ヴォイジャー エピソードガイド
第50話「29世紀からの警告」(前)
Future's End, Part I
イントロダクション
地球、高山地方※1、1967年。夕闇の山。カリフォルニア大学サンタクルスキャンパスで、昨夜新たな反戦デモがありましたと、ラジオの音が流れている。3,000人の学生たちを解散させるため、催涙ガスが使われました…バースツーの現在の気温は 75度…。1人でキャンプをしている、腕にバラのいれずみを入れた長髪の男※2は、音楽が流れている局にラジオを合わせた。曲に合わせて棒を叩く。しかし音楽が乱れ、奇妙な機械音を発し始める。ふいに爆発したような音が聞こえた。思わず立ち上がる男。突風が吹き、空が明るくなった。音が段々近づき、衝撃音と共に地面が揺れる。明るく光る方を見て、男は「ありゃなんだ」と言った。 | ※1: High Sierras 東カリフォルニアの山地 ※2: (Ed Begley, Jr.) 声:田原アルノ |
本編
※3作戦室で、ジェインウェイはラケットとボールをもち練習している。チャイムが鳴り、入って来たトゥヴォックのところへボールが飛んだ。キャッチするトゥヴォック。ごめんなさいねトゥヴォック、ちょっとサーブの練習をしてたのというジェインウェイ。テニス※4よ、19年ぶりにやってみようと思って、腕が鈍ったわという。ホロデッキで初心者トーナメント※5をやったが、ストレート負けで敗退だった。サーブの際はボールから目を離さずに、放物線の頂点で打てば効果的かと思いますがとアドバイスするトゥヴォック。あなたもテニスやるのと尋ねるジェインウェイに、物理学の応用ですという。これでもハイスクールの頃は上手かったのに、用は何と聞くジェインウェイ。トゥヴォックはパッドを渡し、保安関連の月例チェックが終わりました、全システムおよびクルーは…と伝えている時、チャコティの非常警報という通信が流れた。ジェインウェイがブリッジへ呼ばれる。作戦室を出る 2人。 空間に亀裂ができています、真正面ですと報告するトゥヴォック。時空連続体の歪みだが、重力量子マトリックス※6から見ても人工的に作られたものだ。スクリーンに映し出されている歪み。誰にと聞くチャコティに、内部はスキャンできませんというキム。フィールドが歪み、何かが出てきた。小型艦、全長約 6メートルですというトゥヴォック。乗員は 1名、地球人だ。亀裂の外縁部を飛行している。船から亜空間シグナルが発信されています、連邦の船ですとキムは言った。呼びかけても応答はなし、武器を起動した。シールドを張り、呼び続ける。攻撃してきた。ヴォイジャーは大きく揺れ、シールドが消失した。緊急退避を命じるジェインウェイ。しかし操縦が操作できませんというパリス。攻撃は亜原子ディスラプター※7のようだ。反撃するためフェイザーを発射するが、効果はない。ヴォイジャーの分子構造が崩壊しますというキム。チャコティは残っているパワーを全てディフレクターに回し、ポーラロン※8パルスを発射して相手の武器をオーバーロードさせるように命じた。ディフレクターパルス発射。揺れが収まった。成功ですというキム。通信が入り、スクリーンに出す。男は連邦時間艦※9イーオン※10の艦長ブラクストン※11だと名乗った。500年未来の 29世紀の地球から来た、ディフレクターパルスを止めたまえという。攻撃した理由を尋ねるジェインウェイに、ヴォイジャーは 29世紀に災害を引き起こす、時空の爆発※12で太陽系が滅びてしまうと言った。それを未然に防ぐため未来からやってきた、ヴォイジャーを破壊するためにというブラクストン。納得がいかない、一体何の根拠があってというジェインウェイ。ブラクストンは爆発の後からヴォイジャーの破片が見つかったという。ジェインウェイの言うことも聞こうとせず、ブラクストンは時間がないといって通信を切り、再び亜原子ディスラプターで攻撃してきた。波長が変わりました、ディフレクターのパワーが落ちていますというトゥヴォック。対抗できない。もし今の話が本当ならというチャコティに、10秒の会話だけでは納得できない、証拠がない限りはというジェインウェイ。再び艦が揺れた。証拠をつかむのは無理でしょうというチャコティ。ジェインウェイはトゥヴォックにもう一度ディフレクターを調整して発射し、相手の武器をオーバーロードさせるように命じる。効果があり、武器は停止し相手の船は損傷した。亀裂が閉じていき、小型艦は引っ張られていく。まだヴォイジャーの操縦は利かない。重力場の歪みにはまってしまったようですというパリス。ヴォイジャーも引きずり込まれる。小型艦が吸い込まれ、続いてヴォイジャーも消えた。光に包まれるブリッジ。 倒れていたジェインウェイは起き上がり、状況を求める。主要システムは復旧しましたが、武器とパワー系統はかなりのダメージを負っていますと報告するトゥヴォック。時空の亀裂※13は閉じましたというキム。ここはどこだというチャコティ。パリスはパネルを操作し、スクリーンを見て驚く。そこにあったのは地球だった。銀河を半分一っ飛びしてきたのかというチャコティ。亀裂はここに通じてたのね、艦隊司令部を呼んでというジェインウェイ。しかし標準周波数で応答がない。妙ですね、狭い帯域で複数の電磁信号が飛び交っていますというトゥヴォック。音声が出される。「はいママ、元気?」 「これからノンストップで最新のヒットチャートをお送りします。」 雑多な音や音楽が流れてくる。ジェインウェイは音を切るように合図し、問題はいつの時代かよと言った。キムは天文データ※14から割り出すと、1996年※15ですと言った。20世紀の終わりかというチャコティ。この時代には偵察衛星があるはずですというパリス。ジェインウェイは軌道を下げないようにし、シールドを調整してレーダーの目をくらますように言った。住民を刺激したくはない。時間艦は軌道上には見当たらず、地上をスキャンする。低周波の亜空間信号が北半球から出ている。