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ディープスペースナイン エピソードガイド
第7話「超生命体“Q”」
Q-Less

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・イントロダクション
レプリマットで話しているベシア。「いやあ僕は焦ったね。まさに人生最大のピンチだった。周りを見渡すと、もう試験会場に残ってるのはただ一人だけ。僕だけなんだ。ほかには誰もいない。正直言ってあの時はもう半分あきらめかけたよ。」
話を聞いているベイジョー人の女性※1。後ろの席にはオブライエンがいる。
ベシア:「時間はどんどんなくなっていくし気持ちは焦るし、こうなったらもう自分の本能を信じるしかないって思って、目を閉じてみたんだ。そして深呼吸をした。そうしたらパッと頭にひらめいたんだよ。その問題の答えがね。答えは心膜の膜組織だ!」
女性:「ああ…」
「ああ! 急いでコンピューターの端末機に答えを打ち込んだ途端に、試験の終了を告げるるブザーの音が鳴り渡った。で結局…次席として無事卒業できたってわけさ。」
「首席じゃなかったの?」
「ああ…いやあ、実はその前の口頭試問で、神経節※2繊維を…間違えて神経節神経って答えちゃってねえ? あれさえなけりゃ首席だったんだけど。…ひねった出題でね?」
「真っ直ぐな人ね?」 咳き込むオブライエン。
「君ってほんとに優しいんだなあ。実は僕はね…」
シスコの通信が入った。『ドクター・ベシア、チーフ・オブライエン。至急第5着陸パッドへ。』
ベシア:「呼び出しがかかった。」
女性:「いいのよ、また改めて?」
向かうオブライエンに近づき、小声で話すベシア。「医師試験の話をすると、大抵の女はコロッと参るんだ。」
オブライエン:「…ふーん…。」

エアロックでランナバウトの前にいるキラ。「あ…全然ダメだわ。」
シスコ:「チーフ! ハッチが開かないんだ。シャトルにはダックスとポーリー少尉※3が乗っている。」
「ワームホールを出てきた時から変だったけど、着陸時にはパワーレベルがゼロになってた。」
オブライエン:「サーボメカニズムを解除するだけのパワーも残ってない。」
トリコーダーで調べるベシア。「これじゃ命が危ない。酸素レベルが著しく低下してます。」
キラは銃を取りだした。「焼き切りましょう。」
シスコ:「いや、それは無理だ。このハッチはデュラニウムだぞ。焼き切るには 1時間かかる。」
ベシア:「それじゃ時間がかかりすぎる。おかしいな、ガンジス※4には何人乗ってるっておっしゃいましたか。」
「2人だ。」
「反応は 3人です。」
オブライエン:「ハッチサーボにパワーを供給します。少佐、EPI キャパシター※5を取って下さい。そこの下です。」
手渡すキラ。
キャパシターをつけ、作動させるオブライエン。「さあ、今です。」
力ずくでハッチを開けるシスコとキラ。
中に入るベシア。「ダックス大尉…」
ダックス:「私は平気よ? ほかの人を。」 やはり苦しそうだ。
オブライエンは乗っていた女性に気づいた。「…ヴァッシュ※6。」
ヴァッシュ:「そうだけど?」
「オブライエンだよ。エンタープライズにいた。」
「…ああ、ええ思い出したわ。」
「でも何で君がガンジスに。」
ダックス:「ガンマ宇宙域で拾ったのよ。2年もあっちにいたんですって。」
「2年も?」
シスコ:「ドクター、一応全員を診療室へ。」
ポーリーを連れて行くベシア。「さあ、こっちへ来て。」
エアロックに出るオブライエン。「2年前にどうやってガンマ宇宙域に行ったんだい。」
ヴァッシュ:「ある友達とね?」
「ほう…?」
ハッチのところに残った男がいる。振り返ったのは、Q※7 だった。


※1: Bajoran Woman
(ローラ・キャメロン Laura Cameron) 声:棚田恵美子、DS9 モリーなど

※2: ganglion

※3: Ensign Pauley
階級は訳出されていません。エキストラ

※4: 吹き替えでは「シャトル」。他の言及も同様

※5: EPI capacitor
吹き替えでは「FPI キャパシター」

※6: Vash
(ジェニファー・ヘトリック Jennifer Hetrick) TNG第94話 "Qpid" 「QPID」以来の登場。声:塩田朋子、TNG では 2回とも小山茉美さん

※7: Q
(ジョン・デ・ランシー John de Lancie) TNG第132話 "True-Q" 「TRUE Q」以来の登場。後にも TNG、さらに VOY にも。声:羽佐間道夫、TNG から統一

・本編
診察されるヴァッシュ。「命は助かる?」
ベシア:「もちろんですよ。それどころか…身体の状態は素晴らしい。」
「…ありがとう、お世辞でも嬉しいわ?」
「いやいや、ほんとにすごいですよ。…2年間も文明社会から離れていたことを考えれば、信じられないぐらいです。」
「あら、ガンマ宇宙域にだって文明社会はたくさんあるわ? 私が訪れた星の中には何百万年もの歴史をもつものもあった。」
「ほんと?」
「うん。」
「ぜひ話を聞きたいなあ。ワームホールの向こうに何があるのか知りたい。」
「そのうち、本でも書いて出すわ?」
「きっとベストセラーになりますよ。ああ、そうだ…えーっと、病気の症状もないし、栄養不良もなし。バクテリア感染もなしだ。」
「何だかガッカリしてるみたい。」
「その通り。あなたをもう、引き留めておけないから。」
「…そうね、私も入院できなくて残念だわ?」 荷物を抱えるヴァッシュ。微笑み、診療室を出て行く。
ため息をつくベシア。

