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ディープスペースナイン エピソードガイド
第111話「エディングトンの逆襲」
For the Uniform

dot

・イントロダクション
大佐日誌※1、宇宙暦50485.2。シスコはバッドランドにある惑星、マーヴァ4※2にやってきた。かつての宇宙艦隊士官、現在のマキの指導者であるマイケル・エディングトンの居場所を情報提供者から聞くためである。
洞窟の中を歩くシスコ。何人もの住人が暮らしている。溶接作業を行っている男に近づき、友人のシンタ※3を探しているというシスコ。男は作業をやめ、指を差して方向を教えた。
教えられた方へ行き、カーテンの中に入る。誰もいない。シンタと呼びかける。その時シスコは横から頭に銃を突き付けられた。武器を捨てろといわれ、持っていたフェイザーを取り出し、床に捨てるシスコ。銃を持った男はこっちを向けという。そこにはエディングトン※4がいた。お久しぶりですという。シンタはここには来ません、途中でシャトルが事故に遭ったという。殺したのかというシスコ。マキを人殺しだとでも思っているんですか、それは誤解ですというエディングトン。シンタは事故でバッドランドの中でも厳しい惑星の中に不時着した、しかし死んではいませんという。お優しいことだ、ゆっくり苦しませて殺そうというわけかというシスコ。エディングトンは当然の報いだ、我々を売ろうとしたんですからという。裏切り者ですという。それをいうなら君も裏切り者だとシスコは言う。8ヶ月も探し求めてきた元部下を目の前にして、言うことはそれだけですかというエディングトン。残りは軍法会議で言ってやるというシスコ。むきになるのは私が正義を求めて艦隊を辞めたからですか、それとも上司のメンツからですかと聞くエディングトン。艦隊を辞めたわけじゃない、そうなら何も問題はなかった、保安チーフとしての立場を利用し、マキに艦隊の情報を流したというシスコ。さらに偽の情報で艦隊の捜査を撹乱した、こういう行為は反逆罪だという。外を見てとエディングトンは言う。シスコが何もしないため、再び銃を向ける。カーテンを開け、周りを見るシスコ。彼らはサルヴァ2※5の元入植者です、農場も家も学校も建てたというエディングトン。ところがある日連邦は協定に調印し、彼らの社会をカーデシアに渡したという。一夜にして難民になったという。それは一面的な見方だ、望めばこんな生活でなくとも、新しい惑星に移れるというシスコ。自分たちのいたところへ戻りたいんです、あなたのお父上の家がカーデシアに取り上げられたらと考えてくださいとエディングトンは言う。私はそんな議論をしに来たんじゃないというシスコ。もう目をそらしていいっていいましたか、よく見てくださいというエディングトン。再びカーテンを開き、みな私たちと同じ人間だ、なのに艦隊は全てを取り上げたという。制服を着る時、それを思い出してください、艦隊は市民を守るのが務めだったはずだというエディングトン。シスコは私の目に何が見えると思うかといい、犠牲者の群れだ、カーデシアでもなく連邦でもない、君たちマキの犠牲者だという。いつか入植地に戻れるという夢を売りつけている、無責任なことだ、戻れる日は来ないのにというシスコ。夢を長く見せれば見せるほど、彼らの苦しみは続く。後ろを向いたシスコに、エディングトンは銃を突き付けた。撃ってみろというシスコ。エディングトンはいつかは撃たせて頂きます、今は忠告一つに留めておきますという。私を追えば後悔しますよといい、エディングトンの体は転送されて行った。シスコはディファイアントに連絡を取り、エディングトンの転送シグナルを捉えるように命じる。マキの戦闘機が軌道を離脱し、星系を出て行きますというキラ。シスコは自分の回収と追跡を命じ、総員戦闘配置につくようにいった。転送される。逃げていくマキの戦闘機※6

※1: Captain's Log ですが、相変わらず「司令官日誌」と訳されています

※2: Marva IV

※3: Cing'ta

※4: マイケル・エディントン Michael Eddington
(ケネス・マーシャル Kenneth Marshall) DS9第94話 "For the Cause" 「裏切り者は誰だ」以来の登場。原題も似ています

