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ディープスペースナイン エピソードガイド
第99話「可変種の脅威 第二幕」(後)
Apocalypse Rising

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・イントロダクション
※1司令室。一体どこにいる、とっくに帰ってきていいはずだがといらだつウォーフ。艦隊本部とのミーティングが予定より長引いてるのかもしれないというオブライエン。キラはシスコもダックスもなぜ連絡してこないのかと焦っている。2人のいる星域はクリンゴンの船がうようよしているから、亜空間通信を送った途端に集中砲火を浴びるというオブライエン。間違いだったんだ、やはりディファイアントを使うべきだったというウォーフ。キラは大佐はステーションを守るためにディファイアントを使えといったという。シャトルでクリンゴンの艦隊と戦うのは嫌ですねというオブライエン。ウォーフはいくらクリンゴンでもここの守りは簡単には破れないだろうという。ディファイアントで2人を探しに行くことを提案し、オブライエンも賛成する。しかしキラは、気持ちはよくわかるが留守にステーションを預かる身として許せませんと言った。ステーションの指揮官はあなたかもしれないが、ディファイアントは私だというウォーフ。シスコ大佐が残した命令に従いましょう、新しい命令が出るまではねと言うキラ。そこへオブライエンが接近する船のワープサインを探知した。リオグランデだ。スクリーンには損傷を受けたシャトルが映し出される。クリンゴンにやられたらしい、武器システムもシールドも、通信システムもめちゃめちゃですというオブライエン。生命反応は2つ、地球人とトリルだ。安心するキラ。ウォーフは回収する許可を申請し、キラは許可した。
ターボリフトからシスコとダックスが降りてくる。無事におかえりで安心した、ミーティングはどうでしたと聞くキラ。シスコは戦いの形成は不利で、クリンゴンは総力戦にうって出てきており、艦隊も防戦に努めているが押されっぱなしだという。たった一人の可変種でこんな混乱が起こるなんてと言うキラに、クリンゴンの総裁になりすませばねというダックス。ガウロンに手を打たないんですかと聞くキラ。もちろん打つというダックス。シスコはクリンゴン領域に、偵察隊を潜入させることになったという。任務はガウロンが流動体生物である証拠をつかむためだ。 難しい任務だわ、誰が行くんですかと聞くキラに、シスコは私だと答えた。息を呑むキラ。

