医療室。ホロ・イメージャー※1が置かれている。その前に立つニーリックス。ドクターが指示を出す。「90度左を向いて。」 シャッターが押される。
次はトレス。「90度左を向いて。」 シャッター。
パリス。「90度右を向いて。」 シャッター。
女性少尉※2。「後ろを向いて。」 次々とシャッターが押されていく。
何も映っていない。カメラの位置を調整すると、下にナオミ・ワイルドマン※3が現れた。落ち着かない様子だ。
ドクター:「動かないで、じっとしてて。」
ナオミ:「それ痛いんでしょ?」
「痛くないさ。光は人体に危害はない。」
「去年はしなかったのに。」
ナオミに近づくドクター。「なぜかというと、去年はまだ気づいてなかったからさ。ホロ・イメージャーは医学知識を得るのにも使えるってことをね。」
「私どっか悪いの?」
「いや、どこも。でもずっと元気でいるために検査を受けようね。」
「ママもこの検査を受けるの?」
「ママも含め、クルー全員にこの健康診断を受けてもらうつもりだ。実に便利なものさ。亜空間帯にそって共鳴スペクトルを調和させれば、患者の体を素粒子レベルで把握することができるってわけ。」 ナオミをイメージャーの前に立たせ、お腹をつつくドクター。
「素粒子レベル? でもさっき痛くないって言ったじゃない。」 また動くナオミ。
「言ったよ、痛くないって。」
イメージャーの前に立つドクター。「ほら、ね。簡単だろ。」
ファインダーを覗きこむナオミ。「ドクター、動かないでじっとしてて。」
「私をからかってるのかい?」
「いいえ。」
次はキム。説明するドクター。「ほんの数秒で映像をデータベースにダウンロードできるんだ。時間があるなら、自分の体の中がどうなっているのか観てかないか?」
「喜んで。」
「ご覧あれ。」
ホログラムの骨格が形成されていく。笑うキム。筋肉、皮膚、そして制服。完成した。
キム:「いい男だ。」
映像に近づく 2人。
ドクター:「頭蓋骨の底部に瘢痕組織があるな。コンピューター、後頭部を拡大してくれ。倍率は 500倍。」 隣に頭蓋骨の拡大映像が現れる。「ほらね。硬膜に沿って傷がある。」
キム:「何の傷?」
「手術のだ。コンピューター、患部の映像を分離。倍率は 100倍で。」 拡大。「ほかにも傷がある。こりゃ間違いなく神経の手術を受けた跡だ。……執刀した医師は、私だ。この切開痕は私が考案したミクロリニア手術法※3だ。」
「どういうことだ。手術を受けた覚えなんかないぞ。」
「私も同じだよ。君を手術した覚えはない。」
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※1: holo-imager ホログラム画像記録装置。VOY第98話 "In the Flesh" 「偽造された地球」など。以前は「ホロ・カメラ」とも訳されています
※2: 下の表示では「Renlay Sharr 少尉」となっています。エキストラ
※3: Naomi Wildman (スカーレット・ポマーズ Scarlett Pomers) VOY第101話 "Infinite Regress" 「遥かなるボーグの記憶」以来の登場
※4: microlinear incisions
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