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ディープスペースナイン エピソードガイド
第23話「帰ってきた英雄 パート3」
The Siege

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・イントロダクション
連邦の士官たちの前で話すシスコ。「宇宙艦隊としては撤退するしかない。連邦が駐留しているのは、ベイジョー政府からの要請に基づいてだ。」
ベシア:「その政府が瓦解したわけですからね。」
「無論政府からの通告があれば契約は終わりだ。しかし我々にしてみればそう簡単にはいかない。例えばビレッキ大尉※1は、ベイジョー人の男性と婚約している。」 うなずく女性士官。
別の男性に近づくシスコ。「ケリー少尉※2は、お嬢さんがベイジョー人の少女と、科学プロジェクトに取り組み表彰を受けたほどだ。我々もみんなここで働いている間に、ベイジョー人の友達ができた。だからベイジョーの将来は、他人事ではない。そこで私は…ここに留まろうと思う。」 騒ぐ部下たち。「撤退作業が滞りなく行われるよう、指示するためだ。」
オブライエン:「それには在庫システムを動かす人間が必要ですよね。」
ベシア:「医療装置を全て撤収するには、かなり時間がかかりますよ。」
他の士官も口々に話す。
シスコ:「残ってくれるのはありがたいが、もう一度よく考えてみてくれ。我々としてはステーション乗っ取りを、可能な限り引き延ばし、今回のクーデターへのカーデシアの関与が公になるのを待つ作戦でいく。…失敗もあり得る。サークルのメンバーは惑星連邦は敵だと思いこまされているらしい。…だからステーションに残っている我々を見つけたら…血祭りに上げることなど、恐らく何のためらいもなくやってのけるだろう。繰り返すが脱出するなら、今が最高のチャンスだ。…君たちの中には、家族のある者もいるだろう。脱出を選んだとしても君たちを責めたりはしない。…本当だ。…脱出したい者はすぐに去って構わない。」
だが、誰一人としてその場を動こうとしなかった。シスコを見る。
シスコ:「ベイジョー人以外は命が危ない。一般人や子供は直ちに脱出させる。ステーションで働くベイジョー人にも、脱出したい者がいるだろう。やることはたくさんある。敵のシャトルが到着するまで、あと 5時間だ。では解散。」
話しながら向かう部下たち。


※1: Lieutenant Bilecki

※2: Ensign Kelly
2人ともエキストラ

・本編
撤収が進む DS9 内。宇宙艦隊士官の指示の下、エアロックへ入っていく。
その様子を見ているクワーク。「何百人って人間が出ていくのに、使えるシャトルは 3隻しかない。これがどういうことかわかるか?」
ロム※3:「…そりゃあ…ああ…もちろん、大勢置いていかれるってことさ。…悲劇だなあ。兄貴も、さすがに同情を抑えきれないみたいだね。」
「バーカ、一財産作るチャンスだ。」
「チャンス?」
「みんなシャトルに乗るためならいくらでも払うだろうよ。」
「ああ…あ、兄貴まさか…俺の席は売らねえよ!」
「ロム。」
「いやだ、俺はここに残って殺されて、兄貴は儲けるなんて!」 店のカウンターにはモーンが見える。
「ロム! …実の弟のお前を、犠牲にしてまで金儲けするとでも思ってんのか?」
「ああ…」
「兄弟じゃねえか。」
うなずくロム。
クワーク:「…一世一代の大儲けができるってもんだ。」
ロム:「でも! 命あっての物種だよ…」
「安心しろ、お前もちゃんと逃がしてやる! アホな人間どもからラチナムの延べ棒をたっぷり巻き上げてから、トンズラしようぜえ?」
笑うロム。

走るノーグ※4
前からジェイクがやってくる。「ノーグ!」
「ジェイク! ずっと、探してたんだぞ。」
「乗るシャトルは?」
「リオグランデだ。」
「ああ…僕はガンジス。ああ、ああ…」
「ガッカリすんなって。2日後には、ハノラン・コロニー※5で会えんだから。」
「僕はハノランには行かない。」
「でも、親父が言ってたけど。」
「ガンジスはクーラット星系※6へ行くんだ。艦隊士官の家族はそこへ行くみたいだよ。ああ…」
「あ…またすぐ戻ってこられるさ。そしたらまた、ケイコ先生にヒステリーを起こさせてやろうぜ。」
「…新しい場所にもやっと慣れて、友達もできた。そう思うと途端にいつもこれだ!」
「…暗いぞ!」
「当たり前だろ!」
「…人間とフェレンギ人の組み合わせで、俺たち以上のコンビがいるかよ。」
「…いないよ。」
「親父どもの迫害にも負けなかったんだぜ? こんなクーペ、じゃない…クー、クークーデ…」
「クーデターだよ。フランス語だ。」
「とにかく邪魔されてたまるかよ。必ずまた会えるさ、すぐにな。約束だ。」
オドーが通りかかる。「ジェイク、ノーグ! 遊んでる暇なんかない。早くシャトルに乗り込んでくれ。」
抱き合うジェイクとノーグ。別れる。

