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ディープスペースナイン エピソードガイド
第59話「バライルの死」
Life Support

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・イントロダクション
プロムナードを歩いているジェイクに、声をかける女性がいる。ベイジョーに行っていたリアン※1だ。早く戻って来たといい、ジェイクのことを考えていたというリアン。ジェイク、オラクと3人で食べたクリンゴン料理の店の前を通ったという。君がガー※2を食べた店だねというジェイク。オラクに会わないなとジェイクが言うと、つい最近別れたとリアンはいう。明日の夜は暇かどうか聞くリアン。ジェイクはノーグとドムジョット※3の約束をしていたが、結局リアンと食事をすることにする。クリンゴン料理の店で6時にというリアン。今度はガーを食べるのはやめようとジェイクはいう。また明日ねといって歩いていくリアン。その後ろ姿を見つめるジェイク。その時保安室からオドーとオブライエンたちが飛び出して来た。どいてといいながらプロムナードの人々の中を駆け抜けていく。
エアロックにはベシアと看護婦のジャバラ※4もやってきた。オブライエンによると、ベイジョーからの船が途中で事故に遭い、負傷者が出たという。プラズマコイルから漏れがあり、直接診療室に転送することもできない。扉が開く。次々と降りてくる人の中には、カイ・ウィン※5もいた。バライルを診てあげてとベシアにいうウィン。バライル※6は意識を失い、抱えられて出て来た。オドーはキラに至急診療室に来るように伝える。ヴェデク・バライルが重傷を負ったと告げられると、キラは言葉を失いすぐに向かった。

※1: Leanne (Lark Voorhies) 地球人

※2: ガーグ gagh TNG 第34話 "A Matter of Honor" 「錯綜した美学」など

※3: dom-jot DS9 第52話 "The Abandoned" 「捨て子の秘密」より

※4: Jabara (Ann Gillespie) DS9 第5話 "Babel" 「恐怖のウイルス」などにも登場。ベイジョー人

※5: Kai Winn (ルイーズ・フレッチャー Louise Fletcher) DS9 第44話 "The Collaborator" 「密告者」以来カイになってはじめての登場。今回から声優が変わっています

※6: Vedek Bareil (フィリップ・アングリム Philip Anglim) DS9 第56話 "Fascination" 「恋の感謝祭」以来の登場


・本編
ウィンの怪我は大したことはなく、すぐに治療は終わった。オブライエンがシスコに事故の原因を報告する。プラズマコンジットに分子亀裂があり、あれでは爆発するのも無理はないというオブライエン。テロの可能性はと聞くウィン。それはないというオブライエン。キラは狙われる理由があるんですかと聞くが、ウィンはシスコと2人だけで話したいという。
バライルの手術が行われている。圧力フィールド※7が使われるが、動脈の損傷が激しく出血が止まらない。心停止が起こる。ベシアは心臓にショックを与えるがそれもあまり効果はない。神経伝達物質のレベルも下がっているというジャバラ。ベシアはコルドラジン※82ccを投与する。シナプスが損傷し、脳幹の神経を直接刺激するようにいうベシア。
ウィンは、バライルと共にカーデシア中央司令部のメンバーと極秘交渉に臨むことをシスコに話す。ベイジョーとカーデシアの間に話し合いの場を設け、いずれは恒久的な和平協定を結ぶというウィン。密かに交渉を進めていたんですかと聞くシスコに、ウィンは預言者の教えだといい、「武力で勝っても、敵は敵のままである。平和こそが敵を友にする」という。バライルはカーデシアのタレル特使※9との話し合いに備え、5ヶ月前から準備して来たというウィン。話し合いは賠償金問題から外交団の派遣にまで及び、ベイジョーが占領時代に受けたさまざまな苦しみに対し、カーデシアから正式な謝罪が行われる可能性もあるという。そしてタレルと直接話す矢先にこの事故が起こった。シスコは悪く取らないで下さいと前置きし、ウィン一人でこんな和平交渉を描いたとは思えないという。多くはバライルに負っているというウィン。バライルを感謝しているということですかとシスコが聞くと、ウィンはバライルは自分がカイに選出されてからずっと支えてくれたという。自分ならあれほど寛容にはなれないというウィン。和平交渉はすべてバライルが取り仕切ってきており、彼がいなくなれば交渉はまとまらないでしょうとウィンは言った。
キラのところにベシアが近寄る。残念です、神経経路の損傷がひどく救えなかったというベシア。キラはわかっているという。バライルは意識を取り戻したか聞く。ベシアはいいえ、苦しみませんでしたと答える。キラが司令室に戻ろうとすると、ベシアは君がいなくても司令室は大丈夫だろうという。心配してくれてありがとう、でも仕事をしていたい気分だというキラ。私なりに死を悼むといって離れていった。
ベシアは診療室に戻ってくる。検死の準備ができたことを伝えるジャバラ。ベシアは保存フィールドを解除し、装置を取り付けて神経のスキャンを始める。神経組織のサンプルを取る。モニターを見るベシア。すると一瞬、画面の脳の中に光が走った。ジャバラを呼び、モニターを見るように言う。再び光が走る。神経はまだ、脳に向かって信号を送っていた。ジャバラは脳の活動はゼロだという。しかし身体は信号を送りつづけている。ベシアは爆発の放射で、末梢神経細胞が強化されたんだろうという。もしニューロンを活性化させれば、蘇生できるかもしれないというベシア。40分も脳には酸素が通っていないとジャバラは言うが、保存フィールドの中にいて、さらに神経が強化されていたから持ちこたえたのかも知れない。
バライルの脳に直接電気信号のバーストを送り込むことにする。カスケード効果が起こり、神経細胞が正常に働き出すかもしれないという。徐々に強い電圧を与えていくベシア。70ミリボルトにするようにいったところで、ジャバラはこれ以上無理だという。しかし耐性を高めるアイナプロヴァリン※10を投与したため大丈夫だというベシア。その刺激を与えた瞬間、バライルは息を吹き返し、目を開いた。驚くジャバラ。

