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ディープスペースナイン エピソードガイド
第89話「選ばれし者の困惑」
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・イントロダクション
「ブリテンの戦い」の格好※1をしたオブライエンが、ベシアと一緒に自室に戻ってくる。部屋の中はいろいろな機械でごった返している。片づけたといっただろ、ケイコの乗ったシャトルが着くのにというベシア。ホロスイートで遊びすぎたなというと、祖国の危機を放っておけるかというオブライエン。ベシアは片づけるのはもったいない気もするという。同意するオブライエン。男やもめで1年も暮らした記念だものなというベシア。こんな芸術をばらすのは惜しいという。でも片づけなきゃ、俺こそケイコにばらされてしまうというオブライエン。ベシアも手伝う。
シャトルが到着した。エアロックで待つオブライエン。パパと呼び、モリー※2がやってきた。おかえりと抱き上げ、キスをするオブライエン。続けてケイコ※3もきて、キスをする。家から離れてみて家の良さがわかったというケイコ。もう二度と離れたくないよというオブライエン。モリーはオブライエンに、弟ができたという。この子かいと持っている人形を見るオブライエン。モリーは違う、お腹の中とケイコを指差した。驚いたと聞くケイコ。オブライエンは信じられない。もちろん喜んでくれるでしょ、そろそろ2人目が欲しいと話し合っていたしというケイコ。オブライエンはこの前帰って来た時は1泊だったろ、正直一晩でできちゃうなんて考えてなかったという。ケイコは今回はラッキーだったのよという。そのようだねとオブライエンはいった。
ヴェデク・ポルタ※4とベイジョー人の男女が司令室にやってきた。キラが声をかける。神殿にいない時はここにいるのかというポルタ。実にすばらしいという。そんなに珍しいですかとキラが聞くと、選ばれし者に祝福をお願いする以外は年老いた僧侶には縁のない場所だという。キラは今なら大丈夫ですという。おてまを取らせてすみませんという女性※5
ルビコンを使えばいいだろうとダックスと話しているシスコ。キラが来て、ポルタと新婚の夫婦が祝福を受けに来ていることを告げる。通すように言うシスコ。ちゃんと覚えてると聞くダックス。祝福の文句か、何とかなというシスコ。お会いできて光栄ですという女性。2人に手をつながせ、ベイジョー語で祝福を行うシスコ。夫婦は喜び、部屋を出ていった。随分とベイジョー語がお上手になられたというポルタ。そうか、ならいいがというシスコ。キラとポルタは出て行く。ほっとするシスコに、選ばれし者ってそんなに大変と聞くダックス。式典に出たり祝福を与えたりするだけじゃないという。大変じゃないが信仰の対象として崇められるのはねというシスコ。楽しそうじゃないというダックス。そこへキラから呼び出しがあり、何かがワームホールから出てくるという。
それは灯台船※6だった。センサーにはワームホールに入った記録はないのにというキラ。ダックスによると300年ほど前のものだという。ベイジョー人の生命反応がある。呼びかけても応答はなく、負傷しているのかもしれない。シスコは牽引して乗員を医療室に直接転送するように命じた。キラと共にターボリフトに乗る。
ベッドにはベイジョー人の男※7がいた。少しボーッとしているというベシア。名乗り、キラを紹介するシスコ。キラがあなたは誰と聞くと、私は選ばれし者ですといった。

※1: DS9第83話 "Homefront" 「地球戒厳令(前)」より。ホロスイートのプログラム

※2: モリー・オブライエン Molly O'Brien DS9第56話 "Fascination" 「恋の感謝祭」以来の登場

※3: ケイコ・オブライエン Keiko O'Brien 同じく "Fascination" より

※4: Vedek Porta (ロバート・シモンズ Robert Symonds)

※5: 名前は Ensign Latara (Grace Zandarski)

※6: DS9第68話 "Explorers" 「夢の古代船」でシスコが復元した、ベイジョーソーラーセール船。lightship と言っています

※7: (リチャード・リベルティーニ Richard Libertini)


