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ディープスペースナイン エピソードガイド
第69話「クワークの母」
Family Business

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・イントロダクション
※1シスコが自室で、鼻歌を歌いながら料理を作っている。部屋へ帰ってくるジェイク。夕食ができているぞというシスコ。ジェイクは連邦大使のペルジェナイト※2訪問の話がまとまったことを知っていた。なぜわかるのかと聞くシスコ。パプリカを作っているときは機嫌がいいときだけだからというジェイク。勘がいいやつだというシスコに、父さんの子だからとジェイクはいう。ジェイクはグッドニュースがあるといい、イエイツ船長が戻ったことを伝える。キャシディ・イエイツ※3。この間ジェイクがシスコに紹介した人だ。明日の晩食事に誘おうかというジェイクに、会うとは言ったが自分のペースでやらせてくれというシスコ。絶対気に入るよと言うジェイク。わからんぞとシスコは言う。
クワークのバーは相変わらず盛況だ。ノーグは、とロムに聞くクワーク。ロムは休みをやったという。宇宙艦隊へ入るための入試勉強をさせるためだ※4。クワークはノーグを一族とフェレンギの面汚しだと言う。本当なら商売を手伝わなくてはいけないのに、地球人になろうとしているという。地球人になるんじゃない、艦隊に入りたいだけだというロム。クワークは同じだといい、フェレンギの前途ある青年が宇宙艦隊に入ると、あっと今にフェレンギ中の若者が艦隊の誓いを口にするようになってしまい、フェレンギの伝統もおしまいだという。ノーグは伝統を壊す気なんかない、割のいい仕事につきたいだけだというロム。その時バーへ一人のフェレンギ人が入って来た。クワークはどこかと聞き、クワークが俺だと答えると、そのフェレンギ人はFCAのブラント※5だと名乗る。FCAとは、フェレンギ会計監査局※6のことだ。そして、壁に立ち入り監査令状※7を貼る。それを見たクワークは言葉を失い、ロムは店を閉じるといい客を外に出させた。茫然とするクワーク。
※1: 今回の監督はレネ・オーバジョノー(オドー役)です。DS9第62話 "Prophet Motive" 「新・金儲けの秘訣」に続き2回目の監督作品になります

※2: Peljenite

※3: Kasidy Yates 前回のエピソード、第68話 "Explorers" 「夢の古代船」より

※4: 関連: DS9第60話 "Heart of Stone" 「可変種の定め」

※5: Brunt (ジェフリー・コムズ Jeffrey Combs DS9第54話 "Meridian" 「次元移動惑星M」のティロン (Tiron)、第95話 "To the Death" 「戦士の宿命」などのウェイユン (Weyoun)、VOY第135話 "Tsunkatse" 「囚われのファイター」のペンク (Penk)、ENT第7話 "The Andorian Incident" 「汚された聖地」などの Shran、ENT第19話 "Acquisition" 「獲物たちの罠」のクレム (Krem) 役)