※1: この話から第5シーズン、西暦は2373年になります

・本編
クワークの店にシスコがやってくる。いらっしゃい、丁度今ハッピーアワーですと声をかけるクワーク。私がハッピーに見えるかというシスコ。店にはまだ監査令状が貼られたままだ※2。クワークはみんな暗い顔をして入ってくる、戦争中なんだから当たり前だという。私としゃべって辛いことを忘れたいから来てくれるんです、料金もリーズナブルだしという。何になさいますと聞くクワークに、シスコはオドーを探しているという。オドーは私にもどうにもならない、流動体生物でなくなってからはオドーはにこりともしてくれないというクワーク。だけど半端じゃなく落ち込んでいる、2階のいつものテーブルにいてそこだけ暗いからすぐわかると言った。
オドーのところにシスコがやってくる。オドーはビールの入ったグラスを持ち、聞いてくださいという。耳を近づけ、泡の音かというシスコ。心が和みます、固形種になるまでは耳を傾けたことがなかったというオドー。味覚がなかったから食べ物や飲み物には注意を払わず、こんなに魅力のある物だとは知らなかったと言いビールを注ぎ足す。一緒に1杯やりますかというオドーに、勤務中だというシスコ。オドーは私は非番といい、ビールを口にする。君には非番はないと思っていたというシスコ。オドーは最初は食べて消化して排泄するという行為が嫌でした、でも慣れてみると楽しくなってきたという。食欲はあなた方人間が、といったところで言い直し、我々がコントロールできる唯一の欲望だというオドー。そうとは限らない、もっと食べたい、もっと飲みたいという誘惑が常にあるというシスコ。オドーは人は時間を潰すためさまざまなことをする、なぜか昔ほど仕事に情熱を感じられないという。シスコはそれなら何とかしてやれるかもしれんといい、今回の任務について話し出す。艦隊からの命令でガウロンが可変種かどうかを探りに行く、一緒に来てくれというシスコ。オドーは私を連れて行くより、イエンダ※3を連れて行ったらどうですという。別に私でなくてもいいでしょうというオドーに、必要なのは君だというシスコ。オドーは必要なのはガウロンのペットに姿を変えられる人材でしょう、私には無理ですと言った。必要なのは信頼に足る保安チーフだというシスコ。16時にスタッフのミーティングを開く、必ずくるんだぞといって席を立った。
艦隊情報部によれば、ガウロン総裁はクリンゴン軍の本部をまたタイゴコール※4に移したらしいと話すシスコ。そうなると難しくなる、タイゴコールは帝国中央部の小惑星帯の奥深くにあるというウォーフ。要塞の中でも堅牢さでは一番だという。シスコは軍本部には最低でも30隻の戦艦が常駐している上、小惑星帯全体がタキオン探知グリッド※5を張っているそうだという。船を遮蔽して行っても、転送範囲には近づけないというオブライエン。潜入できてもガウロンに近づくのは容易ではない、彼の身辺には昼夜問わずヤン・イスレス※6という護衛部隊が付いているというウォーフ。剣の友愛団だと説明するダックス。キラは悲観的にはなりたくないが、潜入できたとしてどうやってガウロンが可変種だとクリンゴン人に納得させるのと聞く。血液検査をやらせてくれるとは思えないというオドー。ベシアはクリンゴン人は血液検査が大好きで、ガウロンに化けた可変種は当然やり過ごす方法を知っているはずだという。もう一つ方法があります、殺せばいいというウォーフ。オブライエンは可変種なら死ねば液体状に戻るという。シスコは任務が正体を暴くことで暗殺ではない、艦隊は手土産をくれたといって手のひらに収まるような球状の機械をテーブルの上に置いた。それをダックスから受け取り、随分可愛いな、何ですと聞くベシア。ダックスはポーラロン※7放射機と説明し、モニターを操作した。艦隊科学部はポーラロンの放射能を浴びせれば、可変種の生理機能を停止できると考えている。これをガウロンに浴びせもし同胞なら、人間の形態を保てなくなるわけですねというオドー。シスコは理論的にはそうだという。問題は4つの放射機を同時に作動させなくてはならないことだというダックス。シスコはスイッチを見せる。使い勝手が悪いなというオブライエン。ダックスはそれにポーラロンの放射線を浴びすぎると有害で、作動は1度が限度でそれ以上だとみんな死んでしまうという。まずタイゴコールに潜入する、ポーラロンは1万2千立方メートルをカバーできるというシスコ。まずはクリンゴン艦隊の目を欺き、タキオン探知グリッドをくぐり、本部に剣の友愛団とやらに気づかれないように4つの装置を起動させろってことですかというオブライエン。成功すれば我々の名誉を称える歌ができるだろうというウォーフに、生きて聴けりゃいいがねというオブライエン。最初の問題はどうやってタイゴコールに行くかって言うことでしょうというキラ。シスコはいい考えがあると言った。
バードオブプレイが遮蔽を解除し、DS9にドッキングした。キラと一緒にデュカット※8が通路を歩いてくる。正直言って落胆した、娘を使っておびき寄せ、クリンゴン帝国まで出向いて下らない任務の片腕を担がせろとはというデュカット。しかも妊娠、シャカール首相は我が身の幸運を喜んでいるだろうな、男冥利に尽きるという。キラはシャカールの子じゃないという。誰の子だと聞くデュカットに、チーフ・オブライエンとキラは答えた。唖然とするデュカット。2人はターボリフトに乗り、キラは微笑みながらプロムナードに行くように指示した。
妊娠で一つ嬉しいことがある、君が任務に行かなくて済むことだというデュカット。成功する見込みがあると言うキラ。シスコは一体何を考えているんだ、たった3人の部下を連れたくらいでクリンゴンの本部に侵入できるはずがないというデュカット。かもねといい医療室に入るキラ。そこにはクリンゴン人、いやクリンゴン人の姿をしたオブライエンがいた。でもわからないわよというキラ。オドー、そしてシスコも同じようにクリンゴンの姿だ。どうしたデュカット、クリンゴン人くらい見たことがあるだろうというシスコ。デュカットは笑い、シスコも笑った※9

※2: DS9第97話 "Body Parts" 「クワーク、絶体絶命」より。そのせいか店のウェイターにフェレンギ人がいないような気がします

※3: Yndar

※4: Ty'Gokor

※5: tachyon detection grid TNG第101話 "Redemption, Part II" 「クリンゴン帝国の危機(後)」より。遮蔽した船を探知できます

