USS Kyushuトップに戻る

ディープスペースナイン エピソードガイド
第108話「預言者シスコ」
Rapture

dot

・イントロダクション
シスコたちは1枚の絵を眺めていた。これがそうというダックスに、バハラ※1の街、2万年前に描かれたものだと説明するシスコ※2。キラはダックスに、これはベイジョーの考古学上最も貴重な聖像※3画で、バハラが実在した唯一の証だという。もっと感動はないのといわれ、ダックスは2人があんまり熱っぽく語るからもっと大きな都市だと思っていたという。この絵もカーデシアの手に渡っていて長い間返還を求めてきたが、やっと実現したとその絵を見つめるキラ。この絵はイルヴィア※4にある博物館に戻されるのよねというダックスに、明日な、だが今日だけは存分に眺めさせてもらうというシスコ。役得だ、選ばれし者も悪くないという。笑うキラ。シスコは絵に描かれた一つの塔を指差し、バンタカ※5の塔だという。古代都市の中心にあり、高さは11メートル、何百という石を複雑に組み上げて作られている。漆喰は使ってない。この塔には暗号が刻まれていると言うキラ。ロマンチックねとだけいうダックス。失われた都市の座標が記してあるが、塔の裏側になった文字が見えないため解読が不可能なのだ。だからバハラは永遠に失われままの夢なのと言うキラ。シスコは返す前に、コンピュータで解析させてくれとベイジョーの保安部員に頼んだ。調べてどうするの、失われた街でも探すつもりと聞くダックス。キラはゾカールの第3の預言※6によれば、「預言者の手が触れた選ばれし者だけが、バハラを見出せる」とあると話す。あなたのことと聞くダックスに、シスコは笑った。
コンピュータに読み込んだ絵の、グリッドC-4を拡大するシスコ。塔の後ろにある滝の部分だ。そこには塔の裏が映っていた。そのD-2の部分を更に拡大する。シスコはアイロソニアロッドを引き抜き、歩いていった。
ホロスイート。シスコはコンピュータにロッドを挿入し、映像ファイルシスコ376を起動するように命じる。サイズは75%だ。目の前にバンタカの塔が現れた。シスコはよしといい、何も字が書かれていない裏側へ回った。先ほどのグリッドD-2を投影し、画像を反転してクリアにさせる。うっすらと字が映し出された。
シスコはその前に座り、パッドを使って調査している。クワークが入ってきた。お邪魔してすみませんが、もう夜中の3時過ぎですという。それを聞いてもう3時かと驚くシスコ。お楽しみのようですねと塔を見るクワーク。シスコは立ち上がり、プログラムをセーブしておくように頼む。何ですと聞くクワークに、古代のパズルさと答えるシスコ。そんなにパズルがお好きでしたら面白いパズルセット※7がある、一度やったら病み付きになるというクワーク。シスコはもういい、自分でセーブするといいコンピュータに近寄り操作し始めた。だがアイロニアロッドを抜いた瞬間、コンソールが爆発しシスコはその場に倒れた。クワークはすぐにコンピュータを呼び、医療室に第4ホロスイートで緊急事態だと伝えた。

※1: ベハラ B'hala
この絵は背景画家のダグ・ドレクスラー (Doug Drexler) とマイケル・オクダ (Michael Okuda) によって描かれました

※2: このエピソードより、宇宙艦隊士官の制服が映画「ファースト・コンタクト」のタイプに変更されています。特徴としては全体的に灰色で、赤・青などの所属部署は襟元の部分で見分けます。また上着があり脱げるようになっています