※5: Salva II

※6: DS9第41話 "The Maquis, Part II" 「戦争回避(後)」など何度も登場している、ペレグリン級の船


・本編
追跡するディファイアント。敵はバッドランドへ向かっている。進路変更を行うダックス。絶対逃さないという。最速ワープを命じ、射程距離に入る時間を聞くシスコ。42分ですと答えるウォーフ。その2分前に敵はプラズマフィールド※7に入ってしまうと言うキラ。シスコは援軍を頼もうといい、宇宙艦マリンチェ※8の現在位置を尋ねる。非武装地帯のガンマ7基地※9の付近だ。丁度いい、ホログラム通信機※10は直ってるかと聞くシスコ。6時間前に、きっとチーフは使ってもらいたくてうずうずしていると言うキラ。なら喜ばせなくっちゃなといい、マリンチェのサンダース艦長にチャンネルを開くように言うシスコ。艦長席に座り、後ろの区画に映像が呼び出される。私の映像は届いたかねというサンダース※11。私のはというシスコに、椅子にデーンと腰掛けている、映像だということはわかっているが不意の客は嫌いだという。長居をするつもりはないが一つ頼まれてくれないか、バッドランドへ向かっているマキの戦闘機を捕まえて欲しいと頼むシスコ。真剣だな、その戦闘機は何をしたんだと聞くサンダース。乗っている指揮官に用がある、マイケル・エディングトンだというシスコ。サンダースはそれは君は許せないよなといい、そういうものの言い方はというシスコに、任せておけというと通信を終えた。映像が消える。
マリンチェが敵のコースに入った。シスコは攻撃準備を命じ、乗員を殺さないように加減してくれという。保安チームを転送室に待機させておくように言うシスコ。ダックスが突然、敵はワープ航行をやめたという。通常飛行とシールドアップを命じるシスコ。どういう気かしらと言うキラ。敵は進路を変え、こちらへ向かってきた。武器の照準を合わせているというウォーフ。ディファイアント相手に無理よ、玉砕覚悟で突っ込むつもりと言うキラ。計画があるんだ、それが何であれ戦闘を取ろうといい、ウォーフにフェイザーを発射するように言うシスコ。だが急にブリッジの照明が揺らぎ始めた。コンピューターに異常が発生し、全システムがダウンしたというキラ。バックアップも含め全て、コントロールできるものは一つもない。武器も航行操舵システムも、動力もだ。機関室にも連絡を取れず、ウォーフに下へ行って様子を見てくるように言うシスコ。その時ホロ通信機が作動し、そこにエディングトンが現れた。
コンピューターを復活させようとして時間を浪費するより、いいことを教えてあげましょうという。無駄です、メモリーコアは真っ白のはずですから、最初からプログラムし直さなければならないというエディングトン。これほどうまくいくとはという。ディファイアントのコンピューターにカスケードウィルス※12を仕込んだのかというシスコ。単純な方法ですが、白状するとオドーやチーフ・オブライエンにばれないように仕込むのには苦労しましたとエディングトンは言う。このことも君の罪状に追加しておくぞというシスコ。罪状を数えているんですか、じゃあもう一つ追加だというエディングトン。同時にマキの戦闘機がディファイアントに向けて攻撃を開始した。
コンソールから火花が飛ぶ。公私を混同するのがあなたの欠点です、なぜ個人を憎むんですかというエディングトン。私はあなたに対して、何の恨みももっていないという。私もそう願いたいというシスコ。個人的な恨みに船やクルーまで巻き込んでいいんですか、艦隊は何て言うでしょうとエディングトンは言う。再び揺れる船。君に説教してもらおうとは思わない、今日は確かに後れをとったがまだ勝負はついていないというシスコ。エディングトンはあなたの運命は手中にある、今ならディファイアントを叩き潰すことも簡単ですがやめておきますという。我々マキは人殺しではない、敵はカーデシアであなた方ではない、これで懲りたら放っておいてくださいという。エディングトンは攻撃中止を命じた。ありがとうといわせたいのかというシスコにいいえといい、あなたを這いつくばらせたいわけではないという。あなたと違って引き際を知っています、よく考えてみてください、ステーションまでは長いですよというエディングトン。通信を終えた。

※7: plasma fields

※8: U.S.S. Malinche
NCC-38997、エクセルシオール級。16世紀のメキシコの王女にちなんで名づけられています。これも相変わらず「戦艦」と訳されています

※9: ガンマ7在外基地 Gamma 7 outpost
TOS第48話 "The Immunity Syndrome" 「単細胞物体との衝突」でガンマ7A星系 (Gamma 7A System)、TNG第33話 "Unnatural Selection" 「DNA」でガンマ7セクター (Gamma 7 Sector) が言及

※10: holocommunicator

※11: Captain Sanders
(エリック・ピアーポイント Eric Pierpoint TNG第154話 "Liaisons" 「イヤール星の死者」のヴォヴァル大使 (Ambassador Voval)、VOY第123話 "Barge of the Dead" 「さまよえるクリンゴンの魂」のコーター (Kotar)、ENT第18話 "Rogue Planet" 「幻を狩る惑星」の Shiraht、第91話 "Affliction" 「クリンゴンの苦境」などのハリス (Harris) 役) 声:大山高男、マートク

