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ヴォイジャー エピソードガイド
第51話「29世紀からの警告」(後)
Future's End, Part II

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・イントロダクション
朝の公園。当てよっか、夕べ私のバンに誰かが忍び込んで、私が寝ている間にステレオを取ろうとしたのを撃退した、だから今修理してるのよねとパリスに尋ねるロビンソン。なぜわかったのかなと笑うパリスに、何いってんのという。ロビンソンからコミュニケーターを取り上げるパリス。ロビンソンはどんな感じ、スパイの生活っていうかと聞く。言えないんだよというパリスに、そうだった、ごめんと言う。でも「シークレットエージェント」っていってたけど嘘っぽい感じだし、やることなすことどっか違うというロビンソン。宇宙から来たんでしょといわれ、パリスは君は空想のしすぎという。馬鹿にしてるんでしょ、昨日軌道上に UFO をとらえてからずっとわけのわかんないことばかり起こる、気づいてないとでも思ってるのというロビンソン。パリスは謝った。でも命が懸かってるってことだけはわかってくれるかな、君が知れば知るほど事態は一層複雑になるんだという。じゃあ聞かないというロビンソン。ところで、天文学者になったのはなんでと尋ねるパリス。チャチな望遠鏡を兄貴が持ってたの、隣の家までしか見えないような奴だったけど、それでも夢中でと話すロビンソン。土星の輪も見たの、初めて見た時土星を海賊の宝石だと思ったと微笑む。手を伸ばして触ってみたくて、今でもそれが夢なんだと言った。
おはようといい、トゥヴォックが戻ってきた。エージェント・トゥヴォック、何これというロビンソン。朝食だ、順調に進んでるかとパリスに聞くトゥヴォック。何とかねというパリス。チリブリートー※1に、ジャンボホットドッグに、Lサイズのソーダ、これじゃ朝食っていうより、ドジャー・スタジアム※2の午後って感じじゃないというロビンソン。それは非論理的な考察だ、根拠がないというトゥヴォック。ロビンソンは、やっぱりやることなすことどっかずれてるのよねという。パリスが調整していたステレオが、ショートを起こした。この装置は無理って感じ、誘導信号を送るには向いてないというパリス。それなら代案があるというトゥヴォック。天文台のアンテナか、あれと同じ物を作ればというパリスに、あれであなたたちの…軌道上の何かにメッセージを送ったのというロビンソン。協力してもらいたいというトゥヴォックに、ちょっと待ってよという。理由を尋ねるパリス。まず腹ごしらえしなきゃといい、ロビンソンは食べ物を渡した。

