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ディープスペースナイン エピソードガイド
第113話「敗れざる者」(後)
By Inferno's Light

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・イントロダクション
ワームホールから次々に出てくるドミニオンの戦艦。ディファイアントに乗り込むキラとダックス。艦長席に座るキラ。ドッキングクランプ解除、シールドアップ、フェイザーと量子魚雷準備完了。シャトル2隻とバードオブプレイと共に、ステーションを離脱する。スクリーンには画面を埋め尽くすほどの船が映っている。デュカットのバードオブプレイ※1が位置についたというダックス。通信はしばらくしないように、シスコ大佐からの命令があるまで攻撃は控えるように命じるキラ。たくさんいるわねというダックス、これならどこに撃っても当たるわと言うキラ。
呼び掛けには応えませんというオブライエンに、威圧しようとしてるんだというシスコ。効果満点だというオブライエン。するとオブライエンは、信じられない、敵がステーションから離れましたという。コースを変え、向かっている先は、カーデシアだ。
一斉に向きを変えるドミニオン艦隊。デュカットが戦列を離れた、敵艦隊の後を追っていきますというダックス。キラはデュカットにチャンネルを開き、玉砕はよして、ステーションへ戻るのよという。心配してくれるのは嬉しいが、君は私を誤解しているというデュカット。ドミニオンを攻撃はしない、援護するという。何を言ってるのと言うキラ。デュカットは秘密にしていたが、ここ数ヶ月の間カーデシアの代表としてドミニオンと密かに交渉を進めていたことを明らかにした。そして先週カーデシアはついにドミニオンに加わることに同意したんだといった。本気じゃないでしょと言うキラ。さよなら少佐、私と君とはやはり、敵でいた方が似合うよというデュカット。通信が切れた。キラは目標を捕捉、攻撃するように命じる。しかし逃げられてしまった。

※1: 単に「戦艦」と訳されています

・本編
ドミニオン371捕虜収容所。ドアを見張っているロミュラン人の女性が、行ったわという。テインが使った信号発信装置はどこですとマートクに尋ねるウォーフ。ベシアに合図するマートク。ベシアはベッドの下から道具を取り出し、ベッドをどけて横の隔壁を外した。この奥へ這って行くと、上へ登るはしごがあるという。テインは1年かけて古い生命維持システムを改造したというマートク。どうやって動かすんですと聞くウォーフ。座標とメッセージとをシステム回路に直接送り込む、そうすれば発信機をパワーグリッドにつなぎ、スイッチを入れればいいという。メッセージの内容を変えられないのかというウォーフ。シャトルに送信しようというわけですねというガラック。転送機を作動して回収してもらえば、すぐに逃げられる。ガラックは中を覗き込みながら、暗号を組み替えるのは大変です、アレイ全体を直さないと、回路一つずつをという。できるのかいというベシアに、私にというガラック。僕もウォーフもエンジニアじゃない、しかし君は隠れた才能をたくさんおもちのようだからねというベシア。だめならあきらめようという。耐えられるといいですねというガラック。放送が流れ、捕虜は直ちに全員集合せよという。すぐに隔壁を閉めるベシア。
集められた捕虜たちの前に、ヴォルタ人がやってきた。あれは誰ですと尋ねるウォーフに、デヨス※2だ、所長のヴォルタ人だというマートク。私語は禁止だというイーカティカ。地獄耳だねとガラックにささやくベシア。デヨスはカーデシア人捕虜は一歩前へ出ろと言った。戸惑いながらも、いわれた通りにするカーデシア人たち。喜ばしいことにカーデシアとドミニオンとの対立は終わった、今日からカーデシアはドミニオンに加わる、諸君は釈放されるというデヨス。新たなドミニオンの市民としてがんばってくれという。ガラックはベシアの方を振り向いた。うなずくベシア。ほかのカーデシア人と共に行こうとするガラック。だがデヨスは君はだめだ、残れという。誤解があるようですね、私もれっきとしたカーデシア人ですがというガラック。しかし君はあまり好かれてないらしいね、カーデシアの新政府指導者からはというデヨス。指導者って誰ですと聞くガラックに、ガル・デュカットだといった。
カーデシアで、デュカットの放送が流れている。ドミニオンに加わることは恐ろしいことなのか、私が保証しよう、恐れることはないという。このチャンスを生かすべきだ、ドミニオンは我々をアルファ宇宙域における真のリーダーとして認めてくれているというデュカット。それはステーションにいるシスコたちも聞いている。ドミニオンとカーデシアは対等なパートナーとして手を結んだ、我々を恐れるものは我々の敵だけだと続けるデュカット。私の長男は5日後に誕生日を迎える、息子とカーデシア人全てにここで誓おう、誕生日が来る前に我カーデシア領内で生きながらえるクリンゴン人は一人もいなくなるということだと言った。マキの植民地も一つとして残りはしない、カーデシアは再び大国となるのだというデュカット。失ったものは全て取り戻す、我々の行く手を阻むものには容赦しない、以上命にかけて誓うという。息子のため、全ての国民のためにと締めくくった。誰かこれは悪い夢だといってというダックス。いいや、現実だというシスコ。私も一つ誓わせてもらう、今度デュカットにあったら殺してやると言うキラ。しかし今はほかにすることがあるだろう、例えば誰が発射アレイに細工したかというシスコ。誰が犯人にしろ仕事ぶりは大したものです、我々の意図と正反対に作動するようにしてあるというオブライエン。ワームホールの空間マトリックスを破壊して閉鎖させるはずが、マトリックスを更に安定させてしまったのだ。もうトリリチウム※3爆弾でも壊せない。つまりドミニオンの援軍は、いつでも好きな時に来られるってわけねというダックス。全員に血液検査を実施しましょう、きっと潜入した可変種の仕業ですという、実は犯人の偽のベシア。どうして可変種だと思うのと聞くダックスに、ほかに誰がいるという。ジュリアンの言う通りです、ドミニオン艦隊がアルファ宇宙域に現れてからベイジョー人のエンジニアが一人いなくなったってオドーが言っていたというキラ。彼が可変種だとしたら、今はもう逃げてしまったかもしれませんという偽ベシア。ほかの人間に化けているかも知れん、血液検査とフェイザーチェックをしようというシスコ。念には念を入れていこうと言った。

