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ディープスペースナイン エピソードガイド
第130話「ディープスペース・ナイン奪還作戦」(後)
Sacrifice of Angels

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・イントロダクション
陣形をつくるカーデシア・ドミニオン連合軍。そこへ近づいていく連邦の大艦隊。
シスコ:「シスコより全艦に告ぐ。巡洋艦とギャラクシー部隊、2分の1 減速。」
ダックス:「2分の1 に減速。」
ガラック※1:「クリンゴンが悔しがるでしょうね。世紀の大決戦を見逃すんですから。」
オブライエン:「俺たちだけで寂しいよ。」
シスコ:「我々だけでやる。ディープ・スペース・ナインを奪還して、ワームホールからドミニオンの援軍が大挙して来るのを防ぐんだ。失敗は絶対に許されない。攻撃戦闘機※2、戦術パターン・シータ。カーデシア船のみを集中的に攻撃しろ。敵編隊に接近し、撃ったら全速で逃げろ。」
ノーグ※3は小さな声で言った。「何でカーデシア船だけを狙わせるんだろう。」
隣のコンソールにいるガラックが答える。「こっちの戦闘機を追うよう仕向けて、陣形を崩そうとしているんだ。ジェムハダーは命令通り陣形を守るが、カーデシアは挑発に乗って飛び出すかもしれないからね。」
「そしたら編隊に穴が開いて突破できるね。」
「いい先生がいてよかったな。」
「攻撃戦闘機、シータ・フォーメーションに。巡洋艦とギャラクシー部隊、速度 2分の1。」
シスコは通信を行った。「シスコより攻撃戦闘機、私の合図で攻撃開始だ。」
返答が入る。『了解。』
オブライエン:「『右に大砲、左に大砲、前に大砲、轟く一斉射撃。』」
ベシア:「『弾と薬莢で立ち向かい、彼らは突進した、死のあごの中へと。地獄の口の中へと、駆け抜けた。』※4
ノーグ:「何の引用か知らないけど、2人ともやめてくれますか。」
オブライエン:「いきり立つな。ただの詩だ。」
「落ち着かないのは詩のせいじゃないんです。」
「敵艦隊のことは考えるな。ただ自分の仕事をしろ。俺はそうしてる。」
ベシア:「よく聞いとけよ、少尉。彼はプロだから。」
笑うオブライエン。
シスコ:「攻撃戦闘機、全速前進。一斉射撃だ!」
小型の攻撃戦闘機が、カーデシア艦へ向かっていく。戦闘が始まった。


※1: 前編に続いて登場

※2: attack-fighter
Star Trek: The Magazine 2001年11月号 (32ページ〜) で、「宇宙艦隊攻撃機」として紹介されています。大きさは 64メートルとされていますが、そんなに大きくないように見えますが…

※3: 前編に続いて登場

※4: 「騎兵隊突撃の詩 (軽騎兵旅団の突撃)」 "The Charge of the Light Brigade Lord"
詩人、アルフレッド・テニスン卿 (Lord Alfred Tennyson) 作、1855年。クリミア戦争での「バラクラヴァの戦い」の騎兵隊を称えた詩。参考

・本編
攻撃機に反撃するドミニオン・カーデシア艦。だが船の位置は変えようとしない。
オブライエン:「餌に食いつきません。」
シスコ:「少尉、第2陣を送るんだ。引き続き、カーデシアだけを狙うように言え。」
ノーグ:「第2陣、出撃。第3、第4陣もスタンバイ中です。」
「オブライエン。第2 と第6駆逐艦部隊を前進させろ。もっと援護射撃が必要だ。ディエゴ艦長※5とレイノルズ※6艦長に警戒するよう言え。側面に回られる可能性もある。」

ドミニオン戦艦が係留している、テロック・ノール。
笑うデュカット※7。モニターを見ている。「非常に頭のいい戦略だな。だがまあ、シスコ大佐相手だ。予期していたがね。」
司令室にはダマール※8のほか、女性可変種※9とウェイユン※10もいる。
ウェイユン:「…シスコ大佐は、非常に切れる男でして。」
デュカット:「君も、彼の作戦は…わかるだろう?」
「当然ですとも。」
「それじゃあ、シスコ大佐の戦略を、君の方から創設者に説明して差し上げたらどうかな?」
「雄弁さでは、とてもあなたに敵いませんよ。」
「そうだな。」 女性可変種に話すデュカット。「…シスコはカーデシア軍を挑発して、防御ラインに穴を…開けようとしています。何としても地雷撤去を食い止めようとする、執拗に繰り返すでしょう。そこで考えました。ラインにわざと穴をあけさせ、その後で…叩き潰す。」 手を叩く。
ウェイユン:「地雷撤去は予定通り進んでいるんですか。」
デュカットは女性可変種に言った。「8時間後には、すべての地雷を爆破できるでしょう。」
女性可変種:「よろしく。」 出て行く。
ウェイユン:「8時間後ですね。必ず果たしてもらいますよ。」 後に続く。
ダマール:「偉そうに。エアロックから放り出してやりたいですねえ。」
笑うデュカット。
ダマール:「創設者も一緒に。」
デュカット:「おい、よさないか、ダマール。大事な同盟相手に、そんなこと言うものじゃないだろう。…この戦争が終わるまでは、我慢しろ。」
笑うダマール。「…もう一つお話があります。」
「手短にな。」
「戦闘中にも基地で、テロがあるかもしれません。連中も急がないと手遅れになると知ってます。」
「連中というと、ロムにはほかに仲間がいるというわけか?」
「あれだけの大それた計画で、単独犯だとはとても考えられません。女房のリータ、ジェイク・シスコに、キラ少佐です。」
「つまり何が言いたい。」
「逮捕しましょう。拘束しておくんです。ワームホールが開くまでは。」
「賢明な処置だな。だが理由もなしに逮捕するのでは、同盟国のベイジョーが抗議してくる。…もし問題になったら、ただの…事情聴取。そう言えばいいな、ん? だがダマール、くれぐれも…彼らに怪我をさせないようにしてくれ。キラ少佐は、娘の大事な友人だ。それに…私にもな。」
「娘さんの件ですが…彼女自身のためにも、しばらく部屋を…出さない方がいいかと思います。」
「その理由は。」
「正直に言いまして、ジヤルを完全には信用できません。用心が必要です。」
ダマールに近づくデュカット。「私の娘が破壊活動に荷担していると言うのか?」
「いえ、そこまでは言っていません。ただジヤルは…キラ少佐と親しすぎます。」
「仕事に戻りたまえ、ダマール。」
「彼女はカーデシア人としてどうあるべきか、まるでわかっていません!」
「それでもあれは、私の娘だ! …お前には意味がなくとも、私にはそれが全てなんだ。」
出ていくダマール。

