笑っているチャコティとケリン。ケリンは食べているものについて尋ねる。
「アイスクリーム※12っていうの?」
「ここにいた時、一度も食べなかったのかい?」
「毎日でも食べたい。」
「どうぞ。」
笑う 2人。
ケリン:「ヴォイジャーって、強いわよね。すごく速いし。」
チャコティ:「ヴォイジャーより強くて速い船とも遭遇してきたが、その都度改良し、攻撃をかわしてきた。」
アイスクリームを置くケリン。「ラムラ船は速い。すぐにこの船に追いつく。」
「ケリン、君を守る。約束するよ。」
「追跡者は手ぶらでは帰らない。一番の不名誉だから。私が捕まえた男は 1年追いかけた。」
「君は捕まらない。彼らの手の内を知ってるじゃないか。」
ケリンはチャコティの腕をつかんだ。
チャコティ:「最後の夜のことを聞かせてくれ。」
「見せてあげる。あなたはここにいたの、この椅子に。そして私は、ここにいた。泡の出る飲み物を飲んでた。」 反対側の椅子に座るケリン。
「シャンパン?」
「そう、お祝いだったから。あなたと逃亡者を捕まえた夜だったの。」
「どうやって?」
「あなたがマグネトン※13を除去すればいいって思い付いたの。そうすれば逃亡者の偽装を解けるって。彼がそばにいるのはわかってたから、罠をかけた。」
転送室に入るチャコティとケリン。
チャコティ:「役に立てずに残念だ。」
ケリン:「先週マイカ※14の軌道上でほかの船へ移ってしまったようなの。そっちを探してみる。」
「力になれることがあれば、言ってくれ。」
「ありがとう。でも大丈夫。自力で探します。」
転送台に乗るケリン。「船へ転送して下さる? マイカへ向かいます。さよなら、いろいろありがとう。」
「転送開始。」
だが転送が行われる代わりに部屋にフラッシュが走り、人間の姿が見える。フェイザーを向けるチャコティ。そのラムラ人は姿を現した。声をかけるケリンとチャコティ。「レスケット※15、随分がんばったわね。」
「せっかく会えたのに残念だが、すぐに帰ってもらおう。」
チャコティに話しているケリン。「そして捕まえたの。神経麻痺エミッター※16を撃ったら、母星に帰れることを喜んでた。」
「神経麻痺エミッター?」
「逃亡者に使う武器。外界での記憶を全て消してしまう。」
「お祝いの後は?」
「あなたの気持ちが変わり始めた。でもこのままでは数時間であなたに忘れられてしまう。だから私から動いたの。」
「いつものことだ。」
「そうね。あなたのそばへ行き、おかげで逃亡者を捕まえられたって、心からお礼を言った。」
ケリンはチャコティのそばに寄る。
「そしてあなたに触れ、告白したの。あなたをすごく好きだって。私は何か思い出が欲しかった。だから、こうしたの。」
口付けをするケリン。「あなたの気持ちを確信したわ。でも私は行かなきゃならなかった。」
チャコティは言う。「もう、その必要はない。」 再びキスに戻る 2人。
廊下。トゥヴォックに話すチャコティ。
「艦長はケリンを、クルーとして迎えるために任務を与えたいらしい。」
「当然の考えでしょう。得意分野は。」
「母星では保安任務についてたらしい。武器や監視の訓練を受けている。戦闘も得意だ。いいポジションはあるかな。」
「ニーリックスなら、喜んで助手にするでしょう。」
立ち止まるチャコティ。「トゥヴォック、冗談だろ。今のは冗談だよな?」
「私の言葉にユーモアを感じたのであれば、可能性はあります。」
「ああそうだ、間違いない。」
「だが理にかなっている。彼女はニーリックスの料理に怒ったクルーから、彼を守るのに役立つはずです。」
笑うチャコティ。「それは言える。だが保安チームに入れた方がもっと役立つはずだ。」
「恐らく。チームに入れ、1週間様子を見てみることにします。最終日にポジションを決めるとしましょう。」
「頼む。」
「副長、ラムラ船のことが気になって仕方ありません。再び攻撃してくるのではないでしょうか。」
「私もそれは考えている。」
「プロトン兵器※17は我々にとって最大の敵です。ケリンがセブンとキム少尉に協力すれば、対抗しうる防御策が見つかるかもしれません。」
「喜んで協力するさ。」