※2: Deyos
(Ray Buktenica)

※3: trilithium
DS9第111話 "For the Uniform" 「エディングトンの逆襲」など


女性ロミュランがドアから見張っている。随分長いなというマートク。ガラックが中に入ってから1時間経っている。どんな具合だと聞くベシア。またオブシディアンオーダーのメンバーに戻りたいぐらいだ、誰かを尋問するには最高の場所ですよというガラック。明かりの電気がショートを起こす。狭苦しいし、薄暗い、空気は悪い、電気ショックは飛ぶ、拷問部屋だという。でも楽しそうな口振りじゃないかというベシアに、交代してあげましょうかというガラック。今度カーデシアのエンジニア短期養成コースをとっておく、5、6週間で卒業するから待っててくれというベシア。人が来るわというロミュラン。静かにといい、ベシアは隔壁を閉めた。ベッドを戻す。イーカティカたちが入ってきた。ベシアは壁を開けるのに使っている道具を、足で踏んで隠した。座ったままのブリーン人。イーカティカはウォーフに、勝負だと言った。受けて立とうというウォーフ。闘うのを楽しみにしていたというイーカティカに、私もだという。マートクも出て行った。再びロミュランが見張りにつき、ベシアは男のロミュラン※4と共に隔壁を開けようとする。がんばれガラックというベシア。だがロミュランの女性は、まだ見張りが近くにいるという。再びベッドを元に戻し、ベシアはもう少しだけ辛抱してくれとガラックに声をかけた。
上着を脱ぐウォーフ。イーカティカと闘うんじゃないんですかというウォーフに、あいつは甘く見ない方がいい、この目はあいつにやられたんだというマートク。ウォーフはたっぷり礼をしないとといい、そのうちいずれなというマートク。倒れた時は必ずポストに触るんだ、でないと負けとみなされるという。イーカティカがやってきて、今日の練習相手はなかなか手強い相手だと部下に言う。よく見て学ぶことだ、忘れるな、じきクリンゴン人と対決する時が来るはずだという。手の内を知れば、必ず勝利することができるというイーカティカ。「勝利こそわが命」※5といい、復唱するジェムハダーたち。闘いが始まった。それぞれポストに触れる敵とウォーフ。ウォーフは一度倒されるが、すぐに立ち上がりポストに触れた。そして今度はジェムハダーを倒した。闘いは続く。
まだかというベシア。ジェムハダーの見張りが奥へ行ったことを告げるロミュラン。ベシアは急いで隔壁を開ける。ガラックがすぐに出てきて、全くどうなることかと思ったという。大丈夫かと聞くベシアに、平気です、中が思ったより暑くてクラクラして、でも少し休んだらまたやりますという。ベシアはガラックの脈拍が早く、血圧も上がっているだろうからやめようという。ドクターは逃げたくないんですか、仕事をさせてくださいというガラック。ベシアは5分休み、これからは1時間仕事をしたら15分休むようにいった。
ウォーフはジェムハダーを倒し、相手がポストに触れた直後に再び一撃を食らわせた。敵は立ち上がることはできない。こんな戦士しかいないのかとイーカティカにいうウォーフ。彼はまだ若く、経験もほとんどない、次に対戦するのはもっと手応えのある部下だというイーカティカ。その場を離れた。
