ヴォイジャー 簡易エピソードガイド
第117話「甦るジェインウェイ家の秘密」
11:59
イントロダクション
廊下。歩いているジェインウェイにニーリックスが挨拶する。「おはようございます。」 「おはよう。」 「今週の報告書です。」 パッドを渡すニーリックス。 「ありがとう。」 確認するジェインウェイ。 ニーリックスは突然質問する。「…中国の、万里の長城※1って知ってます?」 「何?」 「万里の長城。地球の。作ったのは?」 「中国人。」 「目的は?」 ターボリフトに乗る 2人。ジェインウェイ:「敵の侵入を防ぐためでしょ? 第1デッキ。」 「そうです。万里の長城は前からあった防御壁を、秦の始皇帝※2が改築したもんです。北方民族の襲撃を防ぐために。大きさは?」 「調べたんでしょ? 教えて。」 「長さ 2,400キロ、壁の厚み 3.8メートル。21世紀までは地球の軌道上から肉眼で見える唯一の人の手による建造物でした。」 「すごいじゃない。地球についてよくそんなに調べたものねえ。」 ブリッジに到着した。ジェインウェイ:「現状は?」 チャコティ:「Yクラスのクラスター※3へ向かっています。到着は 3日後。」 「じゃあしばらくゆっくりできるわね。」 ジェインウェイはニーリックスと話しながら、作戦室へ入る。「なぜ突然万里の長城に興味を?」 「地球のランドマークを調べたんです。ミスター・パリスと互いの星の文化について問題を出し合ってるんです。随分詳しくなりましたよ。」 「そう。じゃあ問題。『ミレニアム・ゲート※4』について知っていることを述べよ。」 「ミレニアム・ゲートは21世紀に建てられたもので、アメリカ合衆国にある。軌道上から肉眼で見ることができ、あー、底部の半径は 3.2キロ、高さ 1キロ、その表面は高反射ソーラーパネルで覆われている。自給自足のエコシステム。」 「火星の最初のコロニーのモデルにもなった。実は私の先祖が建てたのよ。」 「本当?」 「もちろん、実際に工事したわけではないけれどね。シャノン・オドンネル※5。女性宇宙飛行士だったシャノンが、プロジェクトを推進したの。」 「ご家族の英雄ですね。」 「小さい頃、よく話を聞かされたものよ。うちに探検家が多いのはきっとそのせいね。」 「聞きたいな。ミスター・パリスをアッと言わせてやりたいんスよ。」 「何から話す?」 「そもそも何でミレニアム・ゲートと関わったのか。」 「シャノンは最初は関わっていなかったの。でもプロジェクトに参加するようにって、インディアナ州知事から直々にお誘いがあったそうで。リサイクル型の生命維持システムを開発したの。マーサ※6おばさんが言うには、知事はシャノンを迎えに、専用ジェット機をよこしたそうよ。」 テープレコーダーのスイッチを入れる。車を運転する女性、シャノン・オドンネル※7。「午前5時。2000年12月27日。今走ってるのは、インディアナ州のどこか。インディアナは大きいことが自慢の州だけど、確かにステーキもトマトも大きかった。大きければいいかっていうと、それには疑問があるけど。※8とにかくクリスマスは終わり。」 自動車が揺れた。「あっ、故障?」 車内には、アポロ計画の月面着陸船のおもちゃが飾ってある。シャノンが観た外の看板には、大きな塔の絵と共に次のように書いてあった。「ミレニアム・ゲート建設予定地」。 |
※1: The Great Wall ※2: The First Kin Emperor ※3: 「星団」のこと ※4: Millennium Gate ※5: Shannon O'Donnell ※6: Martha この辺りは訳出されていません。マーサおばさんは後にもう一度言及されますが、やはり訳されていません ※7: 演ずるのはジェインウェイと同じケイト・マルグルー。以下の内容もそのように想像してお楽しみ下さい(?) ※8: この辺りの原語を直訳すると次のようになります。「大きな州を通っている…インディアナだ、多分。午前中に世界最大の毛糸の玉を見て、午後に世界最大のステーキトマトを見た。フォルクスワーゲン並みだった…トマトじゃなくて毛糸だが。」 |