※12: cascade virus


大佐日誌、宇宙暦50488.2。ディファイアントはDS9へ帰還した。自力ではなく、マリンチェに曳航してもらってやっとで帰ってきたのだ。
ターボリフトから降りるシスコたち。大仕事になります、ウィルスのせいでディファイアントのメモリー回路がすべてだめになっています、データベースを全部プログラムし直さなければというオブライエン。いつ終わるとシスコに聞かれ、設備の整った宇宙ドックに入れればと言う。それは無理だというシスコ。2週間後です、昼夜通しで3交代制でやってと答えるオブライエン。シスコはすぐやるように、できればもっと早くという。努力しますといい、部屋を出て行くオブライエン。オドーはステーションのメインコンピューターに隠されていたカスケードウィルスを見つけたという。信号を送ればステーションの防御システムを破壊するように仕組まれていた。エディングトンのウィルスを除去できるのにどれくらいかかるか聞くシスコ。オドーはいい質問ですといい、ほかにもウィルスがあるでしょうという。1年半もDS9の保安チーフでいたわけですから、全システムに感染させたかもしれないという。全てのシステムをチェックしろというシスコに、そのつもりですという。ところでこんなことになったのも、私を信用せずにエディングトンを採用したからですと本部に抗議なさいましたかというオドー。シスコがいやというと、ぜひお願いしますといって出て行った。艦隊情報部から何かいってきたかとウォーフに聞くシスコ。バッドランド付近で 2隻のボリアン貨物船が襲われました、恐らくマキの仕業と思われますというウォーフ。輸送していたものは、セレン※13と亜硝酸塩ロジウム※14をそれぞれ数千点だ。それほど価値のあるものではないな、なぜそんなものをというシスコ。ダックスが分析にかかっていますというウォーフ。シスコはウォーフにオブライエンの仕事を手伝うように命じ、なるべく早く出航したいという。了解し、ウォーフは部屋を出て行く。
それと入れ違いにサンダースが入ってきた。いいにくいことだから率直に言う、さっき司令部からエディングトンを逮捕しろという命令を受けたという。君も協力してくれるということかというシスコ。違う、君は任務をはずされ、エディングトン逮捕は私の責任になったとサンダースはいった。理由を聞かされたかというシスコ。サンダースは君には8ヶ月も時間があった、だが彼を捕まえられなかったという。任務を果たせなかったという。後ろを向くシスコ。君の気持ちはよくわかる、部下からコケにされたらやはり激怒するという。振り向くシスコ。言い過ぎだったというサンダース。事実だからいいんだ、だがもうミスは二度としないというシスコ。それはわかっている、だが艦隊が心配しているのはエディングトンに対する君の弱さだとサンダースは言う。彼は君を知り尽くしている、知らない人間があたった方がいいかも知れんといった。がんばってくれといい、握手をするシスコ。礼を言い、サンダースは出ていった。シスコは一人、椅子に座った。
シスコはホロスイートで、ボクシングをしている。サンドバッグを持つダックスはいいニュースがあるといい、艦隊情報部はマキの通信コードをもう少しで解読できそうだという。任務を解かれた私には関係ない、残念だがこれが人生だ、勝つことも負けることもあるというシスコ。負けるのは大嫌いなくせにというダックス。傷つきもする、士官になって25年、任務から外されたことなど一度もなかったのにというシスコ。一際強くサンドバッグを殴る。悔しいのは任務から外されただけじゃないでしょう、やはり部下に裏切られたからでしょうというダックス。1年半も一緒に働いた、毎日顔を合わせ、報告書を読み、食事に誘い、ホロスイートに野球観戦に連れていったというシスコ。人を見るのが私の仕事なのに何てざまだ、見抜けなかっただけではなく昇進までさせてしまったと後悔する。役者が上だったわねとダックスは言う。しかも奴は可変種か、7人分の経験を持つ知恵者か、ワームホールの異星人か、違う、私と同じ地球人なのに負けたという。いいことよとダックスはいった。そうやって自分の感情をぶちまけることが、あきらめるしかしかたがないという。エディングトンはほかの人の獲物よ、悔しくても受け入れないとというダックス。そこへキラからシスコに通信が入った。直ちに司令室へ、エディングトンに関する情報だという。
司令室に戻ったシスコ。キラはエディングトンが動いた、カーデシア側の植民地、ヴェロズプライム※15を生物兵器※16で襲ったという。成層圏魚雷※17を撃ち込み、二セレン化コバルト※18を撒き散らしましたというウォーフ。ほとんどのヒューマノイドには無害でも、カーデシア人には致命的な神経ガスだわというダックス。カーデシア人は撤退を始めているが、エディングトンは撤退後はマキの支配下におくと宣言しているとウォーフは言う。わからない、どうやって生物兵器を作る材料を手に入れたのかしらと言うキラ。ダックスはわかる、もっと早く気づくべきだったという。この前奪われたセレンと亜硝酸塩ロジウムを再構式化した上で、手を加えれば合成することは可能だと説明する。二セレン化コバルトをだ。マリンチェの位置を尋ねるシスコ。バッドランドの反対側で、ヴェロズプライムに向かってはいると言うキラ。着く頃にはエディングトンは彼方だ。エディングトンの盗んだ薬品の量からみて、どれくらいの生物兵器が作れますと聞くキラ。非武装地帯のカーデシア側植民地は全滅だろうというシスコ。何とかして食い止めなければ、ヴェロズプライムの近くにほかに宇宙艦はいないと聞くダックス。ウォーフはこの星域にはマリンチェ1隻だけだという。マリンチェが失敗すれば、後は独壇場ってわけというキラ。シスコはもう1隻船がいる、第3ドックに係留中だといった。ターボリフトに乗るシスコの後を追いかけ、キラ、ダックス、ウォーフも乗った。ディファイアントへ行くように指示するシスコ。