※3: icon
訳出されていません。キラの母親は聖像画家でした。DS9第51話 "Second Skin" 「恐るべき過去」より

※4: Ilvia

※5: bantaca

※6: Zocal's Third Prophecy

※7: Pleasure mazes
直訳すると「快楽の迷路」


・本編
オドーに捕まれたままクワークが保安室に入ってくる。今大佐は大丈夫だといったじゃないかというクワークに、命拾いしたなというオドー。クワークはなぜ逮捕するんだ、あれは事故だったという。装置のトラブルで、不可抗力で俺の責任じゃないという。職務怠慢で逮捕することはできるというオドー。記録を見てもホロスイートのメンテナンスを怠っていたことは明らかだといい、自分の椅子に座ってコンピュータを操作し始めるオドー。クワークはメンテナンスなら先週からオブライエンに頼んでおり、ロムをよこしてくれといっていたがオブライエンはロムはセンサーの修理で忙しいとぬかしたというクワーク。センサーは誰だって直せるのに、このホロスイートは俺の弟しか直せないという。逮捕するなら俺じゃなく、オブライエンだろというクワークに、裁判官に言うんだなとオドーはいった。
神経のダメージは心配ないが、シナプスの働きに若干影響があるようですとシスコに説明するベシア。僕の制服を見て、眩しいような感じがしますと尋ねる。見るものすべて色が鮮やかで、輪郭がくっきりしているというシスコ。ショック後の後遺症ですね、プラズマ放電で神経に負担がかかり、ちょっとの刺激にも過敏に反応するようになっていると言うベシア。元どおりになるのは時間がかかるから3日はいつもの仕事は控えるように、それからめまいや頭痛や吐き気といった症状が起こったら知らせて下さいという。鮮やかなのもいいもんでしょといった。
自室で食事をとるシスコ。僕の料理合格点をもらえそうと聞くジェイクに、おじいちゃん※8も太鼓判を押すだろうというシスコ。リンタ※9のローストを焼きすぎたかなと思ったけど、口に合って良かったというジェイク。おかわりを持ってくると聞くが、もういいというシスコ。ジェイクは明日は父さんが作ってよねという。何でだと聞くシスコに、キャシディ※10が帰ってくるから歓迎パーティだという。ジャンバラヤ※11を作ろうよ、彼女好きだろというジェイク。そうだなというシスコ。キャシディは6ヶ月も刑務所で過ごした、十分償いはしたと思わないかを聞く。何も答えないシスコ。だからもう一度チャンスをあげたら、2人でやり直してよというジェイク。だがシスコは取りつかれたように、切り分けた料理を手を使って並べている。何してるのと聞くジェイク。シスコは並び終え、この形を見たことがあるといった。
それはバンタナの塔の文字の一つだった。パッドを手に持ち、ホロスイートで研究を続けるシスコ。司令室のダックスから連絡があり、艦隊のワトレー提督から通信が入っているという。近くのコンソールで受けるシスコ。ワトレー※12が映し出され、元気かと聞く。上々ですというシスコ。ワトレーは君が待ちに待っていたニュースがある、ベイジョーの惑星連邦加盟が正式に承認されたといった。やっとですかというシスコ。ワトレーはおめでとうベン、君の努力の賜物だという。光栄ですと喜ぶシスコ。ベイジョーも功労に感謝して、条約調印式をステーションでやりたいといってきたというワトレー。急な話だが受け入れ準備を頼む、お偉方が勢揃いするから粗相のないようにという。
クワークは店に集まった客を静かにさせた。コンピュータに2階をスポットライトで照らすように命じる。ドラムロールが鳴らされ、そして旗が降ろされた。クリンゴンの旗だというウォーフ。クワークは違うといって慌ててカウンターにいき、惑星連邦の旗を広げた。客から歓声と拍手があがる。何を準備してるのかと思ったらというダックスに、いいだろうというクワーク。ベイジョーが連邦に加盟したらビジネスチャンスが広がると思っているのねというダックス。アルヴァニアのミツバチの巣※13より人の出入りが増える、ルートビアの売り上げ一つとっても今の5倍は固いとクワークは話す。誰でも簡単な論法さ、人が増えれば酒を飲む量が増える、酒が増えれば話が弾む、話が弾めば浮かれて財布の紐もゆるくなる、つまりどんどんラチナムを落としてくれるという。ウォーフはその論法には一つ問題があるという。どこがと聞くクワークに、クリンゴンの古い格言で「口の堅さは酒ではゆるまない」というのがあるというウォーフ。クワークは鼻で笑い、歩いていった。
ヴェデク・メラ※14と話しているキラ。本当に素晴らしいニュースです、調印式を楽しみにしていますという。祝賀会楽しんでるといって、ダックスたちのいるテーブルに座った。こんなパーティがあるなら、毎週どこかの星を連邦に加入させてもいいというダックス。楽しんでるかとウォーフに聞かれ、5年前なら喜べなかったと言うキラ。連邦に加盟することがベイジョーのためになるとは思えなかったという。カーデシアの支配が終わったばかりで、すぐ連邦に頼るのではなく自立しなきゃと思ったと話すキラ。気が変わったわけはと聞くウォーフ。キラはいろいろある、このステーションでの経験や、でも一番大きいのはシスコ大佐の存在と言った。説得力があるからというダックスに、本当にそうよね、信じる気になると言うキラ。クワークが酒を運んできた。乾杯しましょうというダックスに、大佐はどこなの、お祝いを言いたいのにというキラ。ついさっきまでいたんだけど、ホロスイートに戻ったみたいというダックス。クワークはご心配なく、修理しましたからとキラにささやいた。
ホロスイートにキラが入ってきた。大佐と呼ぶが、シスコは塔を見上げたまま全く動かない。キラはシスコの体をつかみ、大佐と呼びながら揺り動かした。

