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ディープスペースナイン エピソードガイド
第119話「我らクリンゴン」
Soldiers of the Empire

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・イントロダクション
※1後3センチ右だったら腕の動脈が切れてましたよと言うベシア。自動縫合機※2を使う。出血多量で死んでもおかしくなかったんですよと言うベシアに、地球人のもしそうだったらという仮定の話は退屈極まりない、現実はそうじゃなかったというマートク※3。退屈させてすみません、でもはっきり言わせてもらえばあなたは馬鹿だと言うベシア。ご忠告は覚えておこう、ドミニオンに囚われて間に反射神経が鈍ってしまった、もっと体を鍛えないとなとマートクは話す。ベシアはホロスイートの安全プロトコル※4を解除して戦闘訓練を受けるなんて無茶すぎます、目に傷を負ったんですから気を付けないと、という。広い視界を得るには義眼を入れた方がというが、マートクは前から言っているようにいらないという。なら自分のハンディを自覚した方がいいですよと言うベシアに、それ以上口にすると堪忍袋の尾が切れるかもしれんと言うマートク。そこへキラからマートクへ通信が入り、クリンゴン最高評議会から緊急の通信が入っているという。もういいですよと言うベシア。ベッドから起き上がり、私の部屋に回してくれとキラに伝えるマートク。ありがとうと言うマートクに、ベシアはもう二度と血だらけで入って来ないで下さいという。床のカーペットがしみだらけだからだ。マートクはそれを見、笑って出ていった。
係留中のディファイアント。床に寝て、機器の調整を行っているウォーフ。今度はどうだと言うウォーフに、やはりフェイザーの有功率には変化ありませんと言うノーグ※5。数値は148.7のままですという。インターフェイスプログラムを起動したかとの問いに、点火装置※6も確認し発射台※7も調整しました、あきらめましょうというノーグ。ウォーフににらまれ、失礼という。わかった、ではやり直しだ、機関室へ行ってオペレーションシステムをコンピューターコアに落としてこいというウォーフ。ただし今度はファイルを一つずつ落とすんだと付け加える。ノーグはいらだつが、それでもわかりましたと答えた。するとマートクが入ってきた。ノーグと挨拶を交わす。ウォーフが立ちあがり、まだ22時までは時間がありますという。悪いがその約束はキャンセルだ、さっき本国から重要な任務を言い渡され、準備せねばならんというマートク。そうですか、栄光と名誉とをお祈りしますとうウォーフ。2人の間に挟まれてしまったノーグは、通して頂けませんかという。やっとのことで外に出ていった。肩はどうですかと聞かれ、ドクター・ベシアがきちんと処置してくれたが事故といっておいたというマートク。血を流す訓練が必要だといってもわからないだろうからなという。地球人はね、とはいえ大怪我をさせてすみません、そこまでする気はなかったんですがと謝るウォーフ。気にしないでくれ、打ち込んできたのを受け流せなかった私が悪い、2年前までならあんなミスはしなかったというマートク。と肩を抑える。どんな任務ですかと尋ねるウォーフ。カーデシアとの境界を警戒するために、3日前に戦艦バモス※8が派遣されたがそれ以来連絡がない、つまり行方不明だと説明するマートク。ドミニオンに襲われた可能性もありますというウォーフ。1週間前に連邦の宇宙艦※9もジェムハダーに襲撃されているという。恐らくそうだろうが断言はできない、司令部はバモスを捜索するためにDS9にバードオブプレイ※10のロタラン※11を派遣してきたというマートク。私にとってはドミニオンの収容所から戻ってきて、初めての実戦任務になると言う。実に名誉ある任務だと思いますというウォーフ。収容所に閉じ込められていた時、もう二度とクリンゴンの戦艦に乗れないのかと思い、恥も外聞もなく泣いたとマートクは話す。行く手には栄光が待っている将軍がうらやましいというウォーフ。マートクは、ぜひ君に一緒に来てもらいたい、信頼の置ける部下をそばに置きたい、忠誠を誓える部下をという。ウォーフ、モーグの息子よ、ぜひ私と共に来てくれ、友としてまた右腕として、というのだった。

※1: DS9第106話 "Things Past" 「秘められた過去」に続き、TNG ラフォージ役のレヴァー・バートン監督作品です

※2: autosuture
「縫合」と訳されています

※3: マートク将軍 General Martok
(J・G・ハーツラー J.G. Hertzler) DS9第113話 "By Inferno's Light" 「敗れざる者(後)」以来の登場