キラたちと集まり、話しているリータ※11。「宇宙艦隊は待ち伏せでやられたって。」
クワーク:「カーデシアの兵士からは、壊滅状態だって噂を聞いたぞ。」
ジェイク:「…噂に惑わされちゃだめだ。」
キラ:「その通りよ。大佐は必ず来る。だけど問題は間に合うかどうかだわ。」
クワーク:「あと 7時間しかないんっすよ。7時間後には地雷は吹き飛ばされて、ワームホールからドミニオンが押し寄せる。」
ジェイク:「絶対に食い止めなきゃ。」
リータ:「どうやって。」
キラ:「大元のメインコンピューターの動力源を切るってのはどう? 基地全体を麻痺させるのよ。」
クワーク:「ハ、いいね。それじゃ商売できなくなっちまう。」
ジェイク:「でも地雷を爆破することもできなくなるよ。」
「わかったよ。動力源を切るとして、どうやるんです? 一体。」
キラ:「爆弾。」
驚いて大きな声で繰り返すクワーク。「爆弾?!」
周りを見るキラたち。
声を落とすクワーク。「どんな爆弾なんです?」
キラ:「それは任せて。手作りだけど、強力だから。」
「メインコンピューターは中央コアにあるんっすよ。警備があまりに厳重過ぎる。無理だ。爆弾を持ち込むなんて不可能だね。」 カウンターに戻るクワーク。
「私が、設置しに行くわ。警備の気をそらしさえすれば、何とかなる。」
声が聞こえる。「ここだ、ドアを固めろ。」 ダマールがやってきた。「少佐、ここだったか。お仲間も揃ってて、手間が省けた。」
キラ:「勤務時間じゃないのよ。何の用?」
「一緒に来てもらう。3人ともだ。」
「どこへ?」
「保安部のオフィスだ。ちょっと聞きたいことがある。」
ジェイク:「聞きたいことって何?」
「ついてくればわかる。」
周りをカーデシア人が取り囲む。
ダマール:「やれよ、少佐。抵抗してみろ。公務執行妨害で逮捕だ。」
キラはリータたちに言う。「大丈夫よ、心配ないわ。」
ダマール:「もちろんだとも。やましいことはない。そうだろ?」 3人はカーデシア人に連れて行かれる。リータに言う。「特にお前はな。」
その様子を、クワークが見ていた。


※5: Captain Diego

※6: チャールズ・レイノルズ Charles Reynolds
宇宙艦隊士官で、U.S.S.ケンタウロスの指揮官。DS9第125話 "A Time to Stand" 「明日なき撤退」より

※7: 前編に続いて登場

※8: 前編に続いて登場

※9: 前編に続いて登場

※10: 前編に続いて登場

※11: 前編に続いて登場

ダマールはデュカットに言う。「シスコって男は本当にしぶといですねえ。懲りずに 9回も戦闘機を突撃させてきてる。」
デュカット:「しぶとさが、実を結ぶことも大いにありうるからな。奴に褒美をやろうじゃないか。どうかね? 小隊を 6つ陣形から外して、敵戦闘機を追わせるんだ。」
微笑むダマール。「了解。」

攻撃を続ける宇宙艦隊の戦闘機。それを追って、中型のカーデシア船が動き始めた。
オブライエン:「カーデシアの攻撃機、2小隊が編隊を崩しました。こちらの戦闘機を追ってます。」
ガラック:「食いつきましたね。陣形に穴が開きましたよ。」
シスコ:「そうかな。」
ダックス:「奥にガロア級の駆逐艦が並んでる。」
「わかってる。」
ベシア:「罠です。」
「だがチャンスでもある。次があるかどうかわからん。少尉、ギャラクシー部隊 9-1 と 9-3 に駆逐艦を攻撃するよう伝えろ。その他の全艦は開口部へ突進だ! 一機でも通り抜けたら、全速でディープ・スペース・ナインへ向かえ。」
一斉に敵艦隊へ向かう連邦艦。交戦が始まる。ギャラクシー級の船がカーデシア艦を狙い、できた道を他の艦が次々と抜ける。ディファイアントにも攻撃が及ぶ。
ガラック:「挑発は大成功。連中、相当…怒ってますよ。」
シスコ:「マジェラン※12とヴェンチャー※13は我々の右舷を守るはずだろ! 接近しすぎてるぞ! 少尉、第6、第7、第8戦闘小隊に、部隊の再編成を…」
ノーグ:「艦長! 通信は不可能です。システムダウンしました。」
コンソールが吹き飛ぶ。確認するオブライエン。「変調電磁パルスを出して、こっちのシグナルを妨害してます。」
シスコ:「解消できるか。」
「今やります。」 操作するオブライエン。ブリッジでは爆発が続く。

