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ディープスペースナイン エピソードガイド
第94話「裏切り者は誰だ」
For the Cause

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・イントロダクション
イエイツ※1がベッドで寝ている。その横にはシスコもいる。起き上がるイエイツに、どこへいくと聞くシスコ。船に戻る、エンジニアと打ち合わせがあるというイエイツに、船長だろう、待たせておけとベッドに戻すシスコ。あなたはいつも部下を待たせて寝ているのねというイエイツに、何日も待たせることもあるとシスコは言う。イエイツはそんなひどいことできないというが、誰だってやっているといい首元にキスをするシスコ。だがイエイツはベッドから離れ、悪い人ねという。僕は惑星連邦の士官さ、善の化身だというシスコ。それをいうなら偽善の化身でしょ、議論の続きはまた今度にしましょうというイエイツ。待てないというシスコに、服を着たイエイツはお別れのキスをし、部屋を出ていった。シスコは自分の枕とイエイツの枕を取り替え、また眠りについた。
エディングトン※2が上級士官の前で報告を始める。報告の中には艦隊機密にあたる情報も含まれている、第7レベル以下のクルーには漏らさないようにして下さいと説明する。最近のクリンゴン帝国の侵攻により、カーデシアは想像を絶する被害を被っている。そこで2週間前、カーデシアの革命政府は極秘に連邦議会※3とコンタクトをとり、レプリケーター※4の緊急要請をしてきた。連邦評議会は既に要求を受け入れている。何機くらいなのと聞くダックス。クラス4を12機ですというエディングトンに、ベイジョーにはたった2機しか送ってくれなかったのにというキラ。ベイジョーは1つの惑星だが、カーデシアの生産拠点が攻撃を受け、12機揃えてもやっと発電所や工場を建造できるくらいだというエディングトン。なぜ極秘なのと聞くダックス。艦隊情報部は、マキ※5がこの情報を嗅ぎつけレプリケーターを奪うことを警戒している。カーデシア軍はクリンゴンに応戦するのが精一杯で、今なら非武装地帯にいるマキは好き勝手できるなというシスコ。連中がカーデシア復興を担うレプリケーターを見過ごすはずがないという。しかも情報部によれば、連邦とカーデシアの中間に位置する非武装地帯では、先月から急激にテロリストの活動が増えていた。バッドランドに基地を構えているとされ、非武装地帯のカーデシア人が危険ですというエディングトン。ウォーフは無理もないといい、軍の手が及ばない今は、マキにとって非武装地帯からカーデシア人を永遠に追い出す絶好のチャンスだという。輸送船は3日後にDS9を経由することになっており、シスコはステーションを厳戒体制にするように命じた。出入りする貨物船は例外なく調べ、武器や爆発物を捜し、プロムナードの警備も強化するというシスコ。オドーが了解する。ウォーフに明日ディファイアントでバッドランドへ偵察に行くようにいい、マキに監視しているということを見せてやろうとシスコは言う。エディングトンに、レプリケーターがカーデシアに渡るまで逐一状況を報告するように命じ、解散させた。するとオドーとエディングトンが部屋に残り、申し上げたいことがあるという。言いにくそうに話し始めるエディングトン。実はステーションの中にマキの一員と見られる人物がいるという。現段階では推測に過ぎず、状況証拠しかないと話すオドー。誰なんだというシスコに、まだ確定したわけではというエディングトン。わかったというシスコ。だが2人は顔を見合わせる。どうしたと聞くシスコ。オドーは、キャシディ・イエイツですと答えた。

※1: キャシディ・イエイツ (ペニー・ジョンソン Penny Johnson) シスコの恋人。DS9第77話 "Indiscretion" 「デュカットの娘」以来の登場

※2: マイケル・エディントン Michael Eddington (ケネス・マーシャル Kenneth Marshall) 保安部員で、階級は少佐。DS9第82話 "Our Man Bashir" 「ドクター・ノア」以来の登場

※3: 連邦評議会 Federation Council 映画ST4 "The Voyage Home" 「故郷への長い道」など

※4: replicator 料理を作るのに多用されますが、このタイプは巨大なものも作れるようです

※5: Maquis 連邦はテロリストとみなしている集団。DS9第40・41話 "The Maquis, Part I and II" 「戦争回避(前)(後)」など


