※1※2※3※4ヴォイジャーと共にいるシャトル。
転送台にジェインウェイ提督が実体化した。
表情の硬いジェインウェイ艦長。「ようこそ、ヴォイジャーへ。」
提督:「戻れて嬉しいわ。」
提督に続いて作戦室に入るジェインウェイ。
提督:「コーヒーね。」
ジェインウェイ:「一杯いかがです?」
「何年も前にやめたの。今はお茶しか頂かない。博物館のキュレーターに言ったのよ、作戦室をもっと忠実に再現したいなら、常にデスクにコーヒーを置いとくべきだって。」
「ヴォイジャーは博物館へ?」
「ヴォイジャーが博物館なの。プレシディオ※5にあるわ。よく晴れた朝には、ここからアルカトラス島※6が見える。」 窓から外を見る提督。
「地球へ戻ったのね。」
「…残念ながら、お気に入りのカップにはヒビが入ってしまったけど。あれはフェン・ドゥマー※7との激しい戦闘中のことだった。」 提督はジェインウェイのコーヒーを手に取る。
「誰?」
「あと 2、3年もすれば出会うわ。」
「私は未来を知ることを許されてないの。」
「泣く子も黙る時間規則※8でしょ? 教えといてあげる。無視しちゃえば頭痛が減るわよ?」
「どうやらあなたは、もう無視するって決めてるようね。」
「あなたでいた頃からいろいろあったの。」
「私はまだ私だし、これは私の船です。二度とこの船の上で、時間規則を犯すようなことはしないで。いいですね。」
「わかった。…過去の話ならいいでしょ? 3日前、あなたたちはグリッド986 の星雲で、強いニュートリノ放射を探知し、家へ戻れると考えた。」
「その通りです。」
「私はヴォイジャーをその星雲へ戻すように言いに来たの。」
「あそこはボーグの巣窟です。」
「攻撃をかわせる技術をもってきたわ。」 取り合わないジェインウェイ。「疑いたいのはわかるけど、自分を信じないで誰があなたを信じる?」
「ちょっと聞かせて。あなたが真実を言ってるとしたら、未来は随分明るそうだわ。ヴォイジャーは帰還し、私は提督に。ボーグに対抗する技術もあれば、私の作戦室さえ子孫のために保存されてる。」
「なのになぜその明るい未来を変えようとしているか? 答えれば、あなたが辛い思いをすることになる。こうとだけ言っておくわ。もし私に従わなければ、地球へ戻るまでに後 16年かかることになる。その間に多くの負傷者が出ます。…あなたの考えてることはわかってる。」
「超能力まで使えるの?」
「私は昔あなただったのよ? 自分にこう聞いてる。『本当に彼女は私かしら。それともだまされているのかしら。』 いつかのように生命体8472 が姿を変えているのかもしれない。※9…私のシャトルは調べた? 武器システムと装甲テクノロジーについて、よく調べるように言ってくれない? その間、ドクターに私を調べてもらえばいい。」
脳の状態がモニターされている。
ドクター:「大脳皮質を調べたところ、興味深い発見がありました。」
ジェインウェイ:「これは?」
「わかりません。このインプラントを見るのは初めてです。」 一部が拡大される。
「異星人の技術かしら。」
「超小型回路に、艦隊のサインがあります。」
提督:「当然です。」
咳払いするドクター。「提督?」
バイオベッドに座っている提督。「あなたが発明したの。私から言えば、12年前に。」
ドクター:「…すいません、てっきり聞こえてらっしゃらないかと。」
「あら、聞こえてますとも。年はかなり取ってるけど耳はいいの。あなたが健康に気を遣ってくれたおかげよ。」
「それで…この私が発明するインプラントは、何なんです?」
「シナプストランシーバー※10よ。神経をインターフェイスして、船の操縦を可能にするの。」
「素晴らしい! それで、私はほかにどんな発明を。」
ジェインウェイ:「ドクター。」
「すみません、しかしこれが聞かずにいられましょうか。」
「早く報告を終わらせて。」
「…了解。」 DNA 配列を表示させるドクター。「スキャンした結果、あなたたちの遺伝子は同一でした。あの提督は、あなたです。約26年後のあなたでしょう。」
セブンが医療室に入る。彼女に気づき、ベッドを降りる提督。「ハイ、セブン。」
