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ディープスペースナイン エピソードガイド
第87話「モーグの息子たち」
Sons of Mogh

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・イントロダクション
洞窟の中を身構えながら進むウォーフ。突然後ろからバトラフをもったダックスが襲いかかってきた。ウォーフは小さい剣で見事に応戦し、ついにはダックスのバトラフを折り喉元に剣を突き付ける。モヴェック※1というダックス。メクラフ※2にはメクラフの良い点があるのは認めるが、バトラフのほうがやはりリーチが長いし有利だという。ウォーフはバトラフのような破壊力のある武器を手にすると、自信過剰になり油断しやすいという。自信過剰だったっていうのと怒るダックス。勝てるつもりだったろう、それにそんな格好で俺の気を散らせば鬼に金棒だと言うウォーフ。胸元の空いたダックスの服装を見て、その服装はちょっとと口を濁す。あなたのために着ていると思ったの、そっちこそ自信過剰じゃないというダックス。振り返り、折れたバトラフの剣をウォーフの喉元に近づけ、この勝負は私の勝ちだといった。今度はウォーフがモヴェックといった。言わせてもらえばウォーフも大声を上げたりうなったりして、気を散らそうとしていたというダックス。それは闘志の現われだと説明しているとき、オドーからウォーフに通信が入った。第5エアロックで酔っ払ったクリンゴン人がウォーフを呼んでいるという。ウォーフはホロスイートのプログラムを停止し、外に出た。微笑むダックス。
そのクリンゴンはナイフを持ち、オドーたち保安部員に寄るなといっている。何も危害は加えないといい落ち着かせようとするオドー。ウォーフがやってきて、カーンと呼んだ。やっとおでましかというカーン※3。オドーに俺の弟だといい近づくウォーフ。モーグの息子2人の感動の再会だというカーン。何ヶ月も行方を暗ましてどこに行っていたと聞くウォーフ。ここにも長居はしない、モクトヴァ※4の儀式によってモーグの息子は1人になるというカーン。兄さんの手で、俺の命を奪ってくれといった。

※1: movek 降参の意味

※2: mek'leth 後に映画ファースト・コンタクトで、ディフレクター上での戦いでウォーフがボーグ相手に使用したナイフです

※3: クーン (クルン) Kurn (トニー・トッド Tony Todd DS9第75話 "The Visitor" の老ジェイク役) TNG第100・101話 "Redemption, Part I and II" 「クリンゴン帝国の危機(前)(後)」以来の登場、声優も以前と同じく、若本規夫氏です

