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ディープスペースナイン エピソードガイド
第83話「地球戒厳令」(前)
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・イントロダクション
ワームホールが開いた。ダックスによるとこの2時間で7回も開いたり閉じたりを繰り返しているという。規則性もなく、観測数値も正常で船が出てくる様子もない。ベイジョー人の言う通り預言者のメッセージかもしれないというダックス。私にはお告げはないというシスコ。ダックスは髭を生やしたからわからなくなったのかもという。科学的な説明がつくはずだとシスコはいう。ダックスはオドーがエアロックから出てくるのを見て、来たきたといった。どうかしたのかと聞くシスコに、いいえ別にと答える。そこへシスコにウォーフから通信が入る。艦隊保安部から最優先メッセージが届いているという。すぐにシスコは向かった。
クワークはモーンに面白い話をしたが、モーンは落ちを理解できない。オドーがクワークを呼んだ。ダックスはどこにいると聞く。来てません、ほかにご用はございませんかというクワーク。オドーは随分楽しそうだな、ダックスと示し合わせてやったんだろうという。とぼけるクワークに部屋の家具を動かしただろうという。誰かが動かしただけかと聞くクワーク。ダックス少佐だ、この半年で4回にもなるという。オドーが液体に戻っている間に忍び込み、部屋のものを勝手に動かしていくという。右に3センチや、左に4センチずれているものがあると怒るオドー。それが気になるのかというクワーク。家具の配置は考え抜いて決めた、ダックスはそれを知っていながらいたずら心をおこして部屋を荒らしていくというオドー。3センチくらい構わないだろうというクワークに、私は構うんだ、ヒューマノイド生命体は秩序をわかっていないという。しかもダックスは一番人間的な人間だからというオドー。シスコからの連絡で、至急司令室に来るように言う。ダックスに会ったらよろしく言っておくようにというクワーク。オドーが立ち去った後、一人で笑うクワーク。
司令室。会議※1の出席者は、ソリアン※2のオブザーバーを含めて27人だと言う。信じられないというオブライエン。連邦大統領※3のジャレシュ・インヨー※4は、全惑星に喪に服すように声明を出した。オドーが入ってくる。2日前に行われた、惑星連邦とロミュラン帝国の重要な外交会議の模様が、10分前に送られて来たというウォーフ。再生をコンピューターに命じる。宇宙暦49170.65の模様だ。多数の人がいるなか、突然閃光が走り映像は終わった。爆弾と驚くオドー。未知の物質で作られていると言うウォーフ。このような事件は地球ではもう100年以上も発生していない。キラに言われ、10分の1の速度でもう一度再生させるウォーフ。部屋においてある壷を拡大するように言う。その壷は爆発の瞬間、形を変えていた。可変種だったのだ。爆発後からは可変種の痕跡は見つからなかったと言うウォーフ。シスコは言った。「そうならないように願っていたが、どうやらついに、可変種が地球に侵入したらしい。」

※1: 会議の名前は Antwerp Conference (アントワープ会議)

※2: Tholians TOS第64話 "The Tholian Web" 「異次元空間に入ったカーク船長の危機」に登場した非ヒューマノイド型種族

※3: Federation President 連邦評議会議長のこと。かつてST4 "The Voyage Home" 「故郷への長い道」、ST6 "The Undiscovered Country" 「未知の世界」にもそれぞれ別の人が登場しました。(それぞれ Robert EllensteinKurtwood Smith が演じました)

