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ヴォイジャー エピソードガイド
第81話「夢を呼ぶ夢」
Waking Moments

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・イントロダクション
廊下。歩いているキムにセブン・オブ・ナインが合流した。「キム少尉、ジェフリーチューブ 32のアルファに来てくれ。」 パッドを受け取るキム。「仕事終わったとこなんだけどな。」 「緊急事態だ。」 「うん。」
自室で寝ているトゥヴォックに通信が入った。『ブリッジからトゥヴォック少佐。』 体を起こすトゥヴォック。「トゥヴォックだ。」 『至急ブリッジにお願いします。』 「了解。」
ジェインウェイはゆっくりと歩き、明かりのついていない食堂へ入った。誰もいないようだ。「コンピューター、ライトを。」 反応がない。 「ニーリックス? 誰もいないの?」
シャトルに乗っているパリスにチャコティの声が届いた。『ヴォイジャーからパリス中尉。』 「パリスです。」 『調査は順調か。』 「あと一つ軌道を調べれば、全て終了です。」 『ご苦労。帰還を待つ。以上だ。』
廊下を歩くトゥヴォック。女性士官※1に声をかける。「ご苦労、少尉。」 「…どうも、少佐。」 トゥヴォックを避けるように歩くクルー。周りの者の視線がトゥヴォックに注がれる。
ジェフリーチューブの階段を下りるセブンとキム。セブンはキムを見つめている。パッドで確認するキム。「君の調整は完璧だと思うけどなあ。」 「当然だ。」 「……だったら、どうして確認を頼むんだい?」 「頼んでいない。」 笑うキム。「じゃあなぜ僕をここに。」 「トレス中尉とパリス中尉から学んだのだ。人間は互いに親密になるために口実を必要とすると。」 「親密?」 いきなりセブンはキムを壁に押しつけた。「抵抗は、無意味だ。」 口付けをするセブン。抵抗できないキム。
パリスの乗っているシャトル内で突然爆発が起こり、蒸気が噴出した。「パリスからヴォイジャー!」 『こちらヴォイジャー。』 「エネルギー供給パイプが破裂しました。コントロールが利きません。補助パワーは使用不能。スラスター反応なし。」 『もう一度頼む。よく聞こえない。』 「軌道が下がってる。もちこたえられません!」 『繰り返してくれ。』 「大至急、転送してください。」 『パリス中尉、応答せよ。』 揺れ続けるシャトル。
食堂のジェインウェイ。「ニーリックス?」 厨房からニーリックスが出て来た。 「何か御用スか?」 「みんなは?」 「艦長、見なかったんスか?」 「何も。」 「こちらへ。」 ジェインウェイを食堂の隅へ先導するニーリックス。「コンピューター、ライトを頼む。」 そこには、皮膚が青く変色した 4人のクルーが、座ったままで死んでいた。クモの糸のようなものに絡まれている。
ブリッジへ入るトゥヴォック。「トゥヴォック少佐、出頭しました。」 ブリッジにいたジェインウェイたちクルーが、一斉に振り返る。その途端、みんな笑い始めた。理解できないトゥヴォック。「何でしょうか?」 「あ……何か、忘れてるんじゃないか?」というパリス。 トゥヴォックは自分の体を見た。何も身に付けていない。「そのようだ。急いで出頭せねばと思い、制服を着るのを怠ったらしい。」 その言葉で、また笑いが起こる。トゥヴォックはターボリフトに戻った。ドアが閉まる。すると、ターボリフトの中に、1人の異星人がいるのに気づいた。こちらを見ている。
「どうしたっていうの?」と尋ねるジェインウェイ。「死んだんです」というニーリックス。 「どうして。」 「地球へ帰さないからっスよ」とニーリックスは言った。その横に、異星人が立っていた。驚くジェインウェイ。
パリスのシャトルは地表へ落下していく。目の前の窓の外に、異星人が下からニュッと顔を出した。
キムはセブンとのキスを終えた。目を開いたキムは絶叫する。異星人がいたのだ。
ベッドの上で絶叫するキム。激しく動揺しているが、目は覚まさない。
トゥヴォック、ジェインウェイ、そしてパリスは、それぞれの部屋のベッドで目覚めた。

