ディープスペースナイン エピソードガイド
第100話「神の船」
The Ship
イントロダクション
宇宙暦50049.3。シスコたちはガンマ宇宙域の無人惑星、トーガ4※1で地質調査を行いコルマリン※2の産出量を調べている。任務は地表でコルマリンを掘り出すことが可能かを判断することだ。岩場を歩いているオブライエンとムニス※3。オブライエンはムニスを呼び止め、石を手に取るとどう思うか尋ねる。トリコーダーで調べるオブライエン。クラス5の火砕性の岩石※4です、さっきの石と同じでしょ隊長というムニス。オブライエンは何回いったら隊長って呼ぶのを止めるんだ、俺は士官じゃないという。知識は上ですというムニスに、それほどでもない、でもお前よりは上だから教えはよく聞いておけというオブライエン。この石は噴火でより高く吹き上げられた、だから組織が違うって事を言いたかっただけだという。疲れたから座ったんだと思ったというムニスに、お前が生まれる前からアイルランドで山を歩いてるとオブライエンは言う。アイルランドには険しい山はない、丘だけだというムニス。でもあなたに比べたら山の素人ですといい、歩き出した。オブライエンはムニスにそろそろ異動しろよ、ごみ処理の担当なんかどうだといった。 シスコとウォーフがやってくる※5。オブライエンに調査の状況を聞くシスコ。順調です、南斜面は終わりましたと答えるオブライエン。シスコはダックスを親父さんと呼び、掘るに値するかと聞く。コルマリンは地表数百メートルのところにある、数値が正しければ埋蔵量も多いと見て間違いないというダックス。ウォーフは惑星の位置からいって物資の供給経路を確保するのは難しいが何とかなりそうですと話す。そこへ軌道上のシャトルにいる、ホヤ※6から通信が入った。船が1隻、ワープ航行から出てくるという。船の種類は数値がはっきりためわからず、その船からのプラズマ漏れで数値が混乱しているという。惑星の引力に引かれて落ちてきて、シスコの近くで大気圏に突入した。見上げると、一筋の光と後に墜落した音がする。船は形をとどめているというホヤ。生存者を聞くシスコ。だがホヤはセンサーが船内まで届かないため確認できないという。シスコは転送するように命じた。 転送されるシスコたち。そこで山に突っ込むようにして墜落していたのは、ジェムハダーの戦艦だった。フェイザーを構え近づいていく。 |
※1: Torga IV ※2: コーマライン cormaline VOY第2話 "Caretaker, Part II" 「遥かなる地球へ(後)」より ※3: エンリケ・ムニズ Enrique Muniz (F.J. Rio) DS9第91話 "Hard Time" 「つくられた記憶」以来の登場。オブライエンの部下の技術部員で、艦隊士官ではありません。声:菅原淳一 ※4: pyroclastic debris ※5: このシーンにいる髪のない科学部士官は、トロール (T'Lor) という名前。TOS第75話 "The Way to Eden" 「自由の惑星エデンを求めて」に登場したドクター・セヴリン (Dr. Sevrin) に似ており、同じ惑星テイブロン (Tiburon) の出身だと思われます ※6: Hoya (Hilary Shepard) ベンザイト人 (ベンザー人 Benzites、ベンゼナイト人 (Benzenites) とも。TNG第34話 "A Matter of Honor" 「錯綜した美学」に登場) ですが呼吸器を付けていません。医学的な進歩により付ける必要がなくなったようです。声:小野美幸 |
本編