※1: chili burrito

※2: Dodger Stadium


・本編
ヴォイジャー会議室。クロノワークスから時間艦を転送しようとしている間に、約 20%のデータをもっていかれましたと報告するチャコティ。今急いでプログラムし直してますが、一部は復元不可能ですというトレス。ドクターもそうよ、ほんとに文字通り跡形もなく消えてるというケス。ジェインウェイは気の毒だけどドクターは後回しよ、武器システムはオフラインで、トゥヴォックとパリスがまだロサンゼルスにいるという。ブラクストン艦長の仮説は正しかったのよ、スターリングが未来へ行けば、世界は終わりを迎えるかもしれないという。キムはブラクストンが描いた汚い紙を広げ、分析したという。タイムトリップ技術はかなり進んでますねというキム。でもいくらスターリングが天才だとしても、29世紀の船を乗りこなせっこないというトレス。少しでも計算を間違えれば、船は時空連続体を寸断してしまう。彼が 29世紀へ向かった瞬間に消滅します、地球はもちろん太陽系全体が崩壊しますというキム。時間艦を取り返さなくてはというジェインウェイ。長距離転送はまだ使えませんから、また地表に接近しないと、というトレス。ニーリックスはそれは絶対やめた方がいいといって立ちあがり、コンピューターを操作した。あのヴォイジャーをとらえた映像が現れる。大方の報道機関では合成だっていう判断みたいですが、政府筋のチャンネルをモニターしたところ合衆国の軍部じゃもっと深刻に受け止めてるようですというニーリックス。となると大気圏内に入るのは危険でしょう、空軍に攻撃される恐れがありますというチャコティ。たとえ船が無理でも、スターリングは転送できるわというジェインウェイ。そこへ連絡が入り、トゥヴォック大尉からの通信をキャッチしました、音声だけですという。ミスター・トゥヴォック、報告してというジェインウェイ。
パリス中尉と私はハリウッド・ヒルズのグリフィス天文台にいます、衛星の電波受信機を調整しヴォイジャーの周波数を捉えることに成功しましたと伝えるトゥヴォック。携帯電話を使って話すトゥヴォックの後ろでは、パリスとロビンソンが楽しそうに話している。雑音が流れ、通信状態は不良ですがと付け加えるトゥヴォック。いいのよ、何があったのと聞くジェインウェイ。天文台の研究所職員である若い女性と知り会いになりました、彼女がヴォイジャーにメッセージを送ったんですが、研究所はヘンリー・スターリングという男の管理下にありますというトゥヴォック。ミスター・スターリングには会ったわ、時間艦を持ってる 29世紀に世界の滅亡を招く男よと教えるジェインウェイ。トゥヴォックはそうとわかれば何としても阻止しなければという。女性は信用できそうと聞かれ、彼女とパリス中尉には共通の趣味があるため気が合うようですといい、2人を見るトゥヴォック。映画のパンフレットを見て楽しんでいる。信用してもいいでしょうとトゥヴォックは言った。協力してもらえるか聞いてちょうだいというジェインウェイ。
クロノワークス。オフィスに入ったスターリングはコンピューターを操作し、ドクターを出した。気分はどうかなというスターリングに、私の健康を気遣ってくれてるとはとても思えないという。少しは感謝してくれたっていいだろう先生、船からダウンロードしたデータによると君は医療室に 24時間ずっといるそうじゃないかというスターリング。ドクターのコミュニケーターを取り上げた。最近プログラムに重要な事故が起きて今もまだ記憶ファイルを修復中なんだ※3、しかし今までにも何度か別の場所に投影された経験はあるというドクター。明らかに君が使ってるのも同じ方法だろうという。ホログラフィックシミュレーターだ、新しいマイクロチップのテストに使ってるというスターリング。そのエミッターを通して投射した、思ったより君のプログラムは旧式だという。