雨の降る夜。その家の中にはシスコとジェイクが肩を組んでいる写真、そして野球ボールがある。近くの箱から小さな器具を取り出すと、年老いた男は首に当て、器具のスイッチを押した。ドアのチャイムが鳴り、振り返る老人。扉を開けると、一人の女性がいた。怪我をしている女性を中に迎え入れる。こんな夜遅くに沼地を歩いて来たからと老人はいう。暖炉に当たりなさいという。救急キットを探し始める。女性のメラニー※1は、作家志望で老人に会いに来たといい、ジェイク・シスコさんでしょと聞く。ええと答える老人。メラニーは直に話せるなんてと感激し、ジェイクの作品の大ファンだという。お世辞でも嬉しいねというジェイク※2に、あなたの作品は深みがあるという。ありがとうといい、ジェイクはメラニーの額の傷を治した。まだ私の本が読まれているとはというジェイクに、読まれています、アンセルム※3は友人から勧められて一晩に2回、一気に読んだというメラニー。それから作品を全部読みたいと思ったが、短編集※4しかなかったという。求めている作家に出会えたと思ったのにというメラニーに、一生の仕事としては確かに少ないなというジェイク。お茶を入れてくるという。2冊とも宝物で毎日読み、読まなければ良かったと思うくらい初めて読んだときの感激がよみがえるというメラニー。なんでも初めて体験できるのと、最後に体験できるのは一度だけだというジェイク。自分もよく、いつものいすに座って雨を眺める最後の日とか、暖炉の側でお茶を飲めるのも最後と思うときがあるという。メラニーはなぜ書くのをやめたのか聞きたいという。ジェイクはお気に入りのペンをなくして、それ以来書けなくなったという。冗談はよしてと笑い、断筆は40歳前でしたね、どうして若くにやめてしまったんですかと聞くメラニー。話せば長くなるというジェイク。メラニーは聞きたいという。ジェイクは、メラニーが今日以外の日に来ていたならば、何も話さず追い帰していたという。でも今日という日に現れた。なぜ小説を書くのをやめたかを話すのに、いかにも今日はふさわしいという。きっかけは自分が18歳だったとき、人生最大の試練が襲ったという。ジェイクは父が死んだと言った。
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※1: Melanie (レイシェル・ロビンソン Rachel Robinson アンドリュー・ロビンソン(ガラック役)の実の娘さんです)
※2: (トニー・トッド Tony Todd ウォーフの弟、カーン (Kurn) 役の人)
※3: Anslem
※4: Collected Stories
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