※6: Yan-Isleth 剣の友愛団 = Brotherhood of the Sword

※7: polaron これ以前に放送された VOY第11話 "State of Flux" 「裏切り者」に登場

※8: Dukat DS9第86話 "Return to Grace" 「新たなる戦線」以来の登場

※9: TNG第107・108話 "Unification, Part I and II" 「潜入! ロミュラン帝国(前)(後)」ではピカードやデータがロミュランの姿になったりしました。まさに「潜入! クリンゴン帝国」^^;


デュカットのバードオブプレイ。シスコがブリッジに入ってくる。全員揃ってるかというシスコに、いつでも出発できますというウォーフ。シスコはデュカットに出発を頼む。デュカットはぜひ君たち4人のホログラムを作っておきたいという。それぐらい乗船料の代わりに構わないだろうというデュカットに対して、任務が終わったら考えようというオブライエン。その頃にはみんな死んでますよというダマール※10。デュカットは不吉な予言をしてせっかくの出航に水を差すのはやめとけ、シスコ大佐の大胆な計画がどれほど無謀なものに感じられようともという。ダマールは私ならガウロンの司令センターを軌道上から光子魚雷で攻撃する、そうすればガウロンはもちろん、司令部も周囲数百キロにいる者も吹き飛ばせるという。オドーは鼻で笑い、デュカットに休暇をもらえ、宇宙にそういすぎるから世間知らずになるという。笑うデュカット。なぜです、クリンゴン人の血を流すのがそんなに気に入らないんですかというダマール。オブライエンはダマールに近づき、タイゴコールを攻撃しても成功は難しい、魚雷を発射する前に撃墜されるのが落ちだという。司令センターはちょっとやそっとの攻撃ではびくともしないのだ。シスコもダマールに忠告はありがたいが、最初の計画でいくという。クリンゴン人としての身元証明の偽造はいいかと聞くシスコ。それなら心配ない、タイゴコールに着く頃には中央コンピューターシステムに君たちのご立派な履歴を入れておくというデュカット。名前はバトラフ勲章※11の受賞者のリストに載せておいてくれというウォーフ。デュカットはそれは少しやり過ぎじゃないかという。もうすぐ受賞者の表彰式があり、式典にガウロン総裁が出席することになっているというシスコ。デュカットはそれは面白い夜になることだろうという。バードオブプレイが発進した。
ベシアが司令官室に入ってくる。乗員の健康診断の結果を渡すベシア。パッドを受け取り、何かあったと聞くキラ。ベシアはヴィリックスプラン※12中尉にまた子供ができるようですという。冗談でしょ、これで何人目なのと聞くキラ。この前は2人、その前は4人だから全部で18人くらいかなというベシア。広い部屋に引っ越さなきゃというキラに、明日の朝要望書を出すって言ってましたというベシア。ため息をつき、私は1人でも辛いのにと言うキラ。よくやってます、輝いて見えますというベシア。でも僕が誉めても少佐は嬉しくないでしょうけどという。キラは嬉しいけど、これはあなたのせいだということを忘れないでという。あなたが赤ちゃんを移したからじゃない、少佐がそうしてくれといったからという2人。あなたがそうしてくれっていったから、少佐がシャトルを小惑星帯に突っ込ませたからと続く。キラはあなたが変則的なバイオスキャンを調べてみたいって言うからというと、それはケイコがいったというベシア。そうだったわね、でもあなたのせいにしたいのというキラ。ベシアはわかりました、患者とも上官とも議論しないんですという。キラは笑い、椅子に座る。うまくいきますかねというベシアに、いきますともと答えるキラ。一つ聞くけど、帰ったらみんな元の顔に戻れるんでしょうねと聞く。ベシアは妙な顔をして何も答えない。
ウォーフが並んだシスコたち3人の前を歩く。うつむいているオドーに、お前から始めるというウォーフ。黙っているオドー。ウォーフは何とか言えという。何をだというオドーに対し、言い訳には興味はない、お前はクリンゴンの戦士かクソコガネムシ※13かという。どういう意味かわからんと言い横を向くオドー。目をそらすな、お前はクソコガネムシだというウォーフ。聞こえたよというオドーに、それなら言い返したらどうだという。医者に目を診てもらった方がいいぞとオドーはいった。笑うオブライエン。ウォーフはうまくいきっこない、見かけだけクリンゴン人じゃだめなんだという。