トリコーダーで調べるダックス。船体の亀裂はなし、故障個所は反動推進エンジン誘導装置だけのような気がするという。オブライエンは入り口のようなところを見つけた。ムニスに何だと思うと聞くと、ひっくり返った船ですという。エアロックか修理用のハッチかというオブライエン。でもこれは戦艦だ、腹にある開口部なら戦闘部隊を送り出すところだというムニス。お前見込みがあるぞというオブライエン。その入り口が開けられ、フェイザーを中に向けるシスコたち。ウォーフに先にいくように命じ、トロールに外に残るように言うシスコ。 船の中は薄暗く、あちこちでケーブルから煙が噴き出ている。ウォーフに後ろを頼むぞというシスコ。オブライエンが階段を上りハッチを開けたが、誰も出てくる気配はない。先頭になりそのまま登りつづける。ライトを点け慎重に周りを歩くオブライエン。急に目の前にジェムハダーが現れた。逆さづりになり、息はない。シスコたちも登ってくる。ダックスがトリコーダーで調べると、死んだのは数時間前で墜落の時ではないという。死因は広範に渡る骨壊死で、全身の骨が粉々に砕けている。慣性制動機が故障したんでしょう、船の加速で壁に叩き付けられたんだというオブライエン。墜落時にはみんな死んでいたはずだ、でもすごい船ですよ墜落にも耐えるなんてという。スクリーンもないし椅子もないというダックス。EPSコンジットもない、微量融合反応開始装置もパワーコンバーターもない、見た限りですがというオブライエン。この船を動かすのは難しいかというシスコに、ワープドライブを使ってないかもしれないという。ジェムハダーの船ってこういう作りなのかしらというダックス。それより問題なのはジェムハダーが何をしていたかだ、一番近いドミニオンの基地でも3週間もかかるのにというシスコ。ムニスが29人の死体があり、生存者はいませんと報告する。シャトルのトラクタービームで軌道上に引き上げられないか、情報戦略上この船は10年に一度の大発見だというシスコ。持って帰って調べたいという。オブライエンはシャトルではとても持ち上がりませんという。ではもっと力の強いものに来てもらえばいいとシスコは言った。 DS9の司令室。オドーと共にベシア、クワークがターボリフトを降りる。キラ少佐に判断してもらおうじゃないかというベシアに、クワークが私を訴えるというのならドクターを共犯で訴えるという。共犯じゃないというベシア。じゃあ何だったというんですというオドーに、間抜けさ、お前に頼んだのが間違いだったというベシア。言えてますというクワーク。3人は司令官室に入る。一体何を大声わめきあってるのと言うキラ。オドーはクワークがレガリアノミグモ※7を許可を取らずに輸入したんですという。ドクターに頼まれてというクワーク、ベシアは少佐のためにと思って取り寄せたという。毒から循環機能を高める薬が抽出できるが、許可が要るとは知らなかったと弁解する。なら今から許可を取ればいいでしょうと言うキラ。簡単にはいきません、どうやらクワークはノミグモを輸入するのと一緒に、こっそり違法にレガリアの液晶※8を輸入していたんですというオドー。それは性欲欲心剤として使われるものだが、人体には危険なものだ。危険なくして何が愛といえるかというクワーク。付き合ってられない、さっき連絡が入ってガンマ宇宙域でジェムハダーの船を発見したと言うキラ。ディファイアントで行ってくる、1週間で戻るという。いつ出発ですかと聞くベシアに、私はすぐ行くけどドクターは法律手続きがあるでしょうと出て行くキラ。微笑むクワーク。オドーは2人を連れていった。 船は岩に90メートルはめり込んでいるというオブライエン。反動推進エンジンを蒸かしてゆるめれば、引き上げるのも楽ですがという。問題があるのかと聞くシスコ。エンジンを蒸かすにはプラズマ注入装置を測定しないと、でもイオン調節器がどこかもわからないというオブライエン。ムニスはマトリックスの上を開けてみましょうか、ハイパースパナ※9ならという。それを受け取り、ごみ処理の担当にするのは見送ってやるというオブライエン。ウォーフがやってきて、死体は尾根の向こうに埋めたという。DNAはジェムハダーが42、ヴォルタが1という。そこへホヤからシスコに通信が入った。ジェムハダーの戦艦がワープから出てきたという。逃げるように指示するシスコ。しかしフェイザーに捕捉され、取り舵を命じるホヤ。シールドが低下。しかし通信が途切れたかと思うと、空には爆発音と共に残骸が線を描いた。見上げるシスコたち。 |
※7: Regalian fleaspider ※8: Regalian liquid crystals ※9: hyperspanner |
