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ヴォイジャー 簡易エピソードガイド
第105話「ドクター心の危機」
Latent Image

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・イントロダクション
医療室。ホロ・イメージャー※1が置かれている。その前に立つニーリックス。ドクターが指示を出す。「90度左を向いて。」 シャッターが押される。
次はトレス。「90度左を向いて。」 シャッター。
パリス。「90度右を向いて。」 シャッター。
女性少尉※2。「後ろを向いて。」 次々とシャッターが押されていく。
何も映っていない。カメラの位置を調整すると、下にナオミ・ワイルドマン※3が現れた。落ち着かない様子だ。
ドクター:「動かないで、じっとしてて。」
ナオミ:「それ痛いんでしょ?」
「痛くないさ。光は人体に危害はない。」
「去年はしなかったのに。」
ナオミに近づくドクター。「なぜかというと、去年はまだ気づいてなかったからさ。ホロ・イメージャーは医学知識を得るのにも使えるってことをね。」
「私どっか悪いの?」
「いや、どこも。でもずっと元気でいるために検査を受けようね。」
「ママもこの検査を受けるの?」
「ママも含め、クルー全員にこの健康診断を受けてもらうつもりだ。実に便利なものさ。亜空間帯にそって共鳴スペクトルを調和させれば、患者の体を素粒子レベルで把握することができるってわけ。」 ナオミをイメージャーの前に立たせ、お腹をつつくドクター。
「素粒子レベル? でもさっき痛くないって言ったじゃない。」 また動くナオミ。
「言ったよ、痛くないって。」
イメージャーの前に立つドクター。「ほら、ね。簡単だろ。」
ファインダーを覗きこむナオミ。「ドクター、動かないでじっとしてて。」
「私をからかってるのかい?」
「いいえ。」

次はキム。説明するドクター。「ほんの数秒で映像をデータベースにダウンロードできるんだ。時間があるなら、自分の体の中がどうなっているのか観てかないか?」
「喜んで。」
「ご覧あれ。」
ホログラムの骨格が形成されていく。笑うキム。筋肉、皮膚、そして制服。完成した。
キム:「いい男だ。」
映像に近づく 2人。
ドクター:「頭蓋骨の底部に瘢痕組織があるな。コンピューター、後頭部を拡大してくれ。倍率は 500倍。」 隣に頭蓋骨の拡大映像が現れる。「ほらね。硬膜に沿って傷がある。」
キム:「何の傷?」
「手術のだ。コンピューター、患部の映像を分離。倍率は 100倍で。」 拡大。「ほかにも傷がある。こりゃ間違いなく神経の手術を受けた跡だ。……執刀した医師は、私だ。この切開痕は私が考案したミクロリニア手術法※3だ。」
「どういうことだ。手術を受けた覚えなんかないぞ。」
「私も同じだよ。君を手術した覚えはない。」

※1: holo-imager
ホログラム画像記録装置。VOY第98話 "In the Flesh" 「偽造された地球」など。以前は「ホロ・カメラ」とも訳されています

※2: 下の表示では「Renlay Sharr 少尉」となっています。エキストラ

※3: Naomi Wildman
(スカーレット・ポマーズ Scarlett Pomers) VOY第101話 "Infinite Regress" 「遥かなるボーグの記憶」以来の登場

※4: microlinear incisions

・あらすじ
キムの神経手術は 18ヶ月前に行われたもののようだが、日誌にも記録はない。ドクターはプログラムの自己診断を手伝うようにセブンに頼む。その後セブンが医療室に来たが、ドクターは診断を頼んだことを忘れており、キムのホロ映像も消去されていた。ホロ・イメージャーの中に当時の手がかりが残っているかもしれない。しかし記録は消されており、わずかに残っていたデータをセブンが復元する。そこに映っていたのはドクターが知らない女性の少尉だった。彼女がキムやドクターと一緒にシャトル任務に出ている様子もある。そして最後の写真には、見知らぬ異星人の姿があった。
ブロックされていた当時のドクターの記憶が、断片的に復元される。女性はジェタール少尉といい、誕生日パーティ、キムとのシャトル任務、そして彼女の死の記憶が蘇る。異星人に襲撃され、今も侵入者がいるのかもしれない。ジェインウェイたちに報告し、ドクターは再びメモリーが消されないように停止されることになる。ドクターはその前に、誰かが医療室でメモリーを書き換えた場合、その姿をホロ・イメージャーで撮影し、自分のメモリーを自動復元するように設定した。ドクターが停止した後、やはり何者かがプログラムにアクセスし、ファイルを消していった。その後、自動的にドクターの再起動とメモリーの復元が行われる。そしてホロ・イメージャーに記録されていた犯人は、ジェインウェイ艦長だった。
18ヶ月前にドクターの記録を消したことは、ドクターと当時はまだクルーではなかったセブン以外は知っている事実だった。ジェインウェイによれば、プログラム上に発生した「矛盾」を修正できなかったため、やむを得ず記録を削除したのだという。再びドクターのプログラムが書きかえられることになった。セブンはジェインウェイの自室に行き、ドクターの人格を踏みにじっていることを訴える。そしてジェインウェイは、18ヶ月前に何があったのかを教えるため、ドクターの記憶を完全に復元させることにしたのだった。
回想が始まる。ジェタール少尉のサプライズパーティが開かれ、その後ドクター、キムと共にシャトル任務に出た。だが異星人船に襲われ、キムとジェタールは重傷を負った。緊急手術が行われるが、2人を同時に治療することはできなかった。ドクターが選択したのはキムであり、命を救うことができた。しかし同時に、ジェタールは死んでしまったのだった。
患者の死に冷静に対処するはずだったドクターのプログラム。しかし追悼式の後、ドクターはジェタールを死なせたことで自分を責め始めた。冷静さを失ったドクターは立ち直れず、その結果メモリーを書き換えられることになった。全てを聞いたドクターは、同じようにプログラムに異常をきたし始める。ジェインウェイは、セブンを人間に戻すことができたように、ドクターを回復させようとする。16時間のあいだ、友人であるドクターにつきっきりだったジェインウェイは疲労し、ドクターに休むように勧められた。ジェインウェイの残していった詩集を読むドクター。「記憶というその本の中の、私があなたに初めて会った日の章の、最初のページにはこう書かれている。『新しい人生が始まる』と。」


・用語解説など
アニ・ジェタール少尉
Ensign Ahni Jetal
(Nancy Bell) 声:西田絵里

アセチルコリン
acetylcholine
生化学物質。TOS第48話 "The Immunity Syndrome" 「単細胞物体との衝突」など
相撲
sumo
77回エンペラーズカップ
77th Emperor's Cup
恐らく「天皇杯」のこと?
タカシ
Takashi
カー・ペック
Kar-pek
sake
コリン化合物
cholin compound
カナッペ
canape
チキンスープ
chicken soup
ラ・ヴィータ・ノーヴァ
La Vita Nouva
ダンテ・アリギェーリ (Dante Alighieri、1265〜1321) 作

・感想
犯人が艦長だった、という意外性は TNG "Clues" 「空白の一日」にも通ずるものがあり、驚かされます。観終わった後にもう一度観なおすと、初めのジェインウェイの仕草などもうまいなあと感じますね。
自己崩壊していくドクターが強い印象を残します。最後のシーンをもう少し盛り上げるか、もしくは逆にスパッと終わった方が良かったようにも思いますが (半端に長いため)、それを抜きにしても奥の深いエピソードだと言えます。


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