イントロダクション
異星人の惑星。 薄暗い店の中には、様々な種族の異星人がいる。酒を飲み、カードゲームを楽しみ、麻薬を吸っている。ボリアンのウェイターが客にグラスを運ぶ。 カウンターには、宇宙艦隊の制服は着ていないオブライエンがいた。不精ひげを生やしている。後ろの席で話している 3人の男たちの会話を、盗み聞きしていた。 異星人の一人、フリース※1が言う。「レイマス※2は喜ばないだろうな。」 別の種族の仲間、クロール※3。「それで? どうする気だ。」 中央に座っているのは地球人のビルビー※4だ。「さあな。誰かやる気があるのか。」 クロール:「レイマスはお前に依頼したんだからな。」 「何とか考えるさ。」 フリース:「やばいぜ。」 「考えると言っただろ? 腹減ったな。」 「クリーラン※5料理にしよう。」 「いや、前に胸焼けしたんだ。」 「早く食い過ぎるからだよ。」 「腹が減ると、俺はどうしても…早食いになる。」 「その食い方じゃ、気をつけないと今に体悪くするぜ。」 「説教しても無駄だぜ。」 店に置いてある機械に触ろうとした客に、ビルビーは言った。「おい、通信ブース※6は使うんだ! 行け。」 クロールがブースに近づく。「ノザラ・サンド※7を注文してくれ。」 クロールは小さな装置の一つを首元のインターフェイスに装着し、もう一つを通信機につけた。空中で手を広げ、操作を始める。『コンピューター、起動。』 ビルビー:「ヴィロム・ソース※8余分につけるように言えよ。」 クロール:「この勘定はどこにツケる?」 「誰だって構わねえよ。俺たちでなきゃあな。」 笑うフリース。 ビルビー:「警察はどうだ。」 クロール:「いやあ、夕べ晩飯ツケたばかりだ。」 フリース:「衛生管理局は。口座コード知ってるか?」 「わかるよ、すぐにな。」 その様子を見ていたオブライエンは、袖に隠していた機械を作動させた。 すると通信ブース側から、電流がクロールに流れ出した。苦しむクロール。 クロールに近づくビルビー。「クロール!」 オブライエンはカウンターから離れた。「よせ! 触るな。細工されてる。」 通信ブースを操作し、電流を止める。解放されるクロール。 ビルビー:「大丈夫か? スパイクしやがった、昼飯代くらいでスパイクだ! この街はどうなってんだ!」 クロール:「見てくれよ! 焼き切れた。」 黒くなった装置を見せる。 もう一つを返すオブライエン。「やられたな。高いハードウェアなのに。」 フリース:「どうするつもりだ。」 ビルビー:「ハ、知らんよ。クロール、どうするんだ。」 クロール:「ああ…こんな高い機械、レイマスに代わりは頼めない。」 オブライエン:「おい、それちょっと俺に見せてくれないか。」 ビルビー:「お前直せるってのか。」 「…ことによっちゃあ。」 「ことによる?」 「いくら払ってくれるんだ?」 笑うビルビー。「…俺が誰か知ってるか?」 オブライエン:「いや。」 「知ってたら言えなかったろうな。」 「ハハ、それで? 誰なんだ?」 「お前名前何ていう。」 「コネリー※9。」 「そういや 2、3週間前からこのあたりをうろついてたな。ここでガラクタを直したりしてた。どう見ても…まともな暮らしをしてる奴とは思えん。まあいい、一つチャンスをやろう。」 クロールに命じる。「よこせ!」 オブライエンに渡した。「持って帰って、明日の朝…直して持って来い。ついでに磨いてなあ。」 「…明日の朝だな。」 オブライエンは店を出ていった。 笑うビルビー。 裏通りで一人の男、チャドウィック※10が待っている。 オブライエンがやってきた。「ビルビーに修理を頼まれた。」 チャドウィック:「驚いたな。オリオン・シンジケート※11とこんなに早く接触できるとは思ってなかった。どうやったんだ。」 「ハ、ただ食いしようとしたからスパイクしてやった。」 「怪しまれなかったか?」 「さあな。だが…きっかけを作らないと。早く終わらせて帰りたい。」 「…君があまり乗り気じゃなかったのは知っているよ。我々も、艦隊情報部以外の者に協力を求める事態は避けたかったが。」 「フン、だろうな。」 「シンジケートは送り込んだ捜査員を、先週また一人殺した。」 「去年から 5人目じゃないか。」 「だから向こうのスパイが誰なのかを君に探ってもらいたいんだ。そいつが誰かわかれば、君には直ちに引き上げてもらう。」 物音がした。その場を離れる 2人。 オブライエン:「それで…どう動けばいい?」 チャドウィック:「ビルビーはまず君のことを探るだろうな。君は運に見放され、ファリアス星※12へ流れ着いた修理人。そういうことになっている。シンジケートは腕のある人材を欲しがってるから、仕事の話があれば好都合だ。できる限り奴に近づけ。」 「わかった。」 歩き始めるオブライエン。 「オブライエン! 言っておくが、くれぐれも気をつけてくれ。危険な連中だ。もし正体がばれたら、殺される。」 「うん。」 オブライエンは去った。 |