憂鬱な顔をしているケイコ・オブライエン※7
モリー※8を抱いたオブライエンが近づく。「…仕度はできた?」
ケイコ:「ええ。」
「頼むよ、ケイコ。そんな顔はやめてくれ。」
「どんな顔よ。」
「こうするしか仕方ないんだ。」
「そうかしら。」
「司令官を助けなきゃ。」
「私達は?」
「カーデシア人にワームホールを渡すわけにはいかない。」
「ガンマ宇宙域なんか、奴らにくれてやればいいのよ!」
外へ向かうオブライエン。
ケイコ:「あなた? …一緒に行きましょう。」
モリー:「これからどこ行くの?」
オブライエン:「シャトルに乗るんだよ?」
「パパも一緒に来るんでしょう?」
「ああ、すぐね?」 ケイコに言うオブライエン。「すぐに後を追いかけるよ。」 部屋を出た。「エアロックまで送るよ。」
ケイコも向かった。

報告するダックス。「ベイジョーへつながる亜空間通信のウィンドウは全てスキャンしてみたけど、どれもこれも妨害されてるの。」
キラ:「…なら仕方ないわね。直接証拠を持っていくしかないわ。」
リー:「だが船で行けば、すぐにジャロの勢力に探知されてしまう。」
シスコ:「シャトルだったらかわせるかもしれないが、脱出でシャトルは全部ふさがってる。」
「ルナ5 の基地※9は?」
キラ:「あそこにシャトルがあります?」
「カーデシアが攻めてくる前にサブインパルス戦闘機※10を地下に隠しておいたんだが、10年前だからな。」
「脱出シャトルで、私をルナ5 まで運んでくれませんか。」
シスコ:「だが戦闘機が飛ばなかったらどうする。」
「そしたら助けに来てもらえるまで待ってます。」
「すぐには助けに行けないかもしれないぞ。…ダックス。君の本体の中で、サブインパルス反動推進エンジンに詳しい者はいないか。」
ダックス:「…ええ、トビン・ダックス※11が。」
キラ:「トビン? その名前は初耳だわ?」 笑う。
「2番目の本体よ? 面白みのない男だったけど、フェイズコイル・インバーターにかけては右に出る者がいなかったわ?」
シスコ:「そういうことなら、君にキラと一緒に行ってもらおう。」
オドーに司令室へ連れてこられたクワーク。「こんなことやってる暇なんかねえんだ。荷造りもまだなのに。」
シスコ:「何の騒ぎだ。」
オドー:「シャトルの搭乗券を高く売りつけていたんです。」
「…席に余分はないはずだが?」
クワーク:「だって皆さん私に席は余ってないかっておっしゃるんですよう。商売人たるものお客様のご要望にお応えするのが仕事ですから…」
クワークの首を締め上げるシスコ。「ステーションには脱出希望者がまだ 200人も残ってるんだぞ! どこで搭乗券を手に入れた!」
クワーク:「…買い取ったんですよ! それなりに金を積めば、搭乗券を譲ってもいいって人は、全然いないってわけじゃないんだし。」
通信が入る。『ベシアより司令室へ。』
シスコ:「どうした。」

ごった返すエアロック。
ベシア:「エアロックがパニック状態になっているんです。座席数より多い人数が押しかけて、みな搭乗券は持ってるって言うんですが。」

クワークは言った。「ちょいとオーバーブッキングしちゃったかな。」
離すシスコ。「今すぐ行く。」
クワーク:「フェレンギ人にとっちゃ当たり前のことですよ! 私謝りませんからねえ!」 オドーに話す。「シスコ司令官ならどんなパニックだってすぐ静まるさあ。」
オドー:「伝えておこう。それを聞けば、司令官はさぞお喜びになるだろうよ。」
「…もう行ってもいいだろ? 弟が待ってるもんでね?」
「ハ!」
ターボリフトへ向かうクワーク。「そうだ、オドー。…俺がいなくなったら、寂しくなるよな?」
オドー:「ああ、寂しくなるな。」
「ほんとかい。」
「お前のセコい金儲けを取り締まれなくなると思うとな。」
「よせやい。じゃくたばるなよ?」 クワークが笑う中、ターボリフトは降りていった。

