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TNG エピソードガイド
第118話「恐怖の宇宙時間連続体」
Cause and Effect

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・イントロダクション
※1エンタープライズのワープナセルが被害を受け、プラズマを噴き出している。
ライカー:「被害報告!」
クラッシャー:「艦内全域で怪我人多数!」
データ:「右舷エンジンナセル、直撃を受けました。…ドライブプラズマ、噴出。」
ラフォージ:「コア※2を至急閉鎖しろ!」
ロー※3:「慣性制動機、機能低下。姿勢制御、不能。」
ライカー:「こちらブリッジ、全員非常脱出ポッドへ!」
右舷ナセルが爆発した。回転する船体。
倒れるライカー。
データ:「コア、閉鎖失敗。反物質のタンクがやられました。」
ラフォージ:「コア、射出だ!」
「射出操作システムオフライン。コア、間もなく破裂。」
ピカード:「全員船を脱出しろ! …繰り返す、全員船を脱出しろ!」
ブリッジの中が燃え始めた。
エンタープライズは爆発し、木っ端微塵になった。


※1: このエピソードは、ライカー役ジョナサン・フレイクスの監督作品です。TNG で監督した 8話中、第95話 "The Drumhead" 「疑惑」以来 4話目となります (参考)

※2: 次のデータのセリフも含め「非常用コア」と訳されていますが、原語では "Initiating emergency core shutdown." 「緊急コアシャットダウン開始」と言っています。emergency は shutdown に係るわけで、「非常用コア」なるものはありません

※3: ロー・ラレン Ro Laren
(ミシェル・フォーブス Michelle Forbes) TNG第115話 "Power Play" 「亡霊反逆者」以来の登場。声:藤木聖子

・本編
通常航行中のエンタープライズ。
『航星日誌、宇宙暦 45652.1。エンタープライズ※4は、タイフォン星団※5と呼ばれる領域に入った。宇宙艦隊による探査は、これが初めてである。』
素早い動作でトランプを切るデータ。
カットしたライカー。「カードがくっついてることはないのかな?」
データは帽子を被っている。「大丈夫ですよ、副長? 完璧に切れています。」
指をもてあそぶウォーフ。「そうだといいが?」
データはライカー、ウォーフ、クラッシャーの順でカードを配る。「…8、エース、クイーン、そしてディーラーは 4。」
ウォーフ:「ノーベット。」
うなずくライカー。
データ:「10、7…これは使えない。…ドクターはクイーンのペアで? そしてディーラーは 9。……ドクター? 一番高い手の人からベットするんです。ドクターからですよ?」
クラッシャー:「そうだったわね。」 チップを置く。「それでは 10。…ウォーフ?」
「ジャック、4、2、6。」
「20。」
データもチップを追加した。
ライカー:「じゃ 20 に、50 上乗せだ。」
ウォーフ:「50?!」 つぶやく。「こっちはわかってるが、たとえゲームでもここで逃げたと思われたくない。」
クラッシャー:「乗るわ。」
データ:「お付き合いします。…7、ライカー副長にストレートの可能性。ジャック、クリンゴンにまだ勝機なし。」
データを見るウォーフ。
データ:「8、そしてディーラーは 9。」
クラッシャー:「…20。」
「付き合いきれません。」
ライカー:「20 に、上乗せ 100。」
ウォーフはカードを裏返した。「降りた。」
クラッシャー:「……200。」
ライカー:「200 に、上乗せ 300。」
ウォーフ:「ストレートは持ってないはずだ。」
クラッシャー:「すぐにわかるわ、そうでしょ?」 チップを入れた。「あなたの持ち札は?」
ライカー:「…負けだ。」
喜び、自分のものにするクラッシャー。
ライカー:「なぜブラフだってわかった。」
クラッシャー:「そんな気がしただけ。」
「勝負は技より勘かな?」
「ブラフの時は左の眉が上がるから。…冗談よ。」
通信が入る。『オガワ※6からドクター・クラッシャーへ。』
クラッシャー:「どうぞ?」
『医療室にラフォージ少佐が見えてます。』
「すぐ行くわ。」 ライカーの部屋を出て行くクラッシャー。

医療室。
ラフォージ:「キャットウォークが回ってるのかと思ったら…回ってるのは僕だった。フレッチャー少尉※7がつかまえてくれてよかった。ワープコアの底はすごく深いんですよ。」
トリコーダーで調べるクラッシャー。「症状から判断すると内耳炎だわ? 目まいも頭痛も説明がつくし。でも身体的兆候はないの。働き過ぎじゃないかと思うわ?」
ラフォージ:「…確かにタイフォン星団プロジェクトの準備で、徹夜続きでしたから。」
「ヴァータザイン※8を処方しておくわ、目まいは収まるはずよ。でも休む時間は、作らないと…自分で。」 クラッシャーの声が小さくなる。
「ドクター、何です?」
「前にもこういうことはなかった?」
「…いいえ?」
「ほんとに?」
「本当ですよ、なぜです。」
「変だわ…前にも同じ話をした気がするの。その時も、目まいにハイポスプレーを使ったわ。」
「こんな症状は初めてですよ、ほかの患者と勘違いしてるんでしょう。」
「いいえ、確かにあなただった。」 ハイポスプレーを打つクラッシャー。「とにかく、少し休息をとって 2、3日は高いところへ近づかないことね。」
「…ありがとう、ドクター。」
「おやすみ。」
「おやすみなさい。」

鼻歌を唄いながら、植物の剪定をするクラッシャー。寝間着姿でグラスに口を付ける。
ベッドに座り、本を脇へ置いた。ライトを暗くしてグラスを飲み干す。
横になり、目をつぶるクラッシャー。
すると、何かの雑音が聞こえてきた。人が話しているようにも聞こえる。
ライトをつけるクラッシャー。その時にグラスを床に落としてしまう。
雑音は聞こえなくなった。

