ディープスペースナイン エピソードガイド
第120話「末裔の星」
Children of Time
イントロダクション
艦長日誌、宇宙暦50814.2。ディファイアントはガンマ宇宙域での1週間の調査任務を終え、ディープスペースナインへと帰還する。 早くステーションへ戻って自分のベッドで寝たい、ディファイアントの寝台は寝心地が悪いというダックス。ほんとに疲れた、週末はゴリアン温泉※1にでも行きたいと話すキラ。シャカールを誘って行ってくればいいじゃないというダックスに、キラはシャカールとは会っていないといった。いつからですかと聞くオドーに、先週からだと答える。それで元気がないのねというダックス。寂しい、この前ケンダ神殿※2へ行って2人が同じ運命を歩むべきかどうか預言者に聞いたと言うキラ。それで違うと言われたのだ。随分あっさりと言うじゃないというダックスに、キラは運命の導きがないなら仕方ないという。私はそうは思わない、2人が一緒にいたいと思う気持ちがあれば関係は続くものでしょとオドーに言うダックス。だがオドーは、何と言ったらいいかわかりませんが失礼します、休む時間ですのでと言い席を離れた。どうしたのかしらというキラに、ダックスはオドーはああいう人だからこういう話題は苦手なのよという。食堂を出たオドーは立ち止まり、何かを考えていた。 ラクタジーノを持ってきたクルーに、私はダイエット中なんだというシスコ。モリーにドールハウスを作っているんですとキラに話すオブライエン。ラクタジーノを受け取る。家は簡単けど問題は家具で、ミクロ旋盤を使っても誕生日までにできるかどうかという。家具ができるまで待ってもらうしかないわねというキラ。ダックスは面白いわといい、近くの星系から珍しい数値が観測されているという。どんな数値なんだとウォーフに聞かれ、第4惑星がエネルギーバリアに包まれているという。はっきりとはわからないが、生命体がいる可能性がありますというキラ。だとしたらバリアの中の量子変動にどうやって適応しているのか気になるというダックス。オブライエンは次に来た時に調べればいいでしょうというが、干渉が増してきているから2週間後には探査機を送り込むことができなくなってしまうというダックス。みんなが帰りたいのはわかるけど、この惑星を調査するチャンスは今しかないのよという。干渉は安全に通り抜けられるのかと聞くシスコ。ダックスは少しシールドを調整すれば、何の問題もないと思うという。シスコは簡単な調査だけをしよう、だが生命体がいてもキノコなら地表には降りないぞといった。頭のいいキノコだったらというダックス。 そのバリアで包まれた惑星へ向かうディファイアント。エネルギーバリアに接近。おやじさん、任せたぞというシスコ。船が揺れる。シールドの調和を再調整する。量子変動が激しくなってきた。コンソールから火花が飛ぶ。そのエネルギーがキラを襲うが、収まった。バリアを通過した。シスコに大丈夫かと聞かれ、何とかと答えるキラ。シスコはベシアをブリッジへと呼ぶが、いいえ大丈夫ですというキラ。慣性制動機がストップ、回転磁気安定機もだめになったようですというオブライエン。修理に2、3日かかりますねというオブライエン。何の危険もないだと、とダックスにいうシスコ。その時ウォーフが地表から呼びかけていることを伝える。南部の半島にいくつか入植地があり、住民の数は約8,000人、人間のようだ。スクリーンに男女が映し出される。その女性はガイア※3へようこそ、シスコ大佐と言った。なぜ私の名をというシスコに、おいでを待っていましたという。降りてきてくれ、ラクタジーノでも飲みながらゆっくり話そうという男性。忘れていた、ダイエット中だっけねといった。 緑に囲まれた中に、その入植地はあった。風力発電も行われている。転送されるシスコたち。それを見た住人たちが集まってきた。先ほどの男女も来て、ミランダ・オブライエン※4、イェドリン・ダックス※5ですと名乗った。すごい偶然ねというダックス。どういうことか話して頂きたいというシスコ。この入植地は200年前にこの惑星に不時着した宇宙艦隊のクルーが作ったものなのですというミランダ。信じられないことでしょうが、不時着したのはディファイアントでしたという。今日から2日後にエネルギーバリアを通って帰ろうとし、失敗して200年前にタイムワープした。そしてあなた方はこの星に住みついた、私たちはあなた方の子孫ですとミランダはいった。 |