ジェムハダーが姿を現し、攻撃してきた。トロールが撃たれ、倒れてしまった。船に入れ、外にいてはやられるというシスコ。フェイザーで反撃しながら後ろへ下がる。ムニスも腹に攻撃を受けてしまう。ウォーフと共にハッチの中へ入るムニス。最後にシスコが入る。ハッチが閉じられた。 中にいても安心できない、ジェムハダーは転送でどこにでも行けるからというダックス。船の上を歩いている音が聞こえる。なぜ攻めてこないんだろうというウォーフ。こっちには幸いだといい、ウォーフにしんがりを頼み司令室へ行くことにするシスコ。オブライエンに歩けそうかと聞かれ、ムニスは当たり前ですよと答えシスコの後を追う。 傷を見せてみろというシスコに、大丈夫です、これくらいたいしたことありませんというムニス。医療キットはトロールが持っていたというダックス。僕なら大丈夫ですというムニスに、せめて止血しないとというシスコ。オブライエンが私がやりますという。傷を見て、何がたいしたことないだ、強がりやがってという。どうしてそう士官にはええかっこしいなんだというオブライエン。ムニスはチーフを見習っているんです、部下ですからという。オブライエンはムニスの制服を破った。傷を見ないとというオブライエンに、一番の制服だったのに、ぴったり合うのはこれだけなんですというムニス。オブライエンは布の切れ端を傷口に当てる。心配するな、ガラックに頼んで新しいのをあつらえてやるという。ディファイアントが来るのはいつですと聞かれ、オブライエンは2日半後だと答える。大丈夫です、私がついてますというムニス。オブライエンは笑い、大船に乗った気持ちでいるよと言った。 ダックスがポータブルジェネレーターを持ってきた。ほかはベースキャンプにあるという。オブライエンが操作にかかる。そろそろ包帯を取り替えないといけないわねとムニスに言うダックス。照明が復旧し、ありがとうチーフというシスコ。オブライエンはダックスに私がやりますといい、頼むぜムニスといって自分の制服の袖をひきちぎった。服がなくなる前に血を止めろという。努力しますというムニス。 シスコは奇妙な装置を見つけた。何だと思うと聞かれ、恐らく一種のヴァーチャルセンサーディスプレイ※10でしょうねというダックス。スクリーンに相当するものだ。しかし2セットしかない、ヴォルタ人に1つ、ジェムハダーのトップに1つかというシスコ。外を見られるのは2人だけってことねというダックス。ふいに通信が入った。シスコ大佐と呼び、ヴォルタ族のキラーナ※11と名乗ったその女性は包囲しているジェムハダー部隊の指揮官だという。どのコントロールパネルでもいいから緑色の三角のボタンを押しなさい、通信ができるという。名前を知られてるというダックス。どうも常に一歩先をいかれているとシスコは言う。オブライエンは立ち上がり、ボタンを押した。私がシスコだと名乗る。声を聞けて嬉しい、何人か死者が出たと聞いていたので死んだのではないかと心配していたというキラーナ。心配かけてどうも、用件はと聞くシスコ。キラーナは2人での話し合いを求め、事態の解決を図ろることが双方の利益になるという。お互い冷静にといわれ、聞く耳はあるつもりだというシスコ。期待しています、お互い護衛は1人というキラーナ。シスコはいいだろうと言った。 シスコに近づき、あなたは写真写りが悪いのねというキラーナ※12。じかに会うと魅力的だという。悪いが時間がない、おせじは抜きにしてもらいたいというシスコ。ウェイエン※13の報告通りだわ、率直な人ね、気に入りましたというキラーナ。では本題に入りましょう、船は我々のもの、返してもらうという。しかし今は我々の船だというシスコ。キラーナはそれでは泥棒でしょう、誉れ高い宇宙艦隊の士官の言う言葉とはとても思えないという。間違いなく我々のもの、権利を主張する根拠はときくキラーナ。シスコは落とし物の権利※14は拾った者にある、墜落した船を見つけたのは我々が先だったという。面白い論理の展開ね、でもドミニオンはそんな主張は認めませんというキラーナ。それでははっきりいいましょう、船は完全に包囲されていて逃げられませんという。何か召し上がりませんか、それとも飲み物でもとキラーナは勧める。その時船の中には、1人のジェムハダーが転送された。姿を消し走り出す。 |
