ディープスペースナイン エピソードガイド
第75話「父と子」
The Visitor
イントロダクション
雨の降る夜。その家の中にはシスコとジェイクが肩を組んでいる写真、そして野球ボールがある。近くの箱から小さな器具を取り出すと、年老いた男は首に当て、器具のスイッチを押した。ドアのチャイムが鳴り、振り返る老人。扉を開けると、一人の女性がいた。怪我をしている女性を中に迎え入れる。こんな夜遅くに沼地を歩いて来たからと老人はいう。暖炉に当たりなさいという。救急キットを探し始める。女性のメラニー※1は、作家志望で老人に会いに来たといい、ジェイク・シスコさんでしょと聞く。ええと答える老人。メラニーは直に話せるなんてと感激し、ジェイクの作品の大ファンだという。お世辞でも嬉しいねというジェイク※2に、あなたの作品は深みがあるという。ありがとうといい、ジェイクはメラニーの額の傷を治した。まだ私の本が読まれているとはというジェイクに、読まれています、アンセルム※3は友人から勧められて一晩に2回、一気に読んだというメラニー。それから作品を全部読みたいと思ったが、短編集※4しかなかったという。求めている作家に出会えたと思ったのにというメラニーに、一生の仕事としては確かに少ないなというジェイク。お茶を入れてくるという。2冊とも宝物で毎日読み、読まなければ良かったと思うくらい初めて読んだときの感激がよみがえるというメラニー。なんでも初めて体験できるのと、最後に体験できるのは一度だけだというジェイク。自分もよく、いつものいすに座って雨を眺める最後の日とか、暖炉の側でお茶を飲めるのも最後と思うときがあるという。メラニーはなぜ書くのをやめたのか聞きたいという。ジェイクはお気に入りのペンをなくして、それ以来書けなくなったという。冗談はよしてと笑い、断筆は40歳前でしたね、どうして若くにやめてしまったんですかと聞くメラニー。話せば長くなるというジェイク。メラニーは聞きたいという。ジェイクは、メラニーが今日以外の日に来ていたならば、何も話さず追い帰していたという。でも今日という日に現れた。なぜ小説を書くのをやめたかを話すのに、いかにも今日はふさわしいという。きっかけは自分が18歳だったとき、人生最大の試練が襲ったという。ジェイクは父が死んだと言った。 |
※1: Melanie (レイシェル・ロビンソン Rachel Robinson アンドリュー・ロビンソン(ガラック役)の実の娘さんです) ※2: (トニー・トッド Tony Todd ウォーフの弟、カーン (Kurn) 役の人) ※3: Anslem ※4: Collected Stories |
本編
メラニーの横に座り直し、父と私はとても仲が良かったというジェイク。その何年か前に母を亡くしていたかもしれないがというと、メラニーは伝記を読んで知っているという。書くのを止めたのは科学の研究に没頭したからだとかと言うメラニーに、話はそう単純ではないと言うジェイク。そのころジェイクはある短編に取りかかっていたという。何週間もがんばったが、筆が進まずいらついていた。シスコは気分転換のために、ワームホールで起こっている亜空間反転と言う現象を見せようとした。 シスコはジェイクを呼びに部屋に入って来た。しぶしぶパッドをもって立ち上がるジェイク。しかしディファイアントに乗ってからも、ジェイクは短編を書くのに没頭していた。亜空間反転は50年に一度しか起こらない、見逃したらもったいないというシスコ。ジェイクはこの段落を書いてから行くというが、短編はしばらく脇においておけというシスコ。自分は作家じゃないので分からないが、たまには頭を上げて周りを見るのも必要だと言う。人生は一度だ、目をつぶっていると過ぎ去ってしまうというシスコ。ブリッジに行って亜空間反転を観察し、それから短編を読んで話し合おうという。握手し、わかったというジェイク。その時船が揺れた。ブリッジのダックスによると、ワームホールの重量フィールドが増大しているという。離れるようにいうシスコだが、ワープコアのパワー出力のバランスが異常になっているという。機関室を呼ぶシスコ。だが応答はなく、シスコはダックスに機関室に行くと伝える。ジェイクにここにいろというシスコ。いつもならその通りにするが、その時のジェイクはなぜか付いていった。 機関室はあちこちで爆発が起きていた。