※8: レストランを営んでいるシスコの父、ジョセフ・シスコ (Joseph Sisko) のこと。DS9第83話 "Homefront" 「地球戒厳令(前)」より

※9: lingta
DS9第101話 "Looking for Par'Mach in All the Wrong Places" 「クワークの再婚」より。訳出されていません

※10: キャシディ・イエイツ Kasidy Yates
DS9第94話 "For the Cause" 「裏切り者は誰だ」でマキの手助けをしていたことが判明し、逮捕されました

※11: jambalaya
DS9第46話 "The Jem'Hadar" 「新たなる脅威」など

※12: チャールズ・ワトレー提督 Admiral Charles Whatley
(Ernest Perry, Jr.) 4つ星なので階級は大将。制服はこれまでのものです。声:石井敏郎

※13: Alvanian beehive
単に「今より人の出入りが増える」としか訳されていません。アルヴァニアの洞窟のナマケモノ (Alvanian cave sloth) が DS9第81話 "The Sword of Kahless" 「カーレスの剣」で言及、アルヴァニアンブランデー (Alvanian brandy) が DS9第97話 "Body Parts" 「クワーク、絶体絶命」に登場
※14: Vedek Mera
セリフでは「メラ」のみ。訳出されていません


何度も揺さぶり、やっとでシスコは目を覚ました。大丈夫と聞くキラに、私は見たという。バハラ、ペルドールのフェスティバル※15の前夜祭、神殿の鐘の音が鳴り響いていたという。夢を見たんですというキラに、いや私はそこにいたというシスコ。落ち葉※16が焼ける匂いも確かに嗅いだ、風で運ばれてきたお香もという。シスコは立ち上がり、このオベリスクの前に立ち、見上げてじっと見詰めたその時わかったという。バハラ、発光体、カーデシアの支配、そしてワームホールの発見、来るべきドミニオンとの戦争と話す。過去だけでなく未来も見えたんですかと聞くキラ。シスコはその一瞬、過去も未来も一つの絵をなしていたという。大佐はパーテムファー※17を見たんです、聖なる幻をと言うキラ。何だったのかわからない、だがとても素晴らしかったとシスコはいった。預言者があなたを選んだわけですね、どんな風に見えたんですかと尋ねるキラ。シスコはよく覚えていない、途中で起こされたと笑う。心配だったものですからと言うキラに、わかっている、もし君がパーテムファーに入っているのを見たら私も心配になるというシスコ。そこへオブライエンから通信が入った。先ほどカイ・ウィンから連絡があり、後2時間ほどで到着するということだ。キラ少佐がお迎えにあがるというシスコ。よろしく伝えてくれ、私は今日は忙しくて会えないという。後は適当に頼むという。大佐はどちらと聞くキラに、ここさ、謎を解く鍵はこの塔にある、見つけてみせるというシスコ。キラはうなずき、出ていった。