司令官室のシスコ。「じゃあワームホールのことは知らないって言うのか。」
ダックス:「私の話を聞いたらとても驚いてました。彼女はこっちの銀河系に戻ってくるつもりはなかったようです。」
「ワームホールを通らずにどうやってガンマ宇宙域に出られるんだ。」
「それについては話したくないそうです。プライベートな事柄だからって。」
「…しかし納得できないね。2年もガンマ宇宙域に独りでいたなんて。経歴を調べたら、何かわかるかもしれない。」
「自分では、考古学者だって言ってます。」
「よし、そこから当たってみろ。」

金庫保管室※8
ヴァッシュ:「この部屋は安全なんでしょうね?」
ベイジョー人の職員※9。「金庫保管室はこのステーションで最も安全です。金庫はそれぞれ独立したフォースフィールドで囲まれています。」
ヴァッシュ:「ロックコントロールはどうなってるの?」
「…一度ロックしたら基本的には開けられません。開けるにはその人個人の許可コードと、レチナールプリントが一致しないと駄目なのです。」
「カーデシアの MK-7 スキャナー?」
「MK-12※10 です。L-90 高度解像フィルター内蔵です。」
「それなら信用できそうだわ?」 荷物を取りだしていくヴァッシュ。
「…コンピューター、キュービクル19 にインベントリを作成せよ。彫像が、一点。石だ。高さ 30cm。重さは約8kg。…宝石類多数。」
金庫に入れられていく。次々と出すヴァッシュ。
職員:「金の、首飾り。…短剣が一点。青銅と金。長さ約25cm。」
最後にヴァッシュが開けた箱には、光り輝く宝石のような物が入っていた。
職員:「美しい。こういう石は見たことがありませんよ。何らかの種類の、プロメシアン・クォーツ※11ですか?」
ヴァッシュ:「最初は私もそう思ったのよ。でも分子密度と屈折率がずっと高いから違うらしいの。」
「実に見事だ。」 箱を部下に渡す職員。「インベントリを終了せよ。…それでは、アクセスコードの打ち込みを。」
見えないように入力するヴァッシュ。さらに網膜スキャンが行われる。
金庫は閉められた。
ヴァッシュ:「じゃ、よろしく。明日には全部引き取りに来るから。ムルジラック※12・エアーに切符を予約してあるの。」
やってきたシスコ。「まさかもう出発するんですか?」
ヴァッシュ:「ええ、申し訳ないけど。」

袋を代わりに持つシスコ。「ディストロム研究所のみんなが、ガッカリしますよ。」
ヴァッシュ:「あの研究所が?」
「ガンマ宇宙域の生命体の話を聞きたいそうです。どんな星でどんな生活をしているのか、あなたの見たこと経験したことはもちろん…向こう側へ行く方法もねえ。」
「ごめんなさい、でもそれはプライベートなことだから。」
声を合わせるシスコ。「プライベートなことだから。」
クワークが店からヴァッシュを見ている。金庫保管室の助手から話を聞いていたようだ。
ヴァッシュ:「ディストロム研究所が私の話を聞きたいだなんて、とんだ皮肉だわね?」
シスコ:「特にウー教授※13はあなたと是非会って話をしたいとか。」
「ウー教授がねえ? でも私をあの研究所の考古学評議会のメンバーから外したのはあの人よ?」
「ええ、何でもあなたが工芸品を違法に売買したからだそうで。」
「私が学問を選ぶか利益を選ぶかって言われたら必ず利益の方を選ぶ女なの。」
「今回だけは学問の発展を選んで下さい。」
「…実は私ずっと地球へ帰ってないの。もう 12年になるわね?」
「もしよろしければ、帰れるよう取り計らいますよ。」
「…そうねえ、悪くない取引だわ?」
「結構。手配しておきましょう。」 袋を返すシスコ。

機械をチェックするオブライエン。「…どうにもわからないんですよ。どこも悪いところがないのに。ガンジスの機能は全て正常なんです。」
シスコ:「今朝は異常だらけだったぞ?」
「ええ、それはそうなんです。パワーリザーブは空っぽだし、慣性制動フィールドはほとんど動かない。ワープドライブ抑制フィールドは壊れる一歩手前だ。」
「しかし…」
「しかし、故障してる個所はないんです。パワー不足で動かないだけで。パワーさえ戻ればちゃんと動きます。」
「中央パワーリンケージを調べたか。」
「調べました。レベル1 の検査もしましたが、全て正常でした。何と言いますか、何かがシャトルのシステムにくっついてパワーを吸い取ってしまった感じです。」

ガンジスを出たシスコ。「ところで、あのヴァッシュって女とは知り合いか。」
オブライエン:「知り合いってほどじゃ。エンタープライズで一度会ったことがあるだけです。」
「彼女もエンタープライズに?」
「ええ、そのヴァッシュは、ピカード艦長の友人でして。とても親密だったって言えばおわかりでしょう? 二人はライサで知り合ったらしいです。並みの女性じゃないですよ、ピカード艦長とそうなるなんて。」
「艦長の好みとは思えないがね。」
「気の強いところが気に入ったんじゃないですか?」
突然、明かりが暗くなった。すぐに復旧する。

司令室に戻るシスコ。「どうしたんだ。」
ダックス:「広範囲に渡ってパワーが枯渇しています。」
キラ:「パワートランスファーが全然動いていません。エネルギーがどんどん流出していきます。」
オブライエン:「ユニットまるごと交換しないと。」
ダックス:「チーフ? …トランスファーシステムの周りに重力子フラックスが出ていない?」
「低レベルの重力子障害が認められます。なぜ、わかったんですか?」
「ガンジスのパワーがなくなったときもそうだったのよ。」


※8: assay office

※9: Bajoran Clerk
(ヴァン・エパーソン Van Epperson ENT第1話 "Broken Bow, Part I" 「夢への旅立ち(前編)」の異星人男性 (Alien Man) 役) 声はコロス役の大川さんが兼任

