まあ 12年も内戦状態にあったんでは仕方がないんですけどね?」
「ほかに何か気づいたことは。パラダ人を迎えるのに、留意すべき点はないか。」
「いえ、ほかには特にありません。報告に書いたとおりです。」
「チーフ。報告書以外のことが聞きたいね。」
「は?」
「報告書に書けなかったことでもいい。何か役に立つことはないか。」
「そうですね、何かあったかな。…そういえば一つ気づいたことがあります。お役に立つかどうかはわかりませんが、パラダ人には、体臭があるんですよ。その臭いは皮膚から出るもののようですが、気分で変わるんですよ。怒ると、体臭も強くなるんです。」
「そうか。じゃあ怒らせないようにしよう。」
「そうですね。」
「あちらの指導者からは定期的に連絡が入るんだが、セキュリティに関しては細かい注文がきてるよ。」
「私が見ましょう。」
「もちろん、最終的には君に見てもらいたいがね? 現場の作業は部下に任せても大丈夫だろう。それより、大問題があってね。」
「何です?」
「上部目標塔がまたダウンしたんだ。」
「そんな馬鹿な! 戻ってきてチェックしたばかりなのに。圧力ロックも、正常に機能していたんですよ?」
「もう一度見てくれ。今朝、ボリアンの貨物船を牽引する騒ぎだった。」
「…大きな故障のはずはありません。サブシステムは全部私が作ったんです。…すぐに、取りかかります。」
「その前に、検診を受けてこい。」
「了解。…ところで今朝、学校の前で妻とお話になっておられましたね。何か、あったんでしょうか。」
「ジェイクの成績のことで、ちょっとね。」
「ああ、そりゃあ大変ですね。でも、ジェイクはいい子だ。勉強すればすぐ追いつきますよ。」
「どうもありがとう。」
出ていくオブライエン。
パッドを手にし、外を見るシスコ。

患者服を着たオブライエン。「まだかかるんですか? 体中の穴に検査機械を突っ込んだ上に、新しい穴まで開ける気?」
複数の機械を同時に使っているベシア。「めまいはしない? …つい寝過ごす、身体がダルい、すぐハイになる。」
オブライエン:「全部、当てはまりますよ! 特に最近すぐにハイになっちゃうことが多くて!」
「おい、真面目に。」
「ねえ、ドクター。悪いところを見つけるまで医務室を出さないつもりですか? 僕は健康なんですよ?」
「目は大丈夫? 耳は? 頭痛は?」
「頭痛なら、今頭がどんどん痛くなってきたとこですよ。」
パッドに記入するベシア。「短気な性格。ちょっとした挑発ですぐにカッとなりがち。ただし正常の範囲内ではある。」
オブライエン:「楽しそうですね、ドクター?」
「どうやら君は医者が嫌いらしいね。」
「僕が嫌いなのは医者じゃない。あなたですよ、ドクター。」
声を合わせるベシア。「あなたですよ、ドクター。ま、君の冗談のセンスは正常らしい。」
オブライエン:「そんなセンスはありませんよ。」
「咳をして。セックスは順調?」
「そういう冗談はお断りです。」
「咳をして。…夜の生活は問題なし?」
「そんなことは宇宙艦隊とは関係ないでしょう。」
「ご両親は健康かな?」
「何言ってるんです。母が 2年前に亡くなったこと知ってるでしょ。」
「そうだっけ。」
「春に親父※9が再婚した時、愚痴聞いてくれたじゃないですか! お父さんの幸せを考えてやれって言ったの、ドクターでしょう?」
「そうだった。…思い出したよ。」
「もう終わりですか。」
「いや、まだだ。あと 1つ 2つ、検査が残ってる。」
ベッドを降りるオブライエン。「いい加減にして下さいよ! こんなに長くかかる検診なんて初めてだ! 死にかけてるわけでもないのに、何でこんなにしつこく。…待てよ。じゃ、じゃそうなのか? まさか、俺どこか悪いんですか? だからみんながあんな態度で…」
ベシア:「大丈夫だよ、チーフ。検査結果は全て正常。もう帰っていいよ?」
診療室を出ていくオブライエン。
ベシアはパッドを見た。