※1: (Jennifer Gundy) 声:小池亜希子

・本編
あくびをしながらガウンを着るパリス。ドアチャイムが鳴った。いたのはトレスだ。「おはよう」というパリス。 「おはよう。よく寝た?」 「そうでもない。どうして部屋まで?」 「ちょっと寄ってみただけ。なぜ…朝食をすっぽかしたのかと思って。」 「朝食? 今何時?」 「7時40分。」 「えーと確か 7時に食堂でって約束してたんだよな。」 「その通り。私は夜勤が明けて直行した。待ってた。待って部屋にも連絡して…」 「いやあ、だから…気づかなかったんだ。すごく嫌な夢を見ちゃって。死にそうな夢。ごめん、すぐ着替える。」 「8時にはブリッジに行かなきゃならないんでしょ。もう寝るわ。」 出て行こうとするトレス。 「ああ、ちょっと待ってくれよ。じゃあいつ会える。」 「うーん、金曜の夜は?」 「OK。スキーに行こう。そうだな。サンモリッツ※2は。」 「この前もスキーだった。」 「楽しかったろう? 随分上達した。」 「マイナス30度の風に吹かれるより、もっとあったかいところに行きたいの。例えば…フィジー※3とか、サモア※4とか。」 「何もないとこだぞ。」 「だったら日光浴をしてればいいわ。」 「じゃあ、中を取ってだな…あー、チリ※5で春スキーは? あったかいよ。」 パリスの首に腕を回すトレス。「中を取って…タヒチ※6はどう?」 「タヒチね。水上スキーができるなら。」 「いいわよ。」 キスをする 2人。「早く着替えて。コーヒーくらい飲んでった方がいい」といい、トレスは部屋を出て行く。「金曜に」というパリス。
食堂に入るパリス。まだ目をこすっている。厨房のニーリックス。「おはよう。何にする? スクランブル? 目玉焼き?」 「コーヒーだけでいい。」 「ほんとに? 朝食ってのは一日の基本なんだぞ。」 「ニーリックス。」 「はいよ。」 カップに注がれる。それを一口飲んだパリスは、たまらずカップの中に液体を戻した。「ニーリックス、お前寝不足か何かか?」 「何でだよ。」 「お前が入れてくれたの、コーヒーじゃなくて油だ。」 慌てるニーリックス。「そうなんだ。あんたの言う通り眠れなかった。やな夢見て。」 「実は、俺もなんだ。」 「満月のそばを通ったのかもな。魔力があるっていうから。まあコーヒーでも飲んで目を覚ますこった。」 「お前こそ少し飲んで目を覚ませ。」 カップを持ったまま食堂を出て行くパリス。
作戦室からブリッジに入るジェインウェイ。「今日は人手不足のようね」とチャコティに言う。「トムとハリーが遅れてます。後 5分待とうと思ったんですが、呼びましょうか。」 「構わないわ。私も遅刻したんじゃない?」 「触れないでおきましょう。寝不足のようですが。」 「ベッドには早く入ったんだけど、嫌な夢を見て、それからずっと眠れなかったの。」 「教えて。私も教える。」 パリスがブリッジに出頭する。「遅れてすいません。」 渋い顔をするジェインウェイ。チャコティに尋ねる。「で?」 「父と森の中で、なぜか小さい頃大嫌いだったはずのシカ狩りをしているんです。追いつめたシカを、父がどうするのか見ていると、突然父の姿が凶暴な異星人に。」 「私の夢の中にも異星人が出て来たわ。今までに一度も見たことない種族よ。鋭い隆起が額や、首の前の方に。」 「私のもそうです。」 パリスが口を挟む。「あの、ちょっと聞こえちゃったんですが、俺も夢を見たんです。同じ異星人が出て来ました。」 ジェインウェイは尋ねる。「トゥヴォック? もしかしてあなたも嫌な夢を見なかった?」 「確かに不快を伴う、嫌な夢を見ました。顔と首に隆起のある異星人に関する夢です。」 「ただの偶然では済まないわね。上級士官を集めて同じ夢を見たか聞いてちょうだい。そういえばハリーはまだ?」 「ブリッジからキム少尉」というチャコティ。応答はない。 ジェインウェイ:「コンピューター、キム少尉は?」 『まだ自分の部屋にいます。』 「トゥヴォック。」
2人はターボリフトに入る。指示するジェインウェイ。「第6デッキ。ハリーも今、例の異星人の夢を見てるような気がするの。」 「我々の経験からいえば、可能性は十分です。」 「あなたの夢も聞かせて。どこで異星人に遭遇したの?」 「実を言うと、このターボリフトの中です。」 「それで?」 「まるで調査でもしているように、私を見つめていました。」 「私の夢もそうだった。それから?」 「部屋に戻りました。」 「異星人も付いて来た?」 「はい。」 「それで?」 「見ていました。」 「何を。」 「服を着るのを。」 「……あなたが?」 「そうです。」 「理由は聞かない方が良さそうね。」 「できれば、そう願います。」 ドアが開いた。
ジェインウェイはトゥヴォックをチラチラ見ながら、微笑んでいる。キムの部屋の前に来た。ボタンを押すが、ロックがかかっている。呼びかけるジェインウェイ。「ハリー? ハリー?」 ドアを叩いても返事がない。トゥヴォックは命じた。「コンピューター、1-0-5 ダッシュ2 のドア、オープン。トゥヴォック、シータ 9 だ。」 中に入る。