・本編
キャシディだと、彼女がマキの一員だなんてことがあるかと怒るシスコ。私もそう願います、テロリスト組織への武器や物資の密輸は重罪ですからというオドー。証拠は何なんだといわれ、オドーが話し始める。イエイツ船長はベイジョーの植民地に荷を運ぶため、5ヶ月前ベイジョーに雇われた。主な定期航路はベイジョー星から、ドリオン7号星※6にある植民地へだ。12時間で済むところをいつも18時間かけてきており、6時間あれば十分バッドランドへ寄って物資を供給できるという。その後ドリオン星系に戻り通常の航海を続ければいいんですというオドー。シスコは笑い、それが証拠か、運搬が遅いというだけで疑っているのかという。エディングトンはまだありますといって、艦隊情報部がマキのアジトに潜入し、ベイジョー領域との連絡記録を手に入れることに成功したという。もちろん発信者の名前は隠されていたが、その一人はここ半年DS9から接触を続けていたのだ。イエイツは約半年前からこのステーションで暮らしている。そんなちっぽけな証拠で告発できるかというシスコ。オドーはただ疑いをもっているだけです、大佐に不愉快なのは百も承知だが監視する許可を頂きたいという。彼女は連邦市民だ、君の疑念だけでプライバシーを侵害することは許されない、彼女を監視したいなら私を納得させるような確固たる証拠を見せろというシスコ。マキの一員なら、もはや連邦市民ではありませんというエディングトン。シスコは答えはノーだという。よくわかりましたというエディングトン。2人は出ていこうとする。だがシスコは呼び止め、ステーションに出入りする船は全て調べることになっていたはずだという。何か見つけたら、というシスコにお知らせしますとオドーは言い、出ていった。
スプリングボール※7の試合が行われている。ベシアとガラック※8が観戦している。ガラックが見た方には、ジヤル※9もいた。片方の選手がもう一人に体当たりし、そのすきに1点を加えた。歓声が上がり、いいぞ少佐その調子だというベシア。キラはヘルメットを少し脱ぐと、またかぶった。今の見たか、敵を突き飛ばしたんだぞというベシア。とても見事でしたというガラック。ジヤルの方をちらちら見ている。ジヤルもガラックの視線に気づいている。じろじろ見るなよというベシアに、見るためにここに座っているんですというガラック。試合を見ろよ、観客を見に来たんじゃないというベシア。ステーションにいるカーデシアの女性は彼女だけなんだ、誰かの気を引くことくらい承知しているはずというガラック。お前の気を引こうなんて思ってないというベシア。その時キラが相手の足に引っ掛かって倒された。今のはファールだと怒るベシア。だがキラは見事にボールを受け取った。また歓声が上がる。熱中するジヤルを見ながら、試合が終わったら挨拶してきますというガラック。ジヤルはガル・デュカットの娘だ、この銀河で彼ほどお前を嫌っている奴はいないとベシアは言う。キラの友達でもある、泣かせたら恐いぞという。試合は相手に1点が入った。ただ礼儀として挨拶したいだけです、まるで私が女性に話しかける時はいつも下心があるような言い方をされるというガラック。あまり人を馬鹿にしないで頂きたいというと、ただ面倒を避けた方がいいと思ってというベシア。ベシアがガラックの方を向いているその時、キラが最後の点数を入れ試合は終わった。拍手する観衆、キラは倒れた相手を起こしている。どうなったと聞くベシアに、素晴らしいプレーをしたんです、試合には集中していないとというガラック。という。仕方なさそうに拍手をするベシア。ガラックはジヤルの方を見、ジヤルもこちらを見た。
シスコが自室で料理を作っている。イエイツが部屋に来て、何の匂い、通路中に充満しているという。ちょっとした実験だ、ホウレンソウのリングイネを使ったベイジョー風シチュー※10だというシスコ。お隣から苦情がこないと聞くイエイツに、たまに、でもそれはカモフラージュで本当は味見をしたんだという。素直に言えばいいのにというイエイツ。シスコはみんな本音を隠したがるといい、口付けをする2人。そこへパッドを持ったジェイクが入ってくる。お取り込み中のところ悪いが、カヴァリアタイガー・バット※11の匂いを知らないと聞く。小説に出したいんだ、データベースに写真は山ほどあったが匂いまではでてなかったというジェイク。作家なんだ、想像して書けばいいというシスコに、読み手に臨場感を持たせたいんだというジェイク。イエイツにカヴァリアへ行ったことがないか聞く。ないわ、ごめんなさいと答えるイエイツ。いつも貨物船で近くを通るんじゃないかいと聞くシスコに、カヴァリアはバッドランドの方だから近づかないようにしているというイエイツ。クワークに聞いたら、バーのお客さんに詳しい人がいるかもという。シスコは荷を下ろすドリオン7号星はカヴァリアの近くじゃなかったかなという。イエイツは近いというのをどう定義するかによるといい、自分の感覚ではかなり離れているという。ドリオン星系はどのルートを通っているんだ、ロロー星雲※12を迂回するんじゃないのかと聞くシスコ。そんなに知りたいんだったらフライトプランをご覧になったら、あなたはこのステーションの指揮官なんだものというイエイツ。シスコは話を止め、皿をもって並んでくれという。ジェイクと楽しそうに話すイエイツを見て、シスコは微笑んだがすぐにその笑みは消えた。