テロック・ノール。
カナールを注ぐデュカット。「戦争とは、喉が乾くものだ。そう思わないか?」
ウェイユン:「そうしゃべってばかりでは、喉が乾いて当然でしょうね。」 笑う 2人。
「カーデシア人は、話好きなんだ。欠点とされることもある、時にはね。」
差し出されたグラスを断るウェイユン。「うーん、結構。」
「惑星連邦を征服した我らに。」 デュカットは自分で 2つのグラスを合わせる。
「少し気が早くありませんか?」
「そんなことはないだろう。ドミニオンの軍艦が 2,800機も、ワームホールの向こう側で今か今かと待ってるんだ。」
「その援軍が来るまで、あと 5時間あるんですよ。5時間あれば事態が変わることも、ありえます。」
「あーっ! ウェイユン、君は……悲観論者だといわれたことは、ないのかね?」
笑うウェイユン。「慎重であることと、悲観的に過ぎるというのは違いますよ。」
「慎重さで連邦を破ることはできなかっただろう。」
「まだ破ってはいないでしょ? 破ったとしてもそれは始まりに過ぎません。連邦のような広大な領域を支配するのは容易じゃない。膨大な数の船が必要になるでしょうね。強大な占領軍を投入し、監視の目は一時も…緩められません。」
「それを、楽しみにしてるんだ。」 大きく笑う。
「ベイジョーを占領する時も、楽しみだったんでしょうねえ。でもあれは失敗に終わりました。」
「いやいやいや、あの時は他人の政策に従ったまでだ。もし独自の考えでやっていれば、結果は全く…違うものになっていただろう。」
「一つ言っときます。連邦の…統治の鍵になるのは…地球ですよ。」 星図の点を指差す。「我々に対する抵抗勢力が生まれるとすれば、それは必ず地球でしょう。」
「かもしれないな。」
「彼らを破ったら、人類を殲滅してしまうことです。それしかありません。」
「それはできない。」
「なぜです。」
「なぜかだって? 真の勝利というのは、抵抗するなどと考えるだけでも愚かなことだと敵に思わせることだ。我々に…ひれ伏させ、崇めさせるのだよ。」
「それから殺す?」
「…もし、必要とあればだ。」
「…ご立派な理論で。」
「……人生でただ一つ、悔やまれることがある。ベイジョー人は、私が彼らの解放者としてここへ来たことが、どれほど幸運だったか、未だに理解しようともしない。私はあらゆる局面で彼らを守って、自分の子供のように心配し、手をかけた。なのにこの日まで…ベイジョー星には、私の銅像が一つでもあるか?」
「ないんでしょうね。」
「その通りだ。」 2人は笑った。
野球ボールを手に取るデュカット。「しかも、シスコまでだ。ほかの点では洞察力があり、切れる男だろ、ん? なのに彼も、未だに私の功績を…全く認めていないんだ。」 ボールを床に落とした。
ウェイユンはまた笑っている。
「何がおかしいのかな?」
「おかしいなんて、それどころか、傑作じゃないですか。」
「笑っているがいい。歴史が、私を評価する。」

外を見つめているオドー。ジェムハダーを外に待たせ、女性可変種が入ってきた。「いい知らせがあるのよ。連邦との戦闘はじきに、決着がつくわ。」
「死んでいく者たちが大勢…いるんです。私の友人たちです。」
「彼らは固形種よ。それを忘れてはだめ。」
「わかってます。でもまだ簡単には割り切れない。」
「つながりの方が大切よ。」
「…ずっとそう言い聞かせてます。でもどうしてもそうは思えない。」
「知りたがったのはあなたなのよ、オドー。だから教えた。全てを受け入れなさい。…キラ少佐ね、そうでしょう。まだ彼女に強い愛情をもっている。オドー、彼女はあなたにはふさわしくありません。固形種に惑わされて、偉大なるつながりに戻るのをためらうなんて。私には許せなかった。」
「どういうことです。」
「キラ少佐は逮捕されたわ。」
「何の容疑でです。」
「どうでもいいことです。彼女は有罪と宣告されて、死刑になるでしょう。」
驚くオドー。「そんな!」
「彼女の死が、あなたを開放するんです。私とつながりなさい。全てが明らかになるわ。それが平和をうる、唯一の方法よ。」
「いやだ!」
「彼女を助けることはできないの。固形種を助けることはできないわ。いくらあなたがそうしたいと願っても、もう手遅れなのよ。」

ディファイアントの左右についたミランダ級の船。敵艦の攻撃に、どちらも破壊された。
ダックス:「今、シタック※14とマジェスティック※15が撃墜されました! もう援護はいません。」
オブライエン:「通信回復しました!」
ノーグ:「正面、敵艦が 4隻います!」
シスコ:「回避行動だ! パターン・オメガ! すり抜けるぞ。」