それらしく振る舞わなくては、私一人で乗り込んでというウォーフをシスコはいきなり腕で殴った。私の作戦にけちをつけるつもりかと声を上げる。その調子です、しかしどちらかが死ぬまでの決闘を申し込むつもりですかと聞くウォーフ。いや違うというシスコ。ウォーフはそれなら手の甲ではなく、拳を使って殴るように言う。考えていたより難しそうだなというオブライエン。ウォーフはクリンゴン人を侮辱する前によく考えろという。何をしたというオブライエン。私より離れたところに立ち、小さな声で話す、私の近くにいるのが嫌な印だというウォーフ。シスコがオブライエンに近づき、クリンゴンの戦士は誇りをもって会話をする、小さな声で話したり離れたりするなという。悪かったと同じように大きな声を上げるオブライエン。次はもっとうまくやるとウォーフにいう。練習しとけというウォーフ。するとオドーが一人でその場を離れていった。後を追うシスコ。
どうしたんだというシスコ。オドーはこの任務には向かない、とてもクリンゴン人には見えないという。なら見えるようにがんばることだ、今さら任務を降りることはできないという。私のせいで失敗したらというオドー。それは私の責任だ、君にとって試練の時なのはよくわかるというシスコ。固形種になるなんて想像もしなかっただろうから、だが事実は事実だという。くよくよしていても何も変わらない、自分がすべきことから目を背けつづけても自分が惨めになるだけだというシスコ。オドーは私もそう思いますという。それじゃ戻ってクリンゴン人になりきる練習だというシスコ。その時船内に警報が響き渡った。
スクリーンにはバードオブプレイが映し出されている。どうしたんだというシスコに、クリンゴンバードオブプレイ※14から呼びかけられたというデュカット。オドーがどうするんだと聞く。返事をするさ、いつもやっているから大丈夫だというデュカット。映像を出せといってきていますというダマール。デュカットは通信システムにホロイメージを投影するように言い、私の戦士ぶりはなかなかだぞという。だがダマールはホロ・フィルター※15が動かないという。どういうことだというデュカット。オブライエンが見てみると、映像リレーがショートしていた。相手は映像を要求してきている。ウォーフを出したらどうだというオドー。追い払えるかもしれないというウォーフに、デュカットはもっといい方法があるといってパネルのボタンを押した。すると魚雷が発射され、相手のバードオブプレイは粉々に爆発してしまった。笑うダマール。これがお前のやり方なのかというウォーフ、ほかにやり方はあったはずだというシスコ。デュカットはウォーフの嘘に賭けるか武器に賭けるかのどちらかだ、でも私は武器の方を信用するという。早くここから離れろ、あの残骸となるべく距離をおくんだと命じた。
タイゴコールに到着した。宇宙基地や何隻ものクリンゴン艦の姿がある。ポーラロン放射機を手にしながら、セットの仕方を忘れそうだというオブライエン。冗談でも面白くないというウォーフに、こんな歯じゃ冗談もうまくでないという。腕に放射機をセットする。デュカットはシスコに、楽しい旅行だったがお別れをいう時が来たという。むごい任務ご苦労だなという。これから2、3日軌道上に留まるのも、楽な任務とは思えないというオブライエン。デュカットは転送したらすぐにここを離れるといった。戻るのはと聞くオドーに、戻らなければならない理由でもあるのかというデュカット。約束と違うというシスコ。確かに、だがホロ・フィルターが壊れているからじき正体を見破られるというデュカット。それに任務に成功すれば戦争は終わるから必要ない、失敗すればといった。ウォーフは我々の名前をリストに載せておいたかという。それくらいのことができなければ、今まで生き延びてきていないというデュカット。シスコに向かって、さらばだ、ジョドモス※16、コボールの息子よという。栄誉が君を待っているぞと言った。
転送される4人。シスコはクリンゴン語を言い、通路を歩き始めた。後に続くウォーフたち。

※10: グリン・ダマール Glinn Damar (ケーシー・ビッグス Casey Biggs) "Return to Grace" 以来の登場。肩書きのグリンは脚本より

※11: Order of the Bat'leth

※12: Villix'pran DS9第60話 "Heart of Stone" 「可変種の定め」のセリフ中に登場、当時は少尉

※13: 正確にはアルヴェリアンクソコガネムシ (Alverian dung beetle)