制服に戻ったオブライエン。
ジェイクが声を掛ける。「あ、チーフ!」
オブライエン:「やあ、ジェイク。」
「お願いがあるんです。」
「どんなことだい?」
「課題で、亜空間トランシーバーを作ってるんですけど。どうやったらエミッタークリスタル※10が動くのかわからないんです。」
「ああ、亜空間トランシーバーか。僕も、君ぐらいの頃作ったよ。いいよ? 見てあげよう。」
「だけど奥さんから叱られませんか? ケイコ先生から。」
「一応、ケイコには言うけど平気だろう。それに課題をがんばれば、成績だって上がるだろうからねえ?」
「いえ、オールA ですよ。でも下がりたくないから。」


※7: U.S.S.メコン U.S.S. Mekong
ドナウ (ダニューブ) 級ランナバウト、NCC-72617。前話 "Armageddon Game" で破壊されたガンジスの代わり。まだ登場はしません

※8: (annual physicals)

※9: マイケル・オブライエン (Michael O'Brien) のこと。TNG第105話 "Disaster" 「エンタープライズ・パニック」など

※10: emitter crystal
「エミッタークリスタル」と訳されているような…

オブライエン:『ジェイクの成績のことは嘘だったが、目標塔の故障は本当だった。しかし妙な話だ。新しく付け替えておいた圧力ロックは正常に動いているので、故障の原因は別の箇所のはずだ。調べてみたが、原因を突き止めるにはしばらくかかりそうだ。パラダ人を迎えるため、セキュリティを整備しなければならないのに、私は修理で手一杯だった。』
エアロックで修理を行うオブライエン。

廊下で作業中のデカーティス。
オブライエンがやってきた。「どうだ、デカーティス。」
デカーティス:「チーフ。目標塔の修理は終わったんですか?」
「いや、まだだ。休憩に出るついでに寄ってみたのさ。」
「全て予定通りです。パラダ人が泊まる部屋は全てチェック済みです。」
「よし、開けてみろ。私が確認する。」
「ああ、それはできません…」
「これは命令だ。」
「でも開けると緊急事態が発令されてしまいます。アクセスコードは、キラ少佐しか。」
「オブライエンよりキラ。」
キラ:『どうしたの、チーフ?』
「パラダ人の部屋のアクセスコードを教えて下さい。」
シスコ:『チーフ! そこで何をしている。』
「司令官。…私は先週一杯かけて、ここのセキュリティを考案したんです。だから、最後の確認は…」
『それより、上部目標塔の修理を急げ。そちらが優先だ。わかったな?』
「…わかりました。」
歩いていくオブライエンを見るデカーティス。
廊下を曲がったのを確認し、自分でロックを解除して中に入った。
オブライエンは、その様子を隠れて見ていた。

パクレド人の隣に座っているジェイク。
オブライエンが通りかかる。
ジェイク:「チーフ! 亜空間トランシーバーのインバーターはこれでいいの?」
オブライエン:「ほう、どこで見つけた。子供の頃はよく見たモデルだが。」
「複製したんです。図書館のものすごーく古いデータファイルにデザインが載ってたから。」
「ものすごーく古いファイル?」
「すいません、僕…」
「いいんだよ、気にするな。じゃあ今日の夜、僕の部屋に来ないか? 組み立てるのを手伝うからさ。」
「ええ、うかがいます。」
「ジェイク。僕がガンマ宇宙域に行っていた間、ステーションで何か変なことはなかったかい?」
キラ:「ジェイク! お父さんが探してたわよ、今家に帰られたわ。大事な話があるみたい。」 2階から見ていた。
ジェイク:「じゃ今夜。」 歩いていく。
「修理の方はどうなの?」
オブライエン:「ええ、順調にいってます。」
去るキラ。オブライエンは表情を硬くする。