※13: selenium

※14: rhodium nitrite

※15: Veloz Prime

※16: biogenic weapon
TNG第176話 "Preemptive Strike" 「惑星連邦“ゲリラ部隊”」でも言及

※17: stratospheric torpedoes
「成層圏に魚雷を」と訳されています

※18: cobalt diselenide


苦しい状況です、動くのは半分のシステムだけというオブライエン。ほとんどはフルには使えない。ワープドライブはワープ6まで、だが慣性制動機の修理が途中なのでかなり揺れる。武器システムは大丈夫、でもターゲットスキャナーが手動でしか使えないから、命中率は落ちるというダックス。通信システムは全然だめですね、全く動きませんというオブライエン。通信バッジがあるというダックスに、残念ながらバッジも動かないという。EPSコンジットをまだシールドしてないので障害がすごいという。じゃあ何を使うの、糸電話じゃないでしょうねというダックス。オブライエンは苦肉の策ですが新しいシステムを考えましたといい、候補生と呼んだ。呼び止められて振り向き、ノーグ※19士官候補生でありますという。休んでよろしいというシスコ。ブリッジのコントロール機能は失われているため機関室への命令は肉声で伝えるわけですが、明確に伝えるには1人の声で伝えた方がいいでしょうというオブライエン。ノーグなら適任ですという。ノーグなら爆撃の最中でも艦長の声を聞き取ることができるという。爆撃と聞き直すノーグ。恐らく戦闘は避けられないだろう、その覚悟はできているかと聞くシスコ。もちろんです、覚悟はできてますというノーグ。期待している、ブリッジへ行けというシスコ。爆撃だってとつぶやきながら、ノーグは階段を上っていった。悪いニュースは先にまとめておきましょう、遮蔽装置はだめ、転送機もだめ、レプリケーターもだめ、艦の安定を保つジャイロスコープもいまいちなので、急な方向転換をするとバレル横転するというオブライエン。楽しそうねというダックス。いい知らせはないのかというシスコに、この前備え付けたホログラム通信機は完璧ですとオブライエンはいった。何も動かないよりはましだろう、準備を進めてくれといい、機関室を出て行くシスコ。
黙ってないで言えよというシスコ。何をと聞くダックス。勝てる見込みのないままに、自分とエディングトンとの間の個人的な因縁から船やクルーや自分のキャリアまで血に捨てようとしているというシスコ。もし少しでも理性があるならオフィスに戻り、椅子に座ってオドーの報告書でも呼んでろってという。そんなこと言ってないというダックスに、頭ではそう思っているんだろうと聞く。実を言うと、あなたはだんだんクルゾンに似てきたなって思ってたというダックス。どういう意味だと聞くシスコに、誉め言葉と思ってと言う。だから今度私が突拍子のないことをやろうとしても、今日のことを思い出して闇雲に反対しないでよとダックスは言い歩いていった。シスコは微笑み、自室に入った。
ディファイアントのブリッジ。ウォーフはフェイザーバンクの1と2を微調整させ、ダックスは両舷の反動推進エンジンを始動する。ノーグが出航準備完了と伝える。機関室に通常エンジンスタンバイを命じるシスコ。ノーグから伝えられ、テウテリウムの噴射比率を上げる用意を部下に命じるオブライエン。ドライバーコイルを通常スピードに設定、EPSコイルをレベル3に設定。司令室にエアロック封鎖と係留解除を命じるシスコ。外部ハッチを封鎖し、エアロックを減圧するキラ。連結切り離し、係留解除。反動推進エンジン始動、ディフレクターフィールド始動、ドッキングクランプ解除。ゆっくり離脱するように命じるシスコ。両舷のエンジン始動、パワー4分の1、コースを指定するダックス。