うなずくセブン。パッドをジェインウェイに渡した。「提督の船の技術には目を見張るものがある。ほとんどが、ボーグの攻撃をかわせるような設計だ。」
ジェインウェイ:「この技術はヴォイジャーに使えるかしら。」
「ステルス技術は互換性がない。だが、装甲と武器に関しては問題ないだろう。」
提督:「どう? 艦長。」
ジェインウェイはセブンに指示した。「……お願い。」
ヴォイジャーの外壁で、環境スーツを着たクルーによって新たな装備が取り付けられている。
『艦長私的記録、宇宙暦 54973.4。早速ジェインウェイ提督に従い、ヴォイジャーのアップグレードを開始。』 機関室で作業をしているトレスたち。『…主な改造が終わり次第、コースを逆転させ星雲に戻る。任務中に何度か奇妙な体験はしたが…未来の私が上級士官に対し、未知のテクノロジーについて指示を与える姿を見るとは思わなかった。』 ジェインウェイは、提督がチャコティたちと話しているのを見た。
 貨物室に入るセブン。コンピューターを操作した。「コンピューター、再生サイクル開始。」
アルコーヴに入り、目をつぶるセブン。
ボーグ・クイーンの声が響く。『セブン・オブ・ナイン。ユニマトリックス 0-1 の第3付属物よ。』
目の前にクイーンがいた。「久しぶりだな。」
セブン:「何の用だ。」
「友に会うのに理由がいるか?」
「我々は友ではない。」
「そう。それ以上だ。家族だ。我々が再開を果たした一方で、ヴォイジャーに訪問者があったようだ。彼女は未来から来た。どうしてだ。」
「再生中、私と交信することは可能かもしれんが、私はもはやドローンではない。誰がお前に答えるものか。」
ヴォイジャーの姿が空中に表示される。
クイーン:「データを元にヴォイジャーの軌道を計算した。」 周りにはボーグもいる。「星雲に戻っているのは調査済みだ。コースを変えることを勧める。」
セブン:「従う義務はない。」
クイーンはセブンに近づいた。「お前は私のお気に入りだ、セブン。ヴォイジャーのクルーがどんなに不完全でも、お前にとってどんなに大切か知っている。だから放っておいたのだ。考えてみろ。奴らが同化されたらお前はどんな気持ちになるか。」
セブン:「ヴォイジャーに集合体を脅かすつもりはない。アルファ宇宙域へ戻りたいだけだ!」
「異論はない、だが…再び星雲に踏み入ればお前たちを…破壊する。」
アルコーヴが火花を吹き始めた。
それは貨物室のアルコーヴも同様だった。
苦しみ、そのまま倒れるセブン。
コンピューター:『警告。再生サイクル不完全。』
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※1: 通常のプロローグに当たる部分は、全て前編のあらすじとなります
※2: このエピソードは、ヴォイジャー最終話 (シリーズ・フィナーレ) の後編です。アメリカ本国では基本的に 2時間エピソードとして放送されたため、前後編に分けられた際に一部カットがあります。このエピソードガイドでは色を変えた上で、簡単な画像つきで紹介しています
※3: 小説版が発売されています Amazon.com / スカイソフト / Amazon.co.jp
※4: 最終話は 2001年度エミー賞の特殊映像効果賞、および音楽作曲賞をダブル受賞しています。また、後編のみ音響編集賞にノミネートされました
※5: Presidio
※6: Alcatraz
※7: Fen Domar
※8: 時間基本指令 Temporal Prime Directive 一般命令。VOY第51話 "Future's End, Part II" 「29世紀からの警告(後編)」など (参考:艦隊の誓い= Prime Directive)。これまで「時間法」「時間保護指令」「時間の規則」という訳もありました
※9: VOY第98話 "In the Flesh" 「偽造された地球」より
※10: synaptic transceiver
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