※6: Dreon VII

※7: springball ベイジョーのスポーツ。DS9第36話 "Shadowplay" 「幻影の村」などにセリフ中だけに登場。実際の試合が出て来たのは初めてで、Anthony Fredrickson によってデザインされました

※8: エリム・ガラック Elim Garak "Our Man Bashir"、ガラックとしては DS9第92話 "Shattered Mirror" 「鏡の裏のシスコ」以来の登場

※9: トーラ・ジアル Tora Ziyal (Tracy Middendorf) デュカットとベイジョー人女性の間に生まれた子。DS9第86話 "Return to Grace" 「新たなる戦線」以来の登場。なぜかこれまで演じていたサイア・バッテン (Cyia Batten) から俳優が変わっています

※10: 正確にはラタンバシチュー (ratamba stew)

※11: Kavarian tiger-bat

※12: Rolor Nebula


ジヤルがターボリフトに乗ると、偶然ガラックがいた。驚くガラックとは離れて立つジヤル。次にリフトが止まった時、2人を残してほかの人は降りてしまった。気まずい空気が流れる。ガラックが私を襲ったりしないだろうねと話し始める。いつもは危険を察知するとそうそうに退散する身だが、ここを出るわけにはいかないという。保安部員を呼んだらいいじゃないというジヤル。到着するまでの数分で手後れになるかもしれないというガラック。ジヤルは少し微笑み、襲ったりなんかしないという。ガラックは安心したといい、ジヤルはあなたも危険はなさそうね、私も恐れることはないという。ターボリフトが停止する。ガラックはもちろん君も、私を恐れることはないといい降りていった。
貨物船ゾザ※13のエアロック。ボリアンの男性※14がふざけないでください、生鮮食品も運ばなくちゃいけないのにと怒っている。どうかしたのと来るイエイツ。オドーは船の立ち入り検査をさせて頂きます、でないと出発は許可できないという。何のと聞くイエイツに、テメクリアンウイルス※15のです、ベイジョーで大発生しているという報告が入ったので全ての貨物を調べているというオドー。イエイツは積み荷はベイジョーのものじゃないというが、オドーは規則に例外はないという。6時間かかるというのを聞き、ランデブーに間に合わないため困るというイエイツ。近くのコンソールを操作し、シスコを呼び出す。仕事中ごめんなさい、こんなことしたくなかったというイエイツ。ウイルスの検査のことなの、オドーに検査には6時間かかるといわれたが9時間後にはソリアンの貨物船※16とランデブーしないといけないという。彼らが時間に正確なのは知っているでしょうというイエイツ。これは健康に関する問題だというシスコに、イエイツは念のために全部の積み荷をバリオン※17放射線で消毒しておくという。そうじゃないと積み荷を無駄にすることになると懇願する。シスコは一旦通信を切り、エディングトンに検査を早める方法はないのかと聞く。ウイルス検査と見せかけて密輸品の捜索をする、カモフラージュフィールド※18や積荷目録、コンピューター記録をごまかしていないか探さなければなりませんというエディングトン。シスコは何にしろ今回はうまくいくとは思えない、キャシディは急いでいるため検査の間中そばを離れないだろうという。少なくともやってみる価値はあるというエディングトン。だがシスコは通信を戻すと、出発を許可した。放射線の照射を忘れるんじゃないぞという。ありがとう、また明日ねというイエイツに微笑むシスコ。通信を切り、何か言いたいことがあるかね、少佐という。ありませんというエディングトンに、ディファイアントへ行ってウォーフに作戦の変更を伝えるように言うシスコ。エディングトンもゾザの追跡に加わるように命じる。了解し、イエイツ船長がマキの船と接触した場合はどうしましょうかと聞くエディングトン。シスコは今はただ追跡を続ければいい、接触した時点で報告しろといった。ディファイアントへ向かうエディングトン。
航行するゾザの後ろを、遮蔽したディファイアントが追跡している。ゾザがコースを変更したというオブライエン。それはバッドランドだというエディングトン。ウォーフはそのまま追跡するように命じた。
ゾザはスピードを落とし、バッドランドに入っていく。プラズマストームをよけながら進むゾザ。オブライエンはマキも馬鹿じゃない、バッドランドを基地に使うなんて考えたもんだ、いい度胸しているという。ウォーフはテロリストで犯罪者と変わらない、そして必ず犯罪者は間違いを起こすという。連中には大義があるんですというオブライエン。捕まえて一掃すべきだというウォーフに、自分の国を守っているだけですよというオブライエン。無理もないんじゃないんですか、彼らが故郷として暮らしていたカーデシアの辺境にある荒れ果てた星を、連邦が条約だといってカーデシアに引き渡してしまったんですからという。私はテロリストにはならん、不名誉なことだというウォーフ。キラ少佐には言わない方がいいですよというオブライエン。エディングトンに、マキをどう思いますと意見を聞く。特別な感情はないとエディングトンは答える。意見くらいあるでしょうというオブライエンに、命令に従うだけさという。艦隊に探せといわれれば探すし、助けろといわれれば助ける。艦隊士官としての責任を果たすこと、それ以外は何も許されないと言った。そのときオブライエンは右舷前方に衝撃波を探知したという。スクリーンに映し出すように言うウォーフ。ゾザの近くにはマキの船がいた。ゾザが積み荷を転送しているとエディングトンはいった。