※4: Mauk-to'Vor


・本編
カーンはウォーフの部屋で寝ている。いきなり目を覚まし、衛兵、水をくれと叫ぶカーン。牢屋じゃない、落ち着けというウォーフ。何と柔らかい寝床だ、この部屋の何から何まで、クリンゴン戦士には似つかわしくないというカーン。住むには十分だとウォーフが言うと、いつも連邦の肩を持つんだな、そんなに連邦がいいかと聞くカーン。なぜそんなに言いなりになっているんだ、部屋の趣味にしてもという。ウォーフはそれよりも、4ヶ月も音沙汰なしでどこにいたかと聞く。モーグという名の誇り高き一族の最期を見届けてきた、あんたも知っているだろうというカーン。言わずともわかっている、俺がガウロンに逆らったため家が取り潰しになったのは無念に思っているというウォーフ※5。カーンはだからどうなんだ、許しを請うか、同情でもするのかという。それでは何もしない地球人と同じだとののしる。自分のしたことは悪いとは思っていない、ガウロンは間違っているというウォーフ。カーデシアや連邦と戦争を始めるのは不名誉な行為だというが、カーンは自分の名誉さえ守れば一族はどうなってもいいのか、見上げた行いという。もう済んだことだとウォーフは言う。カーンはあんたは連邦で暮らしていけるからいいが、俺はどうなるという。モーグの一族は最高評議会に議席を持ち、友人たちからの信頼も厚く敵から恐れられていたという。ガウロンが死ねば次の総裁は一族から出るだろうとまでいわれていた。だがウォーフが祖国を敵に回したため、領地も所有する船も、評議会の議席も剥奪されてしまったのだ。ウォーフはおまえがどんなに苦しんでいるかはわかるという。カーンは何がわかるのか、ガウロンの部下が乗り込んできて領地を占領し、一族の名を剥奪するのをみたか、皇帝陛下※6が見ている前で追放される屈辱を味わったのかと尋ねる。俺が苦しんでいるとき、あんたはここでのうのうと暮らしていたというカーン。あんたには未来はあるが、俺には名誉すらない、ただ一つ取り戻す方法があるという。名誉の死かというウォーフ。どうせ死んだも同じだ、クリンゴンは誰も俺に見向きもしないというカーン。名誉を取り戻せるのは兄であるあんたしかいないといい、俺のモクトヴァの儀式を行ってくれという。名誉ある死を、その手で俺に与えてくれといった。
宇宙暦49556.2※7。オブライエンはカーデシアと国境を接するベイジョーコロニーの視察を終え、シャトルでDS9へ向かっている。こちら連邦小型艇ユーコン※8という呼びかけに対しベイジョー管制塔から応答があり、IDコードとフライトプランを送信するように言う。パネルを操作し、椅子の上で寝ているキラを起こすオブライエン。何回か呼びかけると、飛び上がって起きた。起こしてすみません、もう少しで着きますよというオブライエン。ありがとう、もう着くのというキラ。寝ていた時間を聞くと、7時間。普段でも7時間も寝ないのにと驚くキラ。俺が一緒だからというオブライエンに、キラは笑った。管制塔から進入許可が下りた。あくびをし、おなかが空いて死にそう、クワークの料理でも食べられそうというキラ。オブライエンはそいつは重傷だという。そのとき前方に強烈な光が走った。エネルギー放電現象だ。ほんの5000キロ先で、国境のすぐ外だ。タキオンが増加し、亜空間衝撃波も出ているというキラ。船が爆発したのかしらというが、船の残骸もワープフィールドもありませんというオブライエン。キラは調査することにし、爆発から500メートルの地点まで接近するように命じた。