クルーたちが倒れており、シスコは医療室に医療チームの要請をする。ワープコイルが変換コイルにはまっているというダックス。再調整しないとコアが吹き飛んでしまう。シスコはジェイクに気付き、インターフェイズ補正器を探すように言う。後40秒でワープコアが爆発する。コアを船外に廃棄するように言うシスコ。だがダックスは廃棄システムが故障しているという。やっとで補正器を見つけたジェイクは、シスコに手渡す。それを使い、過剰なパワーを逃がすように設定するシスコ。後20秒しかない。だがパワーを逃がすのに成功し、揺れは収まった。補正器を取り、ジェイクに渡すシスコ。しかしワープコアから伸びたエネルギーがシスコを捕らえた。弾き飛ばされ、倒れるジェイク。シスコは震え、そして消え去ってしまった。父さんと叫ぶジェイク。 目の前で家族を失ったら立ち直れるかしらというメラニー。立ち直る、時が過ぎれば死を現実として受け入れ、傷も癒えるというジェイク。あなたもそうだったのと聞くメラニー。しかしジェイクは立ち直れなかった。シスコの葬儀は盛大なもので、参列者がそれぞれ思い出を語った。 キラが語り始める。シスコは上官であると同時に預言者が遣わされた選ばれし者であり、かけがえのない友人でもあったというキラ。ジェイクはその間ずっと無言だった。何を言っても語り尽くせない気がして嫌だったという。あれほど孤独を感じた時はなかった。みんなはそばにいてくれて、特にダックスはシスコとは無二の親友だったため責任を感じているようだった。 しかし何ヶ月か経つと、ジェイク以外は元の生活に戻った。バーに座っているジェイクのところに、ノーグが後からホロスイートに行こうと誘う。クワークは倉庫からタカリアン蜂蜜酒を持ってくるようにノーグに言う。ホロスイートはキャンセルだと言うノーグ。だがクワークは店も空いてるので誰かに頼もう、ジェイクと楽しんでこいとノーグに言う。喜ぶノーグ。 歩きながら、今度のサーフィン※5は大波はうまくかわさなきゃというノーグ。ジェイクはサーフィンはもういいという。学校に戻ったらまたしばらく会えなくなるというノーグ。ジェイクにこれからどうすると聞く。ペニントン大学に入学を許可されているので、秋から行くかもというジェイク。そうすればいつでも会えるというノーグに、こっちに残るかも知れないというジェイク。もうそろそろ寝るといい歩いて行く。 ジェイクは寝ている。ふいに部屋の中で音がし、光が走った。ジェイクの目の前にはシスコがいた。父さんと呼ぶシスコ。シスコは何があったんだというと、また消えてしまった。 |
※5: ion surfing と呼ばれるもの |
すぐにダックスに話したというジェイク。夢ではなく現実だと。徹底的にスキャンし、調べた。しかしあれはばつが悪かったという。怪物を見て騒ぎ立てている子供みたいだろうというジェイク。結局は悪い夢を見たということになり、そのことはもう考えないことにしたという。それから9ヶ月が経ち、ノーグは艦隊に戻った。小説を書こうとしても書けない。ドムジョットばかりしており、寂しさから目を背けようとしていた。みんなは心配したが、もっと大きな心配事が起こったという。 クリンゴンとの緊張が高まったのだ。ベイジョー住民にとって信仰の対象だったシスコの死は、連邦がベイジョーを守ってくれないという預言者のお告げだと受け取られた。ベイジョーはカーデシアと相互防衛協定を結び、それがクリンゴンを怒らせた。一般市民は続々とDS9を待避した。戦争が始まればDS9は最前線になってしまうからだ。キラはジェイクを呼び、どこへ行くのと聞く。船の発着を見ようと思ってというジェイクに、ウォーフは待避するように言う。命令が出ているんですかと聞くジェイク。強制ではないというキラ。ウォーフは今待避するのが懸命だという。だがジェイクは忠告に従わなかった。 キラは一人でいるジェイクに、話があるという。ジェイクの祖父と話をし、祖父はジェイクを引き取りたいといっているという。キラはクリンゴンと戦争にならなくても、ここを出ていった方がいいという。ここに残るというジェイクに、キラはあなたを追放もできるのよという。ジェイクはまだ追い出さないで下さい、ここは家なんだという。最初来たときはがれきだらけだったステーションを、シスコがここまでにした。ステーションのどこをみてもシスコの思い出があり、ここを去ったら思い出は何もないという。