※6: Ferengi Commerce Authority

※7: Writ of Accountability


・本編
ブラントが帳簿のチェックを行っている様子を見守るクワークとロム。ロムはどうやればFCAの監査官になれるか尋ねる。努力と賄賂と上司にへつらうこと、ほかの仕事と同じだというブラント。そして店の資産はこれですべてかと尋ねる。クワークは「そう」と、ロムは「違う」と答える。クワークはロムを黙らせ、これで全部だと改めて言う。ブラントは取り調べに対し財産隠しを行ったら、厳重に罰せられるという。わかっていますと答えるクワーク。もう一度確認といい、ブラントからパッドを見せてもらう。そして間違っているじゃないかといい、ロムに向かってチオラベリーワインのフランチャイズ収入が計上されていないという。でもあれは兄貴が、といおうとするロムをまた黙らせ、クワークはデータを取りにいく様に言う。ブラントに勘弁してやってくれという。ブラントは罰金だといって、パッドをクワークに渡す。罰金なんて聞いていないというクワークに、当然だ、まだ言っていないというブラント。クワークは失礼といって、ブラントに金を手渡す。罪状はフェレンギ商取引法※8第1027条第3項違反だというブラント。どういう内容かきくと、法律書を読んで調べろというブラント。クワーク今お持ちですかとまた金を渡し、ブラントはそれを受け取り法律書のパッドを手渡す。調べるクワーク。ロムが戻って来た。その違反内容は家族への監督不行き届きだった。ブラントは、アドレッド※9の娘にしてケルダー※10の妻、イシュカ※11の犯罪は、家長であるクワークの責任になるという。イシュカ、つまりクワークとロムの母親は、何をやらかしたのかとまた金をブラントに渡すクワーク。ブラントによると、イシュカは女性であるにも関わらず商いをし、金を稼いだという。マミー※12が、というロム。頭をかかえるクワーク。
保安室のオドーのところにクワークがやってきた。留守の間店の警備を頼む、なにか壊されたり盗まれたり、あとロムが店のものに手を出さないようにという。どうしたんだと聞くオドーに、用があって故郷に帰ると答える。FCAともめごとかというオドーに、なぜ知ってるというクワーク。イシュカに罪を認める供述書を書かせたら、すぐに戻ってくるという。何をしたとオドーは聞くがクワークは答えず、とにかく罪を認めさせ、供述書を書かせ、そして共犯者の男の名前を吐かせたら帰ってくるという。吐くと思うのかと聞くオドーに、吐いてもらうというクワーク。あの女に巨額の賠償金を払って、一文無しになる気はない、いざとなれば供述書なんか自分で書いてやるという。あの女といったクワークに対し、お前の母親だろうというオドーに、言わないでくれといってクワークは出ていった。
シスコとキラが司令室に入って来た。キラは新しいシャトルが到着したというのでオブライエンが見に来てくださいといっていたという。後でいくように伝えておいてくれといい、シャトルの名前はルビコン※13にしようというシスコ。地球にはずいぶん川があるんですねとキラは言う。シスコを見ると、ダックスはもう会ったかどうか聞く。イエイツ船長のことだ。どうして知っているのかと聞くシスコ。ダックスはジェイクから紹介されたといい、今晩食事に誘うのか尋ねる。どうしたものかというシスコ。どうだったと聞くシスコに、私がクルゾンなら横取りして口説いてるというダックス。そういう点では君がクルゾンで良かったといい、司令官室に入るシスコ。
フェレンギ人たちが荷物をかかえ、エアロックに向かっている。クワークに自分もいくというロム。店に残って番をしていろというクワーク。どうせ店は開けられないのにというロムに、本当の理由はあいつの味方をするからだというクワーク。マミーのことというロム。マミーと呼ぶのは止めろ、みっともないといい、マミーは気に入っているとロム。ほら肩を持つ、というクワーク。自分たちが味方をしなけりゃ誰がする、絶対ついて行くというロム。クワークはわかった、但し一つ言っておくという。「これは俺とマミーの、いやおふくろの問題だ。」邪魔したら承知しないぞといい、荷物をロムに渡した。

※8: Ferengi Trade By-Laws

※9: Adred

※10: Keldar

※11: Ishka

※12: Moogie

※13: U.S.S. Rubicon ダニューブ級、NCC-72936。DS9第67話 "The Die Is Cast" 「姿なき連合艦隊(後)」で1機失ったため、補充