※10: MK-12 スキャナー MK-12 scanner

※11: Promethean quartz

※12: Mulzirak

※13: ウー博士 Dr. Woo

廊下を歩くオブライエン。「ここは昔、カーデシアの居住区だったところです。だから、ベッドの寝心地はちょっとねえ。」
ヴァッシュ:「私は考古学者だから人生の半分はテント暮らしよ? ベッドで寝られるだけで贅沢だわ?」
「カーデシアのベッドに寝たことがないからそう言えるんです。」
笑うヴァッシュ。
オブライエン:「いる物はコンピューターに言って下さい。」
ヴァッシュ:「ありがとう、チーフ。ああ、そういえば…ジャン・リュックは元気?」
「ピカード艦長?」
「うん。」
「この前お会いした時は御元気でした。」
「そう、今度ちゃんと挨拶に行かなきゃ。」
歩いていくオブライエン。立ち止まり、ヴァッシュが部屋に入るのを見た。

置物に触れるヴァッシュ。
袋をベッドに置き、衣服を取り出す。
振り返ると、ベッドに Q が座っていた。「驚いたねえ、まさかまだジャン・リュックが恋しいのかい? あんな独り善がりで口先だけの臆病者を。」
ヴァッシュ:「でも彼の方があんたなんかよりずっとマシよ?」
「わかってるよ、私のことを恨んでるんだろ。でももう君のそばを離れないからねえ? 元気を出して。君を捨てたことを本当に反省してるんだよ。」
「見栄を張るのはやめて。私があんたを捨てたのよ?」
「どっちがどっちを捨てたかなんて小さなことだよ。大事なことは、また私達が一緒になったってことだ。二人で組んでやっていこう。」
「いいえ、お断り!」
「私がいないと寂しいくせに。」
「うぬぼれるのもいい加減にしてよ。」
片づけたはずの袋が、またヴァッシュの肩に音と共に現れた。
Q:「どうだい、まずはテレリス※14星団へ行ってマンダラ※15の雲の踊りを見物しよう。それともランタール星雲※16へ行って、ホーク4※17 って惑星にあるサンパロ※18遺跡を見ようか?」
ヴァッシュ:「興味ないわ?」
「わかったぞ。ヴァドリス3※19 へ行こう。あの星の住民はねえ、宇宙には自分たちしか存在してないと思ってるんだよ。」
「いやよ?」
また荷物が現れる。Q に投げつけるヴァッシュ。
Q:「…わかったよ、どこに行きたいんだ?」
ヴァッシュ:「Q、あんたと一緒にはもうどこへも行かないわ?」
「そんなこと言っていいのかな? まだ人間が誰も見たことのない場所を見て回りたいっていうのが君の願いだろ。」
「もう十分見たわ? 素敵な旅だった。どうもありがとう。じゃさよなら!」
「ガンマ宇宙域に、2年いたぐらいじゃ宇宙を全部見たことにはならないよ? まだ、デルタ宇宙域には行っていないだろ。ほかにも宇宙にはたくさんの銀河系があるんだからねえ。」
「Q、いい加減にしてよ! もう私には構わないで。あんたのその僕は何でも知っているってところが嫌なのよ。」
「しかし、知っているんだからしょうがない。」
「救いようのない男。」
「そうか、わかったよ。じゃ、君はどうしたいんだ。」
「あなたに会う以前の私に戻りたいの。」
「ええ? 悪名高かったあの頃にかい? 君は要注意人物として、イプシロン・ハイドラ7※20 のロイヤル博物館には出入り禁止。ベタゾイド星じゃお尋ね者。ミルドン※21じゃ最初の母の王冠を盗んだ罪で首に賞金が賭けられた。」
「人のこと言えた義理?」
「捕まったら死刑が待ってるぞ? 君って女は、銀河系のどこへ行っても敬遠されるだろうよ。」
「エリキング7※22 で殺されかけたのはあんたのせいよ? …それにブラックス※23じゃあんたのことを『嘘の神様』って呼んでたじゃないの。」
「それは誉め言葉。」
ドアチャイムに応えるヴァッシュ。「どうぞ?」
瓶を持ったクワークが立っていた。「実は…。」
Q:「邪魔なんだよ!」 クワークを消してしまう。
ヴァッシュ:「すぐに呼び戻して。」
「まさかあんな下品な奴と仕事の話をするつもりじゃないだろうねえ。」
「そんなの話を聞いてみなきゃわかんないでしょ? さ、早く呼び戻してちょうだい。」
「…わかったよ。」 消える Q。
そして部屋の中にクワークが戻ってきた。何が起こったかわからないらしい。
ヴァッシュ:「何か御用?」
クワーク:「…あたしゃ、クワークっていうんです。実はその…あなたはある種の商品をもっていらっしゃるみたいですねえ。違います? その商品を売ればかなりの…儲けになるでしょ?」
瓶を手にするヴァッシュ。「お話を聞かせて?」
クワーク:「取り分によりますがねえ? 私がバイヤーを手配して、物を売る算段をつけてあげてもいい。例えばそう、オークションとか。」
「…支払いはラチナム以外では受け取れないわよ?」
「わかってますよ。…50%で。」
「クワークさん、それはちょっと。私をバカになさってるんじゃありませんか?」
笑うクワーク。「ワインはいかが?」
ヴァッシュは素早くクワークの耳たぶを触り始めた。
クワーク:「おお…あんた、ウー・マックス※24が上手だねえ。」
ヴァッシュ:「皆さんそうおっしゃるわ?」
「ああ、でも私には色仕掛けは通じないよ? …それじゃ 40%でどう。…わかった、30%。」
「あなたの軟骨って素敵ねえ?」
「22%でいいからもっと。」
「商談成立ね?」 立ち上がるヴァッシュ。
「あ、ああ。」
ドアを開けるヴァッシュ。「それじゃ後の手配は任せるからよろしくね?」
クワーク:「いやあ、大したもんだ。…この俺を丸め込むなんて一筋縄じゃいかねえなあ。」 笑いながら出ていく。
ドアを閉めると同時に、また Q が現れた。「何て下品な奴なんだ。ああいうのが君の好みならピカードと続かないのも無理はないね。」
ヴァッシュ:「出てってよ。」 またチャイムが鳴る。「どうぞ?」
Q:「全くよく邪魔が入るなあ?」 音と共に消える。
ベシア:「すいません、お忙しかったですか。」
ヴァッシュ:「いいえ? どうぞ、ドクター。」
「すいません。僕のことは、ジュリアンって呼んで。」
「ジュリアン、身体のことで何か?」
「実はどこそこが悪いって口実を作ろうとしたんですけどねえ。あなたは健康そのものなんであきらめました。」
「…それじゃ何の御用なのかしら。」
「健康は、バランスのいい食事からつくられるものですからねえ。クワークの店のシチューは絶品なんですよ。どうでしょう今夜、一緒に食べに行きませんか。」
「…ええ、喜んで。」
ベシアの後ろに Q が現れた。気づかないベシア。
ヴァッシュには見えている。「ああ、でもその前に私…シャワーを浴びてさっぱりしたいのよ。そうねえ、20分したら行くわ?」
ベシア:「ああ…たった 20分なのに、まるで永遠のように思えますよ。」
ドアを開けるヴァッシュ。ベシアは出ていった。
現れる Q。「人間の男と女の駆け引きはいつ見てもムカつくねえ?」
ヴァッシュ:「出てってよ。」
「まさか本気じゃないだろ?」
「出てって!」
「私がいないで独りでやっていける気でいるのか?」
「自分の世話ぐらい見られるわ?」
「お、それはそれは? それじゃ、お手並み拝見といこう。」 消える Q。
ヴァッシュはため息をついた。