※10: エンサイクロペディアでは virtual display ※11: キラナ Kilana ※12: (カイトリン・ホプキンス Kaitlin Hopkins VOY第141話 "Live and Prosper" 「宇宙詐欺師ダーラ」のダーラ (Dala) 役) 声:藤木聖子、TNG ローなど ※13: ウェイオン Weyoun DS9第95話 "To the Death" 「戦士の宿命」に登場したヴォルタ人 ※14: salvage rights |
ジェムハダーがフルーツを持ってきた。これはキラーヴァ※15です、私の好物なのというキラーナ。毒じゃありません心配なくという。君にはそうだろうなというシスコ。キラーナはジェイクに人を疑うことを教えないようにねベンジャミン、それともベンと呼んだ方がいいという。大佐で結構というシスコ。友好的な雰囲気を作れないのは私が力不足だからでしょうね、情けないというキラーナ。あまり経験がないものだから、ドミニオンの外での任務も連邦士官との交渉もこれが初めてだという。疑うのはわかるけれど、出す条件を検討してもいいんじゃないかしらというキラーナ。どんな条件だと聞くシスコ。キラーナは船を返してもらえれば、あなたがたを無傷でDS9へ送り届けると条件を言った。船の設備は贅沢ではないけれど快適です、怪我人の治療もしますという。シスコは私が一戦も交えずに部下を渡すとそう思っているんだな、確かに君は経験のない素人だと言った。顔をこわばらせるキラーナ。 痛みに耐えるムニス。オブライエンは気遣いながら、パネルを操作しようとしている。ダックスが交渉の様子も見られないなんて、これ何とか修理できないといってヴァーチャルディスプレイを持ってきた。今はパワーを復活させないとというオブライエン。その時何か物音がした。2人はフェイザーを構え、奥へ進んでいく。 ゆっくり進む2人。オブライエンは奥の壁に前にはなかった機械が取り付けられているのを発見する。ダックスはトリコーダーで調べ、何かの探索装置だという。何にしろ気持ちのいいものじゃないというオブライエン。急に後ろからジェムハダーが現れた。オブライエンを殴り倒し、ダックスに襲いかかる。フェイザーも落としてしまった 大佐、敵の襲撃ですというウォーフ。それと同時にキラーナたちは転送されて消えた。すぐに船に戻るシスコ。 ダックスも殴られ、壁に叩き付けられた。オブライエンがフェイザーを取ろうとするが、ジェムハダーは足でフェイザーを蹴り、オブライエンをつかむとナイフをかざした。しかしフェイザーの攻撃を浴びて倒れるジェムハダー。発射したのはムニスだった。腹を抑えている。やる気になればできるじゃないかというオブライエン。ムニスはただチーフを見習ってるだけですと言った。 センサーはオブライエンが停止し、取り外した。シスコに渡す。目的は情報収集でしょう、私たちが何人いるのか、どんな武器があるのかというダックス。ムニスがうめき声を上げ、オブライエンが近寄る。敵はそんなことは知っているはずだというシスコ。ダックスはさっきのジェムハダーはナイフしか持っていなかった、銃なら殺せたのにという。それになぜ1人だけよこしたのかというウォーフ。シスコはこの船に何かある、その何かを壊すのを恐れて一斉攻撃をかけてこられないんだろうという。その何かを探さなければというウォーフ。ダックスはまずは船のどこに何があるかを把握することだわといい、構造スキャンをしましょうという。頼むぞというシスコ。 ムニスの怪我はひどくなっている。プラズマ漏れみたいに血が止まらないんですよ、隊長という。それほどじゃないというオブライエン。嘘ばっかりというムニス。何でそう思うと聞かれ、ムニスは隊長って呼んだのに叱らないからですという。笑うオブライエン。ムニスは僕は死ぬんだという。よく聞けよ、俺が死なないっていってるんだから死なないよ、絶対に助かるというオブライエン。ムニスは何とか笑みを浮かべた。シスコが来て、具合を尋ねる。そのことについてはチーフと意見が食い違いましてというムニス。でも苦情を言いたいです、ここの看護婦は看護が下手ですよという。笑うオブライエンとシスコ。後で包帯で締め上げてやるぞというオブライエン。それに扱いも乱暴だし、もっと優しくて可愛いのがいいですとムニスは言う。可愛い看護婦に会いたけりゃ黙ってろというオブライエン。