近づき、停止するユーコン。爆発の痕跡はないが、またタキオンが上昇してきた。すると前方からクリンゴンのバードオブプレイが遮蔽を解き、姿を現した。クリンゴン帝国宇宙艦コリナー※9といい、当宇宙域で軍事演習を実行中だという。ただちにベイジョーの領域へ戻れといってきた。キラは爆発があったと認められるため、調査にというが、相手は恒星間条約に基づいて警告は発したという。敵はディスラプターをロックした。キラは引き返すことにするが、爆発の座標のスキャンは続けるようにいう。ただの軍事演習ではすまない、何かが必ず起こるはずよといった。
稽古着を着たダックスが、カウンターのクワークにウォーフは知らないか尋ねる。ホロスイートで待ち合わせたのに5分も遅刻しているという。たったの5分とクワークは言うが、ウォーフらしくない、私が2分遅れただけでもカンカンに怒るというダックス。今朝見たっきりだ、あんなに失礼な奴二度と来なくてもいいというクワーク。無愛想なのはいつものことじゃないとダックスは言うが、いつもに輪をかけて変だったというクワーク。クリンゴンのお香を注文したからレプリケーターで作ってやったら、ひったくって出ていったという。アダンジ※10という名前のお香だ。どうしてアダンジなんかというダックス。クワークが特別な物かと聞くが、答えないままダックスは歩いていった。客としゃべるのはもうやめたというクワーク。
そのお香が、ウォーフの部屋で炊かれている。お前はこの世で道を絶たれ、もはや何も残されていないというウォーフ。名誉も、未来もないと言いお香をカーンの前に近づける。この命を捨て、来世にて名誉を取り戻すというカーン。赤き血の川を越えストヴォコル※11へと渡る覚悟はできていると続ける。
ダックスはオドーとすれ違った。オドーを呼び止め、昨日来たクリンゴン人について尋ねる。名前はカーン、ウォーフの弟だそうですというオドー。ダックスは大変だわといい、ウォーフに連絡を取る。しかし反応はなく、コンピューターに位置を聞く。自室で、カーン船長と一緒にいるという答えを聞き、ダックスはオドーと共にすぐに向かった。
ウォーフはナイフを手に取った。この刃にて、死の旅へ誘うという。両手で持ち、頭の上で構えた。カーンは胸を開いた。さらば弟よ、さらば兄よと言い合う2人。そしてウォーフはナイフを振り下ろした。叫び声を上げるカーン。胸の中心に突き刺さっている。倒れるカーン。ダックスとオドーが入ってくる。オドーはすぐにウォーフを制し、ダックスがカーンに近づくと司令室に通信を入れ、医療室に2名の転送を命じた。転送されるダックスとカーン。これは俺達の問題だというウォーフに、シスコ大佐は許さないでしょうというオドー。助かるように祈るんですな、さもなくば殺人罪だといい、オドーは部屋を出ていった。

