ヴォイジャー 簡易エピソードガイド
第60話「ドクターの内なる闇」
Darkling
イントロダクション
艦長日誌、宇宙暦 50693.2。我々はミカル・トラベラー※1の前哨基地の上空を軌道飛行している。支配されることを嫌う彼らは、この辺りの領域についてあらゆる知識をもっていて、それを教えてくれるのだ。 トラベラーの前哨基地。話を聞いているジェインウェイ。21個の中で一番近い月に着陸し、ナビゲーターと共に修理を始めたという男※2。ダメージは思っていたよりひどく、何時間かして空気が冷えてきたので、武器で火を起こし暖をとったという。そしてその夜、ひどい揺れで目を覚まし、船に飛び込み揺れが止まるのを祈った。だがそれは地震ではなく、揺れは収まらなかった。俺たちが降りたのは月じゃなかったんだという男。身を乗り出し、何だったのと尋ねるジェインウェイ。生き物だ、たった一匹の生物だったがあまりの大きさのために引力を発生していた、あまりに巨大で自ら生態系を作り出していたと男はいった。別の男と一緒にやってきたケスがジェインウェイに声をかける。男はまだそれでも話を続け、我々の起こした炎で長い眠りから目覚めた、だが一体いつから寝ていたのか、何年、何百年という。ケスと一緒に来た男が何千年かもと続ける。あるいはなという男。ザヒール※3はパイロットで、医薬品の荷下ろしをずっと手伝ってくれたのと紹介するケス。握手するジェインウェイ。妙だな、その星系にはつい数ヶ月前に行ったばかりだが、僕のセンサーではそんなモンスターは捉えなかったというザヒール。不快そうに、センサーが故障していたんだろう、もしかしたら窓に映る自分を眺めていて気づかなかったかという男。彼らは貴重な物資を分けてくれた、その代償として我々トラベラーが与えられるのは正確な情報しかないんだとザヒールはいう。ここは俺の店だ、お前の指図は受けないという男。懐から銃を取り出した。嫌ならよそへ行きなというが、ザヒールは僕はありとあらゆる宇宙を旅してきた、自分の居場所も行き先も自分で決めるという。もしもそれに文句があるなら、戦おうじゃないかといった。男はいやといい、席を立って去っていった。 見苦しいところをすみません、艦長と謝るザヒール。しかし我々はこういう居留地に留まることを決して好んではいないのですといいながら、ケスにも椅子を用意する。燃料を補給し、情報を交換したら可能な限り速やかに立ち去るという。ケスと働いて感心したのは忍耐力です、皆さんおもちの能力だが私たちにはそれが欠けているというザヒール。何も謝ることはないのよ、ここでとても有意義に過ごせたし、ただ今の壮大なお話のどこが本当だか教えてくれると尋ねるジェインウェイ。モンスターはいませんけど、あの辺の小惑星にはヴォリリウム※4がたくさんありますと教えるザヒール。ジェインウェイは訪れる価値がありそうね、機関部でヴォリリウムが不足しているからといって感謝する。ザヒールと目が合い、微笑むケス。 ホロデッキのリゾートプログラム※5。男性と女性は互いを楽しむべきではない、例えば男女が互いに視線を交わす時、あらゆる淫らな妄想から無関係になるべきですという眼鏡をかけた髪のない男性。愛情を否定するなんて、人間性の剥奪だよ、そう思わないと別の男に聞かれ、俺はどちらも一理あると思うけどねというニーリックス。ドクターはパッドを持ち、みんなの話を聞いている。人は人のクリエイティブな欲求を刺激する、精神的欲求や肉体的欲求、それぞれに存在すべき理由があるという男性に、ありがとうバイロン男爵※6というドクター。クラシックな 19世紀初頭のロマン派の意見だという。ほんと、俺には納得できる意見だというニーリックスに、待ちたまえ、彼はひどく誤解している、愛は子孫繁栄のためにあるという眼鏡の男。それ以上を求める無謀な情熱は神の意思に反しますという。バイロンは、天使も彼らの体で楽しみを享受するというがね、という。眼鏡の男は、では君は水風呂を使った方がいい、こういう人には最良の薬になりますといった。覚えておくとしようといい、その場を離れるドクター。 ケスがやってきて、ドクターに声をかけた。何をしてるのと聞かれ、私の人格改善プロジェクトだ、データベースにある過去の偉人たちにインタビューしていたという。ソクラテス※7にダ・ヴィンチ※8、バイロン卿、ヴァルカンのタパウ※9、キュリー※10夫人、そのほか大勢という。テーブルではソクラテスとタパウがカル・トー※11を楽しんでいる。そして中から好ましいと思った人格を、プログラムの中に埋め込むという。何を改善したいのと尋ねるケス。病人への接し方に、診察に役立つ考え方、忍耐心の向上、ぜひ君の協力を仰ぎたかったが、ここ数日は惑星への荷の積み下ろしで君がいなかったのでねというドクター。ごめんなさいね、でも作業は順調よ、ミカル・トラベラーってすごく魅力的というケス。あらゆる場所へ旅行してて、知識も豊富だという。