キラはジェイクを抱き寄せ、わかった、吹っ切れるまではここにいていいという。そして新しい人生に踏み出すときが来たら出て行くように約束してという。ジェイクはうなずいた。 通路を歩いているジェイク。一瞬、後ろで光と音が起こった。振り返るとそこにはシスコがいた。駆け寄り、シスコの手を握るジェイク。その時、ジェイクは夢ではないと確信した。 しかしシスコの様子はおかしかった。ダックスとオブライエンは、事故の影響でシスコの体自体がこの次元に存在できなくなったと考えた。最後に覚えていることはと聞くダックス。シスコは機関室にいた、2,3分前だと答える。でも事故からは1年も経っている。まさかそんなというシスコ。オブライエンはエネルギーが放出されたときに亜空間に放り込まれ、そのせいで時間が止まっているという。肉体の分子構造を戻さないと、このままでは数分でまた消えてしまうというベシア。密閉フィールドで囲めばうまくいくかもしれないといい、作業に取り掛かるダックスたち。シスコはジェイクを見てそんなに悲しい顔をするな、元気だったかという。ジェイクは涙ぐむ。みんなが何とかしてくれるというシスコ。夢だと思ったというジェイク。この前部屋で見たとき、生きていると気がついていればという。お前のせいじゃない、私はここにいる、気にするなというシスコ。顔が一瞬揺らいだ。このままではまた消えてしまう。私がいなくても大丈夫だなとジェイクにいうシスコ。分子構造が変動している。抑制フィールドが張られた。効果はない。ジェイクと呼びかけるシスコ。オブライエンは転送ビームで捕捉しようとする。しかしシスコはベッドの上から消えてしまった。行かないでというジェイク。 父を失ったとき、これ以上辛いことはないと思ったというジェイク。だが空っぽのベッドを見ているとき、シスコは時の流れの外で捕らわれているとわかったという。気持ちを想像すると言葉もないというメラニー。ジェイクを見て薬を取ってくるという。辛い話をしたからだわ、また出直してくるというメラニーに、いいんだというジェイク。出直して来たころには遅いという。私はじき死ぬとジェイクはいう。 |
人間も私ぐらいの歳になるとじき死ぬというのが避け難いというジェイク。周りの者がはっとして年寄りを無視しないからねという。不吉なことを口に出さなくてもというメラニー。私は無視しないという。君は素直だ、いいもの書きになれるというジェイク。まだ卵ですというメラニーに、卵を割ってくれるのを待っているのかなと聞くジェイク。待ってはいない、本は読んでいるというメラニー。でも何をかきたいのかまだわからないという。それからお父様と会うことはできたのですかと聞くメラニー。ジェイクは、ダックスとオブライエンは何ヶ月もシスコの行方を捜し、事故を再現しようとしたが、ワームホールが亜空間反転を起こすのは何十年も先のことだったという。そしてクリンゴンとの対立から、連邦はDS9をクリンゴンに譲渡した。ジェイクは仕方なく5年をすごしたステーションを離れ、シスコとまた会えるかもしれないという希望も捨てた。クリンゴンからシスコが現れたという連絡もなく、ジェイクはシスコのことを忘れ自分の道を一歩踏み出した。地球へ行き、流れ歩いた後結局ペニントン大学で文学の勉強をした。卒業後は祖父のいる、ここルイジアナに居を構え、フレンチクォーターにレストランがあったという。メラニーは名前もシスコ※6のまま今もあるといい、壁にはジェイクの最初の小説を買い取った編集者の手紙が飾ってあるという。祖父は孫が有名になったのが一番の自慢で、父も同じように喜んでくれただろうというジェイク。この部屋でアンセルムを執筆なさったんでしょうと聞くメラニー。そうだよ、書評も好意的なものが多かったとジェイクはいう。次第に過去のことは思い出さなくなり、ある女性にあって恋に落ち、結婚したという。そのころはこの家もにぎやかだったというジェイク。 コリーナ※7が家に帰って来た。ノーグにもう来てたのという。デッサンをしてたら時間が経つのを忘れてというコリーナ。会えて嬉しいというノーグ。オーブン付けてくれたと聞くコリーナ。メニューは何かなと聞くノーグ。魚よというコリーナに、庭においしそうな虫が飛んでるのにという。食べ物を噛めっていわないでよというコリーナ。それを要求しなくなってから女にもてるようになったというノーグ。ジェイクは20年前から言っているだろうという。