それは見方による、とにかく船へ帰してもらえないかねというドクター。今はまだ帰せない、いろいろ聞きたいことがあるんでねというスターリング。医学的な知識を必要としているなら、最寄りの医療施設へ行った方がいいとドクターは言う。ジェインウェイ艦長は私が世界の滅亡を招くのを止めに来たといってたが、本当の狙いは時間艦を盗むことだろというスターリング。それは誤解だ、断じて違うというドクターに、時間艦は 29世紀の産物だ、君らにすれば 500年後の技術が結集されてるというスターリング。当然手に入れたいだろうし、簡単に奪えると思うはずだという。相手は私のように 20世紀のネアンデルタール人なんだから、だが当てが外れたんだろと聞く。そういった誇大妄想的な発言は人格障害の表れだ、私の記憶が正しければ 20世紀後期の南カリフォルニアにはセラピストが溢れてたはずだというドクター。なるべく有能な医師を見つけて診察を受けた方がいい、さあヴォイジャーに帰してくれという。ヴォイジャーは今武器システムは使えないし、テレポーターの距離も限られてる、私はクルー全員のファイルが欲しいというスターリング。己の敵を知らないと、まず初めにジェインウェイ艦長の人物像から聞こうかという。私は医師で、データベースではない※4というドクター。両方兼ねてるといえるだろ、話せというスターリングに、脅して口を割らせるつもりかね、無駄だよというドクター。置いてあった虫眼鏡を取って自分の手を見つめる。私はホログラムだ、痛みは感じないし死の恐怖はないという。拷問はあきらめるんだなという。スターリングはキーボードのキーを押した。ドクターは虫眼鏡を落とし、苦痛に顔を歪める。痛みだというスターリング。再びキーを押すと、ドクターは落ち着いた。なかなか新鮮な感覚だろというスターリングに、こんなものだとはというドクター。夢にも思わなかったかなとスターリングは言い、再びキーを押した。また痛み始めるドクター。これは燃えるっていう感覚なんだ、普通の人間ならとっくに火だるまになってるがねと笑うスターリング。オフになり、ドクターは勢いで倒れた。どうやってと聞くドクターに、君の触覚反応センサーを調整したんだ、たいして手間はかからなかったというスターリング。ドクターはゆっくりと起き上がった。協力する気になったかなと聞くスターリング。
呼び鈴が鳴り、スターリングは電話を取ってミーティング中だという。つないでくれといった。相手はロビンソンだ。スターリングさん、私もうどうしていいか、また見つかったらと思うと、という。落ち着きなさいレイン、心配いらないからというスターリング。撃ってきたんですよ、殺す気なんです、今度見つかったら絶対殺されるというロビンソン。トゥヴォックとパリスがそばにいる。だったらすぐタクシーを拾ってオフィスに来なさい、安全だからというスターリング。ロビンソンはそこじゃだめですという。今どこだと聞かれ、メトロ・プラザ※5の噴水のそばですと答えるロビンソン。急いで迎えに来てくださいという。誰か行かせようというスターリングに、だめです、あなたが来てくださいといった。すぐ行くと答えるスターリング。ロビンソンは電話を切り、引っかかった、かなって感じという。どういう意味と尋ねるパリス。わかんないけど声がちょっと疑ってたというロビンソン。
先生、散歩に出かけるぞというスターリング。お忘れかもしれないが、私がいられるのはホログラム投影システムのある部屋のみだというドクター。つまり、外へ出られないという。入ってきたダンバーと顔を見合わせ、笑うスターリング。
ダンバーの運転する車が止まった。スターリングを降ろす。そして反対側のドアからは、ドクターが降りた。周りを眺めるドクター。腕には小さな機械が取り付けられている。スターリングは棒状の装置を持っていた。遠くからトゥヴォックとパリスが隠れて様子をうかがっている。