彼らもきっと、君やヴォイジャーのクルーのことをそういうだろうねというドクターに、やり方がスマートなのかな、船は小さくてパイロットとナビゲーターだけ、ふらっと行き先を決めて出発するのと教える。ドクターも来れば、ザヒールに会わせたいと誘うケス。誰かなと聞かれ、医療品を星に下ろすのを手伝ってくれた人、個性的なのと微笑む。そうかね、君はあのトラベラーたちに興味を持ち過ぎているようだ、上陸班リポートを読むと彼らは放浪癖が強くて、責任の伴わない探検やスリルを追い求める民族だというドクター。つまり、不良だと言った。 ザヒールはそんなんじゃないわというケスにため息をつき、ミスター・ニーリックスとの別れが影響してるんだろうという。ホログラムの女性に話している、先ほどの眼鏡の男の方をチラリと見て、マハトマ※12なら水風呂を勧めるね、単純だが効果は間違いないといい歩いて行った。 |
※1: Mikhal Travelers ※2: (スティーヴン・デイヴィス Stephen Davies DS9第1・2話 "Emissary, Part I and II" 「聖なる神殿の謎(前)(後)」の戦術士官 (Tactical Officer)、第76話 "Hippocratic Oath" 「苦悩するジェム・ハダー」の Arak'Taral 役) 声:後藤敦、ダースト役
※3: Zahir ※4: vorilium ※5: ポリネシアリゾート Polynesian resort
※6: Lord Byron
※7: Socrates
※8: レオナルド・ダ・ヴィンチ Leonardo da Vinci
※9: トパオ、トパウ T'Pau
※10: マリア・キュリー Maria Curie
※11: kal-toh
※12: ガンジーの敬称。吹き替えでは「ガンジー」 |
あらすじ
トレスは、ドクターが勝手にいろいろな人格を組み込んだことを非常に危険だと警告する。ケスはザヒールとの話を、夜中まで楽しんでいた。口づけする 2人の様子を、フードを着た何者かが陰から見ていた。 仕事を忘れるほどのケスに、注意するドクター。ケスはヴォイジャーを離れ、ザヒールと共に生きる選択も考え始めていた。そんな中、夜道を歩いていたザヒールがフードの人物に谷底へ落とされてしまう。店主の前に現れたその人物は、全く性格の変わったドクターだった。逃げ出すための船を用意しておくように命じ、立ち去った。 ザヒールの一命は取り止めた。ヴォイジャーのドクターは普段と変わらないが、組み込んだサブルーチンに問題が発見されたためトレスがチェックを行う。偉人たちのサブルーチンには、必ずその人物のマイナスの面も入っているためだ。トレスはサブルーチンの削除を始め、その間ドクターが休むためにスイッチを切ろうとしたが、なぜか映像が乱れて消えない。トゥヴォックはザヒールを襲った者の捜索を行っている。医療室に入ると、トレスが倒れていた。ドクターを起動し、治療を行う。だがトゥヴォックたちがいなくなると、ドクターの姿が乱れ全く別の性格のドクターが現れた。 トレスを意識不明にしたのは、このドクターだった。彼はサブルーチンから生み出された、別の人格だ。サブルーチンを残す方法を知るためだといい、ドクターは偉人たちに会おうとホロデッキへ向かった。トゥヴォックらは店主を容疑者に挙げていた。医療室にドクターがいないことに気づいたケスはホロデッキに向かい、そこで破壊された偉人たちのホログラムを目にする。そして悪のドクターに人質に取られ、共に惑星上へ転送される。 予定外の転送なので検知されるが、ドクターが起こした工作のために転送座標を特定できない。地表のチャコティたちが捜索にあたる。悪は善の前に存在する、だから自分だけが存在するべきだというドクター。ケスを連れ、店主に用意させた船に向かう。捜索班は 2人を発見した。ケスは、悪のドクターが彼女を守ろうとしていること、良い面を抑え込もうとしていることを話す。否定するドクター、そしてケスを連れたまま谷底へ飛び込む。落ちて行く 2人。だが無事に転送で収容され、ドクターも元に戻った。ケスもヴォイジャーに残ることにした。君がここを出れば寂しくなっただろうなというドクターに、それは私もよというケス。そしてドクターは、「ヒポクラテスの誓い」を唱えるのだった。 |
用語解説など
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感想
まさに「ジキルとハイド」的で、悪人と化したドクターは役者も別人かのような振る舞いを見せてくれます。まるでメイクが違うような気にまでさせるのが、ロバート・ピカード氏の演技力といったところでしょうか。ケスとニーリックスはいつのまにか完全に別れていたようです^^; |
第59話 "Unity" 「ボーグ・キューブ」 | 第61話 "Rise" 「謎の小惑星」 |