寝ているキムに声をかけるジェインウェイ。「ハリー?」 大量の汗をかいている顔に手を触れる。「ハリー、起きて。」 トゥヴォックと顔を見合わせ、ため息をつくジェインウェイ。
「昏睡状態?」 ジェインウェイはドクターに尋ねる。「そうではありません。レム睡眠の状態がずっと続いてるんです。目を覚まさせようとあらゆる方法を試しました。薬物投与、皮膚への刺激、全て効果ありません。」 「原因について心当たりは?」 「ウィルス性や細菌性の病原菌ではありません。頭部の外傷も、神経疾患もない。ただ、寝てるだけです。」 ベッドの上には他のクルーも寝ている。「私たちの夢のに出て来た異星人と、何らかの関係があると思って良さそうね。」 「正体はつかめそうですか。」 「全クルーの総力を挙げて調査中よ。あなたから何か提案は?」 「アニマジン※7の投与です。」 「薬は効かなかったんじゃない?」 「そうです。だが予防にはなる。確かな原因を突き止めるまで、あなた方は眠らない方がいいでしょう。」
会議室。モニターを見るクルー。パリス:「額の隆起は、もう少しはっきりしてたなあ。」 トレス:「コンピューター、額の隆起をもっと高くして。あと、4センチ。」 表示された異星人の姿に修正が加えられる。 パリス:「近くなった。」 チャコティ:「目はもう少し離れてた。」 トレス:「コンピューター、目の間をあと 3センチ広げてちょうだい。肌の色を濃くして、しわを入れてみて。」 更に修正が入る。 ジェインウェイは画面を指差した。「こいつよ。」 チャコティ:「この種族を見たことがある者。もちろん起きてる時にだ。」 誰も答えない。「セブン」というチャコティ。 セブン:「ボーグが同化した、どの種族にも似ていない。」 パリス:「俺たちの想像の産物なのか。」 トレス:「全員が同時に同じものを想像するなんてことある?」 トゥヴォック:「異星人がテレパシーで、我々に接触を図ったのかもしれん。」 ジェインウェイ:「それにしては過激すぎるわ。6名のクルーが未だに眠ったままなのよ。攻撃とみなした方が自然じゃない?」 セブン:「どこからのだ。この付近に宇宙船は一隻も探知されていないし、人類が生息可能な惑星も一つもない。」 パリス:「どこを探す?」 チャコティ:「夢の中だな。異星人を見た唯一の場所だ。彼らの狙いが知りたければ、懐に飛び込むしかない。」 トゥヴォック:「それで、どうすれば。」 「明晰夢※8を見る。」 トレス:「何それ?」 「自分で夢をコントロールしながら見る夢だ。」 パリス:「一度見たことがある。落ちる夢を見た時、急にこれは夢なんだって思ったんだ。飛ぶことも、着地することもできるって。夢の中でコントロールしてた。」 「偶然起きたと思えることでも、コントロールできるんだ。私はヴィジョンクエストと同じ技術を使って、明晰夢を見ることができる。この異星人とも接触を測れるかもしれん。」 ジェインウェイ:「だとしても、あなたがまた目覚められるという保証は?」 「これは自己催眠の一種です。眠りに入る前に目印を選んで、それを見たら夢だと自覚できるようにします。例えば、月を見たら手の甲を 3回叩けば目覚められるとか。」 トゥヴォック:「通常の状況下ならそれも可能かもしれませんが、今回見る夢は、通常の夢ではありません。」 「じゃあこれ以外に異星人の正体を突き止め、ハリーたちを起こせる方法が? 君らだって早く眠りたいだろう?」 ジェインウェイ:「医療室でやって。ドクターに監視させるわ。ほかの者は船内を徹底的に調べ、異星人がいたら、身柄を拘束してちょうだい。必ず。」
「通常、睡眠は健康を維持する上で非常に重要なものです。しかし、この場合は勧められません。」 ベッドで横になっているチャコティに話すドクター。「医師としての忠告は感謝するが、選択の余地がないんだ。」 「視床下部の調整を助けます。」 頭部に小型機械がつけられる。 「我々の力だけは起こせません。ご自分で制御を。」 「わかった。」 「いい?」と尋ねるジェインウェイに、うなずくチャコティ。「いい夢をね。」 チャコティは目を閉じた。アクーナ※9を手にしている。「ア・クー・チ・モヤ。聖なる祖先の地を遥か離れ、はらからの魂を思い、ここに眠りを乞う。夢に現れた異星人に会わせたまえ。」 チャコティは睡眠状態に入った。
チャコティは通路を歩いている。目を開けた。槍を持っていることに気づく。目の前をシカが通った。槍を構えるチャコティ。シカは動きを止めたように見えたが、食堂へ逃げていく。チャコティは追いかける。
槍を肩の位置で構えたまま、食堂に入るチャコティ。ふと、窓の外の宇宙空間に、大きな満月が浮かんでいるのに気づいた。満足するチャコティ。入って来たのと反対側のドアへ進む。それが開くと、シカがいた。シカはすぐに形を変えていき、あの異星人※10の姿になった。チャコティは槍を使おうとしたが、払いのけられてしまった。チャコティに迫る異星人。

