※1機関車が到着した。荷物を運ぶ人々。駅の名前は、「フェア・ヘブン※2」。
遠くに山の見える街。馬車が通る。掃除をしている女性。
人々に声をかけながらやってきたのは、帽子を被ったパリスだ。満足げに息を吸う。「ハー。」
女性が挨拶する。「おはよう、トム。」
「おはようございます、グレイス※3さん。」
男※4が声をかけてきた。「おや、どこ行くんだい?」
パリス:「サリヴァンの店※5さ。一緒にどうだい。」
「付き合いたいがちょいと問題が起きてね。」
「ああ、そりゃ残念。」
「いいかね、トミー、ミー・ボーイ。主は素晴らしい妻を授けて下すった。出会った日のことは忘れんよ。あれはドーリン※6の市に行くところだった。いや、キルキー※7だったかな。今キルキーじゃ、いいマス※8が釣れるそうだ。」
「誰がそんなこと言ったんだ?」
「ティモシー・ライアン※9さ。神のご加護で奴は釣りに夢中なんだ。でもライアンは半月も釣りをしていない。風邪だと言うが、怪しいな。かみさんに呪いをかけられたんだ。」
「それで、あんたはどうしたの?」
「わしんとこは…ちょいと不運に見舞われてな。この世にいい女はいないもんだな。」
「女房に逃げられたか?」
「頼むよ、恵んでくれないか。」
「いくらだ。」
「ほんの 1シリングか 2シリングあれば十分だ。」
「とっとけ。」 金を渡すパリス。
「きっと神の恵みがあるぞ!」 男は歩いていった。
「はあ。」
パリスは何かに気づいた。
女性と楽しそうに話していたキム。背広を着ている。パリスが話しかける。「ハリー! サリヴァンの店に行く約束だろ。」
キム:「ああ…ごめん。ちょっと花に見とれてて。すまん。こちらはマーギーだ。」
「知ってる。ちょっと失礼するよ。」
マーギー※10:「楽しかったわ、ハリー。」
キム:「僕もさ。」
歩きながら、ため息をつくパリス。
キム:「どうしたんだ?」
「忠告しておく。マギー・オハローランには近づくな。彼女、でっかい熊手をもった養豚家と付き合ってる。」
「妹いたっけ?」
「いないさ。」
「あー、じゃあホロマトリックスをちょっと調整してくれよ。」
「いやだめ。変えるつもりはない。フェア・ヘブンは今のままで完璧だ。」
「だったら、妖精※11を作ってくれないか?」
笑うパリス。「だめだ。妖精もだめ。異星人もだめ。宇宙船もね。俺はクルーが癒される街にしたいんだ。」
自転車でやってきたドクターがベルを鳴らす。「やあ、諸君。」 黒い服装をしている。
パリス:「神父。面白い懺悔はあったかい?」
「私には守秘義務がある、ミスター・パリス。」
「わかった。サリヴァンの店に入るところだけど、ドクターもどう?」
「お供しよう。どっちにしろ、1時には教会に戻らないと。」
「救急かい?」
「そうじゃない。日曜のミサのために説教を考えるんだよ。罪深い君たちも、必ず顔を出すように。」
笑みを浮かべるマーギーを見つめていたキム。
パリス:「冗談だろ?」
キム:「彼を神父にしたのは君だ。」
「ハー。」 3人は店に入った。
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※1: 明らかに VOY第86・87話 "The Killing Game, Part I and II" 「史上最大の殺戮ゲーム(前)(後)」でもホロデッキプログラムとして使われた、ロサンゼルス、ユニヴァーサルスタジオの「ヨーロッパの街路」で撮影されています
※2: Fair Haven
※3: Grace (Duffie McIntire) 名前は訳出されていません
※4: シーマス Seamus (リチャード・リール Richard Riehle TNG第125話 "The Inner Light" 「超時空惑星カターン」のバターイ (Batai)、ENT第81話 "Cold Station 12" 「コールド・ステーション」などのジェレミー・ルーカス (Jeremy Lucas) 役) 後にも登場。声: 渡部猛、TNG クンペックなど
※5: Sullivan's
※6: Dooleen
※7: Kilkee
※8: 鱒 trout
※9: Timothy Ryan
※10: マーギー・オハローラン Maggie O'halloran (Henriette Ivanans) 後にも登場
※11: 原語ではレプラコーン (leprechaun)。参考
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