保安部員が警備しており、キラはため息をつく。エアロックからカイ・ウィン※18が降りてきた。会えて嬉しい、何だか綺麗になったわねというウィン。こんな服を着ているからでしょう、お世辞を言うことはありませんと言うキラ。選ばれし者はいらっしゃらないのと聞くウィンに、今忙しくてと答えるキラ。連邦の人たちから賛辞を浴びて離してもらえないのね、連邦も今回の加盟を喜んでいることでしょうねというウィン。それは皆さんそうでしょうと言うキラ。ウィンは私たちはまだカーデシアの独立から解放されて5年しか経ってない、自由だった時間はたったの5年、短すぎると思わないという。連邦に加入してもベイジョーはこれからも自由ですと言うキラ。長いことシスコ大佐と仕事をしているうちに、随分と影響を受けたようねというウィン。キラはこの期に及んでもまだ反対しているんですか、でもあなたの反対もすべて考慮のうちですという。ベイジョーは連邦への加盟を決めたんです、もう止められませんといった。預言者の声を待ちましょうというウィン。
シスコは引き続き暗号の解読を行っている。ベイジョーの地図を見ながら、よしといった。そこへ入ってきたのは、キャシディ・イエイツ※19だ。お久しぶりといった。ここにいるってジェイクに聞いてきたという。抱き合い、キスをする2人。戸惑うイエイツに、どうかしたかと聞くシスコ。ちょっと驚いて、顔を見せても喜んでくれると思ってなかったからというイエイツ。シスコはこの後の予定はと聞く。今着いたばかりだからというイエイツに、私と一緒にベイジョーへ行かないかという。今からというイエイツ。シスコはバハラの遺跡のありかを見つけた、失われた伝説の都市といい、塔の記号の説明を始める。ある時刻における星の位置を基準にした、一種の座標表示だという。私の話がさっぱりわからないって顔だねというシスコに、実はさっぱりというイエイツ。シスコはだからベイジョーへ行こう、見せてあげるという。落ち着く先も決めてないのにというイエイツに、君さえよければ前の部屋を使えばいいという。あの部屋開いてるのと聞くイエイツ。シスコは君が前いたままになっている、管理人に手を回してという。会いたかったというイエイツ。シスコは私もだ、だから一緒にバハラへ行こうという。ノーっていったってどうせ聞かないんでしょうというイエイツ。
2人はベイジョーへシャトルで向かった。洞窟の中に転送される。ライトをつけ、シスコが先導し歩いて行く。
イエイツは歩きながら、もう地下200メートルまで潜っている、けちをつけるわけじゃないけどここが失われた都市だとは思えないという。2万年の間に積もった地層の中を歩いている、離れるなよもうすぐというシスコ。その時ふいにシスコが頭痛で痛み出した。どうしたのというイエイツ。すぐに良くなる、ジュリアンは事故の後遺症で頭痛がするかもしれないといってたというシスコ。バハラのことで興奮してるのも、事故の後遺症と聞くイエイツ。シスコは妙な心配はするな、もうすぐだという。
シスコは壁の前で立ち止まった。どうしたのというイエイツに、バハラだという。ただの石の壁よというイエイツ。壁の向こうに何があるかというシスコ。フェイザーを調節し、広域型にして発射する。壁に大きく穴が開けられた。そしてその中の空間には、土に埋もれた遺跡があった。

※15: Peldor Festival
ベイジョーの感謝祭 (Bajoran Gratitude Festival) の別名。DS9第56話 "Fascination" 「恋の感謝祭」など

※16: 正確にはバトレットの落ち葉 (bateret leaves)