※13: コーサ Xhosa アンタレス級。DS9第73話 "The Way of the Warrior, Part I" 「クリンゴンの暴挙(前)」に登場

※14: 名前は Brathaw (ジョン・プロスキー John Prosky VOY第167話 "Friendship One" 「終焉の星」のオトゥリン (Otrin) 役) ですがセリフ中には出てきません

※15: Temecklian virus

※16: Tholian freighter ソリアンはTOS第64話 "The Tholian Web" 「異次元空間に入ったカーク船長の危機」に登場した非ヒューマノイド型種族

※17: baryon TNG第144話 "Starship Mine" 「謎の潜入者」など

※18: camouflage field 訳されていません


ガラックの仕立て屋にジヤルがやってきた。いいお店ね、腕もいいみたいというジヤル。光栄だね、何か用でもと聞くガラック。ジヤルはクワークからホロスイートのプログラムを買ってきたことを話す。カーデシアのサウナを再現したもので、本物そっくりにできているという。なるほどというガラック。ジヤルはもし良かったら一緒にくつろがないかと思ってと誘う。驚くガラック。カーデシア人は私たちだけだし、ほかの星の人には暑すぎると思うというジヤル。確かに、それでいつプログラムをと聞くガラック。ジヤルはあさっての21時はどうかしらという。ガラックは楽しみに待ってるとしようといった。良かった、じゃあその時にとというジヤル。誘ってくれてありがとうと軽くお辞儀をするガラック。ジヤルも礼をし、店を出ていった。
起きてくるジェイク。シスコにおはようといい、レプリケーターにラクタジーノを甘くしたものとマカパブレッドの耳なしを注文する。ジュースとオートミール※19じゃないのかというシスコに、キャシディにこの食べ方を教わったんだというジェイク。いつ戻るのと聞くジェイクに今夜だと答えるシスコ。ジェイクはパンの切れ端をラクタジーノにつけている。すると泡が出て来て、シスコが怪訝な顔をする。大丈夫だよ、この泡がおいしいんだというジェイク。ペパーミントみたいな味でそれにこのパン、口では言えないおいしさだ、食べてみると差し出す。シスコは遠慮する。何かあったのと聞くジェイクに、疲れているだけだ、夕べよく眠れなかったという。一人じゃ眠れない体質になっちゃったんじゃないと笑うジェイク。変な意味じゃなくキャシディと一緒にいて、もっと理解を深めあったりしたいんじゃないのという。いい加減にしないかと怒るシスコ。冗談だよというジェイクに、わかっている、ただそんな気分じゃないんだというシスコ。ジェイクはキャシディと何かあったのと聞く。そうじゃないといい目を閉じるシスコ。良かったら聞くよとジェイクはいう。シスコはジェイクの手を握り締め、よく覚えておけ、私たちは何があっても絶対変わらないといった。悪かった、疲れているんだといってシスコは部屋を出ていった。
ディファイアントが戻ってきた。エディングトンが報告を行っている。マキの船に積み荷を転送した後、ゾザは直ちにバッドランドを脱出しドリオン7号星に向かったという。積み荷は何だったのと聞くダックス。転送の痕跡から見て、約80%は有機体だったというオブライエン。食料か医療品と思われる。武器じゃないとするとというダックスに構わず、ゾザが戻る時間を聞くシスコ。ステーションに向かってきており、19時には到着するというウォーフ。シスコは解散させた。ダックスが残り、何か言おうとするが以上だ、ダックスというシスコ。何も言わずにダックスは出ていった。