オブライエン:『その日一日を、私は修理に費やした。「藁の山から針を探す」作業だ。ついに RFパワーコンジット※11にヒビを見つけた時、どうしてシステムのこんな深いところが壊れるのか、誰かがわざとやったとしか思えなかった。』
また修理を行うオブライエン。

オブライエンは部屋に戻る。
レプリケーターで食事を準備するケイコ。「疲れた?」
オブライエン:「ああ、今日はもうグッタリだよ?」
「食事の前に少し休む?」
「いや。ジェイクが来ることになってるんだ。課題を手伝う約束でね?」
「ああ、それなら司令官から連絡があったわ? ジェイクは気分が悪いから来られないって。」
「ほんとか? さっき会った時は元気だった。」
「でも、子供ってそういうものよ? きっと学校帰りにプロムナードで変な物でも食べたんでしょ?」
「モリーはどうした?」
「今日はフレデリクソン※12さんの家にお泊まりよ?」
近づくオブライエン。「…じゃあ今夜は二人きりだな。」
オブライエンから離れるケイコ。「ああ…料理が冷めないうちにいただきましょ?」
オブライエン:「レプリケーターが温めてくれるよ。いいからおいで。」
二人はキスをするが、目を開けたままのケイコ。
オブライエン:「どうしたんだ。」
ケイコ:「いえ、何でもないけど。その気になれないの。何だか疲れちゃって。」 また食事を取り出す。
「わかった。じゃ食べよう。」 テーブルにつくオブライエン。「これ何?」
「フリカンドシチュー※13よ?」
「でも君は嫌いだったろ。」
「好物でしょ?」
「そりゃ僕はね?」
「今夜はあなたの好きな物にしようと思って。出張中は向こうが出す物を食べさせられるでしょ?」 ドロドロしたシチューを皿に入れるケイコ。「後はエンダイブのサラダ※14と、デザートは甘いフラン※15よ?」
「そうか、優しいね? ありがとう。」
ケイコは別の物を食べ始めた。
オブライエン:「君はシチューは?」
ケイコ:「私はサラダだけでいいわ?」
「サラダだけ?」
「お昼が遅かったから。」
シチューの中を探るように、スプーンで突っつくオブライエン。
その様子を見ているケイコ。「食べないの?」
オブライエンはひとかけらを口に運ぼうとするが、止めた。「やっぱり、少し休んでくる。」
ケイコ:「一口も食べてないのに。」
「ああ、そうだな。疲れすぎてて食べたくないんだ。」
無言のケイコ。
オブライエン:『シチューに何かが入っていたかどうかはわからない。後で調べてみようと思って行ったら、ケイコがもう捨ててしまっていた。でも、これだけは言える。目の前にいるこの女は、私のケイコではなかった。』


※11: RF power conduit

※12: Fredrickson

※13: fricandeau stew

※14: endive salad

※15: flan

ランナバウト。
※16オブライエン:「コンピューター。…オブライエンの個人日誌を開け。最後の部分を再生。」
『でも、これだけは言える。目の前にいるこの女は、私のケイコではなかった。』
「…その通りだ。ケイコじゃない。…日誌を再開。…その夜はよく眠れなかった。」

オブライエン:『…私はケイコが寝るのを待って調査を再開した。しかし調べると言っても、何を調べればいいのか。私は必死に何か異常はないか、いろいろ仮説を立てて探した。』
コンソールの前に座っているオブライエン。
コンピューター:『スキャン終了。未知の微生物は探知されませんでした。』
オブライエン:「生物体に対して影響力をもつ、化学物質の痕跡は?」
『そのような化学物質の痕跡は全く探知されません。』
「じゃあ未知の化学物質は。」
『探知されません。』
「内部 EMセンサーグリッドにアクセスせよ。」
『完了。』
「低周波通信の痕跡をスキャンしてみてくれ。」
『スキャン終了。低周波通信の痕跡はありません。』
「ニューロウェーブ・パターンに異常は?」
『ありません。』
「テレパス活動の痕跡はないか?」
『ありません。』
「…コンピューター。宇宙暦 47550 から 47571 までに、ステーションに到着した船を全てディスプレイせよ。」 一覧※17を見るオブライエン。「ガンマ宇宙域からは。」
『お尋ねの期間にはガンマ宇宙域からの船は一隻も来ていません。』
「ああ…。」 レプリケーターの前に行くオブライエン。「コーヒー、ジャマイカン・ブレンドの濃くて甘いやつを。…少し飲みすぎだぞ、オブライエン。でも仕方ありませんよ。」 コンソールの前に戻る。「…よし、コンピューター。ステーション日誌を日付順に再生してくれ。宇宙暦 47550 以降のものから頼む。」
『どの士官の記録したものか特定して下さい。』
「…司令部全員のだ。」
『音声、それとも文書で。』
「音声で。」
シスコ:『ステーション日誌、宇宙暦 47552.9。ガプタ提督※18が、直々にカーデシアの状況を視察に訪れた。非武装化された地域のいくつかで…』