亜空間テクノロジーは 100年以上後にならないと存在しませんというチャコティ。29世紀のお友達ね、場所を確認してというジェインウェイ。北アメリカ大陸、太平洋沿岸、ロサンゼルス※16だ。ジェインウェイは上陸しましょう、何としてもブラクストン艦長とコンタクトを取るのよと言った。でなければ元の時代に戻る方法すらわからない。チャコティ、トゥヴォック、パリスが共に行く。キムにブリッジを任せた。パリスに 20世紀のアメリカカルチャーに凝ってたわよねと尋ねるジェインウェイ。よくご存知でというパリスに、この時代のアメリカ人になりすますにはと聞く。簡単ですよ、ちょっといい服を着て、でかい車に乗り、金を持ってればと言った。 たくさんの人が行き交うロサンゼルスの海岸沿い。格好や髪形も様々だ。耳を隠しているトゥヴォックは人々を見て、宇宙艦隊のユニフォームを着てきても、誰も怪しまなかったでしょうねと言った。歩き出す 4人。 |
※3: タイトル表示は "Future's End" のみですが、このサイトでは便宜上わかりやすくするため "Future's End, Part I" で全て統一しています ※4: tennis ※5: ホロデッキプログラム "Novice tennis tournament" ※6: graviton matrix ※7: subatomic disruptor
※8: polaron
※9: timeship ※10: Aeon
※11: ブラクストン艦長 Captain Braxton ※12: temporal explosion
※13: 時空の裂け目 temporal rift ※14: astrometric readings ※15: このエピソードが本国で放送された年にあたります。ジェインウェイたちの年代 (2373年) からすると、377年前になります ※16: Los Angeles |
亜空間シグナルの発信源はこの半径 100メートル以内よ、でも場所が特定できないというジェインウェイ。29世紀の船がこんな所に着陸してたら、大騒ぎになるでしょうにというチャコティ。ジェインウェイは遮蔽のような何らかの技術で姿を消してるのかもしれない、未来の船ですものという。手分けして探すことにし、トゥヴォックとパリスはビーチの方を見回り、チャコティとジェインウェイは通りを探す。ついに故郷へ帰ってきましたねというチャコティに、故郷は故郷でも時代がねというジェインウェイ。でもやっぱり地球はいいものだわという。ご先祖に会うかもしれない、アリゾナで学校の教師をやってた人がいるというチャコティ。こんな大昔の先祖のことなんて知らないというジェインウェイ、そこへローラーブレードを付けた女性がぶつかってきた。ちょっと通して、ごめんねといいながら、去っていく。もしかしたら彼女が私の曾々々々おばあさんかも知れないというジェインウェイに、足がそっくりだったというチャコティ。南カリフォルニアに来たことあると聞かれ、チャコティはいいえと答える。2047年のハーモサ大地震※17の後、この地域一帯は 200メートルの海底へ沈んでしまった。そして巨大な珊瑚礁ができ、何千種類もの生物のすみかになったと説明するジェインウェイ。派手な髪形と服装のカップルが歩いて行く。この時代には面白い生き物がいますねとチャコティは言った。 海岸を歩くトゥヴォックとパリス。トリコーダーで調べながら、シグナルの反応が弱まったというトゥヴォック。通りの方へ戻ることにする。パリスは太陽が気持ちいいなといい、シャツを脱ぎ出した。紫外線のレベルが高く、体に有害だというトゥヴォック。頭固いな、この時代のロスは最高なんだぞ、シャツなんか脱いでエンジョイしろというパリス。トゥヴォックは熱射病※18はごめんだという。ヴァルカン人、たまには羽目を外してみろよというパリス。 ジェインウェイは発信源が近くにあることを突き止めた。距離 10メートル。そこにいたのは、ゴミ箱を漁る薄汚れた老人だった。時間艦とは関係なさそうですがというチャコティに、間違いないというジェインウェイ。亜空間シグナルは彼から出ている。 グリフィス天文台※19。映画のポスターや、「火星に生命が?」という新聞の切り抜き※20が貼られた部屋の壁。機械の前で、女性※21がジュースを飲みながらコンピューターの画面を見ている。画面に反応があり、音を出している※22。嘘でしょという女性。キーボードを操作し、画面には地球と、軌道上の位置を示す赤い点が表示された。「マジ」とつぶやく女性。 テーブルの上に ICチップを置く男性。こりゃクズだ、コンポーネントの密度が低すぎ、ボルテージ変数は規格外、色も気に入らんという。しかしスターリングさんという相手の男性。ハイパープロPC※23の発表まであと半年もないんだぞ、肝心のチップがこんな性能じゃ、恥ずかしくて市場に出せんというスターリング。曲がりなりにも君はこの業界の第一人者だろう、私の次にだがという。今日は帰れ、ジム、もう一度考えて来週の半ばにレポートを持ってこいと言った。呼び鈴が鳴った。スイッチを押し、邪魔をするな、デイヴというスターリング。ミーティング中失礼します、お仕事中申し訳ありませんが 3番にグリフィス天文台のレイン・ロビンソン※24から電話が入っていますと伝えられる。緊急の用事だということだ。スターリングはジムに手を振り、彼はチップをもって出て行く。つないでくれというスターリング。 電話がつながり、ヘンリー・スターリング※25だという。私のこと覚えてますか、あなたが出資している SETI※26研究所の天文学者です、グリフィス復興パーティでお会いしたというロビンソン※27。覚えてるよ、用件はと聞くスターリング。ロビンソンは、スターリングさんが前周波数データをくれて、もしマッチするガンマ波をキャッチしたら知らせてくれって言ってたでしょ、それで見つけたわと言った。