帰ってきたゾザ。部屋のチャイムが鳴り、無理矢理笑顔を作って迎え入れるシスコ。イエイツが入ってくる。寂しかったと聞く。どこにいってたと聞くシスコに、認めなさい、私と一緒じゃなきゃ夜も眠れないんでしょうというイエイツ。口づけをする2人。それでソリアン船とのランデブーには間に合ったのかと聞くシスコ。おかげさまで、検査を免除してくれてありがとうと言うイエイツ。あなたがいなかったら大損してたという。いつもというわけにはいかんというシスコ。わかってますといいシスコを抱くイエイツ。ソリアンとはドリオン星系であったのかとシスコは尋ねる。そうよと答えながらキスをするイエイツ。医療品を受け取るだけのためにそんな遠くまで出てくると思ったというシスコに、それだけ必要なのよというイエイツ。植民地の一つでウイルス性の伝染病が発生したという。今夜も任務があるから泊まっていけないが、積み荷の検査をする時間はあるというイエイツ。オドーが喜ぶよというシスコ。ジェイクが部屋に帰ってくる。なんだ、おかえりというジェイク。私に言っているのというイエイツ。ジェイクは2人に時間があるか聞き、ノーグが新しいホロスイートのプログラムを送ってきてくれたことを話す。野球のもので、1961年のヤンキースと、1978年のレッドソックス戦というジェイク。イエイツはホットドッグを買わなきゃというが、シスコは司令室に戻るという。ヤンキースが勝つに決まってるしな、楽しんでおいでというシスコ。2、3時間しかいられないのにというイエイツに、仕事なんだ、また戻ったら会おうと言いキスをするシスコ。ジェイクはがっかりした顔をする。わかったというイエイツ。シスコは部屋を出ていった。
今夜は別の任務に出かけるというシスコ。検査を予期しているので、船に手がかりを何か残しているとは考えられないという。オドーはエディングトンと話し合ったが、ゾザが再びマキの船と合流を試みるなら、両船とも拿捕しメンバー全員を逮捕するべきですという。今度は何ヶ月後になるかわかりません、この機会に決行すべきですというエディングトン。シスコはいいだろうといった。感謝しますといい、2人だけでお話ししたいことがあるというエディングトン。オドーが出ていく。エディングトンは例のレプリケーターが明日の午後到着することを話し、ステーションに残って監視を続けたいという。リース大尉※20に任せればいいというシスコ。それはそうなんですがと口を濁らせるエディングトン。シスコにはっきり言いたまえと言われ、マキが戦闘体勢に入ったらゾザも巻き込まれ、そうなったらキャシディ・イエイツの命も保証できないという。その責任を負いたくないのですという。責めることはできないな、レプリケーターを守ることは君にとって最優先の任務だというシスコ。ディファイアントの指揮は自分が執るという。感謝し、出ていくエディングトン。
イエイツがエアロックにやってくる。ボリアンの副長が検査は終わりました、何も問題はなかったという。シスコも来た。副長にすぐ行くわというイエイツ。試合はどうだったと聞くシスコ。7対3でヤンキース、わざわざスコアを聞きに来たのと聞くイエイツ。シスコはデートの申し込みに来たという。わずらわしいこと全て忘れてライサ※21へ行かないかという。今からと聞くイエイツ。今からだ、荷物も何も持たないでここから小型艇へ向かい、出発するんだというシスコ。ステーションはどうするのと聞くイエイツに、優秀なクルーがいる、2、3日くらい私がいなくても支障はないという。近寄り、お互いに2、3日の休みも取れないほどの、急な任務など抱えていないはずだろうというシスコ。イエイツはソリアンは2、3日も待ってくれないという。それなら副長に任せればいい、それよりもソリアンと連絡を取ってこの取り引き自体を中止したらどうだというシスコ。そんなことできないわベン、私には義務があるというイエイツ。ため息をつくシスコ。イエイツは先に行ってライサで待っててくれるなら、すぐに追いかけるという。シスコは笑い、忘れてくれという。馬鹿なことを考えたもんだ、気をつけてなという。イエイツはありがとう、魅力的なお誘いだったわという。ぜひ一緒に行きたかったというイエイツに、僕もだとシスコは言うのだった。

