一人座っているロム。ちゃんと気持ちを伝えれば良かったという。片づけをしているクワークが、伝えなくて正解だ、ノーグの母親とはどうなったという。どうだ思い出したくもないだろう、あの教訓を忘れたのかという。お前がプリナドーラ※20の親父に結婚の5年契約を申し込んだのは子供が欲しかったからだ、単純な契約だという。お前がプリナドーラにほれたので、契約延長のサインをした。しかもべたぼれだったのでサインの前に契約延長の書類を読まなかったというクワーク。結局プリナドーラの親父は有り金を持っていくし、プリナドーラは金持ちの男に乗り換えた、ロムにノーグを押し付けて。恋なんかくそ食らえだといい、ロムの横に座る。リータはプリナドーラとは違うというロム。リータも女だ、女はトラブルのもとっていうのが宇宙の鉄則だ、寂しいならいいホロスイートのプログラムがあるというクワーク。ふところからアイロリニアロッドを取り出し、「ヴァルカンの愛の奴隷パート2 復讐の巻」※21という。試してみろよ、2時間も遊べばリータなんか忘れるってと薦める。ロムの肩を叩き、クワークは歩いていった。そのロッドを見つめるロム。
このまま手をこまねいているわけにはいかない、すぐに弁護士を手配しようというリチャード。惑星連邦最高裁※22まで争ってやるという。勝てるはずないよと言うベシアに、そういう弱気な態度はやめるんだ、キャリアを守りたいならなという。お父さんの言う通りよ、がんばらなきゃというアムシャ。ベシアは何で僕の言うことを聞かないんだ、裁判を起こす気はないという。お前の戯言を聞いてる暇はない、私たち家族の危機なんだ、ぐずぐず言ってないで新しい計画を練らないといけないというリチャード。そうだね、新しい計画を練ろう、うちはいつもそうだった、問題を正面から見ないで次の計画に逃げるというベシア。仕事が気に入らなければ次へいく、法律が気に入らなければ抜け道を探す、しかし自分では絶対責任は取らないという。才能があってあれだけ実績を上げて、なのになぜ子供っぽい態度をとるんだというリチャード。一人前の大人らしく振る舞え、でないと全てを失うんだぞという。全てを失うのは父さんだろ、父さんが世間に自慢できるものは一つしかない、僕だというベシア。父さんは僕が次の世代に残す一番の遺産だといった、でもそれはまがいものだ、あなたと同じという。私はお前の父親だぞ、親に向かって何て言う口を利くんだというリチャード。確かに親だった、今は僕の設計士だ、出来の悪い息子が嫌で優秀になるようにって造り替えた人だとベシアはいった。でも残念だね、もうおしまいだという。ひとごとみたいにそう親を批判できるものだな、今の自分を誰のおかげだと思っているというリチャード。落ちこぼれの人生から救ってやったんだぞとという。落ちこぼれのままだったとは限らない、僕はまだ6つだった、それなのにもう落ちこぼれだと決めつけてというベシア。ジュールス、お前は何一つわかってないというリチャード。ベシアは立ち上がり、わかってないのは父さんだ、僕は15の時から自分をジュールスって呼ぶのはやめた、僕はジュリアンだという。たかが名前じゃないかというリチャード。名前だけじゃない、中身も違う別の人間だ、ジュールスはあの時病院で死んだんだという。父さんや母さんが馬鹿でみっともない息子はいらなかったからと叫ぶ。それは違う、お前を恥だと思ったことはなかったというアムシャ。ごまかさないでくれよと言うベシア。お前は子供がいないからわからない、かわいい息子が友達より少しずつおくれをとっていく時の気持ちが、というアムシャ。懸命に努力しているのに負いつけないお前がとにかく不憫で、毎晩眠れないまま考えたという。私のせいだろうか、妊娠中胎児に良くないことをしただろうか、不注意だったろうか、何かお前によくないことを知らず知らずのうちにしたのだろうか。リチャードが止めようとするが、どうしても言っておきたいというアムシャ。私たちを責めても構わない、倫理に背くし違法行為だったかもしれないがこれだけは知っておいて欲しいという。お前が恥だからしたんじゃなく、息子だから、愛していたからとアムシャはいった。ベシアと抱き合った。して欲しいことはないのというアムシャ。ベシアは何もといい、シスコ大佐に会いにいって事情を説明し、艦隊には辞表を出すという。お前は本当にそれでいいのと聞くアムシャ。ええ、静かにこのステーションから出て行きたいとベシアは言った。
司令官室に入るベシア。丁度君のことを話していたんだというシスコ。リチャードとアムシャがおり、そして連邦の提督のホログラム通信の映像もだ。提督にベシアを紹介し、こちらベネット少将※23、法務総監※24であられるというシスコ。これはどういうことですかと聞くベシア。ご両親が私に会いに来られて、君の遺伝子操作の経緯を説明してくれたというシスコ。そこで提督に連絡を取ったという。これからも君は医療士官として勤務できる、お父さんのおかげだというベネット。刑務所※25へ行くとリチャードは言った。2年間だ、ニュージーランドの刑務所で服役してくるという。そんな馬鹿なと言うベシア。お父さんから申し出なんだ、遺伝子操作の有罪を認める代わり君の身分はそのままとなったというベネット。父親を犠牲にしてなんてちっとも嬉しくないというベシアに、ジュールス、ジュリアン、いいんだというリチャード。もう決めたんだ、治療を受けさせたのは私だという。責任を取るのが当然だろというリチャード。言う通りにさせてあげてというアムシャ。2年間も厳し過ぎませんかというベシアに、そんなことはない、200年前人類は遺伝子操作によって優秀な人類を生み出そうとしたというベネット。その結果が優生戦争※26だ。カーン※27たち遺伝子操作によって作り出された人類を超えた人類は、知能と共に権力への飽くなき欲求も増幅されていた。遺伝子操作を禁じる法律はそのために作られ、私はその法律を守っていくつもりだとベネットは言った。あの条件で承知するかねと聞かれ、リチャードははいと答えた。地球に戻ってきたら艦隊本部まで出頭してくれと言うベネット。通信を終えた。ベシアにゆっくりでいいぞといい、シスコは部屋から出て行った。