※17: pagh'tem'far
DS9第1話 "Emissary, Part I" 「聖なる神殿の謎(前)」のパー (pagh) に関連がある言葉のようです

※18: Kai Winn
(ルイーズ・フレッチャー Louise Fletcher) DS9第70話 "Shakaar" 「シャカールの乱」以来久々の登場

※19: (ペニー・ジョンソン Penny Johnson) DS9 "For the Cause" 以来の登場


保安室。ヴィータ提督※20よりコルティ提督※21が上だ、もっと上等な部屋を用意するべきだというウォーフ。じゃあヴィータ提督をH2に入れて、コルティ提督をD9、リフキン※22をK4でどうだというオドー。それはまずい、リフキンは宇宙艦の艦長だ、彼にも提督と同等の部屋をというウォーフ。階級は大佐だというオドーに、そうかもしれんが海軍のしきたりだというウォーフ。この際多少のことには目をつぶって、部屋割りを済ませよう、ねえ少佐というオドー。だがキラは2人の話を聞いておらず、考え事をしていたようだ。こりゃ失礼、瞑想の邪魔をするつもりはなかったというオドー。考えていた、大佐がバハラを見つけた、ベイジョーの考古学者が1万年以上かけて探し出せなかったものを、2、3日で見つけたと言うキラ。恐らくベイジョーの神のお告げがあったのでしょうというウォーフ。まぐれ当たりってこともありますというオドー。導きよ、預言者の導きというキラ。オドーはその導きでリフキン大佐をどの部屋にしたらいいか教えてくれませんかという。そこへウィンがやってきた。お邪魔してよろしいかしら、あなたとお話ししたいとキラに言う。うなずき、もちろんですというキラ。がんばってねといわれ、同じ言葉を少佐にお返ししますというオドー。キラは出ていった。
選ばれし者とは親しいわねというウィン。シスコ大佐とは友人ですがと言うキラ。なら彼がどんな状況でどう対応をするか、大体のことは予想がつくでしょうとウィンは聞く。何がお知りになりたいんですねと言うキラに、選ばれし者が私を許して下さるかを知りたいといった。疑ったことを、彼が選ばれし者であることに疑いを持っていた、彼も気づいていたというウィン。感じてはいたでしょうねというキラ。ウィンは私が間違っていた、バハラを見つけ出せるものは選ばれし者だけですものという。もうベイジョーが連邦に加入するのを妨害するつもりはないですかと聞くキラ。ウィンは選ばれし者によって敷かれた道なら従いましょうという。キラはあなたがそんなことをいうなんて、正直驚きましたという。間違いを認めるのは勇気がいるという。私に勇気がないと思っていたと聞くウィンに、そうはいってませんという。ウィンはでもそう思っていたでしょう、レジスタンスにいた人はみんな同じねという。カーデシア人と戦っていたのは自分たちだけだと思っている、自分一人でベイジョーを救った気でいると話す。カーデシア人は預言者の言葉を伝えた伝道師を何人も捕まえているという。私もカーデシアの捕虜収容所に5年間いた、そこで受けた拷問と屈辱は今でもはっきり覚えているというウィン。あなたたちには身を守る銃があったけど、私の武器は信じる心と勇気だけだったという。預言者と共に歩みなさい、私もそうしますといって歩いて行った。キラは何も言うことができなかった。