シスコも体力をとっておけ、いい子にしてろという。2人は歩いて行く。ムニスから離れたところで話す。心配です、出血が止まらないんですというオブライエン。シスコはジェムハダーの武器の副作用かもしれない、血を止まりにくくさせているんだろうという。早く治療を受けさせなければ、危ないというオブライエン。シスコはこの船を動かすことができなければ全滅だ、とにかくパワーを復活させろという。武器を使えるようにする、頼るのは君だけだ、ムニスは私がみるという。しかしというオブライエンに、これは命令だというシスコ。オブライエンは作業に取り掛かり始めた。 船の周りはジェムハダーが見張っている。ダックスがオブライエンに、構造的にはこの船は通常のジェムハダー戦艦とほとんど同じ設計をされているという。しかしいくつか大きな違いがある、今まで見たことのないようなシステムを塔載しているしなというウォーフ。一つずつパワーを通していきましょう、そうすればそれがどんな機能なのかテストできるというオブライエン。時間はかかる。どれくらいだと聞くウォーフ。こっちが聞きたいというオブライエンに、あなたならわかる、チーフにわからないシステムなんてこの世にないというダックス。ムニスは強い、大丈夫よという。だがウォーフは助かるまい、明日までもたないだろうという。そういうことを口に出すな、ムニスに聞こえたらどうするんだというオブライエン。真実を隠してそれこそどうするんだ、覚悟を決めさせてやれという。オブライエンは冗談じゃない、精神力だけでもってるのにあきらめたらおしまいだという。撃たれた時に運命は決まっていたというウォーフ。オブライエンはちょっと待て、ムニスの命は我々にかかっている、そう簡単にあきらめるなと言った。ダックスはウォーフに、さっき見つけたイオン交換マトリックスを調べに行きましょう、行く道方々人と話し合う時の作法について話しましょうといい、連れていった。 ムニスは震えている。キラーナからシスコに通信が入り、不愉快なのはわかるという。裏切られたと思うのも当然です、でももう一度話し合いましょうという。誠意を表すため武器を持たず、護衛もつけずに行きますとキラーナは言う。あなたは武器でも護衛でもどうぞといった。 フェイザーライフルを構え、キラーナの前に来たシスコ。言うことがあるならさっさと言えという。船にジェムハダーの戦士を入れたのは間違いでした、そのことは謝りますというキラーナ。怪我人はなかったでしょうね、でもああするしかなかったという。あなたが部下を守るように、私にも守るものがあるのですというキラーナ。今までのことはお互い水に流して忘れましょうという。どうするというんだというシスコ。キラーナは欲しいものが船にあることはおわかりね、部下を船に入れて運び出させてくださいという。そうすれば船は差し上げるという。それより欲しいものを言ってくれ、私が取って持ってこようというシスコ。それはできませんというキラーナ。信じないのかというシスコ。キラーナは信じたいとは思うが、無理だという。この状況では不可能だ、そこまで危険を冒すことはできないという。私も危険は冒したくない、部下の命がかかってるからねというシスコ。袋小路に入ったわねと笑うキラーナ。行き止まりだなというシスコ。キラーナは残念だといい、交渉は打ち切りですという。転送されるキラーナ。それと同時にジェムハダー戦艦からの攻撃が始まった。シスコは急いで、待っていたウォーフと共に船に戻った。 中に入っても、外では地鳴りのような音が響いていた。 |
※15: q'lava |
司令室に戻ってくるシスコたち。交渉は決裂したようねというダックス。オブライエンはシステムは全て停止したという。苦痛の声を上げるムニス。外がどうなっているのか知りたい、センサーくらいは動くだろうとオブライエンに言うシスコ。ダックスにムニスをみてやるようにいう。足の感覚がないんですというムニスに、足はちゃんとあるわよというダックス。ヴァーチャルディスプレイインターフェイズの回路を、トリコーダーでセンサーアレイとつなげばきっとというオブライエン。ウルトリティウム※16震盪爆弾で攻撃していることがわかった。直接当たればおしまいだわというダックス。