※7: pressor

※8: cordrazine 治療のために使われる劇薬。TOS 第28話 "The City on the Edge of Forever" 「危険な過去への旅」など

※9: Legate Turrel

※10: inaprovaline TNG 第73話 "Transfigurations" 「輝きの中へ…」 吹き替えされていません


気は早いが完全に回復すると話すベシア。2週間で歩けるようになるというと、シスコが死んだ患者を2週間で歩けるようにできる医者はそういないという。ウィンも謙遜し過ぎだといい、ベシアには預言者がついているのねという。ベシアは運が良かった、放射で神経の軸索経路が強化されていたから蘇生できたと話す。バライルは誰のおかげにしろありがとうございますという。そしてまだ仕事が残っているという。その通りだというウィン。カーデシアのタレル特使に暗号メッセージを送って、DS9へ来てもらうように打診するつもりだ。ベシアはまだ無理だという。アドバイスをしてくれるだけでいいというウィンに、患者を疲れさせないようにと念を押すベシア。ウィンは了解し、シスコと一緒に診療室を出ていった。バライルはキラを見ると、来月またスプリングボール※11をしてくれるかと誘う。キラはもちろん、でも私の方がぐっと有利だと言う。一度死んだからと聞くバライルに、キラは特訓したという。そして2人は手を握り合った。
ノーグがジェイクのところにやってくる。明日の夜のことだと言うジェイクに、ノーグはもう相手は見つけてあるという。ドムジョットなら負けないと自慢していた、テレリアン※12の3人組にあったという。問題があるというジェイクに、ノーグは俺達が勝つという。ジェイクはそうじゃない、都合が悪いという。ノーグはテレリアンが帰ってしまうから明日しかないというが、予定があるというジェイク。大事な予定なのかと聞くノーグ。デートなんだとジェイクが言うと、ノーグはすぐにそれなら話は別だという。金儲けもいいが女はもっといいと笑うノーグ。ノーグのポリシーだ。相手はリアンだとジェイクが言うと、俺の相手の名前はと聞くノーグ。リアンの友達を連れてこさせるように言う。困るというジェイクだが、3人でデートの方がいいのかと言うノーグ。ノーグは一つ言っておくというと、お前は女の子の扱いはまだまだだ、恥をかかせないようにしてくれという。努力するよと言うジェイク。楽しみだ、耳たぶを洗って出かけるかなといいまた笑うノーグ。
バライルはベッドの上で、現時点で発光体※13の返還を求めるのは早すぎるとウィンに話している。時間稼ぎだというウィンに、まずは和平協定を結ぶことが先決だというバライル。ベシアが入って来た。わかったというウィン。タレルとの第1回の話し合いは明日の午後で、その前にまた来るというと出ていった。バライルはベシアの顔を見て笑い、いい知らせではないんですねという。ベシアは蘇生のために神経系放射※14を与えたが、そのために動脈に異常が生じ、内臓に血液がうまく送られなくなってしまったと告げる。保存状態にして体を調べたいというベシアに、期間はいつまでと聞くバライル。それはもしかすると数年に及ぶ可能性もある。困るとバライルはいう。必要としているときに眠るわけにはいかない、目覚めたときに占領時代の記憶が人々を苦しめているようではという。重要なのはわかるが、医師としてあなたに責任があるというベシア。バライルはベイジョーの人々に責任があるという。今心を癒すのが任務だというバライル。ベシアは試験中の薬があることを話す。ヴァソキン※15といい、内臓への血液供給量を増やし、短期間は身体の状態を正常にする薬だ。しかし恐ろしい副作用があり、22%の症例でさまざまな器官への損傷が報告されている。時には脳まで冒されてしまう。バライルの状態では命に関わるが、数日間で身体は元に戻る。数日間のために命を無駄にしてはというベシアに、死にたいわけではないというバライル。預言者たちの意志を実現するためならなんでもやるという。保存室に入ってしまったら、この大事な時に何もできなくなるというバライル。そしてベシアの腕をつかみ、ヴァソキンの投与を願い出る。ベシアは午後から始めることにする。いい結果が出るのを祈るだけだというベシア。

