ディープスペースナイン エピソードガイド
第109話「一人、また一人、そして…」
The Darkness and the Light
イントロダクション
洞窟にベイジョー人たちが集まっている。一人の男がヴェデク・レイサ・メイブリン※1と名乗り、カラシの瞑想室※2へようこそという。あがないの日※3に向けて皆さんで瞑想とお祈りを行う、これから始まる旅に預言者がおられますようにと締めくくった。円をなし、祭壇の周りに座る僧侶たち。レイサによって祭壇に火がともされた。手を広げ、瞑想に入る。すると祭壇の中からベイジョー人たちに向かって、淡い光が延びた。レイサに向けられたものだけが残る。その瞬間、祭壇から光線がレイサに発射された。吹き飛ばされるレイサ。そのまま生き絶えてしまった。 DS9の医療室。ちゃんとマカラハーブ※4飲んでると聞くベシアに、もちろん、たまにと言うキラ。飲まなきゃだめじゃないか、黄体ホルモンの数値が低いというベシア。キラは飲むと鎮静剤が効かなくなるという。副作用があることは確かだが、特に不眠症というわけでもないから、鎮静剤は必要ないというベシア。嫌な味がするというキラだが、ベシアに飲みなさいと言われ仕方なく「はい」と答える。オドーがキラにお話があるといって入ってきた。診察は以上というベシアに、礼を言うキラ。オドーは言いにくい話ですが、元レジスタンスのメンバーが殺されたという。少佐のお仲間だったレイサ・メイブリンです、犯人は追跡用の小型探針※5を儀式に使うろうそくに仕込んでディスラプタービームを発射したという。容疑者はあがったのとキラが聞くと、多すぎます、ヴェデクになる前に非常に問題のある活動に参加していたというオドー。暴力的だったが悟りを開いた、最後に会った時はまるで別人だったとキラは話す。かつての暴力的な行為が命取りになったんですというオドー。情報が入ったら教えてと言うキラ。オドーはもちろんと答え、歩いていった。 部屋に戻ってきたキラ。自室に入り、ベイジョーの紋章にお祈りをする。コンピューターがメッセージが1件入っていると伝えた。椅子に座り、再生させるキラ。すると低い声で、「これで一人」と流れた。コンソールにはレイサの顔が映し出されている。リプレイするようにいうキラ。「これで一人」。キラはもう一度という。やはりメッセージは「これで一人」だけだった。 |
※1: Latha Mabrin (Matt Roe) ヴェデクは司教と訳されています ※2: Calash Retreat ※3: Bajoran Days of Atonement
※4: makara harb ※5: hunter probe |
本編
メッセージが再び再生される。ご推察の通り発信元はコンピューターに記録されていませんというオドー。メッセージを受信した時間を尋ねるシスコ。亜空間アンテナがキャッチしたのが13時41分、レイサが殺された時間とほぼ一致しますとキラが答える。これはシャカールレジスタンス部隊※6の元メンバーによる脅迫だというわけかと聞くシスコ。保安チーフとしての勘です、ほかにも可能性はありますというオドー。ほかにメッセージを受け取った者はなく、私個人のものだとしても見当が付かないというキラ。レイサとは2年も会っていなかった。ベイジョー当局から送られてくる、殺害現場の仮報告を待って調査を始めるというオドー。その前にディープスペースナインの警備を厚くしておきたい、これから出入りする貨物船は全てランダムチェックを行うという。念のためレジスタンスのメンバーと連絡を取り、注意を呼びかけたというキラ。レイサは残念だったなというシスコに、彼はヴェデクですから預言者がついてますというキラ。報告を頼むとオドーにいい、出ていくシスコ。 レプリマット。オブライエンが来て、食事をしているキラに気分を尋ねる。快調、ほんとはクタクタというキラ。ジュリアンがハーブを飲めというから、薬が効かなくて眠れないという。夜中も足音がしますというオブライエン。謝るキラに、いいんです、話し相手にと思いましたが一人になりたいでしょうからという。レイサのことばかり浮かんで、いくつもの銃撃戦を共に生き抜いてきた、その彼が瞑想の最中に死ぬなんてというキラ。