プロムナードで、窓から外を見ているジヤルに近づくキラ。目標塔からの方がよく見えると声をかける。ワームホールが開くのを待っていたんです、ガラックも帰ってきて全てまた元通りにならないかしらというジヤル。なるわよと言うキラ。父がガラックは死んでるってというジヤル。キラは今のデュカットが何を言っても信じないという。父は英雄だと思ってました、もちろん悪いこともしてるけどそれにも理由がというジヤル。人間は何にでも理由をつける生き物なの、だからどんなひどいことをしても自分を正当化できるというキラ。父は悪人だってというジヤルに、私は人を判断する時はその人の言葉ではなく、行動で決めているのとキラは言った。
DS9の周りで、遮蔽を解く何隻ものクリンゴン艦の姿がある。大佐日誌、宇宙暦50564.2。クリンゴンの大艦隊がカーデシア領から移動してきた。しかし何を目的としているのかは、まだわからない。
呼びかけていますというオブライエン。ガウロン総裁からです、ドッキング許可を求めていますというダックス。怪我人がいるそうですという。ドッキングを許可するシスコ。恐らくクリンゴンは、ドミニオンを味方につけたカーデシアに相当手ひどくやられたんだろうという。
手の治療を受けるガウロン※6。今日は暗い日だ、クリンゴン帝国にとっても、全アルファ宇宙域にとってもという。これからどうするつもりですと聞くシスコに、なすべきことをするのみだというガウロン。撤退し、カーデシア領から全艦隊を引き上げ、国の守りに回し、決戦を挑み死ぬまで戦うという。ほかの手もあるといい、パッドを渡すシスコ。キトマー協定※7か、連邦とクリンゴンのこんな協定など、既に白紙同然だというガウロン。また新たに結べばいいんです、このディープスペースナイン周辺は最も守りの厚いところですというシスコ。艦隊からの特別部隊も到着します、クリンゴン艦隊も加わればという。確かにドミニオンに対抗できるかも知れん、そうすればというガウロン。また望みもみえてきますという偽ベシア。シスコからパッドを受け取ったガウロンは、それに指を押し付けて承認した。不思議だな、5年前ベイジョーやディープスペースナインを知っている人間は一人もいなかったのに、今や最後の頼みの綱だというガウロン。後は運命の波がどう押し寄せるかに任せようという。シスコは運命というのは気まぐれですからと言い、医療室を出て行った。無言の偽ベシア。
通路はフェイザーライフルを持った保安部員が巡回している。エアロックのシャトルの中では、偽ベシアがコンピューターを操作していた。

※4: (Roger Loesch)

※5: "Victory is life."
この宣誓は、DS9第95話 "To the Death" 「戦士の宿命」でも使われました

※6: Gowron
(ロバート・オライリー Robert O'Reilly) DS9第99話 "Apocalypse Rising" 「可変種の脅威 第二幕(後)」以来の登場

※7: Khitomer Accords
映画ST6 "The Undiscovered Country" 「未知の世界」でカークたちの努力により惑星キトマーで結ばれた協定。DS9第73話 "The Way of the Warrior, Part I" 「クリンゴンの暴挙(前)」で破棄されていました