本当なのかと聞くスターリングに、もちろん、発信源はどこだったと思うというロビンソン。地球の軌道上よ、私たちのいる真上という。いつ現れたというスターリング。ロビンソンはデータを確認し、90分ぐらい前よ、標準サーチをかけてみたけど何も引っかからなかったという。つまり、このことは私とあなたしか知らないの、NASA かどこかに早く知らせないとやばいんじゃないというロビンソン。待ちたまえレイン、早まるな、ただの渡り鳥の群れかもしれないだろうとスターリングはいう。渡り鳥は北アメリカ上空 2万キロメートルを飛んだりしないわよ、メッセージを送って反応を見てみますかと聞くロビンソン。スターリングはやめさせ、まだ何を見つけたかもわからないのに、下手に騒いでは私もグリフィス天文台も顔を潰すだけだという。調査を続けてデータを集め、報告してくれと頼んだ。一応私もシャンパンのボトルを冷やして待ってるよ、E.T. はシャトー・クール※28を飲むかなというスターリング。だめならうちの冷蔵庫にビールがあるわというロビンソンに、頼むぞ、連絡待ってるといって電話を切った。スターリングは上着を脱ぐ。その腕にはバラのいれずみがあった。 コンピューター画面を見つめていたロビンソンは、「気になるなあ」とつぶやきキーボードを叩く。画面には「標準 SETI メッセージ※29送信」と表示された。返事は来るか、というロビンソン。 ヴォイジャーのブリッジ。時間の亀裂をくぐった影響があちこちに残ってる、武器は使えないし、3つの EPS コンジットがショート、メイン転送装置のバッファもいかれちゃったというトレス。上陸班がいるのにというキムに、わかってる、転送距離は短いけど非常用転送装置※30が無事だからという。しかし距離 10キロメートル以内に接近しないと転送できない。それじゃ誰かに見つかるぞというキム。戦術コンソールを担当していたカプラン少尉※31がキムを呼び、地表上から電磁信号が発信されていると報告した。この座標に向けられている。スクリーンに出すと、「地球から皆さんへ挨拶を送ります」という声と共に、各国語の言葉、地球人の男女の絵などが次々と表示された。挨拶の言語もさまざまで、モールス信号も含んでいる※32。応答しますかと聞くカプランに、するわけないだろとキムは言った。 老人は荷車を押し、柱に「世界の終わりは近い」と書かれたダンボール紙を貼っている。路上で生活してるみたいね、家財一式を手押し車に乗せてというジェインウェイ。4人は老人を追っていた。さっきから紙を貼ってまわってますねというチャコティ。ピー、ピーという音がした。周囲を歩いていた人々が一斉に携帯電話を取り出し、もしもしと話しかける者さえいる。ジェインウェイはコミュニケーターを取り出し、連絡を受けた。 先ほど地上から通信を受けたんですが、地球外生命体向けの標準メッセージらしいんですと報告するキム。見つかったのねというジェインウェイに、そのようです、発信源はそこから 20キロメートルほどのところにある天文台ですという。パリスとトゥヴォックを転送するように言うジェインウェイだが、故障で接近しないとできませんというキム。メインバッファが使えず、ベラナは修理に 2日はかかるといっていますと伝える。ジェインウェイはミスター・トゥヴォックのトリコーダーに座標だけ送信してと命じた。彼とトムには自力で、原始的な方法でたどり着いてもらうという。キムは了解し、交信を終えた。ロサンゼルスでは誰も歩きませんよ、ほかの交通手段はほとんどありませんというパリス。車がないことにはという。調達して、誰がメッセージを発信したか突き止め、何人が我々に気づいたのか確かめないと、というジェインウェイ。歴史を変えるのはまずいからだ。トゥヴォックとパリスは歩いて行った。ジェインウェイとチャコティは老人を追う。 「未来の終わり」とペンキで書かれた壁面。ガラクタだらけのその場所へ、老人がやってきた。追ってきたジェインウェイたちに気づき、お前誰だ、これはわしのもんだという。大丈夫、何も取らないからと落ち着かせるジェインウェイ。話が聞きたいだけよというが、老人は来るな、何もしゃべらんぞという。調査はごめんだ、ソーシャルワーカーに用はない、帰れ、お前らの世話になる気はという。だがジェインウェイの顔を見た老人は、言葉を止めた。ヴォイジャー、ついに来たか、どうしてくれる、きさまらのせいだと言った。トリコーダーで調べるチャコティ。ジェインウェイは老人の胸に付いていたコミュニケーターを取った。それを見たジェインウェイは、彼がブラクストン艦長だとわかった。ディフレクターパルスを止めろといったのにお前たちはきかなかった、ヴォイジャー、馬鹿者めとブラクストンは言った。 |
※17: Hermosa Quake 「ハーモサ」は訳出されていません ※18: dermal dysplasia
※19: Griffith Observatory ※20: このエピソードの撮影は、1996年8月の NASA による火星の隕石に生物の化石らしきものが発見されたという、歴史的発見が発表された数日後でした。丁度このエピソードは 1996年に設定されていたため、ヴォイジャーの美術部門はこの新聞記事をロビンソンの研究室に用意しました ※21: (Sarah Silverman) 声:幸田夏穂 ※22: コンピューターの後ろに貼られているのはドレイク方程式 (Drake Equation)。長くなるため一番下の注釈参照 ※23: HyperPro PC ※24: Rain Robinson
※25: Henry Starling
※26: SETI ※27: 窓際に置いてあるのは S.S. ボタニーベイ (S.S. Botany Bay) の打ち上げモデル。書籍「スタートレック・クロノロジー」用に Greg Jein によって製作されたもの。ボタニーベイは (スタートレックの世界では) 1996年に地球から打ち上げられた初期の DY-100 型宇宙船。TOS第24話 "Space Seed" 「宇宙の帝王」より。となると気になるのは優生戦争 (Eugenics Wars) ですが…、これについては最後の注釈参照