※4: safety protocol

※5: Nog
DS9第111話 "For the Uniform" 「エディングトンの逆襲」以来の登場

※6: I.K.S. バモス
I.K.S. B'Moth

※7: prefire chamber

※8: emitter stage

※9: やはり starship を「戦艦」と吹き替えしています

※10: これもただの「戦艦」としか訳していません

※11: I.K.S. ロタラン
I.K.S. Rotarran


・本編
司令官室。君を借り受けたいというマートク将軍の要請には応えるつもりだというシスコ。優秀な士官だから君を連れて行きたい気持ちはよくわかるが、なぜ君が行きたいのかがよくわからないという。将軍の下で働けるのは名誉なことです、ドミニオンの収容所で命を救って頂いた恩もありますというウォーフ。それは報告書にはなかったなというシスコ。個人的なことで載せるようなことではありません、私はジェムハダーの戦士と闘わされました、毎日リングで違う相手と闘いましたと話すウォーフ。だがある日気持ちが定まらなくなり、萎えてしまったという。リングに上がりたくなくなったのかと聞くシスコ。いいえ、もう殺されてしまおうと思った、それしか逃げ道はないと思ったのでというウォーフ。リングに上がる直前将軍は勝利を祈ってくれて、私の目の中の気持ちを読んだという。あの瞬間はトヴァドック※12だったという。何だと聞くシスコに、地球人の言葉にはありません、トヴァドックとは戦場で2人の戦士がお互いの気持ちを悟ることを言うという。マートクはその時ウォーフのあきらめに気づき、心の中を見透かされたウォーフは猛烈に恥じた。もう一度必死に戦おうと思い、戦士としての気持ちを取り戻したとウォーフは言った。地球人にはわかってもらえないでしょうがという。シスコはパッドに承認を押し、君を今から宇宙艦隊の拘束より外し、クリンゴン帝国防衛軍※13の一員として勤務することを許可すると言った。パッドを受け取り、感謝しますというウォーフ。出て行こうとするウォーフを呼び止め、シスコは「カプラ」と言った。「カプラ」といい、部屋を出て行くウォーフ。
遮蔽を解き、バードオブプレイ、ロタランが着艦した。キラがクワークの店にいるダックスたちのところへ、新しい勤務分担を持ってきた。涙がでそうといい、同席する。スモールアームの再調整だって、まさかステーション中のを全部というオブライエン。そうなのよ、経験豊富な戦闘士官じゃないとだめでしょ、パラメータの設定はウォーフがやってくれたから後は実行するだけと言うキラ。ベシアは諜報活動の担当※14だという。笑うダックスたち。レベル4以上の資格を持った艦隊士官でないとだめで、となるとベシアかダックスだが、ダックスは艦隊との連絡担当※15だからだ。お互い仕事が増えたよなというオブライエン。ウォーフは楽しいだろうが、仕事を分担させられるこっちの身にもなって欲しいねと怒るベシア。クリンゴンの船に乗ったことあると聞き、クリンゴンのバードオブプレイに比べればディファイアントは五つ星のホテルのようなものよというダックス。ウォーフは遊びに行くわけじゃないという。クリンゴンの戦艦は昔の海賊船のようなところなんだ、自分より強いものを殺してのし上がる、裏を返せば自分も狙われてるってことさというオブライエン※16。それじゃ軍隊として機能しないでしょと言うキラ。チーフが言うほどひどくはないわ、クリンゴンの社会や軍隊は上下関係が非常に厳しい構造だというダックス。造反が許されるのは直接の上司に対するものだけで、しかも一定の条件下だけだという。どういう条件なんだいと聞くベシアに、任務を放棄したり、臆病な態度を見せた時ねというダックス。臆病、クリンゴン人がというオブライエン。私たちと同じよ、クリンゴン人といっても強い者もいれば弱い者もいるという。しかしどう見ても、今来た2人は弱い方には見えないねと言うベシア。その2人のクリンゴンはゆっくりと歩いて行った。続いてオドーが入ってくる。何かあったと聞くキラに、いえまだという。あの2人は要注意ねというキラ。戦艦がついたのかと聞くオブライエンに、ついさっきというオドー。静かにしてそうだというオブライエン。今のところはね、左の奴のネックレスを見ましたと聞くオドー。首の骨です、カーデシア人のねと言った。