ウォーフはいまだジェムハダーと戦っていた。最後は首を捻るようにして相手を倒し、勝利の雄たけびを上げるウォーフ。5試合戦って5戦全勝か、お前の中にはまさにカーレスの魂が息づいているというマートク。イーカティカはまた明日といって、歩いて行った。待っているぞというウォーフ。
ウォーフを診察し、肋骨が3本は折れているね、4本かなというベシア。それくらいすぐ治るというウォーフに、そりゃ安静にしてれば、肺に刺さらなくて良かったという。いくら頑丈なクリンゴン人の体でも限界だというベシア。私は戦うというウォーフ、誉れ高き戦士なら当然だというマートク。負けるぞ、こんな状態では死ぬかもしれないというベシア。なら死ぬだけだ、絶対降伏はしないというウォーフ。聞いただろ、包帯を巻いてやれというマートク。
ガラックは作業を行っている。暗くなりかけた明かりに向かって、悪いけどこんなこともうやってられないというガラック。独り言を始めた。「プレッシャーでどうにかなりそうだ、一人じゃ絶対に不可能だ。しっかりするんだガラック。確かにこの数年こういう状況にはご無沙汰だったし、全く身動きの取れない密室状態である。とはいえ鍛えぬかれた精神なら、閉所恐怖症※8なんてものには負けないはずだ。引きずられるな、幻影に負けるんじゃない、がんばるんだ。そうだろ、お前はツェンケス※9にいるわけじゃないんだ。壁が崩れてくるわけでもない、友達も近くにいるし、空気がないわけでもない、何も心配することはない。作業に集中しよう、シャトルとコンタクトできるのはお前だけなんだぞ。みんなが頼りにしている、ジヤルだってお前を頼りにしてるんだ、生きて戻るって約束したろ。可哀相にあの子は散々苦労してきた、これ以上辛い思いをさせるな。さあ自分をコントロールしろ、お前はもっとずっと強いはずだ、自信を持つんだ。」また照明が暗くなった。
これぐらいの手当てしかできない、少しはいいかいと聞かれ、ウォーフは苦しそうに随分いいと答えた。君は嘘をつくのが下手だねというベシア。その時ドンドンという音が聞こえてきた。壁の中から聞こえてくる。ガラックだというベシア。入って30分になる。すぐに隔壁を開ける。ガラックどうしたんだというベシア、音を立てるな、見張りが来るというマートク。パネルを開けたぞ、出てくるんだというベシアの声にも反応がない。引きずり出すために中へ入って行くベシア。ガラックは何かに脅えるように、音を立てていた。ガラックと何度も呼ぶベシアの声で、我に返る。明かりが、明かりが消えたというガラック。そうだな、出よう、少し早いけど休憩した方がいいというベシア。
目を開いたまま、ベッドに横になっているガラック。閉所恐怖症の症状がかなり激しく出ている、よく今までがんばれたものだというベシア。ではほかの者が仕事を続けなければというウォーフ。できる者がいるのか、いないだろうというベシア。ガラックが立ち直ってくれないと、脱出は不可能だとマートクはいった。
DS9司令室。ガウロンの全軍が到着しましたと報告するダックス。すぐに修理班に作業にかからせますというオブライエン。艦隊からの連絡はと尋ねるシスコ。ギルフーリー提督※10の部隊は、4光年離れた地点にいるというダックス。一刻も早く到着して欲しいというシスコに、同感ですねというオブライエン。大佐といってキラが戻ってきた。オドーの報告によると、誰かがレベル17の工業用複製機のセキュリティをオーバーライドしたという。犯人は捕まえられなかった上、何を複製したかもメモリーが消されていて不明だ。シスコはオドーにいって、警備体制を通常の倍にするように命じた。人が足りなければガウロンから借りてくれ、ステーションの重要設備の警備を頼まれれば、ガウロンも悪い気はしないだろうというシスコ。クリンゴンがディープスペースナインを守るなんて、想像もしなかったと言うキラ。人生は想像のつかないものさというシスコ。そこへ通信が入り、ガル・デュカットからだ。奥へ回すように言うシスコ。
司令官室で受けるシスコ。デュカットというシスコに、おいおい大佐、呼び捨てはないだろう、私は今やカーデシア政府のトップだぞというデュカット。私はそんな政府は知らないというシスコ。君がどう言おうが痛くもかゆくもないというデュカット。そうか、そう考えているなら話し合っても無駄だというシスコ。実のところ、君には恩義を感じている、何度も命を助けられているからねというデュカット。礼などいらんというシスコに、そのお返しに私が君を助けよう、愛する連邦を救う方法を教えてあげようという。つまりカーデシアにならうように、連邦の上層部を説き伏せればいいとデュカットは言う。ではドミニオンに加われということかというシスコに、理性的に行動しろといっているんだという。ドミニオンに加われば多くの命が救われ、惑星連邦が歴史のはるか彼方に消えるのを避けられるというデュカット。そしてドミニオンの奴隷になれというのか、冗談じゃないというシスコ。では一つの運命をたどるのかねというデュカット。言いたいことがあるならさっさと言ったらどうなんだと詰め寄るシスコ。では言おう、私は国民に失ったものは全て取り返すと約束した、君が今指揮しているステーションは、カーデシアが作ったものだとデュカットは言った。馬鹿な、ベイジョー人を鞭打って作らせたものをというシスコ。素直にステーションを明け渡せ、でなければ実力を行使するまでだ、選ぶのは君だというデュカット。シスコは奪い返せると思うなら、やってみるがいいといい、通信を終えた。