※2: Saint Moritz

※3: Samoa

※4: Fiji

※5: Chile

※6: Tahiti

※7: animazine

※8: lucid dreaming

※9: akoonah
VOY第80話 "Mortal Coil" 「大いなる森への旅」など

※10: 夢異星人 Dream Alien
(Mark Colson) 声:中村秀利

チャコティの首を絞める異星人。それをはねのけ、再び襲いかかって来たところを後ろ手にした。「これは夢だ。俺の夢だ。勝手にはさせん。」 「それは違う。」 「なぜだ!」 「これは夢ではない。私には現実だ。ほかの連中と同じだ。」 「ほかの?」 「覚醒してる種族※11だ。お前らは睡眠と呼ばれる状態で、我々を発見しては滅ぼそうとしてきた。しかしもう、そうはいかん。今や主導権は我々にある。お前らを眠らせ、我々の世界へとおびき寄せるのだ。お前の墓場となる世界へな。」 「俺たちに何をした。夢で姿を見るまで、その存在すら知らなかった。クルーを起こしてくれれば、君らの邪魔はしない。」 「お前が眠っている限り、脅威ではない。」 「俺はいつでも目覚められる。起きたらすぐに、お前を探すとしよう。俺たちの世界でお前を捕まえる。それでもいいのか。」 「この領域を去るのだ。そうすればお前の仲間は目覚める。」 「どのくらい移動すればいいんだ。」 「1パーセクほど先に、第6惑星まである星系がある。そこの境界線が一番近い。」 「1日で出られるな。」 「では起きるのだ。二度と我々の夢を見ないことを祈る。」 チャコティは、手の甲を 3回叩いた。
医療室のベッドで体を起こすチャコティ。喜ぶドクター。「おめでとうございます。無事お目覚めを。」 ジェインウェイ:「チャコティ。」 チャコティ:「大丈夫。」 「異星人とは会ったの?」 うなずくチャコティ。「それで?」 「こんなに興味深い任務は経験したことがありません。ブリッジへ向かいながら報告を。」 ベッドを下りる。
ブリッジ。チャコティと共に戻ったジェインウェイは命じる。「トゥヴォック、第6惑星までをもつ星系をスキャンして。1パーセク先にあるはずよ。」 「スキャン済みです。座標は 139、マーク 42。」 「トム、コースを設定。」 パリス:「了解。設定完了。どこに向かってるんです?」 チャコティ:「異星人の領域を出る。ハリーたちを起こす交換条件だ。」 「じゃあ俺たちは眠れるってわけだ。」 ジェインウェイ:「それはどうかしら。」 チャコティ:「異星人は有機体の身体をもっているらしいんですが、夢でしか接触できません。夢が彼らの現実なんです。」 「不思議だわ。」 「オーストラリアのアボリジニー※12と同じだ。彼らは夢の世界も現実であると考えてました。現に彼らに伝わる神話では、先祖は宇宙の存在を夢に見てたそうです。」 「それは神話。これは現実よ。」 「しかし、彼らはなぜ、このような進化の道を。」 「わからないわ。彼らには二度と会わないかもしれないし。」 微笑むチャコティ。
ブリッジ。報告するパリス。「間もなく境界線を突破します。」 ジェインウェイ:「トゥヴォック、ドクターに知らせてちょうだい。」 「了解。」
トリコーダーでキムを診察するドクター。「起きなさい、少尉。」 キムは目を開いた。「ああ…僕は何を。」 「お昼寝だ。」 「医療室で?」 「なかなか起きないもんでね。」 「どのぐらい?」 「17時間だ。君も悪夢に悩まされてたんじゃないのかね?」 「ああ、目覚めの悪い夢を見た。」 「話してくれ。」 「いいとも。実は、僕は廊下で…」 医療室のドアが開き、セブンが入って来た。 「艦長から天体スキャンの結果を渡すように言われた。クルーの催眠を解明する手がかりになると考えたらしい。」 ドクター:「ご苦労。」 「キム少尉、ジェフリーチューブ21 のベータに来てくれないか。」 キムは応えない。 「何か不都合でも?」 「いや、ただ…まだボーッとしてるもんで。」 「では回復するまで待つとしよう。」 ドクターは記録を続ける。「続けよう。どんな夢を見たんだね。」 キム:「ああ……悪いんだけど、何か腹減っちゃって。17時間も何も食べてなかったもんだから。」 いそいそと医療室を出て行くキム。 「いいだろう。何か腹に入れ、着替えて 1時間以内に戻りたまえ。」 「じゃあ後で。君もね、セブン。」 無理矢理笑みを浮かべ、キムはドアの向こうへ消えた。セブンはドクターと顔を見合わせた。
食堂で、ニーリックスはトレスに夢の話をしている。隣のテーブルにはトゥヴォックがいるが、話には加わっていない。「次の場面では、自分が作ったレオラの根っこ※13シチューん中で生きたままグラグラ茹でられてた。」 「まさに悪夢ね。」 「…でもいいダシが出んのよ。」 キムが食堂に入るのに気づいたトレス。 「あら、眠り姫の登場だわ。」 キム:「おかげで気分爽快。」 ニーリックス:「みんなも起きたの?」 「全員どこにも、異常なし。」 トレス:「座って。今夢の話をし合ってたところなの。」 ニーリックス:「あんたのは?」 キム:「ああ…僕のは…大したもんじゃない。普通の夢だ。ほんと。」 トレス:「誰の夢?」 「……いつも夢に見てる人。」 笑う 3人。キムはトゥヴォックに話題を移す。「僕の夢なんかより、トゥヴォックの夢を聞こう。」 ニーリックス:「そうっスよ少佐、ヴァルカン人の夢ってどんなの。」 「さぞ気味の悪い夢なんだろうね。」 トレス:「興味あるわ。ヴァルカン人の見る悪夢って。」 ニーリックス:「遥か彼方の星に追放され、そこでのコミュニケーション手段はただ一つ。笑い声だけ。」 爆笑する 3人。「早く教えてよ」というトレスだが、トゥヴォックは「わざわざ自分から笑い者になる必要はない」と言った。突然、船が揺れた。ジェインウェイの声が流れる。『非常警報、全員戦闘配置につけ。』
報告するパリス。「今度は別の方角からです。」 ジェインウェイ:「補助パワーをシールドに集中。」 スクリーンに映っている船が攻撃してくる。 「反撃開始」と命じるジェインウェイ。トゥヴォックとキムがブリッジへ入る。 チャコティ:「敵艦にダメージなし。敵のシールドを打破できません。」 ジェインウェイ:「光子魚雷装填。最近いろんなところで目のかたきにされるわね。」 トゥヴォック:「シールド停止!」 「発射!」 チャコティ:「魚雷発射管が開きません。」 「原因は?」 トゥヴォック:「全システムからパワーが漏れています。」 キム:「呼びかけです。」 ジェインウェイ:「スクリーン、オン。」 映し出されたのは、あの夢の中の異星人だった。『艦長、キム少尉、チャコティ副長。起きている君たちに会えて、嬉しいよ。』