※1: Flith (ジョン・チャンドラー John Chandler) 種族名不明ですが、後に登場するレイマスや女性と似たメイクであることから、ファリアス人かもしれません。声:秋元羊介 ※2: Raimus ※3: Krole (カルロス・カラスコ Carlos Carrasco DS9第49話 "The House of Quark" 「クワークの結婚」のドゴール (D'Ghor)、第92話 "Shattered Mirror" 「鏡あわせのジェニファー」のクリンゴン士官、VOY第55話 "Fair Trade" 「密売人」のバラット (Bahrat) 役) 種族名不明。声:福田信昭 ※4: Liam Bilby (ニック・テイト Nick Tate TNG第83話 "Final Mission" 「ファイナル・ミッション 新たなる旅立ち」のダーゴ (Dirgo)、「スペース1999」のアラン・カーター宇宙飛行士役) ファーストネームは台本より。声:糸博 ※5: Krellan (s) ※6: combooth ※7: nozala sandwich ※8: vilm sauce ※9: Connelly ※10: Chadwick (Michael Harney) 声:大滝寛 ※11: Orion Syndicate 恒星間犯罪組織。DS9第107話 "The Ascent" 「あの頂を目指せ」、第115話 "A Simple Investigation" 「オドーの恋」より ※12: Farius Prime 惑星。DS9第40話 "The Maquis, Part I" 「戦争回避(前編)」で言及 |
本編
DS9。 オドーとクワークが、別々に司令室にやってきた。同時にしゃべり出す。 オドー:「少佐、すいませんが…」 クワーク:「少佐、邪魔して…」 互いに譲り合う。「どうぞ。」 「どうぞ。」 また同時にしゃべる。 オドー:「センサーの…」 クワーク:「自動消火…」 キラ:「わかった。オドーが先。次ね。」 オドー:「ふむ。機関部のクルーに、内部のセキュリティセンサーをチェックしてもらいたいんです。どういうわけか、最近アラームの誤作動が異常に多いもんですから。」 「できるだけ早く誰か行かせるように手配します。で、クワークは?」 クワーク:「うちのバーの自動消火システムがイカレちまってるんだ。火のついたカクテル出すぐらいで、システムが作動して火を消しちまう。」 「リストに入れとくわ。」 「頼むよ。燃えるカクテルってのは高いけど、人気があって儲かるんだよ。」 ベシアもやってきた。「失礼。少佐…」 キラ:「当てましょうか? 医療室に異常があるんでしょ?」 「何でわかったの?」 異常な音を立て、ターボリフトが到着した。ウォーフとダックスが乗っており、少し下がった位置で停止する。 ウォーフ:「ああ…少佐。ターボリフトに異常があるようだ。」 キラ:「見ればわかるわ。」 ダックス:「最近、細かい異常がやたら多くない?」 「オブライエンがいなくなると、いつもこう。」 ウォーフ:「チーフが留守でも、なぜ部下たちできちんとメンテナンスできないんだ?」 クワーク:「俺の間抜けな弟だろ?」 キラ:「機関部のクルーはできる限りのことをやってるわ。」 ダックス:「問題はチーフが連邦とカーデシアのテクノロジーを、どうやって共存させてるのか誰も知らないこと。」 クワーク:「とにかく何とかしてくれよ。これじゃ困るんだ!」 野球ボールを触っているシスコ。「悪いが、今チーフの居場所は明かせない。」 ベシア:「任務なのはわかってます。でも…こっちはどうなるんです。システム異常をいつまで我慢すればいいんですか!」 「ドクター。キラ少佐かウォーフ少佐が苦情を言いに来るんならわかるが、君とはねえ。君のやり方じゃない。」 「僕も時には、行動します。」 「さあ、それはどうかな。君がシステム異常の件じゃなくて、友人のオブライエンが心配できたんだろう? 安心できるような情報を聞きたくて。それはできない。だが一つだけ言えることがある。チーフは我々のクルーだ、自分の身を守ることはできる。」 「…その通りですね。その通りだ。」 ベシアは司令官室を出ていった。 ファリアス星。 店に戻ってきたオブライエン。