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ディープスペースナイン エピソードガイド
第110話「幼き命」
The Begotten

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・イントロダクション
医療室にオドーがうめき声を上げながら入ってきた。おはようオドー、一体どうしたんだいというベシア。オドーは腰が痛いんです、今朝ベッドから出ようとしたらいきなりなったという。きっとアルヴァニアンセボネダニ※1がついたんだ、一生この痛みに悩まされるんだという。ベシアは違う、ただの腰痛だと言った。姿勢が悪いとこうなるというベシアに、いつも背筋を伸ばしていますというオドー。その通り、きちんとし過ぎなんだよというベシア。だらしがないのは許せないんですとオドーは言う。今までは流動体生物だったから背骨はなかった、しかし人間になった以上肩の力を抜かなきゃというベシア。オドーは先週もそう言われてやってみたが、正解だった、プルーンジュースも効いたという。ベシアはオドーの腰にハイポスプレーを打ち、とにかくリラックスだという。そこへクワークが来て、腰痛だってという。お前には関係ないというオドーに、そっくり返ってるからだという。でてってくれというオドー。ベシアはストレッチ体操をしたらいい、ウォーフが開いている朝の体操教室に参加したらとすすめる。かったるい、それよりいいホロスイートのプログラムがある、オリオンの女奴隷※2が3人出てくる話というクワーク。オドーに向かって、苦しめという。何の用だというオドーに、取り引きがある、イリディアンからある品物を買ったという。品物を見る前から欲しくないというオドー。じゃあ創設者たちとの連絡の取り方を教えろ、あいつらなら欲しがるとクワークは言う。そして背中に隠し持っていたものをオドーに見せた。オドーはすぐにその容器を手に取った。中に青い物体が入っている。流動体生物だ、だったというべきかなというクワーク。死んでるやつだからラチナムの板5枚で売ってやるという。生きてるというオドーに、それなら10枚という。弱ってるというと、じゃあ8枚だというクワーク。パッドを操作し、お買い上げありがとうございましたといって出ていった。流動体生物ならセキュリティフィールドに入れた方がよくないかというベシア。そんな必要はありませんとオドーは言う。でも外に出たら大変なことになるというベシアに、外に出たりしない、できないというオドー。赤ん坊ですからねと言った。

※1: Alvanian spine mite
DS9第108話 "Rapture" 「預言者シスコ」ではアルヴァニアのミツバチの巣 (Alvanian beehive) が言及