ソファーで聞き続けるオブライエン。
ダックス:『現在までに存在が報告されていない生命体を発見。分類上は、原生動物門に属する…』

シスコ:『行方不明になったのは、ベイジョー7 の 3番目の月の付近らしい。捜索のため、2機の…』

キラ:『政府のお偉方なんて結局何もわかってないのよ。到着する船を全て検査しろだなんて…』

デカーティス:『17時の時点では、何の問題もなく正常に機能しているようだ。ええ…私の見るところでは…』

シスコ:『今のところ、カーデシアは協定を破るつもりはないようだ。』
コンピューター:『アクセスが拒否されました。』
飛び起きるオブライエン。「拒否? …どこへのアクセスがだ。」
コンピューター:『宇宙暦 47569.4 以降の日誌へのアクセスは限定されています。』
「俺が戻った日だ。アクセスの限定範囲は?」
『レベル1 のセキュリティクリアランスの保有者にです。』
「俺はレベル1 だぞ?」
『セキュリティ・コードナンバーの入力を。』
打ち込むオブライエン。
コンピューター:『アクセスは拒否されました。』

オブライエンは司令室にターボリフトでやってきた。
コンピューターを操作する。
周りをうかがいながら、コンピューター区画に独りで入った。中を開け、作業に取りかかる。
デカーティスが近づく。「手伝いましょうか、チーフ?」
オブライエン:「いや、これで上部目標塔は午前中には動くと思うんだ。」
「そうですか、さすがですね。」 デカーティスは離れた。
オブライエン:『コンピューターのサブルーチンには、いくつも罠が仕掛けてあった。もし私がファイルに侵入したらすぐわかるようにだ。だが、そんな罠をかいくぐることぐらい、私には何でもなかった。』

廊下で人が去ったのを確認し、オブライエンは自室に戻った。
オブライエン:『隠された日誌を読んでも疑問は解けなかったが、恐れていたことが起きてしまっていた。…彼らはパラダ人のセキュリティに関する私の報告書を読み、徹底した分析を行い、その上私の個人日誌にまで侵入していた。妻へのラブレターを読んで楽しんだだろうか。パラダ星系からの極秘通信にはシスコが何度かエントリーしていた。しかし、通信の内容を示唆するデータはなかった。私がセキュリティを乗り越えて侵入してくるのを見越してのことだろう。侮れない敵だ。』
コンソールの操作を続けるオブライエン。

エアロックから人々が降りてくる。
オドー:「チーフ。」
待っていたオブライエン。「問題が起きてね。話があるんだ。」
オドー:「うーん、帰ってきた途端にか。」

廊下で話すオブライエン。「ジェイクを除いて、ほかのみんなは…別人らしい。…誰を信用していいのか途方に暮れてるんだ。」
オドー:「彼らはあなたをマークしてます?」
「多分ね。質問をして回ったり、コンピューターをいじったりもしたからねえ。きっと目をつけられてるだろう。…艦隊に連絡しようにも何て言うんだ? 妻の様子がおかしいとか、司令官が自分に相談しないで仕事をするとか。」
「そうしたら艦隊の方から、司令官に問い合わせが入るでしょうね。」
「そうなったらまずいだろ。」
「パラダ人が着くのは?」
「38時間後※19だ。」
「ははあ…この問題が解決するまでは来られちゃ困りますね。」
「同感だ。」
「…じゃ仕事に戻って下さい。敵の注意を引かないようにしないと。私も調べてみます。もしチーフのうたぐってるとおりだったら、宇宙艦隊とベイジョー当局に同時に通報しましょう。」
「…頼りは君だけだ。」
「必ず真相を暴きます。」