カードゲームを楽しんでいるビルビーたちに近づく。 ビルビー:「直ったのか。」 包みから装置を取り出し、クロールに返すオブライエン。 クロール:「フィードバックは?」 ビルビー:「頭が痛くなるらしい。」 オブライエン:「フィードバックはしない。」 クロール:「つけてみればわかる。」 作動させ、驚いた表情を見せる。 「言っただろ?」 ビルビー:「…腕は確かなようだ。」 オブライエンに近づく。「俺が疑い深い男なら、疑問に思うねえ。ジナマイ通り※13に独りわびしく住んでいる男が、どうしてこんな複雑な機械をいとも簡単に…直せるのかねえ。」 フリース:「当然の疑問だなあ。」 オブライエン:「どうして住所を?」 ビルビー:「いろいろ知ってるさ。知られたくないこともな。一緒に来い。」 「どこへ行くんだ。」 「散歩だよ。」 ビルビーについていくオブライエン。 ファリアス星のビル。 ビルビーとオブライエンは部屋へ入った。 ビルビー:「座りな。気をつけろ。チェスター※14がそこは自分の椅子だって怒るぞ。」 部屋の中にネコがいる。笑うビルビー。「何も触るな。」 オブライエンは座った。「ああ…。」 チェスターはオブライエンを見つめているようだ。 ビルビーは銃を持ってきた。「…どうかしたか?」 オブライエン:「そっちこそ。」 「ここへ連れてきて、殺すと思ったか。ハハ、役に立ってくれる修理人をどうして殺す。お前みたいに小突き回されて生きてきた男は、悪い方にばかり考える。」 「まあ…不本意ながら運が悪いのに慣れっこになってるんでねえ。」 「ダヤス4号星※15ではきつかったろうなあ。2年も盗品を扱ってたんだろ?」 「盗品とは知らなかったんだ。いちいち聞くべきだったのかなあ。」 「ほんとのことは言わんだろうな。例えばこれもそうだ。雇い主にディスラプターを調達しろといわれたが、俺に売った男は壊れてると言ったか? 言わなかったねえ。ハ、見てみろ。」 投げ渡すビルビー。 ディスラプターを操作するオブライエン。「ああ。誘導コイルが焼き切れてる。」 ビルビー:「直せるのか?」 「ああ。」 「そいつぁありがたい。雇い主も喜んでくれるだろう。」 「クリンゴンの武器で、何をするつもりかな。」 「知らないね。レイマスにやれと言われたからやるだけだ。腹減ってっか?」 「ちょっと…。」 「ケーキでも食え。女房が送ってきた。」 「いやあ、いいよ。」 「遠慮するな。」 一切れ口にするオブライエン。「……うん。美味い。」 「女房が作ったんだ。」 だがビルビーが後ろを向くと、オブライエンは苦い顔をした。 写真立てを見せるビルビー。「これが女房と、子供たちだ。」 オブライエン:「うーん、可愛いねえ。どこにいるんだ?」 「ニューシドニー※16にいる。このファリアス星に呼び寄せたいんだが、こんな商売をしてちゃ、無理な話だ。お前、家族は?」 「いない。」 「作れよ。一番大事なもんだ。金は全部送ってる。レイマスにショバ代※17払って、後は全部女房いきだ。」 「ふーん、ショバ代って?」 「毎月収めてんのさ。そういう決まりだ。組織ではレイマスがボスだ。何の組織のことを言ってんのかわかってんだろ?」 「…大体は。」 「よし、クロールとフリースは…さっき会った男たちだが、俺の部下だ。」 「ラッキーだなあ。」 「このディスラプターを直せれば、お前だってラッキーだ。」 「そりゃ助かるよ。」 「いや、まだ約束したわけじゃないぞ。信用できるか見極めないとな。…もっと食えよ。」 「いやあ、いいよ。」 「腹減ってんだろ?」 「もう大丈夫だ。」 「どうしたんだ。女房のケーキは不味いか?」 「そうは言ってないよ。」 「はっきり答えろ。女房のケーキは不味かったか?」 「あ…正直言うとちょっと……パサついてるなあ。」 「その通りだ。ヘヘヘ…何て言ったらいいか迷っただろ。」 笑うオブライエン。 ビルビー:「クロールとフリースはこんな美味い物食ったことないって顔するんだ。」 オブライエン:「アハハ、ふむ。」 「こいつをどう思う? チェスター。正直者を見つけたようだ。今日はついてるな。」 オブライエンも微笑んだ。 |
※13: Jinami Street ※14: Chester ※15: Dayos IV 惑星。DS9第39話 "Blood Oath" 「血の誓い」で言及 ※16: New Sydney ※17: fare 「上納金」とも訳されています |