バハラの遺跡の調査・発掘が行われている。そこへワトリー提督がやってきた。ようこそというシスコ。これがバラの街かというワトリーに、バハラですという。2万年も埋もれていたものをついに見つけたのか、ベイジョー人も大喜びだろうという。なぜありかがわかったと聞かれ、お告げがあったとでもいっておきましょうというシスコ。ベイジョーはそう考えているようだが、ここだけの話本当はどうなんだというワトリー。シスコは信じられないかもしれませんが、直感でわかったんですと答えた。ここ2、3日妙に頭がさえ、断片的ですが映像がひらめいたという。事故のショックが引き金かというワトリーに、うなずくシスコ。ワトリーは妙な話だとは思わないかという。私に会いに来たわけではないでしょうというシスコに、君に会いに来たという。DS9に着いたら君がいなかったので驚いたという。立ち上がり、失礼しましたというシスコ。悪いと思ったら通信に返事くらいしたまえ、3回は無視したな、士官として問題ある行動だという。君が信頼に足るところを見せてくれ、やっとベイジョーが連邦加盟までこぎつけたが、肝心なのはこれだからというワトリー。評議会の代表も選ばねばならないし、ベイジョーの軍隊も艦隊に合併しなくてはならないという。決めねばならないことがたくさんある、ここの責任者は君だというワトリー。今後は今まで以上に頼ることになるといわれ、ご心配なく、お任せ下さいというシスコ。頼んだぞ、それでステーションにはいつ戻ると聞くワトリー。だがシスコはDS9には今は戻れませんという。後はベイジョーに任せればいいだろう、まさか発掘まで自分の手でやるつもりじゃないだろうなとワトリーは言う。シスコはチャーリー、頼むからもう少しだけ時間をくれといった。何のためにというワトリーに、答えを見つけたいんだという。もっとうまく説明したい、何て言ったらいいのかというシスコ。ワトリーは聞いていたら恐ろしくなるという。実は私も恐ろしいとシスコは言った。ワトリーは残ることを許すが、明朝7時までにはDS9へ戻りベシアの検診を受けるようにいった。わかりましたというシスコ。ワトリーは歩いていった。シスコはまた頭痛に襲われるのだった。
医療室。もう7時15分だぞ、奴は何をしているというワトリー。25分前にシャトルで着いたそうですから、もう来ますよというベシアに、目を覚まさせてやってくれという。ベイジョーに行く前に診察した時は頭痛などは訴えていませんでしたが、シナプスに若干の異常が見られたというベシア。時間が経てば治ると思ったんですがというベシアに、治ってないようだ、打つ手はないのかというワトリー。ベシアは神経節の分極※23という手があるが、非常に危険な手術で最後の手段として別の方法をという。では当分幻を見続けるわけだ、選ばれし者と呼ばれるのを受け入れたりするからこんなことになるというワトリー。ベシアは仕方ありません、ベイジョー人は信仰深い種族ですし、おまけにとんでもなく頑固だという。大佐が選ばれし者だと信じ込んでますから、何を言っても無駄ですという。ワトリーはシスコがやってきたのに気づいた。ベイジョー人たちに囲まれながら歩いてくるシスコ。噂をすれば登場ですというベシア。シスコは一人の老婆に近寄り、案ずることはない、カッターポッドは今年は豊作だろうという。さらにベイジョーの保安部員に君らは場違いだ、帰りたまえという。だがシスコはまた頭痛で痛み始めた。ベシアとワトリーが駆け寄る。シスコは大丈夫だという。ワトリーに向かって、もう息子さんのことは心配ない、あなたを許しているという。歩いていくシスコ。ワトリーはなぜ奴が私とケヴィン※24の仲たがいを知っているんだという。ベシアはお告げがあったんでしょうといい、シスコの後を追いかけた。

