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ヴォイジャー 簡易エピソードガイド
第56話「ホログラムの反乱」
Alter Ego

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・イントロダクション
※1艦長日誌、宇宙暦 50460.3。ここ数日、反転星雲※2の観測を続けている。アルファ宇宙域では見られない珍しい現象だ。実にミステリアスで興味をそそられる。
ブリッジの艦長席で、連邦の宇宙天文理論によれば、反転星雲は非常に不安定なのでわずか数年で燃え尽きてしまうそうよというジェインウェイ。だがこの星雲は何百年も経っているようだ。その理論が間違ってたんでしょう、誰も実物を見たことはなかったんだからというパリス。あまり近づくな、すぐそばのプラズマリボン※3が燃え出しそうだという科学ステーションに座っているチャコティ。安全のため、2千キロメートル後退するように命じるジェインウェイ。キムに、センサーをフルスペクトルスキャンにして観測を続けるように指示する。星雲がフレアを起こす瞬間を見逃さないようにするためだ。だがキムは返事をせず、ボーッとしていた。ミスター・キム、センサーに集中してと注意するジェインウェイ。キムは我に返って謝り、フルスペクトルスキャンを開始した。スクリーンの映像を見ながら、反転星雲がこんなに美しいものだなんて、美しくて神秘的で、この世のものとは思えないというジェインウェイ。同感ですねといい、トゥヴォックに相づちを求めるパリス。この天文現象の価値は理解できますが、地球人のようにセンチメンタリズムに浸る必要性は感じませんと述べるトゥヴォック。感情に動かされるのは悪いことじゃない、感動するのもいいもんだぞというチャコティ。笑うジェインウェイ。キムはまだ何かを考えていた。
トゥヴォックは自室で、棒で組みあがったパズルのようなものを解いている。チャイムが鳴り、入ってきたのはキムだった。何か用かと聞かれ、それカル・トー※4だよね、ヴァルカンのチェスと尋ねるキム。カル・トーに比べたら、チェスなど子供の遊びに等しいというトゥヴォック。難しいんだねというキムに、用は何だ、少尉と聞く。教えて欲しいんだ、どうやったら感情をヴァルカン人のように殺せると聞くキム。それには長年の修練が必要だというトゥヴォックに、それはわかってる、でもヴァルカン人に伝わる特別なテクニックがあると聞いてという。トゥヴォックはうなずき、タサンサハット※5か、感情パターンを分散する瞑想方法だと教える。キムは習いたいと言った。理由を聞くトゥヴォックに、ある感情を消したい、忘れたいという。それは簡単に予想がつくが、一体どういう種類の感情だと尋ねるトゥヴォック。僕、恋をしてるんだ、でも忘れたいというキム。なるほど、それでその恋愛の対象は誰なんだと聞かれ、名前はマレーナ※6と教える。クルーにそんな名前のものはいないと思うがというトゥヴォックに、彼女はクルーじゃないからと微笑むキム。真顔に戻り、ホロデッキのキャラクターなんだと言った。コンピューターのサブルーチンに恋をしたというのかというトゥヴォック。だから悩んでるんだろというキム。トゥヴォックはカル・トーの続きを始めた。するとパズルが一瞬光り、整った別の形に変わった。興味深い、とトゥヴォックは言った。