※1: Golian spa 「ゴリアン」は訳出されていません
※2: Kenda shrine ※3: Gaia
※4: Miranda O'Brien
※5: Yedrin Dax |
本編
僕をスキャンしてみてください、共生生物がちゃんといますというイェドリン。ダックスがトリコーダーで調べると本当だった。共生生物はダックスから数えて3代受け継がれてきました、あなた方のことも覚えていますというイェドリン。ミランダのDNAをスキャンしてご覧なさい、チーフのと似ているはずですという。確かにミランダにはオブライエンの遺伝子が含まれていた。タネンバームのもありますというミランダ。タネンバーム少尉のことか、技術クルーのというオブライエン。あなたはディファイアントの事故の10年後にリタ・タネンバーム※6と結婚しました、200年昔にタイムワープして帰れないのに家族と会えないというのをなかなか受け入れられなかった、でも結局新しい人生に踏み出したんですというイェドリン。シスコを見て、その顔は知っています、私の言うことを疑っているんですねという。それなら証拠にクルゾンしか知らないことを言いましょうというイェドリン。うなずくシスコ。イェドリンはペリオス・ステーション※7で知り合った踊り子ですが、彼女は…というと、シスコはわかった、十分だと止めた。ダックスが微笑む。1人の男の子、ガブリエル※8が、あなたがモーグの息子とウォーフに聞いた。そうだがと答えると、目で睨み付けるだけで人を殺せるってほんとと聞く。ウォーフは少し考え、怒っている時だけなと答えた。住民から笑いがこぼれる。後ずさりするガブリエル。中に入りましょう、積もる話がありますから後でみんなに会ってくださいというミランダ。ついていくシスコたち。 クワークの映像がコンピュータに映し出され、その前で子供たちが勉強している。「次の問題に進んでいいかな。27テシペート※9の畑があるとする。そこでおいしいイェルグメロン※10を栽培するとしよう」という映像のクワーク。同時に問題が表示される。ここは集会所ですが、学校としても利用できるようになっていますと説明するミランダ。「…畑全体では何個のメロンが取れるかな、答えが出たら教えてちょうだいね」といいクワークの映像は消えた。ジャッジアが作った教育プログラムです、ディファイアントの保安日誌にあったクワークの映像を使ってというイェドリン。クワークは算数の先生にはピッタリです、何たって数字に強いからという。女の子のリサ※11に近づき、その点々素敵ねというダックス。これがある子は少ないの、ほとんどの子の祖先は地球人だから、ママは特別な印だって言ってるというリサ。そんなのただの遺伝よ、トヴィン※12のウネウネと同じよといいおでこを指差す、もう1人の女の子。モリー※13、やきもちはやめてというリサ。驚くオブライエン。モリーは何人もいますよ、オブライエン家に伝わっている名前なんですという。あなたのおじい様のおじい様の、ひいおじい様※14よというミランダ。こんにちはというモリーに、どうもといいながらも信じられないといった様子のオブライエン。ディファイアントから持ち出せた機材はどれくらいあったのかと聞く。ポータブルのジェネレーターとレプリケーター、フェイザーとトリコーダーを数個ずつでしたというイェドリン。遭難信号を出そうとは思わなかったのかとウォーフに聞かれ、誰に向けて、ワームホールも見つかっていない、アルファ宇宙域に戻る方法なんてなかったという。だから祖先はこの星に住もうと決めたというリサ。そして冬が来る前に急いでシェルターを作ったというモリー。それがここ、この星で一番古い建物よ、最初は48人全員ここで寝たんですってというリサ。48人と聞き返すシスコ。