※19: oatmeal

※20: Lieutenant Reese

※21: Risa よく休暇のために使われる惑星。TNG第67話 "Captain's Holiday" 「大いなるホリディ」など


ゾザを追いかけるディファイアント。ゾザに合わせて減速する。ウォーフは前回の合流地点と同じ座標に向かっているという。船の形跡はまだない。プラズマフィールドではセンサーの効果は半減するというオドー。また曲がるゾザ。どうやら待っているようですね、マキが遅いのか、ゾザが早かったのかというオブライエン。どちらにせよ、我々も待とうというシスコ。
ガラックの仕立て屋。クワークはこの襟何とかしてくれないかといっている。例えばと聞くガラックに、知るか、とにかくかっこよくしてくれという。私はかっこ悪いのがお好みかと思っていました、お客様の好みは仕立てる前にいって頂かないとというガラック。よく客商売をやってられるなというクワーク。ガラックが服を触ろうとすると止め、肩幅を大きくして、袖口を見栄えよくしてくれという。キラが入ってきた。何でしょう少佐というガラック。クワークにちょっと失礼といい、どうぞというクワーク。ガラックがキラの前に来るなりキラは壁に押し付け、よく聞きなさいという。ジヤルをどうやってたぶらかしたかは知らないけど、今すぐ手を引きなさいというキラ。誤解しないでくださいと言うガラックに、あなたの嘘なんか聞きたくない、あの子は私の保護下にあるという。少しでも傷つけるようなことがあれば後悔することになるというキラ。ガラックは肝に銘じておきますといった。よろしいといって出て行くキラ。再びクワークのところに戻るガラック。災難だなというクワーク。ズボンは1メートルくらい長いという。ガラックが採寸を始める。それでジヤルとのデートはやめるのかと聞く。デートじゃありません、でもなんで知っているですと聞くガラック。男と女が会うのはデートだ、それにホロスイートを売ったのは俺だというクワーク。ガラックは元々断るつもりでした、父親の誕生日プレゼントに私の首を持っていかれてはたまりませんという。被害妄想もいいとこだなというクワーク。自分の命が狙われると勝手に想像するのは被害妄想だが、私は本当に狙われているんですというガラック。今の少佐との楽しいおしゃべりで、疑いが晴れたという。わけがわからないクワーク。もしジヤルが私を本当に殺そうとしているなら、わざわざ少佐は警告にこないというガラック。私の死を大歓迎こそすれ、決して邪魔しないはずですという。計画の一環だったらと言うクワーク。 あんたに安全だと思わせようとわざと少佐が止めたんだ、そうすれば行くだろうからなという。茫然とするガラック。まさかな、手が込みすぎていると言うクワーク。だがガラックはそれはそうだという。短すぎだと言うクワークに、何がと聞くガラック。ズボンだよと言われ、再び採寸を続けるガラック。
まだマキの船が現れる気配はない。妙ですな、テロリストの動きらしくないと言うオドー。合流相手が現れなければ去るはずだ、5時間もバッドランドを旋回しているはずがないと言う。確かに、でもそれほど貴重な積み荷を運んでいるのではと言うウォーフ。オドーは少佐の言う通りかもしれません、大佐が目的なのではという。つまりゾザに乗っているのがイエイツでなければ、シスコはここにいなかった。誰がおびき出したと言うことかというシスコ。スクリーンを眺めてても答えが出ないことは確かですというオドー。そうだな、答えはここにないというシスコ。ウォーフにブリッジを任せ、出ていくシスコとオドー。
ゾザのブリッジ。応答はありませんという副長。人を馬鹿にしているわというイエイツ。その時副長がタキオンサーチを検知したという。船が現れる。そのディファイアントを見て、嘘でしょというイエイツ。続いてブリッジにフェイザーを構えたシスコたちが転送されてきた。ベン、ここで何をしているのというイエイツ。何も言うな、密輸品だということもわかっている、マキの手先だということもなというシスコ。なぜ私をおびき出した、この間にマキの連中がステーションを攻撃するというのかと聞く。ジェイクがいるんだぞ、君をあんなに慕ってたあの子を危険にさらすような真似をして平気なのかとイエイツの肩をつかむ。イエイツはここでマキの船を待つようにいわれただけだという。攻撃するなんて話も聞いていない、そんなことするはずがないという。あなたが来るなんて知らなかったけど、最後の言葉で来ているかもしれないとは思っていたというイエイツ。なぜ任務を取りやめなかったと聞くオドー。イエイツは運んでいた医療品は急を要するもので、何があっても任務を遂行するように上から命令されていたことを話す。任務に出かけることが多すぎたし、用心するようにいったが聞いてくれなかったという。マキは君が捕まることを知っていた、だから落ち合うはずの船をよこさなかったんだろうという。全てはこのため、シスコをステーションの外へおびき出すために仕組まれていたのだ。一体何が目的なんだ、一体ステーションで何が起こっているんだというシスコ。
エディングトンが集められた保安部員の前で話をしている。艦隊司令部からの命令だ、第17貨物室に届くレプリケーターを、到着予定のヴァルカンの貨物船に積み込んで欲しいという。任務は極秘に遂行されなければならない、ステーションの誰にも悟られるなというエディングトン。リース※22がベイジョーの保安部員にも知られてはいけないのですかと聞き、もちろん気づかれるなと答える。これから一切の通信手段を停止し、今後9時間内外の交信を行ってはならないという。解散させるエディングトン。そこへキラがやってきて、何か用と聞く。ええ少佐、今度数時間ステーションの指揮は私が執りますとエディングトンは言い、フェイザーを手に取りキラを撃った。倒れ、気絶するキラ。エディングトンは部屋を出て、ドアにロックをかけ歩き出した。