妊娠さえしていなかったら今すぐベイジョーに乗り込んで、容疑者を絞ってやるのにという。ここなら安全ですというオブライエン。それがたまらない、友達が殺されたって時にのんびり朝食を食べているなんてとキラは言う。私はベイジョー国民軍※7の少佐よ、人命を保護する義務があると言うキラ。ほかに守るべきものがあるでしょうとお腹を見るオブライエン。キラもお腹を見て、そうね、今は自分のことで手一杯という。オドーからキラに通信が入る。キラ宛ての通信を受け取ったが、名前も現在位置も明かそうとしませんというオドー。キラはすぐに向かった。 オドーは発信地を特定できない。フェイズ撹乱搬送波を使って通信にスクランブルをかけているんだろうというシスコ。やってきたキラに、話を引き延ばすように言う。通信を受けるキラ。ベイジョー人の女性が映し出され、ネリスあなたなのという。ファラと呼ぶキラ。あなた一人なの、誰にも聞かれたくない、逆探知しないように説得してというファラ。キラは待つように言うと通信を終えた。友人のトレンティン・ファラ※8ですという。レジスタンスの仲間かと聞くシスコに、いいえと答えるキラ。なぜ居場所を隠すんですと聞くオドー。キラは今は話せないが保障する、危険人物じゃないという。2人だけで話したいというキラに、うなずくシスコ。キラは階段を上り、一人で通信を受けた。私だけよ、逆探知もしてないという。レイサが死んだ、お祈りの最中に殺されたというファラ。聞いたわ、今ベイジョー当局が調査していると言うキラ。いずれ私も殺される、見張られているとファラはいう。誰かはわからないが感じる、安全な場所へ逃げなくては、助けてというファラ。キラは落ち着いてといい、守ってあげる、事件が解決するまでステーションに来るようにいう。第63宇宙基地※9に行っている士官が2人いるから、戻る時にベイジョーに寄らせるという。わかったというファラ。名前はウォーフとダックス、1時間以内に連絡させると言うキラ。ファラはやっぱり頼りになるわと喜ぶ。後でねというキラ。ファラは通信を終えた。 ベイジョー星に近づくシャトル。その馬鹿にした笑いはやめてくれないというダックスに、笑っていない、こんな状況で笑えるわけがないというウォーフ。ラミレス船長※10がトンゴ※11で3回も優勝していたなんて知らなかったというダックス。ウォーフはせめて船長が掛け金を無制限にするといった時にきくべきだった、大損だという。それほど負けてないというダックスに、ラチナム2本、君が持ってるかなというウォーフ。そのぐらいあるわよというダックス。ウォーフと話しかけるダックスに、だめだとすぐに答えるウォーフ。ダックスはそれならクワークに借りる、私好かれてるのという。ファラの転送準備が完了したというウォーフ。やめとけ、金儲けの秘訣第111条にこうある、「金を貸した相手は家族同様に、利用せよ」※12と。なぜあなたがそんなこと知ってるのと聞くダックスに、艦隊アカデミーの卒業生は何でも知っていると言う。転送開始するダックス。だがその時バッファに異常が発生した。何かが集積マトリックスを妨害しているというウォーフ。補助バッファに転送パターンを移送するダックス。ウォーフは転送コイルのパワーを上げるように言う。これ以上は無理、限界よというダックス。実体化しつつあるがパターンが揺らぎ、ファラは体を動かし苦しみ始めた。煙が上がり、倒れ込む。そして転送台に残されたのは、無残に崩れ果てたファラの体だった。 |
※6: Shakaar resistance cell DS9第70話 "Shakaar" 「シャカールの乱」など。「部隊」は訳されていません
※7: Bajoran militia
※8: Trentin Fala ※9: Starbase 63 ※10: Captain Ramirez
※11: tongo
※12: No.111 "Treat people in your debt like family. Exploit them." |