※11: waking species

※12: Australian aborigines

※13: leola root
野菜。VOY第11話 "State of Flux" 「裏切り者」など。訳出されていません

「ジェインウェイから機関室。大至急補助パワーをエンジンに回して。」 異星人はいう。『それは不可能だぞ、艦長。』 「ベラナ、報告を。」 機関室のトレス。『船の周りに妨害シールドが張られています。エンジンも武器も、シールドも機能しません。』 チャコティ:「俺をだましたのか? ヴォイジャーをおびき寄せるための罠だったんだな。」 異星人:『お前もやっと我々のことがわかってきたようだな。ただちに船を明け渡すのだ。』 トゥヴォック:「艦長、敵艦が更に 3隻接近。武器を起動しています。」 ジェインウェイ:「この船を奪うのに随分骨を折ってるようね。だったら破壊するはずがないわ。」 異星人:『その必要はない。』 その瞬間、ブリッジに何人もの同じ種族の者が姿を現した。武器を持っている。トゥヴォックはフェイザーを撃とうとするが、機能しない。ジェインウェイ:「全クルー攻撃に備えよ。直ちに防衛手段オメガをとれ。」 異星人のリーダーは言った。「無駄だ。全デッキを占領した。船は、我々のものだ。」
異星人に先導され、ジェインウェイをはじめとするクルーは全員貨物室にまとめられる。先に貨物室に連れてこられていた士官が、「艦長」と声をかける。集まる上級クルー。 チャコティ:「俺は奴らのしかけた罠を交渉だと思っていたようだ。」 ジェインウェイ:「あなたのせいじゃないわ。」 キム:「夢と現実を行き来できるなんて、どうして。」 トゥヴォック:「夢に入ってきたのは、我々の調査のためだ。弱点を探していたのだろう。」 パリス:「全てはこうしておびき出すためか。」 チャコティ:「船を取り戻さねば。」 ジェインウェイ:「まずはここから出なくちゃ。」 トレス:「ジェフリーチューブは封鎖されてます。」 「手動で開けられない?」 チャコティ:「それは疑問です。監視されている。」 トゥヴォック:「迂回路を確保せねば。」 ジェインウェイ:「何かアイデアは?」 セブンは「私に一つある」というなり、キムの胸ぐらをつかみ、床へ投げ倒した。異星人の監視が「やめろ!」という。怒るキム。「何するんだよ、セブン!」 セブンは小さな声で「迂回路を確保する」といい、もう一度キムに近づいた。「キム少尉、捕えられたのはお前のせいだ!」 キムを殴るセブン。「お前もやり返せ。」 キムは殴ろうとするがすぐにかわされる。2人を止めようとする士官たちも入り乱れる。その隙にジェインウェイは指示を出す。「トム、ジェフリーチューブに行ってちょうだい。あなたたちはパワーグリッドの調査に。」 その場を離れるパリス、チャコティとトレス。異星人は必死に喧嘩を止めようとしている。「やめろ! やめろ!」 その場へ近づいていくジェインウェイ。「何事なの。私に任せてちょうだい。少尉、いいから下がって。」
チャコティとトレスは奥に行き、周りの様子を伺いながら作業にとりかかる。隔壁を外すと、中にモニターがある。その時、モニターに満月が映っているのにチャコティは気づいた。凝視するチャコティ。「どうしたの?」と尋ねるトレス。「これは夢だ。」 「何言ってるのよ。」 その場を離れようとするチャコティ。突然、異星人が姿を現し、チャコティを捕えた。「チャコティ!」というトレス。チャコティは腕をつかまれながらも、右手で左手の甲を 3回叩いた。
医療室のベッドで目を開き、体を起こすチャコティ。ドクターがいる。「チャコティ副長、お目覚めです。」 「本当に、起きたのか?」 「もちろんです。」 ベッドから下りたチャコティは、モニターやガラスを確認している。「何してるんです」と尋ねるドクター。 「月だ。」 「え?」 「どこにもない。」 手の甲を 3回叩くチャコティ。何も起こらない。「艦長は?」と尋ねる。 「眠ってます。ほかのクルーも全員。」 「全員?」 「そうです。ホログラムの私以外。」 「何があった。」 「あなたが睡眠に入って間もなく、一人ずつ眠り始めたんです。起こそうとあらゆる手を尽くしましたが、効果はありません。39時間になります。」 「俺は 2日間も寝てたのか?」 「クルーもそろそろ、栄養補給が必要な頃です。」 「奴らに起きてると、思わされてた。」 「あなただけじゃない。見て下さい。」 「これは?」 モニターにグラフが表示される。 「脳の電気活動が高められて形成された、神経フィールド※14です。眠っているクルー全員に起こっています。それだけじゃない。これはキム少尉の脳波。完全にレム睡眠に入っていることを示しています。これはフォスター乗務員の脳波。」 脳波は同じ形をしている。「そっくりだ。」 「トレス中尉、ジェインウェイ艦長、トゥヴォック少佐。原因は不明です。」 「もしかすると、彼らは全員、同じ夢を見てるのか。」