キラ少佐は数週間後に亡くなったんです、エネルギーバリアを抜ける時感電したせいで神経経路が傷ついたんですがディファイアントには治療に必要な医療器材がなかったというイェドリン。キラのお墓を見にいきたいとリサに聞かれ、また後でねというダックス。2人ともご両親のお手伝いをしていらっしゃい、もうすぐ苗を植える時期だから忙しいのよというミランダ。リサとモリーは出ていった。 キラに治療を受けさせるため、急いでステーションに戻らなければ、船の修理が終わり次第出発だというシスコ。もちろんですというイェドリン。何て言ったらいいかわからないが、事故で200年前にタイムスリップすることは今はわかっているんだから、事故は避けられると思うというシスコ。しかしそれをすれば君たちの歴史は変わり、この星にいた人は消えてしまうというウォーフ。イェドリンは大丈夫です、考えがありますといい、コンピュータを操作してパネルの表示を見せる。きっかけはブリッジでキラに起きた事故でした、エネルギーが放出された時亜空間二重効果が出現し、一瞬ではありますがキラは生体分子レベルで重複して存在したという。キラが2人になったわけですという。それでというシスコ。ディファイアントの各システムを調整すればこの亜空間二重効果を増幅することができ、ディファイアント全体を複製できるというイェドリン。バリアを通り抜ける時、複製された方はタイムワープし、オリジナルのあなた方は無事にバリアを通り抜けられると説明する。それじゃ僕たちは家に戻れるし、君たちは消えずに済むと、というオブライエン。その通りですというイェドリン。シスコにどう思うと聞かれ、ダックスは可能性はあると答える。ディファイアントの残骸に残っていた記録によれば、軌道に到達して39時間後に事故に遭ったことになっていますというイェドリン。つまりその時間に同じことをするのかと聞くウォーフ。この星で生きている8,000人の命を救うためにも、計画を成功させるしかありませんとイェドリンは言う。ダックスにこの計画の検討に直ちに入るように命じるシスコ。見込みがあるならディファイアントのシステムの調整を開始するように言う。ありがとうベンジャミンというイェドリンに、君の頼みならな、おやじさんというシスコ。 軌道上のディファイアント。キラはベッドに寝て検査を受けている。何と僕の子孫も大勢いるそうですよというベシア。なら降りるのはやめるわ、オドーはどうなのと聞くキラ。ぐっすり眠ってますよ、バリアの中では量子変動のせいで形を保てないらしいと言うベシア。いい夢を見ろよといい、液体化したオドーをケースに入れる。でも軌道を離れれば、すぐに起きてきますよという。しかし少佐にはステーションに戻ったら直ちに神経経路の治療※15を受けてもらいますからねと言うベシア。気分は全然悪くないのにというキラに、そりゃまだ神経経路が破壊されてないからです、でも僕は名医だから安心してという。キラの額から器具を取り外す。出ていくベシアに、どこにいくのと聞くキラ。星に降りてきます、子孫に会いにねというベシア。笑うキラ。オドーの入ったケースに近づく。そこへ1人の男が入ってきて、やあネリスと声をかける。それはオドーだった。君がいると聞いてすぐに会いに来たんだという。どうやって形を保ってるの、だってあなたはといいケースを見るキラ。随分前にバリアの影響を制御する方法を覚えたんだ、会えて嬉しいよとオドーは言った。随分変わったのねといわれ、オドーは変身の技術も上達したからねという。君は相変わらずとても綺麗だ、ほんとに懐かしいという。君のその声、その笑顔というオドー。戸惑い、一体どうしたのと言うキラ。この200年間君にどうしても伝えたかったことがあるんだ、君を愛している、昔からずっと好きだったとオドーはいった。 |
※6: Ensign Rita Tannenbaum
※7: Pelios Station
※8: Gabriel
※9: tessipate
※10: yelg melon
※11: Lisa ※12: Torvin