チャドウィックはオブライエンに部品を渡した。「頼まれた誘導コイルだ。クリンゴン大使からファリアスへの土産だよ。」 オブライエン:「フン、この星にクリンゴン大使が? ガウロンに嫌われてるんだな。」 「レイマスがディスラプターを欲しがるわけを知っているのか?」 「いや。ビルビーも知らないらしい。…なあ、ところで……妻に俺の無事を、知らせられないかな。」 「それは危険だ。悪いな。」 ため息をつくオブライエン。「行くよ。」 オブライエンはディスラプターをテーブルに置いた。ビルビーたちが確かめる。 クロール:「フリース。そっちに立ってみろ?」 フリース:「何で?」 「ほんとに直ってるのか確かめたい。」 「おもしれえな。」 ビルビー:「レイマスに連絡だ。ディスラプターを手に入れたと言え。よくやった。」 フリース:「ちょっと気になるんだが…部品はどこで手に入れたんだ? クリンゴンの部品は、そう出回っちゃいないがね。」 オブライエン:「ああ。ちょっとその…コネがあってね。」 「うーん、教えといてくれよ。そのうち、必要になるかもしれねえだろ?」 「人の商売に、首を突っ込むなよ。」 ビルビー:「いや、聞いておきたいな。コネはいつでも役に立つ。」 「言えない。」 「何で?」 「入手先は言わないって約束なんだ。」 「今のボスは俺だろ! どっちの言うことを聞くんだい!」 「それとこれとは話が違う。」 「部品をどこで手に入れた!」 オブライエンに突っかかるビルビー。 「……盗んだんだ。」 「盗んだ?」 「ああ。確か…ダガロ通り※18にある、倉庫からな。」 「なぜそう言わない。」 「…知らない方がいいと思ったんだよ。俺がサツに嗅ぎつけられた時にな。」 「俺を巻き込みたくないから嘘をついたって言うのか。」 「…ああ、悪かったよ。」 フリースたちに言うビルビー。「…おい、聞いたか。自分は捕まっても、俺を守ろうとしたんだ。お前たち 2人には、逆立ちしても思い浮かばないことだな。」 オブライエンに話す。「おい、お前もそろそろ…その薄汚いナリを、何とかしなきゃな。」 オブライエンは立派な服を着ている。 ビルビー:「こうでなくちゃな。コネリー、男前になったぜ。どう思う、クロール。」 クロール:「そんなもんだ。」 「お前はセンスがねえ。俺のひいきの仕立て屋に連れてったんだぞ。」 「あんたも、そんなもんだ。」 異星人※19が店へやってきた。「来たぜ。用があるんだって?」 ビルビー:「ああ、そうだ。」 「また何か出物を探してるのか?」 「だとしても、壊れたディスラプターを売りつけた奴からは、何も買うつもりはないね。」 「俺がそんなことしたか?」 「そう思いたいがな。」 「あのディスラプターはあんたに渡した時点ではちゃんと使えたんだ。その後にあったことは、俺は知らん。落としたりしなかったか?」 ビルビーはディスラプターを手に取った。「金を返してもらおう。」 大きく笑う異星人。「そりゃ無理な注文だ。ブツは渡したんだぞ。」 ビルビー:「はっきりさせよう。本当に…何の問題も、なかったんだな?」 「その通りだ。」 「俺が使い方を…知らなかっただけかな。」 ディスラプターを起動するビルビー。 「そうだろ、きっと。」 ビルビーは、異星人の足めがけて発射した。叫ぶ異星人。 ビルビー:「こりゃ驚いた。ちゃんと使える。」 設定を変える。 止めるオブライエン。「ビルビー!」 ビルビー:「使えねえディスラプターをレイマスに渡したら、俺はどうなっていたと思う。殺されてた。」 床に倒れたままの異星人。「金を返せってんなら、返すよ!」 ビルビー:「返す必要はないね。だが命を頂こう。」 発砲するビルビー。異星人は苦しみ、死亡した。 オブライエンはその様子を見つめていた。 夜の部屋で話しているビルビー。「俺を甘く見やがって。これも自分の身を守るためだ。…俺だって、まともとは思ってない。時々きっぱり足を洗いたいと思うよ。だがほかに何ができる。やり直せる年じゃない。それに文句も言えない。組織は思いもしなかったほど俺を引き立ててくれた。身内になって、受け入れられれば、何もかも思い通りになる。自分に力があればな。」 オブライエン:「用心深さとね。」 「ああ、そいつも大事だ。組織はそこら中にある。地球にもな。しかも…宇宙艦隊にまで入り込んでる。」 「…まさか艦隊まで?」 笑うビルビー。「そのまさかさ。それより明日なんだが、娘へのプレゼント取りに行くのを覚えといてくれ。もうすぐ誕生日なんだ。」 オブライエン:「ああ、いいよ。」 「会いに行きたいよ。行けるといいんだがな。」 「どうやって艦隊の人間を抱きこんだ?」 オブライエンにも酒を渡すビルビー。「俺じゃない、レイマスだ。なあ、一緒にニューシドニーへ行くか。家族に会わせてやる。」 オブライエン:「あんたがいいなら、ああ。…さっきの話だが…」 「何でそう知りたがるんだ。」 