※3: VOY第46話 "The Swarm" 「ドクターのオーバーロード」より。なぜあれから 5話も経って触れられるのか疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実は宇宙暦でいえば "The Swarm" はこの前後編の直前にあたります。宇宙暦順エピソードリスト参照

※4: "I'm a doctor, not a database."

※5: Metro Plaza
実際にはそういう場所はありません。このシーンの撮影はロサンゼルス、グランド・アヴェニューのミュージック・センターで行われました


シャトルが地表へ向かっている。電波分散装置※6をセットしてあるから、レーダーにキャッチされる心配はないというトレス。それにシールドを調整して外観も変えてある、だから見つかったとしても 20世紀の小型機にしか見えないという。転送装置オンライン、あと 10分で転送圏内に入るというチャコティ。見えてきたぞ、バハカリフォルニアがという。地球はこの高度から見るのが一番いい、もう見られないと思ってたと話すチャコティ。北アメリカでパイロット訓練を受けたんでしょというトレスに、アカデミーの 1年目に、それから大気嵐の訓練に 2ヶ月ほど金星※7へ行って、その後は 1学期間小惑星※8をかわす訓練でしごかれたという。私よりずっと楽しいアカデミー生活だったみたいね、私は研究室でパンチをかわしてたというトレス。お前だけだよトレス、宇宙論理 101 の時間にケンカしたのはと笑うチャコティ。トレスも笑い、あの頃の私は今より血の気が多かった、ほんの少しという。そうだろうなというチャコティ。チャコティあなたどうする、もしもう戻れなくなったらと尋ねるトレス。この世紀にも人知れず暮らせる場所はあるだろう、そこに身を潜めるんだよというチャコティ。でも仕事しないと、というトレスに、俺なら考古学で食っていけるかもなという。大学で教えてもいいし、中米で発掘作業に参加してもいいと話す。20世紀には数々の貴重な発見がされる、ノーベル賞も夢じゃないと言った。身を潜めるんじゃなかったというトレスに笑い、お前はどうすると尋ねる。「高資格のクリンゴンがエンジニアを求職中」というトレス。チャコティは俺なら採用するよといった。コンピューターが反応した。降下する。進入コース入力、スラスター全開。鳥に注意しろというチャコティ。笑うトレス。
スターリングの様子をうかがいながら、トリコーダーを操作するトゥヴォック。パリスは携帯電話でチャコティと交信し、スターリングがドクターを連れてきたことを伝える。どうやって連れてきたのと驚くトレス。わからない、圏内に入ったかと聞くパリス。あと 2分で入るというチャコティ。
どうした先生、さっきから嫌に無口じゃないかというスターリング。無駄話はプログラムされてないというドクター。現実の世界で不安になったんじゃないかねというスターリングに、私には一つの環境に過ぎんという。スターリングは覚悟はいいかなといい、ドクターに装置を近づけた。ロビンソンが近づいてくる。お仲間が余計なことをすれば、君はホロ灰になるという。
トゥヴォックはパリスから携帯電話を受け取り、チャコティにバンの位置を送信するので、トリコーダーアップリンク※9のスタンバイをと伝える。スターリングが乗った瞬間にロックオンできる。
スターリングに話しかけるロビンソン。仲間に出てこいといえ、さもなければこいつを殺すというスターリング。何言ってるんですかというロビンソン。さあ行こうと歩き出すスターリングに、わたしのバンはあっちにという。私の車があるというスターリング。ロビンソンは中に荷物があるんですというが、誰かに取りに行かせる、それじゃまずいのかねという。いいえと答えるロビンソン。
バンの方へ行かないぞ、反対へ向かってるというパリス。ミスター・チャコティ、問題発生ですと伝えるトゥヴォック。トリコーダーを操作し始める。スターリングたちは車の方へ向かう。待っていたダンバーを見て、こいつよ、撃とうとしたのと怯えるロビンソン。そうじゃない、君を助けようとしたんだというスターリング。どこ行くのというロビンソンに、オフィスなら安全だからと答える。車に乗り込むロビンソンとドクター。
スターリングの車に乗り込んでる、位置を測定し直すから待ってくれとチャコティにいうパリス。間に合わないかもしれないというトゥヴォック。最後にダンバーが乗ろうとしている。座標セット完了。今だチャコティというパリス。シャトルのチャコティがスターリングの位置にロックオン、転送開始される。ダンバー、フリーウェイには乗るな、この時間の 101は…とスターリングが命じている時、転送で体が消え始めた。驚くロビンソン。ドクターはダンバーを取り押さえ、逃げろといった。車を出るロビンソン。スターリングは持っていた装置を作動させた。ロビンソンは走って逃げる。
パターンバッファがオーバーロードしてる、何かの装置が作動してるというトレス。それが転送に干渉している。シャトル後部で小さな爆発が起こった。
ダンバーはドクターの顔を何度も殴るが、全然効かない。スターリングの姿は消えた。ドクターが逆にダンバーを殴り倒し、車を降りて一目散に駆け出した。正気に戻るダンバー。そのまま車を運転し、去っていった。ロビンソンのところに集まるドクター、パリス、そしてトゥヴォック。怪我はないときくパリスに、たぶんと答えるロビンソン。ドクターと驚くトゥヴォック。改良されたんだよ、この自動継続式モバイルホロ・エミッター※10によって、つまりいいかえれば私は完全に自立したわけだというドクター。
スターリングを転送バッファにとらえましたが再物質化できませんとジェインウェイに伝えるチャコティ。装置がコンピューターに干渉している。船尾スラスターダウン。
シャトルは既に短距離転送圏内に入ってますと報告するキム。ジェインウェイは第1転送室に連絡を入れ、シャトルのパターンバッファから直接転送するように命じた。チャコティ、こっちで引き受けるわ、ミスター・キム、きてちょうだいといいターボリフトに入った。
バッファが空になった、スターリングは転送されたというチャコティ。シャトル内で爆発が起こり、高度が落ちて来ている。
転送室に着くジェインウェイたち。まだスターリングは実体化してない。トリコーダーのようなものを持ってるわというジェインウェイ。コンソールで調べると、そこから干渉信号が出ていた。信号を隔離して振幅を抑制するキム。スターリングは実体化した。だめかといい、そのまま倒れる。ジェインウェイは医療室に急患発生と伝える。スターリングの持っていた装置を取った。
推進システム停止、墜落するとヴォイジャーに伝えるチャコティ。シャトルは揺れながら地表へ近づく。