レプリマット。
やってきたウェイターに注文するベシア。「ああ、ミントティーを一杯頼む。」
舌を鳴らすベイジョー人は、Q だった。「やめておいた方が身のためよ?」
Q のことは知らないらしいベシア。「どうして。レプリケーターがまた調子悪いのかい?」
Q:「違う、ヴァッシュのこと。彼女には近づかないように。」
「ウェイターが客にそんな口を利いていいのかなあ。」
「お友達として忠告しているのよ。ヴァッシュはトラブルの元。」
「そうかい。たとえそうでも、君には指図されたくないねえ。これから彼女とディナーなんだ…」
「大丈夫? ずいぶん疲れた顔して。」
「疲れてなんか、いるものか…」
「いやいやいや、精も根も出し切った顔してるわ。」 あくびする Q。
つられてベシアもあくびを続ける。「おかしいな。…何だか急に眠気が襲ってきちゃってさ。しばらく部屋に戻って、少し横になってくるよ。」 歩いていく。
オブライエンが通りかかった。
Q:「たまには独りでネンネしなさい。」
オブライエン:「何てこった。」

司令室のキラ。「司令官、クリンゴンの偵察船が第11ドックから発進しました。」
シスコ:「よかった。これでオドーも一息つけるな。」
やってくるオブライエン。「大変なことになりました。プロムナードに Q がいたんです。」
シスコ:「Q がここに?」
キラ:「Q って何?」
「すさまじいほどの能力をもつ生命体だよ。とにかく予測のつかないことをしでかす奴でね。」
オブライエン:「…油断のできない相手ですよ?」
ダックス:「ここに何の用かしら。」
シスコ:「何にせよ、あんまりいいことじゃないだろうな。」
オブライエン:「ヴァッシュが知ってるかも。」
ダックス:「なぜヴァッシュが?」
「二人は知り合いでして。」
シスコ:「エンタープライズでか?」
「いや、出会いの場所はシャーウッドの森だと思いますけどねえ。…Q がエンタープライズのクルーに、あるゲームを仕掛けたもので。」
また警報と共に、暗くなった。
キラ:「メイン・パワーグリッドが 8割低下。」
ダックス:「センサーが、重力子の蓄積を探知しました。」
シスコ:「パワーが戻るまで、どれくらいかかる。」
「すぐ正常に戻るようです。」 復旧する。
キラ:「ドックに着艦する時に今みたいなパワー低下が起こったら、大事故につながる恐れがあります!」
オブライエン:「しかしシステムには異常ありません。ダブルチェックしましたが、珍しく故障はありませんでした。絶対 Q の仕業です。奴はゲームが好きですからねえ。」
シスコ:「私は嫌いだ。」

箱を開けるヴァッシュ。「オークションの最後を飾るのはこれよ?」
クワーク:「確かに珍しいだが大して価値はなさそうだな?」
「あら、これが一番の掘り出し物よ?」
「いやあ、俺の御客は洗練された趣味の持ち主が多いからねえ。しかし、たまにはこんな物も珍しがられるかもしれないな。ラチナムの延べ棒、7本でどうだ?」 店にはモーンもいる。
「最低でもその 50倍の価値はあるわ…」
笑うクワーク。「冗談じゃないよ。…わかったよ、18本でどうだ? 俺にしちゃものすごい出血大サービスだけどな。」
箱を閉じるヴァシュ。「たった 18本で出血大サービスなんてとんでもないわ?」
クワーク:「30本出そう、それならいいだろ。」
「最低でも 200本は出してくれなきゃお話にならないわ?」
「さすがの俺も脱帽しちゃうね? このガムジーアのワイン※25にも、あんたの交渉上手にもさ…」
クワークの店に来たシスコ。「ちょっといいかな。」
クワーク:「悪いんだが俺と彼女は今大事な話をしてるんでね。」
「後でゆっくりやれ。」
離れるクワーク。
ヴァッシュ:「ところで司令官? あのお医者様はどうしたの? ディナーの約束をしたのに来ないのよ?」
シスコ:「Q のことが聞きたい。」
Q は、既に店に来ていた。「質問なら何でも受け付けますよ?」 ベイジョー人に言う。「どけどけ。ヴァッシュに聞くよりも、私に直接聞く方が早いと思わないか。何てったって本人がここにいるんだから。」