※2: Orion animal women
緑色の肌をしています。TOS第1話 "The Cage" 「歪んだ楽園」など


・本編
可変種の赤ん坊といいながら、見つめるシスコ。何世紀も前私の一族は数百人の子供を宇宙に送り出した※3というオドー。私もこういう姿で発見されたという。こんなに小さかったのかというシスコに、人間の子供のように大きくなりますというオドー。変身能力が発達するにつれ、体積が増していくのだ。どうやらこの子供は大量のテトリオン※4放射にさらされたみたいですと報告するベシア。電界拡散機を使って同位元素を取り除いているという。頼んだぞというシスコ。ベシアは子供の入った容器を持っていった。本当に危害を加えることはないんだなと聞くシスコに、オドーは発見された時自分が何者か、どこから来たかもわからなかったという。好きなものに変身できることさえ知らなかった。なぜそんなか弱い子供たちを宇宙に送り出したんだと聞くシスコ。子供を拾う種族が危険かどうかを判断するからです、幼い命をどう扱うかでその種族の性質がわかると話すオドー。人間の形を取れるようになるまでどれくらいになるかと聞かれ、数ヶ月ですと答える。シスコは君の一族について知るいい機会だ、ドミニオンについて貴重な情報を艦隊に教えてくれるかもしれないという。この子を育てて、変身の仕方を教えてやりたいというオドー。シスコは君をおいてほかに適任者はいないという。だが1人より2人がいい、モーラ博士※5に連絡しようという。モーラに、なぜですと聞くオドーに、何てったって君の育ての親だ、助けになってくれるという。オドーはできれば一人でやりたいという。もちろんだ、しかしおむつを替えるのを手伝ってくれる人がいると、ずいぶん楽だというシスコ。考えておきますというオドー。
可変種の子供は正常な色に戻っている。テトリオンはほぼ100%取り除けた、同位元素の濃度も気にするほどじゃないというベシア。健康そうになったというオドー。ベシアはそろそろキラのところに行ってくる、生まれるんだという。だがオドーは相づちを打っただけで、子供を見つめたままだ。人の子より自分の子が気になるよねというベシア。実は形態発生マトリックス※6に少し不安定なところがある、念のためコンピューターの生命維持監視装置※7をセットしておいたと話す。がんばってといい、医療室を出ていった。オドーは子供に語りかけ始めた。気分はいいかい、まだ言葉の意味はわからないだろうけど、私がいることはわかるねという。私は君の仲間だったんだ、ある科学者に拾われたんだが生命体であることに気が付かず、実験室でいじくりまわしたと話を続ける。そいつは私のことを標本だとみなし、解き明かされるべき謎だとした。私に話しかけるなんてことは、考えてもみなかったんだという。自分が何なのかもわからず、一人ぼっちで孤独だった。しかし君にはそんな目にあわせない、決して実験動物扱いにはさせないと約束するオドー。容器を手に取り、おいで、見せたいものがあると言った。
音の鳴る棒が振られている。ケイコ※8も別の棒を振り、オブライエンが鐘を叩く。同じことが繰り返され、ケイコにひじを突かれ慌てて鐘を叩くオブライエン。棒を振る乳母のヤポーラ※9とベシアが見守る中、キラが椅子に座っている。オブライエンはふいにくしゃみをした。謝るケイコ。それで一旦中断するが、再び儀式が続けられた。話が違う、1時間で産まれるって言ったのにとケイコにささやくオブライエン。ベイジョー女性は心身ともにリラックスしないと分娩しないんだというベシア。だからリズムを乱さないようにしなくちゃいけないというケイコ。オブライエンはそれじゃシャカールが来るまで生まれないという。6時間も前に連絡したんだろう、ベイジョーからは3時間でこられるはずだという。シャカールはベイジョーの首相なのよ、忙しい人というケイコ。ベシアは僕も忙しい、今日は3つ手術の予定が入っているという。また後で来るといい、出ていった。儀式は続く。キラはヤポーラに赤ちゃんが動いているという。落ち着いて、深呼吸してというヤポーラ。後もう少しですよという。そこへ遅れてごめんと言ってシャカール※10が入って来た。平気よと言うキラ。気を散らせてしまったなというシャカールに、それより来てくれてありがとうという。オブライエンは鐘をひときわ大きく叩いた。キラの手を放すシャカール。
オドーはレプリマットで、カップに入れた流動体生物の赤ちゃんに話しかけている。人間はここで食事をする、彼ら、いや私たちは栄養で食物を取ると説明する。このステーションにはいろいろな種族が一緒に住んでいる、人間の姿を取れるようになったらもっといろいろ見せてあげようというオドー。君もここに住んでいい、とっても面白いところだという。ウォーフが来て、飲み物に何を話しかけているんだという。飲み物じゃありませんといい、オドーはカップを持って立ち上がり、ウォーフに見せた。私の子です、失礼しますといって歩いていくオドー。ウォーフは持っていた飲み物を見つめた。
オドーはラボの研究台の上で、子供を容器から出した。すごく気持ちがいいだろう、入れ物の中で窮屈にしていた後だからのびのびしたろうと声をかける。自分ではわからないだろうが君には素晴らしい能力が秘められている、君は流動体生物だ、可変種ともいい好きなものになれるという。タカ※11になって空高く舞い上がることもできるし、ニシキヘビ※12になって大地に身を潜めることもできると説明する。何にでも姿を変えられる、私は変身に関しては下手くそだったというオドー。この顔を見れば下手くそだとわかるだろう、でもいい先生になってみせるという。一生懸命教える、それに君には誰にも絶対に手を出させないといった。そこへオドーを呼ぶ者がやってきた。モーラ博士※13だ。何しに来たんですかというオドーに、赤ん坊のことを聞いて手伝いに来たんだと言った。