・本編
ベイジョーへ押し戻されたんですという男。船がイオンストームに巻き込まれて壊れ、隔壁から梁が落ちて肩に突き刺さったと指差す。このまま独りで死ぬのかと考えていたら不思議な入り口が開いたという男。最初は恐怖に震えたが、すぐに預言者たちが聖なる神殿の門を開いて呼んでいるとわかったという。預言者たちは皆おじや弟といった身内の姿をしていた、だから会話ができたという。話したんですかとシスコが聞くと、話さずとも会話がわかるようでしたという男。至福の極みでした、怪我も治してくれたという。光があふれ命を救われた。シスコがベイジョーを出発したのはいつですと聞く。5、6日前だと思いますと答える。何年ですかと聞くと、9174年という。キラは今から200年前だという。では妻も、両親も死んだのかと悲しむ男。ベシアは子孫に連絡して生きていることを連絡しましょう、お名前はという。男はアコレム・ラーン※8と名乗り、子孫はいないはずですという。弟は去年死んだし、妻との間に子はいないという。キラはアコレムという名を聞き、詩人のと聞く。そうですと答えるアコレム。預言者の声※9、キタラの歌※10をかいたと尋ねるキラ。どちらもアコレムのものだった。あなたはベイジョーの誇りです、学校に行っている子は誰でもガウダールの嘆き※11を暗唱できるという。私の詩が読まれているとは、おそらく預言者たちのご意志でしょうというアコレム。なぜ預言者たちが私をお選びになったかはわからないが、理由があるはずですという。シスコはこの200年間は激動の歴史だった、少しキラから教えてもらうのがいいでしょうという。キラという名を聞き、あなたの家のデジャーラ※12は芸術家でしょうというアコレム。デジャーラと聞くベシア。それは昔ベイジョーにあったカースト制度で、どんな家に生まれるかによって職業も決まっていたと説明するキラ。今はないんですかと聞くアコレム。カーデシアに占領されたので、兵士として敵と戦うために廃止せざるを得なかった。アコレムはもちろんカーデシアが占領したことも知らない。50年以上というキラ。驚いたな、失踪していた間に大変なことにというアコレム。
選ばれし者についての預言には、私よりアコレムに当てはまる記述が多いとダックスにいうシスコ。読んだ範囲では選ばれし者は預言者たちの下に呼び寄せられ、預言者たちは生き返らせるとあるという。私は生き返ってはいないというシスコ。でも絶望していたあなたに希望を与えたわというダックス。シスコはそれはそうだが、ワームホールを見つけたのは私ではなく200年前のアコレムの方が先だという。預言なんか信じていなんじゃなかったの、じゃあなぜ預言をたてに自分の立場を否定するわけと聞くダックス。選ばれし者の地位を放棄する正当な理由が欲しいからだろうというシスコ。選ばれし者からは降りるつもりなのねとダックスが聞くと、私よりアコレムの方がふさわしいというシスコ。ベイジョー人で詩人で失業中で、それに宇宙艦隊も喜ぶという。聖者として奉られることを嫌がっていたからなという。ベイジョーの人たちはアコレムを選ばれし者として受け入れてくれるかしらというダックス。シスコはポルタによれば、自発的に称号を譲れば問題はないという。自由になるのね、どんな気持ちと尋ねるダックス。いいね、式典も祝福も預言を気にすることもない、ただの艦隊士官に戻れるんだというシスコ。心配の種はドミニオンとクリンゴン人とマキだ、バカンスに出た気持ちだといった。
