シャトル内のトレス。「トレスよりヴォイジャー。ちょっと手を貸してくれる?」
中では蒸気が噴出し、爆発が続いている。チャコティの通信。『そっちの状況は。』
「ヴォイジャーに接近中。イオンストームで、ディフレクターフィールドが破損。コントロール不能。左舷ナセルから、プラズマが流出中。」
『トラクターパルスでスピードを抑えよう。』
「わかったわ※1。」
『フィールドの準備はできてる。着艦してくれ。』
ヴォイジャーの後部にある、シャトル格納庫が近づいてくる。トラクタービームが消え、中へ向かう。
ジェインウェイ:『気をつけて。相当揺れるはずよ。』
バウンドしながら突っ込むシャトル。衝撃に耐えるトレス。「ああっ!」
フォースフィールドに当たり、シャトルは停止した。
ハッチが開き、医療キットを持ったパリスが入る。「ベラナ。」
「ああ…。」
「生きてるかい?」
「どうかしら。」
トリコーダーで調べるパリス。「軽い脳震盪のようだ。」
「今日一番ラッキーな出来事ね。」
笑うパリス。
トレスに話すジェインウェイ。「命令は守ってもらうためにしてるの。探査機を追ってイオンストームに突っ込んだりせずに、ヴォイジャーに戻るようにと言ったでしょ。」
「一機しかない多空間探査機をなくしたくなかったので。」
「ベラナ・トレスも一人しかいない。失いたくないのよ。」
「わかりました。」
「ラナ※2? 無事に戻ってきて良かった。」
「今ラナと呼びましたか?」
「ええ、そのようね。」
「……母にそう呼ばれていたんです。」
「お母様と気が合いそう。」
作戦室を出て行くトレス。
トレスは暗い部屋でパッドを読んでいる。チャイムが鳴った。「どうぞ。」
中へ入るチャコティ。「気分は?」
「ひどくなった。」
「君のシャトルを調べたら、これが左舷ナセルに引っかかっていた。昔モンキーレンチと呼ばれた物だ。」 金属の板を持っている。
「どうしてかしらね。」
「センサー記録によれば、ディフレクターフィールドが破損した後で引っかかったようだ。だがなぜこれが…この辺りにあるかがわからない。」
「どういう意味?」 その遺物を受け取り、トレスはそこに描かれている記章を目にした。「そんな…。クリンゴンのだわ。」
「しかも古い。わかるのはそれだけだ。デルタ宇宙域には、艦隊よりクリンゴンが数百年早く来たらしいな。クリンゴン史上、最も貴重な考古学的発見かもしれない。」
それを返すトレス。「じゃあ、帝国のために旗でも立てようかしら。説明は簡単につく。ボーグがアルファ宇宙域で、バード・オブ・プレイ※3を同化して戻る途中、それがエアロックから飛び出した。」
「かもしれん。まあとにかく、いい土産になったな。」
トレスに金属を渡し、チャコティは出ていった。
それをテーブルの上に置き、トレスはレプリケーターを操作する。
すると遺物のクリンゴンの記章から、赤い血がみるみる湧き出てきた。マークを満たし、更にテーブルの上にも広がっていく。
血に気づくトレス。そして多数の人物の叫び声が聞こえてきた。血はテーブルからこぼれんばかりに広がっている。
だが次の瞬間、叫び声も血も消え、遺物は元通りになった。驚くトレス。
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※1: "Acknowledged." を「やってみるわ」と訳しているため、意味不明です
※2: Lanna
※3: 「クリンゴンの船」と吹き替え
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