※12: U.S.S.マジェラン (マゼラン) U.S.S. Magellan
ギャラクシー級。フェルディナンド・マゼラン (Ferdinand Magellan) にちなんで命名。コンステレーション級のマゼランもあり (NCC-3069、TNG第144話 "Starship Mine" 「謎の潜入者」)

※13: U.S.S.ヴェンチャー U.S.S. Venture
連邦宇宙艦。ギャラクシー級、NCC-71854。DS9第74話 "The Way of the Warrior, Part II" 「クリンゴンの暴挙(後編)」より ※14: U.S.S.シタック U.S.S. Sitak
ミランダ級

※15: U.S.S.マジェスティック U.S.S. Majestic
ミランダ級、NCC-31060 (31860?)

ディファイアントは敵艦隊の中を縫って進み続ける。攻撃を受け、自らも武器を撃つ。
ダックス:「1機撃墜!」
シスコ:「ほかの 3機、振り切れるか!」
「やってみます。」
ベシア:「船尾シールド、ダウン! 船首シールド、15%です!」
ガラック:「遮蔽装置はまだ使わないんですか?」
オブライエン:「システムが焼き切れてる!」
シスコ:「補助動力は兵器に回せ。応戦して針路を切り開くぞ!」
次々と敵船をかわすディファイアント。その時、別方向からの攻撃を受け、ディファイアントを追っていたジェムハダー船が爆発した。攻撃しているのはクリンゴンの艦隊だ。戦闘地帯へ近づき、敵艦を撃破する。
ノーグ:「艦長、クリンゴンです。来てくれた。」
ガラック:「はーっ!」
「ウォーフ少佐から通信です。」
シスコ:「スクリーンへ。」
ダックスも見つめる。
ウォーフ:『艦長、遅れてすみません。応援を出すよう、総裁を説得するのに手間取りました。』
シスコ:「とにかく、来てくれて助かったよ。」
オブライエン:「艦長、クリンゴンの攻撃でドミニオンの陣形に穴が開きました。」
「ダックス、突破できるか。」
ダックス:「行きます。任せて。」
バード・オブ・プレイの援護を受けながら進み続けるディファイアント。最後に控えていた巨大なドミニオン戦艦を撃沈させる。
シスコ:「ほかの船はついてきたか。」
ノーグ:「だめでした。」
言葉を失うクルー。
シスコ:「ワームホールの地雷が爆破されるまで、あと 3時間しかない。ディープ・スペース・ナインへ針路を取れ。最大ワープだ!」
ディファイアントはワープに入った。

報告するダマール。「ディファイアントが防衛線を突破しました。こちらへ向かっています。追跡を命じますか?」
ウェイユン:「直ちにね。」
ボールを持っているデュカット。「この基地相手では、奴らに勝ち目はない。シスコが自殺したいというなら、好きにさせよう。」

ジヤル※16は自室へ戻った。突然、隠れていた者に後ろから口を押さえられる。クワークだ。驚くジヤル。
クワーク:「大声を出すな。怪我はさせない。」
ジヤルはうなずいた。
手を離すクワーク。「聞きたいことがある。」
「何なの?」
「ハスペラート・スフレ※17の作り方を知ってるか?」

保安室にいるカーデシア人※18。クワークがふたのついた皿を持って、ジヤルと一緒に中へ入る。「キラ少佐にランチです。」
カーデシア人:「キラ少佐の食事なら、もう済んでる。」
「ひどいもん食わせてるんだろうな、想像つくね。俺はハスペラート・スフレを持ってきたんです。少佐の好物でね。」
「ここは留置場で、ホテルじゃないんだ。ほかの収監者と同じ物を食べさせる。」
ジヤル:「私のこと知ってる?」
「ガル・デュカットのお嬢さんです。」
「ええ、そう。だったら早く私たちを中へ通してちょうだい。」
「それは無理です。ですが、私から渡しておきましょう。中身を調べてからね。」
クワーク:「いやあ…調べなきゃだめっすか?」
「ふたを開けろ!」
「しょうがないなあ。」 皿を置き、中を見せる。「ほら、ハスペラート・スフレですよ。言った通りのね。」 ふたを戻すクワーク。
だがカーデシア人はまたふたを開け、ペンを使って中身も調べ始めた。
「突つかないで下さい! デリケートなんですから。」
それでも調べつづけるカーデシア人。するとジヤルは、隠し持っていたハイポスプレーをカーデシア人の首に打った。意識を失い、スフレの上に顔を突っ伏す。
クワーク:「台無しじゃないか。」
2人は奥へ進む。