※3: DS9第48話 "The Search, Part II" 「ドミニオンの野望(後)」より

※4: tetryon
TNG第131話 "Schisms" 「謎の第3次亜空間」など

※5: モラ・ポル博士 Dr. Mora Pol

※6: morphogenic matrix

※7: ケイコ・オブライエン Keiko O'Brien
DS9第103話 "The Assignment" 「ケイコのために」以来の登場

※8: biomimetic fluctuation

※9: Y'Pora
(Peggy Roeder)

※10: シャカー・アドン Shakaar Edon
(ダンカン・レガー Duncan Regehr) DS9第85話 "Crossfire" 「ジェラシー」以来の登場。声:土師孝也

※11: 正確にはターカリアンタカ (Tarkalean hawk)
DS9第3話 "Past Prologue" 「スペース・テロリスト ターナ・ロス」などではターカリアンティー (Tarkalean tea)、DS9第102話 "Nor the Battle to the Strong" 「戦う勇気」ではターカリアンコンドル (Tarkalean condor) が言及

※12: 正確にはフィリアンニシキヘビ (Filian python)

※13: (ジェイムズ・スロヤン James Sloyan TNG第58話 "The Defector" 「亡命者」のアリダー・ジャロック提督 (Admiral Alidar Jarok)、TNG第173話 "Firstborn" 「クリンゴン戦士への道」の成人したアレキサンダー・ロジェンコ (Alexander Rozhenko) 役。VOY第15話 "Jetrel" 「殺人兵器メトリオン」にも) DS9第32話 "The Alternate" 「流動体生物の秘密」にも登場。声優は初代の内田稔から変更になっており、石森達幸