※13: モリー・オブライエン Molly O'Brien ※14: "your grandfather's great- great- great- grandfather (長い単語なのでスペースを入れています)" といっているので、直訳すると「あなたのおじい様の、ひいひいひいおじい様よ」となります。つまり7代前(後)。吹き替えでは「あなたのひいおじい様のおじい様の、ひいおじい様よ」となっていますが、これだと1代多いような… ※15: neuropathway induction |
キラは戸惑いながらも笑い、私を愛しているってどういうことなのと尋ねる。そんなに信じられないかいというオドー。だってそんなこと考えてもみなかったと言うキラ。オドーはばれないように、必死に気持ちを隠していたからねという。驚いたわ、なぜいってくれなかったのと聞くキラ。君が振り向いてくれるとはとても思えなかったから、君とのいい関係は壊したくなかった、友情は大事だったからというオドー。言わない方が良かったかなというオドーに、そうじゃない、ただ私はあなたによくバライルやシャカールのことを相談していたでしょというキラ。恋愛の相談をされるのは辛かっただろうなと思ってと言う。確かにいい気持ちではなかった、でもいい友人でいたかったというオドー。ネリス、僕の気持ちに答えてくれるのを期待しているんじゃない、ただ2日後に帰ってしまえば君とは会えなくなってしまうという。一緒にいて欲しいんだ、ガイアはとても綺麗な星だ、案内するというオドー。キラは少し考えたが、そうね、ぜひと言った。 目がそっくりだわというミランダ。赤ん坊を抱き、そうか、似てるかと笑うシスコ。ダックスから通信が入り、吉報よ、事故が起こった時のセンサー記録が手に入り、ディファイアントの複製計画はうまくいきそうだという。いい子だ、きっと何もかもうまくいくぞというシスコ。今は手がふさがってるようだねというイェドリンに、そういうことだという。また連絡するわというダックス。 機械の調整を行っているウォーフ。井戸の様子を見ている。飲むのかいといい、ベシアがやってきた。いや、大佐に言われて村のインフラクトラクチャーの調整を行っている、必要な機器は残していくというウォーフ。僕も今病院を見てきた、子孫がいて、孫娘の娘の娘の娘の娘※16がいたと言うベシア。医者で、僕に会って大騒ぎさ、僕の癒しの手は伝説らしいという。ガブリエルが来たよとウォーフに言う。誰がと聞くと、クリンゴン人だと言った。そこへ毛皮をまとい、槍を持った3人がやってきた。「カプラ」という男、ブロタ※17に、ウォーフも「カプラ」と返す。我々は「モーグの息子」※18だというブロタ。では私の子孫かというウォーフに、何人かは、違うものもいるが皆心はクリンゴン人だと言う。あなたの教えを守って戦士として暮らしているという。僕も仲間入りするんだ、野生のトルガ※19に乗って狩りにいく、村へ来るのは毛皮を交換しに来る時だけなんだというガブリエル。大人になれば試練を受けることができる、認められればクリンゴン人として仲間に迎えられるという女性のパレル※20。モーグの息子たちはあなたの帰還を歓迎する、今夜我々の宴に来てくれれば嬉しいがというブロタ。ウォーフはお招きにあずかると言った。日が落ちたら迎えに来るとブロタは言い、歩いていった。伝説的存在なのはどうやら僕だけではないみたいだなと言うベシア。 エミッターアレイの調整が終わったら、次はフィールドジェネレーターをシンクロさせましょうというダックス。予定よりずっと早いといい、ふと笑い出すイェドリン。何よ、教えてよというダックス。急に思い出したんですよ、夏暑かったのでジャッジアは髪を短く切ったんですがウォーフが怒り、結婚式までには伸びるからってなだめたもんですと思い出すイェドリン。結婚したのと聞くダックス。次の秋に、ベンジャミンが式を執り行った、誓いの言葉を述べたウォーフの声が忘れられないというイェドリン。みんな震え上がったといい笑う。ダックスに幸せに暮らしたのと聞かれ、彼はいい奴ですよという。わかってるわ、でもただ、時々ついていけなくなるのよねというダックス。イェドリンは大丈夫、いずれ慣れますよと言った。 