観察ラウンジ。
星図を消すラフォージ。「これでわかるように、タイフォン星団は広大です。一番奥の恒星系調査には、2、3時間以内に探査機を発射しないと。」
ライカー:「そうだな、光度調査はどうなってる。」
「うーん、それが問題でしてねえ。」
ピカード:「というと?」
「光束分光計※9がまだ再調整中なんです。」
ライカー:「昨日オンラインになるはずだったろう。」
「昨日、天体力学研究班が新しいモジュールの取り付けを決めてしまって。」
データ:「重力量子偏光計※10を使ったらどうでしょう。同じ機能をもっています。」
ピカード:「それを使ってくれ※11。」
クラッシャー:「艦長、報告したいことがあります。」
「何だね、ドクター。」
「夕べ、私の部屋で声が聞こえました。…その時独りでしたから、気のせいだと思ったんです。でも今朝同じ時刻に人の声を聞いたという報告が 10件入りました。」
トロイ:「その声は何か言ってた?」
「…聞き取れなかったわ。」
ライカー:「データ、夕べセンサーに何か異常なものは。」
データ:「いえ、異常は報告されていません。」
「センサーの記録を、再チェックしてみてくれ。」
「わかりました。」
ピカード:「カウンセラー。」
トロイ:「夕べは何も感じませんでした。」
ラフォージ:「交信システムを調べます。」
ウォーフの通信が入る。『ブリッジからピカード艦長へ。』
ピカード:「どうした。」
『計器に異常な数値。…位置は右舷船首前方 2万キロ。』
「すぐに行く。」

停止しているエンタープライズ。
ピカード:「報告しろ。」
ロー:「センサーが感知したのは我々がこの位置に来てからです。」
コンソールに足をかけるライカー。
ウォーフ:「恐らく、宇宙時間連続体※12のひずみの局所集中現象です。」
ライカー:「スクリーンオン。」
青い宇宙現象が映し出された。
ピカード:「…後退しろ、少尉。ゆっくりとだ。」
ロー:「了解。…艦長、操縦推力システム反応なし。」
データ:「ひずみのフィールドが波動しています。」
揺らめくひずみ。
ブリッジのライトが暗くなる。
ラフォージ:「主要システム、機能低下。出力急激に降下。」
ライカー:「非常警報!」
データ:「ひずみのフィールドのエネルギー増強。」
トロイ:「すぐにここを脱出しないと。」
「艦長、何か現れました。」
ひずみの部分から、宇宙艦が姿を現した。
ライカー:「防御スクリーン、回避作戦行動※13。」
ウォーフ:「スクリーン操作不能。」
ロー:「操縦装置、反応しません。」
データ:「艦は衝突針路を進行。衝突まで 36秒。」
ピカード:「交信しろ。」
ウォーフ:「…応答ありません。」
「…意見を聞こう。」
ライカー:「シャトル格納庫を減圧、その反動でコースを出られます。」 スクリーンに迫る宇宙艦隊艦。
データ:「艦長、トラクタービームで相手の船の軌道を変えれば。」
ピカード:「ウォーフ、トラクタービーム※14。」
ウォーフ:「トラクタービーム発射。」
トラクタービームによって相手の宇宙艦の向きは変わったが、避けきれずにエンタープライズの右舷ナセルと衝突した。プラズマが噴き出す。
ライカー:「被害報告!」
クラッシャー:「艦内全域で怪我人多数!」
データ:「右舷エンジンナセル、直撃を受けました。ドライブプラズマ噴出。」
ラフォージ:「コアを至急閉鎖しろ!」
ロー:「慣性制動機、機能低下。姿勢制御、不能。」
ライカー:「こちらブリッジ、全員非常脱出ポッドへ!」
右舷ナセルが爆発した。回転する船体。
倒れるライカー。
データ:「コア、閉鎖失敗。反物質のタンクがやられました。」
ラフォージ:「コア、射出だ!」
「射出操作システムオフライン。コア、間もなく破裂。」
ピカード:「全員船を脱出しろ! 繰り返す、全員船を脱出しろ!」
エンタープライズは爆発し、木っ端微塵になった。


※4: 吹き替えでは「エンタープライズ

※5: タイフォン領域、タイフォン広域 Typhon Expanse

※6: アリサ・オガワ看護婦 Nurse Alyssa Ogawa
(パティ・ヤスタケ Patti Yasutake) TNG第116話 "Ethics" 「神経医療エキスパート ドクター・ラッセル」以来の登場。声:栗山微笑子

※7: Ensign Fletcher

※8: vertazine
初言及

※9: flux spectrometer

※10: graviton polarimeter

※11: "Make it so, Mr. Data."

※12: 邦題もそうですが、普通 space-time continuum は「時空連続体」と訳します

※13: 原語では、この時だけ "Evasive maneuvers." ではなく "Evasive maneuver." と言っています

※14: "Make it so, Mr. Worf."