「いやあ、別に…ただ、艦隊の人間がそう簡単に裏切るかね。もしかしたらそいつ、二重スパイかもな。」 「二重スパイ? だとしたら秘密捜査員の名前を全部教えたりするかな? 心配ない。奴は大丈夫だ。レイマスが去年ライサ※20に遊びに行った時、会ったんだ。そいつはそこの天候管理システムの責任者だった。レイマスの奴ときたら、金をたっぷり積んで派手にさせたのが出会いさ。」 笑うオブライエン。「まあ、みんな金には弱いわけか。」 コンピューターの呼び出し音が鳴った。ビルビーがコンソールを操作する。「クロールだ。レイマスが来るらしい。」 オブライエン:「こんな真夜中に?」 「うん。」 落ち着かないビルビー。 レイマス※21たち、シンジケートのメンバーが店へ転送されてきた。ビルビーはオブライエンと一緒に前に立つ。 レイマス:「ビルビー。」 ビルビー:「レイマス。」 「お前に会わせたい人がいる。」 レイマスの後ろから出てきたのは、ヴォルタ人※22だった。「寝入りばなを起こしましたか?」 レイマス:「ビルビー…その男は?」 ビルビー:「最近使ってます。」 「ハ、見たことのない顔だな。ちゃんと調べたのか?」 「俺が認めてます。」 「…ならそれでいい。」 ヴォルタ人:「身元の確認がそれだけで終わりなんですか?」 「ビルビーが保証した。それで十分だ。」 「ふーん、まあいいでしょう。それで? 彼がビルビーですね。それなりに使えそうだ。」 「言ったでしょ?」 「…自分の目で確かめないとね。…ディスラプターを手に入れたんですね?」 ビルビー:「ええ。」 「もう一つやってもらいたいことがある。非常に重要なことです。」 「何でもやれます。」 「本当かな、ふむ。後ほど連絡します。」 レイマス:「…恥をかかせるな。」 ビルビー:「まさか。」 ヴォルタ人:「レイマス?」 レイマス:「家族によろしくな。」 レイマスたちは転送されていった。 ビルビー:「ああ。…命を救ってやったんだぞ。」 オブライエン:「そうらしい。」 「お前がヘマしたら、その時は俺が…責任を負わされる。」 「わかってるよ。」 「そうか。……よーし。」 裏通りで待っているチャドウィックに近づくオブライエン。 チャドウィック:「いいスーツだ。」 オブライエン:「ああ。ビルビーがくれた。」 「気前がいいな。」 「いつもだ。…スパイを突き止めたぞ。ライサで天候管理システムの責任者をしてた奴らしい。1年ぐらい前だ。」 「そこまでわかれば、後は簡単だな。」 「ああ…。」 「…どうかしたのか?」 「レイマスが、ある男を連れてきた。それが……ヴォルタだ。」 「……オリオン・シンジケートが、ドミニオンの下で…動いているというのか。」 「そう考えるのが筋だろ。」 「ああ、危険な臭いがする。」 「俺はもう帰れるのか?」 「奴らの動きを探ってくれ。」 歩いていくチャドウィック。 「そうじゃないかと思ったよ。」 |
※18: Degora Street ※19: Yint (ブラッド・ブレイズデル Brad Blaisdell) 種族名不明。名前は言及されていません ※20: Risa リゾート惑星。TNG第67話 "Captain's Holiday" 「大いなるホリディ」など ※21: Raimus (Joseph Culp) 種族名不明 (ファリアス人?)。声:中村秀利 ※22: Vorta (リーランド・クルック Leland Crooke) 前話 "One Little Ship" に引き続き登場。今回クレジットでは Gelnon という名前にはなっていませんが、同一人物とみなしてよいと思われます。声:仲野裕 |
店の通信ブースを使っているクロール。「やったぞ。銀行のデータファイルにアクセスした。」 オブライエンが補佐している。「セキュリティシステムは 3段階になってる。」 クロール:「そうだ。」 「遮断マトリックスが全部のデータを保護してるようだ。あんた、暗号システムを回避してくれ。」 「そう簡単に言ってくれるな。」 「再起データループに注意しろ。バックフローに戻されたくないだろ。」 通信機の表示が次々と切り替わる。 「暗号システムは回避した。」 「マトリックスチェックだ。アクセスポイントを割り出せ。」 「スタンバイ。……OK!」 「データを転送してる。」 「もっと早く!」 「やってるよ。」 「これ以上マトリックスを開けておけない。」 フリース:「急げ!」 オブライエン:「やった! 脱出するんだ。急げ、追跡されるぞ。」 クロール:「だめだ、ロックアウトだ!」 「早く!」 ビルビー:「急げ!」 