エアロックでの騒ぎは収まらない。
シスコ:「さあ、通してくれ! みんな落ち着いて! 全員の席はないんだ。子供たちとベイジョー人でない者から、まず優先的に! ああ…」
リーが声を上げた。「一体どこへ逃げていこうというんだ!」 静まる。「ここはベイジョーだ。我々の星だ。憎いカーデシアと、長い間闘ってやっと…取り戻した土地を捨ててどこへ行こうというんだ。※12そうだろう。シャトルで脱出するのは、ステーションに残っては危ない異星人が先だ。我々は、ベイジョー人なのだ。…だからこそ、我々の問題は我々で解決しよう。力を合わせ、ついてきてくれるか。」
ベイジョー人はうなずき、歩いていく。
シスコ:「乗客が全員搭乗したら、直ちに発進させてくれ。」
ベシア:「既にリオグランデもオリノコ※13も、発進準備済みです。」
「よし、頼んだぞ。」
「了解。」
乗り込んでいくモーン。キラと、制服を着ていないダックスも続く。
シスコ:「仕度できたか。」
ジェイク:「あのさ、パパ…僕も残った方がよくない?」
笑うシスコ。
ジェイク:「何かあったらと思うと心配なんだもん。」
抱き合うシスコ。「お前こそ気をつけろ。」 チップを渡した。
ジェイク:「なーに、これ。」
「お前への手紙だ。」
「手紙?」
「後で読んでくれ。」
「…じゃあ、船に乗ったらすぐに読むよ。」
「ゆっくりでいいよ。」 もう一度抱き合い、身体を叩くシスコ。「2週間したら会えるさ。」
オブライエンが出てくる。「全員乗りました。」
シスコ:「シスコよりガンジスへ。発進開始せよ。」
キラ:『了解。幸運を祈ります。通信終了。』
ベシアも外に出、ドアが閉まる。
クワーク:「おい、待ってくれ! ひでえや。」 大きなケースからは、ラチナムが入っている音が聞こえる。「…リオグランデに、乗るはずなんですよ。弟も乗ってる。…チケットはロムが。」
シスコに話すベシア。「リオグランデの乗客名簿には、クワークの名前はありませんでした。ロムは乗ってましたけどね、ダボ・ガールと一緒に。」
クワーク:「ダボ・ガールと? 嘘だ!」
シスコ:「お前の搭乗券を売ったんだろ。」
歩いていくシスコとベシア。
独り残されるクワーク。「ああ…ちょっと、待って下さいよ。ねえ、お願いしますよ! 俺だって脱出しなくっちゃ! …殺されちまう。船を呼び戻してくれ! 搭乗券余ってない?! ラチナムの延べ棒 5本出すよ! 5本だ! …10本。あ…ああ…20本! ああ…ああ!」


※3: Rom
(マックス・グローデンチック Max Grodenchik) DS9第21話 "The Homecoming" 「帰ってきた英雄 パート1」以来の登場。声:山崎たくみ

※4: Nog
(エイロン・アイゼンバーグ Aron Eisenberg) DS9第15話 "Progress" 「第五の月“ジェラドー”」以来の登場。声:山口勝平

※5: Hanolan colony

※6: Korat system

※7: Keiko O'Brien
(ロザリンド・チャオ Rosalind Chao) DS9第20話 "In the Hands of the Prophets" 「預言者の導き」以来の登場。声:吉田美保

※8: モリー・オブライエン Molly O'Brien
(ハナ・ハタエ Hana Hatae) DS9第16話 "If Wishes Were Horses" 「夢幻の刻」以来の登場。声はウィン役の棚田さんが兼任

※9: Lunar-V base
ルナ=衛星、つまりベイジョー第5衛星のこと

※10: subimpulse raiders

※11: Tobin Dax
初言及

※12: 原語では「どうして怯えたカーデシア・ハタネズミのように逃げられるんだ」。カーデシア・ハタネズミ (vole) は後に DS9第37話 "Playing God" 「宇宙の原型」で初登場

※13: U.S.S.オリノコ U.S.S. Orinoco
ドナウ (ダニューブ) 級、NCC-72905。初言及

ベイジョー攻撃艇※14が次々と DS9 にドッキングする。
エアロックを出たベイジョー人たちは、銃を持って構える。
指示するベイジョー人、デイ大佐※15。「よろしい。誰もいないようです。」
続いて出てくるクリム将軍。
デイ:「ジャロ大臣のおっしゃるとおりでした。惑星連邦はどうやら撤退したようです。」

続いてプロムナードに出る。
わずかな民間ベイジョー人が歩いているだけだ。
クリム:「ステーションで働いていたベイジョー人たちはどこだ。…リー・ナラス提督は。」
デイ:「恐らく、我々が来るのを知って宇宙艦隊と共に脱出したのだと思います。」
「この DS9 の重要性は何よりも、この位置だ。…ワームホールの隣だからな。うん…もし私が司令官なら、そう簡単に撤退しないが。」

そのベイジョー人たちの様子を、隠れて上から見ているシスコたち。
リー以外は制服を着ていない。

衛星。
荒れた地表を歩くキラ。「1年前は私もこういうところで寝起きしていたのよ? ここまでひどくなかったけど。」 クモの巣を払う。
ダックス:「ああ…トリル族は虫さされにすごく弱いのよ…。」
「そうなの?」
「ええ、本体と共生生物との生化学的関係は微妙だから。ああ! ああ! 何あれ、クモ? イヌ?」
大きな生物が逃げていった。
キラ:「パラッコ※16よ。ベイジョーの月にはどこにでもいるわ?」
ダックス:「ああ…あなたのことだからきっと暇つぶしに、あれをペットにしてたんじゃないの?」
「いいえ? よく食べたけど。」
驚くダックス。
キラ:「あったわよ。」
先に小型の船が見える。
ダックス:「こんなオンボロほんとに飛ぶの?」
キラ:「これなら上等な方よ。」 コクピットを開け、やはりクモの巣を払う。
「レジスタンスのパイロットって小柄な人が多かったの?」
笑うキラ。「いいえ? これを設計した人が、そこまで考えずに造ったんでしょうね。」
ダックス:「不安だわ?」
「膝を折って頭を下げて。」
「ああ…。」
キラが何度も操作し、やっとで閉まった。「さてと。10年ぶりだからね、反動推進エンジンが動けばいいけど。毎日使ってたってトラブるぐらいなのに。」
ダックス:「必ず動かしてみせるわよ? ああ…」
「自信ありげじゃない。」
「当然よ。こんなほらあなに閉じこめられるのは御免だもん。パラッコは食べたくないわ?」