家に帰るオブライエン。
オブライエン:『私はホッと一安心した。ついに味方ができたのだ。後は、待つしかなかった。…だが私はこの待つというのができない性分なのだ。そこで次に起こるだろうことに備えて準備を始めた。打つ手は、まだいくつかあった。』
ケースから取り出した装置を扱うオブライエン。

にぎわうクワークの店。
2階に独りで座っているオブライエン。
クワーク:「まあ、あんたに勝ち目はないね。」
オブライエン:「勝ち目? 一体何のことだ。」
「おお! 言わなくてもわかるでしょ。顔色が悪いね、ちゃんと寝てます?」
クワークの胸ぐらをつかむオブライエン。「一体何が言いたいんだ、クワーク!」
クワーク:「ラケットボールですよ! 来週ドクターと再試合でしょ、まだ勝負はついてないんスよ? 全く、短気で困るよなあ?」 前に座る。
「話題を変えよう。」
「いいっスよ? 話題を変えましょう? そうだなあ、パラダ人はどうなってます? 確か明日来るんですよね。」
「パラダ人の何が知りたいんだ。」
「新しいお客をつかもうと思ったら、前もって情報を集めとかないとね。※20
「ああ、金儲けの秘訣第何条だ?」
笑うクワーク。「ああ、かなり後の方だねえ。194条かな。」
オブライエン:「そうか。パラダ人のことが知りたいなら、よそで聞け。」
通信が入る。『オドーよりオブライエン。』
オブライエン:「どうした。」
オドー:『至急私のオフィスへ。』
「よーし、すぐ行く。」 向かうオブライエン。
クワーク:「ヘ!」

入ってきたオブライエンに話すオドー。「チーフの言うとおりです。」
オブライエン:「何か、わかったか。」
「座って? パラダ人の、過激派のこと知ってます?」
「あ…政治情勢については詳しくないけど、12年間政府軍と対立してるって聞いたよ? それが?」
「今回の事件の背後にいるのは誰だと思います?」
「オドー。司令官の日誌にはパラダ星系から極秘通信が入った記録があった。あれは過激派からの通信か?」
「実のところそうなんです。」
「じゃあパラダ政府と交わしたセキュリティ協定に、違反してるじゃないか。それなら和平交渉は中止にするべきだ。」
「それは、大人げないと思いますがね。」
「何が大人げないんだ。安全が保障できない以上……。君も一味か。」
「何を言うんですか、私はただ…」
「いや、君も奴らの一味なんだ。」
シスコたちが保安室にやってきた。
フェイザーを持ったシスコ。「話し合う必要がありそうだな。」
オブライエン:「何者なんだ!」
キラ:「危害を加える気はないわ?」
ベシア:「さあ、少し落ち着いて下さい…」 ハイポスプレーを近づける。
オブライエンは、袖に隠し持っていた装置を使った。
爆発的に光が発生する。悲鳴を上げるキラ。
キラの銃を奪ったオブライエンは外に出て、保安部員たちを撃った。
近くのドアに入る。


※16: この部分は最終脚本では、オブライエンが "The Minstrel Boy" (TNG第86話 "The Wounded" 「不実なる平和」) を歌うシーンがありました。メコンに対して通信で歌ったりもするのですが、リオグランデとメコンを取り違えるミスがあり、カットされました

※17: 20隻ほどが、宇宙暦、船名、以前にいた場所 (?)、艦長のリストとして表示されます。U.S.S. Galice (ガリス)、U.S.S. Hispaniola (ヒスパニオラ)、U.S.S. Oregon (オレゴン)、U.S.G.S. Powell (パウエル)、W.E.B. DuBois (W・E・B・デュボイス) などが載っているようです (画像)

※18: Admiral Gupta
「ガプタ将軍」と誤訳

※19: 「38」と誤訳。DS9 は 26時間で 1日です (冒頭で 52時間とあるのは、DS9 時間で 2日間)

※20: No.194 "It's always good business to know about your customers before they walk in your door."