キラがディファイアントにやってくる。無言のシスコとオドー。ベシアたち医療スタッフがファラの検死を行っている。転送台に入るキラ。ベシアが残念だったといい、近頃よく聞くセリフねと言うキラ。ちょっといいというキラに、どうぞといってベシアは離れた。キラはその場にしゃがみ、ファラの付けていたイヤリングを手に取ると握り締めた。慰めの言葉もない、とんだことになったというシスコ。ただの事故だといって欲しいと言うキラ。オドーはそう思っていないというシスコ。オドーは恐らく転送妨害起爆装置※13を使用している、分子を再構築する際に転送ビームを撹乱するようにプログラムされた装置のことだという。大きさは2ミリ立方メートルしかないため、恐らく衣服に隠したか、注射したかだ。元はロミュラン人が使用していましたが、今では闇市場に出回っていますと補足するウォーフ。転送装置の警備システムはなぜ見過ごしたのと聞くキラ。わからない、起爆装置には反応するはずなのにというダックス。犯人は我々の警備システムに相当詳しいみたいねという。立ち上がり、間違いない、レジスタンスへの復讐ですと言うキラ。しかしファラはシャカールレジスタンスのメンバーではないというシスコ。その通りです、表向きはというキラ。ファラはデコー地区※14にある公文書館で、職員をしていましたと話す。そして長年情報を流してくれており、いつ発覚して処刑されるか年中びくびくしていたという。でもやめなかった、キラはファラに、誰よりも勇敢だといったという。毎日見えない恐怖と戦っている、任務を終えてからもファラはレジスタンス側のスパイだったことをひた隠しにしていた。報復されることを恐れていたんですと言うキラ。ベシアが遺体にシーツをかけている。悪い予感が当たってしまったなというシスコ。 キラはプロムナードを歩いている。神殿に入ろうとした時、ふいに「これで二人」という声が聞こえた。振り向き、声のした方へ近寄る。何度も流れる「これで二人」という音声。そこではクワークがいて、パッドのボタンを何度も押していた。やあ少佐、今連絡しようと思っていたというクワーク。何の真似と言うキラ。クワークは実はさっき入荷したソーリアンブランデーにこれが紛れ込んでいて、キラ少佐宛てだったんですがうっかり弾みで再生しちゃったんですという。クワークからパッドを受け取るキラ。それにはファラが映し出されており、「これで二人」と何度も繰り返すようになっていた。 保安室。ファラはレジスタンスに情報を流していたわけですから、その線から何者からか恨みをかったとしても不思議はありませんというオドー。レジスタンスは情報を利用してテロの計画を練り、カーデシアを襲撃した。犯人はその襲撃で家族を友人を亡くしたり、傷つけられたりした者ではないかというオドー。キラは首を振り、ファラの情報で計画したテロはいくつもある、限定できないという。いやできます、まず少佐が重要な役割を果たしたテロのはずですというオドー。少佐が参加したシャカールレジスタンスのテロ事件をリストアップしていけばいいという。多いと言うキラ。その時コンピューターから異常な音が鳴り、パネルの映像が乱れ始めた。セキュリティデータベースに侵入者だというオドー。突き止めるように言うキラ。オドーはコンピューターで急いで操作するが、無理だ。すると画面にベイジョー人の男が映し出され、「これで三人」という音声が流れた。モブラ※15、彼も仲間よと言うキラ。ムシラ地区※16の大学のエンジニアスクールにいるという。ムシラの当局に緊急連絡します、今ならまだ間に合うかもしれないというオドー。キラはいてもたってもいられない様子で立ち上がった。大丈夫ですかというオドーに、大丈夫かですって、知らないところで次々と友達が殺されているのにというキラ。だが落ち着き、再び椅子に座った。ごめんなさいという。謝る必要なんかありませんというオドー。返答があり、モブラに連絡がつかなかったので大学の方に捜索隊が向かっている、報告を待ちましょうという。オドーは一つ提案があるんですが、今は部屋に戻ってお休みになったらどうですかという。恐らくモブラの居所がつかめるまで数時間はかかるという。そうするわといい、立ち上がるキラ。何かあればすぐに教えてというキラに、オドーは約束しますという。保安室を出て行くキラを見送るオドー。 保安部員に警護されながら、部屋に戻るキラ。先に保安部員がはいり、安全を確認してからキラが入る。少し横になる、レプリケーターを使ってと言うキラ。自室に入った。だがその直後、今までいた居間から何か物音が聞こえてきた。壁に耳を近づける。キラはフェイザーを手に取った。 |