ダックスと、クリンゴンの制服を着たウォーフが通路を歩いてくる。サッシュー※17はしていかないのと聞くダックスに、クリンゴン帝国にはモーグの家はないわけだから、家の紋章を付けていっても意味がないだろうという。家を持たない男を上官に迎える部下の気持ちはどんなものかしらというダックス。どんな気持ちだろうが関係ない、命令に従えばいいんだというウォーフ。傲慢で鼻持ちならない貴族の言うセリフみたいよ、いかにも将軍の右腕ねというダックス。長々と別れの言葉を言いたくないんだというウォーフに、私だってそんなつもりはないわよという。さすがといい、エアロックの扉を開けるウォーフ。一度うなずき、中へ入っていく。だがダックスも入ってきた。ジャッジア、もうこのエアロックで別れよう、見送りは必要ないというウォーフ。するとダックスは私も行くのよと言った。何というウォーフ。ロタランは人手不足だし、休暇が4ヶ月も残っているというダックス。マートクとベンジャミンも、科学士官として同行を許可してくれたという。なんで黙っていたというウォーフに、その方が楽しいからという。それにクワークの店でロタランのクルーを2人見かけた、今度の任務では楽しくないことが起こりそうよといった。
ロタランのブリッジ。ダックスが座って作業をしていると、先ほどバーにいた2人がこちらを見ていることに気づいた。威嚇するような声を上げるダックス。2人は逃げるように歩いていく。女性のクリンゴンが笑い、2人に向かってクリンゴン語で何かいった。私はタヴァナ※18、技術士官よと自己紹介する。ジャッジア・ダックス、科学士官よという。ダックス、あのクルゾン・ダックスと関係あるのと聞くタヴァナ。クルゾンから共生生物を引き継いだの、彼の記憶もあるわというダックス。実は私の母は一度クルゾンに会ったことがある、すごく熱心に口説かれたといってたわというタヴァナ。クルゾンが熱くなった相手は星の数ほどいたものというダックスに、私の母もよという。笑うダックス。ウォーフがやってきた。私はウォーフ、モーグの息子だ、これからは私がこの船の副官として艦長に仕え、クルーのために戦うという。今までの戦闘の記録はどこにあるというウォーフ。タヴァナに急かされ、先ほどの男の1人がパッドを持ってきた。私ことコーナン※19、ショバックの息子にしてロタランの戦闘士官より戦闘記録をお渡しします、ぜひ我々を率いていってくださいといい、片手でパッドを差し出した。受け取り、確認するウォーフ。勝利の記録を探しても無駄なこった、ここ7ヶ月勝ちなしでねという、あのネックレスをしたクリンゴン人の操縦士、レスキット※20。負け続きだということは言われなくてもわかる、どうやら諸君には私の血と命を懸ける価値はないようだというウォーフ。だが私は戦う、ぜひ共に船の名誉のために戦い、帝国に栄光をもたらそうという。そしてマートクが入ってきた。クルーを代表して申し上げます、我々は皆命を将軍に預け、将軍の指揮に入って戦うことを誓いますといい戦闘記録を渡すウォーフ。諸君の命は確かに預かったといい、発進を命じるマートク。発進手続き開始、ドッキングクランプ解除。船首エンジン出力2分の1、ドッキングリングを離脱。前進、出力4分の1を命じるマートク。ロタランはDS9を離れた。
操縦士に、戦艦バモスが最後に確認された位置へ最短距離のコースを取るように命じるウォーフ。それだとトンビーク星雲※21を突っ切ることになる、迂回しろというマートク。迂回すれば1日遅れますというウォーフに、トンビーク星雲にはドミニオンが戦艦を配置しているらしい、ジェムハダーとの戦闘は避けたいというマートク。戦いを避けたいとおっしゃるというレスキット。何か言いたいことでもあるのか、任務はバモスを見つけることだ、戦いを求めることではないというマートク。申し訳ありません、別に悪意はないのですがというレスキット。では命令に従ってコースを設定しろ、最速ワープだというウォーフ。かしこまりました、最大ワープ、星雲を迂回してコースを設定、設定しましたと大袈裟にいうレスキット。「マク・チャ※22」と命じるマートク。船はワープに入った。
ウォーフはリズムを取り、クリンゴンのカーレス※23の歌を歌い始めた。それに合わせてダックスやほかのクルーも合唱する。だがコーナンとレスキットは歌わなかった。

