鐘が鳴らされる。審判を始めます、クリンゴン帝国から殺人容疑で、ウォーフ少佐の身柄を引き渡すようにという艦隊への要請について審議を行うというタララ※2提督。クリンゴンから派遣されたチュポック※3訴追人が申し立てを行う。チュポックはウォーフに以下の罪状を申し立てるという。宇宙暦49648、ウォーフは艦隊宇宙艦※4ディファイアントを指揮してペンタス星系※5の近くを航行中、クリンゴンの民間船をそうと知りつつ攻撃、破壊しその結果441名の一般市民が命を失ったという。ウォーフが攻撃命令をだしたのは誤りです、戦いにはやる気持ちが正しい判断を鈍らせたというチュポック。身柄を引き渡し、同胞の裁きを受けさせたいという。次にシスコが話し出す。訴追人は大事なことに言及するのを避けている、ディファイアントは2隻のクリンゴン戦艦に攻撃されていたという。まさに生死を賭けた戦闘の最中にあり、突然正面に1隻の船が現れた。ウォーフが攻撃を指示したのは不注意からでも残酷だったからでもなく、敵の戦艦だと思ったからですというシスコ。主張したいのは民間船を攻撃したのは、遺憾ですが避けられぬ事故だということですといった。証拠の吟味は明日午後3時から行うというタララ。再び鐘を鳴らした。
プロムナードを歩きながら、オドーに民間船のクリンゴン船長について全て知りたいというシスコ。民間船は戦いを見かけて攻撃するためにディファイアントの前に現れたのかもしれない。攻撃するのはあまり賢いとは思えないというオドー。シスコはオドーのクリンゴン内部の情報網で、船長の情報を入手するように言う。酒飲みとか、好戦的だとか自殺願望が強いといったことだ。ターボリフトに乗るオドー。そこへチュポックがやってきてパッドを渡した。チュポックが呼ぶ証人のリストだという。実に素晴らしいステーションですなというチュポックに、最近クリンゴン人は減ったというシスコ。事件の片がつけばまた大勢来るようになります、ウォーフが引き渡されればそれは宇宙艦隊の士官が大虐殺をはたらいたことになるというチュポック。この宇宙域での連邦の立場は弱まり、評判を立て直そうとしている間は我々にとっては動きやすいと微笑む。それはカーデシア領内へ攻め込むチャンスということか、新たに軍事基地を設置するつもりかと聞くシスコ。どちらにしろウォーフは戦いでは決して勝ち取れない同情をもたらしてくれそうです、クリンゴンは連邦に対してどんな要求を出してもみんなから当然だと思ってもらえるというチュポック。シスコはそれはまだわからん、ウォーフは無罪を主張しているという。しかも有罪の立証は訴追側の責任ときた、連邦の司法制度は非常に面白いが大きな欠陥があるというチュポック。実質より手順を、事実より形式を重視しがちだという。だから不利だと思うなら残念だというシスコに、逆ですよ、そちらのルールで戦うのは楽しみだというチュポック。戦うのではなく真実を求めるんだというシスコ。チュポックは真実は必ず勝つ、それでは戦場でお会いしましょうといい、離れていった。
審議が再び始まった。ウォーフの報告書、ディファイアントのセンサー記録も、ほかの士官の報告書も読んだというチュポック。内容を信用します、惑星連邦の誇りにかけても艦隊士官が嘘をつくことはないでしょうという。ですから事実は報告書に書かれている通りだったと考えますというチュポック。シスコは立ちあがり、事実に基づいて争わないのならば、この審議はもう終わるべきだとタララにいう。チュポックはクリンゴン人は事実や状況はあまり重要視しない、問題なのは攻撃指示を出した時のウォーフの心理だという。艦隊士官として義務を果たしただけだったのか、クリンゴン戦士の闘争本能を目を覚ましたのか。だから私が来たのです、ウォーフがクリンゴン人として戦いに我を忘れたのだとしたら、裁けるのは我々だけだというチュポック。心理で有罪無罪は決められない、被告人の心理は法廷において議論の対象ではなく、訴追人は物的証拠にのっとって議論をお願いしたいというシスコ。真実を明らかにするには必要でしょうというチュポック。タララはウォーフの心理は重要な要素だという。心理面についての言及を認めます、ただし必要な範囲にとどめてくださいという。懸命なご判断感謝しますというチュポック。最初の証人が呼ばれる。
ダックスに、クリンゴン文化の専門家だと伺っていますというチュポック。前の本体のクルゾンならそういうでしょうが、私はたまたまクリンゴンの文化に少々詳しいだけですというダックス。ではそういうあなたから見て、クリンゴン人は攻撃的で暴力的な種族ですかとチュポックは聞く。そういう側面がありますと答えるダックス。ではクリンゴン人を猛々しく恐るべきしているのは、血に飢えた獣のような本能だということには賛成ですかと聞くチュポック。ダックスはそう思いますと答える。チュポックはウォーフがディファイアントを指揮して戦場に出た時、本能に負けたとは考えられませんかと聞く。いいえ、ウォーフ少佐は自分の戦いの本能をちゃんと抑制していますとダックスは言う。チュポックははっきりと断言できますかと聞く。ホロスイートで何度も戦ったからですというダックス。それは遊びでしょうというチュポックに、戦う時は本気ですとダックスは言う。