フェレンギナー※14。雨が降りしきる中、クワークたちは家に帰って来た。ブラントから入場料を受け取り、入り口においてある布を渡す。3人はその布で頭をふく。そしてこの家は自分の家だと言うクワーク※15。やっぱり我が家はいいねと言うロムだが、クワークは別に、と素っ気無い。20年ぶりなのにというロムに、もう20年帰れなくたって平気だと言うクワーク。家の中を見て、またいろいろ買ったみたいだというロム。慌てて、兄貴があげた生活費でという。机の上の歯磨き器※16を見て、懐かしい、子供の頃に買ってもらったラチナムの歯磨き器だと言うロム。クワークは、自分のはただの木のスティックだったと言う。ブラントは思い出に浸っているところ悪いが、仕事で来ているんでねといい、イシュカが犯した罪のリストを3日間の猶予期間中に作るように言う。もし自白供述書が得られない場合は、イシュカは奴隷として売りに出され、賠償金の分だけ働いてもらうというブラント。何か質問はないかと聞くと、特に何もないと答えたのはイシュカ※17だった。どっちにしろ自白する気はないという。マミーと駆け寄るロムに、元気そうだねというイシュカ。イシュカは服を着ていた。信じられないという様子で、クワークにお前の母親は服を着るのかと言うブラント。クワークはイシュカにすぐ服を脱ぐように言う。お前はちっとも変わっていないねというイシュカ。ブラントは目を背けながら、私は失礼しようと言う。さっさと帰りなさいというイシュカに、今私に話しかけたかというブラント。クワークは否定するが、ここは私の家だ、何をしようと勝手でしょうというイシュカ。女性が他人と口をきいてはとロムがいうが、いいのよ、平気だからとイシュカはいう。ブラントは女性に話しかけられるなど屈辱だといい、出て行こうとする。待ってくれというクワークだが、3日間だぞといいブラントはでていった。どうしてくれるというクワーク。ロムが脅えてるというイシュカ。いい気なもんだ、どんなに苦労してるかも知らないでという。イシュカはいつもお前のことを心配しているという。だったら早く拇印を押して服を脱ぐように言うクワーク。その話だったらお断りだというイシュカ。そうは行かない、早いところ帰りたいというクワーク。もう帰るのというロムに、ゆっくりしておいきというイシュカ。だがクワークには帰りたけりゃ早く帰ればいいだろといい、奥へ歩いていった。変わらないなあというロム。
オブライエンとベシアは、バーの扉を開けようとしている。そんなに急いで開ける必要があるんですかねというオドー。2人は店から自分たちのダーツボードを出したいのだ。レプリケーターで作ればいいのにというオドーだが、そういう問題じゃない、自分のものを取り返して何が悪いというオブライエン。もしこのまま店が差し押さえになったら、その前に取り返しておかなければという。当然の権利だというベシア。オドーはそう簡単にはいかないだろうという。これはロムが作った特別安全ロックで、こんなに複雑なものは見たことがないという。そこへどうしたんだとシスコがやって来た。状況を説明するオドー。あれか、幸運のダーツボードというシスコに、オブライエンは幸運のなんて呼んでいない、ベシアはただあれが好きなだけだという。機嫌が悪い様だな、でもこのキーは開けるには相当時間がかかるぞというシスコ。何かあれば、私は貨物室の、といったところでオブライエンが4でしょという。いや、6だがというシスコ。失礼というオブライエン。てっきり会いに行くのだと思ったという。輸送船の船長にというベシア。誰に聞いたんだというシスコに、オブライエンからというベシア。オブライエンは何も言わない。ジェイクはいったい何人に話したんだというシスコ。オブライエンはみんなにですよと言い、また鍵開けに取り組み始めた。

※14: Ferenginar 初登場ですが、セリフ中にはありません

※15: Ferengi welcoming ceremony と呼ばれる、家に入るときにする儀式です

※16: tooth sharpener

※17: (アンドレア・マーティン Andrea Martin 有名なエミー賞受賞者らしい)