ウォーフは船に当てるつもりはないと思う、当てるつもりならとっくに命中させているという。じゃあ嫌がらせかというオブライエン。シスコは我々はこんなことでは降伏しない、キラーナは船はやるといったから船にある何かが欲しいんだという。何だと思いますというオブライエン。いろいろ考えられる、例えば暗号機とか誘導システムとかというシスコ。イヤリングを落としたのかもというダックス。何であれそれが命綱だ、探すんだというシスコ。オブライエンに武器を直すように指示する。エミッターアレイをまず直さないといけないというオブライエンに、急げという。 オブライエンは武器を使えるようにした。よくやったというシスコ。ただし砲台が回転しない、一方向にしか撃てませんというオブライエン。ジェムハダーがそっちの方向にいてくれることを祈るだけだとシスコは言う。 うめくムニスに近づき、落ち着け何も怖がることはないというオブライエン。ムニスは恐くないよパパ、すごくきれいだねと話し出した。シスコと顔を見合わせるオブライエン。去年よりすごい、そう思わないというムニス。最高だ、これこそカーニバルの花火だという。あの色、流れ星の大群みたいだと宙を見つめる。今の大きいといい、オブライエンも大きかったと言った。 ダックスが戻ってくる。ジェムハダーについて言えることといえば身軽ってこと、貨物もなければ貨物室もないというダックス。コンピューター室にはデータクリスタルが残されていて、暗号化されている情報が入っているようだが構造が無作為化されているという。内容はわからない。何を探せばいいのか、小さくてもいいからヒントはないのというダックス。シスコは何もないんだと言った。ムニズはまだ、夜空一杯にきれいだねと指差している。見るに耐えないといった表情をするダックス。ウォーフが機械を持ってきた。ヴォルタ人のコンピューターコンソールのようだ、上の部屋で見つけたのだが、その部屋までパワーが回復していなくてねという。それで壁から外して持ってきたわけ、素晴らしいわというダックス。何に使うの、ドアストッパーにでもと聞くダックス。別に何に使っても構わんと渡すウォーフ。ごめんなさい冗談よ、いい考えだわというダックス。中の情報を引き出してみましょうという。いい加減向こうも攻撃に飽きてきたんじゃないというダックス。ウォーフはどうせなら戦いにうってでたい、外に出られるなら一泡吹かせてやりたいという。それも悪くない考えのように思えてくるわといい、コンソールを返すダックス。オブライエンにコンソールを見るように頼む。ウォーフの持っているコンソールを見る。 あんな死に方をさせていいのかというウォーフに、何度も言うがムニスは死なないというオブライエン。ウォーフは時間の問題だという。殺してやれって言うのかというオブライエン。真の友人ならそれを考えてやってもいいというウォーフ。苦しませるよりずっと名誉を保てるという。俺は口実をもうけて友人を殺す、血に飢えたクリンゴン人じゃないというオブライエン。やめろというシスコに、いいえ、君は死と向かい合う勇気のないただの臆病者だとオブライエンにいうウォーフ。オブライエンは殴り掛かったが、ウォーフにすぐに押さえ込まれた。シスコが君たちは宇宙艦隊の士官だ、士官らしく振る舞えという。手を放すウォーフ。さすが男ね、こんな時にけんかというダックス。シスコは冗談のつもりかも知れんが、誰も笑ってないぞとダックスにいった。オブライエンたちに向き直り、苦しいのはわかるという。疲労困ぱい、汚れ放題、しかも外では砲撃の音は止まない、神経にも堪える。しかしここで強く気持ちをもたなければ負けだ、プロだったらプロらしくがんばってみろというシスコ。ムニスはけいれんを起こしている。シスコはオブライエンにパワーグリッドの回復を、ウォーフには砲台が回転するようにやってみるように命じた。ダックスには船を隅から隅まで捜し、キラーナが探しているものを見つけろという。わかりましたといい歩いていくダックス。シスコはムニスにも命令を出す。それは生き続けるということだった。 ジェムハダーの攻撃は断続的に10時間続いた。オブライエンのおかげでメインパワーとナビゲーションシステムは回復した。エンジンさえ動かせれば、この船で逃げられるかもしれない。