可変種の赤ん坊といいながら、見つめるシスコ。何世紀も前私の一族は数百人の子供を宇宙に送り出した※3というオドー。私もこういう姿で発見されたという。こんなに小さかったのかというシスコに、人間の子供のように大きくなりますというオドー。変身能力が発達するにつれ、体積が増していくのだ。どうやらこの子供は大量のテトリオン※4放射にさらされたみたいですと報告するベシア。電界拡散機を使って同位元素を取り除いているという。頼んだぞというシスコ。ベシアは子供の入った容器を持っていった。本当に危害を加えることはないんだなと聞くシスコに、オドーは発見された時自分が何者か、どこから来たかもわからなかったという。好きなものに変身できることさえ知らなかった。なぜそんなか弱い子供たちを宇宙に送り出したんだと聞くシスコ。子供を拾う種族が危険かどうかを判断するからです、幼い命をどう扱うかでその種族の性質がわかると話すオドー。人間の形を取れるようになるまでどれくらいになるかと聞かれ、数ヶ月ですと答える。シスコは君の一族について知るいい機会だ、ドミニオンについて貴重な情報を艦隊に教えてくれるかもしれないという。この子を育てて、変身の仕方を教えてやりたいというオドー。シスコは君をおいてほかに適任者はいないという。だが1人より2人がいい、モーラ博士※5に連絡しようという。モーラに、なぜですと聞くオドーに、何てったって君の育ての親だ、助けになってくれるという。オドーはできれば一人でやりたいという。もちろんだ、しかしおむつを替えるのを手伝ってくれる人がいると、ずいぶん楽だというシスコ。考えておきますというオドー。
可変種の子供は正常な色に戻っている。テトリオンはほぼ100%取り除けた、同位元素の濃度も気にするほどじゃないというベシア。健康そうになったというオドー。ベシアはそろそろキラのところに行ってくる、生まれるんだという。だがオドーは相づちを打っただけで、子供を見つめたままだ。人の子より自分の子が気になるよねというベシア。実は形態発生マトリックス※6に少し不安定なところがある、念のためコンピューターの生命維持監視装置※7をセットしておいたと話す。がんばってといい、医療室を出ていった。オドーは子供に語りかけ始めた。気分はいいかい、まだ言葉の意味はわからないだろうけど、私がいることはわかるねという。私は君の仲間だったんだ、ある科学者に拾われたんだが生命体であることに気が付かず、実験室でいじくりまわしたと話を続ける。そいつは私のことを標本だとみなし、解き明かされるべき謎だとした。私に話しかけるなんてことは、考えてもみなかったんだという。自分が何なのかもわからず、一人ぼっちで孤独だった。しかし君にはそんな目にあわせない、決して実験動物扱いにはさせないと約束するオドー。容器を手に取り、おいで、見せたいものがあると言った。
音の鳴る棒が振られている。ケイコ※8も別の棒を振り、オブライエンが鐘を叩く。同じことが繰り返され、ケイコにひじを突かれ慌てて鐘を叩くオブライエン。棒を振る乳母のヤポーラ※9とベシアが見守る中、キラが椅子に座っている。オブライエンはふいにくしゃみをした。謝るケイコ。それで一旦中断するが、再び儀式が続けられた。話が違う、1時間で産まれるって言ったのにとケイコにささやくオブライエン。ベイジョー女性は心身ともにリラックスしないと分娩しないんだというベシア。だからリズムを乱さないようにしなくちゃいけないというケイコ。オブライエンはそれじゃシャカールが来るまで生まれないという。6時間も前に連絡したんだろう、ベイジョーからは3時間でこられるはずだという。シャカールはベイジョーの首相なのよ、忙しい人というケイコ。ベシアは僕も忙しい、今日は3つ手術の予定が入っているという。また後で来るといい、出ていった。儀式は続く。キラはヤポーラに赤ちゃんが動いているという。落ち着いて、深呼吸してというヤポーラ。後もう少しですよという。そこへ遅れてごめんと言ってシャカール※10が入って来た。平気よと言うキラ。気を散らせてしまったなというシャカールに、それより来てくれてありがとうという。オブライエンは鐘をひときわ大きく叩いた。キラの手を放すシャカール。
オドーはレプリマットで、カップに入れた流動体生物の赤ちゃんに話しかけている。人間はここで食事をする、彼ら、いや私たちは栄養で食物を取ると説明する。このステーションにはいろいろな種族が一緒に住んでいる、人間の姿を取れるようになったらもっといろいろ見せてあげようというオドー。君もここに住んでいい、とっても面白いところだという。ウォーフが来て、飲み物に何を話しかけているんだという。飲み物じゃありませんといい、オドーはカップを持って立ち上がり、ウォーフに見せた。私の子です、失礼しますといって歩いていくオドー。ウォーフは持っていた飲み物を見つめた。
オドーはラボの研究台の上で、子供を容器から出した。すごく気持ちがいいだろう、入れ物の中で窮屈にしていた後だからのびのびしたろうと声をかける。自分ではわからないだろうが君には素晴らしい能力が秘められている、君は流動体生物だ、可変種ともいい好きなものになれるという。タカ※11になって空高く舞い上がることもできるし、ニシキヘビ※12になって大地に身を潜めることもできると説明する。何にでも姿を変えられる、私は変身に関しては下手くそだったというオドー。この顔を見れば下手くそだとわかるだろう、でもいい先生になってみせるという。一生懸命教える、それに君には誰にも絶対に手を出させないといった。そこへオドーを呼ぶ者がやってきた。モーラ博士※13だ。何しに来たんですかというオドーに、赤ん坊のことを聞いて手伝いに来たんだと言った。
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※3: DS9第48話 "The Search, Part II" 「ドミニオンの野望(後)」より
※4: tetryon TNG第131話 "Schisms" 「謎の第3次亜空間」など
※5: モラ・ポル博士 Dr. Mora Pol
※6: morphogenic matrix
※7: ケイコ・オブライエン Keiko O'Brien DS9第103話 "The Assignment" 「ケイコのために」以来の登場
※8: biomimetic fluctuation
※9: Y'Pora (Peggy Roeder)
※10: シャカー・アドン Shakaar Edon (ダンカン・レガー Duncan Regehr) DS9第85話 "Crossfire" 「ジェラシー」以来の登場。声:土師孝也
※11: 正確にはターカリアンタカ (Tarkalean hawk) DS9第3話 "Past Prologue" 「スペース・テロリスト ターナ・ロス」などではターカリアンティー (Tarkalean tea)、DS9第102話 "Nor the Battle to the Strong" 「戦う勇気」ではターカリアンコンドル (Tarkalean condor) が言及
※12: 正確にはフィリアンニシキヘビ (Filian python)
※13: (ジェイムズ・スロヤン James Sloyan TNG第58話 "The Defector" 「亡命者」のアリダー・ジャロック提督 (Admiral Alidar Jarok)、TNG第173話 "Firstborn" 「クリンゴン戦士への道」の成人したアレキサンダー・ロジェンコ (Alexander Rozhenko) 役。VOY第15話 "Jetrel" 「殺人兵器メトリオン」にも) DS9第32話 "The Alternate" 「流動体生物の秘密」にも登場。声優は初代の内田稔から変更になっており、石森達幸
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