モーラは子供を観察し、君が発見された時よりもずっと大きい、25センチくらいかと尋ねる。オドーは測っておらず、大きい小さいは関係ないという。非常に大きい違いがあるかもしれない、大きさと変身能力の発達程度は比例するかもしれないという。地球の宇宙艦隊本部で、流動体生物の侵入者を探知する装置を開発していたんじゃないですかと聞くオドー。両親に会いにベイジョーに里帰りしに来てこの赤ん坊のことを聞いた、どうだオドー、心配していたというモーラ。同胞から変身能力を消されてしまったそうだなという。ご心配かけてどうも、元気ですというオドー。モーラはそう言うだろうと思っていたといい、気持ちを認めたがらないから、ちゃんと顔に出ているのにという。では始めよう、やることはたくさんあるというモーラ。艦隊には2週間は帰らないといってきた、反応を引き出すにはそれくらいかかるという。器具を使って調べ始めようとするが、オドーはやめてくださいという。感情を抑えられないところは変わらないな、私はただ体積を測ろうとしただけだというモーラ。手伝ってくださろうという気持ちはわかりますが、私は一人でやりたいんですとオドーは言う。変身のしかたを教えるのに、どうやればいいか君は知らないだろうというモーラ。何とかやります、あなたのように試行錯誤しながらというオドー。モーラはコンピューターを見て、室温が高すぎる、可変種の形態発生マトリックスは摂氏17度で最も順応性が高くなるという。私はどんな温度でも変身できましたというオドー。それはそうだ、だが赤ん坊には楽な方がよかろうというモーラ。何でも聞いてくれ、最適な室温は何度か、湿度は、光の強さはどうか、私のデータを利用しない手はないという。それじゃ報告書を見せて頂きますかというオドー。構わないが、モーラは次の実験を急ぐあまり、詳細な記録をつけていなかったという。記録がなくてもどんな実験をされたか覚えていますというオドー。モーラはまたそこに戻るのか、私が変身させるためにしたことを今でも恨んでるんだなという。君にとって不愉快だったのはよくわかるが、それにしてもとっくに水に流してくれていると思ったというモーラ。がっかりしたなという。私は私なりの教育方針を考えているというオドー。モーラよりも厳しくないものだという。私には無理だと思いますかと聞くオドーに、そうではない、君がどんな手でやるのか、実に楽しみだというモーラ。それならこっちにいて、見てみますかというオドー。モーラは君がそういうならと言った。
まだキラの子供は産まれない。突然キラは声を上げた。どうしたのと聞くケイコ。お腹の辺りが痙攣するというキラ。痛みがあるのはおかしい、今日はもう産まれませんねというヤポーラ。時間がかかり過ぎですという。シャカールをにらみながら、原因は何ですと尋ねるオブライエン。原因は何であれ、リラックスしていないと途中でエンドルフィン※14が分泌されなくなり、分娩が止まるというヤポーラ。いつ産まれるんですかと聞くシャカール。2、3日の内か、2、3週間先かもとヤポーラは答える。そんなに、もう早く産まれてきてくれないとどうにかなっちゃいそうというキラ。ヤポーラはドクター・ベシアにお願いすればすぐだというが、キラは断り、ベイジョーの習わしに従って産みたいという。もちろんあなたの意思は尊重するというケイコ。そうよねといわれ、当然だよというオブライエン。そばにいてというキラに、予定を変えてみる、安心してというシャカール。ヤポーラは部屋に戻って休むようにすすめる。シャカールに時間が守れないようなら次は来ないで下さいと言った。オブライエンには、練習なさいといってヤポーラは出ていった。