※14: neurogenic field

歩きながら考えるチャコティ。「全員が俺と同じ夢を見てるんだ。」 「だとすれば脳波パターンが一致するのもうなずける。同じ夢をそれぞれの立場で見ているわけだ。」 「そうだ。俺も全員と言葉を交わした。異星人の攻撃をかわそうと闘っていたんだ。」 「夢の中で?」 「これは現実だ。」 「副長?」 「これが奴らの戦い方なんだろう。現実の世界のどこかに、奴らの仲間がいるはずだ。しかも眠っている。起きてる状態では、我々にかなわないことを知ってるんだ。夢の中では奴らに手出しはできん。だがこの世界で闘うなら、勝算はある。」 「不審な生命体をスキャンしても何も見つからなかったじゃないですか。」 「探し方を間違えたんだ。奴らがいるとすれば必ず眠ってる。恐らく通常のスキャンの仕方では探知できないんだろう。」 「どうすればいいんです。」 「この神経フィールドを使うんだ。レム睡眠に入っている者の特徴だろう?」 「ええ、そうです。…つまりこの神経フィールドをスキャンすれば、異星人にたどり着けると。」 「用があれば、ブリッジにいる。」 医療室を出ていくチャコティ。
ブリッジ。操舵席でパリスが寝ている。ドクターがやってきて、チャコティにハイポスプレーを打つ。「エネルギー補給の時間です。もう眠られては困る。そうそう、ここにいるクルーたちは、医療室を拡張してくれという私の頼みを無視された結果です。」 コンピューターに反応がある。 「何です?」とチャコティに尋ねるドクター。 「神経フィールドをスキャンして突き止めた。ここから 1光年以内にある惑星から誘発されている。悪いな、トム。コースを変更させてくれ。」 チャコティは寝ているパリスを横へどけ、コースを設定した。いびきをかくパリス。眼球を動かしている。
貨物室に集まっているジェインウェイたち。 ニーリックス:「これは夢って、一体どういうことよ。」 トレス:「わからない。でもチャコティが消える前確かに言ったの。」 ジェインウェイ:「夢なわけないわ。ちゃんと私たちとも話してたじゃない。」 「突然ハッとして、まだ眠ってるっていいながら手の甲を 3度叩いたんです。自分の目を覚ますように。」 「そして消えた。」 「問題は一つ。どこに消えたか。」 キム:「異星人がどこかに転送したんだろう。」 トゥヴォック:「もしくは目が覚めたか。」 トレス:「トゥヴォック。」 「これは全て夢なのかもしれん。」 ジェインウェイ:「ちょっと待って。これがチャコティの夢だとしたら、もう覚めたはずよ。」 「全員同じ夢を見てるのかも。」 トレス:「わけわかんない。」 ニーリックス:「俺も同感だ。」 トゥヴォック:「我々は、全員同時に悪夢を見た。夢の中で生き続けているという異星人についての夢だ。今も同じようなことが、起きているのかもしれん。」 キム:「そんな馬鹿な。こうしてちゃんと…」 ジェインウェイ:「待って。」 トゥヴォック:「夢の中では、自分が眠ってるとは思ってない。」 「夢を現実と混同することがあることはわかってる。でもいくらなんでもこうしてお互い話しあえるかしら。」 ニーリックス:「もしかしたら…」 トレス:「もしかしたら、何。」 「話していないのかも。これはここにいる、誰か一人の夢なんだ。俺の夢かもしんない。誰もここにいない。」 トレス:「残念ながら私はちゃんとここにいる。」 少し離れて会話を聞いていたセブンはつぶやいた。「集合無意識。」 ジェインウェイ:「セブン、こっちへ。」 近づくセブン。 「ボーグは集合意識を共有するが、この種族は集合無意識を誘発することができるのだろう。」 トレス:「つまり、同じ夢を共有してるってこと?」 トゥヴォック:「可能性はある。」 ジェインウェイ:「興味深い推測だわ。でも確証をつかむまでは船を取り返すことに専念しなきゃ。」 作業を終えたパリスが戻って来た。「ジェフリーチューブのハッチを開けてきました。」 ジェインウェイ:「ご苦労様。ニーリックス、セブン、キム。ガードの気を逸らしてちょうだい。私たちは作戦を立てましょう。」
ドアを力ずくで開けるトゥヴォック。トレス、ジェインウェイと共に機関室に入る。ワープコアは止まっている。 ジェインウェイ:「完全にパワーが漏れてる。」 トレス:「妨害フィールドでワープコアに近づけません。」 トゥヴォック:「なぜ機能不全に陥った船を乗っ取るのでしょう。」 ジェインウェイ:「トゥヴォック、フェイザー銃をいくつか持ってきて。」 コンピューターを操作するトレスに近づくジェインウェイ。 「妨害フィールドを停止させようとすれば、異星人に気づかれるような気がするの。」 「フィールドには、振動反転技術が使われています。振動数さえわかれば、ここからメインパワーを起動させられるかもしれません。」 ワープコアが動き始めた。 「直ったみたい」というトレス。 『警告。ワープコア崩壊まで 60秒。』 ジェインウェイ:「そう甘くないわ。」 トレス:「どういうこと。」 「コアを放出できる?」 「やってみます。だめだわ。」 『ワープコア崩壊まで 50秒。』 蒸気が噴出する。 トレス:「早く脱出しなくちゃ! 周囲に抑制フィールドを張っておきます。」 『ワープコア崩壊まで 40秒。』 トレス:「やった。急いで!」 ジェインウェイ:「どうしてコアを放出できなかったのかしら。」 『ワープコア崩壊まで 30秒。』 ジェインウェイ:「何かがおかしいわ。」 機関室の入口で待つトゥヴォック。「艦長! 急いでください。」 ジェインウェイ:「私は戻る。」 トレス:「死にたいんですか!」 『ワープコア崩壊まで 20秒。』 ジェインウェイ:「気になることがあるの。先に行って!」 トゥヴォック:「艦長!」 「これは命令よ!」 『ワープコア崩壊まで 10秒。9、8、7、6、5…』 外に出るトゥヴォックとトレス。『4、3、2、1。』 大音響と共に衝撃が走る。だがドアが開き、全く無傷のジェインウェイが出てきた。「反物質爆発に耐えられる体質になったか、……まだ夢を見てるかね。」