※28: Chateau Coeur
※29: SETI greeting ※30: emergency transporter
※31: Ensign Kaplan ※32: 映像の中で日本語で「今日は」、音声で「地球のみんなからの挨拶です」というものが含まれています。NASA の惑星探査機に乗せられたメッセージを基本としています。カール・セーガンやフランク・ドレイク (先ほどのドレイク方程式の生みの親) などによってデザインされ、パイオニア 10・11号に銘版、ヴォイジャー 1・2号にレコードが積まれました。映画ST5 "The Final Frontier" 「未知の世界」でパイオニア 10号ごとクリンゴン艦に破壊されました |
何があったの艦長、前に会った時にはというジェインウェイに、私はまだ若く使命に燃えていたさというブラクストン。だが貴様らがわしの忠告を無視したおかげでと怒る。攻撃してくるからだというチャコティに、何十億という人を救うためだというブラクストン。ヴォイジャーが引き起こす連鎖反応を食い止めるためだ、だがもう遅い、歯車は回り始めてしまったという。時空爆発が起こる、この世の終わりだ、未来の終わりだと言った。いつから 20世紀にいるのと尋ねるジェインウェイに、ずっと前からだ、30年になるという。我々は今着いたというチャコティ。知ったことか、貴様らがわしの船のナビゲーションシステムを壊したからどこに行きつくかわからなくなったというブラクストン。廃車の中を覗き、誰だわしの鉛筆を盗んだのはという。いつも何かなくなってる、どこもかしこも盗人ばかりと嘆く。ごうつくばりめ、これだから野蛮な時代はというブラクストンに、ジェインウェイは力になるわという。だから詳しい情報を教えて、ヴォイジャーが爆発を引き起こすといってたけどと尋ねる。そうだ、いや、どちらとも言えるというブラクストン。パラドックスだ、A が B を導き、B が C を導き、C が A を導くという。顔を見合わせるジェインウェイとチャコティ。 ピンと来ないか、どう説明すれば言いのだといって壁にチョークで書き出すブラクストン。A は 29世紀に起きた爆発、ヴォイジャーの破片が発見され、ブラクストンが時をさかのぼって食い止めに行く。B はヴォイジャーが抵抗し、ブラクストンの船が故障して 20世紀の地球に墜落する。そして C は 20世紀の人間が時間艦を盗み出し、未来へ向けて飛ばしたと説明する。しかしその人間は重大なミスを犯し、そのせいで時空が爆発するという。そしてまた A に戻り、完全なサイクルが出来上がる。なぜそれがわかるの、盗まれたあなたの時間艦が時空爆発の原因だという証拠はあるのと尋ねるジェインウェイ。ブラクストンは 30年間証拠を探してきたといい、ガラクタの中から汚い紙切れを取り出した。爆発が起こった時のあらゆる時間測定データ※33を思い出せるだけ書き出したものだという。そこには図や数式が並んでいる。パルスが混沌としてるだろ、それで最初はワープコアの爆発かと思ったというブラクストン。その後ヴォイジャーの破片が見つかり原因だと確信したが、20世紀の人間に時間艦を盗まれて別の説が浮かんだ。もしその人物が時間マトリックスの調整をしないまま未来へ向け時間艦を飛ばしてしまったら、ブラクストンが 29世紀で目撃したのと同じ時空爆発が起こる。ではヴォイジャーに責任はないってことというジェインウェイに、そうだ、爆発の状況を思い出し検証したが、やはり思った通りだったというブラクストン。原因はブラクストンの船だった。船を盗んだのは一体何者なんだと聞くチャコティ。スターリングだ、クロノワークス※34・インダストリー社の、ヘンリー・スターリング社長だとブラクストンは言った。世界でも指折りの実業家であり、慈善事業にも熱心だという。1967年に船は山奥に墜落し、ブラクストンは緊急転送降下したが、スターリングが山中に隠した船を見つけ出した。古い新聞記事のスターリングを見せるブラクストン。船を取り戻そうとスターリングの後をつけチャンスをうかがったが、奴は偉くなり最早どうにも手が出せないという。どのみち、この時代は誰に何を言ったところで誰も聞いてくれん、正気じゃないと精神病院に入れられたこともあるとブラクストンは言った。あんな原始的な薬を打ちおって、許せんという。ここはお互い協力して船を取り戻し、元の時代へ戻ろうというチャコティ。ブラクストンはそれはやめておいた方がいいという。理由を尋ねるジェインウェイに、君たちが何らかの形で爆発に関与しているからだ、ヴォイジャーの破片が見つかっている、手を出したら君たちまで粉々になるという。回避する手はあるはずだとチャコティが言っている時、1台のパトカーがそばに止まった。 ブラクストンから離れるジェインウェイとチャコティ。よう艦長さん、景気はどうだと話しかける警官※35。またあちこちに張り紙して周ってるそうだなといい近づく。わしじゃない、わしはやってないというブラクストン。こっち来いよ、話を聞こうという警官。近寄るな、カーデシアのような悪人めがブラクストンというに、そうカッカするな、張り紙のことで聞きたいだけだ、苦情が来てるもんでなという。ブラクストンはジェインウェイに助けを求め、艦長、あんたからも言ってくれ、我々は未来から来たと、と頼む。苦笑いするジェインウェイとチャコティ。この 2人も未来から来たんだ、宇宙艦に乗ってきたというブラクストン。そうか、といいつつも全く信じていない警官。笑うジェインウェイ。ブラクストンは裏切り者といい、警官に向かって走り出した。そのまま警官を押しのけ、パトカーの横を通って逃げていく。こちら 247 ベーカー、コード 5150 の被疑者を追跡中と連絡を入れる警官。