※5: DS9第73・74話 "The Way of the Warrior, Part I and II" 「クリンゴンの暴挙(前)(後)」より

※6: カーレス (Kahless) のこと。TNG第149話 "Rightful Heir" 「クリンゴン神カーレスの復活」など

※7: オブライエンが記録する、「作戦日誌」 (Operation's Log)

※8: U.S.S. Yukon ダニューブ級、NCC-74602。例に漏れず川の名前にちなんで名づけられています。DS9第82話 "Our Man Bashir" 「ドクター・ノア」で破壊されたオリノコに代わり配置。runabout が珍しく小型艇と訳されています

※9: Imperial Klingon Ship (略して I.K.S.) Korinar

※10: adanji

※11: Sto-Vo-Kor クリンゴン人が死後行くといわれている場所。"Rightful Heir" より


司令官室のシスコの机の上には、血のついたナイフが置いてある。無言で立っているウォーフ。ダックスが入ってきて、命は取り止め明日には意識を取り戻すという。ウォーフに、訳を話せ、事と次第によっては逮捕せざるを得ないというシスコ。大佐にはその権利がおありですというウォーフ。私の権利の話をしているのではない、質問に答えろと命じるシスコ。ウォーフはお答えすることはなく、連邦の法律に反することは承知していたという。そんな形式的なことを問題にしているのではない、君は殺人を犯そうとしていたんだぞというシスコ。ダックスはウォーフをかばい、殺人ではなくモクトヴァの儀式を行おうとしていたといい、説明を始めようとする。しかしシスコはそんなことは関係ない、これまでクリンゴンの慣習に尊重しようとしてきたが、ここはクリンゴンの基地じゃないしその制服はクリンゴンのものじゃないという。いくら文化の違いでも、やっていいことと悪いことがあるという。カーンが回復したら別の方法で家族の問題を解決するように言うシスコ。不可能ですというウォーフをさえぎり、ダックスがわかりましたといった。ほかの解決方法を考えます、同じ事は二度と、というダックスに起こってもらっては困るといい、2人とも下がれというシスコ。ダックスとウォーフは出て行く。
シスコはパッドを見て、どう見るとオブライエンに聞く。エネルギー放電現象は、遮蔽で隠したミサイルが爆発したとも考えられるというオブライエン。キラは軍事演習だといっていたといい、オブライエンはワープエンジンの爆発でも同じ放電現象は十分起こりうるという。可能性をいったらきりがないというキラ。問題は何をしているかだというシスコ。ベイジョー領域の目と鼻の先で、向こうもピリピリしていたというキラとオブライエン。シスコは向こうの出方を見るのはうんざりだといい、ディファイアントを出して問題の座標をスキャンするように命じた。クリンゴン船に出くわしたらというキラに、こちらも軍事演習といってやれ、恒星間条約に反していないというシスコ。キラはウォーフも一緒にと聞く。情報は入れてやってくれ、しかし同行させることはできないというシスコ。了解し、キラは歩いていった。オブライエンがシスコに何か言おうとするが、何も言うな、ウォーフの弁護ならダックスから聞いたとシスコは言った。
ウォーフは寝ているカーンのベッドのところにやってきた。容体は安定した、連れて帰れるというベシア。ウォーフは起こすように頼む。操作し、用があれば外にいるからといって出て行くベシア。カーンが意識を取り戻した。俺は生きていたのかという。そうだ、ダックスが気づいて転送したので助かったというウォーフ。カーンは今度目覚めたらそこはストヴォコルだと思っていた、死んだ父上に会えるのだと、という。ウォーフは父上にはいつか会えるが、まだ時が来ていなかったのだという。その時がいつかは、兄さんの判断で決めてくれるんだなと聞くカーン。ウォーフがその権限はないというと、兄さんの意志でモクトヴァの儀式を中断したのではないかというカーン。ダックスとオドーに止められてというウォーフ。抵抗したのか、邪魔すれば殺すと脅してみせたかというカーン。その気になれば短剣※12をもってきて今喉を切り裂き、儀式をまっとうできるはずだという。何も答えないウォーフ。カーンはもういいといい、一時だけ、あの儀式の最中だけは兄さんはクリンゴンだったという。だがまた連邦の人間に戻ってしまったなといった。俺の命も連邦に委ねられた、生きるか死ぬか選ぶ権利もないというカーン。これからどうなるかは兄さん次第だという。
ウォーフの部屋にダックスが入ってくる。謝りたくて来たというダックス。家族の問題に口出しして、弟さんの名誉を余計傷付けてしまったみたいだからという。良かれと思ってしたことだ、責められるべきことではないというウォーフ。ダックスはクリンゴンの見方は違うでしょうという。君はクリンゴンじゃないというウォーフ。できることはなにもないという。だが出て行こうとするダックスを止め、これからがどうするかが問題なんだというウォーフ。何か考えはあると聞かれ、否と答える。ダックスはカーンに当分の間いてもらったほうがいいという。だがカーンをここにいさせるなら、役割か仕事がないとというウォーフ。ダックスはクリンゴンなら適任だと、保安の仕事を勧めた。連邦の仕事を引き受けるのは気が進まないだろうというウォーフ。連邦の組織じゃない保安部門もあるでしょうとダックスはいった。
オドーは、カーンがクリンゴンの防衛軍でなかなかのキャリアを積んでいるようだという。一つだけ聞きますといい、彼は銃の目盛りを麻痺にセットして撃つのを知っていますかというオドー。クリンゴンでは攻撃したら殺すのが基本だというウォーフ。オドーは私の下で働くなら、うちのやり方に慣れてもらわないといけないという。大丈夫だというウォーフ。保障できなければこんな頼みごとはしないという。そうでしょうね、人に頼みごとをするのは嫌いでしょうから、特に私にはというオドー。いいでしょうといい、明日の朝カーンをよこしてくださいといった。ウォーフはこの恩は忘れないという。オドーはそう願います、私は貸しは必ずいつか返してもらう主義なんですといった。