※28エアロック。アムシャと抱き合うベシア。じゃあねジュリアンというアムシャに、ええ母さんという。2年後に会おうというリチャード。刑務所にだって面会日くらいあるでしょう、もし行けたらというベシア。リチャードは待ってるぞといい、抱き合う2人。中に入っていくリチャードを呼び止め、ベシアはありがとうと言った。気にするなって、刑務所にいる間はたっぷりあるから設計の腕に磨きがかけられるというリチャード。アムシャと手をつなぎ、船に乗り込んでいった。歩いて行くベシア。
そこへ到着したターボリフトから、荷物を抱えたリータとジマーマンが降りてきた。そして「待ってくれー」という遠い声。何の音だというジマーマン、何かしらねというリータ。だんだん近づいてくる。それは駆けつけたロムだった。彼がわめいてたのかというジマーマン。リータ頼む、行かないでくれと言うロム。何でよというリータ。何でって、好きなんだ君が、そばにいて欲しいんだとロムはいった。荷物を落とし、私もあなたが好きよロムというリータ。口付けを交わした。決まりの悪そうなジマーマンに、ドクター、本当にごめんなさいというリータ。ロムは放心状態だ。いいんだ、真実の愛は勝つものさというジマーマン。ぜひ幸せになって、祈ってるという。あなたって優しくて思いやりのある人ね、きっと素敵な人が待ってるわ、保証するというリータ。そうは思えないな、やはり私には研究に打ち込む人生が似合ってるのかなというジマーマン。そこへエアロックに入る、異星人の女性がいた。専門分野で活躍するんだ、私なら心配しないでといいジマーマンも中に入る。ロムと抱き合ったまま、じゃあねというリータ。その女性に、カーマストーラ※29っていう古典をご存知ですか、8世紀に書かれたヒンズーの…と話しかけながら、ジマーマンは乗り込んでいった。
ダボガールの仕事をするリータ。その奥でベシアとオブライエンが、再びダーツをしている。今日はだめだと言うベシア。今週はだろというオブライエン。そうだチーフ、この前のお礼もまだ言ってなかったというベシア。よしてくれよ、真剣勝負の真っ最中にというオブライエン。ダーツを投げる。また君の勝ちだなと言うベシアに、どうだい差がついたろうという。オブライエンはちょっと待てと言い、お前もしかして勝ちを譲ってないかと聞いた。なんでそう思うんだいと聞くベシア。だって運動機能も遺伝子操作で強化されてるんだろうというオブライエン。手加減もしたけど少しだよと言うベシア。何て野郎だ、手加減なんかされたくない、同じレベルでできると怒るオブライエン。わかってるよというベシアに、なら勝負しよう、本気で勝負だという。そしてベシアが3本投げた。オブライエンがダーツに近寄る。その3本は、全てど真ん中に刺さっていた。わかった、これからはお前はここから投げろといい、ベシアを離れたところに立たせるオブライエン。それでもだめなら、お前は目隠ししてやれと言った。※30
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※20: Prinadora
※21: Vulcan Love Slave Part II: The Revenge DS9 "The Ascent" ではパート1が言及
※22: Federation Supreme Court
※23: Rear Admiral Bennett (J. Patrick McCormack) 少将ですが階級章の星は4つ (大将) ですね…
※24: Judge Advocate General TNG第35話 "The Measure of a Man" 「人間の条件」より
※25: 連邦刑務所 Federation Penal Settlement VOY第1話 "Caretaker, Part I" 「遥かなる地球へ(前)」より
※26: Eugenics Wars TOS第24話 "Space Seed" 「宇宙の帝王」より。1996年に終わりました。単に「大戦争」としか訳されていません
※27: カン Khan 本名カーン・ノニエン・シン (Khan Noonien Singh)。TOS "Space Seed"、さらに映画ST2 "The Wrath of Khan" 「カーンの逆襲」にも登場。訳出されていません
※28: ネビュラ級の船が停泊しています
※29: Kama Sutra
※30: ギャラクシー級1隻、エクセルシオール級2隻の姿。以前の映像の使い回しです
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