シスコは尋ねた。「対決とは、一体なんですか。」
預言者/キラ:「終わりであり、始まりである。」
「私にはわかりません。」
「…コスト・アモージャン※20を待っている。」
ウィンが口を開いた。「邪悪な者※21です。…天空の神殿から追放された、パー・レイス※22です。」
シスコ:「パー・レイスも肉体の形で現れるということなんですか?」
預言者/キラ:「戦いが始まるだろう。」
「戦い? ここで戦うというのか!」
「ベイジョーは生まれ変わるのだ。」
ウィン:「シャプレンの第五の預言※23。復活です。邪悪な者が滅ぼされれば、千年の平和をもたらすという。ベイジョーの…黄金時代※24です。」
シスコ:「滅ぼされなかったらどうなる。」
何も言わない預言者/キラ。
ウィン:「どちらが勝つかはわかりません。」
シスコ:「私にどうしろと言うのだ。何らかの方法で、私が手を貸すべきか。」
預言者/キラ:「お前の、使命は…果たされた。」
預言者/キラに近づくウィン。「…私の無知をお許し下さい。」
応えずに歩いていく預言者/キラ。
ウィン:「預言者、お待ちを。わたくしはベイジョーのカイ・ウィン。この卑しい身を、御身に捧げる者です。」ひざまずく。
預言者/キラ:「彼らの出現を待つ。」 風が収まった。
ウィン:「わたくしにご指示を。なすべきことをお示し下さい。」
全く動かなくなった預言者/キラ。
司令室。
シスコ:「撤退しかない。」
ベシア:「本気ですか、大佐。」
「この戦いでステーションは破壊される。」
ダックス:「ここを戦場にしなきゃいい。」
「…ほかに方法はないのだ。」
「いいえ、あるわ。プロムナード中にクロニトン※25放射能を満たせばいい。」
ウィン:「預言者を犠牲にするというのですか?」
シスコ:「そうはさせん。」
ベシア:「大丈夫。クロニトンレベルをゆっくりと…上げれば、ワームホール異星人はキラを傷つけずに彼女から離れていく。」
ダックス:「作業はいつでも取りかかれます。命令を。」
シスコの言葉に注目するベシアたち。
シスコ:「だめだ。」
ダックス:「ベンジャミン。」
ウォーフ:「…ここは惑星連邦の防衛上、不可欠な拠点です。破壊の危険にはさらせません。」
シスコ:「ドミニオン艦隊がワームホールから襲来した時…私は預言者に助けを求め、私たちは救われた。今度はこちらが力を貸す番だ。彼らは今ここで戦う必要があるのだ。クルーを危険にさらすつもりはないが…だが私に預言者の邪魔をすることはできない。」
ベシア:「預言者が負けたら。キラを犠牲にするおつもりですか?」
「彼女は器としての役割を喜んでいると。」
ウォーフ:「それを信じるんですか。」
オドーが答えた。「信じます。……キラにとって信仰がどれほど大切なものか。彼女なら喜んで自分の肉体を預言者に差し出すことでしょう、道具としてね。」
シスコ:「……早速ステーションからの撤退を宇宙艦隊に知らせよう。君たちは直ちに退去を始めろ。」
作業に取りかかるウォーフたち。
DS9 の周りに宇宙艦隊の船が集まり、離れていくベイジョー船もある。
エアロックに駆け込む人々。
指示するオドー。「さあ、急いで。急げ!」
ウォーフがやってきた。「ここは一杯か。」
オドー:「空きはある。遅れた者がいないか、チェックしてこよう。」
呼び止めるウォーフ。「オドー。こんな事態にならないよう、大佐を説得すべきだった。」
オドー:「キラの想いを尊重したかった。」
「…ダックスに対して、君のように対処できたかな。」
「そういう事態にならずによかったですね。」
「…君のために、預言者が勝つことを祈っているよ。」
「きっと勝つさ。キラが命を賭けてるんですから。」 オドーは去った。
住人を誘導するウォーフ。「さあ。」
シスコは司令官室を出た。「状況は。」
ダックス:「1時間以内にメインクルーだけになります。」
「よろしい!」
「艦隊のお偉方は何と。」
「預言者たちに逆らうことはできないと、何とか説得したよ。」
ウォーフ:「ワームホールから襲来するドミニオンを阻止できるのは、彼らだけですから。」
ダックス:「預言者たちが戦いに勝つ保証はないというところが問題ね。」
オドーの通信。『オドーよりシスコ大佐。』
シスコ:「どうぞ、保安チーフ。」
『ベイジョー人の祈祷集団が、プロムナードからの退去を拒んでいます。』
向かうシスコ。
目を閉じ、動きを止めたままの預言者/キラ。
ウィンのベイジョー語での祈りが続いている。
ひざまずき、復唱するベイジョー人たち。
オドーに近づくシスコ。
オドー:「間もなく最後の船が出ます。」
シスコは祈祷中のウィンに話しかけた。「カイ・ウィン。」
ウィン:「……選ばれし者。」
「全員退去を。」
「…預言者の勝利を願って祈りを捧げているのです。」
「あなた方がどこにいようと、祈りは預言者に届きます。ここは危険だ。」
「…でもあなたは残っておいでではないですか。あなたの使命は終わったと預言者は言われました。」
「私はこのステーションの司令官、最期までここを守る責任があります。さあ、あなたが黙ってるなら私が彼らに退去命令を出しますよ。」
ウィンは仕方なく、ベイジョー人たちに言った。「皆さん、我々の祈りは預言者に届きました。お行きなさい。」
立ち上がる人々。
シスコ:「輸送船に案内を。」
連れて行くオドー。「さあ、こちらへ。」
ウィン:「おめでとう、選ばれし者。あなたのおかげで預言者の勝利も近い。」
シスコ:「だといいのですが。」
「信仰はどこへいったのです。まさか邪悪な者が勝利するとは思っていないでしょうね? …ベイジョーの黄金時代はそこまできていますから、ご安心下さい。預言者とベイジョー人は一体になるのです。素晴らしい! 指導者はもういらなくなるのですよ? カイも…選ばれし者さえね。」
パワー変動が起こる。
いつの間にか目を開けた預言者/キラが言った。「コスト・アモージャンが器を選んだようだ。」
見上げる預言者/キラ。
シスコたちも 2階を見る。
そこに立っていたのは、ジェイクだった。エネルギーを吸い取る。
赤い目をしたパー・レイス/ジェイクは言った。「始めよう。」
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※20: Kosst Amojan
※21: Evil One
※22: Pah-wraith ベイジョー・ワームホールに住んでいたエネルギー生命体で、ベイジョーの預言者の宿敵。DS9第103話 "The Assignment" 「ケイコのために」より。そのエピソードでは「パー (ル) の亡霊」と訳されていました
※23: Shabren's Fifth Prophecy
※24: Golden Age of Bajor
※25: chroniton 素粒子。VOY第77・78話 "Year of Hell, Part I and II" 「時空侵略戦争(前)(後)」など
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