惑星に到着したエンタープライズ。
トゥポル:「大気は薄いが、呼吸は可能です。」
アーチャー:「生体反応は?」
「やはりありません。全く。」
リード:「輸送船を発見しました。」
アーチャー:「見てみよう。」
地上の船が映し出された。
トゥポル:「パワーサインも皆無です。…やはり誰もいません。」
タッカー:「だがセンサーじゃ幽霊は感知できないぞ。今んとこドゥマールの言う通りです。デュラテニウム、ベリリウム感知。それと…ダイリチウム。」
サトウ:「なぜ不時着したんでしょう。」
アーチャー:「そばで見ないと、何とも言えんなあ。」
タッカー:「じゃあ行きましょうよ。」
メイウェザー:「危なくないんですかね。」
サトウ:「ほんとに幽霊が出ると思ってるの?」
「クルーがどうなったかわからない。あの船は墓場かも。わざわざ行って、部品を調達する必要が?」
タッカー:「死体が転がってるとは言ってなかった。船長、エンタープライズは想像以上にダメージを受けています。デュラテニウムをごっそり調達してくれば、修理に役立つ。」
アーチャー:「…行ってみるとしよう。幽霊さんに嫌がられたら、戻ってくればいい。マルコム、ブリッジを頼む。」
リード:「了解。」
「トラヴィス。操縦を。」
船の近くに着陸するシャトルポッド。
ライトを持ったアーチャーは、ドアを開けた。上陸班は皆、ジャケットを着ている。
アーチャー:「トゥポル。」
トゥポル:「反応なし。」
タッカー:「ドゥマールによれば、機関室はこの奥です。」
アーチャー:「君とトゥポルで行ってくれ。めぼしい物を見つけたら連絡を頼む。それと…クルーを見かけてもな?」
「了解。」
向かう 2人。
アーチャーは後ろを向いていたメイウェザーに尋ねた。「異常はないか。」
メイウェザー:「はい、船長。ただ妙なことに、ハッチがしっかり閉まってるんです。…ドゥマールは慌てて逃げ出したのに。」
機関部に着いたトゥポルたち。
トゥポルは物音に振り向いた。
タッカー:「どうした?」
トゥポル:「何か聞こえたわ。」
「…ネズミだろ?」
調べるトゥポル。「違う。」
タッカー:「じゃあ妄想じゃないのか?」
「…ヴァルカン人には無縁です。」
「別に恥ずかしいことじゃない。船は気味悪いし、クルーはいない。オマケに周りは真っ暗だ。誰だってゾッとするさ。」
「…『ゾッとする』?」
「背筋が凍る、身の毛がよだつ。何か怖いと思ったことはないのか?」
「ないわ。」
「ほんとに一度も?」
「ない。」
「残念だな。結構いいもんだぜ?」 ライトを顔の下から当てるタッカー。
メイウェザーは尋ねた。「船長、ドゥマールはほんとに幽霊を見たんでしょうか。」
アーチャー:「さあなあ。先に…もうこの船に目をつけてた奴がいて、追っ払おうとしたのかも。」
「でももしそうだとしたら、船の中はスッカラカンになってるはずじゃないですか?」
「お前の怪談話を仕入れに来たわけじゃないんだぞ。」
「もってこいだけどな。」
笑うアーチャー。「…どう思う。コンピューターの端末か?」
スキャナーを使うメイウェザー。「そうです。パワーは停止。データモジュールは無傷です。」
アーチャー:「船に持ち帰ろう。事情がわかるかもしれない。」
調べるタッカー。「ダイリチウムだ。……ああ。」
トゥポル:「不都合でも?」
「いや。結晶の状態も完璧だ。ちょっと手を加えればまた飛べるよ。」
トゥポルは目の前に映り込んだ人影を見た。すぐに振り返るが、誰もいない。
タッカー:「どうした。」
トゥポル:「誰かいました。」
「生体反応はないんだろ?」
「ありません。」
「俺を驚かそうとしてくれてんなら気持ちは嬉しいが。」
何者かの影が見えた。走っていく。
コミュニケーターを使うタッカー。「タッカーから船長。」
アーチャー:『どうした。』
「誰かいるようです。」
『すぐ向かう。』
人物が消えた方は、行き止まりだった。
トゥポル:「この後ろにスペースがあります。」
フェイズ銃を調整し、焼き切るタッカー。
パネルを外し、中に入った。
ロックを開けるトゥポル。
ドアの中は植物であふれていた。明るくなっている。
タッカー:「どうして感知できなかったんだろう。」
トゥポル:「このセクションには妨害フィールドが張られているようです。」
「ジェネレーターは。」