彼のことは後回しよ、まずスターリングを見つけるのが先決だわとジェインウェイ。 クロノワークス社のビル※36。とんでもない、もちろん何かわかれば教授に真っ先にお知らせしますと電話で話すスターリング。オーバーだな、きっとその女性職員が興奮のあまり大袈裟に話したんだと思いますよという。まだ何もわかってません、ではまたと言い電話を切った。まったくあの小娘め、JPL の友人に Eメール※37で知らせたらしいというスターリング。そこからカリフォルニア工科大学※38の教授に漏れた。厄介の元だ、グリフィスへ行ってデータを奪い、女を始末しろと部下のダンバー※39に命じ、ピンボールで遊び始めるスターリング。了解し向かおうとするダンバーに、もし奴らが来てるなら我々を見つけるのも時間の問題だ、あいつらはどんな手で襲ってくるかわからんというスターリング。例の武器を持っていけと言った。部屋を出て行くダンバー。 ハリウッドの看板が見える山中の道路を走ってきた車が、停止した。もっと見つかりにくい場所に停めた方がいいのでは、何といっても盗んだ車だからなというトゥヴォック。車を降りながら、誰も見てないって、大丈夫だよというパリス。倫理上の問題もある、タクシーに乗るべきだったというトゥヴォックに、盗んだんじゃなくて借りただけだ、用が済んだらディーラーに返すという。トゥヴォックは私がいっているのはタイムトラベルの倫理の問題だという。ちょっとくらい新車の試運転をしたくらいで、宇宙の歴史が変わるとは思えないけどねというパリス。2人はグリフィス天文台へ入った。 職員以外立ち入り禁止と書かれた扉を開け、中に入るパリスとトゥヴォック。ロビンソンの研究室だ。パリスは置物を手に取り、微笑んだ※40。あったぞ、ラジオ波の記録だなというパリス。印の付けられた地球の地図がある。ラジオ・テレスコープ電波か、古いタイプだという。あちこち触るな、中尉というトゥヴォック。トゥヴォックと笑うパリスに、君は軽く考え過ぎだ、君の大胆なやり方には目をつぶってきた、功を奏する場合もあったからだという。だが慎重になることも必要だ、きっちり元の場所へ戻しておけといい、置物を渡すトゥヴォック。パリスはそれを元の場所に置き、パソコンをトリコーダーで調べる。ヴォイジャーを見つけたな、この軌道はマッチしているという。このデータはヴォイジャーのワープ反応の跡をたどっているようだというトゥヴォック。この時代にワープ反応なんてないんだぞというパリスに、しかし現にワープ反応を拾えるようにテレスコープを改造しているという。そこへ、ロビンソンが戻ってきた。「立ち入り禁止」って書いてあるでしょ、字が読めないのという。悪い悪い、天文台の見学に来たんだけど、土星の展示のところでコースを逸れちゃってというパリス。どっちへいけばロビーへ戻れるのかなと尋ねるトゥヴォック。廊下を真っ直ぐ行って火星の展示ルームを左に曲がってハレー彗星を右、あとはずっと真っ直ぐよと説明するロビンソン。君のこの研究室、超シブイ※41ねと話しかけるパリス。シブイ、と繰り返すロビンソン。何やってるのというパリスに、空を観測してる、地球外生命の出現を、忙しいのという。キーボードを叩き始める。トム・パリスっていうんだ、よろしくと握手するパリスに、レイン・ロビンソンよという。君の曲線イケてないんじゃない、フーリエ※42のスペクトル分析曲線だろとコンピューターの画面を指差すパリス。そうだけど何かというロビンソンに、方向角のパラメーターを調整すればもっといい結果が出ると思うよという。そうかもねとうなずくロビンソン。2人が話している隙に、トゥヴォックが後ろへ周りトリコーダーを取り出す。それかシータバンドフィルターを使ってみたらというパリスに、やけに詳しいのね、土星で迷子になった割にはというロビンソン。宇宙物理学を専攻したんだ、艦隊アカデミーでというパリス。聞いたことないというロビンソンに、慌てて東海岸の学校だという。壁のポスターを指し、死霊の盆踊り、名作だよねというパリス。続編の死霊の花嫁※43も見た、と尋ねる。本当は B級映画を専攻してたんでしょうというロビンソン。そうとも言えるというパリスに、笑うロビンソン。いいかな、トムとトゥヴォックは言った。そろそろ行かないと、仲間が待ちくたびれてるという。そうだな、じゃあねといいトゥヴォックに続いて出て行くパリス。ロビンソンは呼び止め、火曜の夜にここでプラネタリウムショーをやってるの、もしよかったら今度見に来ない、仲間連れてと誘った。ハリウッドスターより綺麗な星よという。見たいな、でもあいにく火曜日は駄目なんだというパリス。ありがとうといい、その場を去った。別にいいけど、と言いパソコンを再び扱い始めるロビンソン。だが突然画面が乱れ、画面にはドクロマークと共に「致命的システム・エラー」と表示された。 天文台を出る2人。データは全てトリコーダーにダウンロードし、彼女のデータ貯蔵装置は壊しておいたというトゥヴォック。よし、悪いことしちゃったなというパリスに、コンピューターの故障に見せかけてあるという。かわいそうに、世紀の大発見をするところだったのに、運命変わっちゃったなというパリス。変わったのはこっちだ、ところでさっき言っていた超シブイとはどういう意味だと尋ねるトゥヴォック。だが天文台からロビンソンが出て来て、待ちなさいよと叫んだ。非常警報というパリス、トゥヴォックも逃げる。2人が車に乗ろうとしているところでロビンソンは追いつき、白状しなさいよ、コンピューターに何したのと聞く。エラーを起こしてハードドライブが全滅したという。説明している時間はないんだというパリスに、あんたたち何者、そのズボンの中に入れてるの何よとトゥヴォックを指差すロビンソン。何のことだというトゥヴォック。ポケットに入れてる奴よ、磁気除去装置とロビンソンが言っている時、パリスは遠くで男が銃を構えているのに気づいた。ダンバーだ。伏せろというパリス。ロビンソンを狙った銃は外れ、車に当たった。それは明らかにフェイザーであり、車は消滅してしまった。反撃するトゥヴォック、しかし柱の陰に隠れるダンバー。どういうことというロビンソンに、車持ってると聞くパリス。あそこと指差すロビンソン。トゥヴォックは使う必要があるという。トゥヴォックがデンバーを威嚇しながら、車へ向けて走る 3人。デンバーの撃ったフェイザーはトゥヴォックをかすめ、被っていた帽子を落としてしまう。デンバーのフェイザーを撃ち落とすトゥヴォック、帽子を拾って被る。パリスとロビンソンが乗った車に、トゥヴォックも飛び乗った。そのまま逃げ出す。 |