オドーは小さな玉を手に取り、これが球体、自然界における基本の形の一つだという。それを可変種の赤ん坊が入っている容器の中で回した。近くにいたモーラに、そこだと邪魔ですというオドー。モーラは何も言わずに離れた。痛くないからねといいながら、子供を球形の容器に流し入れた。これも球体だ、柔らかい均整の取れた形といいながら中で回す。さあやってごらんといい、再び台に戻した。首を振るモーラ。だが変化はない。そのままの形でいる方が楽なのはわかるけど、姿を変えるのを覚えなくちゃだめだ、流動体生物だからというオドー。変身は楽しい、経験から言ってもモーラ博士に静電気発生装置を使って無理矢理立方体の形をとらされた時、最初は嫌だったが博士を静電気を切った後も何時間も立方体でいたという。直角だらけの形が面白くて、もちろんひどいこともされたという。一度は遠心分離器にかけられたこともあるというオドー。今は球体にはなりたくないみたいだねといい、ほかのにしようという。立方体の箱を取り出す。さらにピラミッドの形。自然界にある謎の形の一つだと説明する。何も口出しせず、見守るモーラ。
オドーの教育は続いていた。いろいろな容器を使い、形を教えている。
オドーがラボに戻ると、モーラがトリコーダーで赤ん坊を調べていた。何をしているんですと聞くオドーに、体積を測っていただけだという。1週間も経つのに17%しか増えていない、君は3日間でこの倍になったというモーラ。それはすぐにあなたの研究室から出たかったからですというオドー。モーラは君と違って結果は出した、1週間で6種類の単純な形を取れるようになっていたという。私はこの子に信頼してもらいたい、芸を教えているんじゃないというオドー。君が流動体生物だったら、この子とつながって必要なことを教えてやれたのにというモーラ。オドーはまるで私が悪いことをしたように言いますねという。率直に言おう、君の変身能力は限られたものだった、だから創設者に人間の形態だけに閉じ込められてしまったんだとモーラはいった。それは単なる推測でしょうというオドー。なら実験して確かめてみようというモーラ。あなたは自分が開発した実験装置を試したいだけだ、お断りです、もう二度とあなたの実験なるものにお付き合いする気はないというオドー。モーラは何もかも君のためを思ってやった、確かに実験の中には無意味なものもあっただろうがという。真空室の中に入れられた時は死ぬかと思った、細胞質分離機にかけられたことを覚えていますか、タンパク質分離機にもかけられましたというオドー。やってみなければわからんだろう、預言者たちに誓って君は命のない物体だと思っていたというモーラ。オドーもモーラのことをそう思ったという。知的生命体だとわかってからはカーデシアは君に異常な興味を示してきた、結果を出すようにとプレッシャーをかけられ、私も辛かったというモーラ。私のアプローチのおかげで君は今文句を言っていられる、少しは感謝して欲しいという。私が苦しむのを楽しんでいたくせにというオドー。本当にそう思うのか、恩知らず、私がいなければ今でも正体不明の標本としてビーカーに入れられたままになっていたとモーラは言う。あなたこそ私のおかげで出世したんでしょう、オドーは宇宙艦隊に雇ってもらえるまでになってという。もう待っているのに飽き飽きした、いつまで経っても結果は出ないというモーラ。君のしていることは赤ん坊のためにためになっていない、続けても無駄だという。このまま2ヶ月も経てば退屈なおしゃべりに愛想を尽かして、何か悪さをするかもしれないというモーラ。あなたは手を出したくて仕方がないんでしょう、プロムナードで開業なさいますか、モーラ博士の恐怖の館へお入りになる方はこちらへどうぞと手を向けるオドー。そこに、いつのまにかシスコが来ていた。赤ん坊は元気かと聞かれ、成長していますというオドー。シスコは艦隊本部から連絡があり、早く赤ん坊と意志の疎通を図れるようにしてくれとのことだと伝えた。今の調子では長くかかりそうですなというモーラ。シスコはあまり長くかかるとまずい、結果が出ないと赤ん坊をよこせと艦隊が言ってくるという。でも成長しているなら心配することもあるまいという。赤ん坊について毎日報告を入れてくれといい、オドーは了解した。がんばってくれといい歩いて行くシスコ。モーラはオドーに、あの頃私の受けたプレッシャーがよくわかっただろうと言った。当時使った装置を持ってきている、君がよければ使ってみないかという。取りに行くモーラ。