トレス:「船にも異常なし。理解できません。」 ジェインウェイ:「今起きてることが、夢ではなく、全て現実だったとしたら理解できないことばかりよ。チャコティは失踪し、ワープコアは放出できなかった。でも明晰夢なら、自分でコントロールできるはずでしょう? だから、試したの。」 トゥヴォック:「もっと危険の少ない方法でも、仮説は立証できたはずです。艦長として、命をかけるような行動はすべきではない。」 「ご忠告、ありがとう。」 トレス:「夢だとわかったのはいいけど、どうすれば。」 トゥヴォック:「まずは、夢から覚める方法を探ろう。」
コース設定を続けるチャコティ。ブリッジにジェインウェイとドクターがやってきた。「どうやって起きたんですか」と驚くチャコティ。 ジェインウェイ:「あなたと同じよ。」 「じゃあ…」 「すぐにみんなも起きるわ。」 パリスを起こすドクター。「朝だぞ、ミスター・パリス。」 チャコティ:「できるだけ奴らの星から離れましょう。」 ジェインウェイ:「そうね。」 「コースを変更してみます。」 スクリーンを見上げたチャコティは、動きを止めた。 ジェインウェイ:「どうかした?」 スクリーンに、満月がある。 チャコティ:「これも夢です。」 「そんな馬鹿な。」 チャコティは手の甲を 3度叩いた。何も起こらない。「ねえ?」と尋ねるジェインウェイ。 「違う」とチャコティはつぶやき、また甲を叩く。 ジェインウェイはドクターに近づく。「ドクター?」 「妄想です。混乱している。ほかのクルーも同様の症状が出るかもしれません。鎮静剤を打っておきましょう。」 抵抗するチャコティ。「やめろ! 俺は起きていたいんだ。」 「あなたのためです。」 パリスがチャコティを羽交い締めにする。叫ぶチャコティ。「やめろ!」
ハイポスプレーを打たれたチャコティは、操舵席で目を覚ました。ドクターが言う。「もう大丈夫。起きました。」 スクリーンには惑星が映し出されている。 「何があった?」と尋ねるチャコティ。 「またお休み。」 「自分で起きることができなかった。」 ブリッジには、まだ寝ているたくさんのクルーがいる。 「神経フィールドの誘導体に近づいたため、起きていられなくなって。」 「すぐに降りて、フィールドを中和しよう。」 チャコティを抑えるドクター。「待って下さい。これは高密度のアニマジンです。また眠りそうになったら使って下さい。副長! 回線は開いておいて下さい。四六時中、目の覚めるような言葉を浴びせましょう。」 ハイポスプレーを受け取ったチャコティは、急いでターボリフトに乗る。
廊下を歩くジェインウェイたち。手の甲を 3回叩いてみるジェインウェイ。「効果ないわ。」 トゥヴォック:「チャコティとドクターが手を尽くし、我々を起こそうとしているはずです。」 「ほかのクルーにも事実を知らせなきゃ。夢だと自覚している限り、害はないはずよ。」 トレス:「異星人が妨害してきたら?」 「彼らのこの夢の世界を、悪夢に変えるだけ。」 ジェインウェイはトゥヴォックからフェイザーライフルを受け取った。
惑星の洞窟。チャコティが転送される。「ドクター、上陸した。」 『了解、副長。』 トリコーダーを使いながら進むチャコティ。すると、開けた場所に何人もの異星人が横たわっていた。みんな寝ているのだ。
ジェインウェイたちは貨物室を見張っている異星人に近づく。「下がりなさい」というジェインウェイ。リーダーが姿を見せた。「お前らの武器は効果がない。」 「もうだまされないわ。夢だってことはわかってる。」 「混乱しているのだ。」 「残念ね。状況ははっきり把握しているわ。」 「撃て。」 異星人の部下はジェインウェイとトゥヴォックに向けてエネルギー銃を発射した。しかし全く効果がない。たじろぐ異星人。「さあ、下がりなさい!」といい、貨物室に入るジェインウェイ。クルーに伝える。「みんないい、よく聞いて。これは全て夢よ。自分の夢をコントロールして。それができれば、彼らは私たちに手出しできないわ。」 ジェインウェイに近づく異星人リーダー。「勝ち誇ったような口を利くな。」 「いけないかしら。」 「現実の世界で自分の身体がどうなっていると思う? いつまで生きていられると思うのだ。食事もせず、体を動かすこともせずに。お前たちの身体は壊滅しかけている。止めることはできん。」 「それはどうかしら。」