※14: ただの「戦艦」としか訳されていません

※15: holo-filter DS9第51話 "Second Skin" 「恐るべき過去」で使われました

※16: Jodmos コボール = Kobor


広間には何十人ものクリンゴン人が集まっている。酒を飲むもの、歌を歌うものなどさまざまだ。シスコたち4人が入ってきた。オブライエンにぶつかったクリンゴンは、頭突きを食らわせ笑った。オブライエンはふらつきながらも、何とか笑い返した。大丈夫かと声をかけるオドー。何とか、でもあの鐘が鳴ったら響くなと言い天井を指差すオブライエン。また笑った。
戦士の間※17だなというシスコ。血塗られた歴史の匂いがするでしょう、さあ祝わなきゃといいウォーフは歩いていった。何ですと聞くオドー。シスコはさあ、祝いに行かんといい肩を強く叩いた。
プロムナードの2階のいつもの場所から、ジェイクが下を見ている。何を見ているのと言ってベシアが来た。プロムナードを歩いている人を観察するだけで世の中の動きがわかる、平和で景気もいいとゆっくり歩くというジェイク。店を覗いたり友達と話したり、でも今日みたいな日もあるといってため息をつく。みんな早足で通るねというベシア。クリンゴン人の息遣いが聞こえてみてくるみたいだというジェイクに、これからはゆっくり歩くことを心がけなくちゃというベシア。恐れを見せるな、僕のモットーだという。そこへ司令室のキラからベシアに通信が入った。至急医療室へ、アームストロング※18とドレイク※19がクリンゴンに待ち伏せされて負傷者が多数出た、後2、3分で帰艦するという。ベシアはジェイクに近づき、お父さんは心配ないという。わかってる、時々父さんがもっと無能ならいいと思うというジェイク。こんな大変な任務を押し付けられることはないでしょうというと、艦隊士官である以上命令が出ればどこへでも行くというベシア。きっとそれは永遠に変わらないよといった。
シスコは樽の中のブラッドワイン※20をカップにくんでいる。クリンゴン人※21が武勇伝を話している。先陣を切って敵の船に乗り込みバトラフで操舵手の頭を吹き飛ばしてやったという。タラライト人※22だった、そいつは自分の武器を俺に構える時間もなかった、その次に艦長に向き直った、ラポーリン※23というベンゼナイト人※24だったというクリンゴン人。振り向くシスコ。勇敢に立ち向かってきたが、俺はそいつの頭から呼吸管をぶっち切ったという。シスコはそのクリンゴンに近寄ると、殴り倒した。いくらでも自慢しろ、でも俺とブラッドワインの樽の間に立つなと声を上げ、周りから歓声が上がる。シスコにウォーフたちが近寄る。ラポーリン艦長を知ってたんですかと聞くオブライエンに、一緒にアカデミーに通ったというシスコ。ガウロンは後どれくらいで来るんですと聞くオドー。どんなに早くても明日の朝までこないだろう、この宴会は祝いの場でもあり、バトラフ勲章を受けるのに相応しいかどうか試される場所でもあるというウォーフ。一晩中飲んだり食ったりしても、ガウロンが現れた時に素面でいられないとだめなのだ。いつ放射機を仕掛けますというオブライエン。朝まで待とう、早くしかけすぎて誰かに見られたら元も子もないというシスコ。せいぜい飲みましょうといい、樽からワインをくむオドー。泡が出ないので残念がる。笑うオブライエン。シスコもワインを注いだ。
その樽の中身がなくなりかけている。シスコはクリンゴン人とにらみ合っている。俺は飲んでるうちにブラッドワインが好きになってきたというオブライエン。悪くはないが、この味がねというオドー。オブライエンはアルコール分解剤※25を飲んできて本当に助かったという。普通なら今ごろは酔って立っていられないというウォーフ。シスコは相手を突き倒した。歓声を上げるオドーやオブライエン。やりますねというオブライエンに、シスコはアカデミーではレスリング部の主将だったという。22年前だといい、体の痛みは抑えられないようだ。
そこへマートク将軍※26が入ってきた。歓声を上げるクリンゴンたち。もしばれたらどうしますというオブライエン。ここまできたのがすべて無駄になる。マートクは4人のところに近づいた。カプラと声をかけるシスコたち。カプラとだけいって、マートクは歩いて行った。マートクが来たということはガウロンももうすぐですというウォーフ。シスコは放射機をセットすることにする。
4人は別れ、それぞれ像の近くに立った。オブライエンが放射機を取り出そうとすると、ちょっと待てといってマートクが声をかけてきた。どこかで会ったかと聞くマートク。それなら大変に名誉なことですがというオブライエンに、確かに会ったという。オブライエンは私はポハシュ※27、コンジャーの息子ですという。マートクは名前には覚えがないが、その顔は以前どこかで見たという。戦場でお会いしたのではありませんか、私はメンパー※28に出陣しましたというオブライエン。多くの武勲が打ち立てられた戦いだというマートクに、貴殿の武勲は今や伝説ですというオブライエン。そうだというマートク。オブライエンは式典が終わったら酒をご一緒しませんかという。戦死者に乾杯しよう、だがお前の顔を見ていると何か引っかかるというマートク。だが笑い、離れて行った。見ていたウォーフも安心する。シスコたちは腕から取り出した放射機を再び1つにし、それぞれの像にセットする。
オドーがセットしようとしていると、酔ったクリンゴン人※29がガウロンはどこだとぶつかって来て、放射機を落としてしまった。別のクリンゴン人※30の足元に転がる放射機。それを手に取り、何だこれはと聞いた。