※12: tova'dok

※13: クリンゴン防衛艦隊 Klingon Defense Force
TNG第20話 "Heart of Glory" 「さまよえるクリンゴン戦士」など

※14: intelligence officer

※15: fleet liaison officer

※16: TNG第34話 "A Matter of Honor" 「錯綜した美学」より

※17: sash
ウォーフの付けている肩帯。恐らく名前や詳しい意味が言及されたのは初めてだと思われます

※18: Tavana
(Sandra Nelson VOY第56話 "Alter Ego" 「ホログラムの反乱」のマレーナ (Marayna) 役)

※19: Kornan
(リック・ワーシー Rick Worthy VOY第29話 "Prototype" 「ユニット3947」の自動パーソナルユニット3947/クラヴィック司令官122 (Automated Personnel Unit 3947/Cravic Commander 122)、第120・121話 "Equinox, Part I and II" 「異空生命体を呼ぶ者達(前後編)」のノア・レッシング乗組員 (Crewman Noah Lessing)、ENT第53話 "The Xindi" 「トレリウムD」などの毛長ズィンディ (Xindi-Arboreal)、映画第9作 "Star Trek: Insurrection" 「スター・トレック 叛乱」のエローラ人士官その1 (Elloran officer #1) 役。ゲーム "Klingon" でも声の出演)

※20: Leskit
(デヴィッド・グラフ David Graf VOY第17話 "The 37's" 「ミッシング1937」のフレッド・ヌーナン (Fred Noonan) 役

※21: Tong Beak Nebula

※22: mahk-cha
クリンゴン語で「発進。」("Engage.")

※23: 戦士の賛美歌 (Warrior's Anthem)。歌の中でカーレスと歌っています (ケイレスと聞こえます)。カーレス (Kahless the Unforgettable) はクリンゴンの神話・歴史的な人物で、クリンゴン帝国を統一した偉大な戦士。DS9第81話 "The Sword of Kahless" 「カーレスの剣」など


ロタランの食堂。テーブルに来たダックスは、いきなり座っていたクリンゴン人をつかんで椅子から引きずり下ろし、床に押し付けた。ちゃんと勤務名簿表を見なかったの、私の名前はダックスという。今回の任務では私が科学士官なのよ、ここは私の席でしょというダックス。うなるクリンゴン人に、わかってくれればそれでいいのよ、わかったら早く末席に移りなさいといい、男を離した。席に座る。ボックネズミのレバー煮※24はどうと差し出すタヴァナに、いきが悪いわね、ブラッドワイン※25があれば流し込めるかもというダックス。ここ半年ブラッドワインとはご無沙汰さと笑うレスキットに、ほんと、ディープスペースナインを出る時にブラッドワインを3樽持って来たのよというダックス。ワインを3樽と驚くコーナン。ダックスは微笑んだ。