※6: interferometric dispersion

※7: Venus
DS9第57話 "Past Tense, Part I" 「2024年暴動の夜(前)」でも言及

※8: 小惑星帯 asteroid belt
火星と木星の間にある

※9: tricorder uplink

※10: 自発的・自動継続式モバイルホロ・エミッター autonomous, self-sustaining mobile holo-emitter
エンサイクロペディアでは自発的ホロ・エミッター (autonomous holo-emitter)


薄汚れた倉庫の中。チャコティとトレスはひもで手足を縛られ、気を失っていた。目を覚ますトレス。銃を持った男たちが入ってくる。ここはどこと尋ねるトレス。チャコティも目を覚ます。男の方は普通だが、女はわけありだぜという男の一人、ポーター※11。もう一人のブッチ※12が顔を見、どうなってんだその額と聞く。触ろうとするブッチに、トレスは唸り声をあげて威嚇した。笑い、気をつけろよバッド、かなり気が強そうだというポーター。何者なんだと聞くチャコティに、お前らこそ、偵察に来たのか、チーフと聞く。チャコティは笑い、そうじゃない、通りがかっただけだという。新型のステルス機でか、誰の使いだというブッチ。ここにエンジントラブルで墜落したのよというトレスに、見え透いた嘘だ、コイツらは軍服を着てるし新型機に乗ってた、奴ら来る気だぞというブッチ。「U.S.S.」ってからには連邦政府だ、政府は俺たちにとっちゃ敵なんだとポーターは言った。俺たちは政府とは関係ない、あの機には訳があるというチャコティ。うるせえといいチャコティを踏みつけるブッチ。トレスは足を使ってブッチを倒した。ポーターは銃をトレスに向け、動くんじゃない、応援を呼んでこいとブッチに言った。出ていくブッチ。ポーターは椅子に座り、面白くなるぞと言った。
ロビンソンのバン。初デートで相手が跡形もなく消えたことならあるけどというロビンソン。恐らく比喩としていってるのだろうというドクター。でもあんなのは初めてよ、ほんとに人が消えちゃうなんてとロビンソンはいう。それにミスター・レジャースーツは出てくるしというと、そんな呼ばれ方は初めてだというドクター。あいつに何度も殴られたでしょ、普通だったらあざができたり唇が腫れたり鼻が折れたりするのにというロビンソン。落ち着きたまえ、君が見ているのは…幻覚なんだというドクター。そういうことなの、これ幻覚なんだというロビンソン。君を巻き込んじゃって悪いと思ってるよというパリス。携帯電話が鳴り、トゥヴォックが出る。スターリングを収容したわ、でもチャコティとトレスが行方不明なのと話す医療室のジェインウェイ。シャトルがアリゾナに墜落したのだ。ミスター・キムがトリコーダーに座標を送信するから、2人を探し出してと命じる。了解し、通話を終えるトゥヴォック。ミスター・スターリングは無事収容された、君はクロノワークスへ戻って例の作業を続けてくれとパリスに言うトゥヴォック。その間にドクターともにトゥヴォックはアリゾナに向かう。ドクターも参加できて嬉しそうだ。
転送時間が長かったために、神経ストレスから意識を失っただけで、心配はありませんというケス。起こしてちょうだいというジェインウェイ。ハイポスプレーが打たれ、スターリングは身を起こした。ようこそ、24世紀の世界へというジェインウェイ。体を探し始めるスターリングに、あの装置、トリコーダーは預かってあるという。壊れてた、テレポーターを阻止できるはずだったというスターリング。使い方を知らないだけで、壊れてはいないというジェインウェイ。だが私も結構やるだろ、20世紀の原始人にしてはというスターリングに、勝負はもうついた、私の勝ちよという。クロノワークスのフォースフィールドを解除して、あの時間艦を返してちょうだいというジェインウェイ。私が拒めば強制はできないだろうというスターリング。どうかしらというジェインウェイに、撃つのかと聞く。それも悪くないわねというジェインウェイ。あの時間艦は渡さない、細工がしてあってテレポートしようとしたり近づくだけでも、ロサンゼルスは死の街と化すだろうとスターリングは言う。何を考えてるの、未来のことでもなければ現在のことでもない、一体目的は何なの、ミスター・スターリングと尋ねるジェインウェイ。人類の進歩に決まってるさというスターリングに、そうは思えないという。じゃあ何しに未来にいくと思う、休暇かというスターリング。ジェインウェイは技術をもっと仕入れるためだと気づいた。だから時間艦で未来へ行きたいんでしょといわれ、船自体の技術はあらかたもらってしまったからね、もう金になるような部分は残ってないというスターリング。だから未来で技術を盗んでくるわけねというジェインウェイ。スターリングはわかってると思うがコンピューター革命を起こしたのは私なんだよというが、使ってはならない技術を使ってねというジェインウェイ。何が悪い、私がいなければコンピューターは進歩しなかった、ラップトップもインターネットもバーコードリーダーもないというスターリング。クロノワークスは人類を豊かにした、今更やめられないという。29世紀へ一度行くだけで、新たなコンピューター革命を 10回起こすのに十分な技術を得られるというスターリング。未来へ行こうとすること自体が危険なのよ、時空爆発を引き起こすかもしれない、そうすれば何十億人が死ぬ、あなたも含めてというジェインウェイ。スターリングはリスクは承知の上だという。はっきり言うけど、ミスター・スターリング、私の時代には現在のために未来を危険にさらすほど愚かな人間はいないわというジェインウェイ。だがあんたが言ってるのは今から 900年も未来の話だ、そこまで考えてられないし私には会社があるというスターリング。全世界が更に便利な新商品を求めてると言った。ジェインウェイは何も言わずに離れ、フォースフィールドを再開させた。クロノワークスは終わりよ、私が潰してみせるわと言い残し、医療室を出ていった。フォースフィールドに触れ、手を引っ込めるスターリング。
墜落したシャトルのそば。世の中には相反する 2つの力がある、集合体を作る力と個別に分かれる力だというポーター。お前たちは前者だが、俺は後者だとチャコティたちに言う。だからいったでしょ、私はアメリカ合衆国政府の人間じゃないというトレスを無視し、政府ってのはいろんな顔をもってるものだからなという。俺も昔は暴力だけが解決策だと思ってた、だがそうじゃないというチャコティ。お前は愛国主義者じゃないというポーター。体制に反発してた、でも気づいたんだ、銃じゃ解決しないというチャコティ。戻ってきたブッチがポーターを呼んだ。仲間を連れている。FBI だ、来たぞという。人数はと尋ねるポーターに、車 3台とヘリで 2マイル先まで来てるという。準備しろというポーター。扉を開け、裏手を周って配置に付け、ブッチを俺でこいつらを連れて行くという。次々と仲間たちに銃が配られる。政府はまだ暴力を信じてるようだな、残念だよとポーターは言った。