※4: ジャレシュ・インヨ Jaresh-Inyo


・本編
ダックスはオドーに言われ、家具を元の位置に戻している。まだ左に1センチずれているというオドー。ダックスにラコタ※5に乗船しないのと聞かれ、乗船までは1時間ある、その間に部屋を元どおりにしてもらうというオドー。留守の間に部屋に入らないように約束してもらいたいという。ダックスは約束し、地球に行く期間を尋ねる。まだわかりません、ただの時間の無駄で終わらなければいいというオドー。創設者について教えられることは、シスコとオドーが報告した以外は何もないという。艦隊はあなたの助言が欲しいでしょうというダックス。家具の位置の厳しいチェックはまだ続く。
シスコは亜空間通信で、父のジョセフ・シスコ※6と話している。畑にできた大きなナスの話をするジョセフ。シスコはジュディス※7はまだレストランで働いているのかいと聞く。ポートランドへ帰した、いつまでも親の手伝いはさせられない、それにジュディスのジャンバラヤ※8はいつも唐辛子が足りないという。シスコは母さんと同じだなと笑った。つまり料理の才能がないというジョセフ。帰ってくるのが楽しみだ、ジェイクもだろうと尋ねる。帰るといっても仕事だ、サンフランシスコの艦隊司令部※9につめるんだというシスコ。ディナーはニューオーリンズ※10に帰らないといけない、レプリケーターの料理を食わせるわけにはいかないというジョセフ。あんなものは料理のうちには入らないという。同感だ、ところで体の具合はどうと聞くシスコ。またその話かというジョセフ。シスコはただ聞いているだけだ、新しい大動脈※11の調子はという。医者は医学の奇跡だといっている、このままだと1,2年で親からもらった内臓はなくなってしまうとジョセフは言う。自分の症例で論文を書くといっているそうだ。体の調子はいいんだねというシスコ。パーティーで女の子を紹介してもらえれば見せてやるというジョセフ。地球についたらすぐに連絡してくれよとジョセフが言い、シスコも会えるのを楽しみにしているというと通信を終えた。ジェイクが部屋に帰って来る。手にはグローブをはめている。滞在はシスコだといってくれたと聞くジェイク。はっきりとは言わなかったというシスコ。おじいちゃんの家に泊めさせられたら厨房でこき使われる、1日9時間も包丁を握らされるという。お前も子供じゃない、いまさら野菜を刻めとは言わないだろう、きっとボーイをやらされるというシスコ。ジェイクはうなだれた。笑うシスコ。
オブライエンとベシアは、20世紀のイギリス空軍※12の格好をしてクワークの店にやってきた。クワークをバーテンと呼び、スコッチ※13と「苦いやつ」※14を注文する。酒を飲んでいる間に敵が戻ってきて、緑の祖国を蹂躪したらどうするんですと聞くクワーク。出陣の儀式だ、イギリス海峡に散ったクライブに乾杯と言い、一気に飲み干す2人。飲み終え、グラスを投げようとするのを止めるクワーク。2人は静かにカウンターに置いた。大軍に立ち向かう覚悟はと尋ねるオブライエン。だがベシアは正直言って気分が乗らないという。クライブはホロスイートのキャラクターでしょうというクワーク。2人は地球が気になるのだ。お前にはわからないだろうが、大切な場所が危機に瀕していて何かしたいのにできないと、フラストレーションが溜まるというオブライエン。