ロムがごちそうだ、兄貴の好物だろうと言って料理を運んで来た。おふくろの仕事だろうというクワーク。気分が悪いんだってとロムが言うと、クワークは丁度いいじゃないかと言う。病気のせいで精神的に不安定だと言えば、FCAもおとがめなしにしてくれるかもしれないという。ただのじんましんだというロム。服を着るとアレルギーで出るという。じんましんぐらいで料理を作らないのかといい、柔らかくかみ砕いてもいない※18というクワーク。昔からかみ砕くのは嫌いだからというロム。息子に出す料理でもとクワークは言う。それがマミーの主義だからというロムに、子供の頃よくからかわれただろうと言うクワーク。お前のおふくろは食べ物をかみ砕いてもくれないと。どれだけ恥をかいたか忘れたのかと言うクワーク。親父も気の毒に、よく夜中に一人で、あいつをどう扱えばいいかわからないとこぼしていたという。稼ぎが悪かったのも、女房に悩まされていたせいだというクワークに、親父はきちんと稼いでいたというロム。おふくろがきちんとしていればもっと稼げたとクワークは言う。ここらで誰かが懲らしめてやらなくてはだめなんだよというクワークに、いつのまにか部屋に入って来たイシュカがその役目は誰がやるつもりという。料理の匂いをかぎ、ジメジメしてておいしそうだというイシュカ。クワークが話があるというと、供述書のことならお断り、拇印も押さないというイシュカ。供述書を書いても経歴には傷はつかない、ただ罪を認めて共犯者の男の名前をFCAにいってくれればいいとクワークは言う。マミーは何をしたのと聞くロム。そんなことはどうでもいいというが、イシュカが自分で言おうかというのでクワークがわかったよといい話す。イシュカはヒュプリアンのカブトムシ農場に投資していたのだ。あそこのカブトムシは儲かるというイシュカ。いくら儲けたのか聞くロム。イシュカはラチナムの延べ棒3本だと答える。ロムはたった3本だけといい、そんなことで目くじらを立てているのと言う。額が問題ではない、女が商売しちゃいけないというのを破ったんだと言うクワーク。イシュカはなぜいけないのといい、2人は立ち上がり顔を向きあわせる。法律で決まっているからだと言うクワーク。法律がなければ、社会がめちゃくちゃになってしまうというと、こんな社会一回めちゃくちゃになった方がいいというイシュカ。ふとロムが、父さんが生きてたらなあ、こんな風に家族がテーブルを囲んで話し合うのは昔みたいだと言う。それを聞いた2人はため息をつき、またいすに座る。母さんがほかの女とは違うのはわかるというクワーク。誉めてるのか、それともけなしてるのというイシュカ。事実だというクワーク。もしこのまま供述書を書かなかったら、奴隷として売られてしまうのも事実だという。たったの3ラチナムじゃないかと言うロム。3ラチナムのために家を破滅させたいのかというクワーク。公になれば、商売してくれる相手なんていなくなるという。頼むよ、家族を守るためだと思って、息子の将来のためだと思って供述書を書いてくれというクワーク。だがイシュカはできない、わかってくれるだろという。クワークはわかった、あんたは家族のことを考えない自分勝手な女だ、親父も自分もどうでもいいのさといい、歩いていった。
ロムがイシュカと共に部屋に入って来た。マミーのベッドルーム変わってないねというロム。フェレンギの文化が女にどんなに古風な伝統を押し付けているかを忘れないために、このままにしているというイシュカ。ロムはなぜか落ち着きがない。どうかしたのと聞くイシュカ。どうやらイシュカが服を着ているのが気にかかるらしい。お前のためならといって、イシュカは服を脱いだ。ほっとするというロム。供述書に拇印を押してくれないと、兄貴は困るんだという。本当にそうみたいだねえというイシュカ。兄貴はあの通り、頑固で威張ってるしずるはするし横暴で横柄で、でも働き者で店は繁盛しているとロムは言う。マミーに見せたいという。イシュカは見に行きたいというが、伝統ではフェレンギの女性は旅行をしてはいけないことになっている。ロムは兄貴は言わないよというが、伝統に従うでしょうというイシュカ。常識人だからねとロムがいうと、時代遅れの頭の古い男なのよという。ロムはラチナム3本を返してあげてという。そうでないと兄貴が稼いで来た分が水の泡になってしまうという。イシュカは本当に優しいねえ、クワークも誠実な弟がいてありがたいと思わなければというと、ロムは思ってるよ、ただ顔に出さないだけという。FCAに協力してくれたら、マミーの生活手当を増やしてもらうように兄貴に掛け合うという。だがイシュカはお金の問題ではないという。今でもクワークは十分な手当てを送ってきてくれている、これはプライドの問題だという。男と同じくらい稼ぐ能力があるのにどうして使ってはいけないのか、もし供述書にサインすれば自分が悪いことを認めてしまうことになるというイシュカ。それくらいなら売り飛ばされて、奴隷にでもなった方がいいという。でも兄貴の将来は、というロムに、あの子は賢い子だから自分で何とかなるよというイシュカ。人の心配ばかりしていないで、歯を見せてごらんという。どうしてと聞くロム。先が丸くなってるよというと、歯を磨いてあげるといい歯磨き器を手に取る。優しいなあというロム。イシュカは歯磨きを始めた。
貨物の整理をしている人たちがいる。数人の異星人と、一人の女性だ。異星人の一人が荷物を落とすと、怪我する前に反重力ユニットを持ってくるようにいうその女性。シスコがやって来た。転送装置で直接転送すればというシスコ。だが荷物は不安定なバイオ物質だという。シスコは支障はない、フェイズ転移コントローラーを調整すればいいと言うが、転送装置がまだバージョン7ではなく、5のためできないという女性。バージョン5は15年前に製造中止になったものだが、ペタリア人※19の下で働くときには仕方がないと女性は言う。階級章を見て、もしかしてシスコ中佐ねという女性。彼女はキャシディ・イエイツ※20と自己紹介する。シスコはジェイクから聞いているという。ジェイクはキューピッドになりたくて仕方がないみたいというイエイツ。悪気はないんですが、先走ってしまってというシスコ。奥で音がした。荷物が崩れたみたいというイエイツ。手伝いましょうというシスコを断る。ジェイクが失礼を、というシスコにイエイツは明日の夜にお茶でもという。シスコはいいですねという。
クワークはコンピュータを操作している。ロムがやってきて、あくびをすると我が家はよく眠れるねという。マミーはまだ寝ているのかなというと、クワークは派手に動いているという。イシュカ自身のことではなく、稼ぎのことだ。ラチナム3本どころではなく、追跡できないほど多額の商売をしていたというクワーク。何十もの偽名を使って、フェレンギ同盟のあらゆる連中を相手にしていた。これがどういう意味かわかるかというクワーク。マミーが商売の才能があるってことというロム。クワークは、自分の財産を全て売り払っても返済できないほどだという。「おしまいだ。」