プロムナードを歩いていたオブライエンをベシアが呼び止める。おめでとうパパというベシア。聞いたのかというオブライエンに、大ニュースじゃないかというベシア。早く家に帰らないといけないというオブライエン。ベシアは1杯くらいいいじゃないかといい、クワークにオブライエンに子供ができたんだという。地球人は女がはらむんじゃないのというクワーク。妻のケイコに子供ができたんだというオブライエン。ノーグが生まれた時を思い出すなあ、それはもう可愛いもので赤ん坊は何でも耳に詰め込もうとするという。よく本を読んでやったもんだ、たとえば「良い子の皆さん、金儲けそれこそが人生です」※13というクワーク。オブライエンにビールを出す。2児の父になるわけだ、立派なもんだというベシア。信じられないというオブライエンに、2人目の方が楽だっていうぞ、おむつ替えや夜泣きなど、経験済みだからというベシア。乾杯する。元気がないなというベシアに、そうでもない幸せさというオブライエン。そこへウォーフがやってくるなり、クワークはケイコに赤ん坊が生まれることを話す。今かというウォーフに、まだ7ヶ月だというオブライエン。モリーをウォーフが取り上げたことを話す。エンタープライズがやられてウォーフと閉じ込められたときに、陣痛が来てというオブライエン※14。それならケイコが出産する時には立ち会ってもらおうというベシア。ウォーフは残念だ、予定日の頃にはステーションにいないという。地球にいる両親を訪ねるというウォーフ。オブライエンとベシアは疑わしい顔をする。では失礼といって歩いていくウォーフ。2人は笑い、ベシアはケイコの出産を楽しみにしているのは君よりウォーフだなといった。正直言ってモリーも手を離れて、またケイコと二人きりの時間が取れると思っていたんだというオブライエン。一緒に夜でかけるとか、もちろん2人目の子供に恵まれたのはものすごく嬉しいがという。ダーツでもやろうというが、家に帰るんだろとベシアにいわれて、そうだといいオブライエンは出ていった。
プロムナードには大勢のベイジョー人が集まってきている。オドーが2階にいるキラに、アコレムの演説を聞きにと尋ねる。そうよ、選ばれし者の初めての演説だものというキラ。アコレムは偉大だ、預言者と200年の時を過ごし、今また復活したのだからという。昨日まではシスコ大佐を選ばれし者だと信じていたでしょうというオドー。大佐は自分から身を引いたんだしというキラに、じゃあ偽者だったというわけですかと尋ねるオドー。いいえと答えるキラ。どちらかは偽者でしょというオドー。選ばれし者に対するキラの考え方は矛盾していませんかという。矛盾していないというキラ。理解できませんねというオドーに、それが信仰なのよ、信仰のない人にはわからなくても、ある人には何も理屈は必要ないというキラ。
ポルタに続いてアコレムが神殿から出てきた。拍手する観衆。アコレムは預言者たちの下から祖国帰ってきて以来、ずっと同じことを考えてきたと話す。こんなに長い時間を経て、なぜベイジョーに帰されたのか答えは出たという。その様子をシスコもモニターで見ている。200年間ベイジョーは苦しみをなめてきた、カーデシアによる占領です、そのためベイジョーは預言者たちが定めた道を踏み外してしまったという。デジャーラを廃止してしまったのですというアコレム。芸術家が軍人になったり、商人が僧侶になったり、農民が政治家になったりしている、戦争の傷痕を癒すためには、デジャーラの復活が必要ですと説く。預言者が定めたもうた道を戻るべきですという。農民は畑を耕すといった、一人一人が定められた道に戻ればベイジョーは再び繁栄し、私の記憶にある豊かな国に戻るでしょうといった。占領などなかったように、デジャーラへ回帰することにより、占領の傷は永遠に消えますといった。ベイジョー人からは拍手が起こるが、同意しない者もいた。キラもしばらくして拍手をする。司令官室のシスコは険しい顔をしていた。