※11: Porter
(Clayton Murray) クレジットではブッチと共に民兵 (militiaman) とされています

※12: Butch
(Brent Hinkley) 声:荒川太郎


ロビンソンとパリスの乗ったバン。やっぱり変よ、UFO の出現にレーザーピストルに、人が消えたり、スパイ大作戦※13は全部観たけど、あなたがシークレットエージェントだとは思えないというロビンソン。だから言えないんだっていっただろというパリス。でも仮説を立てずにはいられない、私科学者だからといい、たとえば異次元から来たんじゃないかとか、エイリアンかも、というロビンソン。勝手にしてよと笑うパリス。またメンツがすごいのよね、ドクターがいるでしょ、あそこまで服の趣味が悪いのみたことがないとロビンソンは言った。トゥヴォックは何か超イッチャッてる※14、笑うことあるのと尋ねる。見たことないというパリス。それにあなた、トム・パリスは、セクシーよね、親しみやすい感じだし間抜けだけど、時々もしかしたら天才かもって思うと話す。でも頭の中にあるのは任務だけ、人生捧げてるって感じ、仕事のためにプライベートなことは全部投げ出しちゃってと言った。普通だとは思えないと聞かれ、まあねと答えた。おっと、行き過ぎちゃったというロビンソン。
クロノワークス。ダンバーは時間艦に乗っていた。サトコム47※15…起動しますというコンピューターの声。軌道上の衛星が動き出した。スターリングの現在位置捜索開始と命じるダンバー。捜索していますというコンピューター。
スターリングは落ち着きがなく歩き回っている。保安部員が監視している。
今アリゾナです、チャコティとトレスはフェニックスの北東 30キロメートルにというトゥヴォックの通信。ジェインウェイはなるべく急いでちょうだいと命じた。警告音が鳴った。転送が進行中ですと報告するキム。医療室のスターリングの姿が消えた。スターリングです、地表へ転送されたというキム。軌道上に衛星を設置してたんだわというジェインウェイ。シールドを突破して転送信号を送り込んでいる。スターリングの現在位置は、信号を追うとクロノワークスのビルだった。
コンピューターを操作しているスターリング。戻ってきたダンバーに、よくやってくれたダンバー君と礼をいう。いよいよ出発の時が来たと言った。
クロノワークスに到着するバン。ためいきをつくロビンソンに、ここでお別れだねというパリス。そうだね、明日の夜って空いてると尋ねるロビンソン。よかったら何かして遊ばないと誘う。悪いけど、というパリス。そう、ならこの土日はというロビンソンに、また言葉につまるパリス。結婚してるんだというロビンソン。パリスは慌てて、そういうことじゃない、ただ時間がなくてという。火星に帰らなきゃいけないからねというロビンソンに、土星だよという。最高じゃない、言ったでしょ、私土星大好きなのというロビンソン。じゃあ電話番号教えてという。答えに困るパリス。トリコーダーに反応があった。タキオンが放射されている。見ると、クロノワークスから大型トレーラーが発車していた。時間艦を運び出す気だというパリス。何のことを言ってるのというロビンソンに、もう後少し付き合ってくれると嬉しいんだけど、いいかなとパリスはいった。ロビンソンは笑い、エンジンをかけた。
墜落機を渡せ、それに乗っていた者もだという声が響く。俺の土地に入るなと叫ぶポーター。政府に見つかったら半クリンゴン人はどうなるかしらというトレス。すると、何者だ君たち 2人は、ここは任せてくださいという声が聞こえた。よせという言葉と共に、フェイザーの発射音と光。銃声が鳴り響く。レーザー持ってるぞ、黒人と妙な禿げオヤジだというポーター。中に入り待ち構えていると、ドクターが入ってきた。ポーターとブッチが何発も銃を浴びせる。しかしすり抜けて後ろの壁に当たってしまう。神の御加護をというポーターに、神様の介入はありそうにないなといってフェイザーを撃つドクター。2人とも気を失った。チャコティたちのところへ来て、トゥヴォックはシャトルだ、修理に当たっているといい縄を外すドクター。ドクターどうやってというチャコティに、話せば長いんだがね副長、言うなれば往診に来たんだよと言った。
トレーラーを追うバン。ヴォイジャーにはパリスから通信が入った。メインハイウェイを降りて砂漠に入りましたというパリス。ロビンソンは無理矢理電話を近くに寄せ、ハイ、私レイン・ロビンソンという。突然だけど最悪よ、この道ほかに車がいないから尾行がバレバレなのという。ご忠告をどうも、ミス・ロビンソンというジェインウェイ。トム、そこをスキャンしたわ、そこから 10キロメートル先に小型の発着場を見つけたのという。発射サイトでしょうというパリス。食い止めて、武器はまだ復旧してないしトレスのシャトルの修理も時間がかかるというジェインウェイ。あなたが頼りなのといわれ、何とかしますといって交信を終える。
トレーラーを運転するダンバーはバックミラーを見ながら、トレーラーを横に動かし武器をバンに向けて発射した。間一髪のところで避けるバン。パリスはロビンソンに、トレーラーの真後ろにつけるように言った。窓から顔を出し、フェイザーで狙うパリス。近づくバン。あと 1メートル近づいてというパリスに、撃っちゃいなよというロビンソン。パリスが撃ったフェイザーは命中した。スリップを起こすトレーラー。バンも止まり、エンジンがかからない。ちょっと間を置いた方がいいというパリス。仕留めたのというロビンソンに、たぶんねという。しかし、トレーラーはこちらに一直線に向かってきた。気づいたパリスは、逃げろと叫ぶ。バンから飛び降りる 2人。そこへシャトルが飛んできた。フェイザーでトレーラーを攻撃、破壊する。チャコティがパリスに状況報告を求める。無事だよ、おかげさまでというパリス。トレスは、時間艦はあのトラックに乗ってるはずじゃなかったと聞いた。痕跡がないのだ。時間トランスポンダーを使ってタキオン信号を偽造したんだろうというチャコティ。ヴォイジャーに時間艦はここにはありませんと伝える。これは罠です、別な場所から発射する気ですといった。
クロノワークスの格納庫に、まだ時間艦はあった。乗り込んだスターリングは、ハイパー・インパルス※16作動と命じた。ハイパー・インパルスエンジン作動開始。出発しようというスターリング。コンピューターはコマンド確認と応じ、船の高度が上がり始める。ビルの窓を突き破って外にでる時間艦。