※14: endorphins
TNG第48話 "Shades of Grey" 「悪夢の果てに」など

オドーは赤ん坊の入った容器を手に持っている。いつでも始められるというモーラ。オドーはため息をつき、容器から赤ん坊を出した。だいじょうぶだ、きっとうまくやれるからねと声をかける。モーラにさせようとするが、今回は見るだけだといってオドーにやらせる。咳払いをし、機械のスイッチを入れるオドー。変化はない。そんなに弱い刺激では反応しない、6ミリボルトはないとというモーラ。オドーは気が進まないという。甘やかしては子供がだめになる、不快感を与えなければ流動体生物は快適なゼラチン状でいたがるだけだというモーラ。どんなものにも姿を変えられる能力があることなど、この子は永遠に気づくことがないだろうという。6ミリボルトなら怪我はしない、中央部は通電されてないことに気づかせれば後はしめたものだとモーラは言う。オドーは仕方なく、電圧を上げた。すると可変種の赤ん坊はゆっくりと動き始めた。見守るオドー。モーラは自分を見るオドーに、私が楽しんでいるか見ているのかと聞く。赤ん坊はゆっくりと形を変え、中央で体を固体化させた。わかったんだなと喜ぶオドー。モーラもオドーが反応した時は嬉しかったという。まさかそのことで恨まれることになろうとは思わなかったという。何も言わないオドー。続けようかといわれ、オドーはそうですねと言った。
キラの部屋にシャカールが入ってくる。キラはオブライエンに足のマッサージを受けているところだった。咳払いをするシャカール。気づいたキラがシャカールと呼び、2人は抱き合った。足が少しむくんでるというキラに、すごくむくんでるというオブライエン。今夜プロムナードでサーカス※15の公演がある、見に行くか誘うシャカール。キラはどうしようかしらというが、1時間も立ち見見物なんて無理だというオブライエン。チーフ、2人っきりにしてくれないかなというシャカール。オブライエンはもう少しで終わるという。続きは私がやるというシャカール。ふいにキラは、産まれるみたいとつぶやいた。もっと強く押してとシャカールに言うオブライエン。言われなくてもわかってるというシャカール。キラはもう一度産まれるというが、オブライエンは足は下から上へ向けて押すんですと説明している。さらに産まれるのよというキラ。シャカールとオブライエンは顔を見合わせ、横に立ちキラの腕を奪い合う。キラは2人の手を払いのけ、一人でベッドから下り歩き出した。
この形のままでがんばるんだ、崩れてしまうとちょっとビリビリとくるぞというオドー。赤ん坊を覆っていた容器を外す。形が崩れてしまった。だがちょっとすると、すぐに元の円筒形を保った。喜ぶオドー。モーラも君は3回目でできたのにこの子は優秀だという。1回目と2回目はわざと失敗したんですというオドー。どういう意味だと聞くモーラ。オドーはあなたをすぐに喜ばせたくなかったからだという。モーラはうなずき、いつの日か運がよければこの赤ん坊が君にこう言ってくれることもあるだろう、「いろいろと、どうもありがとうございました」という。だが君に反抗して去っていくかも知れん、君が私に向かってしたように自立を宣言して二度と会えないかもというモーラ。食事をしてくるという。オドーも一緒に出て行く。だがその時、赤ん坊が変化する音がした。振り返ると赤ん坊は長く体を変化させ、2人の方に向かって一生懸命伸びようとしている。顔を近づけるオドー。すると赤ん坊は、形をオドーの顔に似せようとした。感激するオドーとモーラ。そして元の姿に戻る赤ん坊。2人は笑い、その出来事を喜んだ。

