ヴォイジャー 簡易エピソードガイド
第37話「二つのヴォイジャー」
Deadlock
イントロダクション
ワイルドマン※1にいらっしゃいと声をかけるニーリックス。2人とも元気かなと聞かれ、母子ともに健康よと答えるワイルドマン。それは良かった、それと悪いんだけど厨房のコンロの具合を見てくれないかなとニーリックスは頼んだ。今朝オーバーヒートして、ローストビーフが蒸発したという。見てみましょうといい立ち上がるワイルドマン。悪いね、何時間も前にキム少尉に頼んだんだけど全然来てくれないというニーリックスに、今船体構造グリッドを直してるから忘れてるんじゃないかしらという。でも直さないとディナーは冷めた残り物だよ、責められるのは俺なんだからと嘆くニーリックス。中継器※2を交換しなきゃ、後で機関室に行って倉庫から取って来てあげるといってワイルドマンは立った。ついでにレプリケーターも見てくれない、繊維質の野菜を出そうとすると調子が悪いというニーリックス。キャベツ、オオバコ、サヤインゲン、セロリ、黄色がかってしまっているのだ。調べながら、レプリケーターの野菜は使わなかったんじゃない、水耕栽培室の有機野菜でしょと尋ねるワイルドマン。近頃不作で、そうでなきゃ人工合成の野菜なんか使おうとは思わないとニーリックスは話す。多分パワーグリッドの機能不全ね、そんなに大変じゃ…というワイルドマンが急に痛み出した。陣痛だ。医療室へ行こう、呼吸に気を付けて、なるべく自然に息をしてとニーリックスが介抱しながら、医療室を出て行った。いよいよ産まれるんだというニーリックスに、食堂にいた士官たちも喜ぶ。 力んでというドクター。サマンサ、息するのを忘れないで、普通に深く息をするのというケス。子宮頚部の拡張は 10.2センチメートル、プロスタグランジンレベルは正常というドクター。再び力んでという。やってると怒るワイルドマンに、大変なのはわかるが呼吸に神経を集中させて、練習した方法を思い出すんだというドクター。陣痛が来たら思いっきり力んでという。つらそうなワイルドマン。 ジェインウェイはブリッジクルーの顔を見ながら歩いている。パリスが口を開き、もう 7時間だ、出産ってこんなに時間がかかるもんなんですかと尋ねる。かかる時はかかるものなのというジェインウェイ。私の妻も 3番目の子供の時には、分娩まで 96時間かかったというトゥヴォック。4日間と驚くキムに、出産とは即ち忍耐だということを学んだよという。緊張するもんだな、自分の子じゃないのにというチャコティに、ある意味私たち全員の子よ、ヴォイジャーで産まれる初めての子だものというジェインウェイ。ただ歓迎すべきなのか謝るべきなのかはわからないと言った。ヴォイジャーは理想的な環境とは言えないし、それにこのデルタ宇宙域で育つことを思えばだ。チャコティは親父がいつも言ってました、「今いるところが我が家」だという。その時トゥヴォックが長距離センサーに亜空間通信をキャッチした。ヴィディア人のものだ。全艦停止させるジェインウェイ。センサー範囲に少なくとも 20隻の船があり、Gタイプの星系の 2つの惑星にはヴィディア人の生命反応もある。領内に突っ込んでしまったようですねというチャコティ。臓器の提供はお断りだわ、回避できるとパリスに尋ねるジェインウェイ。巨大なプラズマの流れがあります、このセクターの半分の長さがあるというパリス。隠れれば向こうのセンサーには気づかれない。コースセット、推力全開で向かうよう指示するジェインウェイ。トゥヴォックにディフレクターを最大にするように命じる。 引き続き出産中のワイルドマン。急にいつもと違う痛みを感じ出した。胎児が位置を変えており、額の突起物が子宮の壁を引っかいているというドクター。非常に稀な例だが、地球人とクタリア人※3の子供ならありうる。胎児を元の位置に戻したらというケスだが、脊柱が弱すぎるため神経を傷付ける恐れがある。早く子供を取り出さないと突起物が子宮に刺さって内出血を起こしてしまう。胎児の転送の準備を始めた。 ヴィディア星系を抜けた。プラズマの流れを出てコースを戻すように指示するジェインウェイ。 胎児の座標にロックオン。へその緒を切断し、転送された。容器の中に赤ん坊が転送され、産声を上げた。おめでとう少尉、女の子だとドクターは言った。額には突起物がある。健康状態はと尋ねるワイルドマン。転送で血液細胞がわずかにバランスを欠いてるが、浸透圧治療※4で細胞膜を安定させればいいというドクター。急に艦が揺れた。 今のは何と聞くジェインウェイ。プラズマの流れから脱出する際に、亜空間の気流に当たったようですと報告するキム。艦の照明が暗くなりはじめ、ワープエンジンが停止してしまった。通常エンジンも反応なし、スラスターも反応しない。メインパワー停止、バックアップに切り替える。