※8: Akorem Laan

※9: The Call of the Prophets

※10: Kitara's Song

※11: Gaudaal's Lament

※12: D'jarra

※13: 原語では "See Brak acquire. Acquire, Brak. Acquire!" Brak は登場人物

※14: TNG第105話 "Disaster" 「エンタープライズ・パニック」より


シスコはアコレム、ポルタと話している。ベイジョーへ発つ前に話したかった、あなたの演説には驚いたというシスコ。ベイジョーの社会を根底から覆す提案をするとは思わなかったという。だからこそ私はこの時代に送られたというアコレム。選ばれし者でも国民の中には戸惑いを覚えるものもいる、一夜では変革は行かないというポルタ。シスコはシャカール首相に農民に戻るように強制することはしませんねという。そうはしませんが、次の選挙では農民に政治家をやらせようとする国民はいないというアコレム。デジャーラ制度を立法化し、法の強制力を持って復活させるというポルタ。拒否する者がいたらとシスコが聞くと、秩序を乱す者には国外追放などの罰を与えるというアコレム。シスコは階級に基づく差別は惑星連邦の規約に違反している、もしベイジョーがデジャーラに戻れば惑星連邦への加盟申請は却下されるでしょうという。カイ・ウィンと話し合いました、だがそれが預言者たちのご意志なら仕方ないとアコレムはいった。ウィンならそういうと思ったというシスコ。シャトルが出る時間だというアコレムに、シスコは艦隊士官としては誓いに縛られ、内政問題に干渉することはできないという。ベイジョーの友人として申し上げたい、連邦加盟を取りやめるのは大きな間違いだといった。アコレムはシスコの耳元を触り、あなたは強い人だ、カイ・オパカがあなたを選ばれし者と思い込み、ウィンも恐れるわけだという。さようなら大佐、さようなら選ばれしお方と言う2人。
シスコはテーブルに独りで座っている。キラはレプリケーターから飲み物を取り出し、空いている席を探す。シスコがおはようと声をかけ、今日は混んでいるから座れそうにないというキラ。その時一人の女性※15がどうぞと席を立った。キラはまだ残っていますよというが、ほかの席を探すという。あなたはイヴォーラ※16、私はテナリ※17ですといい、女性は離れて行った。今朝はずっとこうだ、高い位のデジャーラが来ると誰かが席を立つというシスコ。シスコの横に座り、居心地が悪いけど慣れなくてはと言うキラ。シスコは大尉に昇進した時も、友人たちに敬語を使われ慣れるのにしばらくかかったという。それとは違う、昇進は勝ち取ったものだが私は何もしていないと話すキラ。デジャーラ復活を歓迎しているわけではないんだねと聞くシスコ。キラは確かに嬉しいことではない、今回の復活は困難なことだという。でも私たちは選ばれし者に従いますという。それがたとえ惑星連邦加盟を閉ざすことになってもと言うシスコに、キラは選ばれし者についていくだけといった。シスコが選ばれし者だった時、シスコが望めば何だってしようと努力したでしょう、理不尽なことでもと言うキラ。何も言わないシスコ。キラはお先に失礼しますといい、歩いていった。
シスコはベッドでうなされていた。汗をかき飛び起きる。
気分転換に誰もいないプロムナードを歩くことにした。ふと気配を感じて振り返るシスコ。だが何もなくまた歩き始める。すると急に回りが暗くなり、明かりがすべて消えた。あなたは誰と呼びかける者がいる。カイ・オパカ※18だ。あなたは誰と繰り返す。何をしているんです、どうやってここへというシスコ。あなたは何者と依然続けるオパカに知っているでしょうというシスコ。オパカは自分が誰か知らない者をなぜ私が知るのと言う。そしてオパカはかき消えてしまった。周りは元の明るさに戻った。

※15: (Laura Jane Salvato) Gia という名前ですがセリフ中には出てきません

※16: Ih'valla

※17: te'nari

※18: Kai Opaka (カミーユ・サヴィオラ Camille Saviola) DS9第44話 "The Collaborator" 「密告者」以来の登場