不名誉な行いが多い、仕事をさぼりがち、命令を受けても反応が鈍くやる気がないというマートク。反抗的で能力は低い、全く何でこんな程度の低いのを集めたんだという。しかしロタランのクルーは何度もジェムハダーとの戦いに負けています、士気の下がるのも仕方のないことでしょうというウォーフ。ただ士気が落ちているだけではない、負けてばかりいるからだ、負けに慣れて次も負けだと思ってしまうからだというマートク。危険な状況だという。勝利が何よりの薬です、一度ジェムハダーに勝てば一気に士気も高まるでしょうというウォーフ。マートクは座り、そう願いたい、私ほどジェムハダーに勝つことを望む者は誰もいないはずだという。しかしこんな状態のクルーを率いて勝負を挑むのは余りにもリスクが高すぎるという。クルーのことは何とかしますというウォーフに、当てにしているぞ、2人でこのロタランを栄光ある帝国にふさわしい戦艦にしよう、部署に戻ってよろしいとマートクはいった。出て行くウォーフ。
食堂ではクリンゴン人だちがブラッドワインを楽しんでいる。私たちはカーデシアを小惑星帯へと追いつめた、完璧だった、敵はパワーがなくなり近くに援軍もなし、後は撃墜するだけだったと話すタヴァナ。ところがそれでも勝てなかったのさというコーナン。ジェムハダーの戦艦が3隻小惑星帯から出てきたのだ。3対1じゃどうやったってかないっこないわよというダックス。逃げ切っただけでも大したものだわという。逃げるのが俺たちの得意技だからな、ロタランほど逃げるのが速い戦艦はいないよというレスキット。酔って愚痴るのはやめてよ、まるで金儲けに失敗したフェレンギ人みたいじゃないのというタヴァナに、俺の誇りを傷付ける気か、言っておくがロタランに残ってる奴で誇りの残ってる奴はいねえよという。それは私も含めてというダクスに、飲ませてもらった相手を悪く言いたくはないが、しかしあの偉大なクルゾン・ダックスの跡継ぎがこんな惨めな船に何しに来たんだというレスキット。それなら教えてやる、その女は今度来た副官の愛人なのさ、DS9で噂を聞いたという別のクリンゴン人、オーティカン※26。ウォーフだけがここへ来た理由ではない、マートク将軍に仕えることは名誉だと思ったからよというダックス。あんな年寄りにかよというレスキット。笑うクリンゴンたち。将軍の耳に入ったら大変よというダックスに、平気さ、あんたがウォーフ以外の男ともベッドを共にするなら別だけどねというレスキット。任務中は私もあなたと同様1人で寝るわ、でもあなたは任務が終わっても独り寝でしょというダックス。また笑いが起こる。こんなに大声を上げてみんなで笑うのは久しぶりだなというタヴァナ。だが続かない、この船は涙の船だ、笑いの船じゃないというコーナン。悲観的になるのはよしましょうというダックスに、笑うがいい、運命を押し留められるものならやってみろ、このロタランも、乗っている俺たちもみんな呪われているという。死と不名誉があちこちに転がっているというコーナンに、しゃべりすぎよというタヴァナ。みんなそう思ってるくせにというコーナン。レスキットは遮蔽に入ったことに気づいた。ウォーフからの通信が流れ、警報発令、ジェムハダーのパトロール船が現れた、総員戦闘配置につけと言った。すぐに持ち場につくクルー。コーナンはダックスの腕をつかみ、見てりゃわかる、俺たちを待っているのは死か不名誉なんだという。俺やあんたが何をしようと、運命は決して変えることができないと言った。

