ロムの耳を見ながら、これはまた厄介な感染症にかかったもんだというベシア。痛みは2、3週間前からだというロム。かなりの重傷だ、こんな鼓膜で2週間も放っておいたのかというベシア。ロムはほぼ3週間ですという。死にたいのか、後2日も遅れたら、天国で新しい命を競り落としているところだというベシアに、気を失って命拾いしたというロム。なぜもっと早く来なかったとベシアが言うと、仕事が忙しくてというロム。クワークは30分の休みもくれないのかとベシアが聞くが、そんなことをしたら契約違反ですという。第76項の3節には、「クワークの店で働く従業員は、雇用者クワークに命じられたとき以外に、勤務時間内に職場を離れることを固く禁じる。この規定に従わないものは皆、高額の罰金を科せられ解雇される場合もある」。フェレンギ連盟では常識だ。それを聞いて部下と顔を見合わせるベシア。フェレンギでは常識だというロム。つまり病気でも休めないわけかと聞くベシア。ロムは休暇なんて従業員の権利に含まれているわけありません、病気休暇、有給休暇も残業手当も当然なしという。もっと条件のいいところで働けよとベシアは言うが、フェレンギの契約書は共通なんですというロム。治療が終わり、明日の朝また来るように言うベシア。早起きして店が開く前に来なきゃというロム。出て行くロムに、組合を作った方がいいんじゃないかとベシアは言う。労働組合だ、搾取から身を守るためにという。そんなことはできない、フェレンギの労働者は搾取をやめさせたいのではなく、一日も早く搾取する側に回りたいだけだというロム。勝手にしろ、だが君に搾取なんかできるのかとベシアはいった。
医療室を出て、クワークの店に戻ってくるロム。リータが大丈夫と声をかける。平気とロムが言うと、さすがジュリアンね、でもクワークがもっと早く見せていればという。耳の定期スキャンを忘れていた俺が悪いんだ、さっきウー・マックス※9をやりすぎたからというロム。やるじゃない、ラッキーな相手はと聞くリータ。独りでやってたんだというロムに謝るリータ。お詫びにウー・マックスしないと耳を近づけるロムだが、それは多分ベシアが許してくれないからと断るリータ。頼んでみようかというロム。クワークがやってきて、従業員に集まるように言う。とても大切な話だ、今日の売り上げを計算してみたがベイジョー人の浄化月間のおかげで儲けはすっからかんだというクワーク。そして、明日から従業員の給料を3分の1ずつカットすることを告げた。驚きの声を上げる従業員たち。それが嫌なら従業員半分を首にするしかない、俺の話は以上だというクワーク。そんなことされたら生活できないとリータはいうが、それが嫌なら首にするまでだ、自分で決めろというクワーク。わかったら仕事に戻れ、掃除を済ませ10分後には電気を消すという。
ロムはクワークに近づき、給料を減らすなんてしていいわけないという。それができるんだ、現にもう始めてるし、余計なことを心配している暇があったらその耳を早く治すんだというクワーク。でも浄化月間が終われば給料も戻してくれるんでしょと聞くロム。クワークは次の四半期の合計を見なきゃわからないといった。弟として頼む、給料を減らすのを考え直してもらえないかなとロムは言う。クワークは考えてみようというが、すぐに決定は変えないといった。でも兄貴というロム。クワークは兄貴と呼ぶな、店の中ではお前は弟ではなく従業員だ、店の決定に口を出す権利はないというクワーク。もし本当に給料を減らしたら、後悔することになるぞというロム。クワークは後悔はもうしてる、弟なんていなければ良かったという。ロムは何も言うことができなかった。
ウォーフと一緒に部屋を出てくるダックス。2人とも稽古着の姿だ。メクラフ※10を使いこなせるようになったわ、そう思わないと聞くダックス。そのようだなというウォーフになぜそう言わないのというダックス。クリンゴン戦士は師の誉め言葉を望んだりしないという。私はクリンゴン戦士じゃない、若く美しい感性豊かな女性よというダックス。ふいにウォーフが静かにするようにいった。何か物音がする。ウォーフは天井を見上げ、バトラフで突く。するとふたが開き、いろいろなものと一緒にタラリア人※11が落ちてきた。そこを動くなとバトラフを突きつけるウォーフ。品物の中にはウォーフの歯磨き機※12もあった。怒りの表情を浮かべ、唸るウォーフ。
保安室のオドーに、タラリア人を突き出すウォーフ。この男は私の部屋に泥棒に入ったと、盗んだ荷物も持ってきてある。部下に監禁するように言うオドー。供述をとりますというオドーに勝手にとればいい、その前に泥棒が入り込むような態勢について弁解はないのかというウォーフ。オドーは完全に防ぐのは無理ですというが、エンタープライズではなかったというウォーフ。オドーは微笑み、どうですかな確かめてみましょうと言いパッドを手に取った。宇宙暦46235.7、フェレンギの武装船がデイモン・ルリンの手引きで、バードオブプレイ2隻を使いエンタープライズに乗り込み指揮権を奪う※13、宇宙暦45349.1、22世紀からきた発明家バーリンホフ・ラスミュッセンは歴史学者を装い、一もうけを企みエンタープライズの装置を多数盗む※14と話すオドー。まだ続けますかという。その必要はないと断るウォーフ。確かに頻繁に起きているわけじゃないが、連邦の機関内でも保安の目をかいくぐってこれだけの事件が起こるんですというオドー。船の出入りが激しいDS9で保安を維持する難しさを察していただきたいという。わかっている、ただああいう男を見ると不愉快なんだというウォーフ。私もですとうなづき、こればかりは慣れていただかないととオドーは言った。
ロムはクワークの店の従業員たちを集めた。主にフェレンギ人だが、リータなどのダボガールもいる。兄がどんなに嫌われるような態度をとろうとも今までかばってきた、でも今度はそんなことしませんと話すロム。またまたと疑うフェレンギ人のグリンプ※15。本当だ、クワークは浄化月間を利用して、給料で私腹を肥やそうとしているというロム。同じくフェレンギ人のフルール※16もそうだという。我々は断固として抵抗する、今この瞬間からとロムはいった。大賛成よ、どうすればいいのというリータ。立ち上がるんだ、我々ができることはただ一つ、今ここにといい言葉に詰まるロム。なんだよとフルールがいうと、我々は今ここに組合を作るとロムはいった。どよめく従業員たち。喜ぶリータ。
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※9: oo-mox おなじみの、耳をマッサージする行為。TNG第72話 "Menage a Troi" 「愛なき関係」など
※10: mek'leth 前話 "Sons of Mogh" 「モーグの息子たち」より
※11: Talarians DS9第66話 "Improbable Cause" 「姿なき連合艦隊(前)」など
※12: tooth sharpner DS9第79話 "Little Green Men" 「フェレンギ人囚わる」で、ノーグから購入したもの
※13: TNG第133話 "Rascals" 「少年指揮官ジャン・リュック・ピカード」での事件。デイモン・ルリン (Daimon Lurin) はルリン船長と訳されています
※14: TNG第109話 "A Matter of Time" 「26世紀のタイム・トラベラー」のバーリンホフ・ラスミュッセン教授 (Professor Berlinghoff Rasmussen) が起こした出来事
※15: Grimp (Jason Marsden)
※16: Frool (Emilio Borelli)
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