ウォーフと戦っている様子が思い出される。ダックスは女だとかトリル人とかと言うことで、手加減しないようにいってあるという。※6怪我をしたことはというチュポックに、一度指を折ったことがある、打ち身はしょっちゅうだが小さな怪我ですというダックス。それに勝ったこともあるというダックス。ウォーフと戦闘を続けている。首元にメクラフが突きつけられた。恐くないんですねと聞くチュポックに、ウォーフの目に殺しの本能が浮かぶことがある、その気になれば殺すこともできるでしょうというダックス。でもそれは一瞬のことですぐに消えていくといい、負けを宣言した。
チュポックは、今朝ウォーフの個人的なデータベースから引き出した記録をご覧いただきたいとタララにいう。そのような捜査命令は出されていない、ウォーフのプライバシー侵害に当たると怒るシスコ。タララは認め、当局の命令、およびウォーフの許可なしに引き出した情報は証拠としては認められないとチュポックにいう。あいにく捜査命令は出ていませんからといい、ウォーフに見せてもいいかと頼むチュポック。隠すことでもあるのかという。挑発に乗るなと耳打ちするシスコに、ウォーフは隠すものなどありませんという。ウォーフは構わないといった。チュポックはダックスに、トンヴェイの戦い※7というホロスイートのプログラムを知っているか尋ねる。ウォーフがエンタープライズから持ってきたプログラムの一つですというダックス。クリンゴンの歴史的な戦いをそのまま再現したもので、ソンペック※8皇帝に率いられた1万人の戦士がトンヴェイという町を征服した。栄光ある戦いです、ウォーフがこのプログラムをする時どの人物になっていましたと聞くチュポック。ダックスはソンペックですと答える。でしょうな、征服者でありクリンゴンの誇る英雄ですとチュポックはいう。ソンペックがトンヴェイの町を征服した時、最後に下す命令はと聞く。ダックスはしばらく黙り、ウォーフの方を見た。お答えくださいとチュポックにいわれ、ダックスは町を焼き払い、市民は一人残らず殺せということをいった。兵士だけでなく、町の人々までをもですかというチュポック。民間人も、女性も、子供もだ。ではウォーフはこのプログラムで最後の命令を出しましたかとチュポックは聞く。それとこれとは話が違います、シミュレーションですというダックスに、質問に答えてくださいというチュポック。※9ダックスはあのプログラムを終わらすにはその命令を出さないと終わらないという。タララにイエスかノーで欲しいだけなのですというチュポック。タララにイエスかノーかといわれ、ダックスは仕方なくイエスですと言った。思った通りです、ウォーフはクリンゴン戦士であり艦隊士官と同じ道徳精神はもちあわせていないというチュポック。我々と同じ殺人者だ、羊の群れのオオカミだという。異議を訴えるシスコ。タララはチュポックに言葉を慎むように言う。この証人には後一つだけ聞きたいことがある、ウォーフがこのプログラムを最後に使ったのはいつですかと聞くチュポック。ダックスは受け取ったパッドを操作し、今回の任務に出かける前日ですといった。前日ですか、任務の前の日とはとチュポックはいう。そして質問を終えた。
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※2: トゥララ T'Lara (デボラ・ストラング Deborah Strang) ヴァルカン人。4つ星なので階級は大将
※3: Ch'Pok (ロン・カナダ Ron Canada TNG第113話 "The Masterpiece Society" 「遺伝子操作惑星」のマーチン・ベンベック (Martin Benbeck) 役)
※4: ディファイアントは確かに戦艦ではありますが、starship を相変わらず戦艦と訳しています。後にも同じ間違いがあります
※5: Pentath system
※6: これ以降、回想シーン内で述べる個所があるためこのように色を変えます
※7: The Battle of Tong Vey
※8: Sompek
※9: この時以降のシスコの階級章に注目。なぜか星3つの中佐のものになっています
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