※12: モクトヴァの儀式で使われた、マヴェック (mevak) という種類の短剣。訳出されていません

カーンは積み荷のチェックをする仕事をやっている。ボスリク人※13に、このコンテナは目録にないぞという。何かの手違いですよというボスリク人。カーンは一言、開けろといった。その様子を見てうなずくオドー。ウォーフがリフトでやってきた。オドーにパッドを手渡し、艦隊本部からのメッセージで防衛システムの最新データを送ってほしいというウォーフ。カーンはよくやっていますよ、仕事に就いて6時間になりますが今のところ1人しか殺していないというオドー。無言のウォーフに、本当に冗談が通じない人ですねという。実際よくやっている、少々頑固だがやりすぎてはいない、期待以上の働きですというオドー。ウォーフは安心したという。わざわざリストをどうも、至急やっておきますよと言いオドーは歩いていく。
カーンはウォーフを呼んだ。この制服は気に食わんという。我慢しろ、そのうち転属願いをというウォーフ。カーンはそういう意味じゃない、自分で引き受けた仕事だという。ベイジョーの保安部員の務めは果たすが、どうにもこの服は好きになれんという。わかるというウォーフ。じきに慣れるさ、兄さんの顔は潰さないというカーン。ウォーフはそんな心配はしていない、続けろという。カーンは仕事に戻った。
ディファイアントにはキラとオブライエンが乗っている。また同じ現象を検知した。タキオンの上昇、亜空間変動波、それに磁気変動が起こる。遮蔽した船が近くを通過したのに違いないというオブライエン。領域侵犯すれすれね、国境は一度も越えていないけどというキラ。クリンゴンが几帳面に国境線を守るなんて珍しいですねというオブライエン。遮蔽しているのに、何かあるのよというキラ。その時また爆発で光った。スクリーンにはヴォルチャ級の巡洋艦が姿を現した。シールドとフェイザーをスタンバイさせるキラ。相手の左舷船体を大きく破損しており、動力も低下している。放射線のせいでスキャンはできない。チャンネルを開き、救援の申し出をするキラ。相手はクリンゴン帝国宇宙艦ドロヴァーナ※14と名乗り、現在は救援を必要としてない、近づくなという。了解といい、通信を切るキラ。非常用パワーも切れている。どうして仲間が助けないのかしらというキラ。動けない理由があるんでしょうというオブライエン。何かの理由で邪魔されたくないのね、何かヴォルチャ級巡洋艦の船体に穴が空くようなことをやっているというキラ。ドロヴァーナから呼びかけがあり、貴艦の医療設備を使わせてほしいといってきた。キラはディファイアントの医療設備は非常に限られているため、良ければDS9まで護送すると伝える。検討すると答えるクリンゴン。しばらくした後、申し出を受け入れるといった。
ウォーフが部下と通路を歩いていると、オドーから通信が入った。カーンが重傷を負ったというのだ。至急行くというウォーフ。
医療室に入るウォーフ。オドーによると、積み荷の中に密輸品を発見して船長と言い争いになり、相手がディスラプターガンを持ち出して脅したという。だがカーンは黙って撃たれてしまった。カーンは訓練された勇敢な戦士です、その気になれば銃を取り上げることもできたのに、立ち尽くしていたというオドー。船長の手が震えて急所を外したのがせめてもの救いだという。ベシアがやってきて、また命は取り留めたという。良かった、心の底で死にたがっているものを保安部においておくのは危険です、残念だが仕事から外すしかないというオドー。ウォーフはカーンとはなすことにする。
ウォーフを残し、戻っていくベシア。気分はどうだと聞かれ、目を覚ますたびにあのドクターの顔を見るのは最後にしてほしいというカーン。どうしてまた死のうなんてというウォーフ。カーンはそんな言葉は聞きたくない、クリンゴンらしくもないという。これからどうするかはあんたが決めてくれ、俺の命は兄さんに預けたというカーン。

※13: Boslics DS9第21話 "The Homecoming" 「帰ってきた英雄(パート1)」などには、ボスリク人の女性船長が登場。このボスリク人の名前は Tilikia (デル・ユーント Dell Yount ENT第56話 "Rajiin" 「美しき潜入者」のブラット・ウド (B'Rat Ud) 役) といいますが、セリフ中には登場しません