※11: springball

※12: テレリア人 Terrellians TNG 第154話 "Liaisons" 「イヤール星の使者」で言及されたテレリア人 (Terellians) とは別

※13: オーブ、宝珠 Orb

※14: neurogenic radiation

※15: vasokin


宇宙暦48498.4。カーデシアのタレル特使が到着した。バライルはシスコにオブザーバーとして交渉に立ち会うように要請し、ウィンも同意した。タレル※16はカーデシアにはベイジョー人の捕虜は一人も残っていないという。シスコは公式にはいないかもしれないが、抑留者は大勢いるでしょうという。もちろん司法省が抑留している者はいるが、それはまた別のときに議論すべきだというタレル。それより戦争賠償について話をしたいといい、戦争時代に破壊したものについてはすべて賠償するという。ただしカーデシアがベイジョーに残して来た所有物を返してくれればの話だというタレル。返還してもらいたいもののリストは別に渡すという。今までの合意では、元々カーデシアのものは、今でも所有権があるわけだからというタレル。ウィンは検討するという。そしてタレルは休憩しましょうといって出ていった。何か企んでいるというウィン。シスコも同感だ。なぜ原則に固執しているのかわからない、バライルさえいればというウィン。バライルは今までの交渉を全て把握しており、タレルと渡り合ってきて一目置いているからだ。しかし回復しない以上一人で交渉を進めなければというシスコ。ウィンは精神的指導者に選ばれたが、交渉は任ではないという。バライルなしでは私には無理です、彼が死ねば交渉もそこで終わりだというウィン。
ダブルデートが始まった。リネンは父によくヴァルカンの自然保護区に連れていってもらい、だからヴァルカンには人がいないと思っていたと笑う。ノーグは小声でジェイクに、女のくせにしゃべりすぎだという。会話が止まった。ジェイクは慌てて、リネンの友達のリスカ※17に、おじさんはオシナー6※18でバーを経営していたよねと話しかける。このバーもノーグのおじが経営しているという。ノーグは下らない話はやめよう、女は笑っていればいいと言い出す。注意するジェイク。ノーグは任せておけといって、クワークから借りたホロスイートに行こうと持ち掛ける。戦闘もののプログラムだ。リスカは嫌がるが、ノーグはお前が嫌かは関係ないという。そして役に立てといって、料理を切り分けろとリスカに言う。冗談でしょというリスカ。ノーグは笑い出す。つられてほかの3人も笑う。何て馬鹿なんだ、完璧だとノーグはいった。リスカは帰るといい席を立つ。リネンもだ。ジェイクが止めようとするが、お2人でホロスイートを楽しんできてというと、リネンとリスカは帰っていった。ノーグはジェイクのせいだという。男と女を対等に扱いやがってという。ジェイクは二度と女の子は世話してやらないという。ノーグもドムジョットの相手を自分で見つけろといい、食事は終わった。
バライルはキラに付き添われながら苦しそうに、タレルは問題を蒸し返して譲歩を引き出そうとしていると話す。カーデシアの所有物の問題は、4年前の休戦協定で解決しているというようウィンに言う。必ずタレルは賠償金を払うというバライル。ベシアもやってきた。鉱山採掘の件をもちだされたらとウィンは聞くが、バライルは意識が途切れ答えられない。ウィンはベシアにもっと薬を投与するように頼むが、これ以上は無理だ。ウィンは和平交渉は6時間後に迫っている、議案書はあと40ページもあるのにという。ベシアは和平交渉など何の興味もない、医師には患者を直す義務があり、今必要なのは政治ではなく治療だという。ご自分から出て行かれますか、それとも保安班に放り出されたいですかとウィンにいうバライル。キラはその必要はない、私が連れ出すという。息の荒いバライルに、ウィンは預言者に身を委ねなさいといい、出ていった。キラは何かして欲しいことはないと聞き、バライルはそばにいて欲しいと答える。ベシアがトリコーダーでバライルの体を調べる、恐れていた通り副作用が起こり始めた。人工臓器を移植することはできるが、ヴァソキンを服用しつづける限り副作用はなくならない。保存療法を受けてくださいと頼むベシアだが、バライルはそれだけはできない、交渉さえ乗り切れればいいというのだった。