※13: Mission: Impossible
米国で 1966〜1973年、日本でも放送された番組。TOSが撮影されたデジル・スタジオの第9・10ステージの隣にある、第7・8ステージで制作されました。スポック役のレナード・ニモイはパリスという名のキャラクターをレギュラーで一時期演じ、ウィリアム・シャトナーやマーク・レナードなどもゲスト出演しています。共同製作者ボブ・ジャストマンや美術監督マット・ジェフリーズはパイロットエピソードに関わりました

※14: freakasaurus

※15: SATCOM 47

※16: hyper-impulse


時間艦が上部電離層に入りましたと報告するキム。コースを追うように指示し、シャトルに帰還するように言うジェインウェイ。了解するチャコティ。フェイザーはまだオフで、光子魚雷はセットされているが撃てない。発射シークエンサーが反応しないというジェインウェイ。発射コマンドを操縦席に移しましょうかというキムに、時間がない、ミスター・キム、ブリッジをお願い、もうすっかり慣れたでしょといって立ち上がる。第1魚雷格納庫のドアを開けてと命じ、中に入って手動発射に切り変えるというジェインウェイ。シークエンサーがダウンしている以上、中からしか発射できませんが危険過ぎます、プラズマ排気によって死にますというキムだが、ジェインウェイは命令通りにしてといってターボリフトの中へ消えた。
やっと転送装置が復活したというシャトルのトレス。ミスター・パリス、スタンバイしろ、こちらへ転送するというチャコティ。了解し、電話を切るパリス。宇宙船へ帰るのねというロビンソン。君みたいな娘は初めてだ、一生忘れないだろうねというパリス。ロビンソンは私だってと言った。微笑み、土星によろしくいっといてという。いっとくよというパリス。2人はキスを交わした。離れるパリス。
宇宙空間へ向かう時間艦。時間移動を開始しろと命じるスターリング。魚雷格納庫へやってきたジェインウェイは、パネルを開け作業に取り掛かる。ブリッジのキムからシャトルが戻ってきたという報告が入る。後少しよというジェインウェイ。時間艦がワープ1 へ入ったことを伝えるキム。ワープに入って、見失わないようにというジェインウェイ。
ブリッジにチャコティたちが戻ってきた。ドクター、ようこそブリッジへというキム。ありがとう、来られて嬉しいよというドクター。状況を尋ねるチャコティ。艦長は第1魚雷格納庫で手動に切り替え中ですというキム。チャコティはドクターに行ってくれと命じた。うなずき、ターボリフトに乗ろうとするドクター。しかし立ち止まり、第1魚雷格納庫ってどこにあるのかねと尋ねた。カプラン少尉、案内しろというチャコティ。カプランに続いて乗るドクター。時間艦が時間フィールドジェネレーターを作動、スターリングは数秒以内に亀裂を発生させることができますというトゥヴォック。スターリングのフィールドは不安定ですというキム。このままの状態で亀裂に入れば、時間艦は時空爆発を引き起こすわというトレス。トゥヴォックはまさにブラクストン艦長が予告していた通りです、爆発は避けられないかもしれませんと言った。運命だというのかトゥヴォック、俺は認めないというチャコティ。何としても食い止める、10キロメートルまで接近しろと命じた。了解するパリス。
タイムコアがカスケード電位に到達と伝える、時間艦のコンピューター。スターリングは突入ポイントの位置を設定する。時間艦の先に時空の亀裂が開いた。
作業をしていたジェインウェイは、切り替え作業が終わったことをブリッジに伝えた。魚雷装填。ターゲットロック。スターリングを呼び出すチャコティ。こちらヴォイジャー、亀裂への突入を中止しろという。さもなくば、武器は使えないんだろと笑うスターリング。じゃあな、またいつかといい、スクリーンのスターリングは消えた。チャコティはジェインウェイを呼び、撃つ以外に手はありませんといった。スターリングは亀裂に突入する。発射を命じるチャコティ。最後の手順を行うジェインウェイ、反動で吹き飛ばされる。発射される光子魚雷。警報を聞いて、まさかというスターリング。魚雷は時間艦に命中して船は爆発し、同時に時空の亀裂も消えた。