※14: I.K.S. Drovna


クリンゴン艦ドロヴァーナがDS9に到着した。受け入れた負傷者に何ら変わった点は見られない、放射線による重傷の火傷が15件、爆弾の破片による胸部陥没が7件、気圧低下による負傷が23件、典型的な宇宙船爆発による被害だというベシア。爆発の原因は何だと思われるとシスコに聞かれ、火傷はガンマ放射線によるものでおそらく光子魚雷を浴びたのではないかと思われるというベシア。被害の分布状況から見て、爆発は船の左舷から約10キロの地点で起こったと思われるというオブライエン。ダックスは魚雷ならイオン反応が残っているはずだが、それは検知されなかったという。いくらクリンゴンでも、遮蔽した船を追尾して攻撃するなんて無理じゃないというキラ。魚雷ではなく、機雷だと思うというウォーフ。それならイオン反応も残らないというオブライエン。機雷を遮蔽しておけばセンサーにも映らないとダックスも言う。キラは爆発があってから何隻も船が行き来しているのに、被害を受けたという話は全然ないという。ウォーフはクリンゴンの機雷は安全装置が組み込まれているため、解除コードを送らないと爆発しないという。爆発した機雷は、安全装置が壊れていたか解除されていたかだというオブライエン。ダックスは何千という機雷が仕掛けているのに全く気づかなかったわけねという。機雷を仕掛けるのは戦争行為だ、クリンゴンは勝負に出る気かというベシア。シスコは機雷があると決め付けるわけにはいかないが、もし戦争になればDS9はおろかベイジョー領域全体がズタズタにされてしまうだろうという。だが爆発が起こらない限り座標もわからない。何とか座標を聞き出そうというオブライエン。ドロヴァーナは第3パイロンのドックよ、でもどうやって聞き出すのというキラ。ウォーフは私に考えがといった。
同胞を裏切りスパイ行為をしろというのか、そんな恥ずべき行いをというカーン。恥ずべき行いをしているのは彼らのほうだ、密かに機雷を仕掛けるなどクリンゴンのすることではないというウォーフ。そんな卑怯なことはロミュランのすることだという。カーンはそういって自分を正当化するつもりか、同胞を卑怯呼ばわりして自分は何様だという。ウォーフは一つ聞かせてくれといい、クリンゴンの連邦に対する暴挙をどう考えているんだという。国の決定を批判する立場にないと言おうとするカーンに、質問に答えろというウォーフ。カーンは、連邦との協定を破るのには反対だった、だが評議会の決定だという。今のガウロンは連邦を甘く見てたかをくくっている、それは間違いだというカーン。戦争になるのは目に見えているという。それも勝つ見込みのない戦争だというウォーフ。そうだというカーン。ガウロンが機雷を設置するだけでやめると思うか、増長し連邦は甘いと思って攻撃を仕掛けてくる、戦争になってしまうというウォーフ。戦争になったらクリンゴン帝国は終わりだ、だからこうやって頼んでいるんだという。俺のためでも連邦のためではない、クリンゴンが勝てない戦争で滅びるのを見たくないからだというウォーフ。同胞は俺達に背を向けたが、俺達は同胞に背を向けたりしないといった。モーグの息子2人で力を合わせ、祖国を救おうというウォーフ。手を貸してくれという。
ウォーフは医療室で、ベシアに怪我をしているように整形をしてもらった。クリンゴン兵士の服を着ている。いいできだ、ずっとこの顔でいたらというベシア。ジョークだというと、わかっているというウォーフ。ベシアは小さな機械を使い、DNA構造を一時的に変えて乗組員のものと一致させる、簡単な検査ならパスできるという。効果がもつのは4時間。十分だというウォーフ。ベシアが数回カーンを呼ぶと、何だドクターというカーン。ウォーフと同じように制服を着ている。こっちへ来て座るように言うベシア。
ウォーフとカーンはドロヴァーナに転送された。セキュリティ装置に手を当ててドアを開ける。データベースにアクセスして機雷の設置プランを見ようとする2人。ウォーフはメインディレクトリの中にアクセスしようとするが、それには触るなというカーン。3ヶ月前から機密保持のためスパイ対策としておとりのファイルを置いているのだ。本物のデータを見つけた。カーンのアクセスコードを使い、設置プランにアクセスする。その時、おまえたち何をしていると言い一人のクリンゴン※15が入ってきた。

※15: (D. Elliot Woods 映画第9作 "Star Trek: Insurrection" 「スター・トレック 叛乱」の宇宙艦隊士官、ENT第10話 "Fortunate Son" 「復讐の連鎖」のノーシカン捕虜 (Nausicaan Prisoner) 役)

