※1クラクションを鳴らす。ゴーグルを着けたパリスが言う。「みんな、どいてくれ! あーあー!」
原始的な自動車に乗ったパリスが、坂道を降りていく。「あー! おっと、危ない。フー。」
ヒツジの群れが通る。「おー、行っていって、ほら。ごめんね。」
フェア・ヘブン※2の住人、シーマス※3が呼びかける。「トミー・ミー・ボーイ、危ないぞ!」
パリスの車は、積んであった樽に突っ込んでしまった。人々が集まる。シーマス:「怪我はないか、トミー・ボーイ。」
パリス:「ああ、右に切るところを左に切っちゃったよ。」
「手を離したら危ないに決まってるさ。それにしても見事だ。こんな車が買えるとはお前さん景気がいいな。」
「ああ…あ、遺産に乗ってるだけさ。」
「そうか、遺産を受け取ったのか。誰が亡くなったんだ?」
「あの…母方のおじいちゃんが死んじゃってねえ。貴族の。安らかに眠りたまえ。」
十字を切るシーマス。「立派なお人だったようじゃな。金があったら彼に乾杯して祈ってやるんだがな。」 手を出す。
笑うパリス。「よし、俺の金だぞ。」
「しっかり祈るにゃ 3杯飲まんとだめなんだ。これじゃ 2杯も飲めんよ。」
「持ってけ。これで全部だ。」
「そうこなくちゃ。サリヴァンの店に行こう。」
「ああ、付き合いたいが、オデール城※4に行く途中なんだ。」
空を見るシーマス。「やめておけ。日が沈んで辺りが暗くなると、城には王女の妖精が現れるというもっぱらの噂だ。」
「ああ、よろしく伝えておくよ。」
「ちゃーんと警告したぞ。」
歩いて行くシーマス。パリスは周りに誰もいないことを確認して、指示を出す。「コンピューター…」
だがそれを振り返ったシーマスが見ていた。
パリス:「破損したタイヤを修復。」
すぐに壊れたタイヤが元通りになった。
驚くシーマス。十字を切る。「おお! 神よ守りたまえ。」
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※1: このエピソードは、2000年度エミー賞 音楽作曲賞にノミネートされました
※2: Fair Haven アイルランドの街並みを模したホロデッキ・プログラム。VOY "Fair Haven" 「愛しのフェア・ヘブン」より。以下の用語解説で「前回より」とあるのは、そのエピソードでも言及されたことを意味します
※3: Seamus (リチャード・リール Richard Riehle) VOY "Fair Haven" 以来の登場。声: 渡部猛、TNG クンペックなど。前回と統一
※4: Castle O'dell 前回より
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