廊下を急ぐオブライエン。「…コンピューター。バッジにロックオン。私をリオグランデに緊急ビーム転送してくれ。」
コンピューター:『今の命令は実行できません。ステーション司令官に援助を要請して下さい。』
オブライエンはコミュニケーターを投げ捨てた。

前にフォースフィールドを張られてしまった。
近くのコンピューターで状況を見るオブライエン。「…取り囲むつもりだな? 見てろ? フォースフィールドでくるなら、フォースフィールドで返してやる。」 さらにフォースフィールドが全ての区域に張られていく。「ほーれ。俺を捕まえたいなら、全部解除しないと無理だぞ。」
もくろみどおり、フォースフィールドは消滅した。
オブライエン:「ヘ。ありがとさん。」 歩き続ける。

部屋からジェイクが出てきた。
オブライエン:「ジェイク! 大丈夫か。」
ジェイク:「ええ。」
「よかった。聞いてくれ。…どうもみんなの様子がおかしい。君のお父さんもだ。何かが起こったらしい。…無事なのは、君と僕だけだ。」
密かにコンソールに近づいたジェイク。「ジェイクよりセキュリティ。チーフを発見、レベルH2、セクション 5。大丈夫ですよ、降伏すれば助けてくれます。」 逃げていった。
オブライエンは道を戻り、アクセストンネルに入った。パネルを戻す。
保安部員の声が聞こえてくる。「この辺りのはずだ。」「よく探せ!」
オドー:「この辺り一体を徹底的に探せ! 住民には外へ出てこないよう、言っておくように。」
「了解!」
トンネルを進み、はしごを登るオブライエン。

途中で武器を落としてしまった。だがそのまま進む。

貨物室に来たオブライエン。転送台のコンピューターを作動させ、転送された。

リオグランデ内に実体化した。コンソールを操作し、音が響く。
操縦席に座った。
シスコの通信が入る。『エンジンを停止せよ。』
オブライエン:「申し訳ないが命令には従えません。」
『ステーションを出るのは許さない。繰り返す、直ちにエンジンを停止せよ!』
「もう係留クランプは解除してありますし、トラクタービームは作動しないはずです。私を引き留めることはできませんよ。通信終了。」 オブライエンは映像を切った。「シールドアップ。」
DS9 を離れるリオグランデ。
攻撃を受ける。
オブライエン:「シールドは大丈夫か。」
コンピューター:『シールド 71%。』 さらに揺れる船内。『警告、49%に低下。』
「生命維持装置のパワーを、シールドジェネレーターに転送。」
『転送完了。』
「シールドの状態は。」
『シールド 93%。』
「エンジン全開。コース 41、マーク 330。」
『了解。』
「コンピューター、艦隊基地401※21 に亜空間チャンネルを開け。最優先でロールマン提督※22に。」
『お話し下さい。』
「提督。マイルズ・オブライエンです。DS9 のテクニカルチーフです。」
ロールマン:『ええ、知っております。』
「提督。現在 DS9 では緊急事態が起こっております。一種の乗っ取り、クーデターがあったらしいのですが、パラダの和平交渉に関連しているようです。」
『いいですか、オブライエン・チーフ。DS9 へ戻りなさい。直ちにです。』
「わかってらっしゃらないんですねえ! シスコ司令官をはじめとして、司令部スタッフは全員が…何らかの影響力に操られ…」
『直ちに船を戻し、帰還しなさい。身の安全は保障します。』
通信を切るオブライエン。
オブライエン:『自分の耳が信じられなかった。まさか宇宙艦隊全てが乗っ取られてしまったというのだろうか。』
命じるオブライエン。「コンピューター、コース設定。180、マーク 31 だ。ワームホールへ。」
リオグランデは、ワームホールに入った。※23