クロール:「ああ…。」 装置を外す。「脱出した!」 オブライエン:「やったな。」 フリース:「俺たちは、たった今…ボリアス銀行※23の金を手に入れた!」 ビルビー:「あそこに口座を開こうと思ってたのに。」 オブライエン:「別の銀行にした方がいい。」 「セキュリティのしっかりしたとこにな!」 みんな笑う。 ベッドの上に、派手な姿をした女性が座っている。 ビルビー:「どう思う?」 オブライエン:「いい娘だけど…」 「だけど?」 「その、そんな気になれない。」 「何が気に入らない。お前のために呼んだんだぞ。」 「ありがたいんだけど、でも…」 「でも何だ? …まさかお前、女がダメなのか?」 「彼女がいるんだ。」 「いつから?」 「…いやあ、2、3日前かな、1週間ぐらいかな。」 「よかったな、どうして言わなかった!」 「別に…浮かばなかった。」 笑うビルビー。女性に手を振る。「それもわかるがな、だが…あの娘に気まずい思いさせるのもな。行けよ。」 オブライエンは女性に近づいた。「その…いやあ、急に仕事の話ができちゃってね。今日はその…帰ってくれるかな。」 金を渡す。「また近いうちに呼ぶから。悪いね。すまなかったね。また、今度な。」 部屋を後にする女性。 ビルビーはグラスを持ってきた。「どんな娘だ。彼女ってのは。」 「名前は、その…キミコだ。」 「どこで会った。」 「花屋で働いてるんだ。フラワーアレンジしてる。」 「そのうち連れてこいよ。会ってみたいなあ。」 「連れてくるよ。」 「いい年だ。落ち着いて、所帯をもった方がいい。家族が一番大事だ。」 笑うオブライエン。「まだそんな付き合いじゃないよ。」 ビルビー:「3分話をさせろ。そしたら結婚していいタイプかどうかわかる。人を見る目はあるからな。本性を見抜ける。例えばお前も…初めて見た時から、もうお見通しだ。」 「そうか。」 「お前ほど孤独な奴は今まで見たことがない。こう思ったよ、この星に…一人も友達はいないなってね。ヘ、フリースとクロールは、お前をスパイだと思った。」 「ほんとか?」 「節穴なのさ。お前がデータポートを修理して持ってきた時、思ったね。一緒にでかい仕事やれるって。組織の階段を一段上がれるかもしれない。レイマスが推薦してくれてる。チャンスは逃したくない。全てが変わり始めてるんだ。お前が現れた時からだ。運を変えてくれた。」 「ハ、俺こそ変えてもらったよ。」 「面倒はみてやる。友達は大事だからな。友達は……家族と同じだ。それも一番大事な、家族とな。」 乾杯するビルビー。 「ふむ。」 待っているチャドウィック。「遅かったな。心配していたぞ。」 オブライエン:「悪い。」 「いいんだよ。ドミニオンのおかげで急がしいんだろう。」 「いやあ、そっちは動きがない。ビルビーについてただけだ。」 「報告するようなことは?」 「一緒に競馬に行った。…儲かったよ。」 笑うチャドウィック。「仕事を楽しんでるようでよかったよ。」 オブライエン:「奴に近づけと言っただろ? 呼ばれてついてっただけだ。」 「そうか、私もかつて潜入していた。」 「レイマスからかばってくれた。」 「相当気に入られてるようだなあ。」 「俺が抜けた後、ビルビーはどうなる。」 「そのことは考える必要はない。」 「組織に殺されるのか?」 「いいか、ビルビーが選んだ人生だ。何が起きようと、君に責任は全くない。それに、彼に運があればこちらが先に逮捕する。連邦の刑務所なら安全だろう。逮捕に十分な証拠を集めてくれ。」 「…わかった。」 歩いていくオブライエン。 |
※23: Bank of Bolias ボリアスにある財政機関。DS9第136話 "Who Mourns for Morn?" 「モーンの遺産」より |
ファリアス星の店。 ビルビーたちが笑いながらやってきた。 ボリアンのウェイターに声をかけるビルビー。「おはよう、グレイフ※24。」 だが店内の雰囲気に気づく。 テーブルに、レイマスとヴォルタ人がついていた。 ビルビー:「レイマス。来てるとは知らなかった。」 レイマス:「そのようだな。」 「何か、おごらせてくれ。グレイフ、みんなに濃いコーヒーを…」 「ビルビー。今はいい。飲み食いに来たんじゃない。」 ヴォルタ人:「どいつなんです? いや、言わないで。私が当ててみましょう。」 ビルビーたちの前に来る。「裏切り者は目を見れば…わかるといいますから。ほんとでしょうかね、ビルビー?」 ビルビー:「知りませんよ。」 フリースの目を見るヴォルタ人。 ビルビー:「レイマス、どういうことなんです。」 レイマス:「何だと思う?」 ヴォルタ人:「どれもこれも信用できない面構えだ。」 