通常航行中のエンタープライズ。
『航星日誌、宇宙暦 45652.1。エンタープライズ※4は、タイフォン星団と呼ばれる領域に入った。宇宙艦隊による探査は、これが初めてである。』
自室のライカー。「カードがくっついてることはないのかな?」
データ:「大丈夫ですよ、副長? 完璧に切れています。」
ウォーフ:「そうだといいが?」
「8、エース、クイーン、そしてディーラーは 4。」
無言のクラッシャー。
ウォーフ:「…ノーベット。」
データ:「…10、7…これは使えない。ドクターはクイーンのペアで? そしてディーラーは 9。…ドクター? …一番高い手の人からベットするんです。ドクターからですよ?」
ウォーフ:「…どうかしましたか、ドクター。」
クラッシャー:「いえ。えーっと、それでは 10。」
データ:「…ジャック、4、2、6。」
「20。」
データもチップを追加した。
ライカー:「20 に、50 上乗せだ。…僕のブラフをコールする? …今のうちに降りておくよ。」
クラッシャー:「どうしてブラフをコールするってわかったの。」
「そんな気がした。」
「私もよ。」
通信が入る。『オガワからドクター・クラッシャーへ。』
クラッシャー:「どうぞ。」
『医療室にラフォージ少佐が見えてます。』
「すぐ行くわ。」

医療室。
ラフォージ:「キャットウォークが回ってるのかと思ったら…回ってるのは僕だった。…フレッチャー少尉がつかまえてくれてよかった。ワープコアの底はすごく深いんですよ。」
トリコーダーで調べるクラッシャー。「…症状から判断すると内耳炎だわ? …目まいも頭痛も説明がつくし。でも身体的…」 言葉を止める。
ラフォージ:「ドクター。…何です。」
「前にもこういうことはなかった。」
「…そう言われてみると、あったような気がする。」
「いつだか覚えてる。」
「いやあ、わからない。」
「…前にも同じ話をしたわ。そしてこれと同じ検査をしたのよ。…医療記録をチェックするわね。」 コンソール※15を起動させるクラッシャー。「ヴァイザーが原因の頭痛で何度か治療してる。…でも目まいの記録はないわ。」
「…デジャブ※16ですかね。」
「2人一緒に? 同じ事柄で?」

鼻歌を唄いながら、植物の剪定をするクラッシャー。ため息をつき、グラスに口を付ける。
ベッドに座り、グラスを置いた。ライトを暗くして本を脇へ置く。
横になり、目をつぶるクラッシャー。
すると、雑音が聞こえてきた。
ライトをつけるクラッシャー。その時にグラスを床に落としてしまう。
雑音は聞こえなくなった。
クラッシャー:「…クラッシャーから艦長へ。」
ピカード:『何だねドクター。』
「…ちょっとお時間をいただけます?」

ジャケットを脱いでいるピカードは、作戦室のレプリケーターからカップを取り出した。「おばのアデール※17は、このスチームミルクで大勢の不眠症を治した。」
制服を着ているクラッシャー。「ありがとう。うーん、ナツメッグね。」
ピカード:「眠れなくなる度…私が改良を重ねた。」
「とても不気味な感覚だったわ。…グラスが割れたとき、これは全て前に一度あったことだっていう感覚が呼び覚まされて。」
「…実はさっき…私も、この本を読んでいて…いくつかのパラグラフは前に読んだことがあるという気がしたんだ。…多分何年も前に、一度読んで忘れてたんだろう。」
「その感覚がずっと、消えないんです。そしてあの声が。」
「声か。…それは…眠れない夜の産物だろう。だが確かめよう…データとジョーディに艦内をくまなくチェックさせる。特に君が声を聞いた時間と場所に集中して。結果については明日 7時に伝えよう。」
「ありがとう。…お薬まで。」
「いやあ、礼はアデールに。」
笑うクラッシャー。

観察ラウンジ。
データ:「艦内スキャンでは異常なしです。艦内のどこにも、聴覚異常の原因はありませんでした。」
ラフォージ:「センサーが捉えた限りでは、夕べは変わったことは何もなかった。」
クラッシャー:「ほかにも 10人が私と同じ時刻に、謎の声を聞いているんです。」
ウォーフの通信が入る。『ブリッジから、ピカード艦長へ。』
ピカード:「どうした。」
『計器に異常な数値。…位置は右舷船首前方 2万キロ。』
「すぐに行く。」
無言のクラッシャー。

ブリッジに入るクラッシャー。
ピカード:「報告しろ。」
ロー:「センサーが感知したのは我々がこの位置に来てからです。」
コンソールに足をかけるライカー。
ウォーフ:「恐らく、宇宙時間連続体のひずみの局所集中現象です。」
ため息をつくクラッシャー。
ライカー:「スクリーンオン。」
時空連続体のひずみが映し出された。
ピカード:「…後退しろ、少尉。ゆっくりとだ。」
ロー:「了解。…艦長? 操縦推力システム反応なし。」
データ:「ひずみのフィールドが、波動しています。」
揺らめくひずみ。
ブリッジのライトが暗くなる。
ラフォージ:「主要システム、機能低下。出力急激に降下。」
周りを見るクラッシャー。
ライカー:「非常警報!」
データ:「ひずみのフィールドのエネルギー増強。」
トロイ:「すぐにここを脱出しないと。」
「艦長、何か現れました。」
ひずみの部分から、宇宙艦が姿を現したのがスクリーンに映る。
ライカー:「防御スクリーン、回避作戦行動。」
ウォーフ:「スクリーン操作不能。」
ロー:「操縦装置、反応しません。」
データ:「艦は衝突針路を進行。…衝突まで 36秒。」
ピカード:「交信しろ。」
ウォーフ:「…応答ありません。」
「…意見を聞こう。」
ライカー:「シャトル格納庫を減圧、その反動でコースを出られます。」
データ:「艦長、トラクタービームで相手の船の軌道を変えれば。」 スクリーンに迫る宇宙艦隊艦。
ピカード:「ウォーフ、トラクタービーム。」
ウォーフ:「トラクタービーム発射。」
トラクタービームによって相手の宇宙艦の向きは変わったが、避けきれずにエンタープライズの右舷ナセルと衝突した。
ライカー:「被害報告!」
クラッシャー:「艦内全域で怪我人多数!」
データ:「右舷エンジンナセル、直撃を受けました。…ドライブプラズマ噴出。」
ラフォージ:「コアを至急閉鎖しろ!」
ロー:「慣性制動機、機能低下。姿勢制御不能。」
ライカー:「こちらブリッジ、全員非常脱出ポッドへ!」
大きな揺れが襲い、スクリーンの星が移動する。
データ:「コア、閉鎖失敗。反物質のタンクがやられました。」
ラフォージ:「コア、射出だ!」
「射出操作システムオフライン。コア、間もなく破裂。」
ピカード:「全員船を脱出しろ! …繰り返す、全員船を脱出しろ!」
ブリッジの中が燃え始めた。炎が広がる。
エンタープライズは爆発し、木っ端微塵になった。