※18: これもフェレンギの伝統。DS9第59話 "Life Support" 「バライルの死」より。出された料理は tube grubs (DS9第11話 "The Nagus" 「宇宙商人フェレンギ星人」)

※19: Petarian

※20: (Penny Johnson TNG第165話 "Homeward" 「亡びゆく惑星」のドバラ(Dobara)役)


クワークはいすに座り、うつろな表情をしている。ロムが呼んでも返事をしない。大丈夫かいと聞くロムに、うんと唸るクワーク。ロムはさすが兄貴だ、普通の人ならパニックになるのに、冷静だという。賢い人は違う、じっと座って問題を見つめ直し、解決策を見出すという。もう思い付いたといい、ロムが持って来た飲み物を飲むクワーク。さすが、どうすんのと聞くロム。クワークは、おふくろを殺すといった。叫ぶロム、「マミー!」
ベッドに寝転がり、パッドを操作しているイシュカ。クワークが入ってくると慌てて後ろに隠す。今のパッドを見せろというクワーク。イシュカは、クワークのいとこのストル※21に手紙を書いていたというが、クワークはパッドを取り上げる。それを見てやっぱりな、資産隠しをしても無駄だという。けちな事業のことはばれてるという。イシュカがけちな事業じゃないというと、認めるんだなというクワーク。ロムはこれにはわけがあるんだという。フェレンギが金を稼ぐのにいつから理由が必要になったのかいというイシュカ。あんたは女だぞというクワーク。金儲けにかけてはそこらへんの男や、あんたには負けないというイシュカ。これだけのことを女一人でできるはずはない。共犯者がいるはずだ、認めてそいつの名前を言えとクワークは言う。FCAが二度と商売できない様にしてくれるというと、イシュカは笑い、本当に鈍いねえという。悪口を言っている場合じゃないとロムが言うが、イシュカは私への妬みでまともに頭もはたらかないみたいだからという。クワークは妬みと聞いて笑う。イシュカは妬みだ、あんたも父さんと同じだという。なぜ父さんと妬むのかと聞くクワーク。私には商売の才能はあるのに、父さんにはなかったからだというイシュカ。アドバイスしようとしても聞きいれてくれなかったというと、当たり前じゃないか、女はビジネスをするもんじゃないというクワーク。わけを言ってごらんというイシュカ。悪いことだからとクワークが言うと、ましな説明はないのとイシュカはいう。法律でそう決まっているからだ、それ以上の理由はいらないというクワーク。イシュカはあんたも父さんも、偏見で凝り固まっているという。父さんは商売に関してはクズだったといい、気をつけないとクワークも父さんみたいになってしまうという。もうたくさんだといい、パッドを持ちFCAに行ってくるというクワーク。あんたがあれだけの金をため込んだと知ったら、連中はどうするかなといい部屋を出て行く。追いかけるロム。
ロムはクワークの手をつかみ、マミーを傷つけたら許さないという。邪魔だ、もう母親じゃないというクワークに、マミーが言ったことは本当だという。父さんを侮辱するのかと言うクワーク。父さんのことだったら、自分の方が良く知っているという。クワークは成人するとすぐ家を出たが、ロムはそれから10年家に残ったのだ。10年あれば見えてくる、父さんには商売の才能はなかったというロム。取り消せと言うクワーク。本当のことだとロムはいい、黙れとクワークは耳を塞ぐ。父さんはそんな取り引きにばかり手を出して、金をズボンに縫い付けておかないと使いきってしまうような人だったと言うロム。そして取っ組み合いのけんかが始まってしまった。部屋中のものを巻き込みながらけんかは続く。イシュカがやってきた。やめるようにいうイシュカ。2人の耳をつかんで離させた。FCAに行くっていうのなら行かしておやりというイシュカ。クワークは慌てて外に出る。イシュカはうなだれるのだった。
クワークはふうふう言っている。商いの塔※22の40階まで、エレベーターの代金をけちって上がって来たからだ。パネルを見て、ダイリチウムは10%ダウンかというクワーク。秘書※23にブラントに会いに来たという。金を入れるようにいう秘書。呼んでいる間に座るようにいい、いくらかと聞くクワーク。ラチナム3枚だ。だが立っていれば1枚。クワークは2枚にまけさせる。供述書を秘書に預けるようにという伝言を伝えられると、クワークは直接会いたいという。フェレンギ同盟を揺るがす情報を持って来たという。そこへ兄貴待ってとやってくるロム。やはり疲れて、いすに座ろうとするがラチナム3枚と止める秘書。ロムはクワークに金を借り、代わりにクワークが払った。マミーから伝言がというロム。気が変わらないというクワークだが、ロムは山分けしてもいいという話をする。マミーの儲けを半分に山分けしてもいいというと、クワークは秘書にまた後で来るという。そしてエレベーターで降りようという。あれ高いよというロムだが、俺が出すといい、クワークは秘書にチップまで差し出した。