「送信機の一種のようだ。これで神経フィールドを増幅させてるに違いない。」 チャコティの通信を聞き、医療室のドクターは 「切れますか?」と尋ねる。 「フェイザーで破壊しようと思ったが、フォースフィールドが張られてるらしい。」 眠気に耐えられず、目を抑えるチャコティ。「副長?」 「済まない。どうも集中力が。」 「薬を打って下さい。」 ケースからハイポスプレーを取り出すチャコティ。「このアニマジンは強力だと言ったな。」 「はい、すぐに打つことをお勧めします。」 「この異星人は、俺たちより弱そうだ。」 「それはいい知らせだ。いいから早く薬を。」 「恐らく我々よりも刺激にもろいだろう。」 『どういう意味です?』 「アニマジンで誰かしらを起こすことができるはずだ。」 「比較薬理学の議論なら、後でお相手をします。まずは薬を投与して下さい。」 「それより、ここにいる友人の一人に譲るとしよう。」 「何を考えてるんです。」 『一人でも起こせば、このジェネレーターを停止させられるかもしれん。』 「アニマジンは一回分しか渡してません。副長が眠ってしまったらどうするんです。」 「ドクター、ブリッジへ行っといてくれ。」 「副長!」 『これは命令だ! ブリッジへ行き、この場所を狙って光子魚雷をセット。」 「正気ですか。あなたを灰にしろと。」 「そうじゃない。異星人と、送信機も一緒にだ。5分以内に連絡がない場合に限る。いいな!」 「副長!」 「わかったな!」 「了解。」 チャコティはハイポスプレーを異星人の一人に打った。
夢の世界で、リーダーのそばにいた異星人が姿を消した。
目を覚ました異星人にフェイザーを向けるチャコティ。「送信機の止め方を教えろ。さもなければ撃つ。」
異星人のリーダーは「どこへ消えた?」という。「目を覚ましたんじゃじゃない?」というジェインウェイ。
おびえる異星人にチャコティは言う。「5秒だけ待つ。4、3、2…」 だがチャコティはフェイザーを取り落とし、その場に倒れた。
チャコティが夢の世界に突然現れた。「チャコティ!」というジェインウェイ。チャコティは異星人に近づく。「これで助ける人間はいなくなった」という異星人。 「仲間の洞窟を見つけた。現実の俺はそこにいる。あと 2分で爆撃するよう手配して来た。すぐに送信機を停止させろ。」 「お前もいるなら、一緒に殺されるはずだ。嘘をつくな。」 「嘘じゃない。俺が連絡しなければ、ここで互いに死ぬことになる。」 異星人は言葉を止めた。
「医療主任日誌、宇宙暦 51471.3。神経フィールドを中和することにより、全クルーを眠りから覚ますことに成功した。しかしながら、この経験は多くのクルーに後遺症を残してしまった。急性の不眠症だ。」
チャコティの部屋。なかなか寝付けない。ベッドから出る。
チャコティはパッドを持って食堂に入った。「コンピューター、ライトを。」 厨房からいきなりニーリックスが顔を出した。驚くチャコティ。 「すいません副長、おどかすつもりは。」 「朝食の準備にしては早いな。」 「キャビネットでも整理しようかと思いまして。眠れないんです。」 「俺もだ。」 「お茶でも入れましょうか。」 「いいね。」 「馬鹿げてるけど、最近眠りそうになる度に、もう起きられないんじゃないかって。」 パリスとキムもやってきた。 チャコティ:「ようこそ。」 パリス:「ホロデッキでホヴァーボール※15して、一汗流して来た。」 キム:「連続 3ゲーム。眠れると思ってね。」 ニーリックス:「ま、こうやって夜中に集まんのもまたいいもんじゃない?」 パリス:「ハ、よくいうよ。眠れるなら殺されてもいい。」 今度はあくびをしながらトゥヴォックがやってきた。 チャコティは「朝食にした方が良さそうだ」と言った。笑うキムたち。

※15: hoverball
スポーツ。TNG第67話 "Captain's Holiday" 「大いなるホリディ」など

・感想
スタートレックお得意の「どれが現実?」ストーリー。これまでのに比べると質は落ちますが、現実と夢が頻繁に切り替わるのが特徴でしょうか。
結局…この種族 (エンサイクロペディアでは "dream species" と表記) は何をしたかったんでしょうね。夢に引き込んで、船を航行不能にするまではわかるのですが、自分たちも寝ているんじゃ奪うこともできないような。彼らにとっては一種の娯楽 (暇つぶし?) とも思えます。


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