※22: (Steven Vincent Leigh)

ディファイアントはバッドランドを抜け、プラズマフィールドを脱出した。すぐにステーションへ最大スピードで戻るように命じるシスコ。ステーションからは応答はなく、DS9は一切の通信手段を停止させているいるようですというウォーフ。呼び続けるように言うシスコ。なぜゾザを連行しないんです、イエイツ船長は二度と戻りませんよというオドー。もし私に許可を頂ければすぐにでもというオドーに、今我々がすべきことはステーションに戻ることだというシスコ。イエイツ船長のことは責任を取る、このまま私に任せてくれないかと言う。オドーはわかりましたと言った。
ヴァルカンの貨物船がDS9に停泊している。エディングトンは保安部員に監視された通路を通り、エアロックにやってきた。レプリケーターは全て積み終わったことを報告するリース。エディングトンは5分後に出発する、大佐がお戻りになるまで君が指揮を執ってくれという。私がですかというリースに、不都合でもあるのかねというエディングトン。ただ下級士官の私が指揮を執っていいものかとというリース。君がだめなら代わりの人間を探すまでだというエディングトン。ステーションの安全は君にかかっている、自信がないなら辞退しろという。リースは了解した。司令部に行くように命じるエディングトン。ドアの前で振り返り、コミュニケーターを壁につける。そして奥へ進んで行った。
ディファイアントがステーションに到着した時には、エディングトン少佐の姿はなかった。キラも司令室に戻ってきている。バッドランド付近の船が総がかりでヴァルカンの貨物船を探しているが、オドーは見つかるとは思えないという。エディングトンは不測の事態に備えている男だ、脱出計画も綿密に練っているだろうという。カーデシアには何てというキラに、事実を言う、私のやつにだまされたんだというシスコ。私たちもですというキラ。シスコはこのステーションで起きたことは全て指揮官である私の責任だという。そこへシスコにメッセージが届いた。エディングトンからだ。シスコはすぐオフィスにつなぐようにいった。
通信を受けるシスコ。エディングトンが映し出される。シスコは一つだけ聞かせてくれといい、なぜだといった。理由を知って現在の状況が変わるんでしょうかというエディングトン。それはないだろうなというシスコに、では答える必要はないでしょう、あなたにコンタクトをとったのは我々を放っておいて欲しいからですという。連邦と戦っているわけではない、そっとしておいてくれるなら二度とあなたがたを巻き込まないと約束するというエディングトン。シスコは船を乗っ取らないという保証はあるのかと聞き、カーデシアにレプリケーターを送り続けるなら、船を奪われるよりもっと面倒なことになりますよという。私に脅しは通用しない、それくらいわかっていると思っていたが、どうやら私のことを何もわかっていなかったようだなというシスコ。わかってます、かつての私と同じだ、でも私は目が覚めたといい話し始めるエディングトン。「あなたも覚まして下さい、なぜ連邦はマキを放っておいてくれないのですか。連邦はいつも我々をテロと称して逮捕し、告発する。バッドランド中を探し回り、同志を苦しめ、辱めている。なぜか。我々が連邦を脱退したからです、それだけはどうしても許されない。楽園を去る奴なんかいない、誰もが連邦に加わるべきだと思い上がっている、もちろんカーデシアも例外じゃない。レプリケーターをせっせと送っているのも、いつか連邦評議会の椅子にカーデシアを座らせたいからだ。連邦のやってることはボーグと何も変わらない、ボーグは次々に相手を同化していくが、連邦も同じだ。相手を飼い慣らし、同化しているじゃないですか。」シスコは私にも言わせてもらおうといい、君が連邦やマキに対してどう思っているかは知ったことじゃないという。艦隊の誓いや任務やこの私を裏切ったのだ、覚えておけ、私は一生かかっても君を軍法会議にかけ有罪にしてやるという。犯罪者植民地に送られ、死ぬまで過ごすことになるだろう、船一杯のレプリケーターに、人生を棒に振る価値があったのかと考えながらというシスコ。そして通信を切った。