彼女は医者だって言ったっけとオブライエンに話すベシア。2回もなというオブライエン。先祖代々の写真を僕までさかのぼってみせてくれたよ、僕が誰と結婚したと思う、アンジー・カービ※21だというベシア。誰だってというオブライエン。僕もそう聞いたら、先週配属されたすごい美人だよという。そりゃ良かったなというオブライエン。無事にステーションに戻ったら、デートに誘ってみようかなという。さて、君のお相手はタネンバーム少尉だったよねという。そのことは話題にしないで欲しい、ケイコがいるんだというオブライエンに、わかったよ悪かったな、それじゃ仕事の続きがんばってと言うベシア。そのオブライエンを、モリーとリサの2人が笑顔で見ていた。オブライエンは振り返るが、ため息をつく。 キラと200年後のオドーは、草原の木の下に座っていた。そこにはベイジョーの紋章のついた墓があった。自分のお墓参りなんて、滅多にないことよねと言うキラ。預言者たちが知ったらきっと混乱するだろうなというオドー。当たり前よ、私だって今回のディファイアントを複製する計画には違和感があると言うキラ。イェドリンの計画のおかげで僕らは消えずに済むし、君はステーションに戻って治療を受けられるのになぜというオドー。でも私は人間に与えられた運命は一つだけだと信じていた、なのにテクノロジーで運命を変えてしまうなんて手放しでは喜べないとキラは言う。僕はとても嬉しいよ、君が無事にステーションに帰ることができるんだから、もちろん僕にとっては何も変わらないというオドー。君を失った事実は変わらない、でも船に眠っているオドーには全てが変わるという。彼は君を失わずに済む、そのことを考えるととても嬉しいんだと話す。変だと思うかいと聞かれ、キラはあなたは変わったわねという。外見だけじゃない、昔は殻に閉じこもってたという。僕は変わった、君の知っているオドーもきっと変わっていく、君が長い目で見てくれればというオドー。そろそろ帰りましょうというキラにオドーは、ああといった。立ち上がり、キラと手をつないで歩いていく。 シスコは子供たちとキャッチボールをしている。ダックスがやってきて、話があるという。事故当時のセンサー記録を調べ直したら、おかしなことに気がついたという。人目につかないところに入る2人。バリア内部の量子変動の数値がゼロになってる、こんな現象が起こる確率は10億分の1よというダックス。イェドリンが記録を捏造したのよといった。なぜそんなことをというシスコに、計画がうまくいくと見せかけるためよ、違うの、ディファイアントはオリジナルだけで複製はできない、イェドリンは確実にタイムワープを起こさせようとしたのよといった。歴史を繰り返させるためにかというシスコ。気づいて良かったわ、危うくここに閉じ込められてキラを死なせるところだったとダックスは言った。 |
※16: great- great- great- great- granddaughter
※17: Brota ※18: "The Sons of Mogh" ※19: torga
※20: Parell ※21: Angie Kirby |
だましていたのね、私に嘘をついてとイェドリンに詰め寄るダックス。子孫だって名乗ってるけど何でこんな真似をしたのよという。それよりこれからどうするんですというイェドリンに、君はどう思うと聞くシスコ。わかって下さい、ディファイアントをタイムワープさせなければ8,000人が存在しなくなるんですよというイェドリン。私が悩まないとでも、よせよ、私という人間を知っているだろうというシスコ。私にどうしろというんだ、事故を起こして部下たちをこの星に閉じ込めろというのかという。事故のことを教えなければそうなったはずですというイェドリンに、君とここで人生哲学を論ずる気はない、部下を守る義務があるという。でも見てください、あなた方が作り上げたもの、これは子孫と作り上げるものなんですとイェドリンは話す。歴史が繰り返せば最初は大変でしょう、でも結局は幸せに暮らすんですという。キラはどうなるの、ステーションに連れて行かなければ死んでしまうのよというダックス。