コリーナはシャンパンを取ってくるという。よく来てくれたなというジェイク。ノーグを見て、また憲章の星が増えたわね、これなら40歳前に大佐になれるんじゃないとコリーナ。この前ベイジョー星域に戻るかもしれないといっていただろうと尋ねるジェイク。クリンゴンから宇宙艦隊に、ワームホールの調査許可が下りたという。表向きは科学分野の交流となっているが、本当はガンマ宇宙域の情勢を探らせたいのさというノーグ。ドミニオンがどういう対応を見せるのかということだ。DS9へ行ったのかと聞くジェイク。ノーグは残念ながらくたびれてきているという。だが懐かしい人が残っているというノーグ。お前の親父かと聞くジェイク。ノーグはロムもクワークもいないという。クワークは念願の月を手に入れたのはいいが、ロムが軌道に乗せるのに四苦八苦だという。だけどまだモーンがいたという。今ではバーのマスターだ。ジェイクは自分が飲みまくって破産させるんじゃないかという。コリーナが2人にシャンパンを渡す。お祝いしましょうというコリーナ。ノーグは我が親友、ジェイク・シスコが短編集でベーター賞※8を受賞したことを祝して、これからも素晴らしい作品を書きつづけ、芸術の女神の御加護があらんことをという。もしホロスイートのプログラムになれば、ラチナムが儲かるというノーグ。3人は笑い、乾杯する。 ジェイクはカップを落とし、音を立てて割れた。医者を呼びましょうかというメラニー。大丈夫だというジェイク。わざわざ断筆のわけを聞きに来たんだろうという。ジェイクは話しておきたいという。 その夜ノーグが帰ってから、ジェイクは机に向かい、新作の執筆に取り掛かった。筆の進みも良かった。そろそろ寝ないというコリーナ。ジェイクはまだ眠くないという。コリーナはペンを取り、私もよという。ジェイクは今度の本の装丁は君にやってくれないかなと頼む。それ本気と聞くコリーナ。その時部屋の中で光と音がした。今の何と聞くコリーナ。ジェイクがいすの後ろに行くと、そこにはシスコがいた。 |
※6: Sisko's ※7: Korena Sisko (Galyn Gorg VOY第52話 "Warlord" 「暴君の星」のノーリ (Nori) 役) ※8: Betar Prize |
連絡はついたかと聞くジェイク。コリーナは艦隊の科学部につながり、すぐに調査班を派遣するそうだという。ジェイクはコリーナをシスコに紹介する。妻だよと言うジェイク。結婚したのかというシスコ。コリーナはお会いできるなんて思っていなかったという。こちらこそよろしくといい、結婚して何年だと聞くシスコ。もう7年だなというジェイク。私には孫がいるのかなというシスコ。まだ子供はいない。結婚式は祖父のレストランで開いたというコリーナ。ジェイクはみんな来てくれたという。ダックス、キラ、オブライエン。盛大だったろうなというシスコ。宇宙艦隊に連絡しないと、と言って立とうとするジェイクを止め、話が聞きたい、元気だったかと聞くシスコ。せっかくの貴重な時間を無駄にしたくないという。お父様はこれをご覧になりたいんじゃないと言って、コリーナは2冊の本をシスコに手渡した。ジェイクの本ですと言う。シスコはやったな、成功すると思っていたという。ジェイクはこらえきれず、泣き出した。シスコはジェイクを抱き、コリーナに目で合図を送る。離れるコリーナ。ジェイクは謝る。何を謝ると言うシスコ。助けようと思ったのにというジェイクに、こんなに長い間希望を持ちつづけられる人間はいないと言うシスコ。ジェイクは努力をしなかったという。立派になって嬉しいというシスコに、名声なんか、父さんを時間の外にほっぽいておいてと言うジェイク。何を言うんだ、お前には妻も仕事もある、たまにしか顔を見せないかもしれないが、早く孫の顔を見せてくれというシスコ。そして最後に笑うと、再び消えてしまった。 何ていったらいいかというメラニー。ジェイクは何もいわなくてもいいから、聞きなさいという。あまり時間はないのに話すことはたくさんあるという。ダックスに相談したら、事故のせいでジェイクとシスコの間には、ある種の亜空間のつながりがあるとわかったきたというジェイク。だからいつもそばに現れるんですね、DS9から何百光年も離れていてもとメラニーはいう。ジェイクは現れるときにパターンがあるという。その時はワームホールの亜空間フィールドに変動がある。