※21: Stol DS9第7話 "Q-Less" 「超生命体“Q”」でも言及

※22: Tower of Commerce "Prophet Motive" では、Temple of Commerce となっていました

※23: (Mel Green)


クワークのいる部屋に、ロムがイシュカを連れてくる。さっきは悪かったと謝るクワーク。頭に血が上っていたんだという。イシュカは水に流しましょうという。お前が過ちを犯す前にロムが止めてくれて良かったという。あれだけの利益を捨てるのはもったいないというクワーク。いくら儲けたんだと聞く。分けるにはいくらか聞いておかないとというクワークに、誰がそんなこと言ったの、稼ぎを認めてくれるっていう話じゃなかったのというイシュカ。そんなこと言っていないというクワーク。2人はロムを見る。ロムは嘘をついていたのだ。こうでもしないと話し合ってくれないじゃないかというロム。クワークは話すことなんかないといい、出ていくときにドアに耳を挟まない様に気をつけなというイシュカ。けんかは止めてよというロム。家族がバラバラになるなんて許さないという。ロムはクワークにカーデシア相手だって言わないのに自分の母親になんて口をきくんだという。イシュカにも、財産を隠してもそのうちFCAに見つかるという。そうなったら没収だ、もう一度よく考えるようにいうロム。これから2人でよく話し合って、結論が出るまでこの部屋から出てはだめだというロム。怒鳴りあいはだめ、というと、一眠りしてくるといい出ていった。
イシュカは微笑み、あの子はいい子だねという。責任がないから言えるんだというクワーク。あの子に厳しいねと言うイシュカ。昔からそうだったと言うと、母さんが甘いからだというクワーク。母さんが教育すればものになったのかも知れないのにという。無理だろう、ロムは商売に関しては父さん似だものと言うイシュカ。侮辱してそんなに楽しいかと言うクワークに、誰も侮辱なんかしていないという。ロムは父親に似てしまったが、クワークは母さんにそっくりだという。俺が、母さんにというクワーク。フェレンギの金儲けの秘訣を最初に教えたのは父親だが、暗記するのを手伝ったのはイシュカだった。全285条を間違えずに言えたときには本当に嬉しかった、鼻が高かったというイシュカ。あれならロムだって暗記してるよと言うクワークに、でもあんたは意味を理解しているという。ロムは父さんと同じで上っ面だけだという。イシュカはでもあの人は商売は駄目だったけど、家庭、そして家族のことはわかっていた、最高の亭主だったと言う。あの人を愛していた、それと同じくらいロムも、クワークも愛しているというイシュカ。本当にというクワーク。嘘なんか言うもんかといい、お前が望むなら金を返してもいいと言うイシュカ。供述書も書いてくれるというクワークに、可愛い息子のためなら断れないという。助かる、感謝してもしきれないとクワークは言う。その分これからたっぷり親孝行してもらうというイシュカ。2人は笑う。マミー、愛してるよと言い、イシュカの膝の上に寝るクワーク。
シスコとイエンツがプロムナードでお茶を飲んでいる。ニューオーリンズはいいところだと話しているシスコ。イエイツはどこかそわそわしている。実はもう一つ用事があるのを忘れていたというイエイツ。勘違いしないで、家族のことだという。セスタス3号星※24のコロニーにいる弟のことだ。連邦の領域の反対側だというシスコ。あまりにも遠いため、亜空間通信が届くのに2週間もかかるといい、その弟から通信が入る予定になっているというイエイツ。悪い知らせじゃというシスコに、それはないわ、この前は靭帯を切ったというイエイツ。何をしたときにと聞くと、「セカンドにスライディング」をしたときにだという。シスコは驚き、もう一度聞き直す。野球みたいだなというシスコ。