※15: このラフォージの経歴画面で、誕生日が 2335年2月16日、生誕地が地球のアフリカ同盟 (African Confederation)、アカデミー入学が 2353年、卒業が 2357年と書かれています。2335年生まれということで、この時点 (TNG 第5シーズン) で 33歳。一部資料では母親が Alvera (TNG第155話 "Interface" 「インターフェイス救出作戦」でシルヴァ (Silva) と正式に設定) とも書かれているそうですが、未確認

※16: deja vu
吹き替えでは「デジャブ」と聞こえる人もいます

※17: Aunt Adele
TNG第103話 "Ensign Ro" 「流浪のベイジョー星人」より

通常航行中のエンタープライズ。
『航星日誌、宇宙暦 45652.1。エンタープライズ※4は、タイフォン星団と呼ばれる領域に入った。宇宙艦隊による探査は、これが初めてである。』
自室のライカー。「カードがくっついてることはないのかな?」
データ:「大丈夫ですよ、副長? 完璧に切れています。」
ウォーフ:「そうだと…いいが。」
ライカー:「どうかしたか、ウォーフ。」
「…今ニパー※18に、陥った。同じことが前にもあった。」
「先週もゲームをしただろ。」
「そういう意味じゃなく。」
クラッシャー:「私も同じことを感じてるの。続けて配って。」
データ:「8、エース…」
「クイーン、私にはクイーンが来るわ。」
クラブのクイーンだ。
クラッシャー:「そしてあなたには 4。…続けてデータ。」
データ:「ベットをしてない。」
「ベットはいいから配って。…10、7、クイーン。」 クラッシャーが言うとおりのカードが配られる。
ウォーフ:「9、ジャック、4。」
ライカー:「2、6。」 全て合っている。
データ:「絶対にありえないことです。」
「でもピッタリだ。」
クラッシャー:「待って。」 コミュニケーターに触れた。「クラッシャーから医療室へ。」

オガワ:「医療室です。」
クラッシャー:『ラフォージ少佐が行ってる?』
「いえ、見えてません。」
医療室にラフォージが入った。
オガワ:「待ってください、いま見えました。」

ため息をつくクラッシャー。

医療室に入るピカード。「何か用かね?」
クラッシャー:「はい。艦長、あることをこれは前にも経験したと感じたことがありませんか。反復感覚と言いますが。」
「…最近よくある。本を読んでるときにだ。」
「至るところで、その症状が報告されています。いわゆる、デジャブですね。…私はジョーディが医療室へ来ると予感し、数秒後に彼は来ました。…内耳炎の症状があり、私は念のため検査したんです。なぜか内耳炎ではないような気がして。…それで、視覚検査をしてみました。その結果、ヴァイザーに問題があるとわかりました。目まいの原因は、視覚受信機のフェイズ転移にあったんです。…実在しないものが見えてしまうんです。」
ラフォージ:「ボヤッとした、残像みたいなものです。」
「その像を探知しようとスキャンをかけてみたところ、艦内のデキオン※19フィールドにごくわずかなひずみがありました。ジョーディのヴァイザーが、そのひずみを視覚に中継していたんです。」
「ワープ・フィールド発生装置の誤作動をチェックします。」
ピカード:「集中亜空間スキャンでほかもチェックしろ。」
「わかりました。」 出ていくラフォージ。
「随時報告を。」

クラッシャーの部屋。
本を読みながら歩く、制服姿のクラッシャー。ため息をつき、ハサミを手に取った。
だがすぐに置く。ベッドに座り、グラスを手にした。
グラスを見つめるクラッシャー。ベッドの脇ではなく、別のテーブルに置いた。
ライトを暗くすると、雑音が聞こえてきた。
トリコーダーを手に取るクラッシャー。ライトをつける。
雑音は聞こえなくなった。
クラッシャー:「クラッシャーからラフォージ少佐へ。」
ラフォージ:『ラフォージです。』
「ジョーディ…たった今私の部屋で、人の話し声がしたわ。でも部屋には私独りよ。」
『センサーも奇妙なものをキャッチ。チェックしてみます。』
「すぐそっちへ行くわ。」
ジャケットを持って出ていくクラッシャー。それがグラスをかすめ、床に落としてしまった。
振り返るクラッシャー。

機関室のラフォージ。「録音時間はえーっと、6.2秒ですねえ。信号をフィルターにかけて雑音を消去しましょう。」
クラッシャー:「じゃ気のせいじゃなかったのね。」
データ:「音そのものは本物のようです。ただこの音響エネルギーはほかのどの船のシステムにも、またどの音声交信にも合致しないんです。」
「じゃ音はどこからきたの。」
ラフォージ:「この音の録音時刻に、集中亜空間スキャンがデキオンフィールドのひずみをキャッチしています。関連があるんです。もう一度聞きましょう。」
再生される。まだ声の意味はわからない。
データ:「コンピューター、周波数別に分析しろ。非音声波形を全て消去してくれ。」
効果はない。
クラッシャー:「声だけ取り出せる? 何を言っているのかわかれば。」
データ:「コンピューター、繰り返しプレイバックしてくれ。……約1,000人の声が重複してますね。声は、エンタープライズのクルーのものです。…我々の声です。」