※13: remat detonator
※14: ダコール地区 Dahkur Province ※15: Mobara
※16: Musilla Province
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キラは照明を落し、フェイザーを構えて居間に戻った。闇の中で何者かが動いている。見渡すが人はいない。ゆっくりと歩を進めるキラ。その時後ろに人影が迫った。動くなといい、フェイザーを向けるキラ。だが待ったという声を聞いて、ファレル※17と呼んだ。ネリスかというファレル。照明がつく。奥にもう一人、女性がいる。もう少しで殺すところだったと言うキラ。それはこっちのセリフだ、暗い部屋でフェイザーを持って何してたんだというファレルに、私の部屋よという。この男はといい、フェイザーを向ける女性。伏せて保安部員を見て、ブリルガー※18よ、この部屋で護衛してくれているのという。失礼という女性。お知り合いなんですかと言って立ちあがるブリルガー。紹介するわ、ルパザ※19とファレル、レジスタンスの仲間なのと言うキラ。ファレルはブリルガーに、さっきは悪かったといって謝る。いいんです、ご用があれば外にいますといってブリルガーは出ていった。 どうやって入ったの、警備システムを変えたばかりよと2人に言うキラ。なかなか堅固な作りだ、だがこれじゃまだ甘いな、ルパザの腕にはかなわないというファレル。ちょっと手間取ったけど転送の周波数を調整してやったというルパザ。どこからと聞くキラ。輸送船に潜り込んでベイジョーを抜け出してきた、ドッキング直前にステーション職員記録にアクセスしたと自信満々に話すルパザ。部屋に入ったのはほんの5分前だ、中で人の気配がしたから君だと思ったとファレルは言う。そしたらフェイザーを持った男がというルパザ。行く前に連絡しておいた方がいいと言ったじゃないかというファレルに、嘘ばっかりという。キラは2人とも拘留室に送りますといい、よく来てくれたわねと微笑んだ。笑い、キラと抱き合う2人。久しぶりだなというファレル。ルパザにあれもって来て、早くといわれ、ファレルは奥に行った。キラのお腹を触らせてもらうルパザ。いつ産まれるのとの問いに、後半月と言うキラ。クシャミはと聞くルパザに、時々ね、薬をもらっているというキラ。何て赤ちゃんの話をしている場合じゃないという。ファレルが戻ってきた。今日またメッセージが来た、今度はモブラよというキラ。死んだかと聞くファレルに、わからない、捜索隊が探してるというキラ。犯人の目星はまだついていないという。つき次第教えてくれというファレル。ルパザはここへ来たのは犯人を突き止めるためよ、処刑してやるという。あなたたちに暗殺まがいのことをさせるわけにはいかないというキラ。あなたが指令を出す必要はないというルパザ。ファレルは名前を言えばいい、後はこっちでやるという。テロの時代は終わりよ、個人的に動くわけにはいかないというキラ。時代が変わった、この事件は当局に任せましょうという。取り合わないファレル。今はそう思ってても気が変わる、犯人が殺したのはあのレイサとファラなのよ、恐らくモブラも、見つけたらじっとしていられないと話すルパザ。私たちの手で、殺してやりたくなるという。キラはため息をつき、かもしれない、でもまだ見つけていないという。その箱は、とファレルが持ってきた箱について尋ねる。キラへのプレゼントだった。開けるとそこにはマカラハーブが入っていた。その葉っぱ、妊婦が飲む薬なんだそうだというファレル。ネリスは知ってるわ、ステーションにいたら新鮮なハーブは手に入らないだろうと、夕べ摘んでおいたというルパザ。キラはありがとう、ほんとにありがとうといった。滞在するつもりなら部屋を探すけどというキラに、ここに泊めてもらう、そばにいて守ってあげるというルパザ。この子もねといい、キラのお腹に触れる。