※14: Teleris

※15: Mundahla

※16: Lantar Nebula

※17: ホーク4号星 Hoek IV

※18: Sampalo

※19: ヴァドリス3号星 Vadris III
吹き替えでは「ヴァドリス5

※20: イプシロン・ハイドラ7号星 Epsilon Hydra VII

※21: Myrmidon

※22: エリキング7号星 Erriakang VII

※23: Brax

※24: 吹き替えでは「男の扱い」

※25: Gamzian wine
初言及

シスコは告げた。「ステーションから出て行ってもらいたい。」
Q:「ひどいこと言わないでくれよ、つれないなあ。こんなつまらないステーションに閉じこめられていちゃ毎日が退屈だ。ゲームでもしなきゃ、やっていられないだろう。ただし、その制服。それだけは気に入った。」
DS9 用の制服になる Q。
シスコ:「くだらないお遊びはやめて欲しいね! これ以上ステーションのパワーを吸い取るのもよせ。」
Q:「ステーションのパワー。おお、お、そういうことね。わかったよ。悪いことが起きたら全部 Q のせい。私になすりつけりゃあそれで済むんだものな。あー、人生ってほんと切ないねえ?」
「そんな顔したって誰も同情なんかしないぞ。」
「もうちょっと気の利いたコメントを言えないのかねえ。つまらん男だなあ? 私はクソ真面目ってのが嫌いでね。その点ジャン・リュックってのはそれなりに話のできる男だった。」
ヴァッシュ:「要するにあなたは、ここでは歓迎されてないってことなのよ?」
「おいおい、ヴァッシュ。いくらなんでもそれは言い過ぎだぞ。忘れたのかい、私は Q で、君はただの人間に過ぎない。二人の関係をどうするかは私が決めることだ。わかったかなー?」
シスコ:「できれば私と君、二人だけで話がしたいんだが。」
「それは名案だ。」
二人だけになった。ヴァッシュを含め、店にいた者は全員消えている。
Q:「すっきりしたろ。これで二人っきりになれたよ。」
シスコ:「シスコより司令室。」
「誰もいないよ。」
Q の胸ぐらをつかむシスコ。「全員元に戻せ! すぐにだ!」
Q:「戻さなかったら、どうするんだ。それじゃ男同士サシで勝負しようか。」
その瞬間、シスコと Q は身軽な服装をしていた。店に人々も戻ってきており、2人を取り囲んで歓声を上げている。
Q:「さーて、クインズベリー・ルールでいくぜー!」
シスコ:「何?」
ヒゲを生やした Q。「さ、かかってこい! 遠慮は無用だ。ボクシングは男らしいスポーツなんだろ?」
殴る Q。モーンも観戦している。
Q:「さあさあ、来いこい。どうだい、素晴らしく野蛮じゃないか…さあさあさあ、一発打ってみろ。私を殴りたいんじゃないのか? さあさあさあさあさあ、さあ来いこい!」
クワーク:「シスコの勝ちにラチナムの延べ棒 5本。」
ヴァッシュ:「その賭け乗った!」
Q:「打ち返せよ! どうした、私が怖いのか?」 シスコの顔を殴り続ける Q。
だがシスコは Q の攻撃を防ぐと、腹にお見舞いした。
もう一発顔に浴びせ、Q は観客に向かって倒れ込んだ。拍手が起こる。
ため息をつくシスコ。
クワーク:「…掛け金はオークションの儲けから引かせてもらうよ?」
Q:「殴ったな。ピカードは殴らなかったぞ?」
シスコ:「私はピカードじゃない。」
「確かにそうだ。君はすぐに挑発に乗る。私にはかえって好都合だがね?」 消える Q。

エアロックから、異星人が降りてきた。
派手な衣装のフェレンギ人も続く。顔を見合わせる 2人。
さらにマスクを被った異星人たちが続く。
彼らをオドーが見ていた。また辺りが暗くなる。
オドー:「ああ、また停電か。」

復旧する司令室の明かり。
オブライエン:「全く Q の奴め。」
突然、室内に強烈な風が巻き起こった。
ダックス:「空気が失われていきます!」
シスコ:「減圧シールのプロトコルを! オブライエン、密閉シールドを上げろ!」
何とかコンピューターに触れるオブライエン。「シールド、アップ。」 風は収まった。
シスコ:「被害を報告しろ。」
キラ:「…上部の隔壁に穴が開いたようです。」
オブライエン:「そのほか、細かいヒビが入ったとの報告多数。」 状態を見る。「緊急システムが作動したようです。修理チームは至急出動せよ!」

廊下。
トリコーダーの表示を見るダックス。「この穴は何らかの重力子パルスによってできたものだわ?」
壁に大きく穴が開いており、宇宙空間が見えている。緊急フォースフィールドで密閉されている。
シスコ:「パワーの低下が起こるたびに、重力子フィールドの強大化が確認されている。このまま放っておけば、リアクターコアにまで裂け目が広がり、ステーションの半分が崩壊する。」
ダックス:「Q ともう一度交渉した方がいいかもしれないわ?」
「しかし Q の仕業とは思えないんだ。停電を起こしてみたり壁に穴を開けてみたり、どうもあいつらしくない。」