拘留室をジェムハダーが見張っている。
ロム※19:「地雷の爆破まで、あとどのぐらいかなあ。」
キラ:「さっきから何度も聞かないでくれる?」
「ごめん。」
ジェイク:「大体あと、1時間半だ。」
「そして僕も殺される。」
リータ:「そんなこと言わないで!」
「…まだ僕を殺さないのは、戦勝記念の儀式にしたいからだよ。7時丁度に、デュカットの演説。8時半、ケーキとラクタジーノ。8時45分、フェレンギの処刑だ。」
突然クワークの声が響いた。「よーし! 全員動くな。」
身構えるジェムハダー。クワークは両手に一丁ずつカーデシア銃を持っている。後ろにはジヤルもいる。
ロム:「兄貴! 来てくれると思った!」
クワーク:「自分でもびっくりだよ。いいか、妙な真似するなよ。その場所から動くな、わかったか。動くな!」
睨み合う両者。
クワークは片方のジェムハダーに言う。「お前、弟たちを出せ。」
顔を見合わせるジェムハダーたち。
クワーク:「聞こえないのか? 弟たちを牢から出すんだよ。」
ジヤル:「動くなって命令したからよ。」
「そうか…。みんな動くな! お前は別だ。ほら、早く…みんなを出せ。」
もう一人と視線を交わすジェムハダー。クワークに銃を向ける。その時、クワークは叫びながらディスラプターを発射した。同時に倒れるジェムハダーの 2人。
驚くジヤル。
キラ:「…クワーク。」
固まったままのクワーク。「…何?」
「フォースフィールドを止めて。」
「フォースフィールド?」
クワークの銃を取り、ジヤルは操作パネルを破壊した。フォースフィールドが消滅する。
外に出るキラたち。リータはすぐにロムと抱き合って喜ぶ。
キラ:「キスしたいとこだけど、時間がないわ。」 ジェムハダーが持っていた武器の片方は、ロムに投げ渡す。「メインコンピューターのパワーを切る方法を考えなきゃ。」
ロム:「僕がやる。」
リータ:「ああ…ロム。」
「ただ殺されずに中央コアまで行き着けるかどうかだ。」
キラ:「私が一緒に行くわ。ほかのみんなは、安全な場所で身を隠してて。」
ジェイク:「わかった。」
留置場を出て行く。まだ突っ立っていたクワークの手を引っ張るジェイク。

オドーに話す女性可変種。「戸惑っているのはわかるわ。ただ飛び込めばいいの。全ての答えは偉大なるつながりにあるのよ。」
チャイムが鳴った。
オドー:「どうぞ。」
ウェイユンが入る。「お邪魔してすみません。キラ少佐と、フェレンギのテロリスト、それに彼らの仲間のレジスタンスグループが脱走しました。安全のため、私と一緒に来て下さい。」
女性可変種:「すぐ捕らえなさい。」
「わかっております。ただそれまで、司令室の方が安全ですので。」
「わかりました。」 女性可変種はオドーに言う。「行きましょう。」
オドー:「…私はここにいます。」
「大丈夫ですか?」
「ええ。」
オドーの部屋を出る女性可変種のあとに、ウェイユンも続いた。

銃の攻撃を避けながら、廊下を走り続けるキラとロム。身を隠し、反撃する。
キラ:「そっちへ入って!」
追うカーデシア人。
2人は貨物室に入った。入り口から武器を撃ちながら、すぐにドアを閉める。
反対側のドアに向かうが、ジェムハダーたちが入ってきた。貨物に隠れる 2人。敵は武器を撃ち続ける。
ロムは耳に手を当てた。「聞こえました? ベイジョーのフェイザーの音だ。」
キラ:「どうしてドミニオンがベイジョーの武器を使ってるの?」
人が倒れる音がし、銃声はしなくなった。
ゆっくりと立ち上がり、様子を見る 2人。
ジェムハダーが倒れており、その奥にはベイジョー人の保安部員たちがいる。そしてオドーがやってきた。「不測の事態は常に起きうるんですよ。」

3人になって廊下を進む。後ろには保安部員が続く。
オドー:「コンピューターを止める? もう 40分ないぞ。」
ロム:「間に合うといいんだけど。」
キラ:「間に合わせるのよ。ドミニオンのパトロールを追い払える?」
オドー:「保安部のオフィスへ行って、目くらましにあちこちで警報を鳴らそう。ほかに質問は?」 ロムはコンジットのふたを開け始める。
キラ:「どうしてなの?」
「説明している時間はありません。それに答えはわかってるでしょう?」
ロムに続いて、キラも中へ入る。「つながりは、いいの?」
「つながりは、楽園のようです。だが…私はまだ、この世で…暮らしたい。」 ふたを閉めるオドー。「…気をつけて。」
「あなたも。」

ワープ中のディファイアント。
シスコ:「ダックス。到着予定時刻は。」
ダックス:「11分後です。」
オブライエン:「際どいですねえ。」

工具を使い、作業を行うロム。「ああ…。」
キラ:「ロム、どう? いけそう?」
「何度も聞かないでくれますか。」
「ごめん、悪かったわ。」
「……だめだ、間に合わない。」 手を止めるロム。
「じゃ、こうしましょう。兵器システムへのパワーを切るの。そっちの方が簡単でしょ。兵器が使えなきゃ、地雷を爆破させることもできなくなるわ。」
「…しばらくはね。」 再び作業に戻るロム。

報告するダマール。「閣下、クリンゴンが側面に回りました。防衛ラインが崩れ始めてます。」
デュカット:「何も心配することはない。」 女性可変種に言う。「きっかり 4分後には、数千のドミニオン軍がワームホールからなだれをうって押し寄せるんです。ディファイアントが間に合うといいがなあ。シスコに見せてやる。」 ボールをもてあそぶ。

ディファイアント。
ダックス:「ベンジャミン、私なら第2案の検討に入るわね。」

必死に作業するロム。「もう少しだ。あとは ODN リレーの切断だけだ。

ダマールはデュカットに言った。「地雷複製装置、解除完了。いつでも地雷原を爆破できます、閣下。」
コンピューターを操作するダマール。司令室の者は全員、スクリーンを見る。