※1: ドクター役のロバート・ピカード監督です

※2: inversion nebula

※3: プラズマひも plasma strand

※4: kal-toh

※5: t'san s'at

※6: Marayna


・あらすじ
論理的に感情を克服するため、トゥヴォックと共にホロデッキのマレーナのところへ向かうキム。キムのマレーナに対する態度を見て、典型的な反応だと分析するトゥヴォック。ホロデッキのキャラクターとは相思相愛になることはできないので、引き下がれとキムに忠告する。ブリッジでは、なぜ反転星雲が燃え尽きないかの調査を行うため、プラズマリボンが燃える時を近くで調べる。
起こるはずの連鎖反応が起きず、何らかの抑制反応が働いているらしい。この理論を応用すれば新しいワーププラズマにも利用できる。瞑想をしていたキムを、パリスはホロデッキで行われるポリネシア風パーティに連れ出した。トゥヴォックもしぶしぶやってきたが、そこでカル・トーをやっていたマレーナを見つける。カル・トーのやり方を教えているうち、トゥヴォックはマレーナが持っている鋭い観察眼に気づき、2人は話し始めた。その様子を目撃したキムは、気を落として部屋へ帰った。トゥヴォックとマレーナは、遅い時間まで語り合った。
星雲内では、プラズマリボンが燃える時にだけ抑制フィールドが発生していることが突き止められた。そして星雲から抜けようとするが、ワープドライブが動かない。コンピューターに異常が発生しているようだ。マレーナを諦めきれず、再びホロデッキへ向かうキム。だがマレーナはトゥヴォックと共にカル・トーを楽しんでいた。激怒するキム。トゥヴォックはこんなことで友情を壊したくないと、マレーナのサブルーチンを削除する。だがキムの怒りは収まらなかった。自室に戻るトゥヴォック。そこには、艦隊の制服を着たマレーナがいた。
マレーナはドクターのモバイルエミッターを使って現れたのだというが、削除したはずなのに残っているのは妙だ。トゥヴォックの全てを知りたい、自分は孤独だというマレーナ。彼女はコンピューターを操作することもでき、保安部員が駆けつけたが、マレーナ自らホロデッキへ戻った。マレーナはヴォイジャーを星雲から出さないようにしており、何らかの知的生命体が絡んでいる可能性もある。マレーナを捕まえるためホロデッキへ向かうトゥヴォックたち。誰かが船の外からアップリンクでホロデッキにアクセスしていることはわかったが、ホロキャラクターたちが襲いかかってきた。何とか逃げ出せたが、ヴォイジャーはプラズマリボンの燃焼でダメージを受け始める。マレーナを操っている実体は星雲のどこかに隠れており、プラズマの燃焼も操っているのだ。その人物からヴォイジャーに通信が入り、トゥヴォックが欲しいといってきた。
指示通り一人で、マレーナの待つホロデッキへ向かうトゥヴォック。ブリッジではアップリンク信号の発信源を突き止め、そこへトゥヴォックを転送した。ヴォイジャーへの攻撃は続き、シールドが消失する。トゥヴォックが来たところは、一人の異星人の女性がいるステーションだった。マレーナは星雲の中に住み、プラズマが連鎖反応で燃えるのを抑制フィールドで防ぐのが仕事だという。そして彼女の故郷の惑星では、その美しさを楽しむ。これまでに見た誰とも違うトゥヴォックに興味をもち、自分と同じ孤独を感じたのだというマレーナ。そして一緒に残るように頼む。トゥヴォックはヴァルカンにいる伴侶、そして自分を必要としている仲間がいることを話した。マレーナはトゥヴォックとヴォイジャーを解放する。トゥヴォックは離れる前に、マレーナに仕事の転属を願うように勧める。転送される直前、マレーナは言った。「でもあなたはどうするの? ずっと孤独でいるの?」 トゥヴォックはホロデッキを訪れ、キムに配慮が足りなかったことを謝罪した。そして 2人でカル・トーを始めるのだった。


・用語解説など
「ピカード艦長のエンタープライズDがホロキャラクターに乗っ取られたことがあった」というセリフがあります。この事件は TNG第29話 "Elementary, Dear Data" 「ホログラムデッキの反逆者」、および TNG第138話 "Ship in a Bottle" 「甦ったモリアーティ教授」でのことで、キムはアカデミーで習ったそうです。


マレーナ
マレイナ、マリーナ Marayna
(Sandra Nelson DS9第119話 "Soldiers of the Empire" 「我らクリンゴン」のタヴァナ (Tavana) 役) 声:渡辺美佐
ヴォーラック
Vorik
(アレキサンダー・エンバーグ Alexander Enberg) 前話 "Fair Trade" 「密売人」に引き続き登場。声:森田順平
ホロ女性
(Shay Todd)

ション・ハロック
shon-ha'lock
ヴァルカン語。夢を見ている状態
(ハイドロセール)
hydrosail
「セーリング」と訳されています
スー・ラク
soo-lak
ヴァルカン語。ほかのことに気を取られて、上の空になること
コ・ナール
k'oh-nar
ヴァルカン語。気持ちがそのまま顔に出る状態
(ビッグダディ・O)
big daddy-O
「ビッグダディ」と訳されています
(ポリネシア・リゾート)
Polynesian resort
ホロデッキプログラム
レイ
lei
タハン
t'an

・感想
初めはキムメインかと思ったら、実はトゥヴォックの「孤独」に関してのものでした。途中マリーナは近寄った男性なら誰でも誘惑するのかと錯覚させられましたが、トゥヴォックだからこそだったんですね。スポック、データ、オドーや、ヴォイジャーではドクターが孤独な立場として描かれることはありましたが、トゥヴォックもそういう側面を持っているというのは忘れがちだったような気がします。


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