クワークはその気持ちは分かるという。昔フェレンギを通貨危機※15が襲ったとき、クワークは長距離輸送船のコックをしていたことを話す。心の苦しみといったらなかった、故郷ではすさまじいインフレと通貨切り下げの火の手が上がっているのに何もできなかったという。銀行の口座をなんとかしなくてはいけないのに、はるか彼方でやきもきしているなんて切なかったというクワーク。同じでしょうというが、オブライエンは何だか慰めてもらっている気持ちにはなれないといった。地球人というのは、いつも自分のことしか考えていないというクワーク。
通りかかったオドーを呼び止めるオブライエン。2人の服を見て、英国空軍はまだ勝利を収めていないようですねというオドー。君のスピットファイヤーも待っているというベシア。オブライエンは暇があったら、ダブリンの親戚を訪ねてくれるようにオドーに頼む。時間があればというオドー。ベシアにも聞くオドーだが、身内はいないからというベシア。一緒に行きたかったという。オドーも2人が来てくれれば助かる、流動体生物の私は地球では歓迎されないでしょうという。君のせいじゃないというオブライエン。そうですかねえといい、ラコタに乗り組むためにエアロックに入るオドー。ベシアは幸運をという。私は運は信じない、でもお気持ちはありがたいといい奥に進むオドー。ベシアはホロスイートはまた後にしようといった。
ラコタはワープに入ったというオブライエン。ウォーフはキラにワームホールが最後に開いた時間を尋ねる。それは12時間前で、どうやら活動は収まったようだ。残念そうですねとキラに言うオブライエン。ついに預言者が姿を見せると思ったからとキラは言う。ウォーフは我々はそういう風には考えないという。クリンゴンの神は猛々しいんでしょうねというキラ。神は死んだというウォーフ。古代のクリンゴン戦士によって殺された、問題の絶えない神々だったのでねというウォーフ。キラはクリンゴンの考え方はよくわからないわという。わかりませんよ、ほっとけばいいんですというオブライエン。
宇宙艦隊司令部※16。シスコとオドーの前に、レイトン提督※17と副官のベンティーン中佐※18がやってくる。シスコ大佐かというレイトン。オキナワ※19では優秀な副官だったという。普通ですというシスコに、ベンティーンはレイトンには多くの副官がついてきたが、お褒めになるのははじめてだという。DS9の司令官に推薦してくれたのもレイトンだった。大当たりの人事だったろうというレイトン。君がオドーだねという。じろじろ見てすまない、可変種を見るのは初めてでねというレイトン。わかりませんよというベンティーン。オドーは確かに変身した可変種を見抜くのは難しいという。君たちがいれば手のうちようがあるというレイトン。どうしてもらいたいんですと聞くシスコに、ベンティーンは話を伺い、報告書に書かれたこと以外の情報を知りたいという。報告した以上に知っていることはないというオドー。シスコは話を聞くためだけに呼んだのではないんでしょうと聞く。そうだ、地球は最後の世界大戦※20以来なかった危機に瀕している、何があっても可変種を食いとめなければならないとレイトンはいう。ドミニオンについて最もよく知っているのは君だといい、レイトンはシスコを艦隊保安部の作戦責任者に任命した。おめでとうございますというベンティーン。