※18: nIb'poH
吹き替えでは全て「デジャブ」

※19: dekyon
初言及

観察ラウンジ。
クルーが集まる。
クラッシャー:「こんな早朝に招集してすみません。7時まで、待てなかったんです。艦内での妙な出来事の原因がつかめたと思います。少佐どうぞ。」
ラフォージ:「突飛な理論に聞こえるでしょうが我々は時間の循環する、輪※20の中に入ったと思われます。ある特殊な時間の断片の中に閉じ込められ、同じ時間の断片を何度も何度も繰り返しているんです。」
トロイ:「それがデジャブの原因?」
クラッシャー:「ええでもデジャブなら同じことを繰り返してると思うだけだけど、我々は実際に反復してるの。」
ラフォージ:「我々の考えでは時間の輪がスタートするごとに全てが復元され、一から始まるんです。前の時のことは忘れていて、輪を回る度に初めてだと思うんです。」 繰り返している様子がモニターに映る。
ライカー:「今までに何度もこの部屋に入り、テーブルにつき、この会話をしてるのか。」
「10回か 100回か、それはわかりません。ここに閉じ込められて何時間か何日か、何年かも。」
クラッシャー:「もしこの理論が正しければ、私が聞いた声は前の時間の輪のエコーです。」
「私のヴァイザーのフェイズのズレもそうです。時々残像が見えます。」
ピカード:「…もしそれが正しいとして、どうしてその輪に入ってしまったんだ?」
データ:「…この状況を説明する、仮説を立てました。ドクターの録音した声を分析すると、大部分は日常的なもので、150 は艦の航行に関するもの、252 は個人的内容の会話。うち 5組がロマンチックな会話で…」
「…要点を言ってくれ。」
「エンタープライズが、危機に遭遇した証拠があるのです。重大な危機で、艦長が全員に艦を捨てるよう命じています。…これに関する部分を、3個所テープから取り出しました。」
ウォーフの声が再生される。『恐らく、宇宙時間連続体のひずみの局所集中現象です。』
データ:『衝突針路を進行。衝突まで 36秒。』
ピカード:『全員船を脱出しろ! 繰り返す、全員船を脱出しろ!』
ラフォージ:「ウォーフが、ひずみと言っています。…これが時間のひずみで、我々がそれに接近していれば爆発によって宇宙時間連続体を破壊することもありえます。つまり、衝突による爆発で循環する時間の輪に取り込まれたんです。」
ピカード:「もしそうなら、衝突を回避すればその輪から脱出できるかも。」
「そうなんです。」
ウォーフ:「コースを逆戻りするんですか。」
ライカー:「しかし、逆戻りが衝突の原因だったかもしれません。」
ピカード:「…待て。不確かなことを論じている余裕はない。必要が生じるまでこのコースを維持するんだ。…コースを維持しながら衝突回避のために、万全を尽くす。」
ラフォージ:「艦長、衝突回避の方法がわかったときは手遅れかもしれません。そして輪が出発点に戻ると、今回の輪でわかったことは全て忘れてしまいます。」
「…それで君の案は。」
「もし衝突回避の方法がわかったら、その情報を次の時間の輪に送るんです。」
「方法はあるか。」
「我々はデキオンフィールドのひずみとして現れた前のループからのエコーや、残像をキャッチしています。ですから、意図的なエコーを次の輪に送れるはずです。」
トロイ:「瓶に入れた手紙?」
「そうなんです。デキオンの電子流を上げて特別なパターンを作り、自分にメッセージを送る。長いものじゃない、せいぜい 2、3文字。単語一つでしょうね。」
ライカー:「次の輪でそれをキャッチできるかどうかだ。」
データ:「デキオンの電磁波が明確に変調されていれば…私の、ポジトロニック・サブプロセッサーに共鳴し私はその情報を潜在意識のレベルで受け取ります。」
ラフォージ:「そこが問題だな。…受けた情報をデータがどう認識するかわからない。発想としては、後催眠暗示と同じだ。」
ピカード:「成功の保証はなくても試すんだ。メッセージを送ることに万全を尽くせ。解散。」

データの頭の内部を見るラフォージ。「今まで何千回もこれをやって、成功しなかったのかもしれないな。」 部品が取り付けられている。
機関室にはクラッシャーも来ている。「前にもやったような気がする?」
ラフォージ:「いやあ全く。」
「私もなの。いい印じゃない?」
「エミッターをテストする。」
小型装置を使うデータ。「素粒子加速。出力最大。」
ラフォージ:「デキオンフィールド、作動。素粒子の流動、順調。よーし準備 OK だ。」
クラッシャー:「あとはメッセージを入れるだけ。」
ライカーの通信。『上級士官はブリッジへ。』 警報が鳴る。
クラッシャー:「すぐに行きます。」