次はオブライエン。 ビルビー:「レイマス。」 レイマス:「黙ってろ。」 「でも…」 「黙れと言ったろ。」 最後にクロールの目を見るヴォルタ人。「奴だ。」 指差したのは、オブライエンだった。 フリース:「俺が最初からそう言ってただろう!」 レイマス:「フン。」 グレイフが銃を持って近づく。 ビルビー:「レイマス、正気じゃない。何の根拠があって言ってるんだ!」 グレイフは武器を撃った。だが撃たれたのはフリースだった。そのまま倒れる。 ヴォルタ人:「危うく見逃すとこでした。」 オブライエン:「何をやったんだ。」 レイマス:「こそこそサイドビジネスをやり、その分の上納金を納めなかったんだ。」 「ああ…。」 ビルビーに話すレイマス。「そいつをかばわなくてよかったな。でなきゃ一緒に転がってる。」 笑うビルビー。「…ああ。」 グレイフはフリースの遺体を運んでいった。 ヴォルタ人:「さて、一つ片付いたことですし、本題に入りましょうかあ?」 レイマス:「お前に、仕事を頼むかもしれないと言ってあったな。」 ビルビー:「何でも言ってくれ。」 ヴォルタ人:「うーん、何て従順な。ジェムハダーを思わせますね。」 レイマス:「ファリアスに来ているクリンゴン大使を、暗殺してもらいたいんだ。」 ビルビー:「わかった。」 ヴォルタ人:「お前が以前に調達した、ディスラプターを使ってです。」 オブライエン:「敵対する一族が殺したと思わせたいのか。」 ビルビー:「コネリー!」 ヴォルタ人:「その通りです。驚いた、利口ですねえ。政治の世界には詳しいんですか?」 オブライエン:「そうでもない。」 「それなら、少々教えてあげましょう。この大使は惑星連邦との同盟を解消し、クリンゴンの防衛に集中すべきであると、ずっと主張し続けています。ガウロン総裁は反対に、同盟を堅持すると譲らない。」 「んじゃガウロンが…暗殺を命じたように見せるのか?」 「まさしく。大使は殉教者となり、彼の主張が重みを増す。うまくすればクリンゴンは戦線を離脱し、ドミニオンの相手は惑星連邦だけになるかもしれません。」 笑うヴォルタ人。 「なるほどね。」 「わかってもらえたかな? 言うまでもなく、ドミニオンの存在を悟られないことが、非常に重要です。」 レイマス:「もしお前が捕まって尋問されても、彼には会ったこともない。」 ビルビー:「わかってる。」 笑うヴォルタ人。 レイマス:「頼りにしてるからな。」 ヴォルタ人:「ドミニオンとオリオン・シンジケートには共通点が多い。どちらも、組織を保つためには、忠誠心が第一です。」 オブライエンに尋ねるチャドウィック。「大使館の警備をどうやって突破しようというんだ。」 オブライエン:「そこをビルビーに頼まれた。パワーグリッドを数秒間妨害する方法を見つけた。彼らはバックアップの発電機が動き出す前に転送で侵入する。」 「いつ決行する。」 「今夜だ。」 「大使館に連絡して、自体に備えるよう言おう。」 「いや、言わないでくれ。クリンゴンがビルビーを捕まえたら、殺すに決まってる。」 「我々が感知することじゃないだろ。」 「殺されるとわかってて、はめるのか?」 「君は勘違いしている。犯罪を犯そうとしているのはビルビーたちで、我々じゃない。」 「代わりに、クリンゴンにやらせるだけじゃないか。」 「大使の暗殺計画があれば同盟国に警告する。私はやるべきことをやっているだけだ。その後のことは管轄外だ。もう一つ言えば、クリンゴンがレイマスとオリオン・シンジケートのメンバーをどう扱おうと同情はしない。」 「ああ、そうだろうな。」 「マイルズ。よく聞くんだ。…目的を見失ってるぞ。君は彼らに感情移入し始めている。この任務も潮時だ。」 「俺を降ろすのか?」 「次の輸送船で君を帰す。任務は終了だ。」 「ビルビー逮捕のための証拠集めじゃなかったのか! 連邦の刑務所へ送るといっただろ!」 「すまなかったな。だますつもりはなかったが、君が動揺するとは思わなかったんだ。仕方がない! ……行こう。帰れるんだぞ。」 歩き始めたチャドウィックを呼ぶオブライエン。「チャドウィック。」 振り向いたチャドウィックを、オブライエンは殴り倒した。その場を離れる。 飼いネコに餌を与えるビルビー。「チェスター、食べろ。」 食べ始めたチェスターをなでる。銃を準備するビルビー。 ドアチャイムが鳴った。「誰だ、一体。」 やってきたのは、オブライエンだ。 ビルビー:「見送りに来たのか?」 オブライエン:「話がある。」 「後でな。もう出るんだ。」 「行っちゃだめだ。」 「何言ってるんだ、お前。」 「いいから言う通りにしてくれ。行っちゃだめなんだ。」 「何でだ。」 「罠だ。」 |