クリムたちはターボリフトで司令室にやってきた。
デイ:「任務が成功したことをジャロ大臣に報告しましょう。」
クリム:「君はお褒めの言葉が待ちきれないらしいな。内部のセキュリティネットは今どうなってる。」
女性のベイジョー人※17。「完全に不能になっています。」
クリム:「保安センターに、生命体反応がないかスキャンを。」
「生命体?」
「ここのセキュリティチーフは、流動体生物だ。…どこにでも潜める。もちろん、シャトルで脱出したかもしれんが…留まっていることも十分考えられる。」
「わかりました。」
「スキャンは、1時間に 6回不定期に行え。」
報告するベイジョー人。「ジャロ大臣につながりました。」
デイ:「大臣、現在何の抵抗もなくステーションを制圧しております。」
ジャロ:『よろしい。では連邦は撤退したのか?』
「数時間前、3隻のシャトルが脱出したのを確認しました。」
『では DS9 を制圧したと発表しても構わんな?』
クリム:「いえ、大臣。それは早すぎます。ステーションを巡る戦いはこれからです。」
『敵がまた戻ってくるとでもいうのか。』
「撤退していないかもしれません。セキュリティネットが壊されて動かないので…本当に全員が撤退したかは確かめようがないのです。逆に言うならば、見つけられたくない誰かがいるということです。」
『キラか。』
「ありえます。キラも行方不明ですし、セキュリティチーフのオドーもです。それに、リー・ナラスも。」
『その通りだ。リーがベイジョーを捨てるとは思えない。留まっているはずだ。』

ベイジョーにいるジャロ。「…しかしどんな手段を取るにせよ、リーだけは絶対に殺してはならん。生きていればこちらの最強の切り札になる。」
デイ:『了解。』
同じ部屋にはウィンがいた。「捕らえられれば、いくらリーでもあなたを支持せざるを得ないでしょう。」
ジャロ:「リーが望むなら何でもやるつもりだ。もちろん次のカイの地位は別だが。」
近づくウィン。「あなたには人々を一つにまとめ上げる才能があるわ? ベイジョーにはあなたのような指導者が必要よ。」
ジャロ:「それは君だって。」
「…もし、私が次のカイに選ばれればね。」
「心配することはないさ。」 ウィンの肩を抱くジャロ。「私が指導者になって、26時間後には君をカイに選ぶよう議会に命令しよう。二人でベイジョーを立て直すんだ。」
微笑むウィン。


※14: Bajoran assault vessel
吹き替えではプロローグやパート2 であったように「シャトル」

※15: Colonel Day
(スティーヴン・ウェーバー Steven Weber ドラマシリーズ "Wings" に出演) 声:室園丈裕

※16: palukoo
DS9特殊効果技師 Joe Sasgen が、ラジコンおもちゃの部品を使って製作

※17: ベイジョー人士官 Bajoran Officer
(カトリーナ・カールソン Katrina Carlson)

ベイジョー戦闘機のエンジンが火を吹いた。
キラ:「始動したわ。」
咳き込むダックスは、回路を覗き込んでいる。「エンジン切っちゃダメよ、切ったら二度とかからないから。」
キラ:「行くわよ!」
「ありがと、トビン。ああ…」
「ダックス、早く!」
「ああ、ああ全く信じらんない。ほんとに飛ぶのかしら。」
「どうしたの?」
「いいえ? 何でもないわよ?」 頭を打つダックス。
「膝を折って! …ああ、懐かしいわ。あの頃を思い出すわよ。」
「よくこんなので勝てたわねえ?」
「私達はしつこいのよ。だからカーデシアも根を上げたんでしょう? 接近警報システムは動いてる?」
機械を叩くダックス。「動いてるみたいよ?」
キラ:「OK、それじゃ 10年ぶりの発進に挑戦しましょうか! ああ…。」

司令官室のクリム。「それでは敵の思う壺だぞ。」
デイ:「彼らがまだここにいるとして、なぜ攻撃されるのを座って待っておられるのですか。」
「あちらは攻撃する気はないのだ。」 デスクに置かれた野球ボールを見るクリム。
デイ:「なぜそんなことがわかるんです。」
「戦術の定石に照らして考えればわかる。…数はこちらが上だ。もし兵力を分散すれば…」
突然照明が暗くなった。
ベイジョー人女性:「将軍、メイン・センサーアレイが破壊されました。テストした途端にサブ・ネットが壊れたんです。」
デイ:「閣下が動かないのなら仕方ありません。私が奴らを探してきます。」 出ていく。