保安室に入るクワーク。「何だよ、呼びつけて。…忙しいんだから早く終わらせてくれよな?」
オドー:「ああ、そうだな? ガンマ宇宙域からの美術工芸品のオークションを開くそうだからな?」
「…貴様ヴァッシュと俺との話を盗み聞きしていたのか。」
「…フン。」
「今度は何に化けてたんだ? テーブルか? それとも椅子か? …ワインのボトルか…。」
「あ…私に隠し事をしても無駄だってことがよくわかったろう。」
「隠してなんかねえよ? 俺はただいい物を選ばれた御客様に売るだけだ。」
「しかしああいう客どもを、選ぶ基準は?」
「金をたんまりもってることと…」
「ああ…」
「大馬鹿野郎だってこと。」
「フン。…しかし何だってそう物に固執するのか、私には理解できないねえ。一生を費やしてあれこれ手に入れたって結局はうちの中に無駄な物があふれかえるだけだし、その上死んだらせっかくのコレクションもおしまいだろ? 身内がよってたかって、残された物を全部売っ払って金に換えちまうんだからな?」
オドーに近づくクワーク。「あんたにゃ欲しい物ってのがないのか? 何かあるだろう。」
オドー:「…仕事がある。それで十分だろ?」
「例えば、上等のアンドリアン・シルクのスーツ。」
あきれるオドー。「ああ…」
クワーク:「純度の高いソーラックスの指輪は?」
オドーは首を振る。「うーん。」
クワーク:「タネッシュ陶磁器の一揃いはどうだ? …それじゃあ、ラチナムの枕なんてのはどうだい。いい夢見れるぜえ?」
オドー:「……いや!」
残念がるクワーク。「ああ…。」

金庫保管室を出たヴァッシュ。職員が見送る。
近づく Q。「やっと旅立つ気になってくれたか。ここで知り合った奴らとはもうお別れ?」
ヴァッシュ:「付きまとわないでよ。」
「この 2年間君が楽しく過ごしてきたのはこの私が守ってやったからだぞ?」
「…私は独りでも大丈夫よ?」
「そうかねえ。もう忘れたのか。ほら、エレベス・プライム※26に行った時に、君は虫に刺された。もし私がいなかったら?」
途端にヴァッシュの髪が少なくなった。頭に触れるヴァッシュ。「…どうなってもあなたとは行かないわ?」
Q:「宇宙は恐ろしいところなんだよ? 独りなんて無理だ。」
今度は皮膚に異常が現れるヴァッシュ。「…あなたとはもう終わったのよ!」 プロムナードの人々が見ている。
さらに皮膚が変色し、ヴァッシュは震えながら座り込んだ。
Q:「…時間をあげるからもう一度考え直してごらん。」
消える Q。ヴァッシュも元に戻った。
心配して近づくベイジョー人。うなずき、歩いていくヴァッシュ。


※26: Erabus Prime

『ステーション日誌、宇宙暦 46531.2。パワー低下に伴い、重力子がどんどん蓄積されていく。これで後 14時間で、生命維持システムが停止する。』
司令室。
オブライエン:「司令官、このカーデシア製の内部センサーでは、パワーの流出先を特定できません。感度が低すぎるんです。」
ダックス:「パワーの流れをもっと探知しやすくしたらどうかしら。ステーションにイオン化トリティアム※27のガスを充満させれば、素粒子の流れを捉えやすくなると思うけど。」
「トリティアム? でもあのガスは有毒でしょ。」
「ええ、濃度が高ければね? でもごく少量なら使っても平気よ。」
シスコ:「やってみよう。8時間以内に原因を突き止められなければ、ステーションから全員待避だ。」
Q が現れ、シスコの肩に手を置く。「まだ原因がわからないのかい? ピカードだったらとっくの昔に解決しているだろうな? どうりで君は大佐になれないわけだ。」
キラ:「保安チーム、司令室へ!」
「そんなに怒るなよ、ただの冗談じゃないか。君はやり手らしいな?」 シスコに言う Q。「気をつけろよ、お前の後釜を狙ってるぞ。」
オブライエン:「たまには人の役に立つことをしたらどうだ。カーデシアを苦しめるとか。」
「前に会ったかね?」
「忘れたのか。エンタープライズでね。」
「エンタープライズ。ああ、思い出した。君は下っ端の一人だったなあ。…このステーションのクルーは寄せ集めもいいところだ。今すぐ避難を開始した方がいいぞ? どうせ大した仕事なんかしていないんだから。」
シスコ:「何がどうなってるか教えてくれる気がないんなら出ていってくれ!」
「もちろん教えてやるとも。君たちがくだらないことに躍起になってる間、ヴァッシュはせっせと商売に精を出してるんだ。ヴァッシュには倫理や正義感は通じないぞ? …これは嘘でもハッタリでもない。私なんかよりヴァッシュの方が数段危険だ。」 消える Q。

ヴァッシュを始め、異星人たちがクワークの店に集まっている。
先ほど DS9 に来た異星人が入り、仏頂面でクワークに近づいた。
クワーク:「コロス※28、久しぶりだな。お前のその笑顔も懐かしいが膨らんだ財布はもっと懐かしいぜ。」 笑う。
コロス:「クワーク、お前も相変わらずだな。…ガンマ宇宙域の美術品オークションってのはちゃんとしたもんなんだろうな。闇だったりしたらお前の首をねじ切ってやるぜ。」
「そんな心配はいらないよ。出品される美術品は全て、お墨付きだからね。彼女はヴァッシュだ、ガンマ宇宙域にかけちゃ連邦一の専門家だよ。」
微笑むヴァッシュ。
コロス:「そうか、それなら大丈夫だな。じゃシンセエールを一杯頼む。」 受け取り、離れる。
ヴァッシュ:「あなたの御客ってああなの?」
クワーク:「マナーは悪くったって関係ねえ。客を選ぶポイントは、アンティークを心から愛するコレクターだってことだけだぜ?」
「信用できるの?」
「俺とあんたに負けないぐらいね?」
「なら油断しないでかからなくっちゃね?」
「なあ、ヴァッシュ。考えてたんだけど…これからも 2人で組んで、この商売をやっていかないか。あんたにはガンマ宇宙域の知識があり、俺には仕事のコネがある。すぐ一財産作れるぜ?」
「悪いわね、クワーク。でももうテント暮らしはウンザリなの。…地球に戻ってこれからはのんびりと暮らすつもりよ?」
「よせよせ、一月で飽きるぞ? 俺たちは同類だ。興奮と冒険と金が大好きなタイプさ。」
「そりゃ昔はね?」
「一月もつかどうか賭けるか?」
その時、ステーションが大きく揺れだした。