※15: 正確にはゼロ重力のサーカス (zero-grav tumbling)

ちゃんと顔になってました、可愛らしかったなと話しながら保安室に入る2人。一瞬しゃべるんじゃないかと思ったというオドー。報告よりお祝いだというモーラに、この2、3日保安チーフとしての仕事が遅れているという。そんなの後でいいだろう、君は嬉しくないのかと聞くモーラ。もちろん嬉しいですよというオドー。モーラは早速明日単純な生命体を模倣することを教えてやろう、藻類とか菌類とか、2、3日したら高度な生命体に挑戦だという。言葉を交わせるようになるのが待ちきれないというオドー。見せたい、教えたいことが山ほどあるんですという。その日はきっとすぐに来る、あの子の成長速度は君より速いというモーラ。皮肉で言ってるんじゃない、それどころか君を誉めているんだという。私の負けだ、話しかけて育てた君のやり方が正しかったという。さっきのを見たかい、あの子が甘えるように君の方に伸びてきたことというモーラ。あれぐらいの時君がしたことといえば、コントロールパネルから私の腕をはたき落としたことだったという。覚えてます、電気ショックを止めて欲しかったんですといい、笑うオドー。君のことを信頼しているんだ、私は君の信頼は勝ち取れなかったというモーラ。オドーは否定し、尊敬していましたという。お世辞はいいというモーラ。恨みはありますが、一見生命体の残りかすみたいだったでしょうから、博士のおかげで助かったとオドーは言った。嬉しいよオドー、今の言葉を聞いて私は救われたと涙ぐむモーラ。今さら何を言っても遅すぎるか、もっと優しく育てれば君も恨みを根に持つ性格にはならなかったろうという。オドーはこれだけは自信を持って言える、私たちが何をしようとあの子は素直で明るい性格に育つでしょうという。素質なんですといった。失礼するといい、部屋から出ていこうとするモーラ。オドーは呼び止めた。そしてレプリケーターにシャンパン※16をグラスに2つと頼んだ。お祝いなんだという。喜ぶモーラ。オドーも笑った。
再び出産の儀式が行われている。赤ちゃんが回った、いよいよですというヤポーラ。キラの足の布が開かれる。出ておいでというヤポーラ、みんなが待ってるというケイコ、この世界へようこそというシャカール。オブライエンが近づこうとすると、シャカールは止めた。あっちからじゃ見えないというオブライエンに、だからこそだという。僕の子だぞというオブライエン。ネリスだって君に見られたくはないだろうというシャカール。オブライエンはキラとは5ヶ月も一緒に暮らしてきたという。静かにしてというケイコ。それはどういうことだと聞くシャカール。モリーの出産には立ち会えなかった※17、今度こそというオブライエン。赤ちゃんが産まれてくるのよと2人に言うキラ。いい加減にして、2人してくだらないことで張り合わないでちょうだいという。もう一言でも口にしたら、出ていってもらうわと言うキラ。言い訳しようとする2人。キラはもうたくさんといい、出て行くようにいった。冗談だろうというオブライエン。ケイコはキラが冗談を言っているように見えるのといい、でなさいと命じた。しぶしぶ部屋を出て行く2人。
君のせいだぞというオブライエンに、君こそ子供を作るのに人の恋人を巻き込むなというシャカール。立ち会えないことを残念がるオブライエン。
店にいるクワーク。ラチナムの延べ棒324枚か、酒をまた水で薄めなきゃなという。カウンターから音がし、オドーかというクワーク。オドーは酒の瓶を両手に持っていた。何をしているんだと聞くクワークに、何をしているように見えると聞き返すオドー。閉店だというクワーク。座れよといい、グラスも出す。ご機嫌だな、ということはきっと俺を逮捕する絶好の口実でも見つかったんだろうというクワーク。そんなんじゃない、私のおごりだ、お前も飲めというオドー。どうしたんだと聞くクワーク。オドーはモーラ博士はもう寝てしまったが、まだ祝いたい気分なんだと浮かれている。何でだと聞くクワークに、嬉しいからだ、祝っちゃいけないのかいというオドー。しっくりこない、あんたが嬉しい時は世の中がやばい時だというクワーク。これは宇宙も終わりだという。飲もうぜというオドー。クワークは病気の流動体生物を売り付けたから怒っているんだろうという。その逆だ、お礼を言いたいというオドー。金を返せって言うなら、素直にそう言えってというクワーク。おかげで人生が変わった、お前に乾杯だといって酒を飲む。クワークはわかった、白状する、覚えはないけど何かやったんだな、頼むよ鳥肌が立ってきたという。オドーはいきなり、子供が欲しいと思ったことはと尋ねる。私はなかった、めんどくさそうだからという。ところがある日赤ん坊が空から降ってきた、可愛いもんだというオドー。また乾杯という。オドーはここ数ヶ月同胞から捨てられたという事実を受け入れようと努めてきた、だが二度と同胞とはつながれないと思うと自分の一部が死んだようだったという。ところがあの小さな赤ん坊がまた人生を蘇らせてくれたと笑う。何だか自分もまた流動体生物に戻ったような気分だというオドー。なんでだか、人間でいることもそう悪く思えなくなったという。オドーと一緒に笑うクワーク。よし飲もうぜという。そこへコンピューターからオドーへ通信が入った。モニター中の生命体の生命反応がかなり低下しており、危険な状態だという。すぐにモーラ博士へも連絡してくれといい、オドーはすぐに向かった。
モーラは既にラボに来ていた。どうしたんですといい、駆けつけるオドー。モーラは形態発生マトリックスが安定しない、危ないなといった。赤ん坊の色は青く変色していた。うろたえるオドー。