DS9から離れるディファイアント。ドッキングリングからの距離50メートル。60、70、そして80メートル。頼むぞダックスというシスコ。取り舵一杯、傾斜角度10度、船尾エンジンに少しパワーを送り、その勢いで回転させる。ゆっくりと回転するディファイアント。傾斜角5度を維持。回転が速すぎるというキラ。ダックスは左舷エンジンを停止し、傾斜角をゼロに戻す。船はDS9の方向へ進む。右舷のエンジンを0.5秒噴射させるダックス。シスコは機関室にナビゲーションジャイロの再調整を命じ、ノーグが伝える。目の前にDS9の目標塔が迫ってきた。ダックス、目標塔にぶつかるぞというシスコ。ダックスはエンジン調整、傾斜を16度、右舷エンジンへフルパワー、半回転させ、ディファイアントを回転させた。ぎりぎりのところをすり抜けるように通過した。パワー出力4分の1、針路をバッドランドへ変更する。ワープ速度をスタンバイし、ダックスの合図と共にワープチェンバーを始動させる。船はワープ航行に入った。ワープ1。なるべく早くワープ6まで加速するように言うシスコ。ノーグはワープ7までは加速できるそうですという。よくやってくれたといい、シスコはウォーフに戦闘訓練を開始させるように命じた。
艦長日誌、記載追加。一連の戦闘訓練を終えて、バッドランドのプラズマフィールドに到着した。エディングトン探査を開始した。
艦は安定している、ジャイロをみてというダックス。ウォーフは第3、第4魚雷の状態をチェック、プラズマ弾頭にエネルギー変動があるという。キラは前のスキャナーが動かないためフィールド安定装置について機関室に尋ね、今故障中だが15分で直るというノーグからの返答が返ってくる。キラはスキャナーに反応があり、ニュートリノ※20サインがあるという。位置を突き止め距離は約900キロメートル、移動していると言う。マキの戦闘機だ。ダックスにインターセプトを命じ、機関室に出力4分の3を指示するシスコ。戦闘機から通信が入ってきた。エディングトンだ。ホロ通信機で受信する。これはこれは、ミスター・エディングトンというシスコ。やめろといったのにやっぱり追ってきたんですかと残念そうに言うエディングトン。あきらめが悪い性質でねというシスコ。無駄骨だと思います、私は捕まりませんという。せっかくですからプレゼントを差し上げましょうというエディングトン。キラが物体が送られてきた、何らかの書類だという。本です、私の愛読書で「レ・ミゼラブル」※21というエディングトン。シスコは礼を言うが、もう読んだという。最近ですか、読み直しをお勧めしますというエディングトン。ジャヴェール※22警部という登場人物が出てくるでしょう、パンを一切れ盗んだ男を20年間も追い続けた警察官ですと話す。誰かに似ていませんかといわれ、こっちへ来て話さないかとシスコは言う。キラはマキの戦闘機が接近し、距離は700キロだと報告する。攻撃用意を命じるシスコ。フェイザーバンクOK、目標補足。あきらめろエディングトン、降伏し船を引き渡せ、私の勝ちだというシスコ。エディングトンは残念ですがほかに約束があります、楽しい読書をといい、通信を終えた。キラはニュートリノサインが消えていくという。無人の探査機が偽のワープサインを発信したのだった。わざとおびき寄せたのか、なぜだというシスコ。バッドランドの外で何か企んでいるんだわと言うキラ。シスコはすぐに艦長席に座り、ダックスに全エンジンフルパワーでバッドランドを脱出するように命じた。取り舵一杯、コースを指定するダックス。プラズマフィールドを進むディファイアント。
ノーグがオブライエンからの、プラズマフィールド内では急激な加速は避けた方がいいという忠告を報告する。異議は記録しておく、早く加速するんだというシスコ。キラは遭難信号をキャッチした。宇宙艦マリンチェからだ。マキに待ち伏せされ、救助を要求していた。