報告するダックス。「重力子フィールドが 60%増大しました。」
シスコ:「もうセンサー検索を開始できるか。」
「トリティアムの濃度が 100万分の1%になってからです。あと…7、8分ほどお待ち下さい。」
キラ:「司令官、ステーションが定位置からずれています。」
シスコ:「コントロールスラスターを噴射して、位置を修正。」
「スラスター、噴射。」
噴射されるスラスター。だが DS9 は逆方向に進み続ける。
キラ:「修正できません。」
オブライエン:「重力子フィールドがステーションのパワーを食っているなら、リアクターを止めてパワー供給を遮断してみては?」
シスコ:「生命維持システムをバックアップへ。そのほかのパワーを切れ!」
明滅するライト。
キラ:「まだ定位置からのズレが止まりません。」
シスコ:「ズレの方向は。」
ダックス:「方位 157、座標 13 です。」
キラ:「…ワームホールへ真っ直ぐだわ。」
移動を続ける DS9。


※27: tritium
吹き替えでは「トリィアム」

※28: Kolos
(トム・マクレイスター Tom McCleister) 声:大川透、DS9 ガラックなど

クワークの店。
暗い中で話すクワーク。「それでは、ご承知の通り、支払いは全てラチナムでお願いいたします。またオークション品の返品には応じられません…。それでは皆さん奮って御参加を。※29
ヴァッシュ:「お集まりの皆さん、最初の品は、このガンマ宇宙域の、ヴァラス※30星系からの彫像です。まずは、ヴァラス文明について少々御説明させていただきます。…ヴァラス文明は、約3万年前にその最盛期に達した文明でして、高度に発達した貿易と、通信ネットワークを通じて 24 の星系に広がりました。」 だが客が騒ぎ出す。「この彫像は、第19王朝の中心であったドラロックを象徴した物で…」
小声で話すクワーク。「ヴァッシュ、何をやってるんだ!」
ヴァッシュ:「彫像の歴史的な背景を説明してるのよ。」
「…いいから俺によこせ! ここはディストロム研究所じゃねえんだ。見てろよ? …皆さん。珍しいでしょう? しかもこの美しさ。加えてガンマ宇宙域のオリジナルです。それをあなたの手に入れる絶好のチャンス。それではラチナムの延べ棒、10本からスタートさせていただきます。10本の方?」 手を挙げる異星人たち。「15本。16本。17本の御方はいませんか、さあさあもう一声ですよ! ああ。」

モニターを見るオブライエン。「トリティアムのレベルが 100万の1%に達しました。」
ダックス:「センサー検索開始。」
オブライエンは状態を確認する。「ドッキングリングは除いていいです。」
ダックス:「トリティアムガスの流れは、中央コアへと向かってるようです。」
シスコ:「しかし中央コアのどこだ。」
オブライエン:「もっと、正確に読み取らせましょう。……もう一つはっきりしません。正確な位置が特定できるまでいかないんです。」
キラ:「現在の軌道から計算して…ワームホールまで後 18分です。」
シスコ:「何かがステーションをワームホールに引っ張っているんだ。…補助パワーを、ディフレクターへ回すだけの時間はあるか、チーフ。」
オブライエン:「今更そんなことをしても役に立ちません。ワームホールに飲み込まれたら、ガンマ宇宙域に着く頃にはステーションはバラバラになってます。」
「クソー!」

オークションを続けるクワーク。「落札。コロスさんが、ラチナムの延べ棒 36本で御買い上げになりました。…それでは次は…短剣です。鞘には美しい希少な宝石が散りばめられております。武器としても投資の対象としても一級品。」 いつの間にか、Q が店に来ていた。「それでは、40本からスタートします。40本。42本。…42本。45本。さあさあ皆さん、ためらっちゃダメですよ! 50本の方は? 50本、50本が出ました。」
Q:「欲に目がくらんでいる皆さんの御邪魔をするのは実に心苦しいが、お知らせしておいた方がいいと思いましてねえ? いや実は、このステーションはもうじき最期の時を迎えるんです。」 騒ぎ出す異星人たち。「せっかく購入した美術品を眺めて楽しむ暇はなさそうですね。言うことは言いました、さあ先をどうぞ?」
「ああ、皆さん大丈夫です。あの男に惑わされないで下さい。さあ、飲み物でもどうぞ? 加えて、全員を無料でホロスイートに御招待します…。」 話し続けるクワーク。
Q に近づくヴァッシュ。「あなたがこんなに恐ろしい人だったなんて、今の今まで知らなかったわ。私を懲らしめるために、全員殺すつもり?」
Q:「いや私は何も手を出さなくても、このステーションはもうすぐおしまいだよ。もちろん、君だけは助けてあげてもいい、頭を下げて頼めばね?」
「誰があなたなんかに頼むもんですか。」
「どうぞお好きに? …私はここで見物させてもらうよ。ステーションがワームホールでバラバラになるのを見るのは初めてでねえ?」
クワーク:「…よーし、私の従兄弟のストール※31が105本、落札!」 喜ぶフェレンギ人。

提案するキラ。「中央コアにもっとトリティアムガスを入れましょう。そうすればセンサーではっきりパワーの流れが読み取れるでしょ?」
オブライエン:「それはそうですが、トリティアム中毒で全員死んでしまいますよ。」
ダックス:「ちょっと待ってよ? この手があるわ、リアクターを作動させるのよ。」
「リアクターを? しかしまたパワーを吸い取られてしまいますよ。」
「でもパワーの量を増やしてやれば、センサーで感知できるほどの強さになるかも。」
キラ:「ワームホールへ向かうスピードまでアップしてしまう危険性もあるわ?」
シスコ:「しかしやってみるしかない。ステーションをフルパワーに戻してみてくれ、オブライエン。」
オブライエン:「…はい、司令官。」 明かりが戻る。