※8: claustrophobia

※9: Tzenketh
ツェンケチ (Tzenkethi) の故郷の惑星。DS9第72話 "The Adversary" 「忍び寄る可変種の脅威」など

※10: Admiral Gilhouly


7試合戦って7戦全勝だ、どんな伝説の英雄でもこうはいくまいというマートク。伝説の英雄は痛がりませんといい、ベッドに座るウォーフ。ベシアが診察する。連邦士官として暮らすうちに謙遜が身についたか、しかし何も謙遜する必要はないとマートクは喜ぶ。帝国に戻った暁には、詩人キーデラ※11に頼んで勇敢な君を称える歌を書いてもらおうと話す。僕にも贈ってくださいというベシアに、君の詩も入れてもらおう、傷を癒し戦士に活力を与えた、素晴らしい名医だというマートク。歌の最後が牢獄からの脱出で締めくくられればいいんですがね、ジェムハダーの戦士を倒してもそれが自由につながらないなら何の意味もないというウォーフ。新しい脱走計画を考えようというベシア。だがそんな必要はありませんといって、寝ていたガラックが起きあがった。最初の計画で行きます、作業はあともう少し、びびってパニックを起こしたカーデシア人が歌の中に出てきたら興醒めですからねという。それはそうだなというマートクにうなずくガラック。では失礼します、仕事がありますのでという。再びベッドの横の隔壁が開けられる。最も恐ろしい敵は、自分の中の恐怖心だというマートク。立ち向かうには勇気がいるというウォーフ。
DS9の医療室。偽ベシアが一人でいる。オブライエンが入ってきて、チュパー※12中尉は来なかったと聞く。クリンゴン人の、今帰ったよ、それほどひどい火傷じゃなかったという偽ベシア。追いかけなきゃ、クリンゴンのパワーリレーシステムが皆目わからない、こんな調子じゃ修理が間に合わないというオブライエン。君にならできるよという偽ベシアに、そりゃまたありがたいお言葉でというオブライエン。ケイコと子供たちはどうしたと聞かれ、無事にベイジョーに着いた、でもモリーが心配だ、何かおかしいとわかる年だし、不安そうだったという。何も心配する必要はないさ、ところで新しいデュリディウム合金※13のダーツのセットを2つ注文しておいた、来週届く予定だという偽ベシア。戦争が始まるって時にそんなことを考えられるなというオブライエンに、人生は続くからね、それにきっとすべてうまくいくような気がするという。だといいなといい、オブライエンは出て行った。
ジヤルのところに、クワークが料理を運んでくる。ヤモックソース※14がけ新鮮なアスパラガス※15だ。これが最後のアスパラガスだ、ジェムハダーがステーションを占領したら人間の食べるものは売れなくなると愚痴をこぼすクワーク。それは悲観的すぎるんじゃないというジヤル。そうかい、ジェムハダーは飲まないし食わないしセックスもしないというクワーク。ジェムハダーだけじゃない、創設者もだ、ここだけの話商売の先行きが明るいとは思えないという。そう暗くもない、ヴォルタ族はちゃんと普通に食べるし飲むしセックスもするというジヤル。それは考えなかった、ヴォルタ族の好きなものはなんだろうというクワーク。