※16: (アンドリュー・プライン Andrew Prine TNG 第147話 "Frame of Mind" 「呪われた妄想」のスーナ役)

※17: Riska (Eva Loseth) 種族不明

※18: Osinar VI 吹き替えでは、「オシナー4」と誤訳


ウィンのいる部屋に、ベシアが入って来た。保安班を呼んで、この部屋からも追い出すつもりですかと聞くウィン。ベシアはまだ、そこまではしないという。バライルは人工内臓を移植し、1時間で意識を取り戻す。それを聞いてウィンは良かった、次の交渉の前までに確認しておきたいことがあるという。ベシアはそのことですが、といい椅子に座る。バライルに会ったら、アドバイスはいらない、一人でできるから大丈夫だといって欲しいと頼むベシア。ウィンは一人ではできないというが、それでもそう言って欲しいというベシア。バライルを義務感から開放できるのはウィンしかいない。それが嘘だと言うなら、嘘も方便だとベシアは言う。連邦の士官のセリフだとは思えないというウィン。ベシアは自分はまず医者で、患者には生きるチャンスを最大限に与えてやりたいと話す。それには保存療法しかない。交渉にかける決意が治療を拒んでおり、このままでは死んでしまうかもしれないというベシア。死を望んでいるわけではないが、患者には治療法を選ぶ権利があるのではないですかとウィンは言う。ベシアはそのとおりだと言う。その権利はあるが、バライルの気持ちを変えて欲しいとあえてお願いしているという。何も言わずに席を立つウィン。ベシアも立ち上がり、これはカイであるあなたの交渉でしょうという。見事交渉を成功させれば、名前は歴史に残り手柄は一人占めだという。交渉が成立するかはまだわからないというウィン。ベシアはもしも失敗すれば責任を取るスケープゴートがいるといい、あなたはずるいといった。自分の保身ばかりを考えているという。治療法はバライルが決めたことであり、私は干渉しないとウィンは言う。そして出て行こうとするベシアを呼びとめ、ウィンはあなたが言ったことを忘れませんよという。ベシアは僕もですよと言って戻っていった。
シスコと食事をしているジェイク。この前のダブルデートはどうだったと聞くシスコに、話すこともないという。クワークがジェイクとノーグは口も聞かないと言っていたというと、ノーグが悪い、あんなに恥ずかしい思いははじめてだと言うジェイク。リアンにも嫌われてしまった。シスコにダブルデートのときのことを話し、あれではまるで奴隷扱いだと言う。シスコはフェレンギ人の男はみんなそうだ、ノーグのせいじゃないという。ジェイクはシスコの言っていた通りだ、地球人とフェレンギ人とは決してわかりあえないという。確かに言ったが、ジェイクとノーグを見て反省したというシスコ。文化の違いを乗り越えて本当の友情を育ててきたじゃないかというと、ジェイクはこれからはデートに誘わないという。まずよく話し合ってみろとシスコは言う。ノーグが口を聞いてくれないかもと言うジェイクに、そこは思案のしどころだなとシスコは言った。
バライルは叫び声を上げ、苦しんでいる。駆けつけるベシア。モルフェノログ※192ccを投与する。あと3時間は面会は禁止だといっておいたはずだとジャバラに言うと、ウィンはバライルがいいアイデアがあるといって呼んだという。バライルの左脳は損傷を受けている。いいアイデアとやらは聞けましたか、とウィンに言うベシア。ヴァソキンに脳が冒されれば、もう2度と回復しませんからねと言うのだった。