ベシアの診察によると、シスコが見たものはベイジョー人の言う「発光体の影」※19だという。発光体と向き合った者の中に、かなり後になってから幻覚を見る人がいるのだ。引き金になるのは過度のニューロペプチドで、幻覚を見ないようにする薬もあるというベシア。でも薬を使えば永久にわからないという。発光体の影を見るのは、その人が預言者が伝えようとしたことを無視した時だと言われているという。無視したことに心当たりはと聞く。あるさ、でも私の頭にはニューロペプチドが多すぎると笑うシスコ。医療室を出ていった。
キラは自室で粘土を使い、鳥のような物を作っている。しかしうまくできずに固まりに戻してしまった。ほかにも机の上にはまだ数個の粘土細工がある。キラは悩んでいた。
初心者に鳥は難し過ぎるだろう、もっと簡単な物から始めるといいと勧めるポルタ。琴を鳴らし、ベイジョー人たちにお祈りの時間のため神殿に入るように言う。私には芸術の才能はないというキラに、努力が足りないのだろうというポルタ。徹夜でがんばったのにできたのは鳥には見えない物ばかりだったというキラ。君は制服を着ている、軍人に未練がある証拠だというポルタ。選ばれし者のいう通りにしなさい、全身全霊でデジャーラを追求し全てを預言者に委ねれば、導き道を教えてくれるという。そうすれば無限の喜びを味わうことができるのだとポルタはいう。
オブライエンはモリーとダーツのゲームをしている。私の勝ちと聞くモリーに、まだ練習だ、ゲームは後だというオブライエン。そこへケイコが怪訝な顔をしてオブライエンのホロスイート用の服を持ってきた。僕のだ、ホロスイートでしか着ないよというオブライエン。ジュリアンも持っているんでしょう、どうせ2人でホロスイートに入り浸っていたんでしょうというケイコ。その方が安心だろ、トラブルを起こすよりというオブライエン。ケイコは笑い、今度ベシアにあったらお礼を言わないとという。2人は口付けを交わした。双子を作ろうかというオブライエン。もう双子にはならないわ、もっと生物学を勉強なさいというケイコ。モリーが自分の描いたウマの絵を持ってきた。オブライエンはよく描けてる、名前はと聞くがまだ名無しというモリー。ケイコは分類しなくちゃならないサンプルが山ほどあるという。オブライエンはモリーは自分が見ておくからいいよという。やっぱり家はいいわねと喜ぶケイコ。オブライエンはまたダーツを教えようとするが、モリーはやりたがらない。色塗りしたいなあとオブライエンが言っても、だめ私のというモリー。ケイコと顔を見合わせた。そしてオブライエンは、ホロスイート用の服をしばらく見つめるのだった。
4交代勤務にしてからミスも少なくなった、食事もちゃんと取れるのでとシスコに報告するキラ。では4交代を採用だ、ほかにはというシスコ。キラは2、3日の間にジャタラン少佐※20に会って頂きたいという。いいともといい、パッドを放り投げるシスコ。どうかしたんですかと聞くキラ。シスコは謝り、さっきベイジョー情勢の報告に応えて、艦隊司令部から声明が発表されたという。しかし言わんとすることは明白だ、私を派遣したのはベイジョーを連邦に加盟させるためだったというシスコ。今となってはその可能性は低い、つまり与えられた任務に失敗したというわけだという。そんなひどい、シスコのせいじゃないというキラ。しかし皮肉だな、艦隊は私が信仰の対象なのを嫌っていたのにというシスコ。キラはシャカール首相に頼んで宇宙艦隊に釈明を出してもらいましょうかという。ありがとう、でもいいんだ、そのことじゃないというシスコ。自責の念が拭えないという。キラは首を振る。ところでジャタランと会う用件は何かなと聞くシスコ。キラは別の時にでもというが、何かあったのかというシスコ。キラはジャタランなら副官として勤まるといった。つまり後任が決まり次第キラは辞めるつもりなのだ。辞任の理由はデジャーラかというシスコ。私が生まれ育ったダコール地区には芸術家がたくさん住んでいる、友人に弟子にしてもらうつもりだというキラ。シスコにだけは迷惑をかけたくなかったが、こうするしかないと涙を浮かべる。もしもジャタラン少佐がお気に召さなかったらほかにも大勢候補はいるという。シスコは副官の代わりはすぐに見つかるだろうが、君の代わりになると、と言った。部屋を出て行くキラ。