8,000人に比べれば1人の犠牲は仕方ないというイェドリン。誰が生きて誰が死ぬかを決める権利が君にあるのかというシスコに、みんなを守るためです、事の発端は僕のせいなんだとイェドリンはいった。ジャッジアにはわかっているはずだ、そもそもこの惑星を調査しようと言い出したのは彼女ですという。スキャンした時にバリアの不安定さに気づくべきだったと、というイェドリン。気づかなかった、大発見ができるかもしれないと夢中になって見逃したというダックス。君のせいで僕のせいでキラは死に、48人は取り残されたというイェドリン。罪悪感を背負っていきる辛さがわかるか、事故の後何年もあなたを見るたびにジェイクのことを考えたものですとシスコにいう。自分のせいで二度と父親に会えなくなってしまった、でも時が経つうちに悟った、事実を変えることはできないと。だから未来を見るしかなかった、そしてどんなことをしてでも生き延びてやろうと、このコミュニティは僕が責任をもって守るんですというイェドリン。この200年間この村を誇りを持ってここまで育てた、みんなも必死に働いてくれて今の暮らしを作り上げたんです、それを破壊する権利はないといった。それは否定しない、できれば力になりたいとは思う、だが部下たちにも家族のもとへ帰る権利があるというシスコ。8,000人のためであれ800万人のためであれ、キラの命を犠牲にしていいとは思わないという。すまないがイェドリン、君に協力はできないと言い出ていった。ダックスはじっとイェドリンを悲痛な目で見つめるが、何も言わずに立ち去った。 既に日が暮れた村で、子供たちがボールを使って遊んでいる。その様子を見ながら、あれを見て、楽しそうに何も知らないでというキラ。それが一番いい、子供だから理解できないだろうというウォーフ。私だって理解できない、まだ自覚症状のない私にステーションで治療を受けさせるためだけに、8,000人も死ぬなんてというキラ。君のためだけに戻るわけじゃない、自分を責めてはいけないというウォーフ。キラは船に戻るといい、その場を離れた。 植物の様子を見て、今年はいいと思ったけど、春が来るのが早すぎてというミランダ。ガブリエルが何かあったの、みんな静かだと尋ねる。何も心配することないのよというミランダ。ガブリエルは歩いていった。 ウォーフは祭壇の炎を見つめていた。ブロタたちがやってきた。申し訳ないが今夜の宴は中止だというパレル。当然だ、今はとても飲んで騒ぐ気になれないというウォーフ。明日の朝日は見ることができるだろうが、夕日は誰も見ることができないというブロタ。座ってくれ、言っておきたいことがあるというウォーフ。3人は前に座った。君たちが今なおクリンゴンの伝統を守っていてくれることを誇りに思う、クリンゴン人の魂の鼓動を強く感じるというウォーフ。あなたの教えを実践して生きてきたというブロタ。畑を耕したり家畜を飼ったりしない、我々は戦士だ、狩人だというパレル。ブロタは去年背丈が3メートルもあるヤクグマ※22を仕留めた、剣だけで立ち向かった、体中に傷を受け、死んでしまうかもしれないと思ったと話す。あの時死ねば良かった、そうすれば戦士として死ねたと言った。勇敢な戦士たちの待つスト・ヴォ・コル※23へと旅立てたのにというパレル。君ならきっと行けるというウォーフに、いや、親が生まれないから存在が消えてしまうんだぞというブロタ。そんな死に方ではスト・ヴォ・コルへは行けないという。ウォーフにナイフを差し出し、殺してくれ、戦う敵もなければ勝ち取る名誉もないという。名誉ある死を与えてくれと言った。同じようにパレルたちもナイフを差し出し、家畜が殺されるように死を待ちたくないという。ウォーフはまた明日会おう、その時望みをかなえようといい、歩いて行った。 朝を迎えた。キラは再び自分の墓にやってきた。なぜまた来たんだというオドーに、自分の気持ちをはっきりさせたかったからという。どういうことだというオドー。キラはこれが私の運命なのよ、私の道はここで終わるべきなんだわという。でもその運命は変わるんだ、大佐は君を連れて帰るといっているというオドー。そんなことはさせられない、私のために8,000人が死ぬなんて、歴史はあるがままに流れるべきよ、たとえ私が死ぬことになってもとキラは言った。 |