袋をリーたちに配るオブライエン。「さあ食べて? レプリケーターは後 16分で壊れてしまいますから。」
同じくアクセストンネル内にいるシスコ。「戦場用の携帯食※18か。もっと美味そうな物を作らせればよかったのに。」
オブライエン:「携帯食はお嫌いで?」
「できれば、フレンチ・オニオンスープ※19がよかったな。」
「でも、携帯食は科学的ですよ? こんな小さな塊に 3日分の栄養が入ってるんですからねえ? 私は好きですよ? 戦争は嫌いですが、これだけはねえ。」
「シスコより全ユニットへ。今のうちに携帯食で腹ごしらえをしておけ。オブライエンお勧めの食事だぞ?」

別のトンネルにいるベシア。「ああ、これのどこがお勧めなんです? 臭いからしてひどいや。」 クワークたちもいる。
オブライエン:『ドクター、元々は戦場用の携帯食なんですよ?』

説明するオブライエン。「…栄養第一で、味や臭いは二の次なんです。」

ベシアは愚痴る。「僕は医学部にいた時、もっと栄養価に富み、味も美味しいキャンディバーを作ったよ。」
クワーク:「お前らそうよく落ち着いてられるな!」
臭いを嗅ぐベシア。「ああ…」

通信が入る。『オドーより司令官。』
シスコ:「どうした。」
オドー:『スタンバイ。敵の捜索隊が来ます。また連絡します。』

暗い廊下を歩いていくベイジョー人。
オドーが姿を見せた。
壁から上半身だけ出している。「敵の数は 5人です。これから貨物デッキの捜索に向かうようです。」

伝えるベシア。「我々が一番近いようです。」
シスコ:『よし、頼むぞ。』

シスコは通信を終えた。
オブライエン:「ドクターでほんとに大丈夫なんですかねえ。リーに行ってもらった方がよくないですか?」
シスコ:「いいや、リーにはここにいてもらう。」
また連絡するシスコ。「ドクター、第6貨物室へ移動しろ。上手くやれよ。もう一度言っておくが、敵を殺すのはできる限り避けてもらいたい。」

ベシアは答えた。「了解、行ってきます。」
クワーク:「ま、がんばって?」
後に続くケリー。

貨物室に入ったベイジョー人たち。
ケースのスキャンを行う。
ベシア:「近づくと危ないぞ。トリウムの同位元素が入ってるからな。」
天井から姿を見せた。横からはケリー。
そして貨物ケースに入っていた士官も、銃を向ける。
ベシア:「長時間トリウムに身体をさらすと、深刻な影響が出るんだよ。」
ベイジョー人は銃を捨てた。
通信するベシア。「ベシアより司令官。」
シスコ:『報告せよ。』
「任務は成功です。敵を 5人捕らえて捕虜にしました。」

笑うオブライエン。

宇宙空間に出たベイジョー戦闘機。
キラ:「ベイジョーの上空に、軌道設定の準備を開始。」
ダックス:「ナビゲーションセンサーが動いてないわ。」
「大丈夫よ。」
「大丈夫? そんなわけないでしょう、ナビゲーションセンサーが…」
「勘で飛べば何とかなるもんよ。」
「あらそう? ずいぶん原始的ですこと。」
「宇宙艦隊の士官ってみんなそうなのよ。機械に頼ってる内に、サバイバルの本能をなくしちゃうのよね。」
「本能も何も、このオンボロに乗り込んだのがそもそもの間違いよ。古い割にはよく飛んでるけど?」
「ベイジョーの地理ならよく知ってるわ? 着陸場所ぐらい簡単に見つけられるわよ…」 突然大きな音が響いた。「今のは何なの?」
「わからないわ、センサーが動いてないし。」
火花が散った。
キラ:「攻撃されてるんだわ! 回避作戦行動を開始。」
トリコーダーを使うダックス。「通常エンジンの EMサインを分析中。」
キラ:「相手を突き止めてやるわ。」
急に船の向きを変えるキラ。前に見えていた惑星ベイジョーが消える。
2隻のベイジョー・インパルス船※20が攻撃している。
キラ:「…ジャロ大臣の歓迎のようね。」
ダックス:「振り切るのは無理だわ?」
「何とかして互角にもっていかなきゃ。」
「互角にもってくってどうやって。」
「場所を変えればいいのよ。大気圏に突入してやるわ。大気圏なら通常エンジンは使えないもの。ケンカするなら、こっちの流儀でやらせてもらうわ。」
ダックスはキラを見た。


※18: combat rations

※19: French onion soup

※20: Bajoran impulse ship
初登場。サブインパルス戦闘機と共に Jim Martin デザイン、Tony Meininger 製作。この船の初期デザインは、後にディファイアントの原型となります。なおエンサイクロペディアの図では攻撃艇、戦闘機、インパルス船のキャプションが混同しています

誰もいないプロムナード。
リーが見張る中、保安室で作業をしているオブライエン。
突然ベイジョー人たちが撃ってきた。2階にいる。
オブライエン:「急いで!」 隠れる。「こっち。」
反撃するオブライエン。「オブライエンより司令官。」
シスコ:『どうした。』
「身動きできません。援護を。」
『よし、すぐ行く。』
リーも銃を撃つ。