野球を知っているのというイエイツ。シスコは大好きなスポーツだ、200年前にすたれたがと答える※25。セスタス3号星では、半年前にリーグができたという。全然知らなかった、すごいことだと喜ぶシスコ。何チームあるのか聞き、6チームと答えるイエイツ。野球好きだったなんてというと、私とジェイクだけだと思っていたという。イエイツは、さっきの亜空間通信というのは試合の録画だという。弟が入っているパイクシティーパイオニアズ※26と、セスタスコメッツ※27のものだ。良かったら一緒に見ませんと誘うイエイツ。ぜひといい、席を立つシスコ。シスコはセスタスには指名打者制があるか、バットの材質は何かと立て続けに聞き、いい右ピッチャーがいるんだけどといい自分の右腕を叩く。笑うイエイツ。プロムナードの2階には、歩いて行く2人を嬉しそうにみつめるジェイクの姿があった。
クワークとロムが見ている前で、イシュカはブラントのパッドに拇印を押した。書類は整った、これで君たちも一つ学んだだろうというブラント。一つって、と聞くイシュカ。また私に口を聞いたかねというブラントをロムとクワークは否定し、一つとは何のことか聞くクワーク。FCAの目は絶対にごまかせないことだとブラントが言うと、骨身にしみたとクワークはいう。これはフェレンギの全女性に対する警告になるだろうというと、クワークはこれは公表しない方がいいんではといい、金の入った袋を取り出す。フェレンギの女性があれだけ儲かったとみんなが知るとなると、というとブラントはそれもそうだなと袋を受け取った。2度と会わないですむように祈っているといい、笑いながら出て行くブラント。イシュカはやっと出ていってせいせいしたといい、再び服を着る。それをクワークが非難すると、結構な金を手放したんだから小言は聞きたくないという。わかった、どうせ俺はもう帰るんだと言うクワーク。もう帰るのとイシュカが言うと、稼がないと家が干上がってしまうというクワーク。連絡よこしなさい、たまには顔も見せてというイシュカ。わかった、約束するというクワーク。そしてロムを呼ぶ。後で行くよと言うロム。クワークはもう一度振り返ってから手を振ると、離れていった。仲直りできて良かったねというロム。これからはクワークとも仲良くやっていけそうだというイシュカ。ロムは、でもFCAに払ったのが儲けのほんの3分の1だと兄貴が知ったら、という。イシュカは3分の1でも多い方だという。もっとうまく隠しておくべきだったという。もうFCAに見つからないかロムが聞くと、イシュカはうまく隠したから自分でもわからないと笑う。笑いながら荷物を取るロム。だがその声は泣き声に変わる。こっちまで泣けてくる、クワークが待っているからはやくお行きというイシュカ。イシュカは手を振り、クワークのことをよろしく頼むよという。ロムも手を振ると、歩いていった。イシュカは一人、ため息をつくのだった。

※24: Cestus III TOS 第19話 "Arena" 「怪獣ゴーンとの決闘」で、ゴーン人の攻撃を受けた惑星。現在は連邦の住民もいるようです

※25: つまり2171年までということになります…

※26: Pike City Pioneers パイクということは、やはりあのクリストファー・パイク?

※27: Cestus Comets


・感想
クワークの家族について、そしてフェレンギの社会と伝統について詳しく描かれます。フェレンギの女性の登場は、覚えている限りでは2回目です。フェレンギではどこに行ってもお金のいるものなんですね。そして、最後に笑ったのはやはりイシュカでした。また、後にも登場するイエイツ船長が初登場しました。野球が200年前に廃れていたとは…なんとも。


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