※19: Orb shadow

※20: Major Jatarn


コンピューターに時間を尋ねるオブライエン。19時21分だ。ベシアの位置を尋ねると、クワークのバーにいるという答えが返ってきた。
ベシアはモーンとダーツの勝負をしていた。オブライエンが来た。モーンにちょっと失礼といい、オブライエンのところに行くベシア。元気か、生きてるよと言葉を交わす。家に帰る途中飲んでいこうと思ってというオブライエン。久しぶりだなというベシア。モーンとダーツをやってるのか、家ではモリー相手にやっているというオブライエン。モーンは結構上手だよというベシアに、モリーもだというオブライエン。でも違うんだよなと2人は声を合わせて言った。出されたビールを飲む。モリーは子供だから磁石のダーツなんだとオブライエンは言う。モーンは5歩離れたらダーツをイリディアンヤク※21に当てることもできないというベシア。君が懐かしい、最高のライバルだったという2人。クワークがやってきて、遅刻だという。何にとオブライエンが聞くと、木曜日でしょ、ホロスイートの予約が入っているというクワーク。キャンセルしたんじゃというオブライエンに、ベシアはもしかしてと思ってという。だめだめ、家に帰らなきゃというオブライエン。クワークはベシアにどうします、英国空軍が待っていますよと聞く。キャンセルした時の規則では、払い戻しはなしだという。行ってこいよ、モーンはダーツより戦闘機※22の操縦の才能があるぞというオブライエン。だがモーンが相棒じゃねというベシア。オブライエンはそりゃそうだ、モーンはきっとイギリスも知らないだろうという。笑う2人。じゃあまた、といいオブライエンは帰っていった。ベシアも離れ、ため息をつくクワーク。
シスコにオドーから通信が入った。すぐにプロムナードに来るように、人が殺されましたと伝える。
プロムナードにはベイジョー僧侶が倒れていた。テラスから落ち、その衝撃で首の骨が折れたというオドー。見ていた人はというシスコに、ポルタが私がという。事故だったんですかというオドーに、私が突き落としたとポルタはいった。ざわめきが起こる。この男はイムッタ※23といって、望ましくない地位にあったという。でも今は聖職者ですというキラ。聖職者にはなれないデジャーラだ、だから辞めろといったが拒否したというポルタ。デジャーラを理由に人を殺したのかというシスコ。ポルタはヴェデクが選ばれし者の意に逆らうようでは、民に印がつきませんという。シスコはポルタを連行するように命じた。
殺人が起きたのは残念ですが、変革はた易くない、それが示された道なら行くしかないというアコレム。デジャーラを復活させれば道はもっと困難になる、今日起きたことは始まりに過ぎませんというシスコ。アコレムは私のすることは預言者たちのご意志ですという。なぜそう言いきれますというシスコに、選ばれし者ですからというアコレム。こんなことなら選ばれし者の地位を譲るのではなかったというシスコ。でもあなたは喜んで譲られた、それは責任を放棄したかったからでしょうとアコレムは言う。今なら責任を引き受けますとシスコは言った。私と争う気ですかというアコレムに、それしかなさそうなのでねというシスコ。しかし国民にどちらかを選べといったら大混乱だというアコレム。シスコはもちろんそんな事態は望んでいない。アコレムは私を選ぶに決まっている、なぜなら古文書に書かれていると強気だ。最初にワームホールを発見して預言者に会ったのは私だ、命も助けられたという。争うつもりはありませんというシスコ。決める方法はただ一つ、2人でワームホールに行き、預言者たちに聞くのですと言った。

※21: Yridian yak イリディアンは TNG 第142・143話 "Birthright, Part I and II" 「バースライト(前)(後)」などに登場した、商人の種族。この部分は単に「モリーと実力は似たようなもんだよ」としか訳されていません