※5: ラコータ U.S.S. Lakota エクセルシオール級、NCC-42768

※6: Joseph Sisko (ブロック・ピーターズ Brock Peters ST4、ST6のカートライト提督 (Admiral Cartwright) 役)

※7: ジュディス・シスコ Judith Sisko 恐らくシスコの妹

※8: jambalaya DS9第46話 "The Jem'Hadar" 「新たなる脅威」など

※9: Starfleet Headquarters 本来は宇宙艦隊司令部 (Starfleet Command) の一部なので、宇宙艦隊本部と訳した方が的確かも。TMP "The Motion Picture" など

※10: aorta

※11: New Orleans DS9第75話 "The Visitor" 「父と子」など

※12: ホロスイートプラグラム、Battle of Brittain

※13: Scotch

※14: bitters

※15: Great Monetary Collapse

※16: ST6以来の登場。サンフランシスコにあり、ゴールデンゲートブリッジ (金門橋、Golden Gate Bridge) が景色に見えます。なおこのシーンからシスコはTNGで使われていた制服 (肩が黒色のタイプ) を着用しています

※17: Admiral Leyton (ロバート・フォックスワース Robert Foxworth ENT第83話 "The Forge" 「狙われた地球大使館」・第84話 "Awakening" 「陰謀の嵐」・第85話 "Kir'Shara" 「バルカンの夜明け」のヴラス (V'Las) 役。ジーン・ロッデンベリーが手がけたテレビ映画「人造人間 (アンドロイド) クエスター」(1974、製作されなかったシリーズのパイロット版) では、クエスターを演じました) 3つ星なので階級は中将

※18: Erika Benteen (スーザン・ギブニー Susan Gibney TNG第54話 "Booby Trap" 「メンサー星人の罠」などのリア・ブラームス博士 (Dr. Leah Brahms) 役) ファーストネームは脚本より