※19: Nog
DS9第109話 "The Darkness and the Light" 「一人、また一人、そして…」以来の登場

※20: neutrino
TNG第115話 "Power Play" 「亡霊反逆者」などにも

※21: Les Miserables
1862年作

※22: Javert


損傷を受け、浮遊した状態のマリンチェに接近するディファイアント。服は汚れ、沈んだ表情のサンダースがホロ通信で呼び出される。マリンチェの損傷程度を尋ねるシスコ。ワープコアマトリックスコンポジターのヒューズが飛び、ナビゲーションシステムが壊れた、ミクロパワーリレーを貸してもらえば1、2日でエンジンは直せそうだというサンダース。シスコは至急修理班をマリンチェに転送するように命令する。ミクロパワーリレーを1ダース忘れずにと付け足す。カーデシア船が救助を求めてきた、マキに奇襲を受け負傷者が出たという内容だというサンダース。センサーで確かめた後シールドを下げ負傷者を回収しようとしたという。センサーの情報が嘘だったというわけかというシスコ。船にはカーデシア人はおらず、素粒子ビームでジャイロシールドを突き破られ操縦が効かなくなったという。体勢は立て直したものの、プラズマフィールドから新手が3機出てきた。全く情けないが、私も任務に失敗したようだというサンダース。まだわからないというシスコに、後は君に任せるという。実は役に立ちそうな情報がある、マキの戦闘機が発信した暗号メッセージだというサンダース。解読してみてくれ、うちのコンピューターは動かないのでという。感謝するシスコ。サンダースは頼みがあるといい、奴の軍法会議には私も出たいと言った。もちろんさというシスコ。がんばってくれといい、通信を終えるサンダース。
艦長日誌、記載追加。ディファイアントのコンピューターも完全ではないため、マキの暗号解読はディープスペースナインに残るオドーに頼んだ。一方シスコたちはエディングトンを求め非武装地帯を探索した。しかし時間の経過と共に希望は薄れていった。
キラはオドーからの通信を受ける。パッドを持ったオドーが映像で呼び出された。いい知らせを持ってきてくれたか、みんな落ち込んでいるというシスコ。でしょうね、マキの暗号分析は終わりましたという。結果はブリーン※23に伝わる昔ながらの童謡で、5拍子からなるという。お聴かせしましょうといい、パッドからブリーン語の歌が流れてくる。どういう意味だと聞くシスコ。オドーは韻律を分析したところ、かなり稀な変形構造だという。しかし詩の中に何か裏の意味を読み込んでいることはなく、韻を踏むために単語をつなげているだけでブリーン人にとって何の意味もないという。音楽はルキシアン音階で作曲されたもので、分析したが意味はないという。ではお手上げだなというシスコ。オドーはそうでもありませんといい、昔エディングトンが私に向かってこういったことがあるという。「物を隠すのに一番いいのは、それがよく見える場所だ」。ということは素直に考えるとこれはブリーンの童謡ですからというオドー。では音楽でランデヴー地点を示したわけか、ブリーン星系でというシスコ。またはブリーンの植民地、ポータス5※24は非武装地帯の近くですというオドー。エディングトンは兵器に使うため盗んだ化学物質は、非常に不安定な上かなりかさばるため、保管するには大きな低温の倉庫が必要だという。低温を保つことにかけてはブリーン人は天才だとシスコは言う。オドーに礼を言い、通信を終えた。シスコはウォーフに、ポータス5の近くに艦隊のセンサーリレーがあるかを聞く。第5級の無人偵察機※25が2機あると答えるウォーフ。シスコはセンサー日誌を引き出せ、最近ブリーン星系に入った船を知りたいと言った。
艦長日誌、記載追加。オドーの勘は当たっていた。3時間前にマキの船がポータス5に入った記録があった。船はその後、非武装地帯のドーヴァン※26星域へ向かっていた。
船の向かった方角からいって、次の狙いは4つのカーデシア側植民地の一つねというダックス。モニターを指差し、こっちの2つは違うと思うという。2つは最近防御システムが強化されたんですと説明するウォーフ。エディングトンは戦闘は望んでいない、つまり狙いはコタル※27かパノーラ※28だというシスコ。コタルにはいい利益を上げる鉱山があり、防御システムも現在強化されつつありますがまだ完成されてはいませんというウォーフ。おいしいターゲットだというシスコ。ダックスはそれを言うならパノーラね、2ヶ月前にマキに襲撃されたため防御システムが破壊されてしまった、今は無防備だという。パノーラ星系には常にイオン嵐が吹き荒れ、奇襲する際に絶好の隠れ場所になるというキラ。エディングトンの得意な戦法だ、論理的に考えればコタルよりパノーラですというウォーフ。シスコはエディングトンの狙いはコタルだ、奴はあまのじゃくだからなと言った。
コタルプライムに接近した。通常飛行に減速フルスキャンする。遅すぎました、生物兵器が使われた跡があり、既に神経ガスが大気圏にかなり広がっていると報告するキラ。カーデシア人を至急退避しなければ、またエディングトンに一歩先を行かれたわというダックス。追いつけるかも、ニュートリノの残留レベルから見て、マキの戦闘機が1機か2機、4番目の衛星の裏に隠れているはずと言うキラ。逃げていく。シスコは追跡するように命じ、全速前進、スクリーンオン、シールドアップ、フェイザーバンクの用意といった。マキの戦闘機が2機、映し出された。インターセプトまでは15秒。目標補足準備。逃がすなよ、親父さんと言うシスコ。敵が攻撃してくる。前部シールドにパワーを回す。衝撃が走る。フィールド安定装置をチェックするように言うキラ。目標補足を命じるシスコ。ウォーフがターゲットスキャナーのシンクロを完了させる。フェイザーが発射され、1機は破壊された。目標修正、もう1機だというシスコ。
その戦闘機はコタルへ向かって行った。生物兵器はもう使ったのになぜと言うキラ。加速を命じるシスコ。キラは植民地からカーデシア人を退避させる転送船を狙っているという。カーデシア船に攻撃を浴びせるマキの戦闘機。転送船はやられ、動力も停止し、墜落すると言うキラ。クルーの転送回収は遠くて無理だ。さらに通信が入った。エディングトンだ。ジャヴェール警部、あなたって人は本当に執念深いという。参りました、とてもディファイアントにはなかいませんというエディングトン。私を追えば代償は高くつく、助けあげなければカーデシア人は墜落して全員死にますという。墜落までの時間を尋ねるシスコ。ジャスト2分ですと言うキラ。急がないと、コタルまで戻るには最低1分かかるというエディングトン。でもカーデシア人だしと言った。シスコはダックスに針路変更を命じ、トラクタービームで牽引の用意をさせる。反応磁場を調整するウォーフ。手を振り、エディングトンの映像は消えた。
戦闘機を追っていたディファイアントはコースを変更し、コタルプライムへ向かった。