中を進むランナバウト。

ガンマ宇宙域へ出る。


※21: 第401宇宙基地 Starbase 401

※22: Admiral Rollman
(スーザン・ベイ Susan Bay TOS スポック役、レナード・ニモイの妻) DS9第3話 "Past Prologue" 「スペース・テロリスト ターナ・ロス」以来の登場。階級章は二つ星。声:定岡小百合、VOY テンプルトンなど。前回の磯辺万沙子さんから変更

※23: クローズドキャプションでは次のようなオブライエンの声が入ることになっていますが、実際にはありません。「唯一残った道、パラダ星系へ戻ることにした。彼らに警告し、もしかしたら何らかの答えが見つかるかもしれない」

リオグランデ。
またレプリケーターに注文するオブライエン。「コーヒー。ジャマイカン・ブレンドの濃くて甘いやつ。パラダ星系までどれぐらいだ?」
コンピューター:『あと 1分20秒です。』
「追っ手との差はどれぐらいある。」
『現在の速度ですと 7分4秒です。』
「じゃワープから出たらすぐ追いつかれるな。となると、どこで追いつかれるかが問題ってわけだ。コンピューター、パラダ星系で最大の惑星は何だ。」
『パラダ4※24 です。』
「コースをパラダ4 へ向けて修正せよ。」
『了解。』
「パラダ4 に月はいくつある?」
『7つです。』
「うん、ラッキー7 か。座標を出してくれ。」
『パラダ星系に到着します。』
「通常エンジンへ。」 操縦するオブライエン。
衛星へ向かうリオグランデ。
オブライエン:「追っ手のメコンは?」
コンピューター:『メコンはワープアウト後、こちらと同じにコースを修正しました。』
「狙い通りだ。メコンとの差はどれぐらいだ。」
『現在の速度ですとメコンとこちらとの差は 2分1秒あります。』
「速度を落とし、30秒後に追いつかれるように修正してみてくれ。」
『エンジンを 0.4ポイント絞ります。』
モニターでカウントダウンが始まる。
オブライエン:「さあ、鬼さんこちらだ。」 表示を見続ける。
コンピューター:『警告。極地の磁場に入りました。これから 27秒間センサーは作動しません。手動操縦に切り替えて下さい。』
「切り替えた。」 センサー表示が乱れている。「コンピューター、エンジン全開。発進!」
『了解。操縦は手動でお願いします。』
衛星の裏に向かうリオグランデ。
オブライエン:「全エンジンを停止せよ。パワーシステムも停止。静止状態に入れ。」
コンピューター:『了解。』
「さあ、どこにいるかわかるか? 完全に見失ったようだな。さーてどうするかな? 俺は隠れんぼの天才だぞ。」 メコンの状況を見るオブライエン。「遊んでる暇はないってか? コンピューター、メコンはどこに向かってるんだ。」
『41、マーク 201 です。』
「どこだそれは?」
『パラダ2※25 です。』
「…パラダ2? 何があるんだ。」
『地域を特定して下さい。』
「コンピューター、メコンに出入りする転送を全てモニターしてくれ。」
『メコンの転送装置が作動しました。』
「地表へ転送を?」
『そうです。』
「何人転送した。」
『3人です。』
「メコンに残ったのは。」
『いません。』
「パラダ2 へコースを変更。地表の 3人がいる位置の真上に軌道を設定してくれ。」