※24: Graife エキストラ |
ビルビーに話すオブライエン。「聞いてくれ。クリンゴンはあんたたちの計画を知っている。」 ビルビー:「そりゃありえない。」 「俺がパワーグリッドにアクセスしたとき、トレースされたんだ。」 「そりゃ俺も見てたが、トレースは切ったはずだ。」 「こっちがそう思ってただけだ。」 「何を怖がってる。心配することはないさ。」 「のんきに構えてる場合じゃない! クリンゴンに捕まったら、どうなるかわかってるのか?」 「捕まりゃしないさ。」 「いや、捕まるんだ! 宇宙艦隊情報部が、暗殺計画を通報するぞ。」 「どうして漏れる。お前、奴らのスパイか?」 笑うビルビー。 オブライエンは何も言わない。 ビルビーの笑顔が消えた。 オブライエン:「…そうだと言ったらどうする?」 ビルビー:「面白い、引っかかったよ。一瞬お前がほんとに艦隊のスパイなんじゃないかと思ったよ。」 また笑う。 「そうなんだ。」 「…やめろ。もういい。引っかかった。それでいいだろ。」 「俺は宇宙艦隊のスパイなんだ。」 「やめろ! 聞きたくないといったろ、わからないのか! 聞きたくない。……どうしてここへ来た。何で言わなきゃならない。」 「黙って行かせられなかった。クリンゴンに殺されるぞ!」 「もう手遅れだ。わからないのか? お前をかばったのに…俺がどうなるかわかるだろ。」 「俺があんたをファリアスから逃がす。どこかに身を隠すんだ。」 「組織から逃げることなんてできないんだよ!」 「自首すればいい、連邦の刑務所なら安全だ。」 「家族がやられるんだよ! ……見せしめのためにな。……お前のことを知らずに、俺が死んだと思われれば、家族は無事だろう。」 「むざむざ殺されに行くのか?」 「…ほかに何ができる。……ヘヘ、俺が馬鹿だった。すっかりだまされた。お前が正直だなんて。チャンスに運が向いてきたと思いたかった。馬鹿だよな。…信じたかった。」 「こんなつもりじゃなかった。…狙いはあんたじゃない。シンジケートがどうやって艦隊と通じてたか、知りたかっただけなんだ。」 「俺はターゲットでもなかった。…俺みたいな小物じゃな。こんな死に方なんだろうと思ってた。利口ならお前を殺すだろう。…だが馬鹿だってことはもう、証明済みだしな。」 「ビルビー、すまない。」 笑うビルビー。「何の慰めにもならないな。それより面倒でなけりゃあ、チェスターの…引き取り手を見つけてくれ。」 オブライエンはうなずいた。 まだ餌を食べているチェスターをなでるビルビー。「いい子でな。」 そして、家族の写真を見つめた。 ビルビーは出ていく前に言った。「一つ聞いていいか。どこが故郷か知らないが、家族はいるのか。」 オブライエン:「…ああ。」 笑うビルビー。「そうか。家族が一番大事だ。」 ビルビーは部屋を後にした。独り残されるオブライエン。 DS9。 まだスーツを着たままのオブライエンが話している。「俺が正体を明かした時、あの顔は忘れられない。」 ベシア:「危険過ぎるよ。殺されてたかもしれないんだぞ。」 「そんな男じゃない。」 「僕が言えるのは、チャドウィックが報告書に全部書かないでくれて、運が良かったってことだな。」 「ジュリアン、そんなことはどうでもいいんだよ! ビルビーは俺を信じた。俺に命を預けたようなもんだ。俺が殺した。自分の手で引き金を引いたのと同じだ。」 「それは違うよ。わかってるだろ。やるべきことをやっただけだ。仕事をね。」 「それで自分をごまかせって?」 「それが事実だ。」 ため息をつき、座るオブライエン。 ベシア:「僕には答えは出せないけど、とにかく君が…無事帰ってくれてよかった。」 肩を叩き、オブライエンの部屋を出ていく。 椅子の上には、チェスターがいた。オブライエンに近づく。 オブライエンはチェスターをなで始めるのだった。 |
感想
極秘スパイ任務に駆り出されてしまったオブライエン。これまでの「苦難シリーズ」とは違って自らその状況に入っているわけですが、それでもビルビーとの件で精神的に辛いことには変わりありません。 国家を超えた犯罪組織、金に目のくらむ地球人、ドミニオンとの密通 (ヴォルタ人を前回から引き継がせているのが上手い)、あえてビルビーの最期を描かないことなど、DS9 らしい描写が続きました。世界観に浸ってじっくり観るべきタイプのエピソードです。ネコのチェスターは今後も出るんでしょうね? |
第138話 "One Little Ship" 「ルビコンの奇跡」 | 第140話 "Change of Heart" 「至高の絆」 |