「では 13時に、天体測定ラボへ。」
天体測定ラボ。セブンが話す。
「戦略日誌からデータをダウンロードした。このコンソールからアクセスできる。」
スクリーンにヴォイジャーとラムラ船の戦闘の様子が映される。
ケリン:「プロトンベースの兵器は非常に粒子が細かいのが特徴。」
キム:「何千もの針で刺される感じか。」
「どんなシールドでも、何度調節しても防げない。」
「すごいな。」
「防護策なんて聞いたことがない。」
「じゃ、僕らが一番乗りだ。」
「あの武器を防げるの?」
「そう思う。ビームを分散させれば、シールドを通りにくくなるんじゃないかな。バリオンセンサーをディフレクターコントロールに接続してみるんだ。こういうことだ。感想を聞かせてくれないか?」
「見せてもらう。」 パッドを受け取るケリン。
「聞いたよ。副長が君を保安員としてトゥヴォックに推薦したらしいね。」
「みんなの役に立ちたいの。」
「ベータ・チームに志願するといいよ。最高のチームだ。勉強になると思う。」
「ありがとう。」
ケリンは出て行った。
セブンは言う。「副長の名前を聞いただけで顔が赤くなった。副長の方も同じだ。」
キム:「何が言いたい。」
「恐らく副長とケリンは求愛行動をし合っているのだろう。だが生殖行為を行うのに、複雑な前置きなど必要ない。」
笑うキム。「君はそうでも、信じてくれ。必要な人間もいる。」
「つまり?」
「つまり、前もってお互いのことをよく知っておいた方が、スムーズになれるんだ。親密に。」
「どうしてだ。」
「その方が落ち着くからだよ。一緒に時を過ごし、笑い合い、話し合う。そうするとより、親しくなれる。」
「だが最後にすることは同じだ。」
「そりゃそうだけど。」
「やはり私には時間の無駄としか思えない。」
「だったら僕も説明できない。」
「もっともだ。」
セブンはラボを出て行った。
廊下でパッドを読みながら歩いているケリン。ふと立ち止まり、誰もいない廊下を見つめる。後ろや前にも誰もいない。また歩き出し、後ろを気にしながら自室に入った。テーブルの上を見ると、割れた破片があった。
チャコティに話すケリン。「前の戦闘の時には、この船に乗り込んで来てたのよ。」
「決め付けるのは危険だ。」
「絶対に追跡者よ。ここにいる。私のそばに。あの花瓶は警告だわ。」
「俺が守る。君に危害を加えさせない。」
「もう遅い。」
「遅くない! レスケットをあぶり出した時と同じ方法を使うんだ。奴を捕まえて追い返せばいい。」
突然部屋の中で遮蔽が解かれ、ラムラ人の男が姿を見せた。
「残念だがそうはさせん。」
ケリン:「カーネス※18、やめて。」
チャコティ:「チャコティから保安部、私の部屋に侵入者がいる。」
「お願い。お願いだからやめてちょうだい。」
カーネス:「無駄なことはするもんじゃない。」 神経麻痺エミッターを撃つカーネス。
ケリンを直撃する。「やめてー!」
フェイザーを構えるチャコティ。「やめろ! 武器を離せ!」
エミッターを落とすカーネス。「もう遅い。彼女はここのことを忘れ始めてる。」
チャコティは床に座り込んだケリンに近寄った。
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※12: ice cream
※13: 磁子 magneton マグネトンスキャン (magneton scan) はセンサープロトコル。VOY第13話 "Cathexis" 「幽体離脱」など
※14: Mikah
※15: Resket (Chuck Magnus) セリフなし
※16: neurolytic emitter
※17: 陽子兵器 proton weapon
※18: Curneth (マイケル・キャナヴァン Michael Canavan DS9第55話 "Defiant" 「奪われたディファイアント」のタマール (Tamal)、ENT第50話 "First Flight" 「運命の飛行」のヴァルカン人 (Vulcan) 役) 声:佐々木勝彦
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