スクリーンに時空連続体のひずみが映っている。
ライカー:「前はどう対処したんでしょう。」
ブリッジに入るクラッシャーたち。
ピカード:「後退しろ少尉。ゆっくりとだ。」
コンソールに足をかけるライカー。
ロー:「了解。…艦長、操縦推力システム反応なし。」
データ:「ひずみのフィールドが波動しています。」
揺らめくひずみ。
ブリッジのライトが暗くなる。
ラフォージ:「主要システム、機能低下。出力、急激に降下。」
データ:「ひずみのフィールドのエネルギー増強。」
トロイ:「すぐにここを脱出しないと。」
「艦長、何か現れました。」
ひずみの部分から、宇宙艦が姿を現したのがスクリーンに映る。
ライカー:「防御スクリーン、回避作戦行動。」
ウォーフ:「スクリーン操作不能。」
ロー:「操縦装置、反応しません。」
データ:「艦は衝突針路を進行。…衝突まで 36秒。」
ピカード:「交信しろ。」
ウォーフ:「…応答ありません。」
迫る宇宙艦隊艦。
ピカード:「…意見を聞こう。」
ライカー:「シャトル格納庫を減圧、その反動でコースを出られます。」
データ:「艦長、トラクタービームで相手の船の軌道を変えれば。」
ピカード:「ウォーフ、トラクタービーム。」
ウォーフ:「トラクタービーム発射。」
トラクタービームによって相手の宇宙艦の向きは変わったが、避けきれずにエンタープライズの右舷ナセルと衝突した。
ライカー:「被害報告!」
クラッシャー:「艦内全域で怪我人多数!」
データ:「右舷エンジンナセル、直撃を受けました。…ドライブプラズマ噴出。」
ラフォージ:「コアを至急閉鎖しろ!」
ロー:「慣性制動機、機能低下。姿勢制御不能。」
ライカー:「こちらブリッジ、全員非常脱出ポッドへ!」
右舷ナセルが爆発した。回転する船体。
データ:「コア、閉鎖失敗。反物質のタンクがやられました。」
ラフォージ:「コア、射出だ!」
「射出操作システムオフライン。コア、間もなく破裂。」
ピカード:「全員船を脱出しろ! …繰り返す、全員船を脱出しろ!」
その時、データは腕につけた装置を操作し始めた。
エンタープライズは爆発し、木っ端微塵になった。


※20: temporal causality loop
「循環する時間の輪」とも訳されています

通常航行中のエンタープライズ。
『航星日誌、宇宙暦 45652.1。エンタープライズ※4は、タイフォン星団と呼ばれる領域に入った。宇宙艦隊による探査は、これが初めてである。』
自室のライカー。「カードがくっついてることはないのかな?」
データ:「大丈夫ですよ、副長? 完璧に切れています。」
ウォーフ:「そうだといいが……。」
ライカー:「どうかしたか、ウォーフ。」
「今ニパーに陥った。同じことが前にもあったようで。」
「ああ、先週もゲームをしただろ。」
「そういう意味じゃなく。」
クラッシャー:「私も同じことを感じてるの。待って。」 指差す。「8 に、エース、クイーン、次が 4。配ってデータ。」
だがデータが置いたのは、4枚とも 3 のカードだった。「3 だ、全部 3 だ。」
クラッシャー:「どのカードが配られるか、全部予知してたのに。」
ウォーフ:「…私も知っていた。」
ライカー:「最後まで配って。」
言われたとおりにするデータ。今度は 3枚ずつ、同じ数字のカードがそれぞれに配られた。
ライカー:「どうなってんだ。4人とも同じ数が 3枚。」
クラッシャー:「…最初は、4人とも 3。そして同じ数が 3枚。」
通信が入る。『オガワからドクター・クラッシャーへ。』
クラッシャー:「どうぞ。」
『医療室にラフォージ少佐が見えてます。』
「…すぐに行くわ。」 振り返り、出ていくクラッシャー。

トリコーダーで調べられるラフォージ。「キャットウォークが回ってるのかと思ったら、回ってるのは僕だった。フレッチャー少尉がつかまえてくれてよかった。ワープコアの底はすごく深いんですよ。」
クラッシャー:「症状から判断すると内耳炎だわ? 目まいも頭痛も説明がつくし。」
「うん。」
「でも身体的な…これは…。」 言葉を止めるクラッシャー。
「ドクター。何です。」
「前にもこういうことはなかった。」
「…そう言われてみると、あったような気がする。」
「いつだか覚えてる。」
「いやあ、わからない。」
「…前にも同じ話をしたわ。そしてこれと同じ検査をしたのよ。…医療記録をチェックするわね。」 コンソールを起動させるクラッシャー。「ヴァイザーが原因の頭痛で何度か治療してる。…でも目まいの記録はないわ。」
「デジャブですかね。」
「2人一緒に? 同じ事柄で? …視覚検査をしたいんだけど。」
「内耳炎の診断に?」
「いま思いついたの。」 ヴァイザーの部分を機械に近づけるクラッシャー。「ジッとしてて。このパルスはちょっとまぶしいわよ。」 パルスが発光する。
「うん…。」
「…最近ヴァイザーのどこかを変えた?」
「いやあどうして。」
「視覚受信機の反応に、ほんのわずかフェイズ転移があるんだけど。」

ジャケットを脱いでいるピカードは、作戦室で本を読んでいる。手にしたカップを戻した。
ページを次々とめくるピカード。後ろの方から確認する。
今度は初めから。
クラッシャーの通信。「クラッシャーからピカード艦長へ。」
ピカード:『何だねドクター。』
『至急医療室へ来ていただけますか、緊急です。』
「すぐに行く。」 ピカードは本のタイトルを見て、脇へ置いた。

医療室。
クラッシャー:「目まいの原因は、視覚受信機のフェイズ転移にあったんです。…実在しないものが見えてしまうんです。」
ラフォージ:「ボヤッとした、残像みたいなものです。」
「その像を探知しようとスキャンをかけてみたところ、艦内のデキオンフィールドにごくわずかなひずみがありました。恐らくジョーディのヴァイザーが、そのひずみを視覚に中継していたんです。」
「ワープ・フィールド発生装置の誤作動かも。チェックします。」
ジャケット姿のピカード。「集中亜空間スキャンでほかもチェックした方がいいだろう。」
「わかりました。」 出ていくラフォージ。
「随時報告を。」