※17: Hall of Warriors

※18: U.S.S. Armstrong チャレンジャー級、NCC-57537

※19: U.S.S. Drake アンドロメダ級、NCC-70956 エンサイクロペディア新版では、宇宙船の一覧表と "Drake, U.S.S." の項の内容が食い違っておりそちらでは TNG第21話 "The Arsenal of Freedom" 「生き返った死の宇宙商人」で触れられた Wambundu 級 (NCC-20381) と同一の船になっています

※20: Klingon bloodwine TNG第157話 "Gambit, Part II" 「謎のエイリアン部隊(後)」など

※21: (John Lendale Bennett DS9第49話 "The House of Quark" 「クワークの結婚」のコザック (Kozak)、DS9第57話 "Past Tense, Part I" 「2024年暴動の夜(前)」のガブリエル・ベル (Gabriel Bell) 役)

※22: Tellarites TOS第44話 "Journey to Babel" 「惑星オリオンの侵略」に登場したガヴ (Gav) の種族

※23: Captain Laporin

※24: Benzenites ベンザイト人 (Benzites、ベンザー人) と同一。TNG第34話 "A Matter of Honor" 「錯綜した美学」のメンドン少尉 (Ensign Mendon) の種族

※25: anti-intoxicant

※26: General Martok (J・G・ハーツラー J.G. Hertzler) DS9第73・74話 "The Way of the Warrior, Part I and II" 「クリンゴンの暴挙(前)(後)」以来の登場

※27: Pahash コンジャー = Konjah

※28: メンパー星域 Mempa sector "Redemption, Part I and II" より

※29: (Tony Epper)

※30: (Robert Budaska)


離せよ、ガウロンに生きて見られないぞと抱き付いてきた老クリンゴンを突き飛ばすオドー。放射機を拾ったクリンゴン人に、返してもらおうと近づく。だが何かの武器じゃないのかと返そうとしない。ウォーフがやってきて、オドーに向かってコドラック※31、兄弟よという。拾ってくれたかとクリンゴンにいう。何だこれはと聞かれ、ティンガマット※32だというウォーフ。ヴァルカンの子供向けのおもちゃだと説明する。アーケイナスを襲撃した時の戦利品なんだというオドー。ウォーフは欲しければ自分で奪ってくるんだなといい取り返すウォーフ。息子に渡してやれといってオドーに手渡し、必ずというオドー。
歓声が上がり、太鼓が打ちなされる。ガウロン総裁がやってきたのだ。急いで位置につくウォーフ。ガウロンは広間の壇上に立った。マートクがガウロン閣下に栄光あれ、我が帝国に栄えあれと声を上げる。クリンゴンの勇敢なる戦士たちよ、足がもつれて立てないものはいないかというガウロン。倒れている者が連れて行かれる。今日は帝国にとって嬉しい日だ、帝国に栄光をもたらした者に名誉が与えられる日だというガウロン。その者たちの勇猛は永遠に語り継がれるであろうという。また歓声が上がる。これからこの聖なる間で英雄たちが揃って見守る中、クリンゴンとしての最高の名誉を授ける、バトラフ勲章だというガウロン。勇者たちに栄光あれという。一人の若いクリンゴン※33がオドーのいる像によじ登った。進み出でよフッター※34、カーマーの息子よというマートク。出てきたクリンゴン人に、そなたに栄光あれ、そなたの家にもといってガウロンが勲章を授ける。ここは俺の場所だ、降りろというオドー。クリンゴン人はお前こそどけという。マートクは続けてテヴィス※35、バロットの息子よという。オドーはどく気はないといい、クリンゴンを投げ飛ばした。次にハス※36、アトロムの娘よと名前を呼ぶマートク。女性が壇上に上がる。オドーはやっとで放射機をセットした。合図を受けたシスコは、スイッチを取り出した。しかしその時、マートクにジョドモス、コボールの息子よと名前を呼ばれた。スイッチを再び納め、壇に上がるシスコ。ガウロンが勲章を授ける。スイッチを出しながら壇を降りるシスコ。いきなり後ろからバトラフで殴られ、倒れた。ベンジャミン・シスコ大佐だな、お前のその顔を忘れるものかというマートク。部屋を封鎖するように命じた。招かれざる客が混ざっているようだとマートクはいった。