司令官室から出てくるシスコ。いいニュースだ、ギルフーリー提督の特殊部隊がベイジョー領内に入ったという。でも焼け石に水かもというキラに、ああというシスコ。
捕虜収容所。呼び出しておきながら、こう待たせるとはというウォーフ。つわものぞろいだが、名誉というものを知らん奴らだというマートク。イーカティカとデヨスがやってきた。私と闘おうという部下はいないのかというウォーフ。デヨスはあれだけ闘ってきたのに、まだ闘うのかと呆れる。飽きたりしないのかねと聞かれ、私は飽きませんと答えるイーカティカ。お前は闘うように作られているが、こいつは名誉のためだけに闘うんだぞというデヨス。あなたは名誉をわからない方ですからとデヨスに言い、覚悟はいいか、今日の相手は手強いぞとウォーフに言うイーカティカ。どこにいると聞くウォーフに、お前の目の前だと言った。「勝利こそわが命」というイーカティカ、「今日は死ぬにはいい日だ」というウォーフ。
ガラックを待つベシア。見張りをするロミュラン。ただ座っているだけのブリーン。作業を行っているガラックは、テイン、私の声が聞こえますか、もし聞こえたら聞いてくださいという。あなたはいい父親とは言いがたかったが、本当に今生きてくれたらと思いますという。そうしたらあなたに代わってもらえたのにというガラック。
ウォーフはこれまでの闘いの疲れで、イーカティカに押され気味だ。倒れてしまう。
ジェムハダーよというロミュラン。ガラックを出す時間はない。ベシアは壁を叩いて、ガラックに合図を送った。カーデシア人はどこにいるというジェムハダー将校※16。外でしょ、いませんよというベシアを、その部下が銃で殴った。床に倒れるベシア。外にはいなかったというジェムハダー。部屋を探し始めた。何とか立ち上がり、ガラックに何の用ですと尋ねるベシア。奴は死刑に決まったというジェムハダー。ガラックは密室の中で、息を潜めている。部下※17が、壁を開けるのに使っていた道具を発見した。隊長に渡す。命が惜しければ、説明してみろとベシアにいうジェムハダー。
DS9司令室。ヤーテム※18が定位置につきましたというキラ。配置完了。シスコはキラとダックスに、ディファイアントで出動するように命じた。幸運を祈るというシスコに、大佐にもというキラ。シャトルの展開を命じるシスコ。
シャトル発着場から姿を現すシャトル。オブライエンから通信が入り、シャトルユーコン※19出発の準備をせよ、リオグランデとヴォルガ※20は待機せよと伝える。ユーコン準備完了というユーコンのパイロット。だがそれは、女性の声を作り出している偽ベシアだった。エンジンを始動する偽ベシア。周りには倒れた数人の士官がいる。幸運を祈るというオブライエン。シャトルは発進した。
オブライエンはタキオンの巨大な蓄積を探知した。全方角だ。船団が姿を現す。連邦※21とクリンゴン艦隊の中に姿を現したその船は、ウォーバードの船団だった。ロミュランだというシスコ。艦隊に参加する許可を求めてきた。驚いた、もちろん歓迎するというシスコ。そこへキラから通信が入り、たった今ドミニオン・カーデシア連合艦隊がベイジョー領内に入ったことを探知したという。遭遇は10分後だ。