ロムは作業を続ける。

デュカットは命じた。「爆破!」

喜ぶロム。「やった!」

宇宙空間に整然と並んだ地雷。その端に武器が撃たれ、連鎖反応を起こして次々と爆発していく。
ロムは呆然とする。「まずい。」
キラ:「どうしたの?」
「…間に合わなかったよ…。」

ディファイアントのスクリーンに映ったステーション。そばで地雷が爆発していくのが見える。
無言で見つめるクルー。
ダックス:「どうします? 艦長。」
シスコ:「ワームホール内部に針路を取れ。」
オブライエン:「屁でもない。2,000隻の艦隊と対決するだけだ。」
ダックス:「一隻で全艦隊に立ち向かう気? そんな第2案がある?」
ガラック:「ねえ、チーフ。あの詩の結末は?」
オブライエン:「聞かない方がいいよ。」

デュカットたちは笑っている。
女性可変種:「ガンマ宇宙域最前線の基地にメッセージを送りなさい。アルファ宇宙域で援軍を待っていると連絡するのよ。」
ダマール:「閣下。ディファイアントが、ワームホールへ向かってます。」
ウェイユン:「撃墜しなさい。」
ボタンを押すダマール。うろたえる。
デュカット:「どうしたんだ、ダマール。」
慌てていろんなコンソールを触るダマール。「兵器システムが…作動しません。破壊されています。」
ウェイユン:「一体どうして。」
デュカット:「キラ少佐だな。」
ディファイアントは、開いたワームホールの中へ入っていった。


※16: 前編に続いて登場

※17: カーデシア人士官 Cardassian officer
(Darin Cooper)

※18: 前編に続いて登場

※19: hasperat souffle
ハスペラート (ハスペラット) は辛いベイジョーのブリート。TNG第176話 "Preemptive Strike" 「惑星連邦“ゲリラ部隊”」など

ワームホール内部を進むディファイアント。
シスコ:「全艦停止。チーフ、全パワーを船首シールドと兵器システムへ。」
ダックス:「前方に複数のワープ信号を感知しています。」
「スクリーンへ。最大に拡大してくれ。」
ワームホールの向こう側から、ドミニオンの艦隊が迫ってくる。
シスコ:「フェイザー、ロック。量子魚雷の発射準備をするんだ。」

光。一面の白い光の中に、シスコは立っている。心臓の鼓動が聞こえる。シスコは言った。「なぜここへ連れてきたんです。姿を見せて下さい! 何の用なんです。」
オドーの姿を借りた預言者が現れた。「シスコが我々のもとへ戻った。」
預言者ジェイク:「疑問を胸にきた。」
預言者キラ:「疑問は常にあるものだ。」
シスコ:「なぜここへ呼び寄せたんですか。」
預言者デュカット:「お前はゲームを終わらせようとしている。」
「何のゲームですか。何の話をしてるんです!」
預言者ウェイユン:「物質世界での存在を、捨てようとしている。」
預言者ダマール:「それは許されない。」
預言者オドー:「ゲームは続けねばならない。」
シスコ:「ゲーム? 私の人生ですか? だから呼び寄せたんですか? 私を死なせないために。」
預言者デュカット:「ゲームは、続けねばならないのだ。」
預言者ウェイユン:「お前はシスコだ。」
シスコ:「いいですか、私も死にたくはない。でもドミニオンのアルファ宇宙域征服を防ぐためだったら、どんなことでもするつもりでいます。そしてそのために、私やクルーの命が犠牲になるなら、それも仕方ない。」
預言者ジェイク:「同意はできない。」
預言者キラ:「お前の論理は破綻している。」
預言者オドー:「不適切だ。」
シスコ:「死なせないといわれるのはありがたいが、決心は変わりません。私をディファイアントに戻して下さい。」
光に包まれ、シスコはディファイアントのブリッジに来たが、それはまだ現実ではない。「ふざけるのはやめてくれ! 現実の船に戻して下さい。」
預言者ダマール:「お前は、シスコなのだ。」
「だが宇宙艦隊の艦長でもある。私は自分の任務を果たすつもりです。」
預言者ウェイユン:「シスコは非常に好戦的だ。」
預言者デュカット:「攻撃的だ。」
預言者ダマール:「反抗的だ。」
シスコ:「反抗的だと! だから何だ。私の人生を邪魔する権利はないはずだ!」
ステーションの司令室に移動した。
預言者キラ:「権利なら十分にある。」
シスコ:「そうか。あくまで邪魔する気なら、邪魔すればいい。ならドミニオンの援軍を何とかしたらどうなんですか。」
預言者オドー:「それは物質世界の問題だ。
預言者デュカット:「物質世界の問題は、我々に関係ない。」
シスコ:「関係ないですって? ベイジョーはどうなるんです。ベイジョーの運命も関係ないとは言わせませんよ。ベイジョーに発光体と、選ばれし者たちを送ったでしょう。そして彼らがあなたたちを神として崇めるように仕向けたじゃないですか。自分たちはベイジョーの神だと名乗ったことさえある。なら物質世界は関係ないなんて、軽々しく言わないでもらいたいですね。ベイジョーが破壊されるのを見たくない。あなたたちもそうでしょう。だがもしドミニオンがアルファ宇宙域を征服すれば、必ずそうなるのはわかっているはずです。私が命を犠牲にするのは見たくない、そうですか! 私だって嫌だ。神になりたいなら、それらしくしたらどうですか。奇跡が必要なんだ。ベイジョーには奇跡が必要なんだ。ドミニオン軍を阻止してくれ。」
預言者ウェイユン:「我らはベイジョーのもの。」
預言者ダマール:「シスコはどうする。」
預言者オドー:「彼は度を越した。」
預言者デュカット:「ゲームを支配しようとしている。」
預言者ジェイク:「償いをさせねばならない。」
預言者ウェイユン:「賛成だ。」
預言者デュカット:「シスコは、ベイジョーのものだ。だがベイジョーでは安らげないよ。」
預言者キラは、シスコの耳をつかんだ。「彼のパールは別の道を歩む。」
シスコ:「別の道とは何なんです。」