※31: Kodrak

※32: tinghamut

※33: (Ivor Bartels)

※34: H'Ta カーマー = Kahmar

※35: T'Vis バロット = Barot

※36: Huss


シスコたちは牢に入れられた。シスコ大佐、私は戦場で君を殺すのを楽しみにしていたというマートク。なのに君のせいでその楽しみが消えてしまったという。それはがっかりさせて悪かったというシスコ。マートクは2人で話したいといい、部下に出て行かせた。こんな愚かな企てに命を捨てに来たのか、ガウロン総裁がドミニオンのスパイだという戯言を我々が信じると思ったかというマートク。君たちはガウロンにだまされている、祖国が創設者の操り人形になってしまってもいいのかというオドー。だが証拠はあるのかというマートクに、証拠を見たいならポーラロン放射機をガウロンに使ってみろというウォーフ。ガウロンの命令でもう壊してしまったというマートク。一発で正体がばれるからだというオブライエン。マートクはシスコに、君は任務に失敗した、死に値するという。何だ、成功した方が良かったというシスコ。私は帝国に忠誠を誓っているというマートク。シスコは近寄り、君も内心はそう思っているんじゃないのか、ガウロンが可変種だと思っているんだという。そんなのは裏切りだというマートク。帝国を守り帝国のためを思うのがいつから裏切りになったんだというウォーフ。どれくらい前から疑ってたんだと聞くシスコ。マートクはもうかなり前だ、ガウロンとは古い付き合いだという。帝国の収め方に我々の意見が食い違うのは周知の事実だ、ガウロンは政治的に過ぎる、すぐに妥協点を探り口数も多いという。昨年DS9の襲撃を途中で止めさせたが、彼は変わったというマートク。急に戦争をしがたったのだ。なら君は喜びそうなものだというオブライエン。最初はな、だが戦争が始まるとガウロンは将軍たちを無視するようになったというマートク。賢者の声に耳を傾けず勝利を求め、戦死者の数はうなぎ上りなのに忠告を聞こうとしないとしない。それは可変種だからだというオドー。マートクは方法はただ一つ、もしガウロンが創設者から送り込まれた流動体生物ならば、それを証明するため、ガウロンには死んでもらおうといった。オドーは可変種なら死ねば体が液体状になる、それならはっきりするわけだという。お前が名誉ある戦いを挑めばいいというウォーフ。マートクは名誉ある戦いはしない、宣戦布告もしないという。私が戦士の間へと連れていってやる、そこで君たちが殺せといった。うなづくシスコ。
扉が開き、囚人どもは尋問のためよそに移すというマートク。総裁直々のご命令です、囚人を牢から出すなという見張り※37。マートクはわかったといい、ディスラプターを取り出すと見張りを撃ち殺した。ウォーフがもう一人の見張りも殴り倒す。マートクに続いて走る4人。
戦士の間は盛り上がっている。もう一度乾杯といくか、では呪われしルリック※38に乾杯しようというガウロン。ズラフェルの征服者、ヴラックスの解放者にという。
マートクは通路に立っていた2人のクリンゴン人を、すれ違い様にナイフで刺して同時に殺した。帝国のためだというマートク。シスコたちが行こうといって中に入る。だがマートクはオドーにディスラプターを突き付け、お前だけは信用できん、ここを動くなといった。
広間に入った3人は周りの者を押しのけ、ガウロンの前に立った。一体何の騒ぎだというガウロン。ウォーフが貴様の命はもらったといって襲いかかる。バトラフで応戦するガウロン。護衛がナイフを取り出したのを見て、シスコがディスラプターで撃つ。一斉にシスコたちに銃が向けられた。ウォーフに近づこうとしたクリンゴンを、ガウロンは殴り倒した。みんな武器を降ろせといい、ウォーフが戦いを望むなら喜んで受けてやるといった。殺したいか、全力でかかってこいという。戦いが始まる。