※19: U.S.S. Okinawa エクセルシオール級、NCC-13958 → 日本から来たスタートレック

※20: 第3次世界大戦 (World War III) のこと。2050年頃起こったことになっています


レストランでは、ジョセフが客に料理を振る舞っている。マスの料理を出したり、デザートにはブレッドプディングのスフレ※21以外は頼まないようにと言っている。その通り、この店のスフレは絶品ですという声。シスコだ。ジョセフはベンジャミンと呼び抱き合った。ジェイクもだ。大きくなったな、このままだとあのワニに頭をぶつけると言い店内に下げられている剥製を指差す。本当はガードマンなんでしょというジェイク。このごろはやらせていない、毎朝天井に戻すのが一苦労なんだと笑うジョセフ。ネイサンに何か出させようといい、料理を頼み席につく。
一緒に来た可変種さんはと聞くジョセフ。こういう状況だからとオドーは外には出歩かないことにしているというシスコ。当然だろう、こんなに緊迫した雰囲気はボーグの時以来だという※22。私も見てみたいが恐くもある、第一ものを食べない種族なんて信用できないというジョセフ。父さんは食べないのかいと聞くシスコ。さっき食べたんだとジョセフは言う。随分痩せたねとシスコが言うと、そう見えるかというジョセフ。ジェイクも医者から太れって言われてるはずという。言われなくても自分が一番よく知っている、どこも悪くないし健康だ、後50回は誕生日を祝うつもりだからよろしくというジョセフ。納得したかと聞かれるが、シスコは無言で料理を一口食べ、昔と変わらないなといった。わざわざ呼ぶなんて、艦隊は可変種のことを深刻に受け止めているんだなとジョセフは言う。実際深刻だというシスコ。ジョセフは地球で27人も殺されるなんて考えもしなかった、でもお前が指揮を執ってくれるなら心強いという。
その時ジェイクと呼び、ノーグが店にやってきた。アカデミーの制服を着ている。シスコにどうですかと聞く。よく似合ってるといわれ喜ぶノーグ。明日アカデミーで会う約束だったろというジェイク。食事に来たと言い、ネイサンに注文する。クリオール※23料理を好きなのかと聞くシスコ。嫌いですが、生きた地虫※24を出してくれるのはここだけだからとノーグは言う。ジョセフはメニューに加えようと思っている、もちろん生では無理だから調理してと言う。地虫は生きてうごめいているのがおいしいのにと言うノーグ。ジェイクがアカデミーはどうだいと聞く。名前はたいそうでも普通の学校だ、何とかやっていると答える。地虫はまだですかというノーグ。シスコは食べるのを止めた。
閉店の時間り、お客が帰っていく。大事にとっておいたコニャックをあけようというジョセフ。シスコと奥に入っていった。そろそろ話をしてみる気になったかいとノーグに言うジェイク。閉店まで待っていたのはルートビアーを飲むためじゃないだろうという。さすが作家の卵だ、話の種には目ざといなというノーグ。ジェイクが話したくないならいいというと、ノーグはなんでもないという。ただアカデミーは予想していたのとは違うという。士官候補生、特に上級生には冷たい人もいると話すノーグ。フェレンギ人だからと聞くジェイク。ノーグはそうではなく、同じように愚痴っているほかの候補生もいるという。特にレッド・スクワッド※25という選ばれた特別チームは話し掛けてもくれないという。1月でそんなに早く慣れるわけがない、必ずレッド・スクワッドに入れると励ますジェイク。もっと自分を売り込めばいいというジェイクに、ノーグは今でも一緒にいると楽しい男だろと聞く。そう思ってるよと答えるジェイク。
パリ※26にあるジャレシュ・インヨー大統領※27のオフィスに、レイトンとシスコが入ってくる。シスコを紹介するレイトン。経歴を見た、実に素晴らしいという大統領。シスコは持って来たかばんからパッドを取り出し、大統領に渡す。シスコが考えたドミニオン対策の方法だ。警備を増やす必要があるが、血液検査※28にフェイザー照射かという大統領。シスコはDS9では非常に有効だったという。だがここは地球だ、軍事的施設じゃないという大統領。レイトンはそれがゆえに警備体制は手薄ですという。大統領は対策はしなければならないが、一般市民を混乱させたくないという。宇宙艦隊は可変種の脅威を過大評価しているのではないかという。可変種は恐るべき敵ですというレイトン。侵入した可変種はたった1匹だ、もういないかもしれないという大統領。シスコはまだいれば、たった一人でも可変種の威力は侮れないという。大統領は大袈裟に騒ぎ過ぎだろうといった。そうですかというシスコ。その時椅子の上に置いてあったかばんが変形し始めた。驚く大統領。固体化したオドーは、艦隊が懸念するには十分な理由があるという。紹介します、私の保安チーフですというシスコ。大統領は認識を改めなければいけないなという。警備が甘すぎる、ここまでレイトンもシスコも血液検査や身体検査、持ち物へのフェイザー照射も受けなかったというオドー。オドーが敵なら閣下は殺されているか、取って代わられているというシスコとレイトン。可変種は誰にでも化けられるという。シスコは惑星連邦および宇宙艦隊関連施設の警備の強化を要請する。血液検査は連邦の高官と艦隊士官、およびその家族に限って行い、一般市民にまでは受けされる必要はないというシスコ。できるだけならやりたくないが、地球と惑星連邦の安全を守るためですという。なかなか説得力がある、君の提案を受け入れるほかないという大統領。ほかに策がない、何世紀にも渡って築いて来た楽園を壊した大統領として、歴史に残りたくはないという。シスコは破壊しようとしているのではなく、守ろうとしているのですといった。