※33: chronometric data 単に「データ」と訳されています ※34: Chronowerx ※35: (Barry Wiggins DS9第113話 "By Inferno's Light" 「敗れざる者(後)」のジェムハダー士官役) 声:ニーリックス役の長島雄一氏が兼ねています ※36: 社のマークとして、ブラクストンが着けていた 29世紀の連邦記章と同じ物が使われています
※37: E-mail
※38: Cal Tech
※39: Dunbar ※40: 背景にあるのが、パイオニア 10号に積まれた銘版のレプリカです ※41: groovy
※42: Fourier
※43: Bride of the Corpse |
作戦士官日誌※44、補足。ほかにもヴォイジャーの存在に気づいた者がいないか調査中だ。念のため、ニーリックスとケスに地球の放送メディアもチェックしてもらっている。 画面上でテレビ放送を同時にいくつも観ているニーリックスとケス。ヴォイジャーに関する言葉をキーワードで検索し、引っかかるものがないかチェックしてるのというケス。何か見つかったと尋ねるキム。まだ見つかってないよ、でも観てたら一つものすごく面白い番組見つけちゃってというニーリックス。コンピューターを操作し、これなんだよ、「ソープオペラ」とかって呼ばれてる娯楽形態なんだけどという。人間関係を実に深くえぐって描いているんだというニーリックスに、ストーリーに参加しなくて観てるだけじゃつまんなくないと聞くキム。ホロデッキに慣れてるからそう思うのよ、でもインタラクティブストーリーじゃなくて観てるだけってのも、結構はまるわよというケス。続きが気になるなあ、ジェシカの赤ん坊の父親はブレインの双子の兄さんなのかなとニーリックスは言う。何かわかったら知らせて、はまりすぎないようにといってキムは出て行った。「どっちだっていいでしょ。」 「シャノン、どんな顔して兄さんに会えばいいんだ、僕らの息子が実は兄さんの息子だったとしたら。」 「これだけはわかってジャック、あなたを愛してるの。」 ニーリックスとケスは顔を見合わせ、再びソープドラマに見入った。 深夜のクロノワークス。部屋には警報装置がある。トリコーダーで調べながら扉を開け、装置を停止させるチャコティ。今のところ警報機は作動していないようですねという。続いてフェイザーを構えながら部屋に入るジェインウェイ。部屋にはスターリングがニクソン※45大統領と握手としている写真、スターリングが表紙になっている雑誌「テクノロジー・フューチャー」※46など、いろいろなものが飾ってある。ミスター・スターリングは一代で会社をここまで大きくして、帝王にのし上がったみたい、自己顕示欲も強そうというジェインウェイ。コンピューターが置いてあるのに気づいた。キーボードに触ると、パスワード入力を求められた。ゆっくりと打ち込むジェインウェイを見て、艦長はタイプが下手ですねというチャコティ。「数千年の技術の変化」はアカデミーじゃ必須じゃなかった、石の斧やクマの毛皮※47みたいだわというジェインウェイ。「パスワード無効」という表示が出る。チャコティは世界地図が書かれた壁面を調べ、こいつは違うみたいですよ、フォースフィールドで壁の向こうはスキャンできないという。アクセスポートやコントロールパネルもなさそうだ。コンピューターの中にあるかもしれないため、トリコーダーで調べるジェインウェイ。ものすごい量のデータベースだが、暗号コードでプロテクトされている。トリコーダーで読み取ると、パスワードが解読され画面が現れた。絵文字のような記号ですね、多分コンピューターの機能を図や絵にして表したものでしょうというチャコティ。ヘンリーがどんな仕事をしてたか見せてもらいましょうといい、キーボードを操作し始めるジェインウェイ。 夜道を走るロビンソンの車。パリスが運転している。さっきの攻撃でトランステイターが破壊された、コミュニケーターは使えないと話すトゥヴォック。通信できないのか……仲間に、この先どうするというパリス。次の信号を右に曲がってよ、その先の角を左に曲がれば私の家なの、さっさと帰してよというロビンソン。トゥヴォックは残念ながら帰すわけにはいかない、君は命を狙われているという。ロビンソンは屋根を指差し、ルーフを開けて大声で叫ぶわよ、何がどうなってるのかちゃんと説明してと怒る。あんたたち誰、上空にいるのは何、なんで私たち狙われるのと質問を続ける。パリスは、俺たちシークレットエージェントなんだと言った。ロビンソンはルーフを開ける。待てよ、命を助けただろ、君の味方だというパリス。我慢できない、外の空気ぐらい吸わせてよといい、ルーフから顔を出すロビンソン。レイン、叫ぶんじゃないぞ、変なことばっかりだから怖いのはわかるというパリス。信じてくれ、危害は加えない、いつか全部説明するという。顔を引っ込めろ、さっきの奴に見つかって殺されてもいいのかといわれ、ロビンソンは座った。UFO は何なのと聞く。あれはソ連のスパイ衛星で、KGB の陰謀さ、僕らはそれを止めようと、と説明するパリス。ソビエト連邦は 5年も前に崩壊したわよ、今はもう KGB なんて存在しないのというロビンソン。裏ではまだ存在するんだというパリス。