エアロックが開き、シスコたちがやってきた。
ベイジョー人はオブライエンたちと交戦している。
加勢するシスコ。部下の一人が、起動させた丸い装置を保安室へ向けて転がした。
装置からは煙が出始めた。
辺りが満たされる。
オブライエン:「今だ!」 リーと共に逃げ出す。
その様子を見守るオドー。ベイジョー人たちが降りてくるのに気づく。
オドーは姿を変え、床すれすれのところに張ったロープとなった。
気づかずにつまづくベイジョー人。
シスコたちもプロムナードを出ていく。

ベイジョーの地表上で、逃げ続けるベイジョー戦闘機。攻撃を続けるベイジョー船。
キラ:「反動推進エンジンに変えたようね。これで五分と五分だわ。」
ダックス:「2 対 1 のどこが五分なのよ。」
「一つ問題があってね。」
「一つだけ?」
「あっちのパイロットはね…」
「ええ。」
「こっちの性能をよく知ってるのよ…」 また攻撃を浴びた。「フェイザーバンクはどう?」
「フルパワーよ?」
「OK!」
「ああ、よくないわよ。ロックの故障で照準が合わないわ?」
「何とか合わせて!」
「はいはい、わかりました! 勘で合わせるわ…」
「勘じゃないわよ、肉眼で合わせるのよ。よく狙って早く撃って!」
「わかったわ! 撃つのは任せて?」
「つかまって!」
一気に上昇する。
相手の後ろに回り込んだ。
発射するダックス。
何発も撃った後、やっとで命中した。
山腹に墜落するベイジョー船。
見上げるキラ。「もう一機はどこ?」 大きな衝撃が襲い、後部が火を吹く。「後ろにいたわけね?」
ダックス:「エンジンパワーが低下。」
「プラズマコンジットをやられたみたい。」
「消化器はないの?」
「シートの下を見て!」
「何かあるみたい。あったわ。」 小さな消化器にあきれながらも、後ろに向けて使うダックス。だがすぐに出なくなった。「これだけ?!」
「そのようね。」
「プラズマタンクもやられたわ。エンジンは落下。」
「プラズマタンク切り離し。着陸できそうな広い場所ある?」 前方には地表が見えてきた。
「2時の方向、約6キロ先。」
「ああ、もうちょっと近くにない?」
「近くってどれぐらい。」
「そうねえ、できれば真下!」 頭を押さえるキラ。
ダックスも同じだ。「あっ!」
ものすごい勢いで落下していく。

DS9。
クワークの店を歩くデイたち。
上から部下の声。「大佐、こちらです。ホロスイートが一つ、使用中になっています。」
向かうデイ。

ホロスイートのドアを開けると、制服を着たシスコたちがいた。
デイ:「動くんじゃない。」 指示する。「武器を奪え。」
その時、勝手にドアが閉まった。
シスコや机は消滅する。
ドアを開けようとするデイだが、びくともしない。
パネルを開け、手動で出ようとしても無理だ。
通信が入った。『私は司令官のシスコだ。これから言うことをよく聞いて欲しい。サークルに武器を供給していたのはカーデシアだ。』
デイ:「馬鹿なことを。ベイジョー人はカーデシアなど当てにしない。」
シスコ:『ジャロは知らないのだ。カーデシアは怪しまれないようにクレサリ人を使っていたからな。』
「そんなのは連邦のでっち上げだ、嘘だ。」
『証拠は既にベイジョーに送られた。…この証拠が明らかになればクーデターは終わる。我々は君たちに危害を加える気はない。しばらくはその部屋で休んでくれたまえ。あいにく食べ物は、戦場用の携帯食しかないがね。』
シスコの話が終わるのと同時に、デイだけ転送されていく。

司令室の転送パッドで実体化した。
クリム:「デイ。一体どうしたんだ。」
デイ:「捕虜にされたんです。やはり連邦の仕業なんです。シスコと話しました。」
「そうか、やはりな。ステーションを捨てるはずはないと思った。…何を言ってきた。」
「…いえ、別に大したことは。」
「なぜ釈放されたんだ。」
「命は取らないと言ったんです。もちろんその場だけの嘘ですけどね。」
ベイジョー人女性:「将軍、セキュリティネットが復活しました。」
クリム:「通信バッジの位置をスキャンしてみろ。」
「何も捉えることができません。」
「シールドされた場所にいるのか。」
デイ:「カーデシアは全てのコンジットにデュラニウム※21を使用しています。」
「ではシスコはそこから指揮を執ってるんだな。」


※21: duranium
DS9第6話 "Captiva Pursuit" 「ワーム・ホールから来たエイリアン」など

暗いジャングルを歩くダックス。頭を怪我している。「敵に戦闘機が見つかったわ、早くここを離れないと。」
座っているキラ。「私はおいていって。とにかく、一刻も早く…証拠をベイジョー政府まで届けることが大事よ。」
ダックス:「あなたの手で届けた方が説得力があるでしょ?」
「ダメよ…証拠さえあれば大丈夫。私はおいていって。これは命令よ、大尉。」 パッドを渡すキラ。
「連邦は公式には昨日ベイジョーを撤退してるのよ? 命令を聞く義務はないわ…」
「でも歩けないわよ…」
「這ってでも行くの。」
「ダックス、あなたも頑固ね。」
「何でもいいからさあ早く!」
ベイジョー人の声が聞こえる。「お前たちはそっちを探せ。」
隠れるダックスとキラ。
ベイジョー人:「さっき墜落した戦闘機を操縦していたのは、恐らくキラ少佐だろう。そんなに遠くに行ってるはずはない。よく探してくれ。見つけたらお手柄だぞ?」
意識を失うキラ。