※21: bread pudding souffle

※22: TNG第74・75話 "The Best of Both Worlds, Part I and II" 「浮遊機械都市ボーグ(前)(後)」より。2366〜2367年にかけてのことなので、5年以上前の出来事になります

※23: Creole food

※24: tube grubs DS9第11話 "The Nagus" 「宇宙商人フェレンギ星人」など

※25: Red Squad

※26: Paris ST6など。エッフェル塔が窓から見えます

※27: (Herschel Sparber) Grazerite という種族ですが、セリフには出てきません

※28: blood screening DS9第73・74話 "The Way of the Warrior, Part I and II" 「クリンゴンの暴挙(前)(後)」など


設置したフェイザー照射ユニットのテストを行うシスコたち。しばらく照射すると、置いてあった植木が液体化した。止めさせるシスコ。元に戻り、今回は正直言ってこたえたというオドー。数値を聞くシスコ。ベンティーンが3.1と答える。3.4にすればどんな可変種も液体状に戻らざるをえないという。念のため3.5にセットしましょう、でも今日はこれ以上テストは無理だというオドー。宇宙艦隊と連邦本部の全ての部屋にユニットを取り付け、軌道上のステーションにもというシスコ。明日の夜までに準備します、本当にあなたのおかげですというベンティーン。警備を強化するよう大統領に説得して下さったといい、部屋から出て行く。オドーは私にも感謝して欲しい、1日でフェイザーに13回も撃たれたんだからという。ノーグがやってきた。もう少しで終わるというシスコにノーグは内密な話があるという。オドーはうなずき、離れた。ノーグが話そうとすると、なんでも学校で苦労しているそうだなというシスコ。夕べジェイクから全部聞いたという。アカデミーに慣れるのに時間がかかるのはわかっていたはずだ、アカデミーだって君に慣れるのは大変だというシスコ。わかっています、でもめちゃくちゃ大変なんですというノーグ。新しい友達を作る方法を考えたので是非後押しをと頼む。レッド・スクワッドに入りたいという。聞いたことがないというシスコ。優等生のチームで、キャンプの外で特別授業を受けたりしていると説明するノーグ。私が在学中はなかったなというシスコ。最近できた、僕は成績は優秀でも艦隊高官の推薦が必要でというノーグ。認められる自信はあるという。シスコは忙しいというが、暇ができたら何とかしようといった。お願いしますと喜び、出て行くノーグ。シスコはため息をついた。
店に戻って来たシスコ。あまり帰ってこれないシスコに冷たいジョセフ。仕事が忙しいというシスコに、話せば楽になるぞというジョセフ。話せないんだというシスコ。ジョセフはいくら忙しくても、1日に1、2時間は顔を見に来てくれという。シスコはサンフランシスコ、ジェイクはニュージーランドのアカデミーに行ってしまい、2人とも地球にいないのと同じだという。父さんだってステーションに来てくれたことがないだろうとシスコが言うと、この地球がわしの居場所なんだ、銀河系を遊び歩いたらレストランはどうなるんだという。父さんが体に気をつけなければ、ネイサンが一人でやらなければならなくなる、医者にあって来たが8ヶ月も診察に行ってないじゃないかというシスコ。ジョセフは20年もニューオーリンズに住んでいるのに、ケイジャン料理とクリオール料理の区別もつかないという。料理の区別はつかなくても健康体と進行性動脈硬化症※29との違いはわかっている、血管再生療法を受けなければこの店のオーナーが変わるのも遠い話じゃないと言っていたいうシスコ。この年になれば健康を保つのは一仕事だ、でも店もある、2つも不可能だというジョセフ。いつごろまでに艦隊本部に戻らなければならないんだと聞く。シスコが1時間後と答えると、それだけあればオーディボン公園※30に行けるなとジョセフはいった。2人は散歩に出かけることにした。ネイサンにガンボ※31をかき混ぜろよというジョセフ。
艦隊本部前の広場に、1羽のカモメが降りたつ。それは変形し、オドーになった。レイトンとベンティーンが丁度近くを通りかかり、動物の模倣は初めて見たというベンティーン。カモメで空から観察していた、ベイジョーの古代都市には負けるが実に印象的でいい街だというオドー。可変種もカモメに化けているだけならいいんですがという。レイトンはカモメに化けて時間を費やすようなことはしないだろう、彼らはオドーと違って完璧に人間に化けられるからという。その通りです、私は未熟でねというオドー。ベンティーンは私の目には正真正銘のカモメに見えたという。カモメはそうは思ってくれないというオドー。レイトンはこれ以上オドーの邪魔をするのはよそう、練習すればカモメになり切れるといいいこうとする。オドーは呼び止め、艦隊保安部に可変種である私を迎えて下さってありがとうございますという。オドーは握手を求めるが、レイトンはそのままいこうとした。オドーはレイトンの腕をつかんだ。つないだところを液体化させる。レイトンの手も液体状になっていた。レイトンはよく見破ったなというと、オドーの手を振り払った。倒れるオドーにベンティーンが駆け寄る。レイトンの姿をしていた可変種は、走るとカモメの姿になり、飛び去っていった。その後を見つめるオドーとベンティーン。
なぜ私じゃないとわかったんだと聞くレイトン。オドーはうまく言えないが、自分に対する敵意を感じたという。君は掟を破り、同胞の命を奪っているからなというシスコ。なぜ私に化けたんだろうというレイトン。ベンティーンはレイトンが全ての警備手続きに通じているからという。可変種が侵入し、提督に化け、逃げたのは重い事実です、警備を強化しなければという。許されたことはやっているとシスコが言うが、ベンティーンはそれだけでは足りないという。大統領に頼みましょうとオドーが提案するが、レイトンは時間の無駄だという。ジャレシュ・インヨーは平時の大統領としては立派だが今は戦時だ、市民の生活を乱したくないというが人間はそんなに弱くない、平和な楽園を守るためなら喜んで立ちあがるという。大統領は戦いを望んでいないということですかと聞くシスコ。大統領の故郷ははるか遠くにある星で、地球に寄せる思いも強くはないというレイトン。そこへシスコに通信が入る。ジェイクから急用だという。ジェイクはレストランに来るように言う。どうしたんだと聞くと、今おじいちゃんが逮捕されたとジェイクはいった。