クワークの店も明るくなった。
クワーク:「落札。そちらのラル※32さんが、ラチナムの延べ棒 151本で御買い上げです。」 マスクの異星人だ。
箱を手にするクワーク。「では、いよいよ。…最後の品を御覧に入れましょう。これを一目ご覧になれば皆さんきっと…待った甲斐があったとお思いになるでしょう。」
石が見せられる。声が上がる。
クワーク:「それでは終わりは、ラチナムの延べ棒 200本から…始めさせていただきます。200本。250本の方。250本、どなたか300本は? 300本、ラチナムの延べ棒 300本。…350本は?」
コロス:「よし!」
「400本、400本。500本。」
異星人:「500本!」
「では 520本!」
コロスは片手の 6本の指を上げた。
驚くクワーク。「600本、ラチナムの延べ棒 600本です。」

チェックするダックス。「クロスオーバーブリッジにはありません。居住区にもないわ。ということは上部コアね。」
キラ:「あと 3分14秒でワームホールです。…スピードが加速してるわ?」
「ありました、パワーはプロムナードへ向かっています。」
シスコ:「チーフ、あとを頼む!」

コロスは叫んだ。「よーし、2,500本出そう。」
頭を抱えるクワーク。「ああ…。」
Q:「2,500本、プラス一本。」
Q を見る異星人たち。

ターボリフトを降りるシスコたち。
ダックスはトリコーダーで調べる。「こっちです。」

引き下がらないコロス。「ラチナムの延べ棒 3,000本だ、これ以上は出せない。」
クワーク:「何と 3,000本が出ました。」
Q:「100万本。」
「ひゃひゃ 100万本、ラチナムが 100万本…。」
ダックスが店に入る。「こっちです。」
クワーク:「ではよろしいですか、100万本で。」
キラ:「あの壇からだわ!」
ダックス:「これです!」
クワーク:「よろしいですね。」
シスコ:「オークションは中止だ。」
「落札!」
「チーフ、あったぞ。リアクターを止めろ。」
Q はつぶやいた。「しかしそろそろ孵化する頃だ。」
クワーク:「いくら司令官でも横取りはダメですよ、この品物は落札済みなんで。」
ダックス:「箱の中にはすさまじい重力子の蓄積があります。指数関数的に増えていくわ。早くステーションの外へ出さないと。」
シスコはコミュニケーターを外し、箱につけた。「チーフ、私の通信バッジにロックオンして、ドッキングリングの 500メートル外に転送しろ。」
クワーク:「延べ棒 100万本を。」
「転送しろ!」
転送される箱。
宇宙空間に実体化する。発光し始める。

シスコたちは窓に近づく。
箱は明るく輝き、巨大なエイ状の生物に変化した。
光り輝く生命体は、ワームホールへと入っていった。
見つめるヴァッシュ。

『ステーション日誌、宇宙暦 46532.3。孵化した生命体が飛び去った後、重力子のレベルは正常になり、ステーションもコントロールスラスターで定位置に戻った。』
クワークの店。
クワーク:「そうか、やっぱりディストロム研究所へ戻るのか。楽しみだろうねえ。長ったらしい講義に延々続くつまらない会議。毎日生意気な学生の相手をするのも疲れるぞ? せいぜいがんばんなよ。実はなあ…ああいいや。興味ないだろうしな。」
ヴァッシュ:「あら何よ。」
「…噂じゃな、タタラス5※33 でロケイ時代の州都の遺跡が発見されたらしいんだよ。その遺跡から出土した物をもし手に入れられれば…。」 店にいるダックスが話を聞いている。
「…そんな話はよして。私は地球に戻るの。」
「ああ、それがいいや。」
音と共に Q が現れた。「あんなつまらない星。」
ヴァッシュ:「タタラス5 が?」
「地球だよ、怒らないでくれよ。千年前は面白い星だった。十字軍に、スペインの宗教裁判、ウォーターゲート※34。ああ、今は何の刺激もない退屈な星だ。」
「それなら私について地球には来ないわね?」
「…タタラス5 の遺跡を見に行く方が楽しいと思うけどなあ?」
「あなたの指図は受けません。」
「ふーん。」
「まさか私が…。」
「そういえばラチナムの延べ棒 100万本はどうしてくれるんだい、肝心の商品に逃げられて。」
「うるさいわねえ。もう私に付きまとわないで。」
「後悔しても知らないよ?」
「いいの、独りで頑張ってみるわ?」
「わかったよ。そこまで言うんなら。君がいなくなると寂しい。私の目には星雲は塵の塊にしか見えない。でも君の目を通して宇宙を見ると全てが……輝いてる。…ほんとに寂しいよ。」
「…そりゃ私だってあなたがいなくなれば寂しいわよ?」
「うん? じゃいずれまた、君を迎えに行くよ。」
「いいえ、それだけはやめて。」
消える Q。
ヴァッシュはクワークの耳たぶをつかんだ。「ねえクワーク。…タタラス5 に行く宇宙船は?」
ヴァッシュの手を取り、キスするクワーク。2人で店を出て行く。入れ違いに来るモーン。
微笑むダックス。
あくびをしながらベシアがやってきた。「何日も眠ったみたいな気分ですよ。…何? …何かあったんですか?」
答えないダックス。ベシアは出ていく。
ダックスは、笑顔を浮かべたまま去った。


※29: "Remember, bit high, and bid often."
シカゴの故リチャード・J・デイリー市長が言った "Vote earty, vote often!" より

※30: Verath

※31: Stol
この部分は訳出されていません。エキストラ

※32: 正確には「薄闇のラル (Rul the Obscure)」。エキストラ

※33: タタラス5号星 Tartaras V

※34: Watergate
吹き替えではなぜか「湾岸戦争」

・感想
TNG でおなじみの Q が、「QPID」の後を受けた形でヴァッシュと共に登場しました。当初はヴァッシュしか出すつもりではなかったらしく、Q もあくまで傍観者なのがポイントです。でもシスコとのボクシングなどは「らしい」シーンですね。DS9 に Q が出るのはこのエピソードだけですが、何回も出た上に評価が落ちていくよりはずっといいですね。


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