※22: Spitfire

※23: Imutta


小型艇がワームホールに入る。エンジン出力を半減させるシスコ。それからというアコレムに、待つんですといい腕を組むシスコ。アコレムは瞑想する。
しばらくすると、シスコたちは光に包まれた。キラ、ベシアの姿をした預言者が現れる。シスコね、こっちは怪我をした方だという預言者たち。古文書にある通り命を助けてくださったというアコレム。ポルタの姿の預言者になぜ戻ってきたと聞かれ、シスコに証明するためですという。お願いです、私が選ばれし者であるということをおっしゃってくださいというアコレム。聖なる神殿を見つけたのは私で、シスコが預言者に会ったのはもっと後ですという。だが時間の概念がない預言者たちには、初めも後も同じことだった。ベイジョーの人々は私たちのどちらかを選ぶことを望んでいますというシスコ。われらは、ベイジョーに属するというオドーの姿の預言者。それからというシスコに、直線的だ、だから限界があるという。理解できるとはおもえないといわれ、しかしぜひ理解したいんです、アコレムを助けたのはなぜかを尋ねるシスコ。怪我をしていたからかくまったという預言者。そうすれば占領に遭わず、ベイジョーにデジャーラを復活させられるからでしょうとアコレムは言う。それが望みなんですかと聞くシスコ。預言者はデジャーラはシスコが過去と呼んでいるものの一部だ、過去は二度とよみがえらないものだとシスコが言っていたという。デジャーラが過去のものなら、なぜ私を未来に送られたんですと聞くアコレム。預言者はシスコのためだと言った。私のというシスコ。アコレムは彼が選ばれし者なのかという。彼はシスコだからという預言者。アコレムは間違いを認め、死なせて欲しいという。死なせてあげましょう、その男を見つけた瞬間においてくればいいと話す預言者。だがシスコは傷の癒えた今の状態で、彼の時代に戻してあげてくださいという。そうすれば無事にベイジョーに戻れるはずですという。今までの記憶は一切消去されるという預言者。アコレムはまた妻や家族に会えますといい、お願いしますと言った。そしてアコレムは消えた。なぜあなたは帰らないのという声がする。オパカの姿をしている。まだ聞きたいことがあるんですというシスコに、我々はベイジョーに属するという預言者。どういう意味ですというシスコ。預言者はあなたもベイジョーに属すると言った。シスコは再び小型艇に戻された。アコレムはいなかった。
部屋で仕事を続けるケイコのところにオブライエンが入ってくる。ジェイクがくれた本が気に入ったみたいだ、眠る前に3回も読まされちゃったよという。ため息をつくオブライエン。ケイコはまだ仕事が終わらないという。本を読むというオブライエンに、付き合わなくてもいいのよというケイコ。オブライエンは大丈夫だといってパッドを手に取った。ケイコは絶対言わないと約束したが、ベシアのことだという。姿を見かけて声をかけたら元気がない、あなたと遊べなくてがっかりしちゃったみたいというケイコ。だよな、独り暮らしだから寂しいよなというオブライエン。ケイコは会いに行って相手をしてあげたらと勧める。しおれてたと聞くオブライエンに、とってもと答えるケイコ。1時間くらい行ってくるかなというオブライエンに2時間でもというケイコ。部屋を出際にどうもありがとうというオブライエン。ケイコはウインクをした。急いでいくオブライエン。ケイコはそれからベシアに通信を入れ、オブライエンのことだという。誰にも言わないって約束したんだけど最近元気がなくってというケイコ。ベシアはそう、と言った。
パッドを読んでいるシスコのテーブルに、いきなりキラが粘土細工を置いた。キラ・ネリス制作の彫刻、そのうち価値が出るかもという。作品数が少ないしなと笑うシスコ。昨日の演説は素晴らしかった、これで国民も安心するというキラ。アコレムがどうなったか知って欲しかった、それに預言者はデジャーラに戻れとはいってなかったというシスコ。キラはみんな内心ほっとしたと思うという。そこへベシアとオブライエンがクロンターフの戦いの格好をし、君が悪いんだ、自業自得だと言い合いながら歩いていった。笑うキラとシスコ。シスコはアコレムの詩である預言者の声を読んでいた。キラは私も大好きです、でも未完成なんですよねという。シスコはいいやといい、パッドを手渡した。アコレムの詩は完成している。この前この詩を読んだ時は途中で終わっていた、歴史が変わったのになぜ前のことまで覚えているんでしょうというキラ。預言者のなさることは神秘だからねと笑うシスコ。そこへベイジョー人の親子がやってきた。明日の夜お祈りの後ベイジョーの神殿でイタヌの儀式※24を行うという。娘が14歳になるのだ。おめでとうと喜ぶシスコ。できれば出席して頂き、祝福して頂けないかと頼む父親※25。シスコは喜んでと言った。ありがとうございますといい歩いていく2人。シスコはこちらこそといって、笑顔で見送る。キラも同じく笑顔だった。

※24: ih'tanu ceremony

※25: 名前は Onara (David Carpenter)


・感想
シスコは結局「200年前も今も同じ」という預言者の力により、以前は嫌がっていた選ばれし者としての任務を受け入れるようになりました。このごろ本当に登場人物の心理的変化が描かれることが多いですね。サブストーリーはケイコが帰ってきて、ホロスイートなどで遊べなくなってしまったオブライエンとベシアの姿がコミカルです。


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