ソファーを並べれば、2人分のベッドにはなるというファレル。今ケイコがモリーを連れて実家に行っているから、部屋も空いているというキラ。そこへオブライエンが帰ってきた。止まれというファレル。撃たないでと叫ぶキラ。ファレルもルパザもフェイザーを向けていたが、それを降ろした。安心するキラ。チーフ、お客様よといった。 司令官室。モブラの遺体が発見されたのは2時間前、遺体というより破片ですがというオドー。右耳の後ろに埋め込まれたマイクロ爆弾が凶器だ。耳の後ろに物を埋め込むほど近づいておいて、気づかないことがあるわけがないというシスコ。直接近づいたとは限りません、これまでの手口で遠隔操作が可能な装置を使っているから、眠っている間に恐らく追跡用探針のようなもので注射したんでしょうというオドー。犯人は何者だ、プロの殺し屋かと聞くシスコ。オドーも初めはそう思ったが、もしプロならいちいちメッセージをよこすような真似はしないという。この事件には非常に個人的な利害関係が絡んでおり、犯人は少佐に何か訴えているんですという。その何かが伝わったらというシスコ。オドーは少佐も殺すつもりでしょうといった。司令室にいるキラを見る2人。 キラはダックスとノーグ※20と共に、メッセージの解析を行っている。不自然なものだというノーグに、わかってるわよというダックス。音声変換機で声を変えることはあるけど、これは違うというノーグ。リズムも不自然だし、違う会話から言葉を抜き出して作ったみたいという。音のひずみでわかるわけと聞くキラ。いい耳でしょ、抑揚とか言葉じりが消えてるとノーグは言う。あなたの聴力も馬鹿にしたもんじゃないわねというダックス。合成したメッセージだったら何か手がかりはないと聞くキラに、多分メッセージの出だし部分は全て同じというダックス。同じ言葉をコピーした、このノイズを取ればもっとはっきりするという。段々と声が高くなっていく。女の声だ、カーデシア人じゃないというノーグ。ほんとというキラに振り返るノーグ。謝るキラ。ノーグはベイジョー人だ、聞き覚えがあるという。全体を聞かせるようにいう。「これで一人、これで二人、これで三人。」キラは私の声だと言った。その時コンピューターに反応があり、居住区で爆発事件が起こったというダックス。位置はレベル5のセクションアルファ21、オブライエンの部屋だ。非常警報を発令し、連絡があるまで船の発着を禁止するように言うダックス。了解するノーグ。ダックスは医療室に連絡を取り、場所を伝え救急医療班を向かわせるように伝える。シスコとオドーが司令官室から出てくる。オブライエンの部屋で爆発があり、壁に穴が空いて酸素が流出しているというダックス。負傷者はと聞くシスコ。わかりません、破片でスキャンが困難になっていますというダックス。オドーは少佐はと聞いた。既にキラの姿はなかった。 キラは、立ち入り禁止ですといい止めようとする保安部員を殴り倒し、通路を進んでいく。2人目も倒し、下手をすると通路の酸素がといい駆けつけた3人目※21の制止もきかない。だが力尽きたキラは、その場に倒れてしまうのだった。 |
※17: フレル、フュレル Furel (ウィリアム・ラッキング William Lucking) DS9 "Shakaar" にも登場。声:茶風林
※18: Brilgar
※19: Lupaza
※20: Nog ※21: この3人の誰か^^; は、(Scott McElroy) |
キラは医療室のベッドの上で寝ている。ネリス、聞こえると声をかけるベシア。目を覚ましたキラに、ここは医療室だという。はっとし、赤ちゃんはというキラ。無事だよというベシア。無理するから胎盤が切れてそこから出血した、でも治療したから大丈夫だという。ルパザとファレルは死んだのねと聞くキラ。恐らくと答えるベシア。チーフはとキラが聞くと、運良く部屋にいなかったという。苦しまなかったと尋ねるキラ。ベシアは即死だという。キラは自分のイヤリングを外した。オドーがやってきて、ドクターいいですかという。外にいるよと声をかけ、離れるベシア。キラは誰にともなく話し始める。