何をしているんだ、シスコの奴なぜ撃たんというマートク。教えてあげましょう、なぜガウロンが周りの護衛にウォーフを殺させないかもですというオドー。名誉だ、クリンゴン人は何より名誉を尊ぶ、でも私の同胞は名誉など何とも思わないという。あなたは確か名誉ある戦いなどしないといいましたね、クリンゴンらしくない言葉だというオドー。一つ聞きますが、ポーラロン放射機を壊したのはガウロンですか、あなたですかといった。
ウォーフとガウロンはまだ戦っている。互角の戦いだ。だがついにウォーフがガウロンのバトラフを折り、倒れさせた。ナイフを振り上げるウォーフ。その時ウォーフ待てといって、オドーが呼んだ。マートクと取っ組み合いになりながら入ってくる。殴られ、倒されるオドー。可変種はマートクの方だと叫ぶ。一瞬静まり返る広間。マートクは腕を変化させると、オドーの首を絞め始めた。シスコがディスラプターを撃ち、その可変種はひるんだ。周りのクリンゴンから一斉に集中砲火を浴びる。そして液体になったかと思うと、爆発して吹き飛んだ。良かったな、探していた可変種を突き止められたというシスコ。オドーはうなずいた。
創設者たちはオドーに私をスパイだと思い込ませ、殺させようとしたのかというガウロン。マートクに化けた可変種が帝国を牛耳ることになるわけだという。そうすればクリンゴンと連邦の間の戦いは、両者が滅びるまで続いていたでしょうというシスコ。そしてドミニオンは楽にアルファ宇宙域に進出できる。見事にのせられてしまいましたというシスコ。しかしこのオドーを見くびっていたんだなと笑うガウロン。オドーは礼を言う。シスコは創設者に対抗するつもりなら、この戦いを終わらせるべきですという。簡単にはいかんというガウロン。なぜです、連邦との戦争はマートクに化けた可変種の計画だったんでしょうというウォーフ。確かに、クリンゴン人にとって、一度戦いが始まれば引き返すことはありえないというガウロン。戦争を終わらせたいなら、連邦はアーケイナスを統治する権利を認めてもらいたいという。保証できませんね、しかし戦闘が止まれば交渉が始まるでしょうというシスコ。また話し合いかというガウロン。話し合いです、ドミニオンの最も嫌うところですとオドーは言った。ガウロンは将軍たちを集めて、一時的に交戦を中止するように話してみようという。みんなガウロンについていきますよというシスコに、だといいがなというガウロン。君たち4人は無事DS9に送り届けてやるという。ありがとうございますというシスコ。君たちは帝国を救ってくれた、それには感謝するというガウロン。ウォーフに向かって、殺せる時に殺しておくんだったな、二度目のチャンスはやらんぞと言い歩いて行った。
DS9の医療室。顔の元に戻ったシスコに、すっきりしたでしょうというベシア。顔のでこぼこはいらないが、牙は惜しかったなというシスコ。次は君の番だとオドーに言う。待ちくたびれた、私は牙なんかいりませんよというオドー。ベシアは好きな顔があれば注文してくれ、ベイジョー人、地球人、トリル人という。オドーは元の顔で十分満足ですという。頼むぞというシスコに、お任せくださいとベシアは言った。オドーと共に奥へ行くベシア。

※37: (Robert Zachar 映画ファースト・コンタクトにもボーグ役で出演)

※38: Rurik the Damned ズラフェル = Zora Fel、ヴラックス = Vrax


・感想
いよいよ第5シーズン、デュカットの手を借りたり、クリンゴンになったり、潜入工作をしたりと盛りだくさんの内容でした。実は可変種だったのは、ガウロンではなくマートクだったとは思い付きませんでした。本物もいるはずですが…。第4シーズン以降のクリンゴンとの関係もいい方向へ向かっていくでしょう。人間になってしまったオドーの苦悩は、しばらく続きそうです。


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