※22: yak bear 「大熊」と訳されています
※23: Sto-Vo-Kor |
まさか本気でいってるですかというオブライエン。ステーションに戻れなければ君は数週間後に死ぬ、ここでは治療が受けられないというベシアに、わかってるわ、でも運命は受け入れるべきよと言うキラ。ディファイアントはタイムワープさせるべき、でないと運命が変わってしまうという。別に変わったっていいさ、うちに戻りたいというオブライエン。それはわかるわ、でも戻れば8,000人の人間が存在しなくなってしまうのよというダックス。他人に過ぎない、ステーションには妻と子供が待っているんだというオブライエン。ケイコたちなら大丈夫よ、預言者たちが守ってくれるというキラ。オブライエンは悪いけど僕には信仰がないという。我々が戻らなくてもステーションの人々は生きていくが、ここの人は違うというウォーフ。少佐が自分が犠牲になるというのなら残ってもいいと言った。そりゃ君は楽だよな、まだ子供がいないしというオブライエン。君は運命に従うのが恐いんだというウォーフに、ここで運命について議論するのも悪くないですが、これだけは言いたい、僕が家へ帰りたがるのを邪魔する権利は誰にもないとオブライエンはいった。うちに帰りたいのは私も同じだ、ただ一度みんなの意見を聞かないと、というシスコ。それじゃここには残りませんよねと尋ねるオブライエン。やや間があった後、シスコは残らないと言った。艦長というキラ。君の気持ちはよくわかったというシスコ。全員解散させる。 ガイア。ウォーフたちが村を歩いている。夕方には全て消えてしまうのかというウォーフ。最後の見納めねというダックス。シスコは走っていこうとしたガブリエルを止め、そんなに急いでどうしたと聞く。畑だよ、苗を植えるんだといい、走っていくガブリエル。その後を追うシスコたち。 そこでは住人が総出で、植物を植える準備をしていた。日焼け止めをモリーたちに塗らせるミランダ。苗を植えるのは大切な行事なんです、みんなが一つになれる、最後で普段通りにと思ってと言うイェドリン。苗をシスコに渡した。 畑を耕すイェドリン。穴を掘るシスコ。苗が植えられる。キラとガブリエルも肥料を撒く。モリーがミランダから苗を受け取り、ベシアのところに持ってくる。水をかけるダックス。現状報告を持ってきましたといい、パッドをシスコに渡すオブライエン。修理は全て完了、いつでも出発可能ですという。何で手伝わないのと聞くモリー。忙しいんだというオブライエンに、そうは見えないけどという。シスコはさすがに君の子孫だ、君も手伝えよといいスコップを渡す。大声で笑いながら歩いていくシスコ。 ウォーフと共に、ブロタたちが畑にやってきた。住人たちもそれに気づく。戦う敵がいるといったじゃないかというブロタ。みんな日没までに苗を植えようとがんばっている、時間がみんなの敵だ、共に時間と戦おうというウォーフ。みんなを呼んでこいと仲間に伝えるブロタ。 畑一面に植物が植えられた。モリーがオブライエンに苗を持ってくる。僕にもモリーって言う娘がいるんだと話すオブライエン。ほんと、会ってみたいというモリー。そうだねというオブライエン。夏にはこの苗はおじさんより高くなる、収穫したらママと一緒においしいパンを焼くのというモリー。笑うオブライエン。ミランダに呼ばれたモリーは走っていった。オブライエンはそのまま座っていたが、おもむろに立ち上がるとシスコのところに行った。どうかしたかと聞くシスコに、とてもできませんという。この人たちを死なせるなんてといった。子供たちは無邪気に遊んでいた。 |