「…感知はしていますが、位置の特定はできません。」
「急いで探してくれ。」
分かれるトゥポル。
タッカーが歩いていると、女性が立っていた。「やあ。」
何も言わない女性。
フェイズ銃を収めるタッカー。「ごめん、大丈夫だ。何もしやしない。」
だが女性は逃げ出した。
タッカー:「おい。トゥポル!」
追うトゥポル。
タッカーは部屋の中に入った。トゥポルも入り、入り口が閉まる。
そこには大勢の人々がいた。みな銃を向けている。
さっきの女性も、老人のそばに立っていた。
貨物輸送船。
異星人のクーラン※5が話す。「コタラバラー※6のコロニーから母星へ戻る途中、この星系で攻撃に遭ったんです。」
アーチャー:「誰にです。」
「さすがに、自己紹介はされなかった。」
老人※7:「我々は補給船だ、大した武器は装備してない。とても応戦はできません。」
異星人の老婆※8。「だから船長の判断で不時着を。全員生き残れたなんて奇跡だわ?」
メイウェザー:「救難信号を出しました?」
クーラン:「出せばまた、居場所を突き止められる。」
タッカー:「妨害フィールドは身を隠すためか?」
老婆:「私たちを襲った奴らが戻ってくるかもしれないから。」
トゥポル:「どのくらいここに?」
老人:「もう 3年になります。」
アーチャー:「3年? じゃもう家も同然ですねえ。」
クーラン:「選ぶ余地はない。」
「今はある。我々の船で、お送りしましょう。母星へ。」
「ご配慮、感謝します。しかし母星までには 1年かかる。」
メイウェザー:「ここへおいてはいけませんよ。」
「さっきも言った通り、もうここが家なんだ。」
アーチャー:「…エンジンの状態は?」
タッカー:「ダイリチウムマトリックスは安定してます。反物質の残りも多い。船を飛ばすことは可能です。」
老人:「何度も試しましたが、駄目でした。」
アーチャー:「…我々にならできることがあるかもしれません。やらせて下さい。」
「ありがとう、船長。」
機関室で作業するタッカー。
物音に気づき、ライトをつけた。見回しても、誰もいない。
戻ろうとすると、あの女性が立っていた。
タッカー:「ああっ! ……おどかすなよ。これで今日二度目だ。……何とか言ってくれ。言葉がわからないっていうなら、無理なことを言って謝るよ。」
女性はタッカーについてくる。
作業に戻るタッカー。
女性:「そこは駄目! …パワーは、そのリレーを通して送られてるの。触ると危険だわ?」
タッカー:「やっと口を聞いてくれて嬉しいよ。ありがとう。」
「どういたしまして。」
「君は…船のシステムに詳しいの?」
「父がエンジニアで、いろいろ教わったから。」
「じゃあついててくれよ。またヤバいとこ触りそうになったら注意して。」
老婆の声。「リアナ※9? 仕事のお邪魔よ?」 いつの間にか来ていた。
タッカー:「…構わない。いい話し相手だ。」
老婆:「娘にも仕事がありますの。」
老婆についていくリアナ。タッカーは微笑んだ。
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※5: Kuulan (ルドルフ・ウィルリック Rudolph Willrich TNG第72話 "Menage a Troi" 「愛なき関係」のライタン・グラックス (Reittan Grax)、DS9第84話 "Paradise Lost" 「地球戒厳令(後編)」のアカデミー校長 (Academy Commandant) 役) 声:長克巳
※6: Kotara Barath
※7: 名前は Ezral (レネ・オーバージョノー Rene Auberjonois DS9 レギュラーのオドー (Odo)、映画 ST6 "The Undiscovered Country" 「未知の世界」のウェスト大佐 (Colonel West) 役) ですが、言及されていません。声:加藤精三、DS9 オドー
※8: 名前は Maya (Claudette Sutherland) ですが、言及されていません。声:磯辺万沙子、TNG ルーサ、コンピューターなど
※9: Liana (Annie Wersching) 声:日野由利加
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