※20: Admiral Veta

※21: Admiral Colti

※22: Captain Rifkin

※23: neuropolaric induction

※24: ケヴィン・ワトリー Kevin Whatley


シスコはベッドの上で目を覚ました。額に取り付けた機具を外し、これでよし、2、3分で血管が直されるというベシア。どうだ、少しは気分が良くなったかとワトリーが話しかける。だがシスコは何も言わず、空中の一点を見つめている。キラが大佐というと、ふとカーデシアとシスコはつぶやいた。あの雲の行き先はカーデシアだという。私は建て直されたバハラの街にいて、人々は祝っていたというシスコ。だが突然太陽がかげり、見上げると空には一面の黒い雲という。よくみると雲ではなく、恐ろしいほどのイナゴの大群だったというシスコ。すぐにどこかへ向かったが、行き先が分かった、カーデシアだと話す。何を意味するんですと聞くキラに、わからんというシスコ。でもイナゴはベイジョーから去ったんですよね、いい兆候だわと言うキラ。イナゴは何を意味しているのか、なぜカーデシアにというシスコ。ワトリーは夢を見たのだ、夢だから意味が通らないという。シスコは夢なんかではなかったという。ベシアが来て、なぜ頭痛のことを言わなかったんですとシスコにいう。忙しくて忘れていたというシスコに、その忙しさが後ちょっと続いていたら死んでましたというベシア。神経活動の異常が以前より8%も増加しており、その結果脳幹神経節が減極し始めていると説明する。これは手術をして神経節を再び分極するしかない。今見えてる幻覚はどうなるというシスコに、今そんなことは問題ではないだろうというワトリー。ベシアは何とも言えないが、手術を行った場合脳の状態が正常に戻れば、幻覚も収まるでしょうという。シスコはそれなら手術を受けないといった。馬鹿をいうなというワトリー。ベシアはこのまま手術を受けなかったら、恐らく死にますよという。それはわかってる、だが私の身に何かが、大きな異変が起こっているというシスコ。それを見届けたいというのだった。
手術を受けないってどういうことと詰め寄るジェイク。シスコはあれは天の啓示だ、失うわけにはいかないという。信じられない、どうかしちゃったんじゃないというイエイツ。何言ってるかわかってるの、このまま死んじゃってもいいっていうのと聞く。古代の謎を解く方が、息子の成長を見守るより大事っていうのというイエイツ。ジェイクは冷静になって考えてみて、幻覚のために命を捨てるなといった。シスコは初めてお前を腕の中に抱いたことを覚えている、まだ産まれたばかりだったという。お前の顔を覗き込んだ時、お前の前に無限の可能性が広がっているのが見えたような気がしたという。これから味わう喜び、そして悲しみ。その全てがくしゃくしゃの小さな顔にぎっしり詰まっているように見えたと話すシスコ。今私はこの手に赤ん坊を抱いている、それは宇宙そのものだという。その赤ん坊の顔を見ていたいというシスコ。もう一度自分の息子の顔をしっかり見て、それでもまだそんなことがいえるのというイエイツ。チャイムが鳴り、ウィンが入ってきた。そろそろ時間です、よろしければというウィン。行こうというシスコに、何をする気と聞くイエイツ。ウィンは精神世界を旅するお手伝いをお願いされたという。彼女を信じてるの、いつからというジェイク。涙を浮かべている。シスコはジェイク心配するなといい、立ちあがった。すがるように見つめるイエイツ。シスコは2人とも愛してるよというと、部屋を出て行った。
神殿がすごい混み方よ、ベイジョー人全員が大佐のために祈ってるみたいと言うキラ。ありがたいわね、ベンジャミンが助かるならわらにもすがりたいというダックス。キラは大佐が死ぬわけない、選ばれし者だから預言者がついているという。預言者に任せるより、ドクターに任せたいというオブライエン。心配なのはわかるけど、預言者は全て承知で導いていると言うキラ。ウォーフは彼らに説明しても無駄ですよ、所詮理解できまいという。いつから預言を信じるようになったのというダックス。ウォーフは私が信じるのは、信念だという。信念がなければ勝利はありえず、信念が強ければ生き残れるという。命をかけるほどのことじゃないわというダックス。キラは何よりも大切なことよと言った。そうでなきゃ浮かばれませんというオブライエン。
ウィンの祈りが行われている。「導きを与えたまえ、道を示したまえ、行く手を隠す闇のとばりを取り払いたまえ。」ウィンはよろしいですかとシスコに尋ねる。始めてくれというシスコ。だが再び強い頭痛に苦しむシスコ。ウィンはこの預言の発光体※25の力は強く、体力を消耗させるという。最後までやるつもりですかと聞く。やらなければ、断片的な幻覚をつなぎあわせ、答えを見つけたいというシスコ。私一人では無理だという。体が弱っています、幻覚が収まるまで待たれた方がいいのではというウィン。シスコは時間がない、今やらなければという。ウィンはお望みなら、どうか預言者があなたに智恵を授けて下さいますようにといい、部屋を出ていく。シスコはついに発光体の箱を開けた。光に包まれる。
船が到着し、調印式が始まろうとしている。もう1時間も遅れているぞというワトリー。まだ預言の発光体と語り合っているというウィン。語り合いとやらはどれくらいかかるんだと聞くワトリーに、数分のこともあり、何日もかかることもというウィン。ワトリーは待ってもいられん、彼抜きで調印式を始めることに依存はないかと尋ねる。この場に同席したいはずですが、状況が状況ですからというウィン。席についた。ワトリーが話し始める。お集まりの皆様、私はこの日を長いこと待ち望んでいましたという。皆様も同じでしょう、惑星連邦に新たなる友を迎えられることは、最上の喜びでありますと話すワトリー。惑星連邦は単なる星の集合体ではなく、それ以上の存在ですという。だがその時、今にも倒れそうになりながらシスコが部屋へ入ってきた。彼を医療室へというワトリーに、言うべきことがあるというシスコ。何をです、預言者は何を告げたのですかと聞くウィン。シスコは列席者に向かって、ベイジョーが自立を保たなければイナゴに滅ぼされるといった。一体何を言い出すというワトリー。その時は近い、ベイジョーは連邦に加わってはならない、加わればイナゴに滅ぼされてしまうというシスコ。そしてその場で倒れてしまった。けいれんし続けるシスコ。