レジスタンスに加わったのは13の時、シャカールのベースキャンプに入り浸り武器を磨いたり雑用をしていたという。でもある晩、敵を待ち伏せる計画で人手が足りなくて名乗り出た。まだ子供だし体も小さいと反対されたが、ルパザがかばってサイノラプター獣※22のように強い子だといってくれたと話すキラ。みんなしぶしぶ承諾した。その時ファレルが何か冗談を言って、ルパザに殴られていた。2人なりのいつもの愛情表現、でも入隊はシャカールが決めるというキラ。長いことキラを眺め回してようやく認めた、十分大人でフェイザー銃を担げるからだと。その晩山の尾根伝いに網を張って待ち伏せた。凍てつくような寒さで手が震え、こんなところを見せたら臆病風に吹かれたと思われるのが嫌で、血が滴るほど指を噛んでいた。それから3、4時間してやっとカーデシアの偵察機※23が現われた、ファレルの読み通りだった。そしてハッチが開いて、1人目のカーデシア人が見えた途端に発砲したという。撃ちまくり、気が付いたらパワーセルが空だった。戦闘が終わると、足を引っ張らずに済んだという安心感で目の前がクラクラした。ファレルに歯を見せて笑うな、子供っぽいぞと叱られても笑った。あの時に私は兵士になったといった。イヤリングはその時に、ルパザが偵察機のかけらで作ってくれたものだった。手口を教えてというキラ。オドーは何者かが追跡用の小型探針をタリヴィアの貨物船※24にセットし、船が着艦した時探針は自動的に動き出し居住区の全室をスキャンし始め、ターゲットの居場所を探し当てると窓に付着して爆発したと説明した。オドーの方に向き直り、手がかりはと聞くキラ。カーデシアの知人から疑わしい人物のリストが届いた、コンピューターに精通し、一連の犯行を企てる機会と動機がある者たちだ。情報を集めるのに苦労したでしょうというキラに、多少はという。リストに挙がったのは25人。見たいわというキラ。だがオドーはまだ早い、もう少し絞り込んでからという。本当は私に見せたら飛び出していくと思ったんでしょうとキラはいう。そんなところですというオドー。さすがね、読まれてるというキラ。犯人は必ずこの私が逮捕します、約束しますというオドー。キラは報告してねと頼んだ。もちろんですというオドー。医療室を出ていった。するとキラは目を強く見開き、ベッドから下りた。近くのコンピューターを操作する。緊急転送スタンバイ、コマンドコードを入力するように求められる。承認コード、キラ1-5-7アルファ※25と告げるキラ。転送開始される。 行き先は保安室だった。オドーの席に座り、コンソールを操作してリストをパッドに入力するキラ。そしてリスト表示を消すと、コンピューターに緊急転送プログラム、キラ2を作動するように命じた。再び転送される。その直後オドーがやってきた。後ろ向きになった椅子に気づくオドー。コンピューターにキラ少佐の位置を尋ねる。ステーションにはいないという答えだ。オドーは悪態をつき、すぐに向かった。 DS9を離れるシャトル。キラはフェイザーなどの準備をしている。 少佐が容疑者を追っているのは間違いないが、ファイルしたリストを消していったので行き先を知る術がありませんというオドー。シスコはディファイアントを準備するようにいい、10分以内ならイオンの痕跡をたどれるという。難しいでしょう、センサー記録によると少佐は排出イオンをポラロン※26で覆っていますと説明し始めるウォーフ。ポラロンでもこれは命令だ、準備にかかれと命じるシスコ。了解し、司令官室を出て行くウォーフ。 キラ・ネリス個人記録、宇宙歴50416.2。オドーのリストからほとんどの容疑者を削除、どれも殺人を犯すような人物ではないからだ。残ったのはシララン・プリン。非武装地帯※27付近の惑星に住むカーデシア人だ。 荒れた惑星上にある建物に転送されるキラ。薄暗いその中は機械だらけだ※28。トリコーダーを作動させる。誰かが中にいる。キラの後ろにカーデシア人が姿を現した。フェイザーで撃つが、突き抜けてしまう。その映像はゆっくりと消えた。だが次の瞬間、別の方向から現れた者にキラは撃たれてしまった。気を失ったキラに近寄る。 その男にベッドの上に寝かせられるキラ。腕をフォースフィールドで拘束し、薬で目を覚まさせた。