※29: atherosclerosis

※30: Audubon Park

※31: gumbo


シスコは店にやって来た。どうしたんだというと、艦隊士官がいて命令を遂行しようとしただけだという。ジョセフは無礼にもほどがある、わしとジェイクを可変種扱いしたという。検査をしに来たその士官は、そういう命令なんですという。こんな馬鹿らしいこと信じられるかいというジョセフ。命令を出したのは私だからなというシスコ。ジョセフはどうかしてるんじゃないかという。ジェイクは先に検査を受けることにする。シスコも同じように血液を検査した。父さんの番だというシスコ。ジェイクに可変種だと思うかというジョセフ。何をいってるのというジェイクに、いいから質問に答えろという。可変種とは思っていないというジェイク。息子は馬鹿だが孫はまともらしいというジョセフ。シスコが父さんといっても、部下の吸血鬼に何か料理を注文させろ、でないと店から出て行けという。シスコはジェイクにメニューをもって来させる。部下がしかしというが、シスコはおすすめはシュリンプクリオール※32だという。
ジョセフを説得するシスコ。可変種が化けるなら、老いぼれのシェフよりもっといい対象があるだろうというジョセフ。そうかもしれないが父さんだけじゃない、艦隊士官の家族はみんな検査を受ける、船や施設の安全を守るためだというシスコ。でも艦隊の施設に住んでるわけじゃないとジョセフは言う。いくら全員検査するといっても協力する義理はない、艦隊に誓いは立てておらずうちの家族で誓いを立てたのはお前一人だけだろうという。人には権利があると、わしにも頑固で物分かりの悪いじいさんに徹する権利があるというジョセフ。シスコはテーブルを叩いた。一度だけでいいから人の言うことを聞けないのかという。病気の診療を受けないことも、ジュディスに店を手伝わせせないこともそうだ。大体お前の言うことは間違っている、みんな自分を証明しろといわれても困るだけだというジョセフ。そんな人生は馬鹿らしい、親父を手伝う気があるならエビを茹でるお湯でも沸かしてくれという。シスコは意地を張るのはよしてくれ、令状をとることもできるという。そして力ずくで押さえつけるのか、やれるものならやってみろという。その時ジョセフは包丁で指を切ってしまった。お前のせいだぞといい、流しで手を洗う。シスコは近寄り、血のついた包丁を見た。ジョセフはジェイクを呼び、皮膚再生装置を取るように言う。振り返りシスコの顔を見たジョセフは、なんだその顔は、本当に可変種だと思ったのかと聞く。わからない、自信はなかったというシスコ。仕事でどうかしちまったんじゃないか、可変種に惑わされ誰でも疑わずにはいられないというジョセフ。こんな風に考えてみろという。もし本当に頭の切れる可変種だったら、通りを歩いている運の悪い奴の血を全部いただき、血液検査をされたらそいつの血を使ってきりぬけようとするという。人間が考えたことには必ず抜け道があるというジョセフ。しかし興奮したため、ジョセフは苦痛の叫びをあげはじめた。シスコとジェイクが駆け寄る。
命の危険はないそうだとオドーに言うシスコ。動脈硬化症による軽い心臓発作という。ジェイクも動揺している。人間は自分にとって良いことなのになぜか逆のことをやりたがる、不思議だと言うオドー。しかし短い間だったが、自分の父を可変種だと思い込んでしまったのはショックだったというシスコ。オドーは無理はないという。どういう状況であろうとも息子が父を信じられないとはとシスコはいう。それが敵の狙いです、連邦市民の信頼関係をガタガタにすることですというオドー。父のいう通りだった、我々の講じた対策は全て無駄だったと立ちあがるシスコ。しかしあきらめてはなりません、可変種に対し持てる力の全てを振り絞って戦うんですとオドーはいう。シスコは悪く取らないでくれよといい、君が同胞を巡り合わなければ良かったと思うときがあるという。オドーはわかりますよ、私だってそう思うときがありますといった。
忙しく働くジョセフに、頼むから座ってというジェイク。ジョセフは料理をお客に出すとジェイクの前に座った。すぐに座ったので驚くジェイク。わしだって座るさといい、ひどい気分だというジョセフ。ベッドで寝たらどうとジェイクが言うと、男がベッドに入るのは寝るとき、死ぬとき、それに美人と愛し合うときだというジョセフ。あきれるジェイク。だからここにいてもいいだろう、それより父さんを心配してやれというジョセフ。まるで世界を両肩にしょったようにピリピリしているという。しょってるよというジェイク。ふいに店内の明かりが暗くなった。どうしたんだというジョセフ。わからない、町中真っ暗だというジェイク。
ドアをこじあけ、レイトンが部屋に来る。レイトンによると地球全体のパワーリレーシステムがダウンしているという。艦隊の緊急バックアップも動かない。理由は分からないが考えられるのは一つというレイトン。可変種による破壊工作だ。パワーリレーシステムが動かなければセンサーも転送機も地表の防衛システムも動かない。全く無防備になったというシスコ。レイトンはドミニオンに攻撃されれば、ひとたまりもないだろうといった。