※11: Keedera

※12: Ch'Par

※13: duridium alloy
訳出されていません

※14: yamok sauce
カーデシアのもの。DS9第15話 "Progress" 「第五の月“ジェラドー”」など

※15: asparagus
VOY第5話 "Phage" 「盗まれた臓器」でも

※16: (Barry Wiggins VOY第50話 "Future's End, Part I" 「29世紀からの警告(前)」にも登場)

※17: (Don Fischer 映画「ファースト・コンタクト」のボーグ役)

※18: Y'tem
バードオブプレイの名前

※19: U.S.S. Yukon
ダニューブ級、NCC-74602。DS9第87話 "Sons of Mogh" 「モーグの息子たち」でも

※20: U.S.S. Volga
ダニューブ級、NCC-73196。DS9第97話 "Body Parts" 「クワーク、絶体絶命」でも

※21: エクセルシオール級が2隻、そのほかミランダ級の姿も見えます


もう一度だけ聞こう、これは何だというジェムハダー。セルフシールのステムボルト※22か、歯車の爪をえぐるかんな※23でしょうというベシア。どちらかはわからないという。するとジェムハダーは、振り向いてロミュランの男を撃った。声を上げる間もなく、すぐに消滅してしまった。次はこの女だといい、銃を向けるジェムハダー。部下が、壁にあった隙間を見つけた。隊長から道具を借り、開け始める。それに気づいたガラックは、明かりを消した。震える手で作業を続ける。
ウォーフは完全に押されていた。倒れたウォーフに、お前は十分に闘った、もう立つなというマートク。だがウォーフはポストに触れた。そしてイーカティカに向き直る。再び闘いが始まった。早く終わらせろというデヨス。
ジェムハダーは壁を開けてしまった。その様子を無言で見つめるベシア。ロミュランも気が気でない。何かあるかという隊長に、何も見えません、真っ暗でというジェムハダーの部下。その時座っていたブリーン人が立ち上がり、隊長の武器を奪って撃ち殺した。ロミュランもその隙を突き、ジェムハダーを殴る。もう一人のジェムハダーと、ブリーン人は相打ちでどちらも消滅した。ベシアは落ちていた壁を開ける道具の布を取った。その尖った武器で、ロミュランと組み合っていた最後のジェムハダーの首元を刺した。ロミュランの女性を起こすベシア。ロミュランのことわざよ、「ブリーン人には絶対背を向けるな」と女性はいった。静かにしてくれませんか、作業に集中できませんというガラック。ベシアは残っている回路の数を尋ねる。3つですというガラックに、急げ、でないとジェムハダーが押し寄せてくるというベシア。銃を構える。
ウォーフはまた倒された。ポストへ向かうウォーフに、もうやめておけ、お前はよくやったと肩に触れるイーカティカ。その通りだ、もうよせというマートク。ウォーフはその手を振り払い、降伏はしないという。さっさと殺せというデヨス。勝負はついたというイーカティカ。ウォーフはポストに触れ、まだついていないという。聞いたかというデヨス。ウォーフは立ちあがることもできない。すると、イーカティカは降伏するといった。何だってというデヨス。降伏する、この男には勝てない、殺すことならできるが、ただ殺すことに私の興味はないというイーカティカ。デヨスは2人とも殺れと命じた。
その時、ガラックは回路を作動させた。やったぞというのと同時に、転送される。同じく転送されるウォーフとマートクの横で、イーカティカは撃たれて消えた。ベシアとロミュランも転送ビームに包まれる。
シャトル。操縦席につくガラック。ベシアはウォーフに近づき、船室へ連れていってくれ、手当てにかかるとマートクにいう。ウォーフはガラックを呼んだ。よくやったというウォーフに、そちらこそとガラックは言った。ベシアは最大ワープ、ステーションに緊急通信をするように言う。
司令室。もう敵艦隊が見えるはずですというオブライエン。スクリーンに表示させるが、何も見えない。ワープサインはいることを表している。遮蔽装置を使っているのかというシスコ。だがドミニオンにもカーデシアにもないはずだ。オブライエンはまた新たなワープサインを探知し、次々とコースを読み上げる。ディファイアントのキラから通信が入り、センサーの数値によれば敵艦隊が周りを囲んでいるはずだが、肉眼では全く見えないという。こちらも同じだというシスコ、いるはずですというオブライエン。どうします、大佐というディファイアントのダックス。シスコはオブライエンに敵を捉えるように命じるが、やっていますが見えませんというオブライエン。敵が撃ってきた時にといっている時、ガンマ宇宙域から最優先緊急通信が入った。ドクター・ベシアからだ。シスコはすぐにベシアの現在位置をコンピューターに尋ねる。ステーションにはおらず、最後に確認された地点はシャトル発着パッドEだ。シスコはディファイアントに新しい命令を送る。シャトルユーコンを見つけてこれを撃墜すること、わかったなというシスコ。了解し、ユーコンの位置を尋ねるキラ。まっすぐベイジョーの太陽に向かっていますというダックス。