キラには光が当てられている。男は流れるように話し始めた。「安らかな闇に産み落とされた生物が、光の真実の中で目覚める時、その眩しさにもだえ苦しむ。心臓を貫く針のように体中を刺す鋭い光に恐れをなし、鼓動が激しくなる。」男は姿をキラの前に現さない。誰よ、シラランなんでしょうというキラ。魂が混乱する様を彼女は感じるだろうか、それとも光の眩しさに目がくらみ、ベルベッドの闇の中に再び包まれることだけを考えるだろうかというシララン※29。いや恐らく死の訪れに気づかない方が幸せであるに違いないという。残念ながら逃げ道はない、彼女は追いつめられもうすぐ死ぬのだといった。 |
※22: sinoraptor ※23: skimmer
※24: Talavian freighter ※25: このような保安アクセスコード (security access code) は TNG第33話 "Unnatural Selection" 「DNA」をはじめ、何度も使われました
※26: ポーラロン polaron
※27: Demilitarized Zone ※28: 内装は映画ST2 "The Wrath of Khan" 「カーンの逆襲」の宇宙基地レギュラ1 (Regula I) で見られたコンソールで飾られています
※29: Silaran Prin
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出てきたらどう、それともこの妊婦が恐くて暗闇に隠れてるとでもいうのというキラ。彼女はその小さな牙で正義の処刑人であるこの私に食らいつくチャンスを伺っているが、そのチャンスは訪れないというシララン。せいぜいそう願ってなさいというキラ。シラランはその敵意に満ちた眼光のどこかに、迫り来る死という認識が潜んでいるという。そして恐怖というものを味わうという。冗談じゃない、匿名のメッセージを送って罪のない人たちを殺すどっかの弱虫とは違うというキラ。馬鹿言え、誰も殺していない、みんなお前が殺したんだといい、シラランは近づいてきた。 出てこられたじゃない、話し合いましょうというキラ。言い訳したって無駄だ、光の中では真実だけが浮きぼりになるというシララン。その目は少しも後悔していない、哀れみの目すら浮かんでいないという。あなたの何に同情しろっていうのというキラ。殺人よ、5人も殺しておいてわかってるのという。強情だな、少しは変わったと思っていたが暗闇から抜け出すつもりはないらしいとシラランはいう。キラは何を後悔しろって言うの、さっぱりわからないという。その忘却こそがお前の罪だ、これを見ろ、お前は何をしたといってシラランは顔をキラに近づけた。その顔の右半分は、醜くただれていた。私が誰であるかも思い出せないんだろうというシララン。私がレジスタンス時代に指揮した戦闘で負傷したんでしょうというキラ。後悔なんかしてると思う、戦争だから仕方がない、1,500万人のベイジョー人が任務のために死んでいったという。それなのにあなたを哀れむと思うと聞く。私はお前たちの戦争とは無関係だった、兵士ですらなかったというシララン。私の仕事は何だったと思う、クリーニングだ、ガル・ペラック※30の下で制服を洗ってただけだといった。キラはそのガルの名前を聞き、ハートン※31の武器貯蔵庫の指揮官だったという。覚えていたようだな、じゃあお前がしたことも当然覚えていただろうとキラを指差すシララン。真夜中寝室の中にどうやってプラズマ弾※32を仕掛けたかということだ。覚えてる、ペラックはベイジョー人の農民を15人も処刑したというキラ。庭先にカーデシアの旗を掲揚することを拒んだというだけでねという。トレンティン・ファラは警備システムを破る方法を流し、レイサ・メイブリンはプラズマ弾を作り、ファレルとルパザはお前が倉庫に侵入する間、表で見張りをしていただろうというシララン。好きで殺したわけじゃない、自由のためにカーデシアと戦ったというキラ。お前は宿舎を丸ごと吹き飛ばした、カーデシア人を12人も殺した、あの晩ガル・ペラックの家族は残らず死亡し、ほかにも23人負傷したとシラランは言う。