後は誘導反応炉の測定さえ終わればメインコアに点火できるというオブライエン。みんなに異議がないのなら、さっさとこの惑星からはおさらばしたいというシスコ。異議なしというオブライエン。できればあと2時間かけて磁場連結器のテストをしたいところだけど、こういう状況なら構わないでしょうというオブライエン。それぞれが持ち場につき、パネルの操作を始める。離陸だ、かなり揺れるだろうが覚悟してくれというシスコ。離陸シークエンスを開始する。イオン推進エンジン※17全開、回転翼※18出力4分の1、プラズマ出力オンライン。エンジン出力2分の1を指示するシスコ。船が揺れ始めた。ダックスがオブライエンに、メインリアクターに低周波の共振が出てるという。慣性制動器で補正してくださいというオブライエン。補正器出力最大、しかしパワーが足りない。ジェット出力2分の1にし、何とかうまくいきそうだ。もう少しで岩から抜け出せる。パワー出力2分の1。だがメインリアクターが不安定になってしまい、リアクター抑制フィールドがダウンした。反応制動機がうまく作動しておらず、パワーを切らなければコアが壊れてしまう。部屋の中ではショートが起こり、火花が散る。シスコは推進エンジンの停止と全システムのパワーダウンを命じた。揺れが収まる。ダメージは大きく、メインパワーグリッドは完全にだめになり構造統合フィールドも壊れてしまった。ディファイアントが来るまで待つしかない、船ごと引き上げられるだろうが後36時間ここで待たなければというシスコ。オブライエンはお前が動ければ助かるのにといって、ムニスに近寄る。しかしムニスの息は既に絶えていた。言葉を失うオブライエン。顔を見合わせるシスコたち。 シスコの隣にダックスが座る。ムニスに助かるなんて言っちまったというシスコ。指揮官は当然そういうべきよというダックス。シスコは船をステーションにもって帰らなければならない、しかし5人の部下を死なせてしまった、遺族に訳を説明できるといいがという。その時ダックスが何かに気づいた。見ると、床の上に液体が落ちてきている。その上を見上げると、壁の一部が変形しとけ始めていた。フェイザーを構え、あれは可変種だというシスコ。それは創設者の姿になろうとしていた。 |
※16: ultritium TNG第45話 "Manhunt" 「魅せられて」など ※17: イオン推進 (ion propulsion) を使った船は、TOS第61話 "Spock's Brain" 「盗まれたスポックの頭脳」に登場 ※18: ventral impeller |
その可変種は姿を保とうとしているが、そのまま流れるように落ちてしまった。形を保てないのだ。トリコーダーで調べたダックスは、死にかけているという。となるとまずい、目的はこの創設者だったんだというシスコ。攻撃をかけてこないはずだという。彼らには神だものねというダックス。固まりとなった創設者は、断末魔を上げた。その声は外にいるキラーナとジェムハダーたちも聞いている。そして黒く変化すると、灰になってしまった。ダックスは攻撃が止んだことに気づいた。襲撃に備えようというシスコ。そのときそこへ、キラーナが転送されてきた。ジェムハダーはどこだとシスコが聞くと、自決したという。創設者を守れなかったからだなというシスコ。キラーナはなぜ信用してくれなかったのという。当然だろう、君のいったことは嘘ばかりだったというシスコ。ドミニオンの外での最初の任務というのも嘘だろうという。言わなければ良かった、でも私の条件は妥当だったはずというキラーナ。欲しかったのは創設者だけだったという。言えば良かったというシスコに、殺すか人質に取るかしたでしょうとキラーナは言う。シスコはまさか、欲しかったのはこの船だけだという。船はあげるといったじゃない、結局こうなってしまったのねというキラーナ。確認に行ったダックスが戻り、本当にジェムハダーは全員死んでいるという。ムニスも、シャトルの部下たちも君の戦士たちも、我々がお互いを信用していれば死ななくても済んだのにとシスコはいった。私だけでは船をもって帰るのを止められない、創設者の遺骸の一部を持って帰りたいんだけどいいかしらというキラーナ。シスコはライフルを降ろし、もちろんだといった。