ホロスイートのカーデシアサウナ。ガラックが入ってくる。いい気持ちでしょう、ステーションって時々寒すぎると思わないと聞くジヤル。そうだな、実に気持ちがいいというガラック。ジヤルは横になるように言うが、ガラックは立ったままでいいといい一つ答えて欲しいことがあるという。なぜ私がここにと聞く。なんですってというジヤル。なぜ私がここにいるのかとても信じられない、父親の最大の敵をわざわざサウナに入れるために呼び出したなんてというガラック。ジヤルは本当に私が殺そうと思っているのという。最初はあなたを憎んだ、父とキラからあなたがオブシディアンオーダーの諜報員だったということは聞いたという。ジヤルの祖父を拷問し、殺したこともだ。その気になれば私も簡単に殺せるんでしょうというジヤル。私はキラ少佐もあなたの父上も、信用できる人物だとは思ってないがその件に関してはすべて本当のことだというガラック。ジヤルは自分も本当のことを教えてあげるという。私にはベイジョーの血も流れているが追放され、故郷には戻れないという。あなたと同じなの、同じ境遇の者同志楽しみを分かち合うことはいけないことかしらというジヤル。5年間捕虜収容キャンプで暮らしてきて、同情だったらいらないという。でもあなたがここにいたいと思うなら、私の知らない故郷のことでも話してくれないと頼む。そしたら友達になれるかも、あなたも私を気に入るかもしれない、いずれにしろあなた次第よというジヤル。ガラックはディスラプターを取り出し、どうやらこれはもう必要なさそうだなといって近くに置いた。そして岩のベッドの上に横になると、どこから話そうかという。微笑むジヤル。
ゾザはDS9に戻ってきた。シスコが一人で出迎える。降りてきたのはイエイツだけだった。部下たちは全員マキの基地に降ろしてきたという。私はここへ戻る必要があったけど、逮捕されるってわかっていて部下たちまで連れてくることはできないというイエイツ。君も戻らなければ良かったというシスコに、いいえ、だめよと答えるイエイツ。あなたは私が戻るってわかってたから私たちをあの場へ残したんでしょうという。自分のしたことを悔いてはいないし謝るつもりもない、私はあなたと同じように務めを果たしたというイエイツ。今もしなければならない務めがあるというシスコ。イエイツはわかっている、刑務所へ行くことになるのもわかっているという。でも戻ってきた、私たちのためにという。結果はこんなことになってしまったが、まだあなたを愛している、この愛を終わらせたくないという。あなたはと聞かれ、シスコはそれは、とだけいってイエイツと抱き合った。見つめ合う2人。そしてシスコはリース大尉を呼んだ。リース以下保安部員たちがやってくる。必ず戻ってくるというイエイツに、待ってるよとシスコは言った。イエイツはリースたちに連行されていった。


・感想
マキを中心に話は進みます。邦題にあるように裏切り者は誰だ、というのが謎なんですが、それがイエイツ、そしてエディングトンの両方だとはまさに「まさか」といった感があります。ただの保安部員だと思っていたエディングトンがマキのメンバーだったというのも驚かせられますが、それに加えシスコは2人のジェニファーに続いてまたも愛する人と別れることになってしまいました。非常に辛い立場の中、これから一段と厳しくなる状況にどう対処していくかが見物です。さらにサブストーリーのガラックとジヤルの親交にも注目です。


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