あらすじ
シャノンの車はガス欠に陥った上に、追突して故障してしまった。シャノンは近くの書店に入り、レッカー車が来るまで暖をとることにする。ヘンリー・ジェインウェイという男性は息子のジェイソンと共に、その街で唯一店を開いていた。古い考え方をもつヘンリーは、ミレニアム・ゲートの建設に反対しているのだ。シャノンはその店で働かせてもらうことになった。シャノンには職がなく、フロリダの従兄弟へ向かう途中だった。そして建設工事が始まった。 過去の遺産を守るべきだと、ミレニアム・ゲートの担当者、モスに訴えるヘンリー。2001年まで粘れば、別の候補地になるかもしれない。ヘンリーと意気投合するシャノン。ヴォイジャーではジェインウェイが自分の 15代前の先祖について調べていた。シャノンはジェインウェイの憧れだったのだ。フェレンギのデータベースから、シャノンの家族の写真も見つかった。シャノンは宇宙飛行士の候補だった頃からモスと知り合いで、彼にヘンリーを説得するように頼まれる。 ジェイソンと話すシャノン。母親は彼が幼い頃に亡くなっていた。シャノンは、完全自給自足型のコロニーシステム、ミレニアム・ゲートについて調べたことをヘンリーに話す。ヘンリーは全く聞き入れず、シャノンは書店を去ることにした。自分たちの先祖について話しているヴォイジャーのクルー。そこでジェインウェイは、シャノンが宇宙飛行士ではなかったことを知る。 シャノンが自分が思っていたような人物ではなかったと知り、落ちこむジェインウェイ。2001年まで 1日と迫り、シャノンはジェイソンの頼みを断って車で街を出た。しかし、人や警察が集まっているヘンリーの書店まで戻ってきたシャノンは、単身店の中へ入る。 頑固なヘンリーを説得するシャノン。なぜ戻ってきたかを聞かれ、クッキーのせいだと答える。いつも車の中で食べるクッキーはおいしいのに、そうではなかったのだ。自分の居場所はこの街で、3人で暮らしたいと話すシャノン。過去を見るヘンリーと、未来を見るシャノンが、二人で現在を見るのだ。もうどこにも行かないというシャノン。そして 11時59分、ヘンリーとシャノンは店の外に出て、みんなに拍手で迎えられた。ジェインウェイを励ますため、上級クルーはちょっとしたパーティを催す。些細な事実は関係なく、彼女のおかげでジェインウェイ艦長という存在がいるのが重要なのだと。ホロ写真を撮るクルー。そしてジェインウェイは、年老いたシャノンと家族の、幸せそうな写真を受け取った。 |
用語解説など
ニーリックスのセリフ中の「セブン・ジュニア」→原語では "Seven of Nine Point Five" (7 of 9.5) シャノンは、月面到達=1969年時で 11歳というセリフから、1958年生まれということになります。つまり 2000年時点で 42歳。ジェインウェイと同じとは限りませんが… ジェインウェイが冗談で言った「ホログラムのエンジニア…」あたりのセリフには、カーデシア人コックのニーリックス、セブン・オブ・トゥウェルブ (12)、チャコティ艦長とありますが取り立てて訳されていません |
感想
ジェインウェイの先祖を、マルグルー自身が演じるという内容。タイムスリップでもホロデッキでもなく、普通に 20世紀〜21世紀の様子を描いているのは珍しいですね。 言いたいことはわかりますし、変わった描き方は目新しいのですが、今一歩盛り上がりに欠けます。 ちなみにこのエピソードが放送されたのは 1999年5月です。「ミレニアム」に対するシャノンの言及は的を射ていますね。日本では最速の放送ですら、2001年になった後でしたが…。 |
第116話 "Someone to Watch Over Me" 「誰かが君に恋してる」 | 第118話 "Relativity" 「過去に仕掛けられた罪」 |