ターボリフトでジェインウェイを調べるドクター。すぐに医療室で手当てしないと、という。手当てはいくらでも後でできるわというジェインウェイ。ブリッジに戻ってきた。亀裂をもう一度開くことはできないかしらというジェインウェイ。すると、キムが亀裂が開いていますと報告した。何かが出てくる、それは時間艦だ。スクリーンに呼び出す。ブラクストン艦長だ。知ってるのかと聞くブラクストン。ええ、残念ながらというチャコティ。あなたは 24世紀でこの船を破壊しようとし、次に 1996年で会った時にはホームレスの老人だったわというジェインウェイ。その年へは行ったことがないというブラクストン。何しにここへというパリス。君たちが空間をスキャンするように、私の時代には時間もスキャンできると話すブラクストン。時間パトロール委員会※17が 20世紀の地球でこの船を捉え、私を派遣した、先導するから付いてきなさいという。亀裂の中に入れば、元いたデルタ宇宙域に戻れるというブラクストン。ジェインウェイはこの 2年間アルファ宇宙域に帰ろうとしてきました、位置はこのままで時間だけ 24世紀に戻せませんかと頼んだ。気の毒だが時間法※18がある、自力で戻ってくれといい、ブラクストンは通信を終えた。無言のジェインウェイたち。時間艦が亀裂に戻っていく。ミスター・パリス、続いてちょうだいとジェインウェイは言った。
艦長日誌、宇宙暦 50312.5。我々は再びデルタ宇宙域の、時間艦と遭遇した時点に戻った。針路を地球に戻し、クルーを食堂に集め祝杯をあげる。
乾杯するクルーたち。未来にねというジェインウェイ。いつまでこうしていられるのと尋ねるジェインウェイに、ドクターはこの新たな可能姓のことなら私次第だという。そのモバイルエミッターがどういう構造なのかはまだ研究中ですが、ドクターをコンピューターにダウンロードし直すのは簡単にできると思いますというトレス。その必要はないだろう、私がこのエミッターを制御できるようになれば問題ないというドクター。あなたが良くてもこっちがちょっと、というトレス。ドクターはケスに、私が自由になると君の仕事が増えるだろうという。私は構わないけど大丈夫なの、医療室の中しか知らないのにというケス。すぐに慣れるさといい、ジェインウェイに前から思ってたのですが、自分の部屋が欲しいんですよとドクターは言った。焦らないでというジェインウェイ。パリスは、一度駐車違反で切符を切られそうになって、トゥヴォックが例によってヴァルカンの論理で警官を説き伏せようとしたと話す。成功したかと聞くチャコティに、するわけないだろという。しかしミスター・パリスの不確かな 20世紀の知識を考えると、何ごともなく済んだのは奇跡に近いというトゥヴォック。笑うチャコティとニーリックス。パリスはトゥヴォックに近寄り、誰かに言われたことないか、超イッチャッてるって、と聞いた。

※17: 時間統合委員会 Temporal Integrity Commision
DS9第104話 "Trials and Tribble-ations" 「伝説の時空へ」の時間調査課 (Temporal Investigations) の未来の姿だと思われます

※18: 時間第一級優先条項
Temporal Prime Directive
艦隊の誓い (第一級優先条項、Prime Directive) の時間に関するものだと思われます。ジェインウェイたちが素直に引き下がるのもわかる気がしますね


・感想
後編は前編ほど急いだ展開ではありませんでしたが、ドクターの活躍が見られるのが嬉しいですね。場を広げられたことにより、これからの仕事も増えることになるでしょう。チャコティたちが捕まった節は、少し蛇足かなとも思いますが…。
一つ疑問に思うのが、時空の爆発が起こらないと時間のパラドックスの環が打ち切られ、ブラクストンが 24世紀に来ることもホロ・エミッターが作られることもなかったはず。その辺りはどう理由付けられるのでしょうね。


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