※19: morphenolog

司令官室。バライルの意識が戻る可能性はないというベシア。ウィンは内臓のときには人工臓器を移植できたではないですか、脳に同じことはできないのか聞くが、ベシアは脳に関してはわかっていないことが多く危険が伴うという。医学部の教授は「脳には人間のきらめきが宿っている」とよく言っていたというベシア。脳移植を行えば、そのきらめきは失われてしまうかもしれないという。キラはこのままだと意識を取り戻さずに死んでしまうんでしょうという。バライルに意識があれば、何を望むだろうかと言うシスコ。ウィンはどんなことを犠牲を払っても交渉を成功させようとするだろうと言う。ベシアはウィンに、公平な意見が言えるとは思わないという。人間一人の命よりも重要なことがあるというウィンに、ベシアは何よりも人間の命を救いたいという。だがキラはウィンの言う通り、バライルは交渉を成功させようとすると思うという。ベシアは人工脳になればバライルは昔の彼じゃなくなるかもしれないという。でもバライルは交渉に心身を捧げ、保存療法を受けるのは望まないと思うというキラ。必ず回復するとは限らないからだ。そして手術をするように頼むキラ。バライルにはまだ仕事があるという。
パッドを持ち仕事をしているオドーのところに、ジェイクがやって来た。頼みがあるといい、逮捕して欲しいというジェイク。
ノーグが拘留室に連れられてくる。無茶苦茶だ、ソリアン※20の大使からは何も盗んでいないというノーグ。オドーは共犯者も犯行を否定しているという。なぜジェイクがいるのかと聞くノーグ。2人が夕べソリアンの大使の部屋に入ったのを見た人がいるとオドーは言う。ソリアンがどんな顔をしているかも知らないというノーグ。せめて独房にしてくれというが、収容法が気に入らないのなら上層部にいってくれというオドー。フォースフィールドを張り、出ていった。仕方なくジェイクの横に座るノーグ。
キラとウィンのところに、手術を終えたベシアが来る。陽電子インプラント※21は正常に動き、バライルは意識を取り戻した。部屋に入る2人。キラがバライルと呼びかけると、はいと答える。気分も前とは違うが良いというバライル。どんな風にと聞くキラに、手を触れてくれても現実とは思えないというバライル。はるか昔の記憶に残る感触のようだという。ベシアを見るキラ。ベシアは何も言わない。キラはバライルに、和平交渉を覚えていますかという。バライルはもちろんです、なんでもお申しつけくださいといった。
ノーグはどうもおかしいという。ロムが今度盗みをしたら、おばあちゃんのいるフェレンギホームワールドに送り返してしまうといっていたことを思い出す。だがロムは来ない。本当だったら怒鳴り散らしているはずだというノーグ。クワークが来ないのもおかしいという。そしてどうしてジェイクがいるんだという。オドーに聞けよというジェイクだが、逮捕はきっとオドーの考えじゃないというノーグ。ステーションの司令官の息子であるジェイクを逮捕するには、相当の証拠がないといけないという。どういうことか説明しろというノーグ。ジェイクはついにわかったといい、オドーに頼んだという。よほどの話なんだろうなというノーグに、この前は悪かったと謝るジェイク。フェレンギ人だということを忘れてたというと、この耳たぶを見ればわかるだろうというノーグ。いつも一緒にいるから、価値観が違うことを忘れてしまうとジェイクはいう。確かに違う、男と女を対等に扱うことは女々しいことで、吐き気がしそうだというノーグ。ジェイクは女に切り分けさせるなんて最低だというと、でも噛みくだかせなかっただろうというノーグ。伝統的なフェレンギの家庭では、女性が切り分け、自分でかみ砕いた料理を出すのだ。ほかにも吐き気をもよおすような習慣があるのか聞くジェイク。ノーグは地球の習慣で嫌なこともあるという。大人になればもっとぶつかるんだろうなというジェイク。でも一ついっておく、ずっと友達でいたいんだという。ノーグは今度からダブルデートはやめようという。ジェイクも今度こういうことになったら、喧嘩別れする前によく考えようという。2人の気はすんだ。そしてここを出ることにする。オドーを呼ぶジェイク。だが返事はない。きっとじらしているんだというジェイク。2人は叫んだ、「オドー!」