※23: Breen
DS9第77話 "Indiscretion" 「デュカットの娘」など

※24: Portas V

※25: class-5 intelligence drone

※26: Dorvan
TNG第172話 "Journey's End" 「新たなる旅路」にドーヴァン5 (Dorvan V) が登場

※27: Quatal

※28: Panora


カーデシア船を曳航するディファイアント。食堂に入るダックス。一人でシスコが座っている。重力が及ばない範囲まで、とりあえずカーデシア船を牽引したというダックス。うちの修理班が戻ってきたら牽引ビームを切ろう、後は自力でも何とか基地に戻れるだろうというシスコ。ダックスはシスコの見ていたパッドを見て、「レ・ミゼラブル」と言った。知ってるのかと聞かれ、このユーゴー※29って作家大嫌いというダックス。前に「ノートルダムの鐘」※30を読んで、途中で呆れたという。あまりにもメロドラマすぎる上に、ヒロインが軽くて深みがないという。エディングトンは私は登場人物のジャヴェール警部になぞらえた、ヴァルジャン※31という男をいつまでもしつこく追いまわす役だという。些細な罪をとがめ、結局ジャヴェールのかたくなさが破滅に追いやるという、自殺するんだというシスコ。あなたとは似ても似つかないタイプじゃない、エディングトンがそういうのは傷つけたいからよというダックス。8ヶ月前に傷ついている、この本で私が気になるのは、エディングトンがこれを愛読書だといったことだというシスコ。たで食う虫も好き好きよねというダックス。だが参考になるかもしれん、かねてから19世紀のメロドラマに心引かれていた艦隊士官エディングトンは、転身してマキの指導者になったというシスコ。邪悪なカーデシアに対して聖戦を挑むレジスタンス戦士というわけだ。小説を現実にしたって感じねというダックス。シスコはその通りだといい、「レ・ミゼラブル」の主人公はジャヴェールではなくヴァルジャンで、彼は巨悪の犠牲者であり、他人を助けることに一生を捧げたという。自分の身を削っても他人に尽くそうとした、エディングトンは自分をヴァルジャンだと見てるんだという。あるいはロビン・フッドだと、世の中の不正に立ち向かい、孤軍奮闘する正義の味方気取りでいるんだというシスコ。エディングトンの知られざる一面ね、それがどうしたのというダックス。エディングトンの世界では彼がヒーローであり、私が悪役だというシスコ。ヒーローがやりたがることといったら何かなと聞かれ、悪役を殺すといい微笑むダックス。それもあるが、ヒーローは無闇に殺しはしないものだというシスコ。エディングトンはディファイアントをダウンさせた時に私を殺すチャンスはあったが、出来のいいメロドラマでは悪役がヒーローを追いつめて、ヒーローがやむを得ず民衆のため正義のため自分を犠牲にするように仕向けるのがお約束だという。一体何をするつもりなのというダックス。こうなったら私も悪役に徹してみせるとシスコはいった。
ブリッジに戻ってきたシスコたち。ウォーフに2発の量子魚雷を準備し、技術班に言ってそれぞれ200キロのトリリチウム※32を取り付けさせておくように命じるシスコ。しかし魚雷に余分な重量がかかると動きが鈍くなります、マキの戦闘機は小型で速いというウォーフ。シスコは誰も戦闘機に使うとは言ってないといい、キラに一番近いマキの植民地を尋ねる。ソロソス3※33が1時間以内ですと言うキラ。シスコはダックスにソロソス3にコース設定するように言い、キラに次のメッセージをマキの使う周波数で流してくれという。話し始めるシスコ。「マキレジスタンスの諸君に告ぐ、こちらディファイアントの艦長シスコだ。マキは最近の闘争で生物兵器を使用したことに対し、私は次の行動をとる。今から1時間後にソロソス3に向けて2発のトリリチウムを搭載した量子魚雷を発射するつもりである。その結果以後50年間人の住めない惑星になるのは、重々承知の上だ。直ちに住民を退避させるよう警告する。」何も言わず、立ち尽くしたままシスコを見つめるウォーフとキラ。何を待っているんだ、命令を実行せよというシスコ。作業にかかる2人。