DS9。
通信が入る。『オドーより司令官へ。レベル5 にはいないでしょうね。』
シスコ:「レベル3 だがどうした。」
『奴らはレベル5 のコンジットから順にアネスチジン※22ガスを流すつもりです。』
「チーフ。」
オブライエン:「名案ですね、敵ながら頭がいい。早くこっから動いた方がいいかと。」
「…キラとダックスから連絡があってもよさそうなものだが。」
「失敗したのかなあ。だとしたら勝ち目は薄いですね。」
「…いや、こっちにはまだ切り札がある。」
リー:「…私か。」
「オブライエン、全ユニットを移動させろ。」
オブライエン:「了解。」
「…ジャロのクーデターは軍部の指示がなければ、一瞬にして崩壊するだろう。」
リー:「私に軍幹部を説得しろと。」
「とりあえず問題なのは今このステーションにいるクリム将軍だ。クリムに正しい状況を把握させて欲しい。」
ため息をつくリー。
シスコ:「ベイジョーの英雄のあなたなら、ジャロより説得力があるはずだ。」
リー:「国のためなら何でもやってきた。命だって惜しくはないが…」
「それは当然だ。死ねば解放される。楽になれる。でも国のために生きてもらいたい。虚像を演じるのは辛いだろうが、あなたは国民の希望なんだ。」
シスコの後を追うリー。

キラは飛び起きた。
バライル:「キラ! もう大丈夫だよ? …ここは僧院だ。」
キラ:「何で? …最後に覚えてるのは…」
「君の戦闘機が落ちるのが見えた。だから、部下に君を探しに行かせたんだ。」
「ダックスは?」
「ああ、無事だよ。今服を着替えている。」
「ああ…早く政府に、証拠を届けなきゃ。カーデシアが裏に…」
「ああ、ダックスから話は聞いた。」 キラを支えるバライル。「おっと、気をつけて。…危ないよ。腰の骨が折れていたんだから。」
「…どれぐらいここに?」
「…6時間だ。」
「6時間も? …急いで行かなくっちゃ。早く政府に…」
ダックスがやってきた。ベイジョー人僧侶の姿をしている。「よかった、起きたのね? さあこれ着て?」 キラにも着させる。
キラ:「でも、この服…」
「政府の中に入るにはこれしかないのよ。」
バライル:「今は聖職者でない限り、街を安全に歩くことは不可能だからね。…私がエスコートしよう。」
キラ:「ダメよ、あなたまで巻き込めないわ? あなたの安全は保障できないし。」
「代わりにこの私が、君の身の安全を保障しよう。」
「でも…」
「お願いだ。そうさせてくれ。」 出ていくバライル。
ダックス:「ねえ、似合ってる?」
「何が?」
「…鼻よ。」 ベイジョー人のようだ。
「ああ、よく似合ってるわ。」
「元がいいからよ?」
「まあ。」

アクセストンネル内のベシア。「クワーク! 置いてけよ!」
クワーク:「絶対に置いてったりするもんかい!」 重い箱を押している。「思い出の品やら、家族のアルバムやら…」
「ラチナムの延べ棒が入ってるくせに。」
「…誰から聞いた。」
「お前のおふくろさんがそうこぼしてたよ。」
箱を脇へどけ、近づくクワーク。「母親をネタにフェレンギ人をからかうことなかれ!※23 …金儲けの秘訣、31!」
通信が入る。『シスコよりベシア、現在位置は。』
ベシア:「第14エアロックです。司令官の合図を待っています。」
『よろしい。降伏するまで、精一杯大騒ぎしてくれよ。』
「200人はいるかと思わせるぐらいに騒いでやります。通信終了。あきらめろよ。」
クワーク:「フン!」
「行くぞ。…さあ!」
「わかったよ! 行きますって。うるせえなあ。」 やっぱり箱を持っていくクワーク。

司令室のデイ。「レベル3 に動きがある。」
報告するベイジョー人士官。「将軍、第14エアロックに敵が攻撃をかけてきました。」
クリム:「攻撃だと。」
デイ:「ガスにいぶされて出てきたんだ。エアロックを封鎖、ドッキングクランプをロック。こちらデイ大佐だ。総員第14エアロックへ急げ。」
「様子をスクリーンで観られないか。」
士官:「監視カメラが全部壊されてるんです。」
「…そのエアロックに、こっちは何人行ったんだ。」 状況図を見るクリム。
「4人です。」
通信が入る。『セキュリティよりクリム将軍。第14エアロックの敵は降伏。数人を捕虜としました。』
クリム:「リーダーを尋問するから連れてこい。」
『了解。』
司令官室へ向かうクリム。