トゥヴォックはとにかくこれ以上のことは話せないという。一つ聞きたいことがあるんだけど、エージェント・トゥヴォック、そのトンガリ耳は何と尋ねるロビンソン。気づいてないとでも思った、あんたたちの武器、あれ何レーザーと聞く。あいにくだが、機密なので答えられないというトゥヴォック。それと私の耳は、遺伝的なものだという。気にしてんだから言うなよとロビンソンにささやくパリス。どうだかというロビンソン。とにかく仲間と連絡を取らなければとトゥヴォックは言った。 画面には時間艦の映像が出ている。驚いたわ、スターリングのコンピューターは時間艦のテクノロジーを応用してるというジェインウェイ。1969年に画期的な集積回路を発明している。ブラクストンが墜落した 2年後だ。29世紀のテクノロジーを、スターリングの不十分な知識で分析・応用し、クロワークス・インダストリーから数年毎に次々と新しいコンピューター技術を発表しているというチャコティ。嫌な考えが浮かんだんだけどというジェインウェイに、俺もですという。スターリングがいなければ、20世紀のコンピューター革命は起こらなかった。それも時間艦が原因だったのだ。画面には時間艦の画像が出ており、パワーメーターにテレメーターコンソール、発射台の設計図みたいじゃないというジェインウェイ。ブラクストンの言う通り、未来へ向けて飛ばすつもりですねというチャコティ。データをヴォイジャーに送って分析させるため、コミュニケーターを取り出すジェインウェイ。キムと通信がつながる。トリコーダーとリンクをつないで、スターリングのコンピューターのデータベースを取り込むように指示する。2進法システムを変換するのに 2、3分かかりますというキム。ジェインウェイはその間に発射台の位置を探す。チャコティはジェインウェイのタイプを見て、慣れてきましたねという。上手いもんでしょというジェインウェイ。ある意味ブラクストンの言う通りだ、我々が抵抗しなければブラクストンの船が 20世紀に墜落することもなく何も起こらずに済んだというチャコティ。タイムトラベル、宇宙艦隊の艦長になった時からパラドックスだけには首を突っ込むまいと決めていたのにというジェインウェイ。未来が過去で過去が未来、頭が痛いという。チャコティは待ってといい、これは使えそうだ、試しに「時間艦セキュリティ入口」と入力してみてくださいという。どこかの監視システムとつながってるのね、発射台の形だけでもわかれば手がかりになるのにというジェインウェイ。すると音が鳴り、壁面の世界地図が消えた。その中には、時間艦イーオンが置いてあった。顔を見合わせる 2人。すると明かりが点き、スターリングと銃を構えたダンバーがやってきた。楽しくやっているようだな、ようこそ 20世紀へというスターリング。 |
※44: Operations Officer's Log キムが記録。吹き替えでは「作戦士官記録」
※45: リチャード・M・ニクソン Richard M. Nixon ※46: Technology Future ※47: TOS第28話 "The City on the Edge of Forever" 「危険な過去への旅」でのスポックのセリフを思い起こさせます。(「石の斧やクマの毛皮とあまり変わらない原始的な道具で、満足な仕事ができますか。」) ここでは「石器時代の道具」と訳されています |
スターリングは持っていたスイッチを押し、再び船を隠した。言わなくてもわかってる、未来から来たんだろという。いつか来ると思ってた、軌道上に船を探知し、このダンバー君がお仲間に遭遇したと話すスターリング。時間艦を取り返しに来たんだろと言った。ミスター・スターリング、あなたの計画が原因で 29世紀に大惨事が起こるの、爆発で何十億もの人が死ぬわというジェインウェイ。我々はそれを止めに来たというが、スターリングは何の話だねという。君がその船を未来へ向けて飛ばしたことで、太陽系全体が滅びるんだというチャコティ。根拠はあるのかというスターリングに、この船の元のオーナーに話を聞いた、時間マトリックスを正確に設定しないまま発射したら時空の爆発の引き金になると説明するジェインウェイ。この船はこの時代にあるべきものじゃない、返してちょうだいという。音が鳴っているのに気づき、何だと聞くスターリング。通信装置よ、私を呼んでるのというジェインウェイ。出たまえといわれ、ジェインウェイはコミュニケーターを取り出し応答する。リンクをつなぎました、いつでもアップロードできますというヴォイジャーのキム。開始されるが、データベースが取られていることに気づいたスターリングはコミュニケーターを取り上げ、やめないと艦長を殺すと伝えた。何者だと聞くキムを無視し、5秒以内にやめろという。 やむをえずリンクを切るキムとトレス。転送装置はメインパターンバッファが復旧していないため、高度を下げて緊急転送を使いましょうというトレス。それはするなとの艦長命令だ、発見されてはまずいとキムは止める。ハリー、そんなこといってる場合、命が危ないのよというトレス。雲の上に宇宙艦がいるのを誰かに見られたらというキムに、艦長代理はあなたよ、決めてという。キムは操舵士に、チャコティと艦長の場所へ向かえと命じた。ベラナ、緊急転送スタンバイという。2人を直接ブリッジに転送する。高度を下げる。 スターリングはコンピューターを確認し、さっきので 3,000ギガバイト以上のデータを奪っていったな、発射プランもだという。だが大した問題ではない、旅行スケジュールに多少の変更が出るだけだ、止めることはできないとジェインウェイにいう。船を返す気がないのなら、力ずくで頂くわというジェインウェイ。一応言っておくが私は銃を持っているというスターリングに、それが何、軌道上には宇宙艦が待機してるのよ、このビルなんか一瞬にして消し去ることができるという。あんたも一緒にと笑うスターリングに、必要とあればねというジェインウェイ。