次ぎがシスコが現れるのは、私が老人になることだったというジェイク。ジェイクはシスコを助けようと思い、小説を書くのをやめて37歳にして大学に戻った。そして亜空間力学の勉強を始めた。はじめはコリーナも理解してくれたが、研究に夢中になるあまり大学院に入るころには別居していたというジェイク。そして博士過程に進むころには修復不可能だったという。だがジェイクは必死に研究を続け、何年か後に事故を再現する方法を見つけ出した。ちょうど事故から50年経ち、亜空間反転が再び起こる時期だった。後一つ必要なものがあった。 ディファイアントだ。ノーグは大佐になり、当時のクルーを集めて、現役を引退していたディファイアントを引っ張り出してきてくれた※9。ウォーフも最高評議会に働きかけ、ベイジョー星域に入る許可を取ってくれた。ワープ飛行を停止するようにいうノーグ艦長。何とか覚えているものねとダックス中佐はいう。2次元コントロールパネルなんて今じゃ見かけないというベシア少佐に、なんとかこなしてたのよとダックスはいう。DS9が見えて来た。無事シスコを取り戻したら、モーンのバーによっていっぱいやろうかというベシア。ダックスはうなずく。 ジェイクは考案した亜空間フラックス分岐装置を機関室に設置して待った。準備はいいかいとダックスに聞くジェイク。ええ、と答え乗船したときはレプリケーターしか動かなかったことを忘れないでよというダックス。ベシアは良かったじゃないか、最近ダックスはコーヒーがないことにはまともに人の話を聞かないという。コーヒーを飲まなければ、あなたの話には付いていけないというダックス。新しい論文がどうしただとか、テニスのバックハンドを変えただとかという。ノーグが入って来た。亜空間フィールドに歪みが発生したという。亜空間反転が起こり始めたというジェイク。反転が起こり始めれば、50年前ディファイアントを起こった重量波が襲うというノーグ。ジェイクはシールドを調整し、重量波は装置に流れ込むから大丈夫だという。亜空間が開いたらシスコを探すというダックス。ジェイクとの間の亜空間のつながりをたどれば、必ず探し出せるというベシア。船が揺れた。ブリッジに戻るぞ、がんばれよというとノーグは階段を上り、戻っていった。 ワームホールが亜空間反転を起こすのは50年後になる。だからこれが最後のチャンスだった。亜空間フィールドが開き始め、装置にエネルギーが流れ込む。シスコの生命反応を探知した。ジェイクの目の前に、シスコが姿を現そうとしている。だが異常が起こり始める。反応が薄れ、ジェイクまで亜空間に引き込まれようとしている。そして2人は同時に消えた。 真っ白な空間の中で、シスコはジェイクと声をかけ、あれから何年だと聞く。もう14年だというジェイク。ここはどこというと、シスコはわからないという。多分亜空間の裂け目じゃないかと思うというジェイク。コミュニケーターでダックスに通信を取ろうとするが反応はない。ディファイアントでワームホールに入ったんだというジェイク。信号に転送ビームを合わせるようにいうジェイク。シスコは驚いたな、私より年上になってという。ジェイクはなぜ転送してくれないんだと怒る。シスコはジェイクにここから信号は届かないという。ひさしぶりだな、あれからどうしているんだと聞き、約束した孫はちゃんと生まれたかと聞く。ジェイクはコリーナとはうまくいかなくなって、別れたんだというジェイク。寂しい思いをさせた、でも仕方がなかったというジェイク。父さんを助けるためだったという。小説はどうしたんだと聞くシスコ。ジェイクは再びコミュニケーターでダックスに搬送波の強さを上げるように伝える。なぜ書くのを止めたんだというシスコに、このチャンスを逃したら二度と助けられないというジェイク。ジェイクの体が揺らいだ。何でだというジェイク。シスコはあきらめなさいという。自分を責めるんじゃない、私のためにも人生を犠牲にせずに幸せに生きてくれというシスコ。約束だぞというシスコの前から、ジェイクが姿を消した。 ベシアたちの前に、泣きながら立ち尽くすジェイクが帰って来た。ダックスは近寄り、優しく抱くのだった。 |
※9: ここで使われている制服・コミュニケーターは、TNG 第177・178話 "All Good Things..." 「永遠への旅」の未来のものと同じものです |