容器に遺骸を入れるキラーナ。大佐、あなたは神を信じていると聞く。シスコは私には信じているものがあるという。任務、宇宙艦隊、惑星連邦というキラーナ。何も答えないシスコ。きっとご満足でしょうね、船をもって帰れるんだものというキラーナ。その価値があればいいけどというキラーナに、そう願うとシスコはいった。転送されるキラーナ。 ジェムハダー戦艦を曳航し、帰途につくディファイアント。ダックスがシスコと同じテーブルに座る。艦隊は私たちのお土産を何だってと聞くダックスに、喜んでたよというシスコ。ただ喜んだだけと聞くダックス。大変お喜びだ、全員に勲章をくれるとシスコは言う。またコレクションが増えるというダックス。シスコは艦隊に報告書を出さなくてはならないが、報告書を書き始めようとするとつい、文章よりも死んだ5人の名前のリストに目が釘付けになってしまうという。何も書けなくなる、トロール、ルーニー※19、バートラム※20、ホヤ、ムニス。冷酷なようだけどあの船は5人の命だけの価値はある、5千人の命を救うことになるかもしれない、もしかしたら500万人かもというダックス。同じ状況におかれたら同じことをするだろう、しかし5人が死んだのは事実だというシスコ。人生でまだまだたくさんすることがあったはずなのに、故郷から5万光年も離れたわびしい惑星で死ぬなんてという。シスコはアカデミーにいた頃、ソマック※21教授はまだいたかと聞く。指揮官としての倫理※22を教えていらしたというダックス。教授はよくこう言っていた、自分が指揮する部下たちと情緒で馴れ合うのはやめなさい、常に距離を置きなさいというシスコ。いいアドバイスだわというダックス。私もそう努力してきた、しかし教室の中と外の現実は違うという。知ってたかい、ジェイクとムニスは誕生日が同じなんだ、ホヤの結婚式では私が儀式を執り行ったというシスコ。ルーニーはトランペットが実に上手かった、一度クワークの店で聴いたが店にいたみんなが踊り出したくらいだと続ける。ルーニーのことで覚えているのはほかにもあるというダックス。艦隊士官であることをとても誇りに思っていたし、あなたの下で働けることを喜んでいたという。ホヤもトロールもバートラムも、ムニスもだ。みんな自分で士官の道を選び、危険は承知の上で自分の信じるもののために戦って死んだのよというダックス。だからって気は楽にならんよというシスコ。それはそうでしょうけれどというダックス。シスコの肩に手を置き、部屋を出ていった。シスコはパッドを操作し始めたが、すぐに机の上に置いた。 貨物室で光子魚雷の容器の前に独り座っているオブライエン。トラクタービームにフェイズ結合グラヴィトンエミッター※23を使った、それでやっと船が動いたんだ、お前にも見せたかったという。ウォーフが入ってきた。邪魔ならすぐ出て行くがというウォーフに、構わないよという。アクヴォー※24をしているんだろう、友人のためにという。クリンゴンの伝統で、戦士が戦いに倒れた時に死体が獣に食われないように仲間が守ってやるという。じきに霊魂は肉体を離れ、ストヴォコルへ旅立つというウォーフ。いい伝統だなというオブライエン。ウォーフはオブライエンの横に座る。何してるんだと聞くオブライエンに、2人でムニスを守ってやろうと言った。オブライエンはきっとあいつも喜ぶよというのだった。 |
※19: Rooney ※20: Bertram ※21: Somak ※22: Moral and Ethical Issues 正確には道徳と倫理 ※23: phase-conjugate graviton emitter ※24: Ak'voh |
感想
お互いに信用していれば誰も死なずに済んだというシスコの言葉が心に響きます。「名もない士官の死」がここまで深く描かれたのは今まであまりなかったのではと思います。連邦とドミニオンの間に信用ができるようになる日も来るんでしょうか。今回の回収した船は、後のエピソードの重要な複線になると思われます。 |
第99話 "Apocalypse Rising" 「可変種の脅威 第二幕(後)」 | 第101話 "Looking for Par'Mach in All the Wrong Places" 「クワークの再婚」 |