銃に手をかけるクリンゴン。コンピューターコアのチェックを行っているところだ、ナビゲーションコントロールシステムに動作不良が起きたものでというカーン。そんな報告は聞いていないというクリンゴン人。ウォーフが聞き漏らしたのではないかというと、見ない顔だなという。私はソヴァル少佐※16、ムトクラの息子だというウォーフ。クリンゴンがいつからこの船にというと、貴様階級は中尉だな、格下に尋問される覚えはないというウォーフ。首にして次の輸送船で送り返すぞという。気を悪くされたならお許しをというクリンゴン人。チェックのお手伝いをというとウォーフはそれには及ばないと後ろを向いた。その瞬間、カーンはディスラプターを発射した。吹き飛び倒れるクリンゴン。なぜ撃った、こいつは下がろうとしていたのにというウォーフ。カーンは死んだクリンゴン人の腕に隠されていたナイフを見せ、兄さんを殺す気だったという。急ごう、今の発砲で警報が作動したはずだというウォーフ。こいつは任務に忠実だった、それを俺は殺してしまったというカーン。俺の誇りも地に落ちたといった。少しカーンを見つめ、再び作業に戻るウォーフ。
ウォーフはパネルの機雷分布図の前で、機雷の解除コードを入手したという。一つずつでもまとめてでも解除できる。キラとオブライエンは早速出動する。よくやってくれた、カーンにも礼を言っておいてくれというシスコ。ありがとうございますと礼をいうウォーフ。シスコも出ていった。あまり嬉しくなさそうねというダックス。殺したクリンゴン兵士が気にかかってというウォーフ。正当防衛でしょというダックス。ウォーフは殺意を見抜けなかったことだという。報告によればあなたの位置からは後ろに隠したナイフは見えなかったんでしょうというダックス。俺は奴の目をまっすぐに見据えたが、それでも殺意を見抜けなかったというウォーフ。カーンは3メートルも離れていたのに気づいた。ダックスは相手が殺意を持っているかどうか分かるわけはないという。クリンゴンなら直感でわかる、相手の目を見れば瞬間的に判断できるが俺にはその直感がないという。カーンの言うとおり、クリンゴンとしての感覚を失ってしまっているというウォーフ。ずっと俺はクリンゴン帝国と連邦の中間に立とうと努めてきた、状況に応じてどちらの世界でも生きていけるように、だがこれでクリンゴンに戻れないことははっきりしたという。戻りたいのと聞くダックス。ウォーフはいつの日かモーグの一族が名誉を取り戻し、自分もクリンゴン帝国に戻ることを夢見ていたという。だが戻れたとしても俺の居場所はない、ここで生きていくしかないといい胸のバッジを外し見つめるウォーフ。それでいいのと聞くダックス。俺はまだいい、だがカーンはここでは生きていけないという。カーンにはクリンゴン帝国だけが世界の全てだからだ。ダックスはまさかまたモクトヴァの儀式をやるつもりじゃないでしょうねという。名誉あるクリンゴンの儀式だと言い聞かせ一度は実行したが、やはり連邦の人間のように抵抗を感じてしまうというウォーフ。殺せないとウォーフはいった。ダックスはカーンを殺さずに、存在を消す方法が、あるとしたらといった。
ディファイアントは座標に到着した。キラはチャンネルを開き、ベイジョー領域付近のクリンゴンに向かってこれから機雷を爆破する、全艦待避せよと伝えた。警告は一度しかしないという。だが反応はない。それならそれでいいわ、脅しじゃないことをわからせてあげましょうというキラ。安全装置を解除し、アルファ21の点火用意をさせる。点火コード送信。機雷が爆発し、スクリーンに明るい光が現れた。まだクリンゴンからの応答はない。キラはアルファ22からガンマ47までの全機雷の点火をさせた。次々と爆発する機雷。遮蔽して潜んでいたクリンゴン艦が1機、また1機と姿を現す。進行方向はクリンゴン領域だ。一匹残らず追い払ってやりましょうというキラ。