罪の意識はないのか、自分のしたことは恥ずかしくないのかと詰め寄る。ベイジョーは私たちの星よ、15年間もあなたたちは星を占領して仲間を殺してきたというキラ。土地も食料も奪い、フェイザーを持っていようがいまいが関係ないという。兵士じゃないから何だって言うの、みんな犯罪者じゃない、誰が標的になったって同じよといった。そんな考えだからお前は無差別殺人に走る、モラルのかけらもなく、自分の行動がもたらす結果を少しも考えようとしないというシララン。それがお前と私の違いだという。私は兵士よ、あなたは復讐に目が眩んでるだけじゃないというキラ。私は罪を罰しているだけだ、お前と違って罪のないものを守ってやるのが務めなんだというシララン。その気になれば洞窟の僧侶や、シャトルの連中やDS9の住人だって虐殺できた、だが殺したのは犯罪者だけだったという。お前の場合も罪の償いはお前だけがすればいい、お腹の子供には関係ないというシララン。どういう意味と尋ねるキラ。 シラランはそれに答えることなく、奥へ歩いていく。彼女の病める心は自分の苦境に立たされていることを理解できないようだ、想像力にも欠けている、彼女は処刑するが子供には罪がないという。彼女の体内から引きずり出して光の中で育てるのだといった。キラはシラランに、お腹にいるのはベイジョーの子ではなく地球人の子だから取り上げるには特殊な機具が必要で、無茶をしたら死ぬと話す。しかしどんな大声を上げても誰の耳にも届かないといい、シラランは受け付けない。後は彼女の子供を光の中に連れ出してやるだけだ、そして罪なきその子孫に恐ろしい病が感染しないよう、腐った彼女の屍をさっさと始末するという。今取り上げるなんて無茶よ、早すぎる、ドクター・ベシアが後3週間って言ってたというキラ。待てないというシララン。言ったじゃない、この子に罪はない、命を危険にさらさないでと懇願するキラ。だがシラランは心配するな、私がきちんと面倒を見てやろう、光と闇の違いがどういうものかその子にしっかり教え込んでやるという。メスのスイッチが入った。近づいてくる。待って、鎮静剤を打って、いきなり切開するなんてひど過ぎるとキラは言う。無言のシララン。しかしスイッチを切り、いいだろう、お前と違って慈悲深いんだといった。安心するキラ。この顔をよく拝んでおけ、お前がこの世で見る最期の顔だからなというシララン。鎮静剤が打たれ、キラは気を失った。彼女は今暗闇の夢を見ている、だがすぐに抜け出せるだろう、罪なき命は輝かしい光の中で目覚めるというシララン。腕のフォースフィールドが解除される。そして二度と闇を見ることはないのだといいながら、キラに近づくシララン。その時キラは目を開き、シラランを蹴飛ばした。倒れるシララン。キラはフェイザーを手に取った。シラランもキラに殴り掛かろうとする。しかし間一髪早くキラの発射したフェイザーがシラランを直撃した。シラランは死んだ。 ディファイアントから、シスコ、ベシア、オドーが転送されてきた。キラに近づき、無事ですかと聞くオドー。ベシアはトリコーダーで調べ、大丈夫だが大量のマーファドン※33がみられるという。鎮静剤だが、マカラハーブのおかげで効果が現れなかったのだ。この男が犯人かというシスコ。奴はなぜ鎮静剤なんかというオドー。キラは罪なき者を守るためよ、光と闇を離そうとしたのという。彼は知らなかった、光は闇の中でこそ輝き、罪なき世界が罪の裏返しでありうることをねといった。立ち上がり、帰りましょうというキラ。シスコはディファイアントに連絡を入れ、4名の帰艦を指示した。転送される。ディファイアントは惑星を離れた。 |
※30: Pirak
※31: Hathon ※32: plasma charge ※33: merfadon |
感想
ミステリー調で進むストーリーに引き込まれます。残虐な方法で殺されていく友を前に (転送による殺人は唖然…)、自分の体を省みず敵地に乗り込むのはいかにもキラらしいといえます。初期に多かったカーデシアとベイジョーの戦争の名残を描いていますが、退屈なものにはなっていません。 |
第108話 "Rapture" 「預言者シスコ」 | 第110話 "The Begotten" 「幼き命」 |