機関室のラフォージ。「側面センサー、オンライン。亜空間スキャナー、作動。データ、ワープ・サブシステムのレベル2 をチェックしてくれるか。」
コンソールを素早く操作するデータ。すると画面に 3 の数字が埋め尽くされた。
何度も繰り返される。
ラフォージ:「全部 3? どういうことだ。」
データ:「この 2時間、ことあるごとに 3 という数字に出会うんだ。」
コンピューターに反応がある。
ラフォージ:「第9デッキ※21、セクション28 にデキオンフィールドの異常。波動してる。」
通信が入る。『クラッシャーからラフォージ少佐。』
ラフォージ:「ラフォージです。」
『たった今私の部屋で人の話し声がしたわ、でも部屋には私独りよ。』
「センサーも、奇妙なものをキャッチ。チェックしてみます。」
『すぐそっちへ行くわ。』
何かが割れる音が響いた。
ラフォージ:「ドクター・クラッシャー。どうかしました。」
クラッシャー:『いえ、大丈夫。』

観察ラウンジのデータ。「艦の危機を示す部分を、3個所取り出しました。」
ウォーフの声が再生される。『恐らく宇宙時間連続体のひずみの局所集中現象です。』
データ:『衝突針路、衝突まで 36秒。』
ピカード:『全員船を脱出しろ! 繰り返す、全員船を脱出しろ!』
ラフォージ:「ウォーフがひずみと言っています。…これが時間のひずみで、我々がそれに接近していれば爆発によって宇宙時間連続体を破壊することもありえます。つまり、衝突による爆発で循環する時間の輪に取り込まれたんです。」
ピカード:「もしそうなら衝突を回避すれば、その輪から脱出できるかも。」
「そうなんです。」
ウォーフ:「コースを逆戻りしましょう。」
ライカー:「しかし、それが衝突の原因だったかもしれない※22。」
ピカード:「不確かなことを論じてる余裕はない。必要が生じるまで、このコースを維持するんだ。…コースを維持しながら、衝突回避のために万全を尽くす。」
ラフォージ:「艦長、至るところに 3 という数字が現れます。コンピューターや、ポーカーでも。」
データ:「…今日までに艦内に 3 という数字が現れた回数は、2,085 です。」
「この現象全てが偶然ということはありえません。」
クラッシャー:「誰かからのメッセージかもしれないわ?」
「我々もそう思い艦内を検査した結果、唯一の異常はデータのポジトロニック・サブプロセッサー内のデキオンフィールドの変調でした。」
ピカード:「原因は何なんだ。」
「わかりません。ただもし私が次の輪に情報を送るとしたら、デキオンの電磁波を使います。」
トロイ:「私達からのメッセージなの?」
「ありうることです。自分たちに何かを伝えてるんです。」
ピカード:「もしそうだとして、3 は何を意味してる。」
ライカー:「…全てのキーシステムに、レベル3 の検査をします。」
ラフォージ:「…私はコンピューターに 3 のアルゴリズムパターンを探させます。」
ローの通信が入る。『ブリッジからピカード艦長へ。』
ピカード:「どうした。」
『計器に異常な数値。位置は右舷船首前方 2万キロ。』
「すぐに行く。」

ブリッジに入るクルー。
ピカード:「報告しろ。」
ロー:「センサーが感知したのは我々がこの位置に来てからです。」
コンソールに足をかけるライカー。
ウォーフ:「恐らく宇宙時間連続体のひずみの局所集中現象です。」
ライカー:「スクリーンオン。」
時空連続体のひずみが映し出された。
ライカー:「前はどう対処したんでしょう。」
ピカード:「…後退しろ少尉。ゆっくりとだ。」
ロー:「了解。…艦長、操縦推力システム反応なし。」
揺らめくひずみ。
データ:「ひずみのフィールドが波動しています。」
ブリッジのライトが暗くなる。
ラフォージ:「主要システム、機能低下。出力、急激に降下。」
データ:「ひずみのフィールドのエネルギー増強。」
トロイ:「すぐにここを脱出しないと。」
「艦長、何か現れました。」
ひずみの部分から、宇宙艦が姿を現したのがスクリーンに映る。
ライカー:「防御スクリーン、回避作戦行動。」
ウォーフ:「スクリーン操作不能。」
ロー:「操縦装置、反応しません。」
データ:「艦は衝突針路を進行。衝突まで 36秒。」
ピカード:「交信しろ。」
ウォーフ:「…応答ありません。」
「…意見を聞こう。」
ライカー:「シャトル格納庫を減圧、その反動でコースを出られます。」 スクリーンに迫る宇宙艦隊艦。
データ:「艦長、トラクタービームで相手の船の軌道を変えれば。」
ピカード:「ウォーフ、トラクタービーム。」
データはふと、隣を見た。
ウォーフ:「トラクタービーム発射。」
ライカーの階級章を見るデータ。3つのバッジだ。
データ:「…トラクタービームでは回避できない。シャトル格納庫の減圧しかない。」
コンソールを操作するデータ。
シャトル格納庫※23のドアが開き、空気が一気に噴き出す。移動するエンタープライズ。
相手の宇宙艦はエンタープライズと衝突せずに抜けた。
復旧するライト。
ウォーフ:「ひずみのフィールドが去りました。」
ピカード:「…データ、何があった。」
データ:「最後の一瞬、『3』はライカー副長の制服の階級章の数ではないかと思ったんです。つまりライカー副長の意見が、正しい作戦行動だと。」
ラフォージ:「データ、君は前の時間の輪で我々が送ったメッセージをキャッチしたんだ。だからポーカーでも 3 を 4枚重ねてた。」
「それはありうる。ほかにも説明のつかない 3 が出現したのは、無意識のうちに私がしたことかもしれない。」
ピカード:「ウォーフ、警報解除だ。それから連邦標準時信号にアクセスしろ。…我々があの時間の輪の中にどのくらいいたのかわかる。」
ウォーフ:「我々のクロノメーターは、標準時より 17.4日遅れています。」
「……リセットしろ、データ。」
データ:「わかりました。」
ウォーフ:「艦長、ほかの船からの呼びかけです。…コンピューターはボーズマン※24と認識しました。惑星連邦の宇宙船です。…ソユーズ級※25の。」
ラフォージ:「ソユーズ級? …もう 80年以上任務に就いてない※26。」
ピカード:「…宇宙チャンネルオン。」
相手のブリッジが映った。『宇宙艦隊ボーズマン艦長モーガン・ベイトソン※27、救援の必要は?』 みな旧式の制服を着ている。
ピカード:「こちら宇宙艦隊エンタープライズ※4艦長ピカード。…同じことを聞こうと思っていました。」
『貴艦のような宇宙船は、今まで見たことがない。』
「艦長、いま何が起こったかわかりますか。」
『センサーが時間のひずみを探知。貴艦が現れ衝突しかけた。』
「我々は循環する時間の輪に取り込まれてしまった。同じことが貴艦にも起こったのではないですか?」
『いや、3週間前に出航したばかりだ。』
顔を見合わせるクルー。
ピカード:「…艦長。…今の地球暦は?」
ベイトソン:『2278年。』
ライカーはピカードを見た。
ピカード:「転送でこちらへおいで願えますか。…話し合いたいことがあります。」
ボーズマンと並行して飛行するエンタープライズ。