酒を飲み、置いてあったディスラプターを自分に向けるカーン。ウォーフが部屋に入ってきた。兄さん、なぜ自殺はクリンゴンにとって不名誉な死なんだろうなというカーン。戦士が自分の死に時を決めて何が悪いという。自殺したものは、血の川を渡りストヴォコルに入ることはできなくなるんだというウォーフ。それでもいい、たとえ地獄に落ちてもクリンゴンの同胞に会えるというカーン。ディスラプターを置けといわれ、机の上に置くカーン。どうして俺達兄弟は一緒に育てられなかったんだろう、クリンゴン帝国でも地球でもどこでもいい、一緒に育ちたかったという。それは俺も同じ気持ちだというウォーフ。カーンはもう遅い、戦士なら前を見据えなければという。再びディスラプターを取ろうとするが、ウォーフが取り上げる。俺が死ねば俺の名誉のために兄さんを縛らなくても済むというカーン。馬鹿なことを言うなというウォーフ。カーンは兄さんが理解できなかった、だがこれだけはわかる、あんたにはあんたなりの誇りを持って生きていることがといい、机の上に寝込んでしまう。お前の誇りも取り戻してやるぞ、別れ別れになろうともというウォーフ。
手術にかかる時間はと聞くダックス。記憶の消すのは比較的簡単で1時間もあれば済む、だが遺伝子コードの組み替えと外科手術で顔を変えるのは少なくとも5時間はかかるというベシア。カーンはベッドに横たわっている。言葉や生きていくのに必要なことは全て覚えていて、自分が何者かということ以外だ。目覚めたらまず、俺は誰だって聞くだろうというベシア。なんて答えるとウォーフに聞く。ウォーフはノグラ※17というモーグの友人がおり、2、3時間もすればここにくるという。ノグラがカーンに新しい名前を与え家族として迎えてくれるという。後のことは全て引き受けてくれたというウォーフ。本当に手術を始めていいのか、一度記憶を消したら元に戻すのはほとんど不可能だというベシア。君のことも、本当の自分も二度と思い出せないという。これしか道はない、初めてくれと言いウォーフは出ていった。準備を始めるベシア。
ノグラがロデック※18と呼びかける。整形されたカーンが目を覚ました。ここはどこなんだと聞くカーン。連邦の宇宙ステーションだ、シャトルが事故に遭いプラズマ放電を浴びてしまったのだというノグラ。全く覚えていない、なぜだというカーン。ベシアはプラズマで脳の一部に損傷を受け、そのため記憶喪失が起こっているという。記憶を全部取り返すことは無理かもしれないという。俺の名は何だというカーン。ノグラはお前の名はロデック、わしの息子だといった。お前はノグラ一族の一員、小さいながらも誇り高き一族だという。何も覚えていなくても教えてやる、故郷へ帰ろうというノグラ。ありがとう父上というカーン。入り口に立っているウォーフに、あんたはと聞くカーン。俺はウォーフという。家族の一人かと聞かれ、ウォーフは俺に家族はないといった。ノグラの後を追って出て行くカーン。ダックスは何も言わず、ウォーフの肩に手を置いた。ウォーフは医療室を出て、一人プロムナードの中を歩いていくのだった。

※16: Commander Sorval

※17: Noggra (ロバート・ドキー Robert DoQui)

※18: Rodek


・感想
久しぶりに登場したウォーフの弟であるカーンですが、地位も名誉も失った彼は結局新しい人生を歩むことになります。もしこれから「ロデック」に会ったとしても、ウォーフはカーンと呼ぶことはできないわけです。クリンゴンを理解しているダックスとウォーフとのつながりも見られ、2人の関係が強まったような気もします。余談ですが、クリンゴンが中心のエピソードは、なぜか邦題が直訳ですね (第39話 "Blook Oath" 「血の誓い」、第81話 "The Sword of Kahless" 「カーレスの剣」)。


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