洞窟に転送されるオブライエン。
トリコーダーで調べる。フェイザーも持っている。
ドアを開けると、シスコたちがいた。異星人たちと一緒だ。
オブライエン:「まさか裏で過激派とつるんでたとはねえ。」
シスコ:「それは誤解だ。武器をしまうんだ。説明するから。」
「いやだ。それならそっちから、武器を捨てるんだ。…早く!」
従うシスコとキラ。
オブライエン:「お前もだ!」
捨てるパラダ人。
もう一人のパラダ人※26が言った。「あのドアを開ければ全てわかってもらえます。」
オブライエン:「へえ。お仲間が隠れてるんじゃないのか?」
「いいえ。なら私が開けます。」
「そこを動くんじゃない!」
キラ:「こっちの言うことも聞いて、私達はあなたの敵じゃないのよ?」
「そうか?」
パラダ人:「お願いです。全て誤解も解けます。」
「動くなって言ってるだろ!」
さっき銃を捨てたパラダ人は、隠し持っていたもう一つの武器でオブライエンを撃った。
倒れるオブライエン。
パラダ人がドアを開けると、中にベシアがいた。
シスコ:「ドクター、来てくれ!」
もう一人ドアの中にいたのは、オブライエンだった。
撃たれたオブライエンを診察するベシア。
オブライエン同士は、互いに見つめ合った。
部屋から出てきたオブライエン。「完璧じゃないか。僕にそっくりだ。」
キラ:「自分が本物の気なのよ。」
パラダ人:「心まで本物と同じにしてあるんです。この複製の身体には、和平交渉が始まれば行動を起こさせる装置が仕掛けてある。政府側の科学者がしたことです。複製の技術にかけてはすごいですからね。」
本物のオブライエン。「何をやらせようとしたんだ?」
パラダ人:「確証はありませんが、恐らく誰かの暗殺でしょうね。我々の代表全員をとか。」
シスコ:「政府内の内通者が、知らせてくれたのさ。出張中君が誘拐されて、複製にすり替えられたって。」
「それ以来ずっと探していたんです。」
ベシア:「だがどっちが本物かわからない。検査をしても、数値は全く同じだし。ステーションの地理もよく知ってるし。」
オブライエン:「それであんなにしつこく検査をしたんですか。…やっとわかりましたよ。」
キラ:「あなたが発見されるまで、彼がセキュリティシステムに入れないようにしたの。…何でこんな目に遭うんだろうって思ったでしょうね?」
ベシア:「チーフが発見されたって知らせが入った時には、彼は逃げ出していた。」
パラダ人:「でもなぜパラダへ戻ってきたんでしょう。」
オブライエン:「僕だったらステーションに非常事態が起きたのを、誰かに伝えようとするね。」
シスコ:「複製もそうしようとしたんだろう。危機を伝えに来たのさ。」
実は複製だったオブライエンが、口を開いた。「…ケイコ……。」 本物のオブライエンの肩に、手を置く。
オブライエン:「ケイコがどうした。」
「彼女に、愛してると…。」 複製オブライエンは、そのまま息を引き取った。


※24: パラダ4号星 Parada IV

※25: パラダ2号星 Parada II

※26: 名前は Coutu (フィリップ・レストレンジ Philip LeStrange) ですが、言及されていません。日本の資料では「コウトゥ、コウツー」とされています (なお撃ったのは彼ではありません)

・感想
DS9 を通じて多い、「オブライエンの苦労」シリーズ。その中でも第2シーズンのこのエピソードは、かなりの傑作です。まさに逆転の発想が素晴らしく、そして最後の言葉が涙を誘います。すぐに見返したくなるタイプの話でしょう。パラダ人も、実は政府の方が腐敗していたんですね。制作陣は映画「パララックス・ビュー」や、小説「盗まれた街」(映画化では「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」「SF/ボディ・スナッチャー」「ボディ・スナッチャーズ」) を意識したそうです。
ケイコは当然として、モリーも聞かされていたんでしょうか。ケイコ=チャオの演技は一言、怖い…。当初はオブライエンが目覚めると DS9 からケイコとモリーが消えており、彼自身も本当はまだエンタープライズにいるはず…という流れだったそうです。言われて気づきましたが、視聴者に余計な推測を与えぬよう、全てのシーンがオブライエンを中心として描かれています。真の「お当番」ですね。
「複製」にはレプリカントという言葉が使われています。映画「ブレードランナー」での用語で、アンドロイドでもクローンでもない表現として用いられています。


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