光。シスコはディファイアントに戻った。辺りを見る。
オブライエン:「フェイザーバンク、チャージ完了。」
ノーグ:「船首シールド、強度 100%。」
「魚雷準備 OK、ターゲットロック。」
ダックス:「来るわよ。」
シスコは命じた。「私の合図で発射だ。」



ノーグが言う。「戦艦が何千隻もいる。」
ガラック:「半分がこの船に狙いを定めてる。」
シスコ:「気おされるな。一発も無駄にするなよ。」
ダックスは何かに気づいた。「ベンジャミン。」
スクリーンに、ワームホールの内部が明滅する様子が映し出される。
目を見張るクルー。
近づいてくるドミニオン戦艦。だが次の瞬間、全ての船は消え去った。
オブライエン:「…遮蔽装置だ。」
ダックス:「でもニュートリノ放射は感知してない。」
ガラック:「じゃあ、どこへ行ったんです?」
シスコ:「どこかは知らないが…二度と戻ってはこないだろう。」

報告するダマール。「閣下、ワームホールが開きます。」
スクリーンのワームホールが開き、船が一隻でてくる。
デュカット:「ディファイアントだ。ドミニオンの艦隊が、すぐに続いてくるはずだ。」
だがワームホールは閉じてしまった。
ダマール:「反応なし。船影はありません。」
ウェイユン:「馬鹿な。ガンマ宇宙域の前哨基地に確認してみなさい。」
「基地もありません!」
スクリーンを見上げるデュカット。「ワームホールに入ったはずだ。どこ行ったんだ!」
「わかりません。」 ステーションが揺れた。「ディファイアントが攻撃してきました!」
ウェイユン:「そのようですね。」
デュカット:「武器システム、再起動できるか!」
ダマール:「時間がかかります。閣下、敵艦 200隻が防衛線を突破! こちらへ向かっています。」
ウェイユン:「荷造りした方がよさそうです。」
女性可変種:「アルファ宇宙域の我が軍勢に連絡して、カーデシアの領域まで撤退するよう命じなさい。どうやらこの戦争、思ったより長引きそうですね。」 司令室を出て行く。
ウェイユン:「第5エアロックで会いましょう。」 後に続く。
まだ見上げているデュカット。
ダマール:「閣下…。」
デュカット:「勝利をこの手につかみかけていたのに!」
「一刻も早く退去しないと。」
「ベイジョーも…」
部下に指示するダマール。「退去命令だ!」
デュカット:「連邦も…」 警報が鳴り出す。「アルファ宇宙域も…全部失った!」
ダマール:「早く行きましょう。」
「行くだと?」
「連邦の船がすぐやってきます。カーデシアへ戻りましょう。」
「娘を探さなければ。」
「誰か人をやります!」
ダマールを振り払うデュカット。「私は自分で探しに行く!」
「時間の無駄ですよ!」
「プロムナード!」 動き始めるターボリフト。
「彼女は来やしません!」

シスコに伝えるオブライエン。「艦長、ドミニオンが基地から撤退していきます。」
シスコ:「放っておけ。もう余力はない。」
ベシア:「艦長、コルテス※20からメッセージが入っています。ドミニオンが戦線を離脱し、退却してます。」
「全艦隊に、指令を出してくれ。針路は、ディープ・スペース・ナインだ。」
艦長席に座るシスコ。

プロムナードをさまようデュカット。ジェムハダーが去っていく。
指示が通信で伝えられる。『ドミニオンの兵士は全員直ちに、第4、第7、第12エアロックから退去せよ。この命令を最優先とする。繰り返す。ドミニオンの…』
ジヤルは見つからない。いらつくデュカット。

廊下はカーデシア人やジェムハダーで一杯だ。
ウェイユン:「どいてどいて。道を開けなさい。創設者が通られます。」 女性可変種に尋ねる。「オドーはどこです? 一緒に来るんですか。」
女性可変種:「いいえ。いつか、我々のもとへ戻るでしょう。近いうちに必ず。」
エアロックへ入る。