なかなか腹がすわってるなというスターリング。するとジェインウェイの姿が転送ビームに包まれ、消え始めた。チャコティはその隙に椅子をダンバーに投げつける。殺せと叫ぶスターリング。だがチャコティも転送された。クソというスターリング。 ヴォイジャーはロサンゼルス市街地上空を飛行している。操舵士に現在のコースを維持し、転送可能範囲を出ないように命じるジェインウェイ。チャコティに時間艦の周りのフォースフィールドを解除させる。トレスには時間艦を第2貨物室へ転送するように指示し、キムを絶妙のタイミングだったわと誉める。初の艦長代理は上出来ねと言った。 スターリングのオフィスでは警報が鳴っている。フォースフィールドが消えたというスターリング。船を確認しようとしたダンバーがスターリングを呼ぶ。息を呑むスターリング、時間艦は消えようとしている。船をテレポートする気だなというスターリング。再びコンピューターの前に戻る。 物質ストリームが変化しています、転送が妨害されていますというトレス。 スターリングのコンピューター画面には、ヴォイジャーの情報が表示されている。やったと喜ぶスターリング。 どうやったかはわかりませんが、転送ビームを利用してリンクしてきました、メインコンピューターにアクセスしていますと報告するキム。 笑うスターリング。キーボードを打ち続ける。 何度リンクを切っても、すぐにコマンドをオーバーライドされてしまいますというトレス。スターリングは 29世紀のテクノロジーを使ってるのよ、どうしても我々の方が不利だわというジェインウェイ。急にヴォイジャーが大きく揺れた。慣性制動機がダウン、推進システムにアクセスされていますというチャコティ。揺れながら市街地を飛行するヴォイジャー。ジェインウェイは転送をやめるように指示した。物質ストリームキャンセル、転送装置停止。揺れが収まる。リンクは切りましたが、データを 20%以上もっていかれましたというキム。周回軌道に戻って被害調査をというジェインウェイ、そこへスターリングから通信が入った。ジェインウェイ艦長、ヘンリー・スターリングだという。答えるジェインウェイ。イントラピッド級、U.S.S. ヴォイジャーか、思ったより大きかったが技術は遅れてるなというスターリング。ヴォイジャーが就航したのは 2371年、24世紀から来たのかという。コンピューター画面を見ながら、29世紀からだと思っていたが、私の方に分があるようだなといった。何か興味をそそられたものがあるらしく、これは何だ、面白いというスターリング。通信を切るジェインウェイ。被害報告が入りました、推進エンジンに若干のパワーの変動、メインコンピューターコアの回路が数箇所ショート、すぐに直せますというチャコティ。医療室のケスから通信が入った。ドクターが見つからないんですというケス。オフになってるんじゃないというジェインウェイに、プログラムが消えてるんですと言った。 ドクターはスターリングの部屋にいた。ここはどこだ、君は誰だというドクター。ようこそというスターリング。 ニーリックスはジェインウェイを呼び、テレビ放送をチェックしてたら大変なことになってますと伝える。今流れている番組を観てくださいという。 ニーリックスに地球の放送をチェックしてもらってたんです、メインスクリーンに出しますというキム。そこには夕空を飛行するヴォイジャーをとらえた、「アマチュア・ビデオ」と表示された映像が映し出されていた。アナウンサーの声が流れる。「自宅の中庭でバーベキューパーティをしている際にビデオ撮影したものだそうです。この飛行物体は彗星とも違いますし気象衛星でもありません。航空分野の専門家に伺ったところ、現在アメリカが使用している航空機に、このようなものはないとのことでした。この未確認物体について、新しい情報が入り次第お伝えしたいと思います。」 |
※22 補足: ドレイク方程式 (Drake Equation)。銀河系の技術的に進んだ文明の数を推定する、20世紀地球の科学理論。ジーン・ロッデンベリーが 1964年に書いたTOSの最初の概要の中に含まれていました。異星人の存在が科学的に可能姓があることを示すためでしたが、ロッデンベリーは方程式のコピーを持っていませんでした。締切もあったため、彼は本物らしく見える方程式を作り上げます。ロッデンベリーがスタートレックの企画をデジル・スタジオとNBCに売り込むことに成功してからは、その概要を「修正する」機会を得ることができませんでした。ロビンソンの研究室にある方程式は 2行あり、上が本物のドレイク博士によるもの、下がロッデンベリーが作ったものです (参考: ドレイク方程式について) ※27 補足: 優生戦争 (Eugenic Wars)。1996年に終わったとされる、優生人間カーン・ヌニエン・シンたちによって引き起こされた戦争。TOS "Space Seed" より。しかしこのエピソードのロサンゼルスでは、その影響は見られません。スターリングの介入により歴史が変わって起こらなかったか、小規模のものになったのかもしれません。ただしこの後に放送されたDS9第114話 "Doctor Bashir, I Presume" 「ジュリアンの秘密」で優生戦争について言及されています |
To Be Continued...
感想
快作です。スタートレックの過去の整合性からすると不思議に思うところはありますが、タイムパラドックスの恐ろしさがわかります。過去のタイムスリップ作品、たとえば映画ST4 "The Voyage Home" 「故郷への長い道」でスコットが流れるように打ったキーボードと、ジェインウェイのタイプのようにオマージュと思えるところもあります。後編をすぐに見たいと思わせるのは久々のような気がしますね。 |
第49話 "Sacred Ground" 「聖霊の怒り」 | 第51話 "Future's End, Part II" 「29世紀からの警告(後)」 |