朝になった。ジェイクは体が震えている。メラニーに見せたいものがあるといい、机の上を見るようにいう。そこにあるのは、新しい短編集だった。私は父の望み通り、再び新しい人生を生き始めたというジェイク。コピーをあげようというが、メラニーはこの原稿を下さいという。いたるところに書き込みがあるというジェイク。いいんです、文章を完成させていく過程がわかりますからというメラニー。君は作家志望だったっけなというジェイク。どうして出版しなかったんですと聞くメラニーに、実は最後の話を書きあげたという。それに死んでから世に出せば、書き直しをさせられずにすむというジェイク。2つ書きたい話があったんだが、もう時間がなくなったという。時間がないとおっしゃるのねというメラニー。ジェイクは、ディファイアントでのが失敗してから、理由を何ヶ月も考えたという。父の身に起こったことが理解できるようになったという。事故の瞬間、シスコは時の中に氷つき、ジェイクとのつながりはゴムひものようなものだという。ひもが太く強くなるとこちらの時間に現れる。だが数分だけだ。ということはもしジェイクが死んで時間が止まれば、ひもがたるんでしまいシスコは亜空間に置き去りになる。だがシスコとジェイクが一緒にいて、ひもの強さが最大のときにひもを切れば、反動で事故の瞬間まで時をさかのぼるという。お父様はもうすぐここに現れるんですかと聞くメラニー。涙をこぼしながら、そうだと答えるジェイク。そのときにひもをきるのねというメラニー。ジェイクはメラニーに約束して欲しいという。文学を勉強するのはいい、しかし時々は顔を上げて、周りを見るんだという。視野を広く持てば、そこに人生が見えるというジェイク。目を閉じていると過ぎ去ってしまいますものねというメラニー。メラニーはジェイクの耳元で、ありがとう、感謝しますというとほほにキスをした。君と話ができてとても楽しかったというジェイク。メラニーは荷物を持ち、出ていった。ジェイクは暖炉のそばから立ち上がり、原稿と野球ボールを手に取った。そして窓際に座る。 眠っているジェイクの前には、シスコが座っていた。ジェイクと声をかける。肩を揺らし、起こすシスコ。ずっと待ってたんだというジェイク。まだこの家に住んでいたんだな、ここはいいところだというシスコ。小説を持ち、それにまた小説を書き始めたようで安心したという。心配していたんだというシスコ。ジェイクの様子を見て、どうしたんだと聞く。献辞を読んでみてというジェイク。「帰郷する父に捧げる」と書かれていた。ありがとう、でも帰郷するとはどういうことだと聞くシスコ。ジェイクは僕だったんだ、父さんをいかりのように引き止めていたのはという。一体どういうことだと尋ねるシスコ。ジェイクが見やったほうには、あの小さな器具があった。僕はもう少しで死ぬというジェイク。シスコはよせという。ジェイクは僕が死ねば、父さんは事故のときまでさかのぼるという。今度はワープコアからのエネルギーに触れないように気を付けてというジェイク。まだ何年も生きられたかもしれなかったのにというシスコに、いいんだ、死ぬときは父さんと一緒じゃなきゃという。だからってなんでこんなことをとシスコは聞く。私のためにというシスコに、違うよ、若かった僕のためにでもあるんだというジェイク。僕が父さんを必要としていた、こうすれば僕ももう一度一緒に人生をやり直せるという。シスコはジェイクを抱き寄せ言った、「ジェイク、私の最愛の息子」と。 インターフェイズ補正器をセットしたシスコ。すぐに横に飛びのき、ジェイクを守りながら倒れ込んだ。エネルギーがかすめたが、2人とも無事だった。なんでわかったのと聞くジェイク。今回は運が良かったというシスコ。大丈夫だったと聞くジェイクに、大丈夫だと答え、ジェイクと抱き合うシスコ。そしてお前のおかげだと言うのだった。 |
感想
初めにいいますと、これは素晴らしいエピソードです。テレビを見てもめったに泣かない私も、最後のシーンでは感激して涙がこぼれました。知らない人が見るとまるで最終回のような内容でした。特に未来の描写には興味深いものもありましたが、結局これもシスコが元に戻ったことで、別の世界ということになります。この話はヒューゴー賞にノミネートされました。 |
第74話 "The Way of the Warrior, Part II" 「クリンゴンの暴挙(後)」 | 第76話 "Hippocratic Oath" 「苦悩するジェム・ハダー」 |