苗を植えるのを終えた人々が帰ってきている。これが事故の記録です、このデータを自動操縦システムに組み込めば、全く同じ事故が起こり過去にタイムワープするはずですというイェドリン。皆さんには何てお礼を申し上げたらよいかといい、シスコの手を握るミランダ。行きましょうベンジャミン、もう時間がないわというダックス。シスコは最後にイェドリンと抱き合った。 考え直してくれというオドーに、私だって好きで死ぬわけじゃないわと言うキラ。ステーションに戻って生きるべきだというオドー。私はいいのよ、8,000人のため、彼らの子供や孫のためというキラ。ステーションに戻らなければ生まれない子供もいるんだぞというオドーに、まだ生まれてない、ここの人たちとは違うという。一つ答えてくれ、もし僕の気持ちを知っていたら、もし気持ちを打ち明けていたら、2人の間は違っていただろうかと聞くオドー。そうねというキラ。2人は口付けをした。そしてキラは歩いて行った。 ディファイアントのブリッジ。クルー全員、もう家族にあててメッセージを吹き込んだかと聞くシスコ。クラス4の探査機※24に搭載してあります、バリアを通過したらすぐに位置を知らせる信号を出しますというオブライエン。シスコは艦長席に座り、探査機を発射するように命じた。時間だわと言うキラ。自動操縦システムに切り替えろというシスコ。切り替え完了、シールドアップ。軌道を離脱。エネルギーの歪みが観測され、そちらへ向かう。衝突まで10秒。8、7、6、5、4、3…。しかし船が遠ざかる。自動操縦を解除することもできない。ディファイアントはバリアを抜けてしまった。 どうしたんだというシスコ。飛行プランが変更されてる、僕じゃありませんというオブライエン。地表をスキャンするよう命じるシスコ。何の痕跡もありません、生命体反応もなし、全て消えましたとキラは言った。 帰路につくディファイアント。飛行プランを変えた犯人はシステムに精通している人間だ、全く気づかれずにセキュリティプロトコルを迂回しているというシスコ。ということはクルーの誰かねというダックスに、かつてクルーだった人間かもしれないという。イェドリン、私たちをだまそうとした彼が、気を変えたりするかしらというダックス。私たちに会って辛い経験をもう一度させるのが忍びなかったのかもというシスコ。あの人たちが、存在しなかったなんてというダックス。存在したさ、私たちの記憶の中では永遠だとシスコはいった。 寝台で寝ているキラのところへ、眠りから覚めたオドーがやってきた。お話があります、あの惑星にいたもう一人のオドーが船を去る前に私に会いに来たんですという。つながってくれました、だから起きたことは全て知っていますというオドー。あの時、私がシャカールとはもう会っていないって打ち明けた時、あなたは様子が変だったわと言うキラ。あなたにはほかに恋人がいるということに慣れていたので、突然何もかも変わってしまったというオドー。キラは何て言ったらいいか、まだ気持ちの整理がつかないという。私もです、お互い時間が必要でしょうというオドー。もう1人のオドーからあなたに伝えてくれと、ディファイアントの飛行プランを変更したのは彼だったんですと言った。驚きの表情を浮かべ、なぜと聞くキラ。あなたが死ななくてもいいようにですというオドー。そんな信じられない、8,000人もの人たちをと言うキラ。彼はあなたのためにしたんです、愛していたからというオドーに、何をしてもいいのという。わかりませんが彼はそうしたとオドーは言い、それではまた明日といって部屋を出ていった。 |
※24: class-4 probe DS9第16話 "If Wishes Were Horses" 「夢幻の刻」より |
感想
このごろのDS9の本筋とは離れていますが、歴史の変更、そして少数の犠牲か多数の死かという問題を扱った極めてスタートレックらしい話でした。少しでも内容を言うとネタバレになってしまうような驚くべき未来 (というか現在?) で、起こりうる未来を的確に描いていますね。見所は200年後でも普通に生きており、そしてキラに気持ちを打ち明けるオドー。オドーは一度打ち明けたことはあるんですがそれは違うキラだったので、キラがオドーの気持ちを知るのは本当に初めてということになります。さてこの後の進展は…。 |
第119話 "Soldiers of the Empire" 「我らクリンゴン」 | 第121話 "Blaze of Glory" 「最後のテロリスト」 |