廊下を探しているデュカット。
ジヤルがいた。「お父さん!」
デュカット:「ああ、ジヤル!」
二人は喜び、抱き合う。
ジヤル:「ずっと探してたわ。退去しなきゃならないのね。」
「もうお前しかいない。私にはお前だけだ。」
「どんなに嫌いになろうとしても、やっぱり無理。」
「お前に嫌われたら、私は生きていけない。おいで。帰る途中で話そう。」 手を引っ張るデュカット。
ジヤルは動こうとしない。「帰る?」
「カーデシアだよ。ジヤル、惑星連邦が来る前にここを離れなきゃならないんだ。」
「私は行かないわ。」
「敵がここに押し寄せて来るんだ。」
「私には敵じゃない。…彼らは仲間よ。」
首を振るデュカット。「馬鹿を言うんじゃない。」
「お父さん。私…キラ少佐を逃がしたわ。ほかの人たちも、私が脱走させたの。」
「……何をしたか、わかっているのか。」
「ええ…わかってる。私は残るわ。」
ジヤルはデュカットの顔に手を触れた。「さよなら、お父さん。」 泣きながら離れるジヤル。だがすぐに立ち止まり、デュカットを振り返る。「愛してる!」
近づくデュカット。その時、ジヤルが銃で撃たれた。デュカットの後ろからだ。振り返って叫ぶデュカット。「やめろー!」
撃ったのはダマールだった。「ジヤルは…反逆者です。」
苦しむジヤルに駆け寄るデュカット。「ジヤル、大丈夫だよ。心配することはない。大丈夫だ、ジヤル。全て許そう。心配ないぞ。」
ダマールはデュカットに近づく。「時間がありません! 最後の船が待ってます!」
デュカットは叫んでダマールを振り払った。ジヤルに顔を近づける。「ジヤル…聞いてくれ。愛してるよ。」
ダマールは走り去った。
デュカットはジヤルに話しつづける。「お前を愛してる。だめだ…だめだ…。」
ジヤルは息を引き取った。
泣き伏せるデュカット。「ジヤル…。」

連邦艦が到着したディープ・スペース・ナイン。
エアロックからシスコをはじめとし、宇宙艦隊士官たちが降りてきた。プロムナードにいる住人から、一斉に拍手が起こる。
ジェイクと抱き合い、笑うシスコ。「ジェイク。」
保安室から出てきたオドー。「お帰りなさい。」
握手するシスコ。「オドー、無事だったか。みんな無事でよかった。」
別のエアロックからは、マートク※21とウォーフたちがやってきた。
マートク:「大佐! 賭けはあなたの勝ちです。ブラッドワイン 1樽でしたな。」
シスコ:「ああ、一緒に飲もう。」
ダックスが駆け寄る。「ウォーフ!」
ウォーフ:「ジャッジア。」
「結婚式は、予定通りね。」
キスする二人。
ダボガールに囲まれたクワークに尋ねるオブライエン。「クワーク、ホロスイートは使えるのか?」
クワーク:「いつでもどうぞ、チーフ。」
「ジュリアン! 聞いたか?」
ベシア:「『ブリテンの戦闘』やるか? 1時間後だ。」
リータとロムはノーグと話している。
リータ:「素敵じゃない。」
ロム:「昇進したのか!」
ノーグ:「エンジニアだよ。」
「じゃ、一緒に働けるな。」
「父さんが僕の下で働くんだよ。」 笑うノーグ。
ガラックはプロムナードを探している。
シスコと話すジェイク。「会いたかったよ。来てくれてよかった。」
シスコ:「キラ少佐はどこにいるんだ。」
「少佐は医療室なんだ。ジヤルについてる。」
ガラックはその言葉を聞き、すぐに向かった。

ジヤルの遺体が置かれた、医療室に入るガラック。
キラがいる。「あなたを愛してた。」
ガラック:「どうして私のことなんか。」 ジヤルの顔に手を触れる。「一生わからないままだ。」

部屋の隅で、小さくなって座っているデュカット。つぶやいている。「ジヤル、一緒にカーデシアへ帰ろう。あそこなら安全だ。一緒に暮らそう…」
その様子を見ていたシスコは、オドーに命じた。「ドクター・ベシアに、みせてやってくれ。」
デュカット:「…二人で幸せに暮らそう…」
オドーは拘留室のフォースフィールドを解除した。
デュカット:「私を許してくれ…私は父親だ。私も許そう。大事な娘だ。」
オドー:「行きますよ。」 デュカットを立たせる。「しっかりして!」
ゆっくりと出てくるデュカットは、シスコに言った。「お前も許そう。」 持っていた野球ボールを、シスコに返す。
連れて行かれるデュカット。
シスコはボールを握り締め、そして見つめた。


※20: U.S.S.コルテス U.S.S. Cortez
前話 "Favor the Bold" より

※21: 前編に続いて登場

・感想
とりあえず「すごい」というだけなのですが、そうもいかないので…。
第5シーズンからずっと匂わせてきた艦隊同士の衝突が、第6シーズンの 6話目にして描かれました。明らかに、これまでの直線的な戦闘シーンとは一線を画していますね。CG 技術の革新が著しい中、これが 4年前の作品とは思えません (ちなみに現在放送中のヴォイジャーは 1年前)。ギャラクシー級が何隻も同時に映る様子は、まさに圧巻ですね。
ストーリー面では前編に続いてサブレギュラーが大量投入されていて、見せ場が用意されているキャラクターも多くいます。その中でも…やはりジヤルの最期が悲しすぎますね。彼女の死によって、戦闘によって失われていく多数の命も、絵空事ではないというのが引き立っている気がします。
預言者によって「とりあえず」解決してしまうというのは確かにあっけないですが、その際シスコ&預言者の謎めいた、そして今後に引っ張る会話はやっぱり DS9 ならでは (個人的に預言者のシーンは撮影の手間などを考えても、以前から好みでした)。これは他のドラマ (もっと言うと他のシリーズ) ではなかなか難しいでしょうね。仮にあの状況で一隻で圧倒的に強い敵に勝っちゃうとしたら、そちらの方がよっぽど非現実的かも。


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