※25: Orb of Prophecy
DS9第61話 "Destiny" 「三匹の毒蛇」など

シスコはベッドの上で寝ている。神経系統全体がズタズタです、すぐに手術をしないといけないというベシア。何をぐずぐずしているというワトリー。キラは大佐は手術を受けないと宣言されましたという。このままほっとくの、見殺しにする気なのというイエイツ。キラは私たちがどう思おうとも、重要なのはシスコ大佐の意思だという。幻覚を妨げるようなことはしたくないとはっきりいったという。ワトリーがお告げは大事かも知れんが、シスコの命はもっと大事だという。その点については反論はないと思う、手術を始めてくれという。ベシアはそうともいえない、患者は手術を拒否していた、患者の意に反して手術はできないという。ただし家族の同意があれば別ですがといい、ジェイクの方に向き直った。僕次第ってことというジェイク。シスコに近寄り、父さん、答えを見つけたいのはわかるけど、でも生きててよという。そしてジェイクはごめんねと言って、ベシアにお願いしますと頼んだ。手術の準備を、みんな外に出ていてくれというベシア。ナースからパッドを受け取る。最後にジェイクが部屋から出た。
キラはプロムナードを歩き、神殿の前にやってきた。ウィンが選ばれし者の容体はと聞く。まだ手術中ですというキラ。預言者がお許しになるかしら、やはり連邦などに天の啓示を妨げさせるのではなかったというウィン。キラは連邦ではなく、決定を下したのはシスコ大佐の息子さんですという。何と身勝手な決断というウィンに、父親を失いたくないのは同じでしょう、自分が同じ立場だったらどうしますと言うキラ。ウィンは私は預言者を信じますという。私たちの立場なら信じるでしょうね、今回のことは預言者の計画で彼らは大佐に何かを伝えたかったと思うんですと言うキラ。同感ね、ベイジョーは連邦に加わるべきではないという言葉を聞いたでしょうというウィン。大臣たちが投票した結果、加盟は延期されることに決定したという。さぞ満足でしょうと言うキラ。喜べたらいいけど、でもそう簡単にことは簡単ではないというウィン。シスコ大佐がバハラを見つける前は、何をすべきか誰が敵かも明確だったという。でも今は何一つ確かじゃないというウィン。キラはその方が人生面白いでしょうと言った。
シスコはゆっくりを目を開いた。そんな、消えてしまったといって飛び起きるシスコ。すみません、でもこうするしかというベシア。後少しだったのに、もう少しで全てをつかめたというシスコ。消えてしまったという。目を閉じ、うなだれた。
司令官室。コンピュータには、まだバハラの聖像画が映し出されている。それを見つめるシスコ。ワトリーがやってきた。気分はどうだと聞く。もう大丈夫ですというシスコ。ワトリーは今からでも遅くない、君からベイジョーの大臣に連絡を取って、前言を撤回しろという。連邦に加盟するように説得してくれという。それはできません、幻覚は消えましたが私が見たものは正しかったと今でも思っていますというシスコ。ベイジョーが連邦に加盟すべきでないといった時、これ以上ないほどの確信に満ちていたという。そんな答えが返ってくるとはな、君を解任することもできるがというワトリー。わかっていますというシスコ。ワトリーはだがベイジョー人の感情を考えると、君を今のポストから離せば反感を買うだけだろうだからなという。シスコは今更ですが、こんな結果になり残念ですという。私もだというワトリー。でもいつか必ずベイジョーは連邦に加盟するでしょう、私は確信していますというシスコ。ワトリーはそれは連邦士官としての発言か、預言者の使者としてかと尋ねる。シスコは微笑み、両方ですと言った。そういうことなら祝いのシャンパンは取っておこうといい、ワトリーは部屋を出ていった。
ジェイクは料理を作っている。シスコが戻ってきた。今始めるところというジェイク。何が始まるんだというシスコに、ジャンバラヤというイエイツ。キャシディの歓迎ディナーがまだだろというジェイク。お帰りなさいといい、シスコの頬にキスをするイエイツ。良かったという。ジェイクはその場に立っている。あなたの辛さはわかるなんて言うつもりはない、とても大切なものを失った痛みは他人にはわからないというイエイツ。でもねベンといい、ジェイクの手をつかむ。かけがえのないものを失わずに済んだ、それも本当よという。そしてシスコとジェイクの手を互いに握らせた。シスコはその上にイエイツの手を置き、固く握り合うのだった。


・感想
シスコがベイジョーの選ばれし者として強い使命を感じ、最終的には自分がDS9に派遣された目的の一つであったベイジョーの連邦加盟を取り下げさせることになります。シスコが見たヴィジョンは、これからのストーリーを暗示していますね。これは近頃のエピソードの特徴で、壮大な物語の前兆という気がします。


dot

previous第107話 "The Ascent" 「あの頂を目指せ」 第109話 "The Darkness and the Light" 「一人、また一人、そして…」next
USS Kyushuトップ | DS9 エピソードガイド