ジェインウェイは非常警報を発令、機関室に報告を求めた。 反物質が漏れ出していますが、原因がわかりませんと伝えるトレス。密閉フィールドは正常、どこから漏れているのかすらわからない。ワープコアにプロトンを照射することはできるか尋ねるジェインウェイ。それでエンジンが動くはずだ。センサーアレイでプロトンを発生させて、30秒ごとに照射することはできますというトレス。やってと命じるジェインウェイ。トレスはホーガン※5を呼び、プロトンを照射すると船体に重圧がかかるため、船体強度を上げるように言う。ふいにどこからか別の音が聞こえてきた。音が大きくなるのと同時に、機関室のコンソールが吹き飛ぶ。 ブリッジでも衝撃を受けた。プロトン照射だと思われるが、まだ早すぎる。ジェインウェイはトレスを呼ぶものの、応答がない。キムが機関室で EPSコンジットが爆発し、多数の負傷者が出てますと報告する。再びさっきの音がなり、衝撃が走る。 保育機のパワーが落ちてる、予備の人口呼吸装置をというドクター。さらに次々と機関室からの負傷者が運び込まれてきた。 |
※1: サマンサ・ワイルドマン Samantha Wildman (ナンシー・ハウワー Nancy Hower) VOY第33話 "Dreadnought" 「惑星破壊ミサイル」以来の登場。ファーストネーム初登場。声: 石塚理恵
※2: 緩和中継器 anodyne relay
※3: Ktarians ※4: osmotic pressure therapy
※5: Hogan |
あらすじ
負傷者はどんどん増える。プロトン放射は内部から起こっているが、この船ではない。船体に亀裂ができたがフォースフィールドが働かないため、携帯フィールド発生装置でふさぐために向かうキムたち。医療室の機械やドクターのホログラムも安定せず、ワイルドマンの赤ちゃんは息を引き取った。さらに作業中のキムは船体の亀裂から宇宙空間へ放り出されていった。負傷したホーガンを助けるために医療キットを持って走ってきたケスは、通路のトレスのみている前で突然消えてしまった。 ケスが消えたところには空間の隙間があり、向こう側にも空気があるようだ。船体に磁気を流し、一時的プロトン放射を止めることができたが、また続いている。ブリッジにも船体亀裂が発生してジェインウェイたちは避難した。その時一瞬、ジェインウェイは普通に艦長席に座っているもう一人の自分とブリッジクルーたちを見た。そして同じように、事故の起こっていないヴォイジャー (以降ヴォイジャーB) のジェインウェイは、避難していく自分を見た。一瞬だけ空間の変動を検知していた。ヴォイジャーBでもプロトン放射の準備が進んでおり、ワイルドマンの子供は無事に産まれていた。そして医療室には、気を失ったもう一人のケスがいた。 彼女は事故の起こったヴォイジャー (以降ヴォイジャーA) から来ていた。ケスAの話によると 2つのヴォイジャーは全く同じだったが、Aではプロトン放射を行っていないのに対し Bでは行っていた。直ちにプロトン放射を止めさせる。先ほど亜空間の気流を通った時に分裂したヴォイジャーがセンサーに記録されており、2つとも全く同じ時空を共有していた。物質は分裂したものの反物質が分裂していないため、同じ反物質でエンジンを動かそうとしていたのだ。ヴォイジャーAに連絡を取る方法が探られる。ヴォイジャーAはブリッジの機能を機関部に移した。2つのヴォイジャー間で連絡を取ることに成功した。合体するために同時にディフレクターから大量に共鳴パルスを発振するが失敗した。対策を話し合うため、ケスAが戻るのと共にジェインウェイBもヴォイジャーAへ行くことにする。 このままでは 2つとも破壊されてしまうため、ジェインウェイAはヴォイジャーAを自爆させる気でいた。ジェインウェイBは自分の船に戻る。さらにヴィディア艦が近づいてきたが、ヴォイジャーAもBも武器は使えない。敵の攻撃は Bに当たり、直接侵入してきた。 ヴォイジャーBのクルーは次々に襲われ、臓器を取られていく。侵入したヴィディア人の人数はこちらの 2倍だ。ジェインウェイBは船を自爆させることにした。だがその前に、キムとワイルドマンの赤ちゃんをヴォイジャーAに行かせる。ヴォイジャーBはヴィディア艦を巻き込んで自爆し、ヴォイジャーAだけが残った。 |
用語解説など
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感想
2つに別れたヴォイジャーというアイデアが楽しませてくれます。てっきり事故を起こした方のヴォイジャーが爆発すると思い込んでいたのですが、見事に裏切られましたね。 |
第36話 "Investigations" 「パリスの裏切り」 | 第38話 "Innocence" 「怯える子供達」 |