※24: stewed bok-rat liver
「ボックネズミのレバー」と訳されています

※25: クリンゴンブラッドワイン Klingon bloodwine
赤いクリンゴンワインの一種。DS9第49話 "The House of Quark" 「クワークの結婚」など

※26: Ortakin
(Scott Leva 映画 ST6 "The Undiscovered Country" 「未知の世界」のスタント)


スクリーンにはジェムハダーの戦闘機が映しだれている。なぜこんなところに、カーデシアからは離れているのにというマートク。この辺りのポーラロン※27スキャンを行っているようです、多分科学的調査に来ているのでしょうというダックス。こちらの遮蔽が探知される可能性は3%以下だ。戦闘準備は、魚雷装填完了、弾頭装備完了、ディスラプター準備完了。敵が反転、加速し去っていく。追いますかとのレスキットの質問に、マートクはいいや、元のコースに戻れと答えた。申し訳ありませんがよく聞き取れませんでした、命令をもう一度というレスキット。元のコースにロタランを戻すんだ、我々の任務はバモス捜索だという。コマンドを打ち込むレスキット。まだ間に合います、今攻撃すればきっと勝てますというウォーフに、いいんだ、私に逆らう気かといった。コース設定は完了、次のご命令を待っていますというレスキット。発進を命じるマートク。ジェムハダー船は視界から外れた。警戒態勢を解除し、私は休むといってブリッジから出て行くマートク。ダックスは副官と言ってウォーフを呼んだ。今のは間違いよ、追跡すべきだったわというダックス。我々の任務はバモスを探すことで、戦うことではない、慎重な決断というウォーフ。決断だったという。いいえ慎重すぎたわ、艦隊の宇宙艦じゃないのよ、クリンゴンのバードオブプレイなんですからねというダックス。攻撃してれば簡単に勝てたわ、クルーの自信を回復する絶好のチャンスだったのにという。もうよせ、いくら恋人でも君に口を出す権利はないというウォーフ。私はこの船の一士官として、副官であるあなたにクルーが危険な状態にあると警告している、手を打たないと大変なことになるとダックスは言った。どういう意味だというウォーフ。クルーの表情を見てご覧なさい、みんながっかりしてやる気をなくしているわとダックスは言った。
ワープ航行を続けるロタラン。私を支える立場にある君が私に逆らうのかというマートク。私がいっているのはたださっき攻撃していれば敵を倒せたということです、恐らくほぼ確実にというウォーフ。だがもしその前に敵が遭難信号を出したらどうする、位置が知れ援軍が到着したら任務が成功するどころか、ジェムハダーから逃げ隠れするので精一杯になるというマートク。それはまずい、さっき攻撃するのは危険が大きすぎたという。私の判断に納得しないのかねと聞かれ、ウォーフはいえといった。結構、君に造反されては船を統率できないというマートク。君を副官に選んだのは間違いではなかったと言ってくれとマートクは言い、ウォーフは私は将軍を裏切りませんという。頼りにしているぞウォーフ、心配するな、私も君を裏切らんとマートクは言う。ウォーフは出ていった。
樽からブラッドワインを汲むダックス。俺は2年間カーデシアの国境で、カーデシア相手に戦っていたんだというレスキット。ずるい奴らで、追っかけてみると立体映像だったり残像だったり、奴らにはゲームなんだという。計画に計画を練って罠にかけやがる、せこい奴らだというレスキット。奴らを殺すのは誉れだよといい、カーデシアの野郎どもというオーティカン。だがカーデシアの野郎は尊敬できる、まず祖国のために戦うところ、掟を守るところ、我々と同じだというレスキット。だがドミニオンの兵士は全く違う、ジェムハダーの奴らは違う、ジェムハダーは戦いの大義を持たない、戦うのはそうプログラムされたからだと話を続ける。戦うんだという。名誉ってのを知らない奴らだというオーティカン。そうだ、だから奴らは俺たちより強いというレスキット。もうやめたらどう、後1時間で勤務でしょというダックス。トリルのお嬢ちゃんはみんなに真実を聞かせたくないらしい、でもこの際いっておこう、ジェムハダーは知恵も回るし戦いも強い、かなうはずないんだよとレスキットはいった。何てことを言うんだというオーティカン。酔ってるのよ、ほっときなさいというダックス。違う、聞けよ、聞いてみんな目を覚ますんだ、ジェムハダーこそ俺たちの未来だというレスキット。いい加減に黙ってというダックス。レスキットはそれを聞かず、なぜだかわかるか、俺たちはジェムハダーには勝てっこない、指揮官が戦う前から負けてるんだからという。もうよしなさいと怒鳴るダックス。しかし本当のことだろう、マートクは怖がってるんだ、だからあの時ジェムハダーを攻撃しなかったんだと言った。すると突然叫び声を上げながら、これまで黙って聞いていたコーナンがレスキットに飛び掛かった。止めようとしたオーティカンに、今度は殴り掛かり頭突きを食らわせる。ダックスはフェイザーを取り出し、コーナンを麻痺させた。
歩いていたダックスを呼び止め、どうしたんだ、大丈夫かというウォーフ。もう少しでコーナンがオーティカンを殺すところだったというダックス。肩の辺りに血がついている。理由はレスキットの悪酔いでというと、一体どういうことだというウォーフ。あなたにはわからないの、マートクばかり見ていないでクルーのことも少しは心配したらどうというダックス。ずっと我慢していたコーナンの欲求不満が爆発したのよ、でもこれは序の口だわ、ロタランのクルーはジェムハダーに負けつづけて誇りを失っているという。仲間も大勢死んでる、しかも今度来た艦長はドミニオンの収容所で戦士としての大事なものを奪われてきたようだしというダックス。私が副官の間はマートク将軍をそんな風に言うなというウォーフ。私もマートクは好きよ、でも今は強いリーダーが必要なのというダックス。自分たちは帝国の戦士だと思わせる人が、リーダーが出てこなければクルーは間違いなく爆発するという。ウォーフはそんなことはない、マートク将軍は偉大な人物だという。時間を与えられればきっと立ち直るという。でも今は時間がないのよ、さっき起きたことはいつどこで起きてもおかしくない、血のりのついた制服が私に似合うと思う、もうすぐ船中が血に塗れるわよとダックスは言い、歩いていった。

