ダマールはデュカットに言う。「シスコって男は本当にしぶといですねえ。懲りずに 9回も戦闘機を突撃させてきてる。」
デュカット:「しぶとさが、実を結ぶことも大いにありうるからな。奴に褒美をやろうじゃないか。どうかね? 小隊を 6つ陣形から外して、敵戦闘機を追わせるんだ。」
微笑むダマール。「了解。」
攻撃を続ける宇宙艦隊の戦闘機。それを追って、中型のカーデシア船が動き始めた。
オブライエン:「カーデシアの攻撃機、2小隊が編隊を崩しました。こちらの戦闘機を追ってます。」
ガラック:「食いつきましたね。陣形に穴が開きましたよ。」
シスコ:「そうかな。」
ダックス:「奥にガロア級の駆逐艦が並んでる。」
「わかってる。」
ベシア:「罠です。」
「だがチャンスでもある。次があるかどうかわからん。少尉、ギャラクシー部隊 9-1 と 9-3 に駆逐艦を攻撃するよう伝えろ。その他の全艦は開口部へ突進だ! 一機でも通り抜けたら、全速でディープ・スペース・ナインへ向かえ。」
一斉に敵艦隊へ向かう連邦艦。交戦が始まる。ギャラクシー級の船がカーデシア艦を狙い、できた道を他の艦が次々と抜ける。ディファイアントにも攻撃が及ぶ。
ガラック:「挑発は大成功。連中、相当…怒ってますよ。」
シスコ:「マジェラン※12とヴェンチャー※13は我々の右舷を守るはずだろ! 接近しすぎてるぞ! 少尉、第6、第7、第8戦闘小隊に、部隊の再編成を…」
ノーグ:「艦長! 通信は不可能です。システムダウンしました。」
コンソールが吹き飛ぶ。確認するオブライエン。「変調電磁パルスを出して、こっちのシグナルを妨害してます。」
シスコ:「解消できるか。」
「今やります。」 操作するオブライエン。ブリッジでは爆発が続く。
テロック・ノール。
カナールを注ぐデュカット。「戦争とは、喉が乾くものだ。そう思わないか?」
ウェイユン:「そうしゃべってばかりでは、喉が乾いて当然でしょうね。」 笑う 2人。
「カーデシア人は、話好きなんだ。欠点とされることもある、時にはね。」
差し出されたグラスを断るウェイユン。「うーん、結構。」
「惑星連邦を征服した我らに。」 デュカットは自分で 2つのグラスを合わせる。
「少し気が早くありませんか?」
「そんなことはないだろう。ドミニオンの軍艦が 2,800機も、ワームホールの向こう側で今か今かと待ってるんだ。」
「その援軍が来るまで、あと 5時間あるんですよ。5時間あれば事態が変わることも、ありえます。」
「あーっ! ウェイユン、君は……悲観論者だといわれたことは、ないのかね?」
笑うウェイユン。「慎重であることと、悲観的に過ぎるというのは違いますよ。」
「慎重さで連邦を破ることはできなかっただろう。」
「まだ破ってはいないでしょ? 破ったとしてもそれは始まりに過ぎません。連邦のような広大な領域を支配するのは容易じゃない。膨大な数の船が必要になるでしょうね。強大な占領軍を投入し、監視の目は一時も…緩められません。」
「それを、楽しみにしてるんだ。」 大きく笑う。
「ベイジョーを占領する時も、楽しみだったんでしょうねえ。でもあれは失敗に終わりました。」
「いやいやいや、あの時は他人の政策に従ったまでだ。もし独自の考えでやっていれば、結果は全く…違うものになっていただろう。」
「一つ言っときます。連邦の…統治の鍵になるのは…地球ですよ。」 星図の点を指差す。「我々に対する抵抗勢力が生まれるとすれば、それは必ず地球でしょう。」
「かもしれないな。」
「彼らを破ったら、人類を殲滅してしまうことです。それしかありません。」
「それはできない。」
「なぜです。」
「なぜかだって? 真の勝利というのは、抵抗するなどと考えるだけでも愚かなことだと敵に思わせることだ。我々に…ひれ伏させ、崇めさせるのだよ。」
「それから殺す?」
「…もし、必要とあればだ。」
「…ご立派な理論で。」
「……人生でただ一つ、悔やまれることがある。ベイジョー人は、私が彼らの解放者としてここへ来たことが、どれほど幸運だったか、未だに理解しようともしない。私はあらゆる局面で彼らを守って、自分の子供のように心配し、手をかけた。なのにこの日まで…ベイジョー星には、私の銅像が一つでもあるか?」
「ないんでしょうね。」
「その通りだ。」 2人は笑った。
野球ボールを手に取るデュカット。「しかも、シスコまでだ。ほかの点では洞察力があり、切れる男だろ、ん? なのに彼も、未だに私の功績を…全く認めていないんだ。」 ボールを床に落とした。
ウェイユンはまた笑っている。
「何がおかしいのかな?」
「おかしいなんて、それどころか、傑作じゃないですか。」
「笑っているがいい。歴史が、私を評価する。」
外を見つめているオドー。ジェムハダーを外に待たせ、女性可変種が入ってきた。「いい知らせがあるのよ。連邦との戦闘はじきに、決着がつくわ。」
「死んでいく者たちが大勢…いるんです。私の友人たちです。」
「彼らは固形種よ。それを忘れてはだめ。」
「わかってます。でもまだ簡単には割り切れない。」
「つながりの方が大切よ。」
「…ずっとそう言い聞かせてます。でもどうしてもそうは思えない。」
「知りたがったのはあなたなのよ、オドー。だから教えた。全てを受け入れなさい。…キラ少佐ね、そうでしょう。まだ彼女に強い愛情をもっている。オドー、彼女はあなたにはふさわしくありません。固形種に惑わされて、偉大なるつながりに戻るのをためらうなんて。私には許せなかった。」
「どういうことです。」
「キラ少佐は逮捕されたわ。」
「何の容疑でです。」
「どうでもいいことです。彼女は有罪と宣告されて、死刑になるでしょう。」
驚くオドー。「そんな!」
「彼女の死が、あなたを開放するんです。私とつながりなさい。全てが明らかになるわ。それが平和をうる、唯一の方法よ。」
「いやだ!」
「彼女を助けることはできないの。固形種を助けることはできないわ。いくらあなたがそうしたいと願っても、もう手遅れなのよ。」
ディファイアントの左右についたミランダ級の船。敵艦の攻撃に、どちらも破壊された。
ダックス:「今、シタック※14とマジェスティック※15が撃墜されました! もう援護はいません。」
オブライエン:「通信回復しました!」
ノーグ:「正面、敵艦が 4隻います!」
シスコ:「回避行動だ! パターン・オメガ! すり抜けるぞ。」
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※12: U.S.S.マジェラン (マゼラン) U.S.S. Magellan ギャラクシー級。フェルディナンド・マゼラン (Ferdinand Magellan) にちなんで命名。コンステレーション級のマゼランもあり (NCC-3069、TNG第144話 "Starship Mine" 「謎の潜入者」)
※13: U.S.S.ヴェンチャー U.S.S. Venture 連邦宇宙艦。ギャラクシー級、NCC-71854。DS9第74話 "The Way of the Warrior, Part II" 「クリンゴンの暴挙(後編)」より
※14: U.S.S.シタック U.S.S. Sitak ミランダ級
※15: U.S.S.マジェスティック U.S.S. Majestic ミランダ級、NCC-31060 (31860?)
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