クリムが中に入ったところで、銃を向けられる。
リー:「抵抗しないで下さい。」
反対側からはオブライエン。
リー:「あなたを殺すつもりはありません。」
手を広げるクリム。シスコもいる。
リー:「…私がリー・ナラスです。お聞き及びでしょうが。」

ベイジョー閣議室の中に入るキラたち。
騒ぐ一同。
ジャロ:「無礼な。捕らえろ!」
ウィン:「何です、罰当たりな!」
僧侶の服を脱ぐキラ。「私はキラ・ネリス少佐。クーデターを起こしたジャロ大臣がカーデシアから武器の供給を受けていた証拠を持ってきました。」
ウィンはジャロを見る。閣僚たちから声が上がる。
ジャロ:「キラ少佐は昔から当政府に対して、歯に衣着せぬ批判を繰り返してきた。その批判が…今度は私にまで、及んだわけだ。実に光栄に思わんでもないが、証拠もないのに法に則った権力の移行をクーデターだと決めつけるのをやめてもらおうか。」
キラはパッドを取りだした。「これは、クレサリの船の…貨物管理パッドです。カーデシアのガルのフィンガースキャンがついているはずです。こうしてカーデシアからの武器は、クレサリ人を経由してサークルに、送られたのです。…今回のクーデターはベイジョーを再びカーデシアの手に渡すものです。またカーデシアに占領されたいんですか?」
ジャロ:「キラ少佐の言うことは全部嘘だ。」
ウィン:「それならこの貨物管理パッドを調べることには反対なさらないわね?」 受け取る。
「もちろん構わんさ。ではしばらく休会としよう。」 出ていくジャロ。「念のために言っておくが、私はそのパッドの調査を心から歓迎するよ。」
微笑むウィン。閣僚たちはキラに口々に質問する。

クリムの前に、ベシアやクワークと一緒に乗ったデイがターボリフトで到着する。
クリム:「大佐! 君はシスコ司令官からの情報を、故意に私に隠していただろ。」
デイ:「何の情報です。」
「カーデシアからの武器供給だ。」
「…嘘ですよ。あんなのデタラメだ。」
「権力の移行は中断されたぞ。カーデシアの関与を示す、証拠のパッドを現在分析中だそうだ。」
シスコ:「サークルの活動はもうおしまいだ。」
「…私はこれからすぐベイジョーへ戻って、閣議に参加してくる。もちろん、引責辞任は覚悟の上だ。…司令官、ベイジョー政府が復活した以上…ディープ・スペース・ナインは惑星連邦の代表である、君に返そう。」
うなずくシスコ。
リーにも挨拶するクリム。「では、失礼する。」
司令官室へ向かうシスコ。
叫ぶデイ。「クソー!」 銃を取り出す。
オブライエン:「司令官!」
気づいたリーが、デイに飛びかかった。至近距離で攻撃を受ける。
すぐにデイを捕らえるオドー。
シスコとベシアがリーに近づく。
リーは笑い出した。「これでやっと、楽になれる。」
悲痛の表情を浮かべるシスコ。リーは目を閉じ、ベシアのトリコーダーからは甲高い音が響くだけになった。

クワークの店。
キラ:「国を立て直そうという時に、亡くなるなんて。…リーには…世界を変える力がありました。リーなら国民をまとめてきっと…。偉大な人だった。これからどうやってベイジョーを再建すればいいのか。」
シスコ:「少佐、ベイジョーにはまだ英雄は大勢いるよ。…君もその一人だ。」
「…すみません、司令官。今夜はこれ以上話す気にはなれなくて。」 キラは出ていった。
オブライエン:「お聞きしたいんですが。」
シスコ:「何だ。」
「リー・ナラスのことで。」
「うん。」
「キラ少佐が今言っていたことを聞いていると、何かリー・ナラスを…ずいぶん大げさに考えてますよねえ。何だか、天才みたいな言い方だ。でも実際のリーは…」
「チーフ。リー・ナラスはベイジョーのレジスタンスの偉大な英雄だった。リーは国民のために勇敢に戦い、国のために死んだ。ベイジョーの歴史の本にはそう書かれるだろうし、私達もリーを語る時にそれを否定することはない。」
「そうですね?」
通信が入る。『ダックスより司令官。ガンジスが今、パッドC にドッキングしました。』
シスコ:「よし、了解。」
オブライエン:「ちょっと失礼します。」
シスコも席を立った。

階段を下りるオブライエンは、人々が降りてくるエアロックの中へ急いだ。
ジェイクが出てくる。「パパ!」
抱き合い、笑うシスコ。
人々が、再会する。「ただいま!」


※22: anesthizine
TNG第59話 "The Hunted" 「恐怖の人間兵器」など

※23: No.31 "Never make fun of a Ferengi's mother."

・感想
三部作の完結編は、銃の撃ち合いあり、船の戦闘ありのアクション多用エピソードです。ストーリーが地味なため見逃されがちですが、ベイジョー大気圏内での戦闘は見応えがあります。「戦争回避」の更なる走りとも言えますね。あれだけ一緒にいたジャロに、あっさりと手のひらを返すウィンもいい味を出しています。
リーの死はある程度予測できたことではありますが、この最期は何とも…。元レジスタンスの英雄という設定は、後にシャカールへ受け継がれることになります。


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