※27: polaron
亜原子粒子。DS9第109話 "The Darkness and the Light" 「一人、また一人、そして…」など

ロタランのブリッジ。クリンゴンの遭難信号をキャッチしました、かすかですが確認してみますというダックス。バモスだ。ジェムハダーに襲われて動力部を損傷、戦死者多数、生存者約30人、至急救助を請う、予備動力も低下、後はくり返しだ。信号の発信源の位置もわかり、距離は少なくとも7光年だ。その方向へコースを変更させるウォーフ。将軍に言ってくる、しばらく頼むといい、出ていく。タヴァナはダックスのところへ近づき、助けてくれてありがとうという。オーティカンはあなたのパルマカイ※28と聞くダックス。うなずき、クルーはみんなかなり殺気立ってきている、もし暴動が起こったら私のそばに、守ってあげるというタヴァナ。暴動が起こらないように持っていけないかしらというダックス。コーナンがブリッジに戻ってきた。部署につくように言うタヴァナ。従おうとしないコーナンに、もう一度命じる。クルーたちも腰の武器に手をかける。やっとでコーナンは自分の持ち場へ戻った。
どうも引っかかるな、嫌な感じだというマートク。襲われたのならなぜ生存者がいるんだと聞く。襲撃の詳細がわからないので、今は何とも言えませんというウォーフ。ジェムハダーは中途半端な戦いはしない、船を動けなくし生存者を残したのは、何か理由があってのことだというマートク。バモスに猛反撃をくらい、退却せざるを得なくなったのかも知れません、あるいは呼び返されたとかというウォーフに、なぜ目の見えなくなった私の方が周りの者より事態が良く見えるのか、生存者を残していったのは救助を呼ばせたかったに決まっているだろうがという。君にわからないのは仕方がない、2年間ジェムハダーと過ごし、奴らの精神構造がわかるようになったというマートク。ジェムハダーには魂がない、目的も理由もないのにただ創設者のために人を殺す、戦う事に喜びもなく栄光もなく信念もないという。ジェムハダーにとっては我々は殺しのターゲットに過ぎない、あんな奴らを相手にしても勝ち目はというマートクに、お言葉ですが戦闘状況は現時点ではわかりません、思い込みで判断するのは避けるべきかと思いますというウォーフ。そうだなといい、椅子に座るマートク。ウォーフに下がるように命じた。
ロタラン戦闘日誌、カーレス暦999年53日※29。カーデシアとの国境に到着、バモス捜索を開始。
レスキットに国境から500万ケリキャム※30の距離を保つように言うマートク。センサーに反応があります、通信干渉が激しいのではっきりしないが船のようですというダックス。ロタランから見て右舷25度の辺りにある。映像に出すと、粗い映像の中に損害を受け漂っているクティンガ級の戦艦が映し出された。バモスだ。直ちに救助する、コースを変更と命じるウォーフ。ブリッジより医療室に負傷者の収容準備をするように伝えるタヴァナ。救援隊に武装して転送室に集合、乗り込む前に居住区をスキャンし生存者を…と命じるウォーフ。だがマートクは待てと言い、バモスが国境のどちらがわにあるかを尋ねる。国境を越え50万ケリキャム、カーデシア側に入った位置にあります、恐らく襲撃後流されたんでしょうというダックス。バモスの影にジェムハダーの船が5隻隠れているかもしれない、ロタランが国境を越えたところを待ってというマートク。ジェムハダーなら国境を越えようが越えまいが関係ないでしょう、すぐ襲ってきますというウォーフに、カーデシアとの国境を越えるなとの命令を受けているというマートク。このような状況下では命令違反も許されると思います、バモスには生存者がいるんですよというウォーフ。マートクはそれはわからない、受信したのは遭難信号だけだ、死んでいるかもしれないという。まだ生きていたらというウォーフに、我々にはどうしようもないといった。まさかこのまま見殺しにするつもりですかというタヴァナ。諸君の命を危険にさらすわけにはいかん、罠かもしれないというマートク。クリンゴンの戦士を見捨てるわけにはいかないというウォーフに、マートクは私は決断を下した、国境を越えることは絶対に許さんといった。今後私にたてつく者があれば、直ちに不服従および反逆として処分するという。ウォーフ、後は頼んだぞと言い艦長室に入るマートク。レスキットが笑い始めた。部署につけと命じるウォーフ。タヴァナたちにも同じようにいう。バモスを見捨てるわけにはいかない、どうするつもりなのと聞くダックス。方法は一つだけだ、マートクを艦長から追い落とすしかないというウォーフ。仕方ないわ、自分から身を引いてくれるとは思えないものというダックス。わかっている、だが将軍が身を引いてくれなければ、殺すしかないんだとウォーフはいった。

※28: par'machkai
愛情を表現したクリンゴン語で、恋愛のパートナーを言及する時に使われます。DS9第105話 "Let He Who Is Without Sin..." 「享楽の星・ライサ」より。単に「恋人」としか吹き替えされていません

※29: The 53rd day of the year of Kahless 999

※30: ケリカム kellicam
クリンゴン帝国で使われる距離を示す単位。およそ2キロメートル。映画ST3 "The Search for Spock" 「ミスター・スポックを探せ!」など