※21: 吹き替えでは「第7デッキ」

※22: このウォーフとライカーのセリフは、「前回」とは多少違った吹き替えになっています

※23: メイン (第1) シャトル格納庫が描かれるのは初めて。中に見えるシャトルには「バーマン」「ピラー」と名づけられているそうですが、確認はできません

※24: U.S.S.ボズマン U.S.S. Bozeman
ソユーズ級、NCC-1941。初登場。脚本のブラノン・ブラガの故郷である、モンタナ州の地名にちなんで。ENT第24話 "Desert Crossing" 「幻影の戦士」で、ボーズマンがファースト・コンタクト (映画第8作 "Star Trek: First Contact" 「ファースト・コンタクト」) の場所であると設定されます。番号はスティーヴン・スピルバーグ監督「1941」(1979) にちなんで、同映画にも関わったデザイン担当の Greg Jein が設定。吹き替えでは全て「ボーズマン

※25: Soyuz-class
当初は新デザインになる予定 (TOS エンタープライズと同じコンスティテューション級にする案もあり) でしたが、ミランダ級リライアントに改造を施した形状になりました (ロールバーを取り、センサーポッド、ドッキングポート、ブリッジを改装)。Greg Jein、Mike Okuda デザイン。サリュートとミールに宇宙飛行士を運んだ、ロシアの宇宙船にちなんで

※26: ミランダ級が 24世紀でも現役なのに、明らかにその改装であるソユーズ級が 23世紀のみというのは変という指摘もあります

※27: モーガン・ベイトソン艦長 Captain Morgan Bateson
(ケルシー・グラマー Kelsey Grammer パラマウントのドラマ "Cheers" (1984〜93)、そのスピンオフ「そりゃないぜ!? フレイジャー」(93〜04、主演) に出演。スタートレックのファンで、カメオ出演。"Cheers" 出演者としては、映画 ST2 "The Wrath of Khan" 「カーンの逆襲」のサーヴィック役カースティ・アレイ、TNG第89話 "First Contact" 「ファースト・コンタクト」のラネル役ベベ・ニューワースに続いて 3人目。当初はボーズマンの副長としてアレイ演じるサーヴィックを配する予定でしたが、スケジュールの都合によりエキストラになりました) 名のモーガンは訳出されていません。ST2型制服が使われる年代としては、最も古いようです。ブリッジは映画版で使われたエンタープライズのものを改装。声:筈見純、VOY コロパック、旧ST5 カーク、旧ST6 チャンなど

・感想など
ブラノン・ブラガ初の単独脚本で、突飛な SF&ミステリーはまさに TNG における「これぞブラガ」な名作です。冒頭の爆発をはじめとして、CM の度に戻る演出が何とも言えませんね。上記の本文を書くときにもコピーを多用しましたが、5回撮影したシーンもあるという繰り返しは単純なものではなく、その都度視点が変えられています。名台詞的なものは皆無と言ってもいいものの、逃れられない運命を示唆するクラッシャーのグラス、データよりライカーの提案が正しかったこと、しかし「3」というメッセージを無意識に受け取り、最後に直感的な判断をしたのはデータだったということなど、見所はいくつもありますね。
今後も言及される U.S.S.ボーズマンについては、ピカードのセリフからすると 90年間に渡ってループし続けていたというのが脚本の意図っぽくもあり、そのように結論づけている書籍もあります。ですがエンタープライズが 17日しか経ってないのに、事件の原因である相手の船が 90年というのはいささか無理がある気もしますね。映像的には、ボーズマンは (エンタープライズ-C のように) 単純に時を飛び越えた後で衝突したようにも見えるのですが、それはそれで面白味に欠けるかもしれません。
原題は「因果」という意味。ポーカーのシーンがストーリーに絡むのは初めてのようです。ロー少尉も登場していますが、今回は単なる操舵士でしたね。似たようなアイデアの映画「恋はデジャ・ブ」が公開されたのは、このエピソードが放送された 1991年の 2年後でした。


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