※32: shrimp Creole


ジャレシュ・インヨーは代表を集め、言い訳は聞きたくない、とにかくパワーリレーシステムを復活させなければと話している。そのオフィスに、シスコやレイトン、オドーたちが転送されて来た。どうやって来たんだと聞く大統領。ラコタの転送機を使ったというシスコ。地球の安全を預かるものとして、非常事態を宣言するようにお願いする。本気なのか、ボーグ来襲を除いてこの1世紀非常事態が宣言されたことはなかったと大統領はいう。しかしこうしている間にもドミニオンが向かってきている可能性があるというシスコ。大統領に証拠はあるのかと聞かれ、DS9を出発する少し前、ワームホールがいつもと違う開き方をしていたことを話す。オドーは船は探知できなかったが、ドミニオンは船を遮蔽する技術を持っているのかもしれないという。遮蔽装置をもっているのはロミュランだけだろうという大統領。この前ロミュランとカーデシアの連合艦隊がガンマ宇宙域に攻め込み敗北したとき、船の残骸から装置を発見したのかも知れませんというオドー※33。大統領はどれくらいでパワーリレーシステムを復旧できるか尋ねる。レイトンは可変種がシステムに仕掛けたのは、自ら増殖しているコンピュータープロトコルのようなものだと説明する。次々とジャンプしていくたび接触したシステムを破壊していく。オドーは復旧させるには一度グリッド全体をシャットダウンし、全作動システムを排除してリレーを再起動することだというオドー。少なくとも数日はかかるというレイトン。だからこそ非常事態を宣言していただきたいとシスコはいう。身を守る方法もないのにどうやるんだと聞く大統領に、レイトンはラコタの転送機と通信システムを使えば、12時間以内に全士官を配備できるという。そのために訓練はして来た、フェイザーライフルや一人用フォースフィールド、光子手榴弾なども十分備蓄してあるというレイトン。大統領は要するに戒厳令を敷けということかと聞く。我々は故郷である地球を守りたいのです、可変種がどう出てくるか備えておく必要があるというレイトン。シスコも街の中に武装した兵士を配備することは避けたかったが、ジェムハダーの大軍が攻めてくるのを待っているよりかはましですという。ジェムハダーは遭遇した中でも最も恐ろしく、無慈悲な相手だというシスコ。戦時の協定など意に介さず、何の容赦もしない。シスコはジェムハダーの残虐ぶりは今までの敵とは比べ物にならないほどすさまじいという。その上私の同胞は防衛を無力にする工作を続けるでしょうというオドー。大統領になりたかったわけじゃない、連邦議会の祖国の代表であればよく、選挙も断ろうかと思ったと話す大統領。そうすれば良かったという。お気持ちも分かりますが後悔している暇はありませんというレイトン。市民は暗闇に取り残され不安におののいているはずですというオドー。静かに当局による事態の説明を待っています、不安は心を蝕み、ただちに勇気づけなければパニックが起こるかもしれないという。行動する権限を下さいと頼むシスコ。大統領は少し考えた後、パッドを操作すると地球は君たちに任せたといった。パッドを受け取るシスコ。感謝します、賢明な判断ですというレイトン。そう祈るだけだよという大統領。
ジェイクは窓の外を見て、ジョセフを起こし一緒に見るようにいう。そこには次々と転送されてくる武装した士官がいた。

※33: DS9第66話 "Improbable Cause" 「姿なき連合艦隊(前)」、第67話 "The Die Is Cast" 「同(後)」より


・To Be Continued...
・感想
第72話 "The Adversary" 「忍び寄る可変種の脅威」に続く、ドミニオンの恐怖についてのエピソードでした。ついに地球にまで侵入した可変種、その心理的とも言える作戦は恐ろしいの一言に尽きます。連邦大統領ジャレシュ・インヨーや、シスコの父ジョセフ・シスコといった重要な人物も登場し、後編が楽しみです。


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