ユーコンは太陽に近づいていた。偽ベシアは取り付けた機械を作動させている。ユーコンに軽い衝撃が走った。シールドがダウンしないというダックス。そんな馬鹿なというキラに、どうやらシールドがかなり強化されているみたいねというダックス。しかもユーコンにはトリリチウム、タカサイト※24、原子物質※25が積んである。爆弾だ。しかも太陽の中で爆発すれば、超新星となって全艦隊、ステーション、そしてベイジョーも吹き飛ぶ。トラクタービームを使うように言うキラ。距離が遠すぎるというダックスに、ならワープすればいいでしょうというキラ。星系内部でというダックスに※26、急がないと星系ごと吹っ飛んでしまうといい、キラはパネルのボタンを操作した。
ワープに入るディファイアント。すぐにユーコンに追いつき、ワープを停止しつつトラクタービームで牽引する。偽ベシアはそれに気づいた。太陽から離されるユーコン。そしてディファイアントがトラクタービームを外した瞬間、大爆発を起こした。※27
ユーコンが爆発しましたというオブライエン。もし太陽が爆発すれば、ドミニオン艦隊も巻き込まれていたはずというシスコ。もう一度スキャンするように言う。驚き、大佐というオブライエン。やはりもういないかというシスコ。通常のバックグランド放射しかない。ドミニオン艦隊はカーデシア領内に留まっていたんだろう、これは巧妙に仕掛けられた罠なんだというシスコ。うまくいけばベイジョーとステーションを破壊し、艦隊もクリンゴンも一掃できる、何の攻撃も仕掛ずに。シスコは味方の武装を解除させるように言う。ハルマゲドンは去った、今日のところはなと言った。
クワークの店にいるジヤルのところへ、ガラックがやってきた。ジヤルと声をかける。驚くジヤル。生きて戻るって言ったろというガラックに抱き付き、ジヤルはキスをした。信じて待っていたわというジヤル。ガラックは微笑んだ。
4週間も、じゃあ僕は君に化けた可変種とずっとつるんでたってわけかというオブライエン。何か変だなと思わなかったというベシアに、全然、でも今思えばいつもの君とは違っていたという。どんなところがと聞くベシア。例えばいつもより、態度がでかくなかったとオブライエンはいった。あきれるベシア。その奥では、ベッドに座っているウォーフに抱き合っているダックスがいる。帰ってきたんだから、オペラのコレクションは返さなくちゃねというダックス。その通りだというウォーフ。まあいいわといい、ダックスは口付けをした。
では決まったな、新協定によりドミニオンのアルファ宇宙域への脅威に対抗し、クリンゴンはこれ以降ステーションに軍隊を常駐させるというガウロン。指揮官は私が選ぶというシスコ。いいだろうといい、ガウロンはパッドに証印を押した。ウォーフは君のことを高くかっているようだとマートクに言うシスコ。私も彼をかっていますというマートク。シスコは指揮官を君に任命したい、受けてくれるかと言った。うなずくガウロン。マートクは光栄ですと言った。そこへキラからシスコへ通信があり、デュカットからの通信が入っていると伝えた。
司令室のコンソールでデュカットと話す。やあ大佐なかなかやるじゃないか、爆弾が計画通り太陽の内部で爆発していたら、いまごろ多大な死者が出ていただろうなというデュカット。中には君の娘も含まれていたというシスコに、ジヤルは私を裏切った、私から見ればもう娘などではないというデュカット。ここ5年でお前も随分変わったと思っていたが、間違いだったようだなというシスコ。デュカットは悪人も逆の側から見れば英雄だ、今国民が私の功績を称えて帝国広場※28に銅像を立ててくれているという。君はそれで祖国をドミニオンに売ったのか、銅像を作るためにというシスコ。何を言うか、望みはカーデシアを再び強くすることだけだというデュカット。それに関しては私は成功した、今日は君は負けを免れたが、しかし明日はという。明日のことはわからんぞというシスコ。その通りだといい、デュカットは通信を終えた。※29

※22: self-sealing stem bolt
DS9 "Progress" より

※23: reverse-ratcheting router

※24: tekasite

※25: protomatter
映画ST3 "The Search for Spock" 「ミスター・スポックを探せ!」など

※26: 星系内でのワープが危険だということは、映画TMP "The Motion Picture" でも触れられました

※27: この一連の映像はかなり迫力のあるものです。尾を引いてワープから抜けるディファイアント、そして大爆発!

※28: Imperial Plaza
単に「広場」と訳されています

※29: カーデシアがドミニオンに加わることになるのは、DS9第108話 "Rapture" 「預言者シスコ」でシスコが見た、イナゴの大群がカーデシアへ向かったことの実現だと思われます


・感想
スタートレックの歴史上、かなり大きな展開を見せました。ドミニオンとカーデシアが手を結ぶという脅威、それに対抗して再び連邦とクリンゴンが手を結び、ロミュランまでもが手助けにきます。それだけではなく、ガラックの閉所恐怖症との闘い、ウォーフに「負けた」イーカティカ、協力して脱出しようとする異種族たちと、捕虜収容所での出来事も注目すべきものですね。映像がまた驚き…。


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