ロタランはその場に停止したままだ。レスキットのところにコーナンが近づく。艦長席に座っているウォーフ。タヴァナはディスラプターをいつでも発射できるようにしている。コーナンとレスキットはウォーフの前に来た。マートクは死ぬべきですというコーナン。君の決めるべきことではないというウォーフ。ほかのクルーもコーナンたちのところに集まってきた。マートクは死ぬべきです、あんな指揮官は我々も不名誉ですというレスキットに、お前の不名誉など私にはどうでもいいことだというウォーフ。今日は死ぬにはあまり良くない日だ、モーグの息子よ、早く女を連れて出て行けというレスキット。ダックスはコンピューターを何か操作している。そしてウォーフに向かってうなずいた。お断りだというウォーフ。そうでしょうね、そう言ってくれると思ってましたよというレスキット。すると扉が開き、銃を構えたオーティカンたちが入ってきた。ウォーフは厳戒体制を取れ、総員戦闘配置にと命じる。戸惑うレスキットたち。これからバモスの生存者を救出に向かうとウォーフはいった。喜び、持ち場に戻るクルーたち。マートクが戻ってきて、誰が警報を、これはどういうことだと聞く。マートク将軍、あなたは艦長としてふさわしくありませんというウォーフ。あなたは臆病者だ、艦長の地位を譲って頂きますという。まさかお前に背かれるとはなというマートク。
ウォーフはダクタフナイフを取り出し、いきなり戦い始めた。応援するクルー。ウォーフはマートクの腕を傷つけ、部下たちに向かって勝利のポーズをした。だがマートクは再び攻撃を始める。ウォーフが優勢で、首元にナイフを突き刺そうとする。しかしウォーフはマートクを突き飛ばした。そしてマートクは、ウォーフの隙を突いて腹を刺した。座り込むウォーフ。マートクは勝利の雄たけびを上げる。マートク、マートクとクルーから声が上がる。ダックスはウォーフに近づく。タヴァナは総員戦闘配置につくように言い、ジェムハダーの戦艦が現れたことを告げる。9分後には敵は交戦可能な距離に入る。ジェムハダーに今日という日を後悔させてやろう、ついてきてくれるかというマートク。もちろんですと喜ぶタヴァナたち。あなたが時々良くわからなくなるわ、医療室へ行きましょうというダックス。攻撃準備完了、コース設定完了。ウォーフは待てとダックスにいった。クリンゴン人たちは歌を歌い始めた。今度はみんなが声を揃えて歌っている。さあ行きましょうといい、ダックスはウォーフの肩を担いだ。奥へ行く2人。歌は続き、ロタランはコースを変更する。
ベシアが司令室へ戻ってくる。諜報活動はどうと尋ねるオブライエンに、それが話せないんだ、驚くべき報告や分析を読んでも全て自分の脳にしまっておかなくちゃならないと言うベシア。誰にも話す必要がないからね、秘密を胸に歩いてると…と話す。ベシアが聞いてないだろとオブライエンに聞くと、ああと答えた。オブライエンはステーション付近で船が遮蔽を解除することを報告する。ロタラン、マートクの船ねというキラ。通信が入り、スクリーンに映される。戦艦バモスから35人の生存者を救出した、負傷者を直接医療室に転送していいかというマートク。許可します、ドッキングは第4ドックへどうぞと言うキラ。ベシアが戻っていく。戦闘で船がかなりやられたので修理チームをお願いしたい、後一つ、エアロックにブラッドワインを15樽用意してもらいたい、戦勝祝いだというマートク。歓声を上げるクルー。我らがロタランがジェムハダーに挙げた初勝利だといった。オブライエンと顔を見合わせるキラ。
クワークの店の2階から下を見つめているウォーフ。マートクがやってきた。さっき本国からロタランのクルー全員が褒賞を受けるとの知らせが入った、あの時君の言った通りだなというマートク。ジェムハダーの戦艦を破壊し、35人の生存者を救った手柄の前には命令違反はおとがめなしだという。君が刃向かってきた時、私は裏切られたと思ったというマートク。だが君は私に帝国の戦士としての義務を思い出させようとしてくれていたんだなという。今は感謝している、君のおかげだというマートク。恩返しできて良かったですといい、歩いていこうとするウォーフ。マートクは呼び止め、君は決闘の時わざと隙を見せた、殺されるつもりだったのかと聞いた。そのつもりでしたというウォーフ。マートクは笑い、まだモーグの家の紋章を付けているんだなという。ジャッジアにセンチメンタルだと笑われていますというウォーフ。良かったら新しい紋章に変えてみないか、過去は過去にしてというマートク。自分の紋章を取り、マートクの家はモーグの息子を一族に迎えられて名誉に思う、戦士として兄弟としてと言った。それを受け取ったウォーフは、サッシューのモーグの家の紋章を外し、それを代わりに取り付ける。2人は腕をつなぎ、「カプラ」と言った。


・感想
原題からもすぐに推測できる通り、久々となるクリンゴン主体の話でした (邦題は別にして…)。連邦とは全く違いますが、スタートレックの重要な要素であるクリンゴン人を描いたこの話はDS9の現状を反映した良い出来になっています。サブストーリーをかかずに、マートクとクルーの間に立たされるウォーフやダックスのみに焦点を当てていることが成功しているんでしょうね (クワークは一度も出ていない!)。
以前からのクリンゴンにまつわる設定も多く出てきて、クリンゴン・ファンには特に嬉しい内容です。バードオブプレイのアップになった場面も多く、しびれます。


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