ソロソス3に到着したディファイアント。魚雷が爆発する高度は、地上50キロ。ロックし、準備完了した。時間は残り1分だが転送船は動き出さないし、住民も退避していませんと言うキラ。私の合図で魚雷を発射せよというシスコ。第1、第2魚雷の安全装置を解除するウォーフ。そこへエディングトンから通信が入り、映像が映し出された。どういうつもりですジャヴェール警部、まさか表彰まで受けた宇宙艦隊の高級士官が、惑星を一つ死の世界に変えようというんですかという。もちろんそのつもりでいるというシスコ。はったりでしょうというエディングトン。シスコはそうかなといい、魚雷を発射するようにウォーフに命じた。ためらうウォーフ。シスコはウォーフ少佐、命令だ、魚雷を発射せよといった。了解し、操作するウォーフ。2発の量子魚雷が発射され、惑星へ撃ち込まれた。爆発と同時に影響が広がっていく。トリリチウムが生物圏に拡散していきます、マキが転送船を発信させました、住民を退避させるのを開始と言うキラ。何てことをするんですかというエディングトン。まだ序の口だ、非武装地帯のマキの植民地はみんな潰してやるというシスコ。何十万人という人々を家のない難民にするつもりですかというエディングトンに、その通りだ、君のマリンチェ攻撃で明らかになったという。マキは惑星連邦を揺るがす脅威になったということだ、脅威は取り除かれなければならないというシスコ。あの洞窟の人々を考えてください、彼らがマリンチェを攻撃したわけじゃないでしょうというエディングトン。艦隊宇宙艦を襲撃した以上、それくらいは覚悟の上だろとシスコは言う。ダックスにトラッケン2※34へコース設定、ワープ6、ウォーフにもう2発魚雷を準備するように命じる。第3、第4魚雷の安全装置が解除される。とても正気とは思えない、本来なら市民を守るべき艦隊士官が、しかもたかが個人的な恨みでというエディングトン。お前は制服を裏切ったと叫ぶシスコ。あなただって裏切ってる、だがあなたはそれに気づいてもいないというエディングトン。あなたは気の毒な人だ、私を恨むあまりこんな真似までしてという。シスコは通信を切り、ウォーフに魚雷を発射する準備をという。エディングトンは待てと言った。もし攻撃をやめるなら、生物兵器を全て引き渡すという。それだけかというシスコ。エディングトンは笑い、いいでしょうジャヴェール、お望みのものを差し上げる、私をと言った。無言のシスコ。通信は終わった。
大佐日誌、記載追加。非武装地帯では移住が始まった。カーデシアはマキが撤退した後の惑星に、マキはカーデシアが撤退した後の惑星にそれぞれ入植した※35。地域のバランスは一応保たれたが、安定というには程遠い状態だ。
エアロックから出てきたシスコらを出迎えるオドー。帰れて良かったというシスコに、お土産があるようで結構でしたというオドー。エディングトンが降りてきた。シスコと目が合う。頼むぞオドーというシスコ。オドーはエディングトンを連れていった。ダックスは一つ聞きたいんだけど、マキの植民地をガス攻撃したこと艦隊の許可を取らなかったわよねという。何か忘れたとは思ったんだというシスコ。大博打ねというダックス。いい悪役とはそういうものさというシスコに、悪役が勝つのもたまには面白いわとダックスはいった。

※29: ヴィクトル・ユーゴー Victor Hugo
(1802-1885) フランス生まれの詩人、劇作家、小説家

※30: ノートルダムのせむし男 The Hunchback of Notre Dame
1831年作

※31: Valjean

※32: trilithium
映画「ジェネレーションズ」など

※33: Solosos III

※34: Tracken II

※35: 二セレン化コバルトが地球人にとって致命的ではないように、トリリチウムの汚染はカーデシア人には影響がないようです。シスコの言ったセリフは「50年間地球人の住めない惑星」ということだと思われます


・感想
"For the Cause" に続く、DS9の大きなテーマの一つであるマキに関する話でした。常にエディングトンに先を行かれたシスコが、最終的に(強引に)勝ちます。記憶に残るのは十分に機能しないまま発進するディファイアントの姿。手作業で動かしているような雰囲気があります。日誌や戦闘シーンも多く、「動」のエピソードでした。ノーグは半レギュラーのようにこのごろ頻繁に出ていますね。


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