カイ・ウィンはカーデシアとの和平協定調印を発表し、その知らせはアルファ宇宙域に衝撃を与えた。双方とも、強硬な過激派の抵抗はあるものの、長い戦いに終止符が打たれた。観察ラウンジではパーティーが開かれている。ベシアにダックスが近寄り、パーティーなのに暗い顔をしてちゃだめでしょうという。ベシアは今日の僕は場を白けさせているという。誰も芸をやれとは言っていないが、楽しまなくては悪いというダックス。協定はベシアの手柄でもあるという。ベシアは手柄を立てた気持ちにはなれないという。あなたがいなければ、バライルはとっくに死んでいたというダックス。それは誇っていいことよという。
クワークがパーティー会場にやってきた。ウィンに近づき、ご紹介いたしますといって、一緒に持って来たお菓子を指差して「カイ・ウィン」だという。新作にウィンの名前をつけたのだ。そのチョコレートソフレ※22を指で少し取り、ウィンの口元に近づけるクワーク。だがウィンは光栄だわというだけで食べない。代わりに自分でクワークは食べ、お客への受けも良くて作るそばから売れていくという。その時通信が入り、緊急事態なのでベシアに至急医務室へ来るように伝える。すぐに向かうベシア。ウィンも会場を離れる。
今度はバライルの右の脳も冒されてしまった。キラは左脳と同じようにインプラントを埋め込めで助けられるんでしょという。しかしベシアはできないという。バライルに最後残った、人間である部分を取り除きたくはないという。ウィンはあきらめましょうという。キラはウィンのおかげで和平交渉は成立し、もうバライルはいらないのよねとウィンに詰め寄る。ウィンは私も辛い、預言者がバライルを呼んだという。ベイジョーはバライルの名を忘れないというウィン。そしてウィンは部屋を出ていった。キラはベシアにバライルを助けるように頼む。ベシアは静かにキラに言う。残りの脳を摘出し人工脳に置き換えてしまったら、見かけはバライルだがバライルではなくなってしまう。命のきらめきは失われ、死んだのと同じになる。そんなことはできないというベシア。何もしなければ死ぬのよというキラ。そうだ、彼は死ぬというベシア。でもそれは機械としてではなく、人間として死ぬのだ。ベシアはキラと争いたくない、いかせてやろうという。キラはうなずき、あとどれくらいと尋ねる。脳の活動が停止するまでは3時間だろうと答えるベシア。キラはそれまでここにいていいかしらと聞く。ベシアはもちろんだと答え、医療室を出ていった。
キラは一人、バライルに語りかける。和平協定は調印されたこと、もっと一緒に過ごしたかった、言いたいことはたくさんあったということ。今のうちに言っておくといい、バライルにキスをする。ステーションにバライルが来た日を一生忘れないという。バライルは落ち着いていて何事にも動じない様に見え、それが最初は気に障ったという。だがバライルを知るようになって、普通の人だとわかったというキラ。バライルは焦りや不安をあるがままに受け入れていた。そんなあなたを愛していたとキラは言うのだった。※23

※20: Tholians TOS 第64話 "The Tholian Web" 「異次元空間に入ったカーク船長の危機」に登場

※21: positronic implant

※22: Kai Winn souffle




※23: 余談ですが、本国では前回のエピソードとこのエピソードとの間に、新シリーズのヴォイジャー(第1・2話 "Caretaker, Part I and II" 「遥かなる地球へ」)が始まりました。宇宙暦からすると、第47話 "The Search, Part I" 「ドミニオンの野望(前)」から第54話 "Meridian" 「次元移動惑星M」の間になります


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