※16: champagne
TNG第13話 "Datalore" 「アンドロイドの裏切り」など

※17: TNG第105話 "Disaster" 「エンタープライズ・パニック」より


生命反応が弱い、テトリオン放射が細胞質にダメージを与えていたんだろうというベシア。でもまだ打つ手はあるんでしょというオドー。細胞間質の発生誘導は変動を安定化できるかもしれんというモーラ。助けてくださいというオドー。モーラは外で待つようにいい、できる限りの事はすると言った。外に出るオドー。
とってもいい気分だわというキラ。もう少しよネリスというケイコ。ヤポーラは頭が出ましたという。キラはケイコに、お願いがあるといった。
外で待っている2人に、中からケイコがお行儀良くするなら立ち会っていいって言っているという。お先にどうぞと譲り合うシャカールとオブライエン。早くしないと見逃しても知らないわよというケイコ。2人は同時に入ろうとし、体をぶつけ合った。キラの横に来る2人。力を抜いて、赤ちゃんに任せてというヤポーラ。すると赤ん坊の産声が聞こえてきた。赤ちゃんを取り上げるヤポーラ。その子を見て感激するキラ。見つめるシャカール、オブライエン、ケイコ。ねえ見てマイルズというケイコに、オブライエンはハンサムボーイだといった。赤ん坊は元気に泣いていた。
医療室の扉が開き、ベシアが来た。打つ手は全て打った、残念だが長くはもたないだろうとオドーに言う。オドーはモーラから赤ん坊の入った容器を受け取った。すっかり青くなってしまったその赤ん坊を出し、手のひらに置く。頼む、死なないでというオドー。まだ何も教えていない、タカになって空を飛ぶのを教える約束だろう、忘れたかいという。すると突然、その赤ん坊は見る見るうちにオドーの手の中へ消えていった。手を見せるオドー。どうしたんだ、消えてしまったというモーラ。ベシアはオドーの体内へ吸収されてしまったようだとトリコーダーで分析する。オドーはうめき声を上げた。大丈夫かと聞くベシア。信じられないというオドー。何だと聞くモーラ。オドーは落ち着きを取り戻し、ゆっくりと医療室の扉へ向かって歩き出した。そしてそのまま服を残して姿を変え、1羽のタカになり飛び立った。ステーションの中を優雅に飛び回るタカ。驚く人々。そして着地したタカは、再びオドーの姿に戻った。オドーはため息をついた。
エアロック。どうだい、いい機会だからしばらく休暇を取ってベイジョーに来ないかと言うシャカール。キラはもうちょっとしたら、今はステーションを離れたくないという。赤ちゃんのそばにいたいのかいというシャカールに、うなずくキラ。すごく可愛い子だったなというシャカール。ええそうでしょうと微笑むキラ。通信が入り、ベイジョー行のシャトル4709便が出発すると伝える。急がなくちゃというキラ。まだ1、2分あるというシャカール。2人は抱き合った。
モーラと共に通路を歩いてくるオドー。どんな気分だ、元に戻れてと尋ねるモーラ。オドーは嬉しいですが、もっとほかの方法なら良かったのにという。残念だったな、でもあの子は贈り物だったと思いなさいというモーラ。同胞からオドーへの贈り物だったと。博士が私をどんな思いで育ててくれたのかやっとわかりました、私に出て行かれた時の気持ちもというオドー。子供はいつか遠くへ旅立つものさとモーラは言う。でも連絡は取るべきでしたというオドーに、モーラは待ってるぞという。2人は固く握手をし、そして抱き合った。体に気を付けてなといい、モーラはエアロックへ入っていった。入れ違いにキラが出てくる。オブライエン家のパーティに行かないんですかと聞くオドー。キラはシャカールと寄ったが、騒ぐ気にはなれないという。なぜと聞くオドー。成り行きで赤ちゃんを引き受けただけだった、子供なんて欲しくなかったという。でも今はできるならこの腕にあの子を抱いていたい、誰にも渡したくないとキラは言った。その気持ちよくわかりますというオドー。キラは少し歩かないとオドーに言う。ええと答えるオドー。2人は一緒に歩いて行った。


・感想
可変種の赤ん坊を育てるオドー、その過程で自分を育ててくれたモーラ博士の心情も理解することができるようになります。赤ん坊は結局は死んでしまったものの、オドーに可変種としての能力を蘇らせてくれました。タカになって飛び回るシーンに感動します。キラの出産にまつわる場面は笑わせてくれながらも、キラとオドーは同じ境遇だという点で最後で結ばれます。


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