クワークの店。
ダックスがフェレンギ人たちと、トンゴを楽しんでいる。「20 で売り。」
クワーク:「おい、冗談だろ?」
「冗談言ってるように見える?」
「ああ…パス。」
笑うフェレンギ。「何とかかわしたなあ。」
その様子を、ウォーフとオブライエンが 2階から見ていた。
ウォーフ:「彼女の勝ちだ。」
オブライエン:「50チップも負けてるぞ。」
「すぐ挽回する。」
「何で断言できる。」
「ジャッジアはディープなゲームをしてるんだ。今に彼女の作戦がはっきりしてくる。」
「へえ。…本当は、今どういう展開か全然わかってないだろ。」
「……ああ。」
笑うオブライエン。
ウォーフ:「だが多少は理解できるようになってきている。」
オブライエン:「いつから?」
「トンゴ・プレイヤーと結婚してから。一つはっきりわかることがある。ジャッジアは必ずあのバーテンダーに勝つ。」
「いや、どうだろうなあ。クワークはノッてる。先月なんか、206ゲーム連続で勝ち続けだ。」
「…じゃ、どっちが勝つか賭けてみるか?」
「いやあ、嫁さんが負ける方に賭けるのは気が引ける。」
「フン、度胸がないな。」
「何を賭けるんだ?」
「そっちが負けたらブラッドワイン、逆ならスコッチ一瓶。」
「乗った!」
握手する 2人。
トンゴを続けるダックス。「50 で売りに 100 で買いよ。」
フェレンギ人:「あー、だめだー!」
クワーク:「50チップも負けてるにしちゃあ、こりゃまた大きく出たなあ。」
ダックス:「払えないと思ってるのう?」
「そんなんじゃないさ。これ以上地獄に落とすのが嫌でね。俺は 100 で買いだ。これで、勝負だ。」
「そっちがそうくるなら、こっちもやり返さなきゃね。」 カードを出すダックス。
「すごい手じゃないか。」
喜ぶウォーフ。「エシュタ・パーマクカイ※1! ブラッドワインは熟成し過ぎない甘口がいい。」
オブライエン:「フン。」
クワークは尋ねた。「あんたの友達かい?」
ダックス:「ただのファン。」
「ファンの皆さんをガッカリさせることになるな。」 クワークもカードを出した。
「…フル・コンソーシアム※2?」
「フフン。」
オブライエンは言った。「207勝目だ。スコッチはシングルモルト、ハイランド産がいいな。」
ウォーフ:「ちょっと時間をくれ。」
「ああ、待ってるよう。」
ウォーフは下へ降りていく。
微笑むオブライエン。「うーん、207連勝か。」
クワークが話している。「ラチナムの延べ棒、36本頂きだ。」
降りてきたウォーフに言うダックス。「賭けに負けたの。」
ウォーフ:「まあ、どうでもいいことだ。」
「期待を裏切ってごめん。」
歩いていくクワーク。
ウォーフ:「他人に賭けて勝つよりも、君で負けた方がいい。」
抱きつくダックス。「うーん、何て優しいの。」
口づけする二人。
自室のウォーフとダックス。寝る準備をしている。
ダックス:「明日も例の訓練やるつもり?」
ウォーフ:「そのつもりだが、どうして?」
「夜のシフトのクルーが来る前に、外部センサーを調整しておきたいのよねえ。」
「16時までに、終わる予定だ。」 箱の前に座るウォーフ。
「ああ、じゃあ大丈夫ね。」
ウォーフは箱のふたを開け、腕を組む。
ダックス:「そうだ、サザーランド※3が明後日到着するんだけど、そしたら……。」
ウォーフがカーレスの像の前で、瞑想していることに気づいた。
祈りを終え、ろうそくを吹き消すウォーフ。「そしたら?」
「何でもない。」 ダックスはウォーフに着ていた服を投げつけた。「お話はもうおしまい。」
ウォーフもベッドに入り、抱き合ってキスをする。
ウォーフとダックスの、結婚式の写真が飾られている。
まだ二人が寝ているところへ、通信が入った。『キラよりウォーフ。』
起きるウォーフ。「…ウォーフだ。」
キラ:『休んでるとこ失礼。でもジャッジアと 2人で、すぐ司令官のオフィスへ来て欲しいの。』
「すぐに向かう。」 明かりをつけるウォーフ。
だがダックスは起きようとしない。
ウォーフ:「ジャッジア。起きろ。」
ダックス:「今起きる。」
ウォーフはダックスの毛布をひきはがした。
ダックス:「やだ!」
2人に話すキラ。「時間がないから本題に入るわね。この 2ヶ月間、艦隊はカーデシア人のスパイから定期的に軍事情報を受け取ってるの。その情報員が緊急連絡を送ってきて、至急艦隊側の人間と直接話したいって言ってる。13時間後に、彼が暗号化した亜空間通信をバッドランド付近のこの座標に送るって。」 パッドを渡す。
ダックス:「スパイの名前は?」
「情報部からの報告によると、名前はラサラン※4。でも、それしか教えてくれないの。だけど何度もしつこく念を押されたわ。彼は重要な情報源だから、すぐ誰かバッドランドに送るようにってね。それで…ディファイアントは留守だし、ランナバウトもほとんど第9艦隊との演習で出払ってるし。」
「で、私たちがバッドランド行きを志願する。」
「悪いわね。シェナンドー※5が着陸パッド『A』でスタンバイしてる。よろしく。」
司令官室を出ていく 2人。
着陸パッドから、ランナバウトが出発した。
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※1: par'machkai 愛情を意味するクリンゴン語。DS9第105話 "Let He Who Is Without Sin..." 「享楽の星・ライサ」など
※2: full consortium
※3: U.S.S.サザーランド U.S.S. Sutherland ネビュラ級、NCC-72015。DS9第131話 "You Are Cordially Invited" 「花嫁の試練」など
※4: Lasaran
※5: U.S.S.シェナンドー U.S.S. Shenandoah ダニューブ (ドナウ) 級、NCC-73024。ヴァージニア州の川の名前
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