オドーがキラに保安部の人事や、ディファイアントの戦術モジュールに関する報告を行っている。だがキラは何か考えているようだ。どうかしましたと聞くオドー。キラはカイ・ウィンが首相になるなんてという。精神的指導者という事も納得できないのにというキラ。理想的な状況ではないというオドー。キラはそういう風に考えてるのは私たちだけだという。ほかの誰も来月の選挙に立候補していない、このままでは6年間もカイ・ウィンが首相になってしまうという。キラや私の見方は一般とは違う、ウィンとはしがらみがあるからというオドー。特にキラはバライルのことがあるからという。それもある、けれどウィンに政府の権力まで与えるのは間違っているというキラ。なにかしでかすとでもと聞くオドー。わからない、ただ不安だというキラ。権力を手に入れると離したがらない人だという。一般大衆はそうは見ていない、カーデシアとの和平樹立の功労者として尊敬されているというオドー。真の功労者はバライルだとキラが言うが、民衆はウィンのおかげだと思っている、あれだけ苦しめられたカーデシアと和平を結んだのだからというオドー。そんな大衆向けのイメージは嘘だというキラ。自分の事しか頭にない冷酷な人だという。何年もカーデシアを相手に戦ってきて、命懸けで手に入れた自由。その貴重な自由をなぜウィンに与えてしまうのだろうというキラ。オドーはいう、大衆は選択の自由を与えられると、誤った選択をする事も多いと。
キラは再び、ドゥラーニヤの前で祈っていた。ドアチャイムの音がする。入って来たのはカイ・ウィン※3だ。夜中にたずねてすまないというウィン。シスコは知っているのか尋ねるキラに、ウィンはキラに会いに来たのだという。ドゥラーニヤを見て、身内の人が亡くなったのか、それともケイレム首相を弔っているのか聞くウィン。バライルに祈っていたとキラは答える。バライルが預言者の下に去ったのは3ヶ月も前だとウィンが言うと、キラは愛していたのだという。私もそうよというウィンに、それならなぜ和平が成立したとき、バライルの功労に触れなかったのかというキラ。バライルは預言者の導きにしたがっただけだというウィン。和平が成立したこと自体が喜びで、自分自身の栄光や名誉は求めていなかったという。愛していたのならそれくらいのことは知っているでしょうというウィン。キラは何も答えず、話の用件を尋ねる。ラカンサ地方※4の事を知っているか聞くウィン。ラカンサは農業地帯で、ベイジョーでも特に肥沃な土地を持つ地方だ。だがカーデシアが撤退する際に有毒物質をまいたため、何も育たない荒れ野になってしまった。ウィンは、有毒物質を中和する装置※5を開発したという。それを使えば元の肥えた土地に戻す事ができるのだ。それが私に何の関係があるんですかと聞くキラ。ウィンによると、ラカンサは6ヶ月後が植え付けの季節で、来年の今ごろには豊かな実りが期待できるという。さまざまな作物は輸出でき、ほかの星と貿易できるようになれば惑星連邦への加盟申請も認められる可能性が高くなるというウィン。わかりますというキラ。しかし今はその土壌改良機がほかの地区の農民に貸し出されており、返却を渋っているという。そこでキラに頼みたいというウィン。その地区はダコール地区※6、つまりキラの出身地であり、またその地区を率いているのはシャカール※7だという。シャカールは、キラのレジスタンス時代のリーダーだった男だ。改良機を返してくれるように頼んでくださいとキラにいうウィン。幾度となく命を救ってくれた恩人に、あなたのためにというキラ。ベイジョーのためだとウィンは言う。かつては争ったこともあったが、今はベイジョーのことを考えるべきだという。占領時代が終わり、和平が成立した輝かしい時代、しかしそれには国民一人一人の努力が必要だ、シャカールにはそれが分かっていないというウィン。キラはシャカールほど無私無欲な人間はいないと反論する。ウィンは説得を頼み、表沙汰にはしたくないという。キラは仕方なく、話してみますという。バライルがキラが話せば誰でもその気になるといっていた、とウィンはいい、部屋から出ていった。
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※3: Kai Winn (ルイーズ・フレッチャー Louise Fletcher) DS9 第59話 "Life Support" 「バライルの死」以来。声優は第3シーズンからの人です
※4: Rakantha province
※5: soil reclamators
※6: Dahkur province DS9 第51話 "Second Skin" 「恐るべき過去」で言及
※7: シャカー Shakaar Edon。シャカールレジスタンス部隊 (Shakaar resistance cell) を率いていました
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